JP5626511B2 - 入子のヒートクラック及び割れ防止方法 - Google Patents
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Description
この方法によると、溶湯及び冷却水による高低温度変化によって、入子内部に引張応力及び圧縮応力が発生するため、ヒートクラックが発生し、さらに、ヒートクラックが徐々に拡大して割れが発生しがちであった。
特許文献1は、入子の型彫り面の硬度を高めて型彫り面の寿命を向上させ、かつ、入子の型彫り面から厚さ方向(深さ方向又は鉛直下方)に向けて高い硬度から低い硬度に変化させる方法を開示する。
また、図13に示す方法がある。同方法によれば、入子1Aの全体に矢印の方向にプレス機(不図示)で圧縮荷重をかけることで入子1Aを同方向に沿って塑性変形(鎖線のところまで変形)させながら、圧縮残留応力を予め付与して、溶湯を入子の型彫り面1Atに鋳込み、ダイカスト品を鋳造できる。
以下、本発明の態様を示し、それらについて説明する。なお、(1)項から(3)項が、請求項1から請求項3に対応する。
前記入子の前記型彫り面から前記水冷孔の先端部を含む所定距離(L+ΔL)までの部分の降伏ひずみを前記ダイカスト金型による鋳造時に前記入子に生じる熱ひずみよりも大きくし、前記入子の前記型彫り面から前記所定距離(L+ΔL)よりも離れた部分の降伏ひずみを前記ダイカスト金型による鋳造時に前記入子に生じる熱ひずみよりも小さくし、
前記ダイカスト金型による鋳造時に前記入子に生じる熱ひずみによって、前記入子の前記型彫り面から前記所定距離(L+ΔL)よりも離れた部分に圧縮残留ひずみを生じさせることを特徴とする入子のヒートクラック及び割れ防止方法。
本項によれば、溶湯鋳込み前の、入子の金属物性に関し、明確な指標を示すことができる。入子製造側は、本項で規定する上記関係を満たすように入子を製造すればよい。その結果、従来発生しがちであった、入子のヒートクラック及び割れを防止できる。
前記入子の前記型彫り面から前記水冷孔の先端部を含む所定距離(L+ΔL)までの部分の降伏ひずみを前記入子の前記型彫り面から前記所定距離(L+ΔL)よりも離れた部分の降伏ひずみよりも大きくし、
前記入子に対して、前記型彫り面から前記所定距離(L+ΔL)までの部分にその降伏ひずみ未満の圧縮ひずみが生じ、かつ、前記型彫り面から前記所定距離(L+ΔL)よりも離れた部分にその降伏ひずみに達する圧縮ひずみが生じる大きさの圧縮荷重を付与することを特徴とする入子のヒートクラック及び割れ防止方法。
以下、第1実施形態を、図1の製造フローの工程順に説明する。
図2は、第1実施形態で準備する入子1の断面図である。工程S1では、図2に示される入子1として、例えば、熱間工具鋼、低炭素鋼等の金属材料を準備する。
[入子粗加工及び水冷孔加工工程;S2]
図2に示されるように、第1実施形態では、入子1の断面は、上半分部1Aが断面台形状の凸部(切頭コーン状部)を形成し、下半分部1Bが円板形状である。
工程S3及び工程S4は、入子全体への熱処理工程である。より具体的には、例えば特許文献1に開示されているような公知の焼入れ処理及び焼き戻し処理を入子1の全体に施せばよい。
[入子の再焼き戻し工程;S5]
工程S5では、従来方法と異なる入子1の熱処理(再焼き戻し)を行う。すなわち、以下に示すヒートクラック及び割れを確実に防止できる指標に従い、入子1に熱処理を行う。
なお、ヒートクラックを防止できれば、割れは必然的に防止できるので、以降の説明では、ヒートクラックの防止に焦点を当てて説明する。
図3に示されるように、熱処理装置2は、例えば、公知のソルト浴槽3(ソルト浴4)を含み、かつ、図示しないヒータ手段によってソルト浴4の浴温を一定値に加熱・維持する。
そして、図示しない搬送手段によって鉛直上方から入子1を吊り下げながら、下面1uの方からソルト浴4に入子1を浸すように入浴させ、目的とする熱処理を行う。
このとき、第1実施形態では、図3に示すように、ソルト浴4への入子1の浸漬深さは、入子外面である型彫り面1sの頂部1tから水冷孔1Hまでの距離Lよりも長い、距離(L+ΔL)の位置、すなわち、型彫り面1sから水冷孔1Hの先端部を含む所定距離(L+ΔL)までの部分が浸漬されないように設定する。
そして、図4のグラフに示された指標に従って、この(L+ΔL)の位置で、入子1中の金属物性に関し、後述するように、熱ひずみεhと降伏ひずみεyの大小関係が逆転するような熱処理条件を設定する。
本実施形態では、従来は使用しなかった、図4のグラフに示す明確な指標を満たすように、入子1に熱処理(再焼き戻し処理)を行う。そのため、入子1に発生しがちであったヒートクラックを確実に防ぐことができるようになる。
工程S5で得られた熱処理後の入子1を乾燥した後、入子1の面に対し、例えばショットブラストで表面仕上げを行い、圧縮空気でブラスタ粉を十分に除去し、さらに、必要な脱脂、水洗、乾燥等を行い、入子1を得る。
次に、この入子1を用いて、ダイカスト品を作製する具体例を、図5及び図6を参照しながら、以下説明する。
図5は、図7に示すような断面が切頭台形状の空間部10Hを備えたダイカスト品10を鋳造するためのダイカスト金型装置(金型構造体)5の概略断面図である。
図5に示すように、ダイカスト金型装置5は、いわゆるスクイズダイカスト用のものであって、上述の入子1を下型として、断面コ型状の第1主型6に嵌合・固定し、第1主型6の上端面6tにスライド金型7L、7Rを配置・固定する。図示しないが、スライド金型は、図4の紙面の奥行き側、紙面の手前側にも配置され(参照番号7B、7Fとする)、スライド金型7L、7R、7B、7Fが、鋳込まれるべき溶湯が凝固したダイカスト品を水平方向の四方面からスライド金型7L、7R、7B、7Fで取り囲むように配置される。
しかし、第1実施形態の入子1は、明確な指標の下、熱処理されるためヒートクラック発生を防止することができる。
図4(a)は、縦軸を、入子1の底面1tから鉛直方向に向かう距離(深さ)lをパラメータとし、横軸を、入子1の内部のひずみεをパラメータとするグラフである。
図4(a)に示されるように、距離(深さ)lが頂部1tから(L+ΔL)までの間では、鋳造時に発生する熱ひずみεhよりも、降伏ひずみεyが大きくなるように設定する。
その結果、図5、図6が示すダイカスト鋳造の際、入子1以外の金型に入子1の熱膨張が拘束されたとき、図4(b)のグラフが示すように、入子1の深さ方向途中から、残ひずみが発生するようになる。さらに、残歪みの分布より、図4(c)に示すように、型彫り面1sから離れた側に圧縮残留ひずみが発生し、ヒートクラック(ひいては割れ)によ
る水冷孔1Hからの水漏れを防止できる。また、入子1の、水冷孔1Hの先端以下の箇所、(L+ΔL)の位置にも残留圧縮応力を付与することができるため、従来発生しがちであった水冷孔1Hの先端からのヒートクラックを防止できる。
第2実施形態は、第1実施形態と同様の入子準備工程と、熱処理工程を含み、さらに、これらの工程後の入子1に、溶湯からの熱が伝達される主方向(鉛直方向)に対して垂直な方向に沿って圧縮荷重をプレス機(油圧シリンダ)によって均等に負荷し残留応力を予め内在させてさらにヒートクラック、割れの発生の防止を万全とする入子の製造形態を例示する。
以下、[入子準備工程]及び[熱処理工程]は、第1実施形態と同様であるため、これらの工程の説明は省略し、熱処理工程の後に行われる[残留応力付与工程]について説明する。
図9は、第1実施形態の[入子準備工程]及び[熱処理工程]によって得られた入子1に、矢印L、Rの矢先が指す方向に沿って、プレス機で圧縮荷重を負荷し溶湯鋳込み前の入子1を塑性変形させる形態を説明する概略断面図である。ただし、これによって付与される圧縮ひずみは、最大降伏ひずみ未満、すなわち、型彫り面1sから距離(L+ΔL)までの部分の降伏ひずみよりも小さくする。例えば、圧縮荷重は、あまり小さいと必要な圧縮ひずみを入子に付与することができず、一方、あまり大きいと入子が破壊するおそれが高まるため入子を構成する金属種や熱処理後の金属物性次第で好適範囲を適宜することが好ましい。
Claims (3)
- 型彫り面及び水冷孔を有し、ダイカスト金型内にセットしてキャビティを形成する入子のヒートクラック及び割れを防止する方法であって、
前記入子の前記型彫り面から前記水冷孔の先端部を含む所定距離(L+ΔL)までの部分の降伏ひずみを前記ダイカスト金型による鋳造時に前記入子に生じる熱ひずみよりも大きくし、前記入子の前記型彫り面から前記所定距離(L+ΔL)よりも離れた部分の降伏ひずみを前記ダイカスト金型による鋳造時に前記入子に生じる熱ひずみよりも小さくし、
前記ダイカスト金型による鋳造時に前記入子に生じる熱ひずみによって、前記入子の前記型彫り面から前記所定距離(L+ΔL)よりも離れた部分に圧縮残留ひずみ生じさせることを特徴とする入子のヒートクラック及び割れ防止方法。 - 型彫り面及び水冷孔を有し、ダイカスト金型内にセットしてキャビティを形成する入子のヒートクラック及び割れを防止する方法であって、
前記入子の前記型彫り面から前記水冷孔の先端部を含む所定距離(L+ΔL)までの部分の降伏ひずみを前記入子の前記型彫り面から前記所定距離(L+ΔL)よりも離れた部分の降伏ひずみよりも大きくし、
前記入子に対して、前記型彫り面から前記所定距離(L+ΔL)までの部分にその降伏ひずみ未満の圧縮ひずみが生じ、かつ、前記型彫り面から前記所定距離(L+ΔL)よりも離れた部分にその降伏ひずみに達する圧縮ひずみが生じる大きさの圧縮荷重を付与することを特徴とする入子のヒートクラック及び割れ防止方法。 - 前記入子の全体を焼き入れした後、前記入子の前記型彫り面から前記所定距離(L+ΔL)よりも離れた部分をソルト浴して焼き戻すことにより、前記入子の降伏ひずみを設定することを特徴とする請求項1又は2に記載の入子のヒートクラック及び割れ防止方法。
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