JP2948047B2 - 水冷穴を有するダイカスト金型の製造方法 - Google Patents

水冷穴を有するダイカスト金型の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、金型内部に水冷穴を有
し、かつ金型の部品によって硬さを調整したダイカスト
金型の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】自動車産業をはじめ、各産業において
は、近年アルミニウム合金の適用が広がって来ている。
アルミニウム合金の加工法の中でダイカスト鋳造法は、
その良好な寸法精度、高生産性、ニアネットシェイプに
よる後加工の削減効果等により広く用いられて来ている
が、最近はアルミホイール、バルブロッカーカバー等の
鋳肌を外装面として用いられる製品への適用が増加して
いる。したがって、鋳造後の鋳肌を良好にするために、
ダイカスト金型のヒートクラック寿命の改善が重要課題
となってきている。また、自動車軽量化の一環として、
ダイカスト製品重量の管理限界を厳しくする動きも出て
きており、ヒートクラックの発生した型面の修正に基づ
くダイカスト製品の重量増加をも制限されようとしてお
り、この面からもヒートクラック抑制が重要となってき
ている。
【0003】ヒートクラック抑制に対しては、型材自体
の高温強度の向上が効果的である。溶湯温度が700℃前
後までの一般アルミ用ダイカストの場合、型面の昇温は
600℃を大きく越えないので、耐ヒートクラック性を高
めるのに必要となるのは600℃前後までの高温強度であ
る。また、スクイズダイカストの場合、溶湯温度は高い
が、溶湯が金型の中心部に設けられた面積の大きいゲー
トから緩やかな速度で層流充填されるため、スクイズダ
イカストにおいては、型面の温度上昇はそれほど大きく
ない。しかし、鋳込時間が長いため、金型中心から外周
部にかけての金型内の温度差が大きくなり易く、熱応力
によるヒートクラックが早期に型の中心部や応力集中を
まねくコーナー部に発生し易い。したがって、スクイズ
ダイカスト型材のヒートクラック対策としては、600℃
前後までの強度向上への取組みが一般のダイカスト型材
にも増して重要なポイントとなる。
【0004】600℃前後までの高温強度は初期硬さの影
響が大きい。したがって、ヒートクラックの抑制が重要
な型では初期硬さを高目に設定することが行なわれて来
ており、HRC50以上の高硬度に熱処理されるダイカスト
型が登場してきている。一方では、近年、鋳造サイクル
の短縮および鋳造品の結晶粒微細化を目的とするため
に、ダイカスト金型内部に水冷穴を加工し、金型全体を
冷却させながら、使用する必要が生じてきている。そし
て、上述したような近年のダイカスト金型に対する要求
に応じるため、特開平4−367360号公報には、金
型の鋳造面となる型彫側の硬度を他の部位の硬度よりも
高め、該金型の鋳造面よりも硬度が低く靭性が高い部位
に冷却水通路を配置したダイカスト金型が開示されてい
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、溶湯を
鋳造する一方で金型内部を水冷することにより、金型表
面から内部にかけて急激な温度勾配が発生し、特に金型
にHRC50以上の高硬度材を使用する場合においては、水
冷穴先端部に使用中の過大な熱応力が発生し、金型の型
彫面(以下、キャビティともいう)からのクラックは入
らないが、水冷穴付近が割れ易くなるため、金型寿命に
限界があった。これは、金型全体の硬さを高くしている
ために、破壊靭性が極度に低下するためである。
【0006】金型内部の水冷穴付近からの割れを防止す
るために、金型の硬さをある程度下げることは効果があ
るが、これでは高硬度材を使用するメリットがなくな
り、金型表面のヒートクラックも発生し易くなって金型
は短寿命となる。本発明の目的は、水冷穴を有する特に
高硬度の熱間工具鋼金型の水冷穴付近の割れを防止する
ためになされたもので、金型表面のヒートクラックを抑
制し、しかも水冷穴付近からの割れを防止したダイカス
ト金型の製造方法を提供することである。ところで、前
述した特開平4−367360号公報には、型彫側の硬
度を他の部位よりも高める方法について、(1)初めに
金型全体の焼入れ焼戻しを行ない、その後裏面11C側
のみソルト炉浸漬を行ない、次に型彫面側を断熱材で覆
い、再焼戻しする方法がある、(2)局部焼入れ方法と
して、金型全体を加熱した後、型彫面側を油冷し、裏面
側を保温剤シールで覆う方法がある、とのみ記載され、
具体的な熱処理方法の開示はない。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者は、水冷穴を有
するダイカスト金型の製造方法について、金型の表面が
高硬度という特徴を活かしつつ、水冷穴周辺からの割れ
を防止する手段を検討した。その結果、金型表面が例え
ばHRC50〜52程度の高硬度に維持され、さらに水冷穴を
有する部分を金型の型彫面側よりも硬さを下げる(例え
ばHRC40〜45程度にする)と、金型表面ではヒートクラッ
クは生じにくく、金型内部は強度的に十分でしかも水冷
穴からの割れが生じにくくなることがわかった。もちろ
ん、金型表面の硬さをHRC50〜55程度の高硬度にするた
めには、金型材質の選択も必要である。
【0008】このような高硬度が得られる材料として
は、例えば重量%で、C 0.3〜0.6%、Si 1.5%以下、Mn
0.1〜1.5%、Cr 4.0〜6.0%、1/2W+Mo(WとMoは1
種以上) 1.8〜5.0%、V 0.5〜2.0%からなる材料、ある
いはこれらの元素以外にCo 0.1〜5.0%、Ni 0.1〜1.5%
を1種または2種添加したような材料が推奨される。さ
らに具体的に言えば、本発明者が開発した熱間工具鋼で
ある、C 0.37%、Si 0.17%、Mn 0.6%、Ni 0.6%、Cr
5.2%、Mo 2.2%、V 0.85%、Co 0.8%の鋼、またはC
0.52%、Si 0.1%、Mn 0.4%、Cr 4.2%、W 1.6%、Mo
2.0%、V 1.15%、Co 0.8%の鋼などが適するものであ
る。後者の鋼を用いれば、十分な靭性を確保しながらHR
C55程度の金型にすることもできる。しかし、本発明は
高硬度材のみに適用されるのではなく、従来から汎用的
に用いられているJIS-SKD61クラスの熱間ダイス鋼にも
広く適用できるものである。
【0009】すなわち、本発明の第1の発明は、金型
型彫面以外に水冷穴を形成後、当該金型に焼入れを施
し、金型の型彫面以外の金型の一部を前記型彫面の焼も
どしに必要な温度よりも高温の熱浴中で焼もどした後、
金型全体を前記熱浴の温度以下で焼もどすことを特徴と
する水冷穴を有するダイカスト金型の製造方法であり、
第2の発明は金型に焼入れを施し、金型の型彫面以外の
金型の一部を前記型彫面の焼もどしに必要な温度よりも
高温の熱浴中で焼もどした後、金型全体を前記熱浴の温
度以下で焼もどした後ダイカスト金型の型彫面以外に水
冷穴を形成することを特徴とするダイカスト金型の製造
方法である。
【0010】本発明は、水冷穴を有するSKD61やS
KD61の改良材である前述の組成のような高硬度が得
られる熱間工具鋼からなるダイカスト金型の使用寿命向
上のため、溶湯と接するキャビティ面をHRC50〜55程度
の高硬度にする一方、水冷穴を有する領域をHRC40〜45
程度の低硬度にするため、水冷穴を有する金型全体を焼
入れした後、低硬度が必要な領域のみ熱伝達係数の高い
熱浴に浸漬して高温で焼もどし、さらに金型全体を最初
の焼もどし温度よりも低温の通常の焼もどしによって所
定の硬さとすることにより、水冷穴を有する領域を金型
表面(型彫側)よりは相対的に軟化させることを骨子と
している。したがって、このような熱処理で得られた金
型は、型彫面の硬さ(約HRC50〜55程度)より、金型中心
部の硬さ(約HRC40〜45程度)の方が低いことを特
徴としている。
【0011】
【作用】本発明が対象にする熱間工具鋼製のダイカスト
金型は、用途に応じ様々な形状のキャビティ面を有す
る。図6は水冷穴を有する金型1の断面模式図を示す上
面図と側面図である。一般に水冷穴2はキャビティ底面
3から30〜60mm程度の距離に鋳型外周部に沿って加工さ
れ、冷却水は矢印の方向に流れる。鋳造された製品のセ
ンターラインから半分が製品4として示されている。実
際の鋳造中は、図7に示すごとく、水冷穴を境界とし
て、例えば断面A−Bでは図7の右図に示すような急激
な温度勾配を生ずるため過大な熱応力が発生し、水冷穴
周辺に割れが発生することがある。このような割れの典
型的な例を図8の上面図に割れ5として、その割れ破面
の状況を破面6として図8に示す。
【0012】このような割れが発生する要因は、キャビ
ティ部の耐ヒートクラック性を向上させるために金型全
体の硬さを高くしていること、それに伴って破壊靭性値
が低下してしまうので、特に過大な熱応力が発生し易い
水冷穴付近で割れが発生し易くなるためと思われる。し
たがって、このような水冷端の割れを防止するために
は、表面硬さを維持しつつ、水冷穴が存在する領域付近
を軟化させて破壊靭性値を十分上げる必要がある。
【0013】したがって、本発明の方法は、金型全体を
焼入れし、必要に応じて仮焼もどしを行なった後、キャ
ビティ部以外の金型の一部を高い温度の熱浴に浸漬して
焼もどしを行ない、型彫面の狙いの硬さよりも低硬度と
し、さらに金型全体を初めの焼もどしの熱浴の温度以下
で焼もどす熱処理を行ない、型彫面が所望の硬さとなる
ようにすると、少なくとも水冷穴を有する領域を軟化す
ることができて、金型表面(型彫面側)は硬さが高く、
水冷穴の部分は、硬さが低い理想的なダイカスト金型が
得られるのである。このような焼もどしを施すことによ
って、冷却用水冷穴を有するダイカスト金型において、
型彫面のミクロ組織が水冷穴を含む部分のミクロ組織よ
り低い焼もどし温度で生成された組織を示すようにな
り、型彫面側は硬さが高く強度に優れ、水冷穴を含む部
分は靭性が高く、ヒートクラックの発生を抑制できる金
型が得られる。
【0014】本発明の方法の特徴は、焼入れ後型彫面側
以外の水冷穴を含む部分をまず、型彫面の焼もどしに必
要な温度よりも高温の熱浴で焼もどすことである。この
一部分の加熱により、われの危険性の高い水冷穴の部分
が十分焼もどされることになる。しかも、この時の金型
底部の部分の加熱の熱が型彫面側にも伝達されて、仮焼
もどし的な効果、あるいは繰り返し焼もどし的な効果を
受けて、焼入れ歪と残留する熱応力や変態応力を緩和で
きるのである。型彫面の熱処理による変形制御は、極め
て重要であることは言うまでもないが、本発明のような
水冷穴を含む金型底部のみの十分な焼もどしを先に行な
うことで型彫面の変形を小さく抑え、しかも水冷穴から
の割れのない靭性の高い金型が得られるという複合効果
が得られるのが本発明の特徴である。そして、型彫面の
硬さを確認しておいて、全体を焼もどす温度を調製して
やれば、所望の型彫面の硬さが得られる。
【0015】熱浴中で型彫面以外の金型底部に対して、
焼もどしを行なうに際しては、型彫面を大気冷却以上の
冷却速度に保っておくことが望ましい。これは、熱浴中
の焼もどし処理の間に、金型内を熱が伝達して必要以上
に金型表面部までも軟化させてしまわないためである。
この手段としては、通常は金型の型彫面(キャビティ
部)を大気中にさらしたまま、熱浴に浸漬する深さを調
整するだけでその目的は達せられる。しかし、水冷穴が
キャビティ底部に極めて近い所にまで加工されている場
合などは、熱浴中の浸漬深さが増大するので、キャビテ
ィ上面から空気や窒素ガスまたはアルゴンガスなどで冷
却してやると、この処理はより確実なものになる。
【0016】前述したように、焼入れ後熱浴中で焼もど
しを行なう際には、型彫面を熱浴より低い温度に保持す
る必要があるが、焼入れままの状態では高い内部応力が
残留しており、材料の組織的にも脆弱で不安定な状態で
ある。したがって、複雑な形状をもったダイカスト金型
を焼入れしたままの状態で放置しておくと割れ、あるい
は寸法変化が起る可能性がある。したがって、焼入れ直
後に焼もどしができない時には、金型全体を仮焼もどし
しておくことが望ましい。仮焼もどしの温度は、金型の
最高硬さが得られる通常の焼もどし温度より少なくとも
30℃程度低い温度で、時間は1Hr程度でよい。このよう
な仮焼もどしは、普通の熱処理作業の場合でも熱処理設
備または作業上の制約により、焼入れ後、すぐに焼もど
し作業が行なえない時には、焼き割れ等の危険性を除い
て作業工程を調製する目的によってしばしば用いられる
手法である。
【0017】熱浴は一般的にソルトと呼ばれている塩浴
を使用することができ、組成によって温度制御ができ
る。本発明の場合は、ダイカスト金型の通常の焼もどし
温度が580℃以下となることが多いので、少なくともこ
の温度以上にしないと水冷穴部の硬さ低下の効果が得ら
れにくいので、熱浴の条件は580℃以上が望ましい。こ
のような熱浴として適正な組成には、例えば30%BaC
l2、30%NaCl、40%KClからなるソルトを用いればよ
い。金型内部に形成する水冷穴の加工は、熱処理の前後
のいずれの時期に行なってもよい。水冷穴を焼なまし状
態で加工する方法は加工は容易であるが、複雑な形状の
水冷穴とする場合には、熱処理時の割れに注意する必要
がある。水冷穴を熱浴中の焼もどし後に加工する方法
は、熱処理時の割れの心配はないが、加工部分の硬さが
HRC40程度であるので、材質によっては時間がかかる加
工となる。したがって、通常のダイカスト金型を製作す
る場合は、熱処理前に穴加工を済ませておく方がよい。
【0018】600℃の熱浴による材料の熱影響部は実験
の結果、約30〜40mm程度であった。すなわち、金型を熱
浴に浸漬した境界から、非浸漬部に向かって約30〜40mm
の範囲は、浸漬しないにもかかわらず、拡散した熱で硬
さが低下してしまう。したがって、実際に熱浴に浸漬す
る深さはキャビティ底部の深さと水冷穴の位置を考慮し
て決定することが必要である。
【0019】
【実施例】以下に本発明の実施例を詳しく説明する。 (実施例1)表1に示す合金組成を有するSKD61および
鋼Aについて図2に示すような水冷穴を有する金型を焼
なまし後に加工した。SKD61および鋼Aの焼もどし
特性は、図3に示す通りであり、鋼AはSKD61より
高硬度で破壊靭性値が高い。ダイカスト金型として必要
なキャビティを加工し、焼入れ(1020℃)した後、図1に
示すようにキャビティ底面から60mmのところまで600℃
の熱浴8に1hr浸漬させた。浸漬中、キャビティ部の温
度上昇を防ぐため、N2を吹き付け、さらに表面温度お
よび水冷穴の温度をそれぞれ放射温度計と熱電対7によ
り測定し、キャビティの表面温度が予定の焼もどし温度
(560℃)の30℃以下であることを確認した。その後、非
浸漬部(型彫部)にHRC51狙いの硬さを与えるため、金
型全体を560℃×2回の焼もどしを施した。
【0020】図4は、焼もどし後の断面C−Dの硬さ分
布を示す図である。図からわかるように、キャビティ表
面部の硬さは両鋼種ともHRC51〜50.7の高硬度を保ち、
水冷穴付近をHRC41〜40.6まで軟化させることが可能に
なった。表2に実際の金型の寿命テストを行なった結果
を比較例の結果と共に示す。比較例とは金型全体の硬さ
は一定で硬さレベルを変化させるのみで、本発明のよう
な熱浴による部分焼もどしを行なわないものである。
【0021】
【表1】
【0022】
【表2】
【0023】いずれの鋼を用いた場合も、金型の硬さが
HRC44程度では、水冷穴周辺の割れはないものの、SKD61
では約7,900〜8,100ショット、鋼Aでは10,100〜12,000
ショットでヒートクラックの発生により、型彫面の修正
が必要になっている。これらの鋼をHRC51前後の硬さに
上げると、いずれの鋼もヒートクラックが発生するまで
に金型内部の水冷穴付近に割れを生じ、5,000ショット
付近で金型を取り替える必要が生じた。本発明を適用し
た金型は水冷穴からの割れを生じることなく、金型表面
のヒートクラック発生までのサイクル数を約2倍に伸ば
すことができ、型彫面の修正などの手入れ回数を大幅に
減らすことができた。すなわち、本発明のダイカスト金
型を用いれば、本発明を適用しない従来の金型と比較し
てヒートクラックの発生も少なく、水冷穴付近の割れも
ないという相乗効果が得られるのである。
【0024】(実施例2)次に、実施例1と同じ形状の
金型について、熱浴中の焼もどしの温度と時間を変えた
例を示す。浸漬位置、温度管理方法および型彫面の冷却
方法は実施例1と同一である。図7に熱浴中の焼もどし
を700℃×20分とした場合の断面C−Dの硬さ分布を示
す。図からわかるように部分焼もどし温度を高めても、
加熱時間を短縮することにより、表面硬さを落さず熱処
理することが可能である。 (実施例3)次に、金型全体を焼もどし後に水冷穴加工
を行なった結果を示す。この焼もどしは、実施例1と同
じ600℃×1hrである。表3に本発明の実施例3による寿
命テストを行なった結果を示す。表より、実施例1と同
様に熱処理の部分的な再焼もどしにより、水冷穴付近の
大割れが解消し、型寿命が最大2倍程度に向上した。穴
加工は焼もどし後に行なっても特に問題はなかった。
【0025】
【表3】
【0026】
【発明の効果】本発明によれば、キャビティ部の十分な
硬さによる耐ヒートクラック性を有するので、型彫面の
修正までの寿命を従来の型の2倍程度に延長でき、金型
の手入回数も減らすことができると共に、従来より問題
となっていた水冷穴部付近の割れを防止することが可能
となるという相乗以上の効果が得られる。また、本発明
によれば、高硬度の材料を使用しても靭性不足による割
れの対策を局部的に行なえるので、将来出現するであろ
う、より高硬度の金型材質にも適用し得る点でその汎用
性が高い発明である。さらに本発明は、焼入れ後型彫面
側以外の水冷穴を含む部分を、型彫面の焼もどしに必要
な温度よりも高温の熱浴で焼もどすことによって、型彫
面側にも若干の熱が伝達されて、仮焼もどし的な効果、
あるいは繰り返し焼もどし的な効果を受けて、焼入れ歪
と残留する熱応力や変態応力を緩和することができて、
焼割れの排除もできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る水冷穴を有するダイカスト金型の
熱浴中焼もどし方法を示す図である。
【図2】本発明の実施例に使用したダイカスト金型の断
面形状を示す図である。
【図3】SKD61および鋼Aの焼もどし特性を示す図であ
る。
【図4】本発明の実施例1による金型の硬さ分布を示す
図である。
【図5】本発明の実施例2による金型の硬さ分布を示す
図である。
【図6】水冷穴を有するダイカスト型金型の上面図と側
面図を示す図である。
【図7】水冷穴を有するダイカスト金型の使用中の温度
分布を模式的に示す図である。
【図8】水冷穴を有するダイカスト型金型の割れと破面
の形態を示す図である。
【符号の説明】
1 金型、2 水冷穴、3 キャビティ底面、4 製
品、5 割れ、6 破面、7 熱電対、8 熱浴
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI B29C 45/26 B29C 45/26 C21D 9/00 C21D 9/00 M

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金型の型彫面以外に水冷穴を形成後、
    当該金型に焼入れを施し、金型の型彫面以外の金型の一
    部を前記型彫面の焼もどしに必要な温度よりも高温の熱
    浴中で焼もどした後、金型全体を前記熱浴の温度以下で
    焼もどすことを特徴とする水冷穴を有するダイカスト金
    型の製造方法。
  2. 【請求項2】 金型に焼入れを施し、金型の型彫面以外
    の金型の一部を前記型彫面の焼もどしに必要な温度より
    も高温の熱浴中で焼もどした後、金型全体を前記熱浴の
    温度以下で焼もどした後ダイカスト金型の型彫面以外
    水冷穴を形成することを特徴とするダイカスト金型の製
    造方法。
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