JP3649066B2 - ウォータジャケット入子の熱処理方法 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、鋳造することで生産されるエンジンのシリンダブロック内に冷却水通路を形成するために用いられるウォータジャケット入子を好適に熱処理することによってウォータジャケット入子の寿命を延ばす技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
冷却水通路を形成するために用いられるウォータジャケット入子は、シリンダ壁に沿って伸びる冷却水通路を画定する筒部とその筒部に固定された基部とその基部に形成された押出しピンの摺動用貫通孔を備え、シリンダブロック鋳造用の金型内にセットされて用いられる。
ウォータジャケット入子とシリンダブロック鋳造用金型がセットされた状態で溶湯が充填される。このとき、溶湯が最初に筒部の先端(即ち反基部側)に接触することから、反基部側の筒部先端に大きな熱応力が発生し、繰返し使用しているうちに割れが発生し、これがウォータジャケット入子の寿命を決定する。
充填された溶湯が凝固することで鋳造されたシリンダブロックと、ウォータジャケット入子ないしシリンダブロック鋳造用金型を分離する必要がある。このために、シリンダブロック鋳造用金型に押出しピンが用意されており、この押出しピンがウォータジャケット入子の基部に形成された摺動用貫通孔を摺動して型内に進出することで、鋳造されたシリンダブロックとウォータジャケット入子等が分離されるようにしている。このとき、押出しピンに大きな力がかかるために、繰返し使用しているうちにウォータジャケット入子の摺動用貫通孔の孔形状が広がり、やがて摺動用貫通孔が押出しピンの側面を案内できなくなって押出しピンが折れやすくなってしまう。摺動用貫通孔の孔形状が危険なほど広がることがウォータジャケット入子の寿命を決定する。
【0003】
ウォータジャケット入子が筒部先端で割れることを防止しようとするとウォータジャケット入子に靭性が求められる。ウォータジャケット入子の摺動用貫通孔の変形を防止しようとするとウォータジャケット入子に硬度が求められる。しかしながら両要求を同時に満たすことは困難で、靭性を確保しようとする硬度が確保できず、硬度を確保しようとすると靭性が確保できない。
現状では、ウォータジャケット入子の全体を、必要とする靭性が確保される程度に焼入れし、その後に摺動用貫通孔の孔壁を窒化処理して硬度を高めている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
摺動用貫通孔の孔壁を窒化処理することで摺動用貫通孔の孔壁表面の硬度は確保できるものの、その表面硬化層よりも深部では必要な硬度が得られないために、繰返し使用しているうちに、押出しピンが折れる危険が生じるほどに摺動用貫通孔が広がることが避けられない。現状では、ウォータジャケット入子の筒部先端で割れが生じるよりも先に、摺動用貫通孔の拡大現象が生じることが多い。
そこで、拡大した摺動用貫通孔に摺動案内用ブッシュを打込むことでウォータジャケット入子の寿命の延長を図っているが、その延命処理に多くの工数を費やしている。
本発明では、シリンダ壁に沿って伸びる冷却水通路を画定する筒部とその筒部に固定された基部とその基部に形成された押出しピンの摺動用貫通孔を備えたウォータジャケット入子に対して、熱応力に耐える必要がある筒部先端では必要な靭性が確保され、押出しピンの摺動に伴う磨耗等に耐える必要がある摺動用貫通孔の孔壁では必要な硬度が確保できるように熱処理する方法を実現する。
【0005】
【課題を解決するための手段】
この発明が処理の対象とするウォータジャケット入子は、エンジンのシリンダブロック内に冷却水通路を形成するためにシリンダブロック鋳造用金型内にセットされて用いられ、シリンダ壁に沿って伸びる冷却水通路を画定する筒部とその筒部に固定された基部とその基部に形成された押出しピンの摺動用貫通孔を備えている。
この発明のウォータジャケット入子の熱処理方法は、ウォータジャケット入子の全体を焼入れして前記摺動用貫通孔の孔壁に必要とされる硬度に調整し、ついで前記筒部の反基部側を焼戻して溶湯に接することで生じる熱応力によって破壊されない靭性に調整することを特徴とする。
この熱処理方法によると、強い熱応力に曝される部位ではそれに耐えられる靭性を持ち、強い耐磨耗性が必要とされる部位ではそのために必要とされる硬度を持つウォータジャケット入子が得られ、ウォータジャケット入子の寿命が延命される。
【0006】
鋳造用金型において、靭性が必要とされる部分を焼戻して必要な靭性を確保する技術(特開平8-60248号公報で従来技術として説明されている技術)、あるいは、硬度を必要とする部分を局部的に焼入れして必要な硬度を確保する技術(特開平8−60248号公報で提案された技術)が知られており、部分によって硬度と靭性が変化する鋳造用金型が得られるように熱処理する技術が知られている。
しかしながら、従来知られている技術は、本発明とは逆に、溶湯に接して強い熱応力を受ける部位で硬度を高めてヒートクラックの発生を防止し、基部側では硬度を下げて靭性を確保するものであり、本発明とは全く逆の発想に基づくものである。溶湯に最初に接することで強い熱応力を受ける部分を局部的に焼戻して硬度を下げて靭性を回復させる本発明の発想は、従来の熱処理技術が目指す方向とは全く逆方向に向けた熱処理方法である。
【0007】
【発明の実施の形態】
図1はウォータジャケット入子2の全体斜視図を示し、図2はその平面図を示し、図3(A)は図2のIII−III線断面を示す。ウォータジャケット入子2は薄壁状の筒部4と基部6とを備えている。図示されているウォータジャケット入子2は4気筒エンジン用であり、筒部4は、鋳造されるエンジンのシリンダブロックの中に各シリンダの壁に沿って伸びる冷却水通路を画定ないし形成する。基部6は筒部4の下端部に固定され、図示されていないシリンダブロック鋳造用金型内にウォータジャケット入子2をセットするために用いられる。基部6には各シリンダに対応して大きな開口8が設けられているほか、複数個所に貫通孔10が形成されている。図示されていないシリンダブロック鋳造用金型には、貫通孔10に対応する位置に押出しピン16が進退可能にセットされており、金型内に充填した溶湯が凝固してシリンダブロックが鋳造された後に押出しピン16が金型内に進出し、鋳造されたシリンダブロックをシリンダブロック鋳造用金型とウォータジャケット入子2から押出す。図3(A)は、1本の押出しピン16のみが進出している様子を示しているが、実際にはすべての貫通孔10から押出しピン16が同時に進出する。
【0008】
押出しピン16が前進してシリンダブロック鋳造用金型とウォータジャケット入子2から鋳造品を押出すのに大きな力が必要とされ、これが押出しピン16を撓ませたり曲げたりする。ウォータジャケット入子2の貫通孔10は押出しピン16を側方から支えて撓みや曲げの発生を抑制する。即ち、押出しピン16と貫通孔10の直径はほぼ等しく、貫通孔10の孔壁が押出しピン16の側面に接して押出しピン16が進退する際に押出しピン16が貫通孔10の孔壁を摺動する。押出しピン16が貫通孔10の孔壁に接して撓みや曲げの発生が抑制された状態で前進することから、貫通孔10の孔壁には強大な摩擦力が作用する。
貫通孔10の孔壁の強度が不充分であると、貫通孔10の孔壁が短期間に磨耗したり、あるいは、押出しピン16の撓みや曲げや倒れ等に起因して口径が広がってしまう。口径が広がってしまうと貫通孔10の孔壁が押出しピン16の撓みや曲がりや倒れを抑制する事ができなくなり、押出しピン16が折れ易くなってしまう。こうなるともはやそのウォータジャケット入子2は使用できなくなる。実用的な寿命を得るためには、貫通孔10の孔壁の硬度がロックウェル硬さでHRC45以上が必要とされる。
【0009】
図1に示されるウォータジャケット入子2はシリンダブロック鋳造用金型内にセットされた状態で溶湯に曝される。金型内に充填される溶湯は最初にウォータジャケット入子2の筒部4の頂面4aに接することから、この筒部4の頂面4aと先端部4bに強い熱応力が加えられる。繰返し熱応力が加えられることによって頂部4aと先端部4bにヒビが入り易く、ヒビが入ってしまうともはやそのウォータジャケット入子2は使用できなくなる。実用的な寿命を得るためには、頂面4aや先端部4bでの硬度がロックウェル硬さでHRC40以下で十分な靭性を有することが必要とされる。
【0010】
基部6でロックウェル硬さでHRC45以上であり、頂面4aと先端部4bでロックウェル硬さでHRC40以下であるウォータジャケット入子2を得るために、本実施の形態では次のステップを行う。
【0011】
まず素材を粗加工して熱処理前のウォータジャケット入子2を得る。次に粗加工されたウォータジャケット入子2の全体を焼入れしてウォータジャケット入子2の表面全体をHRC45の硬度に硬化させる。次に筒部4のみを塩浴に浸漬してHRC40の硬度に焼戻して頂面4aと先端部4bに必要な靭性を回復させる。以上の熱処理工程の完了後に仕上加工する。最後に摺動用貫通孔10の壁を窒化処理して硬度を上げる。
以上の処理を経ることによって寿命が長く形状精度の高いウォータジャケット入子2が得られる。
【0012】
筒部4のみを塩浴に浸漬してHRC40の硬度に焼戻すと、素材が体積変化して基部6と筒部4の間に段差ができる。しかしこの段差は小さく、仕上加工の際に除去され、形状精度を損ねない。また、焼戻しのために塩浴に浸漬することで表面が酸化したり変質したりする。しかしこのような変質層の厚みは0.2mmにみたず、仕上加工の際に除去されてしまう。
【0013】
筒部4を塩浴に浸漬して焼戻した後の硬度分布を図3(B)に示す。都合の良いことに、頂面4aと先端部4bでは硬度が一様に低下しており、無用な熱応力が発生せず、応力集中を招くこともなく、必要とする靭性が回復されていることとあいまって長期間に亘ってヒビを生じさせない。
この実施の態様では、図3(A)のレベル12以上、即ち筒部4の全体を塩浴に浸漬して焼戻したが、筒部4の全体を焼戻すのでなく、図3(A)に例示されるように、筒部4の中間高さ14以上を塩浴に浸漬して焼戻しても良い。
【0014】
【発明の効果】
この発明によると、熱応力が作用するために高い靭性が要求される部位では高い靭性を持ち、摩擦力が作用するために高い硬度が要求される部位では高い硬度を持つウォータジャケット入子が作成されることから、ウォータジャケット入子の寿命が大幅に延命される。
【0015】
【図面の簡単な説明】
【図1】ウォータジャケット入子の全体斜視図。
【図2】ウォータジャケット入子の平面図。
【図3】(A)は図2のIII−III線断面。(B)は熱処理されたウォータジャケット入子の硬度分布図。
【符号の説明】
2:ウォータジャケット入子
4:筒部 4a:頂面 4b:先端部
6:基部
10:摺動用貫通孔

Claims (1)

  1. エンジンのシリンダブロック内に冷却水通路を形成するためにシリンダブロック鋳造用金型内にセットされて用いられ、シリンダ壁に沿って伸びる冷却水通路を画定する筒部とその筒部に固定された基部とその基部に形成された押出しピンの摺動用貫通孔を備えたウォータジャケット入子の熱処理方法であり、
    そのウォータジャケット入子の全体を焼入れして前記摺動用貫通孔の孔壁に必要とされる硬度に調整し、
    ついで前記筒部の反基部側を焼戻して溶湯に接することで生じる熱応力によって破壊されない靭性に調整することを特徴とするウォータジャケット入子の熱処理方法。
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