JP4708041B2 - 冷却穴付き鋳抜ピンおよびその製造方法 - Google Patents

冷却穴付き鋳抜ピンおよびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、冷却媒体を流すための冷却穴を有する鋳抜ピン、および、そのような鋳抜ピンを製造するための方法に関する。
図15は、従来のダイカスト金型X’の部分断面図である。このダイカスト金型X’は、所望の部品形状を規定するキャビティCを形成するための固定型91、可動型92、および鋳抜ピン93を備える。固定型91は図外の固定型取付板に固定支持され、可動型92は図外の可動型取付板に固定支持されている。また、可動型92には挿通孔92aが設けられている。鋳抜ピン93は、冷却水を流すための冷却穴93Aを有し、可動型92の挿通孔92aに沿って摺動可能に配設されている。冷却穴93Aには、これに冷却水を導入するための導入管94が挿入されている。導入管94は、その一端部に導出口94aを有し、この導出口94aが鋳抜ピン93の先端部93aに対向するように、配されている。導入管94の他端部(図示せず)は、図外の冷却水供給装置に接続されている。
このような構成のダイカスト金型X’を使用して行うダイカスト成形においては、キャビティCに溶湯が加圧充填されて(即ち鋳込まれて)所定の部品が鋳造される。鋳込み工程中、キャビティC内に一部が突出する鋳抜ピン93は冷却され続ける。図外の冷却水供給装置から連続的に供給される冷却水が導入管94の導出口94aから冷却穴93Aに導入され続け、これにより鋳抜ピン93は冷却され続ける。鋳込み工程中にこのように鋳抜ピン93が冷却されることにより、鋳抜ピン93においてキャビティC内に突出する部分(鋳抜ピン突出部)に鋳造部品が焼き付いてしまうことが、防止される。仮に、ダイカスト金型X’による鋳込み工程中に鋳抜ピン93を冷却しないと、鋳込み工程中に溶湯に取り囲まれる鋳抜ピン突出部は過度に昇温し、当該過熱突出部に対して鋳造部品が焼き付いてしまうのである。このような焼き付きは、鋳造部品の鋳肌においてかじり不良が生ずる原因となり、好ましくない。冷却穴付き鋳抜ピンを利用したこのような鋳造技術については、例えば下記の特許文献1に記載されている。
特開平6−262295号公報
ダイカスト金型X’の鋳抜ピン93については、多数回にわたるダイカスト成形(キャビティCへの溶湯の加圧充填)に耐え得る程度に充分な強度ないし剛性が求められる。そのため、従来の技術においては、そのような強度を確保すべく、先端部93aを含む鋳抜ピン93の全体が一様に比較的高硬度(例えばロックウェル硬さHRCで45〜50)とされている。一方、ダイカスト金型X’では、鋳込み工程中、鋳抜ピン93の先端部93aにおいてキャビティCに露出する側の面93bは高温(例えば650℃)の溶湯に曝され、先端部93aにおける冷却穴93Aの側の面93cには、導入管94の導出口94aから吐出される低温(例えば室温)の冷却水が直接打ち付けられる。そのため、鋳込み工程中、鋳抜ピン93の先端部93aにおける面93bの側と面93cの側との温度差は相当程度に大きく、面93bと面93cとの間には、先端部93aの厚さ方向において急激な温度勾配が生じる。したがって、ダイカスト金型X’において鋳造作業を繰り返し行うと、先端部93a内には、その両面93b,93c間の大きな温度差ないし急激な温度勾配に起因して過大な熱応力(引張応力および圧縮応力)が繰り返し発生することとなる。上述のように比較的高硬度とされ従って比較的低靭性である先端部93aには、このような熱応力の繰り返し発生により、割れWが生じやすい。
本発明は、以上のような事情の下で考え出されたものであって、ピン全体として充分な強度を確保しつつ冷却穴近傍における上述のような割れの発生を抑制するのに適した冷却穴付き鋳抜ピン、および、そのような鋳抜ピンを製造するための方法を提供することを、目的とする。
本発明の第1の側面によると、冷却媒体を流すための冷却穴を有する鋳抜ピンが提供される。この鋳抜ピンは、相対的に低硬度(従って高靭性)の第1部位および相対的に高硬度の第2部位を有する。
本鋳抜ピンは、所望の鋳造品形状を規定するキャビティを形成するための例えばダイカスト金型の構成部材として、その一部を当該キャビティ内に突出させて使用する。本鋳抜ピンを具備する金型における鋳込み工程中、本鋳抜ピンの冷却穴には冷却媒体を導入し、これにより本鋳抜ピンを冷却する。鋳込み工程中、本鋳抜ピンにおいてキャビティ内に突出する部分(鋳抜ピン突出部)は、キャビティに露出する側の面(第1面)で高温の溶湯と接触するとともに、冷却穴の側の面(第2面)で低温の冷却媒体と接触する。そのため、鋳込み工程中、鋳抜ピン突出部における第1面の側と第2面の側との温度差は相当程度に大きく、鋳抜ピン突出部の肉厚内には急激な温度勾配が生じる。したがって、本鋳抜ピンを具備する金型において鋳造作業を繰り返し行うと、鋳抜ピン突出部の肉厚内には、第1および第2面の間の大きな温度差ないし急激な温度勾配に起因して熱応力(引張応力および圧縮応力)が繰り返し発生することとなる。本鋳抜ピンでは、使用時においてこのような急激な温度勾配が生じ得る部位を上述の第1部位(高靭性)に設定することにより、当該第1部位において、使用時に熱応力(引張応力および圧縮応力)が繰り返し作用することに起因する割れの発生を抑制することができる。これとともに、本鋳抜ピンでは、その他の部位を第2部位(高硬度)に設定することにより、鋳抜ピン全体として充分な強度ないし剛性を確保することができる。このように、本冷却穴付き鋳抜ピンにおいては、ピン全体として充分な強度を確保しつつ冷却穴近傍における割れの発生を抑制することができるのである。
本鋳抜ピンにおいて使用時に急激な温度勾配が生じやすく、従って第1部位として設定するのに適した部位は、本鋳抜ピンの冷却穴の底を規定する部位や、周囲(第2部位)よりも薄肉な部位である。
好ましくは、第1部位におけるロックウェル硬さHRCは、30〜40である。このような構成は、熱応力に起因する割れの発生を本鋳抜ピンにおいて抑制するうえで好適である。
本発明の第2の側面によると冷却穴付き鋳抜ピンの製造方法が提供される。この方法は、冷却媒体を流すための冷却穴を有する鋳抜ピンの全体に焼入れを施す工程と、鋳抜ピンの全体に焼戻しを施す第1焼戻し工程と、鋳抜ピンにおいて冷却穴を規定する部位の一部に更に焼戻しを施す第2焼戻し工程とを含む。第2焼戻し工程では、冷却穴規定部位の一部の硬度を、本鋳抜ピンの他の部分の硬度よりも低下させる。これにより、冷却穴規定部位の当該一部の靭性を局所的に高めることができる。したがって、本方法によると、相対的に低硬度(従って高靭性)の第1部位および相対的に高硬度の第2部位を有する第1の側面の冷却穴付き鋳抜ピンを、適切に製造することができる。
好ましくは、第2焼戻し工程では、鋳抜ピンにおいて冷却穴の底を規定する部位に焼戻しを施す。好ましくは、第2焼戻し工程では、冷却穴規定部位における薄肉部に焼戻しを施す。薄肉部とは、冷却穴規定部における他の箇所よりも薄肉な部位である。
好ましくは、第2焼戻し工程における焼戻しは、第1焼戻し工程における焼戻しよりも高温で行う。このような構成は、第2焼戻し工程において焼戻しを施す部位の靱性を高めるうえで好適である。
好ましくは、第2焼戻し工程における焼戻しは、局部的な誘導加熱により行う。具体的には、第2焼戻し工程での焼戻し対象である部位を加熱可能なように、鋳抜ピンの冷却穴に所定の誘導加熱コイルを挿入して配置し、これに高周波通電することにより、当該部位に渦電流を生じさせてジュール熱を発生させる。このような誘導加熱によると、鋳抜ピンにおいて必要な部位のみを集中的に加熱することができ、当該部位の靱性を適切に高めることができる。第2焼戻し工程での焼戻し対象部位が冷却穴の例えば底を規定する部位である場合、誘導加熱コイルとしては、扁平糸巻き型誘導加熱コイルや渦巻き型誘導加熱コイルなどが、昇温分布や加熱能率の点で有用である。本発明では、焼戻し対象部位によっては、他の形状の誘導加熱コイルを使用してもよい。
図1は、本発明に係る鋳抜ピン10を備えるダイカスト金型Xの部分断面図である。ダイカスト金型Xは、鋳抜ピン10に加えて固定型21および可動型22を備える。これら鋳抜ピン10、固定型21、および可動型22は、鋳造目的の部品形状を規定するキャビティCを形成するためのものである。固定型21は図外の固定型取付板に固定支持され、可動型22は当該固定型取付板に対して進退動可能な図外の可動型取付板に固定支持されている。また、可動型22には挿通孔22aが設けられている。
鋳抜ピン10は、第1部位11(図1にてクロスハッチを付して表す)および第2部位12を有し、内部には冷却穴13が設けられている。また、鋳抜ピン10は、可動型22の挿通孔22aに沿って摺動可能に配設されており、固定型21および可動型22の型締め状態において、その一部が可動型22のキャビティ規定面22bから所定の長さ突出するように位置決めされ得る。鋳抜ピン10は、固定型21および可動型22と同様の材料(例えば合金工具鋼)よりなる。
第1部位11は、冷却穴13を規定する底壁に相当する部位(即ち、冷却穴13の底を規定する部位)であり、キャビティCに露出する外面11aと、冷却穴13の側の内面11bとを有する。また、第1部位11は、第2部位12よりも低硬度(従って高靭性)に設定され、本実施形態では第2部位12よりも薄肉である。第1部位11のロックウェル硬さHRCは例えば30〜40であり、第1部位11の厚さT1は例えば16〜22mmである。
第2部位12は、冷却穴13を規定する側壁に相当する部位であり、第1部位11よりも高硬度に設定されている。第2部位12のロックウェル硬さHRCは例えば45〜47であり、第2部位12の厚さT2は、第1部位11の厚さT1より大きい限りにおいて例えば21〜28mmである。
冷却穴13は、冷却水を流すための空間であり、冷却穴13には、これに冷却水を導入するための導入管23が挿入されている。この導入管23と鋳抜ピン10とは同軸状の二重管を構成している。導入管23は、その一端部に導出口23aを有し、この導出口23aが鋳抜ピン10の第1部位11に対向するように、配されている。導出口23aと第1部位11との離隔距離は例えば5mm以上である。導入管23の他端部(図示せず)は、図外の冷却水供給装置に接続されている。
図2は、鋳抜ピン10の製造方法の一例のフローチャートである。鋳抜ピン10の製造では、以下の成形工程S1、焼入れ工程S2、第1焼戻し工程S3、および第2焼戻し工程S4を、順次行う。
成形工程S1では、上述のように冷却穴13を有する鋳抜ピン10を成形する。具体的には、JISのSKD61の合金工具鋼からなる鋼材に機械加工を施すことにより、鋳抜ピン10を形作る。
焼入れ工程S2では、成形工程S1において成形された鋳抜ピン10の全体に焼入れを施す。焼入れとしては、油焼入れと真空焼入れとを順次行う。油焼入れでは、例えば図3に示す熱処理パターンに従って、450℃で1分、650℃で3分、850℃で1分30秒、および1025℃で2分30秒の条件で鋳抜ピン10の全体を逐次加熱した後、加熱された鋳抜ピン10を所定の油に浸漬して急冷することにより焼入れを施す。真空焼入れでは、真空中において、例えば図3に示す熱処理パターンで鋳抜ピン10の全体を逐次加熱した後、加熱された鋳抜ピン10を所定の冷却媒体に浸漬して急冷することにより焼入れを施す。冷却媒体としては、ガス、油、または水などを用いることができる。焼入れ工程S2では、このような油焼入れ及び真空焼入れに代えて、その他の焼入れ技術(例えば、熱浴焼入れ、塩浴焼入れ、および電解焼入れ)を採用してもよい。
第1焼戻し工程S3では、焼入れ工程S2を経た鋳抜ピン10の全体に焼戻しを施す。この焼戻しは、例えば2段階で行う。第1段階では、例えば図4(a)に示す熱処理パターンで鋳抜ピン10の全体を580℃で7分間加熱した後、放冷することにより焼戻しを施す。第2段階では、例えば図4(b)に示す熱処理パターンで鋳抜ピン10の全体を590℃で6分間加熱した後、放冷することにより焼戻しを施す。例えばこのような焼戻し手法により、第1焼戻し工程S3では、鋳抜ピン10の全体が所望の硬度(ロックウェル硬さHRCで例えば45〜47)とされる。
第2焼戻し工程S4では、第1焼戻し工程S3を経た鋳抜ピン10の第1部位11に対して再び焼戻しを施す。具体的には、この焼戻しは、例えば図5に示す熱処理パターンで鋳抜ピン10の第1部位11を725〜740℃で11分間加熱した後、放冷することにより焼戻しを施す。本工程は、誘導加熱コイルを使用して行う誘導加熱により実行することができる。
図6は、第2焼戻し工程S4において扁平糸巻き型の誘導加熱コイル24を使用する場合を表す。図7は、図6の線VII−VIIに沿った矢視図であり、図8は、図6の線VIII-VIIIに沿った断面図である。誘導加熱コイル24は、高周波通電により高周波交番磁界を発することが可能な電磁誘導作用端部24Aを有する。電磁誘導作用端部24Aは、コア24aと、この周囲に巻かれた導線24bとを有する。コア24aは、通電時に導線24bにて発生する所定の磁束を集中させるための部材であり、円盤形状の強磁性体よりなる。導線24bは、円盤形状のコア24aの周囲に扁平糸巻き状に巻かれ、中空管構造を有し、例えば銅よりなる。図9は、導線24bの扁平糸巻き型の巻き形状を模式的に表す斜視図である。また、電磁誘導作用端部24Aにおいて、導線24bに対してコア24aは図6中下方に偏位している。このような偏位配置は、誘導加熱コイル24の駆動時において電磁誘導作用端部24Aの図6中下方に強い磁界を発生させるうえで好適である。
第2焼戻し工程S4で誘導加熱コイル24を使用する場合、図6に示すように誘導加熱コイル24を鋳抜ピン10の冷却穴13に挿入し、その電磁誘導作用端部24Aを鋳抜ピン10の第1部位11に対向配置させる。そして、導線24bに高周波通電し、電磁誘導作用端部24Aの近傍にて生ずる高周波交番磁界の電磁誘導作用により、第1部位11に渦電流を生じさせてジュール熱を発生させる。通電時には、中空の導線24bには冷却水が通流される。このような加熱手法により、図5を参照して上述した条件で第1部位11を加熱する。このような誘導加熱によると、鋳抜ピン10において第1部位11を集中的に加熱することができ、第1部位11の靱性を適切に高めることができる。また、扁平糸巻き型の誘導加熱コイル24を使用して第2焼戻し工程S4を行うと、第1部位11の中央部を周縁部より高温に加熱することができる。例えばこのような焼戻し手法により、第2焼戻し工程S4では、鋳抜ピン10の第1部位11の硬度が、ロックウェル硬さHRCで例えば30〜40まで局所的に低下される。
図10は、第2焼戻し工程S4において渦巻き型の誘導加熱コイル25を使用する場合を表す。図11は、図10の線XI−XIに沿った矢視図である。誘導加熱コイル25は、高周波通電により高周波交番磁界を発することが可能な電磁誘導作用端部25Aを有する。電磁誘導作用端部25Aは、コア25aと、これに近接配置された導線25bとを有する。コア25aは、通電時に導線25bにて発生する所定の磁束を集中させるための部材であり、円環形状の強磁性体よりなる。導線25bは、図11に示すような渦巻き状に巻かれた部位を有し、当該渦巻き部は、コア25aの図10中下方に配されている。また、導線25bは、中空管構造を有し、例えば銅よりなる。
第2焼戻し工程S4で誘導加熱コイル25を使用する場合、図10に示すように誘導加熱コイル25を鋳抜ピン10の冷却穴13に挿入し、その電磁誘導作用端部25Aを鋳抜ピン10の第1部位11に対向配置させる。そして、導線25bに高周波通電し、電磁誘導作用端部25Aの近傍にて生ずる高周波交番磁界の電磁誘導作用により、第1部位11に渦電流を生じさせてジュール熱を発生させる。通電時には、中空の導線25bには冷却水が通流される。このような加熱手法により、図5を参照して上述した条件で第1部位11を加熱する。このような誘導加熱によると、鋳抜ピン10において第1部位11を集中的に加熱することができ、第1部位11の靱性を適切に高めることができる。また、渦巻き型の誘導加熱コイル25を使用して第2焼戻し工程S4を行う場合、第1部位11の周縁部を中央部より高温に加熱することができる。例えばこのような焼戻し手法により、第2焼戻し工程S4では、鋳抜ピン10の第1部位11の硬度が、ロックウェル硬さHRCで例えば30〜40まで局所的に低下される。
以上のようにして、第1部位11が第2部位12よりも高靱性(低硬度)であり且つ第2部位12が第1部位11よりも高硬度である鋳抜ピン10を製造することができる。
上述のようにして製造された鋳抜ピン10を備えるダイカスト金型Xを使用して行う鋳造作業では、例えば、以下の型締め工程、鋳込み工程、冷却工程、および型開き工程を、順次行う。
型締め工程では、可動型22を変位させ、図1に示すように固定型21および可動型22を締め合わす。また、鋳抜ピン10を、可動型22の挿通孔22aに沿って摺動させて、所定の凹部形成位置まで進出させる。ここで、凹部形成位置とは、鋳抜ピン10におけるキャビティCへの突出部分が、目的鋳造品(図示略)において所望の凹部を形成するための位置である。このようにして、ダイカスト金型X内にキャビティCを形成する。
鋳込み工程では、溶融状態にある金属材料(例えばアルミニウム合金)をキャビティCに鋳込む。具体的には、図外のルツボで溶融された金属材料(溶湯)を、キャビティCに連通するように例えば固定型21に形成された図外の湯口を介してキャビティCに流し込み、所定の圧力で充填する。溶湯温度は例えば650℃である。また、本工程では、鋳抜ピン10の冷却穴13に、図外の冷却水供給装置から導入管23を介して冷却水を導入することにより、当該鋳抜ピン10を冷却し続ける。冷却水温度は例えば室温である。
冷却工程では、上記鋳込み工程においてキャビティCに充填された金属材料が充分に硬化するまで冷却する。また、本工程後、鋳抜ピン10の冷却穴13への冷却水の導入を停止する。
型開き工程では、鋳抜ピン10を所定の位置まで退避させたうえで、可動型22を固定型21から離隔して型開きする。そして、成形された鋳造品をダイカスト金型Xから取り出す。以上の一連の工程により、所望の鋳造品を製造することができる。
上述の鋳込み工程では、鋳抜ピン10における第1部位11の外面11aは高温(例えば650℃)の溶湯に曝され、第1部位11の内面11bには、導入管23の導出口23aから吐出される低温(例えば室温)の冷却水が直接打ち付けられる。そのため、鋳込み工程中、第1部位11における外面11aの側と内面11bの側との温度差は相当程度に大きく、第1部位11の肉厚内には急激な温度勾配が生じる。したがって、鋳抜ピン10を含むダイカスト金型Xにおいて上述の一連の鋳造作業を繰り返し行うと、第1部位11内には、外面11aおよび内面11bの間の大きな温度差ないし急激な温度勾配に起因して熱応力(引張応力および圧縮応力)が繰り返し発生することとなる。本発明に係る鋳抜ピン10では、使用時においてこのような急激な温度勾配が生じ得る第1部位11が、上述のように第2部位12よりも高靭性に設定されているため、当該第1部位11において、使用時に熱応力(引張応力および圧縮応力)が繰り返し作用することに起因する割れの発生を抑制することができる。これとともに、鋳抜ピン10では、第2部位12が上述のように第1部位11よりも高硬度に設定されているため、ピン全体として充分な強度ないし剛性を確保することができる。第2部位12においてもその内外面間で温度勾配が生ずるが、第1部位11よりも第2部位12は厚く且つ導出口23aから遠くに位置するため、第2部位12における温度勾配は第1部位11における温度勾配より緩やかであり、第2部位12内に生ずる熱応力は第1部位11内に生ずる熱応力より小さい。
このように、本発明に係る冷却穴付きの鋳抜ピン10においては、ピン全体として充分な強度を確保しつつ冷却穴近傍における割れの発生を抑制することができるのである。
以上、本発明の具体的な実施形態を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、発明の思想から逸脱しない範囲内で種々な変更が可能である。
例えば、上述の実施形態の鋳抜ピン10では、第1部位11全体を低硬度(高靱性)に設定したが、本発明に係る鋳抜ピン10はこれには限られず、例えば図12に示すように、第1部位11内に、低硬度部11A(図12にてクロスハッチを付して表す)および高硬度部11Bを設けてもよい。低硬度部11Aは、第1部位11の肉厚方向における冷却穴13側の部分であり、そのロックウェル硬さHRCは30〜35である。低硬度部11Aの深さDは、第1部位11の厚さT1の例えば20〜50%である。高硬度部11Bは、第1部位11の肉厚方向におけるキャビティC側の部分であり、そのロックウェル硬さHRCは45〜47(第2部位12と同様)である。本発明では、鋳抜ピン10において局所的に高靭性な部位について、このような構成を採用してもよい。このような構成によっても、鋳抜ピン10において、ピン全体として充分な強度を確保しつつ冷却穴近傍における割れの発生を抑制することができる。
また、上述の実施形態の鋳抜ピン10では、冷却穴13の底を規定する第1部位11を低硬度(高靱性)に設定したが、本発明に係る鋳抜ピン10はこれには限られず、例えば図13に示すように、冷却穴13の側壁を規定する第2部位12が、第2部位12における他の部位よりも薄肉であり且つ第1部位11よりも薄肉である薄肉部12a(図13にてクロスハッチを付して表す)を有する場合には、当該薄肉部12aの肉厚方向の全体または一部を低硬度部に設定し、第2部位12のその他の部位および第1部位11を高硬度部に設定してもよい。この場合、低硬度部(薄肉部12aの全体または一部)のロックウェル硬さHRCは30〜35であり、高硬度部(第1部位11,第2部位12における薄肉部12a以外の部位)のロックウェル硬さHRCは45〜47である。本発明では、鋳抜ピン10において局所的に高靭性な部位について、このような構成を採用してもよい。一般に、鋳抜ピンにおいて周囲よりも薄肉の部位には、熱応力が繰り返し作用することにより割れが発生しやすいところ、本変形例の構成によると、鋳抜ピン10において、ピン全体として充分な強度を確保しつつ薄肉部12aにおける割れの発生を抑制することができる。
このような本変形例の鋳抜ピン10を製造する過程における上述の第2焼戻し工程S4では、薄肉部12aを局所的に誘導加熱することが可能な誘導加熱コイルを使用するのが好ましい。図14は、そのような誘導加熱コイル26について、電磁誘導作用端部の導線の巻き形状を模式的に表す。本変形例の鋳抜ピン10の製造過程における第2焼戻し工程S4で誘導加熱コイル26を使用する場合には、例えば、誘導加熱コイル26を鋳抜ピン10の冷却穴13に挿入し、電磁誘導作用端部の銅線が円環状の薄肉部12aに沿うように誘導加熱コイル26を配置する。そして、導線に高周波通電し、電磁誘導作用端部の近傍にて生ずる高周波交番磁界の電磁誘導作用により、薄肉部12aに渦電流を生じさせてジュール熱を発生させる。このように第2焼戻し工程S4を実行することにより、薄肉部12aを局所的に低硬度(高靱性)に設定して本変更例の鋳抜ピン10を適切に製造することができる。
本発明に係る冷却穴付き鋳抜ピンを備えるダイカスト金型の部分断面図である。 本発明に係る鋳抜ピン製造方法のフローチャートである。 焼入れ工程における熱処理パターンの一例を示す図である。 第1焼戻し工程における熱処理パターンの一例を示す図である。 第2焼戻し工程における熱処理パターンの一例を示す図である。 第2焼戻し工程において扁平糸巻き型の誘導加熱コイルを使用する場合の要部拡大断面図である。 図6の線VII-VIIに沿った矢視図である。 図6の線VIII−VIIIに沿った断面図である。 図6に示す扁平糸巻き型誘導加熱コイルの導線の扁平糸巻き型の巻き形状を模式的に表す斜視図である。 第2焼戻し工程において渦巻き型の誘導加熱コイルを使用する場合の要部拡大断面図である。 図10の線X-Xに沿った矢視図である。 図1に示す冷却穴付き鋳抜ピンの変形例の部分断面図である。 図1に示す冷却穴付き鋳抜ピンの変形例の部分断面図である。 図13の鋳抜ピン変形例の製造過程において第2焼戻し工程を行う際に使用することのできる誘導加熱コイルの、電磁誘導作用端部における銅線の巻き形状を模式的に表す斜視図である。 従来の冷却穴付き鋳抜ピンを備えるダイカスト金型の部分断面図である。
符号の説明
X,X’ ダイカスト金型
10 鋳抜ピン
11 第1部位
12 第2部位
13 冷却穴
23 導入管
23a 冷却媒体導出口
24,25 誘導加熱コイル

Claims (5)

  1. 冷却媒体を流すための冷却穴を有する鋳抜ピンであって、
    相対的に低硬度の第1部位および相対的に高硬度の第2部位を有し、
    前記第1部位は、前記第2部位よりも薄肉である、冷却穴付き鋳抜ピン。
  2. 前記第1部位は、前記冷却穴の底を規定する部位である、請求項1に記載の冷却穴付き鋳抜ピン。
  3. 冷却媒体を流すための冷却穴を有する鋳抜ピンの全体に焼入れを施す工程と、
    前記鋳抜ピンの全体に焼戻しを施す第1焼戻し工程と、
    前記鋳抜ピンにおいて前記冷却穴を規定する部位の薄肉部に更に焼戻しを施す第2焼戻し工程と、を含む、冷却穴付き鋳抜ピンの製造方法。
  4. 前記第2焼戻し工程では、前記鋳抜ピンにおいて前記冷却穴の底を規定する部位に焼戻しを施す、請求項3に記載の冷却穴付き鋳抜ピンの製造方法。
  5. 前記第2焼戻し工程における焼戻しは、誘導加熱により行う、請求項3または4に記載の冷却穴付き鋳抜ピンの製造方法。
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