JP5248384B2 - 重合体の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、オレフィン系重合体セグメントとラジカル重合体セグメントとが化学結合した重合体の製造方法に関する。
オレフィン系重合体セグメントとラジカル重合体セグメントとが化学結合した重合体の製造方法として、アルキルホウ素含有ポリオレフィンのホウ素含有基を過酸化物に変換して、メチルメタクリレートなどのモノマーをラジカル重合させることにより、ブロックポリマーを製造する方法が開示されている(例えば特許文献1を参照)。また、オレフィンと極性基含有モノマーとの共重合体中の極性基、あるいは不飽和結合の変性により得られた極性基含有オレフィン系重合体中の極性基を、ラジカル重合開始剤に変換して、メチルメタクリレートなどの極性基含有モノマーをラジカル重合する方法が開示されている(特許文献2や3を参照)。
近年では、オレフィン系重合体を直接ハロゲン化して得られるハロゲン変性重合体を利用してラジカル重合を行うことにより、オレフィン系重合体セグメントとラジカル重合体セグメントとが化学結合した重合体を製造する方法が報告されている(特許文献4を参照)。
従来のいずれの製造方法でも、分子内に重合開始点を導入したオレフィン系重合体をマクロ開始剤として用いるため、ラジカル重合を実施する前に、オレフィン系重合体へ官能基を導入するプロセスと、さらにはポリマーを分離・精製するなどのプロセスが必要であった。
国際公開第98/02472号パンフレット 特開2004−131620号公報 特開2007−169318号公報 国際公開第2006/088197号パンフレット
本発明は、上記の従来技術に鑑みてなされたものであり、より簡便な方法でオレフィン系重合体セグメントとラジカル重合体セグメントとが化学結合した重合体を製造する方法を提供することを目的とする。具体的には、マクロ開始剤である「分子内に重合開始点を導入したオレフィン系重合体」の製造プロセスを簡略化することで、オレフィン系重合体セグメントとラジカル重合体セグメントとが化学結合した重合体を、工業的に有利な方法で製造することを目的とする。
本発明者らは、該課題を解決すべく鋭意検討を進めた結果、特定の活性化剤を用いてオレフィン系重合体を活性化させて、ラジカル重合性単量体を重合することにより、上記課題を解決しうることを見出して本発明に至った。
すなわち本発明は、オレフィン系重合体セグメントとラジカル重合体セグメントとが化学結合した重合体の製造方法であって、ハロゲン元素を含まないオレフィン系重合体(A)と、周期律表第3族〜第11族から選ばれる遷移金属元素を含む金属化合物(B)と、分子内にハロゲン−ハロゲン結合または窒素−ハロゲン結合を有する活性化剤(C)との存在下で、ラジカル重合性単量体を重合させる工程を含むことを特徴とする。
本発明は、オレフィン系重合体セグメントとラジカル重合体セグメントとが化学結合した重合体の製造方法の改良を提供する。本発明の方法によれば、工業的に広く製造されているポリエチレンやポリプロピレンなどのオレフィン系重合体を原料にして、一段階反応で、目的とするオレフィン系重合体セグメントとラジカル重合体セグメントとが化学結合した重合体を製造することが可能である。そのため、従来技術と比較して製造工程を大幅に簡素化することができ、製造コストやエネルギー消費の面で非常に有利である。
以下、本発明の重合体の製造方法について具体的に説明する。
本発明は、オレフィン系重合体セグメントとラジカル重合体セグメントとが化学結合した重合体を製造する方法である。ハロゲン元素を含まないオレフィン系重合体(A)、周期律表第3族〜第11族から選ばれる遷移金属元素を含む金属化合物(B)、および分子内にハロゲン−ハロゲン結合または窒素−ハロゲン結合を有する活性化剤(C)の存在下で、ラジカル重合性単量体を重合させることを特徴とする。
本発明に用いられる、ハロゲン元素を含まないオレフィン系重合体(A)は、炭素−炭素二重結合を一つだけ有するモノオレフィン化合物、あるいは芳香環を有するモノオレフィン化合物から構成される重合体であることが好ましい。炭素−炭素二重結合を複数有する化合物(例えば、ヘキサジエンやオクタジエンなどの直鎖状ジエン化合物、ジビニルベンゼンなどのスチレン系ジエン化合物、ビニルノルボルネンやエチリデンノルボルネンなどの環状ジオレフィン化合物など)の重合体、またはそれを共重合成分とする共重合体は、ラジカル重合性単量体を重合させる段階で、ジエン化合物に由来する不飽和結合同士が架橋してゲル化するため好ましくない場合がある。
したがって本発明に用いられるオレフィン系重合体(A)は、例えば、下記(A1)〜(A5)からなる群から選ばれる重合体が挙げられる。これらは2種以上組み合わせて用いられてもよい。
(A1):CH=CH−C2X+1(xは0または正の整数)で示されるα−オレフィン化合物の単独重合体または共重合体。
(A2):CH=CH−C2X+1(xは0または正の整数)で示されるα−オレフィン化合物と芳香環を有するモノオレフィン化合物との共重合体。
(A3):CH=CH−C2X+1(xは0または正の整数)で示されるα−オレフィン化合物と下記一般式(1)で表される環状モノオレフィン化合物との共重合体。
(A4):CH=CH−C2X+1(xは0または正の整数)で示されるα−オレフィン化合物と不飽和カルボン酸またはその誘導体とのランダム共重合体。
(A5):前記重合体(A1)〜(A4)のいずれかを、不飽和カルボン酸またはその誘導体により変性したもの。
Figure 0005248384
(一般式(1)における各記号の定義は後述する)
重合体(A1)について:
本発明で用いられる重合体(A1)は、CH=CH−C2X+1(xは0または正の整数)で示されるα−オレフィン化合物の単独重合体または共重合体である。
重合体(A1)の構成モノマーである、CH=CH−C2X+1(xは0または正の整数)で示されるα−オレフィン化合物の具体例には、エチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、3-メチル-1-ブテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、3-メチル-1-ペンテン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-オクタデセン、1-エイコセンなどの炭素数が4〜20の直鎖状または分岐状のα−オレフィンが含まれる。これらの例示オレフィン類の中では、エチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、1-オクテンから選ばれる少なくとも1種のオレフィンを使用することが好ましく、より好ましくはエチレン、プロピレン、1-ブテンである。
重合体(A1)は、上記α−オレフィン化合物を単独重合または共重合して得られるものであればよく、特に制限はない。重合体(A1)の好ましい具体例には、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、超高分子量ポリエチレンなどのエチレン系重合体;プロピレンホモポリマー、プロピレンランダムコポリマー、プロピレンブロックコポリマーなどのプロピレン系重合体;ポリブテン、ポリ(4-メチル-1-ペンテン)、ポリ(1-ヘキセン)、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン共重合体、エチレン−ヘキセン共重合体、エチレン−オクテン共重合体、エチレン−(4-メチル-1-ペンテン)共重合体、プロピレン−ブテン共重合体、プロピレン−(4-メチル-1-ペンテン)共重合体、プロピレン−ヘキセン共重合体、プロピレン−オクテン共重合体などが含まれる。なかでも、エチレン系重合体、プロピレン系重合体、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン共重合体がより好ましい。
重合体(A2)について:
本発明で用いられる重合体(A2)は、CH=CH−C2X+1(xは0または正の整数)で示されるα−オレフィン化合物と芳香環を有するモノオレフィン化合物との共重合体である。
共重合体(A2)の構成モノマーである、CH=CH−C2X+1(xは0または正の整数)で示されるα−オレフィン化合物の具体例には、上記(A1)の項で記載したα−オレフィン化合物が含まれる。一方、芳香環を有するモノオレフィン化合物の具体例には、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン等のスチレン系化合物やビニルピリジンなどが含まれる。
共重合体(A2)は、上記α−オレフィン化合物と芳香環を有するモノオレフィン化合物とを共重合して得られるものであればよく、特に制限はない。共重合体(A2)の好ましい例には、エチレン−スチレン共重合体、プロピレン−スチレン共重合体、エチレン−プロピレン−スチレン三元共重合体、エチレン−ブテン−スチレン三元共重合体などが含まれる。共重合体(A2)中に含まれるα−オレフィン化合物に由来するユニットの含量は、オレフィン系重合体としての性質を保持するために50モル%以上が好ましく、より好ましくは60モル%以上である。
共重合体(A3)について:
共重合体(A3)は、CH=CH−C2X+1(xは0または正の整数)で示されるα−オレフィン化合物と下記一般式(1)で表される環状モノオレフィン化合物との共重合体である。
Figure 0005248384
共重合体(A3)の構成モノマーであるCH=CH−C2X+1(xは0または正の整数)で示されるα−オレフィン化合物の例には、上記(A1)の項で記載したα−オレフィン化合物が含まれる。
共重合体(A3)の構成モノマーである環状モノオレフィン化合物を示す一般式(1)において、nは0または1であり、mは0または正の整数であり、qは0または1であり、qが1の場合には、RおよびRは、それぞれ独立に、下記の原子または炭化水素基を表し、qが0の場合には、それぞれの結合手が結合して5員環を形成する。
一般式(1)におけるR〜R18ならびにRおよびRが示す炭化水素基は、通常、炭素原子数1〜20のアルキル基、または炭素原子数3〜15のシクロアルキル基などである。より具体的に、アルキル基の例には、メチル基、エチル基、プロピル基、アミル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基およびオクタデシル基などが含まれ;シクロアルキル基の例には、シクロヘキシル基が含まれる。
さらに、一般式(1)におけるR15とR16とが、R17とR18とが、R15とR17とが、R16とR18とが、R15とR18とが、あるいはR16とR17とがそれぞれ結合して(互いに共同して)、単環または多環を形成していてもよい。ここで形成される単環または多環の具体例が以下に示されるが、特に限定されない。
Figure 0005248384
上記単環または多環の例示において、1の番号を付した炭素原子は、上記一般式(1)においてR15およびR16が結合している炭素原子を表し;2の番号を付した炭素原子は、上記一般式(1)においてR17およびR18が結合している炭素原子を表す。
上記一般式(1)で表される環状オレフィンの具体例には、ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン誘導体、トリシクロ[4.3.0.12,5]-3-デセン誘導体、トリシクロ[4.3.0.12,5]-3-ウンデセン誘導体、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]-3-ドデセン誘導体、ペンタシクロ[7.4.0.12,5.19,12.08,13]-3-ペンタデセン誘導体、ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]-4-ペンタデセン誘導体、ペンタシクロ[8.4.0.12,3.19,12.08,13]-3-ヘキサデセン誘導体、ペンタシクロ[6.6.1.13,6.02,7.09,14]-4-ヘキサデセン誘導体、ペンタシクロペンタデカジエン誘導体、ヘキサシクロ[6.6.1.13,6.110,13.02,7.09,14]-4-ヘプタデセン誘導体、ヘプタシクロ[8.7.0.13,6.110,17.112,15.02,7.011,16 ]-4-エイコセン誘導体、ヘプタシクロ-5-エイコセン誘導体、ヘプタシクロ[8.8.0.14,7.111,18.113,16.03,8.012,17]-5-ヘンエイコセン誘導体、オクタシクロ[8.8.0.12,9.14,7.111,18.113,16.03,8.012,17]-5-ドコセン誘導体、ノナシクロ[10.9.1.14,7.113,20.115,18.03,8.02,10.012,21.014,19]-5-ペンタコセン誘導体、ノナシクロ[10.10.1.15,8.114,21.116,19.02,11.04,9.013,22.015,20]-5-ヘキサコセン誘導体などが含まれる。
一般式(1)で表される環状モノオレフィン化合物は、シクロペンタジエンと対応する構造を有するオレフィン類とを、ディールス・アルダー反応させることによって製造することができる。これらの環状オレフィンは、単独であるいは2種以上組み合わせて用いることができる。
一般式(1)で表される環状モノオレフィン化合物から誘導される構成単位は、下記一般式(2)で示される。
Figure 0005248384
式(2)において、n、m、q、R〜R18ならびにRおよびRは、式(1)と同じ意味である。
共重合体(A3)は、上記α−オレフィン化合物と一般式(1)で表される環状モノオレフィン化合物とを共重合して得られるものであればよく、特に制限はない。好ましくはエチレンとビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エンとの共重合体、またはエチレンとテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]-3-ドデセンとの共重合体などである。
共重合体(A3)中に含まれるα−オレフィン化合物に由来するユニットの含量は、オレフィン系重合体としての性質を保持するために50モル%以上が好ましく、より好ましくは60モル%以上である。
ランダム共重合体(A4)について:
ランダム共重合体(A4)は、CH=CH−C2X+1(xは0または正の整数)で示されるα−オレフィン化合物と、不飽和カルボン酸またはその誘導体とのランダム共重合体である。
ランダム共重合体(A4)の構成モノマーである、CH=CH−C2X+1(xは0または正の整数)で示されるα−オレフィン化合物の例には、上記(A1)の項で記載したα−オレフィン化合物が含まれる。
一方、不飽和カルボン酸またはその誘導体の例には、不飽和モノカルボン酸およびその誘導体、不飽和ジカルボン酸およびその誘導体、ならびにビニルエステル類が含まれる。より具体的には、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸アミド、マレイン酸、マレイン酸無水物、マレイン酸エステル、マレイン酸アミド、マレイン酸イミド、酢酸ビニルや酪酸ビニルなどの脂肪族ビニルエステル類などが挙げられる。
ランダム共重合体(A4)は、上記α−オレフィン化合物と不飽和カルボン酸またはその誘導体とのランダム共重合体であればよく、特に制限はない。ランダム共重合体(A4)の好ましい例には、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、エチレン−無水マレイン酸共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体などが含まれる。
ランダム共重合体(A4)中に含まれるα−オレフィン化合物に由来するユニットの含量は、オレフィン系重合体としての性質を保持するために50モル%以上が好ましく、より好ましくは60モル%以上である。
重合体(A5)について:
重合体(A5)は、前記重合体(A1)〜(A4)のいずれかを、不飽和カルボン酸またはその誘導体により変性したものである。
前記重合体(A1)〜(A4)のいずれかを変性するための不飽和カルボン酸またはその誘導体の具体例には、マレイン酸、マレイン酸無水物、マレイン酸エステル、マレイン酸アミド、マレイン酸イミドなどが含まれる。これらのうち、好ましくはマレイン酸無水物である。
前記重合体(A1)〜(A4)で表される重合体のいずれかを、不飽和カルボン酸またはその誘導体により変性する方法としては、有機過酸化物などのラジカル発生剤の存在下に、あるいは紫外線や放射線の存在下に、不飽和カルボン酸またはその誘導体を前記重合体(A1)〜(A4)と反応させる方法などが含まれる。
前記重合体(A1)〜(A5)を製造する条件や方法については特に制限はないが、例えばチーグラー・ナッタ触媒やメタロセン触媒、ポストメタロセン触媒などのような公知の遷移金属触媒を用いた配位アニオン重合や、高圧下あるいは放射線照射下でのラジカル重合などの方法を用いることができる。また、上記方法で製造したオレフィン系重合体を、熱やラジカルで分解したものを用いることもできる。
本発明で用いられるオレフィン系重合体(A)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定したポリスチレン換算の重量平均分子量が1×10〜1×10であり、好ましくは5×10〜1×10であり、より好ましくは1×10〜5×10である。
本発明ではラジカル重合性単量体を重合させるが、この重合反応は、周期律表第3族〜第11族から選ばれる遷移金属元素を含む金属化合物(B)を触媒として行われる。金属化合物(B)は、好ましくは、チタン、ジルコニウム、モリブデン、レニウム、鉄、ルテニウム、ロジウム、コバルト、ニッケル、パラジウム、銅から選ばれる金属を含む化合物であり;さらに好ましくは、0価の銅、1価の銅、2価のルテニウム、2価の鉄、または2価のニッケルの錯体などであり、なかでも銅錯体が好ましい。
金属化合物(B)である1価の銅化合物の具体例には、塩化第一銅、臭化第一銅、ヨウ化第一銅、シアン化第一銅、酸化第一銅、過塩素酸第一銅などが含まれる。
また、2価の塩化ルテニウムのトリストリフェニルホスフィン錯体(RuCl(PPh)も、金属化合物(B)として好適である。金属化合物(B)をルテニウム化合物として用いる場合は、活性化剤としてアルミニウムアルコキシド類を組み合わせて用いる。
さらに、2価の鉄のビストリフェニルホスフィン錯体(FeCl(PPh)、2価のニッケルのビストリフェニルホスフィン錯体(NiCl(PPh)、および2価のニッケルのビストリブチルホスフィン錯体(NiBr(PBu)も金属化合物(B)として好適であり、触媒として作用する。
金属化合物(B)の触媒活性を高めるために、金属化合物(B)の配位子となる化合物を組み合わせて用いてもよい。配位子となる化合物の例には、2,2'-ビピリジルもしくはその誘導体;1,10-フェナントロリンもしくはその誘導体;またはテトラメチルエチレンジアミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、ヘキサメチルトリエチレンテトラミンもしくはヘキサメチルトリス(2−アミノエチル)アミンなどのポリアミンなどが含まれる。このうち、好ましくはペンタメチルジエチレントリアミンやヘキサメチルトリエチレンテトラミンである。
これらのポリアミンの使用量が少なすぎると、金属化合物(B)の溶媒またはモノマーへの溶解性が低くなるため触媒活性が極端に低下するもしくは持続しない場合があり;多すぎると、得られるポリマー中に残留して着色や臭いの原因となる場合がある。そのため、ポリアミンの使用量は、金属化合物(B)に対して通常0.1〜1,000等量の範囲であり、好ましくは1〜800等量、より好ましくは10〜300等量の範囲である。
本発明におけるラジカル重合性単量体の重合反応は、活性化剤(C)の存在下で行われる。活性化剤(C)は、光照射下や高温条件下でホモ解裂してラジカル種を生成し、オレフィン系重合体(A)を攻撃して、オレフィン系重合体(A)をマクロラジカルとする。マクロラジカルとなったオレフィン系重合体(A)を開始剤として、系内に存在する金属化合物(B)の触媒作用によりラジカル重合性単量体が重合すると考えられる。
また、活性化剤(C)のホモ解裂で生じたハロゲンラジカルとの反応により、金属化合物(B)の酸化種が生成する。金属化合物(B)の酸化種がラジカル重合を制御することで、目的とするオレフィン系重合体セグメントとラジカル重合体セグメントとが化学結合した重合体が効率よく製造されると考えられる。
本発明で用いられる活性化剤(C)は、分子内にハロゲン−ハロゲン結合または窒素−ハロゲン結合を有することが好ましく、活性化剤(C)の具体例には塩素、臭素、ヨウ素、N-クロロスクシンイミド、N-ブロモスクシンイミド、N-ヨードスクシンイミド、N-ブロモカプロラクタム、N-ブロモフタルイミド、1,3-ジブロモ-5,5-ジメチルヒダントイン、N-クロログルタルイミド、N-ブロモグルタルイミド、N,N'-ジブロモイソシアヌル酸などが含まれる。好ましくは臭素、およびN-ブロモスクシンイミド、1,3-ジブロモ-5,5-ジメチルヒダントインなどのN-Br結合を有する化合物である。
本発明で用いられるラジカル重合性単量体は、例えば、(メタ)アクリル酸系単量体、スチレン系単量体、(メタ)アクリルアミド系単量体、マレイン酸系単量体、マレイミド系単量体、ビニルエステル系単量体などでありうる。
(メタ)アクリル酸系単量体の具体例には、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸カリウム、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸-n-プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸-n-ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸-tert-ブチル、(メタ)アクリル酸-n-ペンチル、(メタ)アクリル酸-n-ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸-n-ヘプチル、(メタ)アクリル酸-n-オクチル、(メタ)アクリル酸-2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸トルイル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸-2-メトキシエチル、(メタ)アクリル酸-3-メトキシブチル、(メタ)アクリル酸-2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸-2-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸2-アミノエチル、(メタ)アクリル酸2-(ジメチルアミノ)エチル、γ-(メタクリロイルオキシプロピル)トリメトキシシラン、(メタ)アクリル酸のエチレンオキサイド付加物、(メタ)アクリル酸トリフルオロメチルメチル、(メタ)アクリル酸2-トリフルオロメチルエチル、(メタ)アクリル酸2-パーフルオロエチルエチル、(メタ)アクリル酸2-パーフルオロエチル-2-パーフルオロブチルエチル、(メタ)アクリル酸2-パーフルオロエチル、(メタ)アクリル酸パーフルオロメチル、(メタ)アクリル酸ジパーフルオロメチルメチル、(メタ)アクリル酸2-パーフルオロメチル-2-パーフルオロエチルメチル、(メタ)アクリル酸2-パーフルオロヘキシルエチル、(メタ)アクリル酸2-パーフルオロデシルエチル、(メタ)アクリル酸2-パーフルオロヘキサデシルエチルなどが含まれる。
スチレン系単量体の具体例には、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、クロロスチレン、スチレンスルホン酸およびその塩などが含まれる。
(メタ)アクリルアミド系単量体の具体例には、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N-エチル(メタ)アクリルアミド、N-プロピル(メタ)アクリルアミド、N-イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N-ブチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミドなどが含まれる。
マレイン酸系単量体の具体例には、無水マレイン酸、マレイン酸、マレイン酸のモノアルキルエステル及びジアルキルエステルなどが含まれる。
マレイミド系単量体の例には、マレイミド、メチルマレイミド、エチルマレイミド、プロピルマレイミド、ブチルマレイミド、ヘキシルマレイミド、オクチルマレイミド、ドデシルマレイミド、ステアリルマレイミド、フェニルマレイミド、シクロヘキシルマレイミドなどが含まれる。
ビニルエステル系単量体の例には、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、安息香酸ビニル、桂皮酸ビニルなどが含まれる。
これらのうち、本発明で用いられるラジカル重合性単量体は、好ましくは(メタ)アクリル酸系単量体、スチレン系単量体、(メタ)アクリロニトリルである。これらの化合物は、単独で、または2種類以上を組み合わせて使用しても構わない。
本発明において、ラジカル重合性単量体を重合する方法は特に限定されず、塊状重合、溶液重合、懸濁重合、乳化重合、塊状・懸濁重合などを適用することができる。
本発明の重合反応は、溶媒中で行うことができる。使用できる溶媒は、反応を阻害しないものであれば何れでもよく限定されない。溶媒の具体例には、ベンゼン、トルエンおよびキシレン等の芳香族炭化水素系溶媒;ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナンおよびデカン等の脂肪族炭化水素系溶媒;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンおよびデカヒドロナフタレンのような脂環族炭化水素系溶媒;クロロベンゼン、ブロモベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素およびテトラクロロエチレン等のハロゲン化炭化水素系溶媒;メタノール、エタノール、n-プロパノール、iso-プロパノール、n-ブタノール、sec-ブタノールおよびtert-ブタノール等のアルコール系溶媒;アセトン、メチルエチルケトンおよびメチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒;酢酸エチルおよびジメチルフタレート等のエステル系溶媒;ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジ-n-アミルエーテル、テトラヒドロフランおよびジオキシアニソールのようなエーテル系溶媒などが含まれる。また、本発明の重合反応は、水を溶媒とする懸濁重合、乳化重合であってもよい。これらの溶媒は、単独でもまたは2種以上を混合して使用してもよい。また、これらの溶媒の使用によって、反応液が均一相となることが好ましいが、不均一な複数の相となっても構わない。
本発明の重合反応の反応温度は、ラジカル重合反応が進行する温度であればよく、所望する重合体の重合度、使用するラジカル重合開始剤、および溶媒の種類や量によって設定される。反応温度は、例えば、通常−100℃〜250℃であり、好ましくは−50℃〜180℃であり、更に好ましくは0℃〜160℃である。重合反応は、場合によって、減圧、常圧または加圧条件下の何れで行ってもよい。上記重合反応は、窒素やアルゴン等の不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。
本発明の重合反応における各成分の添加順序は特に限定されないが、好ましくは、オレフィン系重合体(A)を溶媒中に溶解あるいは懸濁させ;これに活性化剤(C)を添加し;次いで金属化合物(B)とラジカル重合性単量体を添加して、所定の重合温度で重合する方法がある。また、重合体(A)や金属化合物(B)、活性化剤(C)、ラジカル重合性単量体の種類や性状に応じてこれらの順序を入れ替えたり、一部をあらかじめプレミックスして用いたりすることも可能である。
本発明の製造方法により得られる重合体(オレフィン系重合体セグメントとラジカル重合体セグメントとが化学結合した重合体)は、精製・単離されることが好ましい。精製・単離は、例えば、重合に用いた溶媒や未反応のモノマーを留去したり、貧溶媒による再沈殿するなどして、公知の方法を用いて行われる。さらに、得られた重合体を、ソックスレー抽出装置を用いて、アセトンやTHFなどの極性溶媒で処理することで、副生したホモラジカル重合体を除去することが可能である。
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
本実施例中の各物性の測定は以下のように行なった。
(i)分子量および分子量分布の測定
GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)を使用して、以下の条件で測定した。
測定装置:allianceGPC2000(Waters社製)
解析装置:Empowerプロフェッショナル(Waters社製)
カラム:TSKgel GMH6HT×2+TSKgel GMH6HTL×2
カラム温度:140℃
移動相:o−ジクロロベンゼン(ODCB)
検出器:示差屈折率計
流速:1mL/min
試料濃度:30mg/20mL−ODCB
注入量:500μL
カラム較正:単分散ポリスチレン(東ソー社製)
(ii)ポリマーの組成分析
H−NMRを使用して以下の条件で測定した。
測定装置:JNMGSX−400型核磁気共鳴装置(日本電子製)
試料管:5mmφ
測定溶媒:o−ジクロロベンゼン−d4
測定温度:120℃
測定幅:8000Hz
パルス幅:7.7μs(45°)
パルス間隔:6.0s
測定回数:〜8000回
[実施例1]
充分に窒素置換した内容積500mLのガラス製反応器に、粒子状ポリプロピレン(PP)(Mn=34,500)30gと、酢酸ブチル200mLを入れ、攪拌下100℃で2時間窒素バブリングを行い、スラリーを得た。得られたスラリーに、N−ブロモスクシンイミド(NBS)1.2gを加えて、100℃で2時間撹拌した後、メタクリル酸メチル(MMA)100mLを加えて1時間窒素バブリングを行った。さらにこのスラリーに、銅粉末114mg、N,N,N',N'',N''-ペンタメチルジエチレントリアミン(PMDETA)0.75mLを加えた後、100℃で3時間重合を行った。冷却後、スラリーをアセトン1.5L中に注いで撹拌し、グラスフィルターでろ過した。さらにフィルター上のポリマーをアセトンおよびメタノールで洗浄した後、減圧乾燥して33.6gの淡黄色粒子状ポリマーを得た。
H−NMR分析により、得られたポリマー中にはPP成分とPMMA成分とが含まれており、その組成比はPP/PMMA=90/10(wt%)であった。結果を表1に示す。
[実施例2]
充分に窒素置換した内容積500mLのガラス製反応器に、実施例1と同じ粒子状PP30gと酢酸ブチル200mLを入れ、攪拌下100℃で2時間窒素バブリングを行った。このスラリーにNBS1.2gを加えて100℃で2時間撹拌した後、スチレン(St)160mL、アクリロニトリル(AN)40mLを加えて1時間窒素バブリングを行った。このスラリーに、銅粉末318mg、PMDETA2.09mLを加えた後、100℃で3時間重合を行った。冷却後メタノール150mLを加え、スラリーをグラスフィルターでろ過した。さらにフィルター上のポリマーをアセトンおよびメタノールで洗浄した後、減圧乾燥して31.7gの白色粒子状ポリマーを得た。
H−NMR分析により、得られたポリマー中にはPP成分とスチレン−アクリロニトリル共重合体(AS)成分が含まれており、その組成比はPP/St−AN=95/5(wt%)であった。結果を表1に示す。
[実施例3]
充分に窒素置換した内容積500mLのガラス製反応器に、実施例1と同じ粒子状PP15gとクロロベンゼン200mLを入れ、攪拌下100℃で2時間窒素バブリングを行った。このスラリーにNBS1.2gを加えて100℃で2時間撹拌した後、MMA100mLを加えて1時間窒素バブリングを行った。このスラリーに、銅粉末114mg、PMDETA0.75mLを加えた後、100℃で3時間重合を行った。冷却後、スラリーをアセトン1.5L中に注いで撹拌し、グラスフィルターでろ過した。さらにフィルター上のポリマーをアセトンおよびメタノールで洗浄した後、減圧乾燥して35.0gの淡黄色粒子状ポリマーを得た。
H−NMR分析により、得られたポリマー中にはPP成分とPMMA成分が含まれており、その組成比はPP/PMMA=43/57(wt%)であった。結果を表1に示す。
[実施例4]
溶媒をアニソールにした以外は、実施例3と同様にして、16.6gの白色粒子状ポリマーを得た。H−NMR分析により、得られたポリマー中にはPP成分とPMMA成分が含まれており、その組成比はPP/PMMA=91/9(wt%)であった。結果を表1に示す。
[比較例1]
NBSを添加しなかった以外は実施例3と同様にして、14.8gの白色粒子状ポリマーを得た。H−NMR分析からは、得られたポリマー中にMMA成分は検出されなかった。結果を表1に示す。
[比較例2]
銅粉末およびPMDETAを加えなかった以外は実施例3と同様にして、14.9gの白色粒子状ポリマーを得た。H−NMR分析からは、得られたポリマー中にMMA成分は検出されなかった。結果を表1に示す。
Figure 0005248384
[実施例5]
充分に窒素置換した内容積500mLのガラス製反応器に、エチレン−プロピレン共重合体(EPR;Mn=51,900)15gと、クロロベンゼン200mLを入れ、攪拌下100℃で2時間窒素バブリングを行った。この溶液に臭素0.15mLを加えて、100℃で2時間撹拌した後、メタクリル酸ドデシル(DMA)90mLを加えて1時間窒素バブリングを行った。この溶液に、臭化銅(I)215mg、PMDETA3.13mLを加えた後、80℃で4時間重合を行った。冷却後、反応溶液をメタノール1.5L中に注いで撹拌し、上澄みを取り除いた。再びメタノール1.5Lを加えて撹拌後、沈降したゴム状ポリマーを120℃で減圧乾燥して18.2gの褐色ゴム状ポリマーを得た。
H−NMR分析により、得られたポリマー中にはEPR成分とPDMA成分が含まれており、その組成比はEPR/PDMA=82/18(wt%)であった。結果を表2に示す。
[実施例6]
臭化銅(I)とPMDETAの仕込み量を表2に示すように変更した以外は、実施例5と同様の操作により、25.6gの褐色ゴム状ポリマーを得た。H−NMR分析より、得られたポリマー中にはEPR成分とPDMA成分が含まれており、その組成比はEPR/PDMA=59/41(wt%)であった。結果を表2に示す。
[実施例7]
活性化剤を、臭素からNBS0.6gに変更した以外は、実施例6と同様の操作により、37.0gの褐色ゴム状ポリマーを得た。H−NMR分析より、得られたポリマー中にはEPR成分とPDMA成分が含まれており、その組成比はEPR/PDMA=41/59(wt%)であった。結果を表2に示す。
[実施例8]
充分に窒素置換した内容積500mLのガラス製反応器に、実施例5と同様のEPR15gと酢酸ブチル200mLを入れ、攪拌下110℃で2時間窒素バブリングを行った。この懸濁液にNBS0.6gを加えて110℃で2時間撹拌した後、DMA100mLを加えて1時間窒素バブリングを行った。この懸濁液に、銅粉末381mg、PMDETA2.51mLを加えた後、110℃で4時間重合を行った。冷却後、反応溶液をメタノール1.5L中に注いで撹拌し、上澄みを取り除いた。再びメタノール1.5Lを加えて撹拌後、沈降したゴム状ポリマーを120℃で減圧乾燥して56.3gの褐色ゴム状ポリマーを得た。
H−NMR分析より、得られたポリマー中にはEPR成分とPDMA成分が含まれており、その組成比はEPR/PDMA=27/73(wt%)であった。結果を表2に示す。
[実施例9〜13]
銅粉末とPMDETAの仕込み量を表2に示すように変更した以外は実施例8と同様の操作により、メタクリル酸ドデシルの重合を行った。結果を表2に示す。
[実施例14]
充分に窒素置換した内容積500mLのガラス製反応器に、実施例5と同様のEPR15gと酢酸ブチル200mLを入れ、攪拌下100℃で2時間窒素バブリングを行った。この懸濁液にNBS0.6gを加えて100℃で2時間撹拌した後、DMA100mLを加えて1時間窒素バブリングを行った。この懸濁液に、銅粉末95mg、PMDETA0.63mLを加えた後、100℃で4時間重合を行った。冷却後、反応溶液をメタノール1.5L中に注いで撹拌し、上澄みを取り除いた。再びメタノール1.5Lを加えて撹拌後、沈降したゴム状ポリマーを120℃で減圧乾燥して58.1gの褐色ゴム状ポリマーを得た。
H−NMR分析より、得られたポリマー中にはEPR成分とPDMA成分が含まれており、その組成比はEPR/PDMA=26/74(wt%)であった。結果を表2に示す。
[実施例15]
充分に窒素置換した内容積500mLのガラス製反応器に、実施例5と同様のEPR15gとクロロベンゼン200mLを入れ、攪拌下100℃で2時間窒素バブリングを行った。この溶液にNBS0.6gを加えて100℃で2時間撹拌した後、DMA100mLを加えて1時間窒素バブリングを行った。この溶液に、銅粉末95mg、PMDETA0.63mLを加えた後、100℃で4時間重合を行った。冷却後、反応溶液をメタノール1.5L中に注いで撹拌し、上澄みを取り除いた。再びメタノール1.5Lを加えて撹拌後、沈降したゴム状ポリマーを120℃で減圧乾燥して59.6gの褐色ゴム状ポリマーを得た。
H−NMR分析より、得られたポリマー中にはEPR成分とPDMA成分が含まれており、その組成比はEPR/PDMA=25/75(wt%)であった。結果を表2に示す。
Figure 0005248384
[実施例16]
充分に窒素置換した内容積1Lのガラス製反応器に、エチレン−ブテン共重合体(EBR;Mn=82,000)50gと酢酸ブチル700mLを入れ、攪拌下110℃で2時間窒素バブリングを行った。この懸濁液にNBS1.25gを加えて110℃で2時間撹拌した後、MMA50mL、メタクリル酸グリシジル(GMA)7mLを加えて1時間窒素バブリングを行った。この懸濁液に、銅粉末199mg、PMDETA1.30mLを加えた後、110℃で2時間重合を行った。冷却後、懸濁液をアセトン1.5L中に注いで撹拌し、上澄みを取り除いた。再びアセトン1.5Lを加えて撹拌後、沈降したゴム状ポリマーを120℃で減圧乾燥して64.0gの褐色ゴム状ポリマーを得た。
H−NMR分析より、得られたポリマー中にはEBR成分とMMA−GMA共重合体成分が含まれており、その組成比はEBR/MMA−GMA=78/22(wt%)であった。結果を表3に示す。
[実施例17〜19]
NBS、銅粉末、PMDETA、GMAの仕込み量および重合時間を表3に示すように変更した以外は、実施例16と同様の操作により、MMAとGMAとの共重合を行った。結果を表3に示す。
[実施例20]
充分に窒素置換した内容積1Lのガラス製反応器に、実施例16と同様のEBR50gとクロロベンゼン700mLを入れ、攪拌下110℃で2時間窒素バブリングを行った。この溶液にNBS1.25gを加えて110℃で2時間撹拌した後、GMA30mLを加えて1時間窒素バブリングを行った。この溶液に、銅粉末199mg、PMDETA1.30mLを加えた後、110℃で1時間重合を行った。冷却後、反応溶液をアセトン1.5L中に注いで撹拌し、上澄みを取り除いた。再びアセトン1.5Lを加えて撹拌後、沈降したゴム状ポリマーを120℃で減圧乾燥して51.6gの褐色ゴム状ポリマーを得た。
H−NMR分析より、得られたポリマー中にはEBR成分とPGMA成分が含まれており、その組成比はEBR/PGMA=97/3(wt%)であった。結果を表3に示す。
[実施例21]
充分に窒素置換した内容積2Lのガラス製反応器に、エチレン−ブテン共重合体(EBR;Mn=131,000)90gとクロロベンゼン1200mLを入れ、攪拌下100℃で2時間窒素バブリングを行った。この溶液にNBS1.8gを加えて100℃で2時間撹拌した後、MMA600mLを加えて1時間窒素バブリングを行った。この溶液に、銅粉末286mg、PMDETA1.88mLを加えた後、100℃で2時間重合を行った。冷却後、溶液をメタノール1.5L中に注いで撹拌し、上澄みを取り除いた。再びメタノール1.5Lを加えて撹拌後、沈降したゴム状ポリマーを120℃で減圧乾燥して91.2gの褐色ゴム状ポリマーを得た。
H−NMR分析より、得られたポリマー中にはEBR成分とPMMA成分が含まれており、その組成比はEBR/PMMA=99/1(wt%)であった。結果を表3に示す。
[実施例22]
充分に窒素置換した内容積2Lのガラス製反応器に、実施例21で用いたものと同様のEBR90gとクロロベンゼン1200mLを入れ、攪拌下100℃で2時間窒素バブリングを行った。この溶液にNBS1.8gを加えて100℃で2時間撹拌した後、MMA600mLを加えて1時間窒素バブリングを行った。この溶液に、塩化銅(I)1.60g、PMDETA3.38mLを加えた後、100℃で1時間重合を行った。冷却後、溶液をメタノール1.5L中に注いで撹拌し、上澄みを取り除いた。再びメタノール1.5Lを加えて撹拌後、沈降したゴム状ポリマーを120℃で減圧乾燥して133.7gの褐色ゴム状ポリマーを得た。
H−NMR分析より、得られたポリマー中にはEBR成分とPMMA成分が含まれており、その組成比はEBR/PMMA=67/33(wt%)であった。結果を表3に示す。
[実施例23]
重合時間を3時間にした以外は実施例22と同様の操作で233.3gの褐色ポリマーを得た。1H−NMR分析より、得られたポリマー中にはEBR成分とPMMA成分が含まれており、その組成比はEBR/PMMA=39/61(wt%)であった。結果を表3に示す。
[比較例3]
充分に窒素置換した内容積500mLのガラス製反応器に、実施例21で用いたものと同様のEBR15gとクロロベンゼン200mLを入れ、攪拌下100℃で2時間窒素バブリングを行った。この溶液にMMA100mLを加えて1時間窒素バブリングを行った。この溶液に、塩化銅(I)267mg、PMDETA0.56mLを加えた後、100℃で3時間重合を行った。冷却後、溶液をメタノール1.5L中に注いで撹拌し、上澄みを取り除いた。再びメタノール1.5Lを加えて撹拌後、沈降したゴム状ポリマーを120℃で減圧乾燥して14.7gの褐色ゴム状ポリマーを得た。H−NMR分析より、得られたポリマー中にはPMMA成分が含まれていないことが分かった。結果を表3に示す。
[実施例24]
充分に窒素置換した内容積1Lのガラス製反応器に、エチレン−ブテン共重合体(EBR;Mn=51,000)50gとクロロベンゼン700mLを入れ、攪拌下110℃で2時間窒素バブリングを行った。この溶液にNBS0.625gを加えて110℃で2時間撹拌した後、GMA30mLを加えて1時間窒素バブリングを行った。この溶液に、銅粉末99mg、PMDETA0.65mLを加えた後、110℃で1時間重合を行った。冷却後、溶液をメタノール1.5L中に注いで撹拌し、上澄みを取り除いた。再びメタノール1.5Lを加えて撹拌後、沈降したゴム状ポリマーを120℃で減圧乾燥して55.1gの褐色ゴム状ポリマーを得た。H−NMR分析より、得られたポリマー中にはEBR成分とPGMA成分が含まれており、その組成比はEBR/PGMA=91/9(wt%)であった。結果を表3に示す。
[実施例25]
NBS,銅粉末、PMDETAの仕込み量を変更した以外は実施例24と同様の操作で、GMAのラジカル重合を行った。1H−NMR分析より、得られたポリマー中にはEBR成分とPGMA成分が含まれており、その組成比はEBR/PGMA=87/13(wt%)であった。結果を表3に示す。
Figure 0005248384
本発明により、オレフィン系重合体セグメントとラジカル重合体セグメントとが化学結合した重合体を、工業的に広く製造されているポリエチレンやポリプロピレンなどのオレフィン系重合体を原料にして一段階で製造することができる。そのため、従来技術と比較して製造工程を大幅に簡素化することができ、製造コストやエネルギー消費の面で非常に有利である。

Claims (4)

  1. オレフィン系重合体セグメントとラジカル重合体セグメントとが化学結合した重合体の製造方法であって、
    ハロゲン元素を含まないオレフィン系重合体(A)と活性化剤(C)との混合液を調製するステップと、
    前記混合液に0価又は1価の銅及びラジカル重合性単量体を添加し、銅化合物の存在下、前記ラジカル重合体単量体を重合させるステップとを有し、
    前記活性化剤(C)が、塩素、臭素、N−クロロスクシンイミド、N−ブロモスクシンイミド、N−ブロモカプロラクタム、N−ブロモフタルイミド、1,3−ジブロモ−5,5−ジメチルヒダントイン、N−クロログルタルイミド、N−ブロモグルタルイミドまたはN,N’−ジブロモイソシアヌル酸である、重合体の製造方法。
  2. 前記オレフィン系重合体(A)が、下記(A1)〜(A5)からなる群から選ばれる重合体であり、かつ数平均分子量(標準ポリスチレン換算)が1×10〜1×10の範囲である、請求項1に記載の重合体の製造方法。
    (A1):CH=CH−C2X+1(xは0または正の整数)で示されるα−オレフィン化合物の単独重合体または共重合体。
    (A2):CH=CH−C2X+1(xは0または正の整数)で示されるα−オレフィン化合物と芳香環を有するモノオレフィン化合物との共重合体。
    (A3):CH=CH−C2X+1(xは0または正の整数)で示されるα−オレフィン化合物と下記一般式(1)で表される環状モノオレフィン化合物との共重合体。
    (A4):CH=CH−C2X+1(xは0または正の整数)で示されるα−オレフィン化合物と不飽和カルボン酸またはその誘導体とのランダム共重合体。
    (A5):前記重合体(A1)〜(A4)のいずれかを、不飽和カルボン酸またはその誘導体により変性したもの。
    Figure 0005248384
    (式(1)において、nは0または1であり、mは0または正の整数であり、qは0または1であり、R〜R18ならびにRおよびRは、それぞれ独立に、水素原子および炭化水素基よりなる群から選ばれる原子または基を表し、R15〜R18は、互いに結合して単環または多環を形成していてもよい)
  3. 前記ラジカル重合性単量体が、(メタ)アクリル酸系単量体、スチレン系単量体、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド系単量体、マレイン酸系単量体、マレイミド系単量体およびビニルエステル系単量体からなる群から選ばれる有機化合物である、請求項1または2に記載の重合体の製造方法。
  4. 前記オレフィン系重合体(A)が、前記(A1)から選ばれる重合体であり、前記金属化合物(B)が銅化合物であり、前記活性化剤(C)が臭素またはN-ブロモスクシンイミドである、請求項2または3に記載の重合体の製造方法。
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