JP5626511B2 - 入子のヒートクラック及び割れ防止方法 - Google Patents

入子のヒートクラック及び割れ防止方法 Download PDF

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Description

本発明は、入子に溶湯を鋳込むと、入子に発生しうるヒートクラック及び割れ防止方法に関し、さらに詳細には、溶湯が直接鋳込まれる、入子のヒートクラック及び割れ防止方法に関する。
ダイカスト金型の内、主型に嵌合された、型彫り面(ダイカスト品の外形に対応するキャビティ面)を備える内型(以下「入子」という)があり、この面に溶湯が鋳込まれる。このとき、スライド金型によって適宜圧力をプレス機により負荷し水冷孔を循環する水で冷却して溶湯を凝固させてダイカスト製品を得る。
この方法によると、溶湯及び冷却水による高低温度変化によって、入子内部に引張応力及び圧縮応力が発生するため、ヒートクラックが発生し、さらに、ヒートクラックが徐々に拡大して割れが発生しがちであった。
ヒートクラックや割れが発生すると、水冷孔と入子の溶湯を受けた面との間に水路が通じ、ついには入子寿命が尽きる。その後、入子を交換し、かつ、入子交換のためのラインを停止しなければならないためコスト高となる。そのため、ヒートクラック及び割れを防止する方法を確立する要請があった。
かかる要請に応える同方法が、例えば、特許文献1に開示されている。
特許文献1は、入子の型彫り面の硬度を高めて型彫り面の寿命を向上させ、かつ、入子の型彫り面から厚さ方向(深さ方向又は鉛直下方)に向けて高い度から低い硬度に変化させる方法を開示する。
また、図13に示す方法がある。同方法によれば、入子1Aの全体に矢印の方向にプレス機(不図示)で圧縮荷重をかけることで入子1Aを同方向に沿って塑性変形(鎖線のところまで変形)させながら、圧縮残留応力を予め付与して、溶湯を入子の型彫り面1Atに鋳込み、ダイカスト品を鋳造できる。
特開平4−367360号公報
しかし、特許文献1の方法では、入子の硬度が入子内に発生する熱歪みに起因する力より小さいときは、型彫り面は硬化されない。そのため、型彫り面から水冷孔に通じる箇所にヒートクラックが発生してしまう。また、入子の硬度が少なくとも水冷孔の先端まで高くなければ水冷孔に通じるヒートクラックが発生してしまう。
また、同文献の方法では、ヒートクラック及び割れ防止のために、入子の硬度の設定方法や硬度分布の付与方法の明確な指標がなく、入子硬度をどのように具体的に付与するか不明確である。そのため、硬度付与の自動制御が難しい。仮に入子硬度付与の自動制御を誤ると、型彫り面側の硬度が高くなりすぎ、後工程における入子の加工がしづらくなり加工コストがかかる弊害もある。
さらに、図13に示す従来の方法では、入子1Aへのプレス機からの応力集中部のみに残留応力が発生しがちでヒートクラック発生の要因となるため好ましくない。すなわち、油圧シリンダからの圧力をスライド金型を通じて入子に単に負荷するだけでは入子に引張残留応力が内在し、かえって、ヒートクラックや引け巣等の不具合が発生し好ましくない。併せて、同方法では、この不具合を防止するために引張力を加えようとすると追加設備が必要となり、また、追加設備を設置したとしても荷重の掛け方が難しくなり好ましくない。
本発明者は、上記不具合を鋭意検討した結果、水冷孔を含む入子の型彫り面に溶湯が鋳込まれると発生する新たな応力によって、入子の型彫り面から水冷孔に通じるヒートクラック及び割れが発生する現象を防止できる方法を見出した。
本発明は、以上を鑑み、水冷孔を含む入子の寿命を向上させるための明確な指標を定めることで、溶湯を入子の型彫り面に流している間、同面から水冷孔に通じるヒートクラック及び割れの発生を防止することを目的とする。
(発明の態様)
以下、本発明の態様を示し、それらについて説明する。なお、(1)項から(3)項が、請求項1から請求項3に対応する。
(1)型彫り面及び水冷孔を有し、ダイカスト金型内にセットしてキャビティを形成する入子のヒートクラック及び割れを防止する方法であって、
前記入子の前記型彫り面から前記水冷孔の先端部を含む所定距離(L+ΔL)までの部分の降伏ひずみを前記ダイカスト金型による鋳造時に前記入子に生じる熱ひずみよりも大きくし、前記入子の前記型彫り面から前記所定距離(L+ΔL)よりも離れた部分の降伏ひずみを前記ダイカスト金型による鋳造時に前記入子に生じる熱ひずみよりも小さくし、
前記ダイカスト金型による鋳造時に前記入子に生じる熱ひずみによって、前記入子の前記型彫り面から前記所定距離(L+ΔL)よりも離れた部分に圧縮残留ひずみを生じさせることを特徴とする入子のヒートクラック及び割れ防止方法。
入子には、通常、溶湯鋳込みによるヒートショックを防ぐため水冷孔が設けられている。しかし、単に水冷孔を設けても、入子にヒートクラック、割れが発生してしまう。
本項によれば、溶湯鋳込み前の、入子の金属物性に関し、明確な指標を示すことができる。入子製造側は、本項で規定する上記関係を満たすように入子を製造すればよい。その結果、従来発生しがちであった、入子のヒートクラック及び割れを防止できる。
(2)型彫り面及び水冷孔を有し、ダイカスト金型内にセットしてキャビティを形成する入子のヒートクラック及び割れを防止する方法であって、
前記入子の前記型彫り面から前記水冷孔の先端部を含む所定距離(L+ΔL)までの部分の降伏ひずみを前記入子の前記型彫り面から前記所定距離(L+ΔL)よりも離れた部分の降伏ひずみよりも大きくし、
前記入子に対して、前記型彫り面から前記所定距離(L+ΔL)までの部分にその降伏ひずみ未満の圧縮ひずみが生じ、かつ、前記型彫り面から前記所定距離(L+ΔL)よりも離れた部分にその降伏ひずみに達する圧縮ひずみが生じる大きさの圧縮荷重を付与することを特徴とする入子のヒートクラック及び割れ防止方法。
本項は、(1)項と同様、本項によれば、従来発生しがちであった、入子のヒートクラック及び割れを防止できる。
(3)(1)項又は(2)項において、前記入子の全体を焼き入れした後、前記入子の前記型彫り面から前記所定距離(L+ΔL)よりも離れた部分をソルト浴して焼き戻すことにより、前記入子の降伏ひずみを設定することを特徴とする入子のヒートクラック及び割れ防止方法。
本発明によれば、入子に発生しうるヒートクラック及び割れを防ぎ、入子を長寿命化できる。
第1実施形態における入子の製造フロー図である。 第1実施形態で熱処理される入子の概略断面図である。 第1実施形態で、図4の指標に従い入子に熱処理する際の一例を示す概略断面図である。 第1実施形態で、溶湯鋳込みの際に、入子にヒートクラック及び割れが発生しないような入子内の金属物性に係る指標を示すグラフである。 入子を上型、下型等他の必要な金型に配置し、ダイカスト品を製造する際の一例を示す概略断面図である。 入子を上型、下型等の必要な金型に配置し、ダイカスト品を製造する際の一例を示す図5に続く概略断面図である。 本実施形態によって製造されるダイカスト品の立面図である。 第2実施形態で、入子に圧縮荷重を付与する際の指標を示すグラフである。 第2実施形態で、入子に圧縮荷重を付与する方法の一例を示す概略断面図である。 非単純形状のダイカスト品の立面図を示す。 非単純形状のダイカスト品を鋳造するための入子の概略断面である。 図4に示した指標に基づく金属物性を入子に付与する方法の一例を示す概略断面図である。 従来技術の一例を示す概略断面図である。
以下、本発明の実施の形態(「本実施形態」という)を、図1から図9を参照しながら説明する。ただし、本発明に係る入子は、本実施形態の材質、形状、大きさ等に限定されるものではない。すなわち、本実施形態に係る入子及びこの入子のヒートクラック及び割れを防ぐ方法は、本発明の要旨を逸脱することなく、当業者により、適宜、修正、改変等が可能である。
<第1実施形態> 第1実施形態は、入子準備工程及び熱処理工程を含み、これらの工程で実施される手段によって、図のグラフのひずみ特性を備えた単純形状の入子1を製造する形態を例示する。
以下、第1実施形態を、図1の製造フローの工程順に説明する。
なお、本実施形態では、説明の便宜のため入子を単純形状とし、水冷孔を1つとした。しかし、実際には、タイヤのホイールのような非単純形状のダイカスト品を鋳造する際に用いられる入子は、非単純形状の型彫り面を冷却するためには、必然的に2つ以上の複数の水冷孔を適正な位置に配置し、ヒートクラックを防止する。係る場合の形態は後述する。
[入子材料の準備工程;S1]
図2は、第1実施形態で準備する入子1の断面図である。工程S1では、図に示される入子1として、例えば、熱間工具鋼、低炭素鋼等の金属材料を準備する。
[入子粗加工及び水冷孔加工工程;S2]
図2に示されるように、第1実施形態では、入子1の断面は、上半分部1Aが断面台形状の凸部(切頭コーン状部)を形成し、下半分部1Bが円板形状である。
また、入子1は、1つの水冷孔1Hを、入子1の略中央に、下面1uから、同面1uに対して垂直に延在し、かつ上半分部1Aの略中間位まで存在するように常法により機械加工される。また図示しないがこの水冷孔1Hの略垂直方向(又は斜め方向)に、流体接続用孔を形成するようにしてもよい。かかる流体接続用孔を形成すると、水冷孔1H内に予め存在するエアを流体接続用孔から抜くことができ、入子をソルト浴(後述)に一定深さまで浸漬し易くし、さらには、冷却水の循環路としても使用できる。また、(L+ΔL)の位置を基準に流体接続用孔を形成するようにして、(L+ΔL)の位置と後述のソルト浴面との位置決めに利用してもよい。
[入子全体の焼き入れ工程;S3]及び[入子全体の焼き戻し工程;S4]
工程S3及び工程S4は、入子全体への熱処理工程である。より具体的には、例えば特許文献1に開示されているような公知の焼入れ処理及び焼き戻し処理を入子1の全体に施せばよい。
[入子の再焼き戻し工程;S5]
工程S5では、従来方法と異なる入子1の熱処理(再焼き戻し)を行う。すなわち、以下に示すヒートクラック及び割れを確実に防止できる指標に従い、入子1に熱処理を行う。
なお、ヒートクラックを防止できれば、割れは必然的に防止できるので、以降の説明では、ヒートクラックの防止に焦点を当てて説明する。
図3は、工程S5で使用する熱処理装置2の概略断面図である。
図3に示されるように、熱処理装置2は、例えば、公知のソルト浴槽3(ソルト浴4)を含み、かつ、図示しないヒータ手段によってソルト浴4の浴温を一定値に加熱・維持する。
そして、図示しない搬送手段によって鉛直上方から入子1を吊り下げながら、下面1uの方からソルト浴4に入子1を浸すように入浴させ、目的とする熱処理を行う。
このとき、第1実施形態では、図3に示すように、ソルト浴4への入子1の浸漬深さ、入子外面である型彫り面1sの頂部1tから水冷孔1Hまでの距離Lよりも長い、距離(L+ΔL)の位置、すなわち、型彫り面1sから水冷孔1Hの先端部を含む所定距離(L+ΔL)までの部分が浸漬されないように設定する。
そして、図4のグラフに示された指標に従って、この(L+ΔL)の位置で、入子1中の金属物性に関し、後述するように、熱ひずみεhと降伏ひずみεyの大小関係が逆転するような熱処理条件を設定する。
本実施形態では、従来は使用しなかった、図4のグラフに示す明確な指標を満たすように、入子1に熱処理(再焼き戻し処理)を行う。そのため、入子1に発生しがちであったヒートクラックを確実に防ぐことができるようになる。
[入子製品の面仕上げ工程;S6]
工程S5で得られた熱処理後の入子1を乾燥した後、入子1の面に対し、例えばショットブラストで表面仕上げを行い、圧縮空気でブラスタ粉を十分に除去し、さらに、必要な脱脂、水洗、乾燥等を行い、入子1を得る。
次に、この入子1を用いて、ダイカスト品を作製する具体例を、図5及び図6を参照しながら、以下説明する。
図5は、図7に示すような断面が切頭台形状の空間部10Hを備えたダイカスト品10を鋳造するためのダイカスト金型装置(金型構造体)5の概略断面図である。
図5に示すように、ダイカスト金型装置5は、いわゆるスクイズダイカスト用のものであって、上述の入子1を下型として、断面コ型状の第1主型6に嵌合・固定し、第1主型6の上端面6tにスライド金型7L、7Rを配置・固定する。図示しないが、スライド金型は、図4の紙面の奥行き側、紙面の手前側にも配置され(参照番号7B、7Fとする)、スライド金型7L、7R、7B、7Fが、鋳込まれるべき溶湯が凝固したダイカスト品を水平方向の四方面からスライド金型7L、7R、7B、7Fで取り囲むように配置される。
このような構成の下、入子1に備わる水冷孔1Hに冷却水を循環させ、入子1を冷却する。さらに、上型8を含む第2主型9Aに、鉛直上方から圧力を負荷しながら、第2主型9Aの下面をスライド金型7L、7R、7B、7Fに当接させると共に、溶湯(例えばアルミニウム溶湯)を入子1、スライド金型7L、7R、7B、7F、並びに上型9Aが形成するキャビティ空間に鋳込んでいきダイカスト品を鋳造することになる。
従来は、入子1の型彫り面1s側では、鋳込まれた溶湯の湯温が高いため、熱ひずみが大きく、一方、入子1の型彫り面1sの反対側では、水冷孔1Hを循環する冷却水の水温が低いため、熱ひずみ小さく、この熱ひずみの差により、入子1の型彫り面1s側に引張残留応力が発生することになり、入子1をこのように実際に鋳造工程に使う際に、入子1にヒートクラックをもたらす応力が内在していた。
しかし、第1実施形態の入子1は、明確な指標の下、熱処理されるためヒートクラック発生を防止することができる。
当該指標を説明するための図4(a)を以下説明する。
図4(a)は、縦軸を、入子1の底面1tから鉛直方向に向かう距離(深さ)lをパラメータとし、横軸を、入子1の内部のひずみεをパラメータとするグラフである。
図4(a)に示されるように、距離(深さ)lが頂部1tから(L+ΔL)までの間では、鋳造時に発生する熱ひずみεhよりも、降伏ひずみεyが大きくなるように設定する。
同時に、図4(a)に示すように、距離(深さ)lが(L+ΔL)より先、すなわち、入子1の型彫り面1sの反対側では、入子1の深さ方向の途中、すなわち(L+ΔL)の位置で降伏ひずみεyと熱ひずみεhの大小関係を逆転させるように設定する。
その結果、図5、図6が示すダイカスト鋳造の際、入子1以外の金型に入子1熱膨張が拘束されたとき、図4(b)のグラフが示すように、入子1の深さ方向途中から、残ひずみが発生するようになる。さらに、残歪みの分布より、図4(c)に示すように、型彫り面1sから離れた側に圧縮残留ひずみが発生し、ヒートクラック(ひいては割れ)によ
る水冷孔1Hからの水漏れを防止できる。また、入子1の、水冷孔1Hの先端以下の箇所、(L+ΔL)の位置にも残留圧縮応力を付与することができるため、従来発生しがちであった水冷孔1Hの先端からのヒートクラックを防止できる。
第1実施形態によれば、明確な指標に基づく入子の熱処理がなされることで、水冷孔を含む入子にヒートクラック、割れが発生する現象を確実に防ぐことができ、ひいては入子寿命を向上させることができる。
<第2実施形態>
第2実施形態は、第1実施形態と同様の入子準備工程と、熱処理工程を含み、さらに、これらの工程後の入子1に、溶湯からの熱が伝達される主方向(鉛直方向)に対して垂直な方向に沿って圧縮荷重をプレス機(油圧シリンダ)によって均等に負荷し残留応力を予め内在させてさらにヒートクラック、割れの発生の防止を万全とする入子の製造形態を例示する。
以下、[入子準備工程]及び[熱処理工程]は、第1実施形態と同様であるため、これらの工程の説明は省略し、熱処理工程の後に行われる[残留応力付与工程]について説明する。
[残留応力付与工程]
図9は、第1実施形態の[入子準備工程]及び[熱処理工程]によって得られた入子1に、矢印L、Rの矢先が指す方向に沿って、プレス機で圧縮荷重を負荷し溶湯鋳込み前の入子1を塑性変形させる形態を説明する概略断面図である。ただし、これによって付与される圧縮ひずみは、最大降伏ひずみ未満、すなわち、型彫り面1sから距離(L+ΔL)までの部分の降伏ひずみよりも小さくする。例えば、圧縮荷重は、あまり小さいと必要な圧縮ひずみを入子に付与することができず、一方、あまり大きいと入子が破壊するおそれが高まるため入子を構成する金属種や熱処理後の金属物性次第で好適範囲を適宜することが好ましい。
第2実施形態によれば、第1実施形態の金属物性に加え、圧縮荷重により降伏ひずみを超える圧縮ひずみが生じることにより、型彫り面1sの側に圧縮残留応力を予め内在させることができる(図8参照)。その結果、水冷孔1Hからのヒートクラックがさらに万全に防止でき、ひいては入子を長寿命にすることができる。
尚、本発明は、上記の本実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、上記の入子1は単純形状のダイカスト品用であったが、より複雑な非単純形状のダイカスト品の場合に関する形態に関し、図10から図12を参照しながら説明する。図10は、非単純形状のダイカスト品を製造するための入子1´の斜視図である。また、図11は、図10を、A−A線で鉛直下方に切断したときの概略断面図である。図11に示されるように、入子1´は、型彫り面1Sが複雑形状となっているため、その頂面の断面に応じ、例えば3つの水冷孔H1、H2及びH3を含むようにする必要がある。ここで、水冷孔H1、H2及びH3の先端面から上端面T1、T2及びT3までの、それぞれの距離(深さ)は、L1、L2及びL3とする。
この場合には図11に示されるように、複雑形状の入子1´について第1及び第2実施形態を適用する場合には、上記(L+ΔL)の位置が最も高い頂面1´Tから最も深い位置にある先端H1Tを含む水冷孔H1の先端からΔLの深さがソルト浴4の浴面4Sから上になるように入子1´を位置決めし、第1で施したと同様の指標に基づいて熱処理を行うようにする。それにより、すべての水冷孔H1、H2及びH3からのヒートクラックを防止できる。なお、かかる場合、上記指標を満たす限り入子1´の形状次第では入子1´を浴面4Sに対して斜めに配置、浸漬させて、浴面が(L+ΔL)の位置になるように設定することも可能である。
1:入子、1s:型彫り面、1H:水冷孔。

Claims (3)

  1. 型彫り面及び水冷孔を有し、ダイカスト金型内にセットしてキャビティを形成する入子のヒートクラック及び割れを防止する方法であって、
    前記入子の前記型彫り面から前記水冷孔の先端部を含む所定距離(L+ΔL)までの部分の降伏ひずみを前記ダイカスト金型による鋳造時に前記入子に生じる熱ひずみよりも大きくし、前記入子の前記型彫り面から前記所定距離(L+ΔL)よりも離れた部分の降伏ひずみを前記ダイカスト金型による鋳造時に前記入子に生じる熱ひずみよりも小さくし、
    前記ダイカスト金型による鋳造時に前記入子に生じる熱ひずみによって、前記入子の前記型彫り面から前記所定距離(L+ΔL)よりも離れた部分に圧縮残留ひずみ生じさせることを特徴とする入子のヒートクラック及び割れ防止方法。
  2. 型彫り面及び水冷孔を有し、ダイカスト金型内にセットしてキャビティを形成する入子のヒートクラック及び割れを防止する方法であって、
    前記入子の前記型彫り面から前記水冷孔の先端部を含む所定距離(L+ΔL)までの部分の降伏ひずみを前記入子の前記型彫り面から前記所定距離(L+ΔL)よりも離れた部分の降伏ひずみよりも大きくし、
    前記入子に対して、前記型彫り面から前記所定距離(L+ΔL)までの部分にその降伏ひずみ未満の圧縮ひずみが生じ、かつ、前記型彫り面から前記所定距離(L+ΔL)よりも離れた部分にその降伏ひずみに達する圧縮ひずみが生じる大きさの圧縮荷重を付与することを特徴とする入子のヒートクラック及び割れ防止方法。
  3. 前記入子の全体を焼き入れした後、前記入子の前記型彫り面から前記所定距離(L+ΔL)よりも離れた部分をソルト浴して焼き戻すことにより、前記入子の降伏ひずみを設定することを特徴とする請求項1又は2に記載の入子のヒートクラック及び割れ防止方法。
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