JP5247914B1 - 加熱調理器 - Google Patents

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Abstract

【課題】被加熱物の過度な高温化を抑制する加熱制御を行うことのできる加熱調理器を得る。
【解決手段】赤外線温度検知部24の出力値に第一補正係数αを掛けて得た赤外線温度補正値から、トッププレート温度検知部25の出力値に第二補正係数βを掛けて得たトッププレート温度補正値を差し引いて鍋温度推定値Tnを推定し、赤外線温度検知部24の出力値に第三補正係数γ(γ>α)を掛けて得た赤外線温度補正値から、トッププレート温度補正値を差し引いて過加熱監視温度Temを推定し、鍋温度推定値Tnが、操作部3により設定された目標温度に対応する被加熱物の温度である被加熱物目標値になるように、加熱コイル14を制御し、過加熱監視温度Temが、予め設定された被加熱物目標値よりも高い温度である第一過加熱抑制閾値を超えた場合には、加熱コイル14による加熱を停止させるあるいは火力を低下させる。
【選択図】図11

Description

本発明は、トッププレート上に載置された被加熱物の温度を検出することが可能な加熱調理器に関する。
加熱調理器のトッププレート上に載置された被加熱物である鍋の温度を検出する方法として、接触式の温度センサであるサーミスタをトッププレートに接触させてトッププレートを介して鍋から伝達される温度を検出するサーミスタ方式と、鍋から放射される赤外線放射エネルギーをトッププレートを介して非接触で検出する赤外線センサ方式がある。
サーミスタ方式は、サーミスタをトッププレートの下面に密着させ、鍋の温度を、トッププレートを介してサーミスタで検出する。このため、鍋の温度がサーミスタに直接的に伝わらず、鍋の温度変化に対するサーミスタの温度検出の追従性が悪いという問題がある。
また、赤外線センサ方式は、加熱コイルの中央空間部や内側コイルと外側コイルとの空間部の下方に赤外線センサを配置し、トッププレート上に載置された鍋から放射される赤外線放射エネルギーを空間部を通して検出し、そのエネルギー量で鍋の温度を検出するものである。
この赤外線センサ方式は、サーミスタ方式のように鍋の温度と赤外線センサの検出値との間に追従性の問題は生じないが、鍋底の色の違いにより検出精度に影響が生じる。すなわち、鍋底の色によって赤外線の放射面からの放射率が異なるため、鍋の温度が同じであっても鍋から放射される赤外線放射エネルギーの量が異なることがある。このため、実際には鍋の温度が同じであっても、異なる温度として測定される問題がある。
また、加熱された鍋からの熱伝導によりトッププレート自身も加熱される。このため、赤外線センサは、トッププレートから放射される赤外線も検出してしまう。したがって、トッププレートが加熱されるほど、取得したい鍋の温度を正確に検出することは困難となる。鍋の温度を正確に検出することができず鍋を過度に加熱してしまった場合には、例えば揚げ物用の鍋であれば鍋の中に入れられている油が高温度となり、また、空焼き状態の鍋であれば変形やフッ素コーティングの破損が生じるなど、不具合が生じるおそれがあった。
そこで、鍋の温度をより正確に検知することを目的として、特許文献1に示すように、特許文献1に示すように、赤外線センサの受光面に所定帯域の波長の光を透過させるバンドパスフィルターを設けて、測定誤差となるトッププレート自身から放射される赤外線や外乱光をカットする構成とした加熱調理器がある。この加熱調理器では、鍋の反射率を測定して該反射率から放射率を算出し、赤外線センサがバンドパスフィルターを介して検出した鍋からの赤外線放射エネルギーを測定し、これら放射率と赤外線放射エネルギーの値から鍋の温度を算出している。
また、特許文献2に示すように、予めトッププレートの温度とトッププレートから放射される赤外線放射エネルギーとの対応関係を求めておき、赤外線センサで検出した赤外線放射エネルギーから、接触式の温度センサにより検出されたトッププレートの温度に対応する赤外線放射エネルギーを取り除くことで、鍋から放射されている赤外線放射エネルギーを求め、この赤外線放射エネルギーを温度に変換して鍋の温度と推定する加熱調理器がある。
また、特許文献3に示すように、「赤外線センサ4は、調理容器2の底面温度が約140〜200℃のときに赤外線検出信号25aを出力し、底面温度が約200〜250℃のときに赤外線検出信号25bを出力し、底面温度が約250〜330℃のときに赤外線検出信号25cを出力する特性を有する。また、赤外線センサ4は、調理容器2底面温度が約140℃未満のときには赤外線検出信号25を出力しない。」ように構成された加熱調理器がある。
特許第4123036号公報(第4頁〜第6頁) 特開2011−34743号公報(第7頁、第8頁) 特開2010−282860号公報(第9頁、図4)
特許文献1に示されている発明は、赤外線放射エネルギーを測定する際にトッププレート自身から放射される赤外線をバンドパスフィルターで取り除くものである。そのバンドパスフィルターは0.76μm〜3μmの透過波長域のもので、この波長域はトッププレートから放射される赤外線の透過割合が小さい範囲を示している。
しかし、バンドパスフィルターの透過波長0.76〜3μmは、トッププレートから放射される赤外線の透過割合が小さい反面、鍋から放射される赤外線エネルギーも高温度にならなければバンドパスフィルターを透過しない。したがって、例えば180℃などの温度域では赤外線センサの出力の増幅率を上げて使用する必要があり、電磁ノイズや放射率の影響により検出値が安定しないという問題がある。
また、バンドパスフィルターによって赤外線センサに受光されるトッププレートからの放射線の割合が小さくなっているとはいっても、鍋を加熱していくとトッププレートの温度も上昇し、赤外線センサはトッププレート自身が放射する赤外線放射エネルギーも受光する。したがって、鍋からの赤外線のみを抽出するためには、赤外線センサの出力からトッププレートからの赤外線放射エネルギー分を除かなくてはならない。
このため、特許文献2では、赤外線センサと天板サーミスタの同時時間での温度上昇割合や鍋の反射率に基づいて鍋の放射率を推定し、赤外線センサから出力される赤外線放射エネルギー量から、トッププレートから放射される赤外線放射エネルギー量を差し引いて、その差し引いた値に放射率を掛け合わせている。
しかしながら、鍋が反っていて鍋底の一部が浮いているような場合は、トッププレートと鍋底との間に空気層が存在し、鍋底から放射された赤外線はトッププレートに到達するまでに減衰する。したがって、鍋底がトッププレートから浮いている場合と浮いていない場合とでは、トッププレートの温度上昇率も異なってくることとなる。このため、特許文献2や特許文献3の構成では、赤外線センサが検出する赤外線放射エネルギー量からトッププレートの影響分を差し引くことは困難である。また、トッププレートの温度上昇割合と赤外線センサの温度上昇割合は、鍋の浮きや反りの量により異なるため、放射率を誤って設定してしまう可能性がある。このように、検出される鍋の温度の正確性について課題があった。
また、エネルギー計算は、ステファン・ボルツマンの式で示される通り出力温度に対して4乗の計算式となり、計算負荷が増大することとなる。
また、特許文献3では、鍋の放射率の影響を考慮せず、赤外線センサに鍋から放射される赤外線が受光されて初めて検知が可能となる構成であり、赤外線センサに高い感度が要求されるために高コストとなる。また、トッププレートの放射影響を受けないようにするために3.0μm以下の波長の赤外線を赤外線センサが検出するように構成されており、湯沸かしや調理で使用する約80℃〜約140℃の温度域の鍋からの赤外線に対しては、赤外線センサの感度がごく低いという課題があった。
このように、特許文献1〜特許文献3に記載の技術においては、鍋の温度の検知精度を向上させるための工夫がなされているが、その正確性については課題も残っている。鍋の温度を誤って判定してしまった場合、鍋が過度に加熱されて高温化する可能性があるが、そのような場合の加熱制御については検討がなされていなかった。
本発明は、上記のような課題を背景としてなされたものであり、被加熱物の過度な高温化を抑制する加熱制御を行うことのできる加熱調理器を提供するものである。
本発明の加熱調理器は、被加熱物が載置されるトッププレートと、前記トッププレートの下に配置された加熱手段と、前記被加熱物の目標温度を設定する操作手段と、前記トッププレートの下に設けられ、上方から放射される赤外線を検知する赤外線センサと、前記赤外線センサの出力値を温度換算する赤外線温度検知手段と、前記トッププレートの温度を検知するトッププレート温度検知手段と、前記赤外線温度検知手段と前記トッププレート温度検知手段の検知結果に基づく演算を行い、この演算結果に基づいて前記加熱手段を制御する制御手段と、前記加熱手段による加熱を開始してからの前記トッププレート温度検知手段の出力値の上昇量に基づいて、前記トッププレートの表面と前記被加熱物の底面との間の距離である隙間距離を算出する隙間距離演算部と、前記加熱手段による加熱を開始して第一時間が経過したときの前記赤外線温度検知手段の出力値に対する、前記第一時間が経過した後に第二時間が経過したときの前記赤外線温度検知手段の出力値の上昇量と、前記隙間距離とに基づいて、前記被加熱物の底面の放射率を算出する放射率演算部とを備え、前記制御手段は、前記赤外線温度検知手段の出力値に第一補正係数を掛けて得た赤外線温度補正値から、前記トッププレート温度検知手段の出力値に第二補正係数を掛けて得たトッププレート温度補正値を差し引くことによって、第一被加熱物温度を推定する被加熱物温度推定処理と、前記赤外線温度検知手段の出力値に前記第一補正係数よりも大きい値である第三補正係数を掛けて得た赤外線温度補正値から、前記トッププレート温度補正値を差し引くことによって、第二被加熱物温度を推定する過加熱抑制用温度推定処理と、を実行し、前記第一被加熱物温度が、前記操作手段により設定された目標温度に対応する被加熱物の温度である被加熱物目標値になるように、前記加熱手段を制御し、前記第二被加熱物温度が、予め設定された前記被加熱物目標値よりも高い温度である第一過加熱抑制閾値を超えた場合には、前記加熱手段による加熱を停止させるあるいは火力を低下させる制御を行い、前記第一補正係数及び前記第二補正係数の少なくとも一方は、前記隙間距離又は前記放射率に応じて、予め記憶された値の中から選択されるものである。
本発明の加熱調理器によれば、上述のような被加熱物温度推定処理と過加熱抑制用温度推定処理とを並行して実行し、被加熱物温度推定処理の結果に基づいて加熱手段を制御する一方で、過加熱抑制用温度推定処理の結果が第一過加熱抑制閾値を超えた場合には加熱を停止あるいは火力を低下させるようにした。このため、被加熱物の過度な高温化を抑制する加熱制御を行うことができる。
実施の形態1に係る誘導加熱調理器の上面図である。 実施の形態1に係る誘導加熱調理器の主要部の構成と機能を説明するブロック図である。 実施の形態1に係る誘導加熱調理器に搭載可能なサーモパイルセンサの構成例を説明する図である。 実施の形態1に係る誘導加熱調理器のトッププレートの透過特性を示すグラフである。 実施の形態1に係る誘導加熱調理器のトッププレートの透過特性と各温度での分光放射輝度曲線との関係を示すグラフである。 実施の形態1に係る誘導加熱調理器の左側の加熱コイルに対応して設けられた操作部及び火力表示部を説明する図である。 実施の形態1に係る誘導加熱調理器のトッププレートの放射特性を示すグラフである。 実施の形態1に係る誘導加熱調理器のバンドパスフィルターの透過特性の一例を示すグラフである。 大気の透過特性グラフである。 実施の形態1に係る誘導加熱調理器の隙間距離レベル設定テーブルである。 実施の形態1に係る誘導加熱調理器の放射率設定テーブルである。 実施の形態1に係る誘導加熱調理器の隙間距離及び放射率に基づく補正係数設定テーブルである。 実施の形態1に係る誘導加熱調理器の隙間距離判定処理を中心に説明するフローチャートである。 実施の形態1に係る誘導加熱調理器の放射率判定処理と加熱制御を中心に説明するフローチャートである。 実施の形態1に係る誘導加熱調理器の各種温度と加熱コイルへの投入電力量の一例を示すグラフである。 実施の形態2に係る誘導加熱調理器の補正係数設定テーブルである。 実施の形態2に係る誘導加熱調理器の各種温度と加熱コイルへの投入電力量の一例を示すグラフである。
以下、本発明に係る加熱調理器を、誘導加熱による加熱口を左右手前に二口と中央奥側に一口設けた、ビルトイン型(組込み型)IHクッキングヒータに適用した場合を例に説明する。なお、以下に示す図面の形態によって本発明が限定されるものではない。また、以下の説明において、理解を容易にするために方向を表す用語(例えば「上」、「下」、「右」、「左」、「前」、「後」など)を適宜用いるが、これは説明のためのものであって、これらの用語は本願発明を限定するものではない。
実施の形態1.
[加熱調理器の構成]
図1は、実施の形態1に係る誘導加熱調理器の上面図である。
誘導加熱調理器100は、本体1と、本体1の上面に配置されるトッププレート2とを有し、トッププレート2の上に載置される鍋やフライパン等の被加熱物を、本体1の内部に設けられた誘導加熱手段により加熱する。本実施の形態1では、トッププレート2の左側手前、右側手前、及び中央側奥に、それぞれ加熱口6が設けられている。なお、以降の説明では、被加熱物のことを「鍋」と称する場合がある。
本体1の上面には、加熱条件や加熱指示の入力操作を受け付ける操作部3が、各加熱口6に対応して配置されている。使用者がトッププレート2上に被加熱物である鍋やフライパンを載置し、各加熱口6に対応した操作部3に設けられた操作キーに操作入力を行うと、操作入力にしたがって誘導加熱手段により被加熱物が加熱される。加熱の進行状況や調理モードなどの設定に関する情報は、トッププレート2の上面に各加熱口6に対応して配置された液晶等を有する表示部4に表示され、加熱の火力は火力表示部5に表示される。
本体1の後方には、本体1内を冷却するための風を取り込む吸気口9a、9b(以下、吸気口9と総称する場合がある)と、本体1内の空気を排気する排気口8が設けている。本体1内に設けられた図示しない送風手段が動作すると、外部の空気が冷却風として吸気口9から本体1内に流入し、当該冷却風が本体内部の図示しない基板、素子を、誘導加熱手段である加熱コイル14、トッププレート2の下面等を冷却する。本体1の内部を冷却した後の冷却風は、排気口8から外部へと排出される。
トッププレート2の加熱口6に対応する部分には、鍋を載置する箇所を示す例えば円形の表示が印刷等によって設けられており、使用者は鍋を載置すべき場所が分かるようになっている。
本体1内において加熱口6の下側には、加熱手段である加熱コイル14が設けられている。なお、図1では、加熱コイル14の大まかな配置を破線にて図示している。加熱コイル14に高周波電流を流すことでトッププレート2上に載置された鍋に渦電流が発生し、この発生する渦電流と鍋自身の抵抗により鍋底自身が発熱するので、鍋底を直接加熱する加熱効率の良い調理を実現できる。なお、誘導加熱調理器100の加熱口6の加熱手段として電気ヒータ等の他の加熱手段を設けてもよい。
また、トッププレート2において加熱口6の内側には、平面視略円形の透過窓部7が設けられている。透過窓部7は、赤外線が透過しやすいような処理が施された領域である。例えば、トッププレート2には内部構造を外から見えにくくするための塗装13が施されているが(図2参照)、透過窓部7には、塗料の塗布量を減らす、あるいは塗料を塗布しない等の処理が施されている。このようにすることで、本体1内に設けられた後述する赤外線センサ12(図2参照)に、透過窓部7を介して赤外線が受光されやすくなる。
図2は、実施の形態1に係る誘導加熱調理器の主要部の構成と機能を説明するブロック図である。図2では、一つの加熱口6に対応する構成のみ図示しており、また、被加熱物としての鍋200も併せて図示している。
トッププレート2に設けられた加熱口6の下部には、加熱コイル14が配置されている。本実施の形態1では、加熱コイル14は、略環状の内側加熱コイル14aと、その外側に設けられた略環状の外側加熱コイル14bとを備えた二重環形状である。内側加熱コイル14aと外側加熱コイル14bとの間には略環状の隙間が設けられており、この隙間を、隙間15と称する。加熱コイル14は、加熱コイル14を収容する加熱コイル支持部16により、トッププレート2の下面との間に所定距離をおいて保持されている。
内側加熱コイル14aと外側加熱コイル14bとの隙間15内であって、加熱コイル14の上面よりも下方には、赤外線を検出すると検出した赤外線量に応じた出力を行う赤外線センサ12が設けられている。赤外線センサ12からの出力は、本体1に具備された赤外線温度検知部24に入力される。赤外線温度検知部24は、赤外線センサ12からの出力に基づいて、温度を算出する。より具体的には、記憶部21には、赤外線センサ12の出力量と、その出力量及び所定の放射率に基づいて算出された温度データとが対応付けられた温度換算表が、予め記憶されており、赤外線温度検知部24は、赤外線センサ12からの出力を受けるとこの温度換算表を参照して、温度を算出する。ここで、温度換算表に用いる放射率εの一例として、ε=1.0と設定する。
赤外線センサ12は、例えばサーモパイルセンサのような赤外線領域に対して広い波長に感度を有するものを用いる。ここで、赤外線センサ12として用いられるサーモパイルセンサの構成例を説明する。
図3は、実施の形態1に係る誘導加熱調理器に搭載可能なサーモパイルセンサの構成例を説明する図である。
図3(a)は、集光レンズ型のサーモパイルセンサ(赤外線センサ12)を示している。図3(a)に示す赤外線センサ12は、上面に設けられた凸形状の集光レンズ121と、内部に設けられたサーモパイルチップ122及び自己温度検出サーミスタ123とがパッケージ化されたものである。集光レンズ121を凸形状とすることで、赤外線センサ12の視野範囲を絞り、外乱光の影響を抑制している。
図3(b)は、内蔵ミラー集光型のサーモパイルセンサ(赤外線センサ12)である。図3(b)に示す赤外線センサ12は、上面に設けられた平板124と、平板124の下側に設けられたリフレクター125と、サーモパイルチップ122及び自己温度検出サーミスタ123とがパッケージ化されたものである。リフレクター125は、赤外線を集光するためのものであり、平板124に近づくほど広い開口となるように形成された内周面に、鏡面加工が施されている。平板124とリフレクター125との組み合わせによって赤外線センサ12の視野範囲を絞り、外乱光の影響を抑制している。
集光レンズ121及び平板124の基材としては、シリコンを用いることができる。シリコンは、赤外線領域において透過率が約50〜60%と波長依存性が小さく、また、赤外線領域での透過以外は吸収せず反射が大きく熱吸収が小さいため、温度上昇しにくい。また、シリコンは熱拡散率の高い材料であるため、基材自体が熱を吸収することによって集光レンズ121や平板124自体からの放射赤外線が赤外線量の検知に影響を与える、といったことも生じにくい。また、シリコンは熱拡散性が高いことから、集光レンズ121や平板124が赤外線を吸収し温度上昇したとしても、熱拡散することで、赤外線量の検知に影響を与えにくい。このように、集光レンズ121や平板124の基材としてシリコン基材を用いることで、トッププレート2の近傍に設けられるような使用環境においても、赤外線センサ12の集光レンズ121や平板124の温度が上昇することによる赤外線量の検知への影響が生じにくい。なお、集光レンズ121及び平板124の基材は、シリコンに限定されず、同様の透過特性や熱拡散性を有する材料であればそれを採用することができる。また、赤外線センサ12の具体的構成は図3に例示したものに限定されない。
赤外線センサ12の集光部の視野126(図2参照)は、トッププレート2に設けられている透過窓部7の開口径に対して狭い範囲である。図3(a)に示した集光レンズ121であれば検出強度が80%以上となるように凸形状の曲率を設定する。
次に、トッププレート2の透過特性と、赤外線センサ12の集光面に設けるフィルターについて説明する。
図4は、実施の形態1に係る誘導加熱調理器のトッププレートの透過特性を示すグラフである。図4のグラフは、厚さ約4mmの耐熱性の高い結晶化ガラスで構成されたトッププレート2の透過率τを一例として示している。また、図5は、実施の形態1に係る誘導加熱調理器のトッププレートの透過特性と各温度での分光放射輝度曲線との関係を示すグラフである。図5では、鍋の温度が150℃、200℃、250℃である場合の分光放射輝度曲線とトッププレート2の透過率τとを示している。
赤外線センサ12の集光面(例えば図3(a)に示したサーモパイルセンサであれば集光レンズ121)には、トッププレート2における透過率の高い波長帯域である0.6μm〜2.8μm、3.0μm〜4.5μmに透過特性を有するフィルターを用いることが、トッププレート2を透過した赤外線を効率よく検出するのに望ましいことが分かっている。特に、3.0μm〜4.5μmの波長帯域は、トッププレート2の透過率のピーク値で60%程の透過率であるが、図5に示すように鍋の温度が150℃、200℃、250℃の分光放射輝度曲線を併せて比較すると、鍋から検出できる赤外線エネルギー量の絶対値は大きいことが分かる。このため、3.0μm〜4.5μmの範囲の透過率を特に高くするために、集光レンズ121の上面と下面の少なくとも一方には、SiOやZnS、Ge、サファイヤなどの赤外領域において透過・吸収・反射、並びに異なる屈折率を有している材料で薄膜を蒸着形成し、3.0μm〜4.5μmの範囲においてピーク値で50%以上の透過特性を有し、3.0μm〜4.5μm以外の領域では0.6μm〜2.8μmの領域を除いて3.0μm〜4.5μmのピーク値の半値に及ばない透過特性を有するバンドパスフィルター構造を設ける。このようにすることで、鍋の放射エネルギーがトッププレート2を透過するエネルギーの高い波長帯域において、ノイズ耐性の高い検出が可能となる。
なお、図3(b)に示したシリコンの平板124とリフレクター125を設けたサーモパイルであれば、平板124に上述のような薄膜蒸着したバンドパスフィルターを形成することで、同様の効果が得られる。また、平板124を用いた場合、シリコン基材に薄膜蒸着によるバンドパスフィルターを形成した後に赤外線センサ12の形状に合うよう切削することで、円形にカットする以外にも六角柱や八角柱といった形状とすることも可能となり、歩留まりが改善され製造コストも抑えられる利点がある。
以下、図2の説明を続ける。
赤外線センサ12は、加熱コイル14の近傍を流れる冷却風が直接当たらないように、周囲をセンサケース18で覆われている。赤外線センサ12の周囲の雰囲気温度が一様となるように、赤外線センサ12はセンサケース18に空間距離を保ちながら保持されている。センサケース18は、加熱コイル支持部16にタッピングネジなどで止められる、あるいは加熱コイル支持部16と一部が一体で形成されるなどしており、トッププレート2と赤外線センサ12との間の距離が一定に保たれている。
本実施の形態1では、トッププレート2を透過する鍋の赤外線を検出するため、赤外線センサ12の上面部の透過窓部7には塗装13がないことが望ましい。しかしながら、透過窓部7に塗装を施さないと、トッププレート2の上面から内部の加熱コイル14や配線などが見えてしまう場合があり、意匠上望ましくない。このため、透過窓部7に塗装13を施さない場合には、加熱コイル14を保持する加熱コイル支持部16やセンサケース18に、トッププレート2の方向に向かって筒や板を設けるようにすればよく、このようにすることで加熱コイル14や配線などを外部から見えにくくすることができる。また、透過窓部7の全面を塗装13で覆うのではなく、透過窓部7に対して塗装13をドット状やストライプ状に施して塗装されていない開口部の割合を管理するようにしてもよく、このようにすることで意匠性と機能性とを担保することが可能となる。
また、内側加熱コイル14aと外側加熱コイル14bとの環状の隙間15には、サーミスタ等の接触式の温度検知手段である接触式温度センサ17が2つ設けられている(図2には一つの接触式温度センサ17のみ図示している)。2つの接触式温度センサ17は、加熱コイル14の中心部を基準に180度ずらした位置にそれぞれ設けられている。接触式温度センサ17は、トッププレート2の下面に密着するように設けられており、トッププレート2の下面の温度に応じた信号を出力する。接触式温度センサ17の出力信号は、本体1に具備されたトッププレート温度検知部25に入力される。トッププレート温度検知部25は、接触式温度センサ17からの信号に基づいて、トッププレート2の温度を検知する。本実施の形態1では、接触式温度センサ17とトッププレート温度検知部25とにより、本発明のトッププレート温度検知手段を構成している。なお、トッププレート2の温度をより正確に時間の遅れが少なく検出可能な手段であれば、サーミスタ等の接触式温度センサ17に限らず任意のものをトッププレート温度検知手段として採用することができる。
なお、本実施の形態1では、接触式温度センサ17を内側加熱コイル14aと外側加熱コイル14bとの隙間15に設ける構成としたが、接触式温度センサ17の配置はこれに限定されない。例えば、接触式温度センサ17を、外側加熱コイル14bの外周近傍に配置してもよいし、加熱コイル14の中心に配置してもよい。また、接触式温度センサ17の数は2個に限定されることはなく、1個又は2個以上であってもよい。
接触式温度センサ17の出力は、後述するように赤外線センサ12により検出された赤外線量に基づいて鍋の温度を算出する際に用いられる。このため、より精度よく鍋の温度を検出するために、接触式温度センサ17は、赤外線センサ12の近傍に設置されるのが望ましい。
なお、トッププレート2のどのような位置に被加熱物である鍋が載置されるかは不定であり、また鍋の形状も不定であるため、より広い範囲の温度を検出し、かつ低コストで実現することを優先させて、赤外線温度検知部24とトッププレート温度検知部25とを離して配置しても構わない。
接触式温度センサ17は、設置数が少ないと、トッププレート2に載置される被加熱物の位置や形状の違いによって、取得温度にばらつきが生じうる。このため、複数設けられた接触式温度センサ17の検出値の平均値や、複数の接触式温度センサ17のうち最も高い温度を出力したものの検出値を、後述する鍋の温度検出に用いるようにしてもよい。このようにすることで、接触式温度センサ17の設置数が少ない場合でも、ばらつきに強い温度検出が可能となる。
本体1に設けられている記憶部21には、操作部3にて設定した情報や、赤外線温度検知部24、トッププレート温度検知部25からの出力が入力されて記憶される。
演算部22は、例えばマイコン等で構成され、鍋の温度を算出する各種演算処理を行う。
制御部23は、操作部3の設定内容と、赤外線センサ12及び接触式温度センサ17が検出した物理的情報に基づいて検出した鍋の温度情報とに基づいて、高周波インバータ26を制御し、加熱コイル14に流れる高周波電流を制御する。このようにすることで、被加熱物の加熱制御を行う。
なお、本実施の形態1の演算部22及び制御部23は、本発明の制御手段に相当する。
図6は、実施の形態1に係る誘導加熱調理器の左側の加熱コイルに対応して設けられた操作部及び火力表示部を説明する図である。誘導加熱調理器100の左側、右側、及び中央に設けられた加熱コイル14にそれぞれ対応する操作部3及び火力表示部5は、すべて同様の構成であるので、ここでは、左側の加熱コイル14に対応して設けられた操作部3及び火力表示部5を例に説明する。
操作部3は、被加熱物を加熱する火力(投入電力)を設定するための火力設定キー31と、調理メニューを設定するためのメニューキー32とを備える。
火力設定キー31は、「弱火」キー、「中火」キー、「強火」キー、及び「3kW」キーで構成されており、使用者は、これらのキーを用いて4段階の火力(投入電力)のいずれかを設定することができるようになっている。火力に応じて個別にキーを設けることで、使用者は、必要な火力の設定を一回の操作で入力できるようになっている。
メニューキー32は、「揚げ物」キー、「予熱」キー、「煮込み」キー、及び「タイマー」キーを備える。これらのキーが押下されると、各メニューに対して予め設定され記憶部21に記憶された制御シーケンスにしたがって、被加熱物の温度が目標温度になるように制御部23が加熱制御を行う。
火力表示部5は、火力設定キー31で入力された火力や、メニューキー32で設定されたメニューに基づいて火力を複数段階に表示するものであり、火力に応じて表示態様が切り替わる。火力表示部5の表示により、動作中であることを使用者に示すことが可能である。火力表示部5は、例えば複数のLEDを有し、これらLEDの点灯状態(点灯、消灯、点滅等)を切り替える、あるいは点灯色を切り替えることにより、火力を表現する。このようにすることで、使用者が直感的に分かりやすい報知を行うことができる。
なお、図6には図示しないが、液晶画面等で構成された表示部4(図1参照)には、例えば「予熱中」や「適温到達」等の火力や経過状況、設定されているメニューの内容等に関する情報が表示される。
このような構成の誘導加熱調理器100において、例えば揚げ物調理を行う場合には、使用者は鍋内に揚げ物を行うための油を入れ、鍋をトッププレート2の加熱口6に載置する。使用者が、操作部3にて加熱開始のための操作入力を行うと、制御部23は、操作部3からの信号と鍋の推定温度とに基づいて加熱コイル14に流れる高周波電流を流し、これによって鍋が加熱される。
[鍋の温度の推定処理]
(構成)
次に、鍋の温度の推定に関連する構成について、さらに説明する。
赤外線センサ12は、上述の通り、鍋底から放射される赤外線エネルギーと、トッププレート2が熱伝導により加熱されることによってトッププレート2の下面から放射される赤外線エネルギーとを検出することとなる。
本実施の形態1では、上述の通り赤外線センサ12の視野126の範囲内であるトッププレート2の透過窓部7においては、塗装13をドットやストライプ状に施して他の部分に対して塗料を減少させることでトッププレート2の上方から加熱コイル14のコイル線が見えるなどの意匠上の不具合を防ぎ、かつ、透過窓部7内に赤外線検出値のピーク値に対して10%以上の出力が入るよう赤外線センサ12の視野を絞っている。
また、赤外線センサ12の集光面(図3に例示した集光レンズ121、平板124)の上面と下面の少なくとも一方には、ZnS、SiO、Ge等の薄膜が蒸着され、薄膜の膜厚や量により3.0μm〜4.5μmの波長帯域にピーク値で50%以上の透過率を有するバンドパスフィルターを有している。
ここで、バンドパスフィルターについて説明する。
まず、トッププレート2の放射特性は、キルヒホッフの法則[吸収率(α)+透過率(τ)+反射率(ρ)=1]により示される。トッププレート2の透過率τの透過特性は図4にて示されており、また、トッププレート2は、3.0μm〜4.5μmの領域では反射よりも吸収が大部分を占めている。
このため、上述のキルヒホッフの法則より、吸収率(α)=放射率(ε)で表され、トッププレート2の放射特性は、図7のように表される。
図4に示したようにトッププレート2は、3.0μm〜4.5μmにおける透過率の最も高いところで約60%となっており、また、赤外線センサ12は、40%程度はトッププレート2からの放射エネルギーを検出することとなる。
ただし、3.0μm〜4.5μm以外の波長領域、特にトッププレート2の放射特性の影響の大きい波長領域(4.5μm〜10μm)は、上述のバンドパスフィルターにて遮られて赤外線センサ12にほとんど受光されない。
図4の3.0μm〜4.5μmの範囲の透過特性を見て分かる通り、3.6μmを中心にその前後の波長領域では透過特性が変化している。
バンドパスフィルターの透過特性は、このようなトッププレート2の放射特性及び透過特性を考慮して決定される。
図8は、実施の形態1に係る誘導加熱調理器のバンドパスフィルターの透過特性の一例を示すグラフである。図8では、バンドパスフィルターの透過特性とトッププレート2の透過特性とを並べて表示している。バンドパスフィルターは、3.4μm〜4.2μmの範囲に最大90%程度の透過率を有するフィルターとなっている。なお、図8で例示するバンドパスフィルターは、2.8μmよりも波長の短い領域にも透過特性を有しているが、誘導加熱調理器100のトッププレート2の通常の使用温度である200℃程度であれば、トッププレート2の放射特性を考慮すると、トッププレート2から放射される赤外線エネルギーが赤外線センサ12に与える影響は小さい。このため、バンドパスフィルターが上述のような透過特性を有していても、赤外線センサ12の検知精度に与える影響は小さい。
バンドパスフィルターを用いることで、鍋の温度が80℃程度になった頃より、鍋から放射されトッププレート2を透過する赤外線エネルギーは赤外線センサ12に検出される。赤外線センサ12の検出値は、鍋の温度が高くなるにつれて指数的に増加する。ただし、上述した通り、トッププレート2の透過率が100%でない領域に対してバンドパスを掛けているため、赤外線センサ12はトッププレート2からの赤外線放射エネルギーも検出しており、トッププレート2の透過特性が波長ごとに異なる透過率を有することから、鍋からの赤外線放射エネルギー量とトッププレート2からの赤外線放射エネルギー量の比率は鍋底の温度とトッププレート2との温度条件により変化する。
なお、バンドパスフィルターを設けないとした場合、赤外線センサ12の集光部にシリコン基材を用いると、シリコンは8μmよりも短い赤外線波長領域において赤外線が約50%〜60%透過するという透過特性を有するため、トッププレート2からの赤外線エネルギーの割合に比較して非常に大きくなりうる。そうすると、検出精度について課題が生じるので、本実施の形態1の構成ではバンドパスフィルターを設けるのが好ましい。
また、バンドパスフィルターとしてトッププレート2と同一材料を用いることで、トッププレート2を透過した鍋からの赤外線エネルギーの検出が可能となる。しかし、上述の通り、トッププレート2の材質の特性上、赤外領域での吸収率が高いため、フィルター自身がトッププレート2や内部の加熱コイル14が放射する赤外線により加熱されてしまい、フィルター自身から放射される赤外線が赤外線センサ12の赤外線検知に影響してしまう結果となる。このため、フィルターに温度検知手段を設けるなどしてフィルター自身からの放射分を相殺するなどの対策が必要となり、フィルターに設ける温度検知手段等の追加によってコストが増大してしまう。このため、本実施の形態1では、上述のようなバンドパスフィルターを設けるのが好ましい。
鍋の温度とトッププレート2の温度条件とにより赤外線センサ12が検知する赤外線エネルギー量の比率が変化してくることは上述の通りであるが、鍋底の放射率も赤外線センサ12が検知する赤外線量の変動要因となっている。特に本実施の形態1のような誘導加熱調理器には、様々な放射率の鍋が載置されるため、放射率εは例えば0.1〜0.9まで様々な条件を想定しなくてはならない。この放射率εの推定方法の説明は後述するが、トッププレート2上に載置されている鍋の温度を精度よく推定するためには、トッププレート2の上に載置されている鍋の温度とトッププレート2の温度との温度差の推定を行うことと、トッププレート2上に載置されている鍋の底面放射率を推定することが望まれる。
そこで、本実施の形態1の鍋の温度の推定処理においては、赤外線温度検知部24の検出温度からトッププレート2の影響分を差し引いて鍋の温度を推定するにあたり、鍋の底面とトッププレート2の表面との間の隙間距離を推定する隙間量判定処理、及び鍋の底面の放射率の推定する放射率推定処理を行う。以下、それぞれの処理の概要を順に説明する。
(隙間量判定処理)
隙間量判定処理とは、鍋の底面とトッププレート2の表面との間の隙間距離を推定する処理である。ここで、隙間距離とは、鍋の底面とトッププレート2の表面との間の隙間の高さ距離をいい、鍋の底面がトッププレート2の表面から浮いている高さをいう。鍋の底面が反っている場合や、トッププレート2と鍋との間に物が挟まっているような場合等には、鍋底面とトッププレートとの間に隙間(空気層)ができるので、その隙間の高さ距離を検出する。
隙間距離は、トッププレート2の下面に接触配置された接触式温度センサ17の加熱初期からの出力値に基づいて判定する。熱伝導率は、例えばステンレスの鍋であれば16W/(m・K)、トッププレート2は1.5W/(m・K)であるのに対して、空気の熱伝導率は0.024W/(m・K)と非常に小さい値である。このため、鍋底とトッププレート2との隙間距離が0.5mmでも生じると、接触式温度センサ17により検知されるトッププレート2の温度上昇量は小さくなる。また、図9の大気の透過特性グラフに示されているように、大気にも透過率があり、鍋底とトッププレート2との間に空隙が生じることで、鍋から放射される赤外線量に減衰が生じる。したがって、鍋底とトッププレート2との間の隙間距離が大きければ大きいほど、トッププレート2へ到達する赤外線エネルギーが減り、接触式温度センサ17により検知される温度上昇値が小さくなる。
このため、鍋底とトッププレート2の表面との隙間距離を、接触式温度センサ17により検知される温度上昇量と、記憶部21に予め設定された図10に示す隙間距離レベル設定テーブルによって判定することができる。
隙間距離を判定する隙間量判定処理においては、加熱初期に一定の火力を投入し、所定時間後の接触式温度センサ17の温度上昇値の大きさに基づいて隙間距離を判定する。隙間距離の判定に用いる接触式温度センサ17の出力は、複数の接触式温度センサ17の出力値の平均値としてもよいし、複数の接触式温度センサ17の出力値のうち最も高い温度を示す値を用いてもよいし、複数の接触式温度センサ17の出力値のうち高温を検出する上位2つの出力値を平均した値を用いてもよい。このように複数の接触式温度センサ17の出力値を用いることで、温度検出のばらつきを抑制することが可能となる。
また、隙間距離の判定を加熱初期に行うこととしたのは、揚げ物調理で用いられる鍋内の油の特性を考慮したものである。すなわち、揚げ物調理で油を用いる場合、油の粘性は高く、火力投入後もほぼ対流することなくほぼ一定に温度上昇する。油温が上がるにつれて粘性は小さくなり対流し始めるとともに熱が拡散していくが、所定時間、例えば50秒程度の加熱であれば、油量の大小にかかわらず鍋底部分はほぼ一定の上がり方となる。
このように、鍋底とトッププレート2との空隙の高さである隙間距離を、加熱初期から所定時間一定火力で加熱した際の接触式温度センサ17の温度上昇値を用いて推定することができる。
(放射率推定処理)
本実施の形態1では、鍋底の放射率は、加熱開始から所定時間経過後の赤外線温度検知部24により検知される温度上昇値により判断される。赤外線温度検知部24の所定時間での温度上昇値を比較すると、放射率が高い鍋底においては温度上昇値が大きくなり、放射率が低い鍋底は温度上昇値が小さくなるため、このことを利用して鍋底の放射率を判定する。
本実施の形態1では、放射率の推定処理を、加熱初期ではなく加熱開始から所定の第一時間経過後(例えば50秒後)に開始し、その後所定の第二時間経過後(例えば30秒後)に赤外線温度検知部24により検出される温度上昇値に基づいて行う。所定の第一時間経過後に開始するのは、本実施の形態1にて使用している赤外線センサ12には、3.0μm〜4.5μm帯域のバンドパスフィルターを用いているので、鍋温度が80℃程度にならないと赤外線センサ12の出力値が増加してこないからである。したがって、赤外線センサ12の受光する波長を考慮して、第一時間の具体的数値を決定するとよい。
また本実施の形態1では、上述の隙間量判定処理が終了した後に、赤外線温度検知部24により検出される温度上昇値に基づいて、鍋の放射率を推定する。隙間量判定が終了した後から赤外線温度検知部24を用いた鍋の放射率の判定を開始することで、既知となった隙間距離を利用して、赤外線温度検知部24により検知される情報を補正して、温度上昇値の検出精度を向上させることができる。すなわち、トッププレート2からの放射割合は、隙間距離が無い(小さい)場合には大きく、隙間距離が大きい場合には小さいということを利用し、これらの情報を、赤外線温度検知部24の検知結果に反映させる。より具体的には、隙間距離と、隙間距離を利用して得た赤外線温度検知部24の出力値の補正値の上昇量とに基づいて、記憶部21に予め記憶された図11の放射率設定テーブルを参照して、放射率を導出する。なお、隙間量判定処理が終了する前から赤外線温度検知部24による測定を開始し、その測定結果に、鍋の隙間距離判定の結果をフィードバックしてもよい。
なお、図9にて示した大気の透過率の影響であるが、本実施の形態1にて使用しているバンドパスフィルターの波長帯域(図4参照)では、大気による赤外線の減衰影響はほとんどなく、鍋底が浮いて鍋底と赤外線センサ12との距離が離れたとしても、問題なくばらつきのない検出が可能となる。
(鍋温度推定処理)
誘導加熱調理器100の制御部23は、赤外線温度検知部24とトッププレート温度検知部25の出力値に基づいて鍋の温度を推定し(推定した鍋の温度を「鍋温度推定値Tn」という)、その推定鍋温度が、操作部3にて設定された目標温度や調理メニューに応じて設定されている目標温度に対応した鍋の温度(「被加熱物目標値」という)となるように、高周波インバータ26を制御して加熱コイル14に供給する高周波電力を制御する。
ここで、上述のように隙間距離と放射率の違いによって、赤外線センサ12が受光する赤外線エネルギー量のうち、トッププレート2から放射される赤外線エネルギー量と、鍋から放射されトッププレート2を透過した赤外線エネルギー量とが占める割合が異なる。そこで、鍋温度推定値Tnを算出するにあたっては、算出した隙間距離と放射率とに基づいて、図12に示す補正係数設定テーブルから補正係数α、βを導出し、次の式(1)により鍋温度推定値Tnを推定する。
鍋温度推定値Tn=α×IR−β×TH ・・・(1)
ただし、式(1)の符号は以下の通りである。
IR:赤外線温度検知部24の出力値
TH:トッププレート温度検知部25の出力値
α:第一補正係数
β:第二補正係数
式(1)に示すように、本実施の形態1では、赤外線温度検知部24の出力値に補正係数α(第一補正係数)を掛け合わせてこれを赤外線温度補正値とし、また、トッププレート温度検知部25の出力値に補正係数β(第二補正係数)を掛け合わせてこれをトッププレート温度補正値としている。そして、赤外線温度補正値からトッププレート温度補正値を差し引くことで、鍋の鍋温度推定値Tnを得ている。なお、鍋温度推定値Tnは、本発明の第一被加熱物温度に相当する。
従来、赤外線センサ12が検出する鍋から放射されトッププレート2を透過する赤外線エネルギーと、トッププレート2から放射される赤外線エネルギーからトッププレート温度検知部25により得られたトッププレート2から放射される赤外線エネルギーを差し引く場合のエネルギー計算は、ステファン・ボルツマンの式に導かれるように出力温度に対して4乗の計算と放射率の掛け合わせが必要であった。
しかしながら、マイコンなどの演算部22による4乗の計算は負荷が大きくなるため、本実施の形態1では、実験結果から求めた上記簡略的な式(1)を採用している。
図12に示す補正係数テーブルは、隙間距離(mm)と放射率との組み合わせと、補正係数α(第一補正係数)と補正係数β(第二補正係数)とを組み合わせたテーブルである。図12に示すように、同じ放射率の場合、隙間距離が大きい場合には小さい場合よりも補正係数β(第二補正係数)が小さい値となっている。これは、鍋底とトッププレート2との空隙が大きいほど、温度が安定した際の鍋底とトッププレート2との温度差が大きく、トッププレート2から放射される赤外線の割合が小さいことを示している。したがって、隙間距離が大きいほど、トッププレート温度検知部25の出力値に掛ける補正係数βを小さくすることで、鍋温度推定値Tnを算出するにあたってトッププレート2の影響分を差し引く量を減らしている。なお、補正係数βを小さくすることに代えて、補正係数αを大きくしても同様の効果を得ることができる。
また、図12に示すように、同じ隙間距離レベルであるときには、放射率が低い場合には高い場合よりも補正係数α(第一補正係数)は大きい値となっている。これは、放射率が低いほど鍋底から放射される赤外線エネルギーが小さくなり、トッププレート2を透過する赤外線量が小さく、増幅補正する必要があるためである。また、同様の理由により、同じ隙間距離レベルであるときには、放射率が低い場合には高い場合よりも補正係数β(第二補正係数)は小さい値となっている。このようにすることで、鍋温度推定値Tnを算出するにあたってトッププレート2の影響分を差し引く量を減らしている。
以上のように、判定した結果から決定した補正係数αを赤外線温度検知部24の出力値に掛け合わせるとともに、補正係数βをトッププレート温度検知部25の出力値に掛け合わせる演算をすることで、鍋底の温度を推定することができる。
なお、図12に示す補正係数設定テーブルは、予め実験等により求めた値により構成されており、記憶部21に記憶されているものである。
このようにして鍋温度推定値Tnを推定し、この鍋温度推定値Tnが被加熱物目標値に到達するように、制御部23は加熱コイル14に電力を投入していくのである。
(過加熱抑制用温度推定処理)
上述のように隙間距離と放射率とを用いることで精度よく鍋温度推定値Tnを算出することができるのであるが、例えば、トッププレート2が既に高温の状態で加熱を開始する場合もありトッププレート2の初期温度は一定ではなく、また、底面に凹凸を有する異形の鍋や板厚の薄い鍋等、不定の構造の鍋も使用されうる。そうすると、トッププレート2に与える放射や熱伝導形態が変化し、隙間距離や放射率が誤って検知され、算出した鍋温度推定値Tnに対して実際の鍋の温度が高温となり、例えば揚げ物調理中であれば油の温度が過度に高温化するおそれもある。
このようなイレギュラーな場合を考慮し、本実施の形態1では、上述のような加熱制御と並行して、過度の加熱を回避、抑制するための処理を実行する。
具体的には、演算部22は、赤外線温度検知部24の出力値とトッププレート温度検知部25の出力値を、図12に示す補正係数設定テーブルから補正係数γ、βを導出し、次の式(2)により過加熱監視温度Temを推定する。
過加熱監視温度Tem=γ×IR−β×TH ・・・(2)
ただし、式(2)の符号は以下の通りである。
IR:赤外線温度検知部24の出力値
TH:トッププレート温度検知部25の出力値
γ:第三補正係数
β:第二補正係数
式(2)に示すように、本実施の形態1では、赤外線温度検知部24の出力値に補正係数γ(第三補正係数)を掛け合わせてこれを第二の赤外線温度補正値とし、また、トッププレート温度検知部25の出力値に補正係数β(第二補正係数)を掛け合わせてこれをトッププレート温度補正値としている。そして、第二の赤外線温度補正値からトッププレート温度補正値を差し引くことで、過加熱監視温度Temを得ている。なお、過加熱監視温度Temは、本発明の第二被加熱物温度に相当する。
図12に示すように、第三補正係数γは、鍋温度推定値Tnの算出に用いた第一補正係数αよりも大きい値である。したがって、過加熱監視温度Temは、鍋温度推定値Tnよりも大きい値となる。
そして、制御部23は、過加熱監視温度Temが、予め設定された過加熱抑制閾値に達すると、加熱を停止あるいは火力を低下させる。すなわち、制御部23は、基本的には鍋温度推定値Tnに基づいて火力の大小を制御するのであるが、加熱を停止あるいは火力を低下させるための条件の一つとして過加熱監視温度Temの値を用いる。
図12に示す補正係数α、βを用いて鍋温度推定値Tnを算出した場合において、隙間距離及び放射率に誤検知が生じたときに、鍋温度推定値Tnと実際の鍋温度との間に最も大きな乖離が生じるのは、実際には<隙間距離が大きく放射率が低い>のに対し、<隙間距離が小さく放射率が高い>と判定した場合である。この場合、赤外線温度検知部24の出力値は最も小さいのに対して、補正係数αも最も小さく、鍋温度推定値Tnが被加熱物目標値に到達したと判断される前に、実際の鍋の温度が被加熱物目標値よりも高くなってしまう。そこで、図12に示すように、補正係数γは、隙間距離及び放射率に誤検知が生じた場合に、鍋温度推定値Tnと実際の鍋温度との間に最も大きな乖離が生じる<隙間距離が小さく放射率が高い>という条件(図12の上から2行目)において、最も大きい値を設定している。このようにすることで、仮に隙間距離と放射率を誤判定した場合でも、過加熱監視温度Temが相対的に早く過加熱抑制閾値に到達して加熱が停止される。
[加熱調理器の加熱制御動作]
次に、被加熱物の温度を目標温度に略一定に保つための加熱制御と被加熱物の温度を検知する被加熱物温度検知処理について、揚げ物調理を例に図13、図14のフローチャートを参照して説明する。図13は、実施の形態1に係る誘導加熱調理器の隙間距離判定処理を中心に説明するフローチャートである。
トッププレート2の加熱口6には、油を入れられた被加熱物である鍋が載置されているものとする。
図13において、電源がONされ(S101)、操作部3のメニューキー32にて揚げ物モードが選択されると(S102)、制御部23は、目標温度を決定する(S103)。揚げ物の温度は、料理メニュー(例えば、「てんぷら」、「とんかつ」、「から揚げ」等)によって異なるため、このような料理メニューが設定された場合にはその料理メニューに対応した温度を目標温度とする。
そして、鍋が加熱口6上に載置されていることを確認した使用者により加熱開始の指示が操作部3に入力されると、制御部23は、高周波インバータ26を駆動制御して加熱コイル14に高周波電流を供給し、加熱を開始する(S104)。
制御部23は、加熱を開始した際のトッププレート温度検知部25の出力値TH_t0を、Tth0として記憶部21に記憶させ、タイマーカウンタをスタートする(S105)。また、制御部23は、高周波インバータ26を制御して所定量、所定周波数の高周波電流を投入し、そのときに検出される電流値により鍋のインピーダンスを測定することで、トッププレート2上に載置されている鍋が使用可能な鍋であるか否か判定する。制御部23は、このような鍋の材質判定処理を実行した後、使用可能な鍋であれば、火力1.5kWを投入する(S106)。なお、図示しないが、鍋の材質判定処理により使用不可能な鍋がトッププレート2に載置されていると制御部23が判定した場合には、加熱を行わず、使用不可能な鍋であることを表示部4を用いて報知する。
制御部23は、タイマーカウンタが所定の第一時間(本実施の形態1では50秒)が経過するまで加熱コイル14に1.5kWを投入し、所定の第一時間(50秒)が経過すると(S107;Yes)、そのときのトッププレート温度検知部25の出力値TH_t50を、Tth50として記憶部21に記憶させる(S108)。
演算部22は、加熱を開始した際のトッププレート温度検知部25の出力値であるTth0と、50秒後のトッププレート温度検知部25の出力値であるTth50との差ΔTthを算出する(S109)。
次に、演算部22は、ステップS109で算出したΔTthを、図10に例示する隙間距離レベルテーブルと対比して鍋の隙間距離を判定する隙間量判定処理を行う(S110)。図10に示す隙間距離レベルテーブルは、加熱開始時と加熱開始から所定時間後の温度差ΔTthと、隙間距離(mm)と、隙間距離のレベルとを対応付けたテーブルである。隙間距離レベルテーブルは、実験等によって得た値のテーブルであり、予め記憶部21に記憶されているものである。本実施の形態1では、鍋の浮き量(隙間距離)を、レベルG0〜G6までの7段階に分けている。隙間量判定処理が終了すると、制御部23は、隙間距離レベルに応じて処理を分岐する(S111、S112、・・・S117)。
ここでは、ステップS110にて判定した隙間距離がレベルG0である場合について、図14を参照して説明する。図14は、実施の形態1に係る誘導加熱調理器の放射率判定処理と加熱制御を中心に説明するフローチャートである。なお、隙間距離がレベルG1〜G7である場合については、本実施の形態1では詳細な説明を行わないが、以下に示す隙間距離がレベルG0である場合と同様の処理を実行する。
図14に示すように、制御部23は、火力を1.0kWに変更する(S201)。すなわち、加熱を開始(図13のステップS106)してから所定の第一時間(実施の形態1では50秒)が経過すると、火力を低下させる。
次に、制御部23は、このときの赤外線温度検知部24の出力IR_t50を、Tir50として記憶部21に記憶させ、タイマーカウンタをスタートさせる(S202)。
所定の第二時間(実施の形態1では30秒)が経過すると(S203;Yes)、制御部23は、このときの赤外線温度検知部24の出力IR_t80を、Tir80として記憶部21に記憶させる(S204)。
演算部22は、Tir80とTir50との差分値である差ΔT_IRを算出する(S205)。
次に、演算部22は、ステップS205で算出したTir80とTir50との差分値ΔT_IR(すなわち、加熱開始50秒後から80秒後の間の上昇値)と、図11に例示する差分値の閾値(ΔIRの閾値)とを対比して鍋の放射率を推定する放射率推定処理を行う(S206)。鍋の隙間距離に応じてトッププレート2からの赤外線の影響が異なるため、放射率を推定する際の閾値は、図11に示すように、鍋の隙間距離レベルに応じて異なる値を用いている。例えば、隙間距離がレベルG0である場合には、ステップS205で算出したΔT_IRと、レベルG0に対応するΔIRの閾値(40℃)とを対比することにより、鍋の放射率を推定する。なお、図11に示すテーブルは、実験等によって得た値のテーブルであり、予め記憶部21に記憶されているものである。
次に、演算部22は、ステップS109で判定した隙間距離と、ステップS206で判定した鍋底の放射率とに基づいて、図12の補正係数テーブルを参照して、補正係数α、βを決定する(S207)。
次に、演算部22は、ステップS207で決定した補正係数α、βを用いて、トッププレート2の上に載置されている鍋の温度を、上述の式(1)を用いて推定する(S208)。これ以降ステップS216に至るまで、演算部22は上述の式(1)を用いて鍋温度推定値Tnを所定周期で検出する。
そして、制御部23は、鍋温度推定値Tnが、被加熱物目標値(180℃)よりも50℃低い130℃に到達しているか判定し(S209)、到達した段階で火力を1.25kWに低下させる(S210)。次に、制御部23は、鍋温度推定値Tnが、被加熱物目標値(180℃)よりも30℃低い150℃に到達しているか判定し(S211)、到達した段階で火力を1.0kWに低下させる(S212)。次に、制御部23は、鍋温度推定値Tnが、被加熱物目標値(180℃)よりも10℃低い値で170℃に到達しているか判定し(S213)、到達した段階で火力を0.8kWに低下させる(S214)。制御部23は、鍋温度推定値Tnが被加熱物目標値に到達すると(S215;Yes)、表示部4やブザー、スピーカ等の音声報知部(図示なし)を用いて、予熱が終了したことを報知する(S216)。図14で例示した具体的な数値は一例であるが、このように鍋温度推定値Tnが被加熱物目標値に近づくにつれて火力を徐々に低下させる(S209〜S214)ことで、鍋を被加熱物目標値に到達させる際に、被加熱物目標値よりも高い温度に上昇させてしまうこと、いわゆるオーバーシュートを抑制することができる。
また、ステップS208〜S215の処理と並行して、演算部22は、ステップS207で決定した補正係数γ、βと上述の式(2)を用いて、過加熱監視温度Temを推定する(S301)。そして、制御部23は、過加熱監視温度Temと予め設定された過加熱抑制閾値(本実施の形態1では290℃)とを比較する(S302)。過加熱監視温度Temが過加熱抑制閾値に到達していなければ(S302;No)、ステップS301とステップS302とを繰り返す。一方、過加熱監視温度Temが過加熱抑制閾値に到達すると(S302;Yes)、表示部4やブザー、スピーカ等の音声報知部(図示なし)を用いて、予熱が終了したことを報知する(S216)。これに加えてあるいはこれに代えて、過加熱監視温度Temが過加熱抑制閾値に到達した場合には、表示部4や音声報知部を用いて不具合が生じたことを使用者に報知して、加熱を停止(あるいは火力を低下)させてもよい。
図15は、実施の形態1に係る誘導加熱調理器の各種温度と加熱コイルへの投入電力量の一例を示すグラフである。図15では、実際の鍋の状態が<隙間距離レベル大(G6)、かつ放射率:低>である場合において、隙間距離及び放射率が正しく判定されたとき(図15(a))と、誤判定されたとき(図15(b))を対比して示している。
図15(a)に示すように、隙間距離及び放射率が正しく判定されたときには、加熱に伴って鍋の実際の温度が上昇すると、誘導加熱調理器100にて推定する鍋温度推定値Tnも実際の鍋の温度と同様に上昇していく。そして、鍋温度推定値Tnが被加熱物目標値(図15の例では180℃)に到達すると、加熱コイル14への投入電力が小さくなって現状の温度が維持される。この場合、過加熱監視温度Temは、過加熱抑制閾値(図15の例では290℃)に到達せず、鍋温度推定値Tnが被加熱物目標値に到達する前に加熱が停止することはない。
図15(b)に示すように、隙間距離及び放射率が誤判定されたときには、加熱に伴って鍋の実際の温度が上昇していくが、鍋温度推定値Tnは実際の鍋温度よりも低い値として算出されている。このため、鍋温度推定値Tnに基づいて加熱コイル14に投入される電力量は、図15(a)と比べて大きくなり、鍋温度推定値Tnが被加熱物目標値(180℃)に達する前に、実際の鍋の温度が上昇して被加熱物目標値(180℃)に到達する。このままの加熱を継続すると鍋が過度に高温化することとなるが、過加熱監視温度Temが上昇して過加熱抑制閾値に到達することにより、加熱量が低下することとなる。
以上のように本実施の形態1では、鍋底とトッププレート2との隙間距離と、鍋底の放射率とに基づいて導出した補正係数α、βにより、赤外線温度検知部24の出力値とトッププレート温度検知部25の出力値とを補正し、補正後の赤外線温度検知部24の温度から補正後のトッププレート温度検知部25の温度を差し引くことで、鍋底の温度を検知する。このため、トッププレート2の上に載置されている鍋が浮いたり反ったりしている場合でも、精度よく鍋底の温度を検知することができる。このように検知された精度のよい温度情報に基づいて加熱コイル14への高周波電力の通電を制御することができるので、無駄な加熱や加熱不足を抑制することのできる加熱調理器を得ることができる。
また、本実施の形態1では、上記のような被加熱物温度推定処理及びその結果に基づく加熱制御と並行して、補正係数αよりも大きい値である補正係数γにより赤外線温度検知部24の出力値を補正して過加熱監視温度Temを算出し、この過加熱監視温度Temが過加熱抑制閾値に達した場合には加熱を停止する、あるいは火力を低下させるようにした。このため、隙間距離や放射率を誤判定した場合でも、鍋が過度に高温化するのを抑制することができる。
実施の形態2.
本実施の形態2で示す誘導加熱調理器は、基本的な構成は実施の形態1と同様である。上述の実施の形態1では、揚げ物調理メニューを例に被加熱物の温度を略一定に保つ場合の動作制御を説明したが、本実施の形態2では、使用者が自ら火力を設定するマニュアル操作で加熱を行う場合の動作制御を説明する。本実施の形態2では、実施の形態1との相違点を中心に説明する。
マニュアル操作で加熱を行う場合には、実施の形態1で示したような鍋の温度を略一定に保つための制御は行わない。すなわち、マニュアル操作においては、鍋温度推定値Tnを算出してこれが被加熱物目標値に到達するように加熱制御を行う、といった動作ではなく、制御部23は基本的には、火力設定キー31で設定された火力が得られるように加熱コイル14に高周波電力を供給するという動作制御を行う。
しかし、マニュアル操作で加熱を行う場合においても、鍋の放射率や隙間距離等の条件によっては、鍋が過度に加熱されることもあり得る。そこで、本実施の形態2の誘導加熱調理器100は、設定された火力が得られるように通電制御を行いつつ、鍋が過度に高温化するのを抑制するための制御を行う。
具体的には、演算部22は、赤外線温度検知部24の出力値及びトッププレート温度検知部25の出力値と、図16に示す補正係数δ、ηとを用いて、次の式(3)により通常モード用の過加熱監視温度Tr_emを推定する。
過加熱監視温度Tr_em=δ×IR−η×TH ・・・(3)
ただし、式(3)の符号は以下の通りである。
IR:赤外線温度検知部24の出力値
TH:トッププレート温度検知部25の出力値
δ:第四補正係数
η:第五補正係数
式(3)に示すように、本実施の形態2では、赤外線温度検知部24の出力値に補正係数δ(第四補正係数)を掛け合わせてこれを赤外線温度補正値とし、また、トッププレート温度検知部25の出力値に補正係数η(第五補正係数)を掛け合わせてこれをトッププレート温度補正値としている。そして、赤外線温度補正値からトッププレート温度補正値を差し引くことで、通常モード用の過加熱監視温度Tr_emを得ている。
そして、制御部23は、所定周期で算出される通常モード用の過加熱監視温度Tr_emの値と過加熱抑制閾値とを比較し、通常モード用の過加熱監視温度Tr_emが過加熱抑制閾値に到達すると、加熱を停止するあるいは火力を低下させる。
補正係数δ、ηは、放射率が低く隙間距離が大きい条件下であっても、鍋の温度が過度な高温(例えば330℃)に至ることなく、また、放射率が高く隙間距離がない条件下であっても、例えば炒め物調理で必要な温度(例えば250℃)よりも低い温度で加熱を停止したり火力を低下させたりといったことが生じないような値に設定されている。このようにすることで、鍋の過度な高温化や、不要に火力が低下することによって使用者に不具合感を与えるのを抑制することができる。
ところで、上記式(3)により算出する通常モード用の第四補正係数δ、第五補正係数ηは、実施の形態1とは異なり、実際の鍋とトッププレート2との隙間距離や鍋の放射率を算出して導出するのではなく、予め定められた値となっている。補正係数δ、ηは、隙間距離が大きい場合と小さい場合の両条件においても妥当な通常モード用の過加熱監視温度Tr_emが得られるように、両条件の中間条件にて実験等により導出するのが好ましい。
しかし、実際の鍋の隙間距離が大きいためにトッププレート2と鍋底との温度差が大きく、かつ鍋の放射率が小さい場合には、赤外線センサ12に到達する赤外線エネルギーは相対的に小さくなるため、通常モード用の過加熱監視温度Tr_emの値も小さくなる。
仮にこのような条件において高火力で空焼きが行われた場合、例えば数十秒で鍋の表面温度は300℃を超えてしまう可能性がある。そうすると、鍋の表面にフッ素加工が施されている場合にはそのフッ素加工が剥がれ、また、鍋が変形してしまうおそれもある。
そこで、本実施の形態2では、例えば実際の鍋の放射率が低く鍋底とトッププレート2との間の隙間距離が大きい場合においてもフライパンの空焼き等を効果的に抑制するため、演算部22は、赤外線温度検知部24の出力値及びトッププレート温度検知部25の出力値と、図16に示す補正係数ζ、ηとを用いて、次の式(4)により空焼き監視温度Tr_frを推定する。
空焼き監視温度Tr_fr=ζ×IR−η×TH ・・・(4)
ただし、式(4)の符号は以下の通りである。
IR:赤外線温度検知部24の出力値
TH:トッププレート温度検知部25の出力値
ζ:第六補正係数
η:第五補正係数
式(4)に示すように、本実施の形態2では、赤外線温度検知部24の出力値に補正係数ζ(第六補正係数)を掛け合わせてこれを赤外線温度補正値とし、また、トッププレート温度検知部25の出力値に補正係数η(第五補正係数)を掛け合わせてこれをトッププレート温度補正値としている。そして、赤外線温度補正値からトッププレート温度補正値を差し引くことで、空焼き監視温度Tr_frを得ている。
図16に示すように、第六補正係数ζは、通常モード用の過加熱監視温度Tr_emの算出に用いた第四補正係数δよりも大きい値である。したがって、空焼き監視温度Tr_frは、通常モード用の過加熱監視温度Tr_emよりも大きい値となる。
そして、制御部23は、所定周期で算出される空焼き監視温度Tr_frの値と過加熱抑制閾値とを比較し、空焼き監視温度Tr_frが過加熱抑制閾値に到達すると、加熱を停止するあるいは火力を低下させる。
空焼き監視温度Tr_frの算出に用いる補正係数ζは、通常モード用の過加熱監視温度Tr_emの算出に用いる補正係数δより大きい値であるため、鍋の放射率が低く隙間距離が大きい場合に、鍋が過度に加熱されているか否かをより感度よく検出することができる。
なお、通常モード用の過加熱監視温度Tr_em及び空焼き監視温度Tr_frは、本発明の第三被加熱物温度に相当する。
制御部23は、マニュアル操作で加熱を行う場合において、通常モード用の過加熱監視温度Tr_emを用いた判定と、空焼き監視温度Tr_frを用いた判定とを、切り替えて実行する。というのは、空焼き監視温度Tr_frを用いた判定の場合、実際の鍋の放射率が低く隙間距離が大きい場合においては、より効果的に空焼きを検出できるが、実際の鍋の放射率が高い場合や隙間距離が小さい場合には、比較的低温で空焼きと判定されて加熱停止や火力低下してしまい使用者に不具合感を与えうるためである。また、通常モード用の過加熱監視温度Tr_emを用いた判定の場合、実際の鍋の放射率が高い場合や隙間距離が小さい場合においては、効果的に鍋の過度な高温化を検出できるが、実際の鍋の放射率が低く隙間距離が大きい場合においては、上述の通り空焼き状態の検出が遅れうるためである。
通常モード用の過加熱監視温度Tr_emを用いた判定と、空焼き監視温度Tr_frを用いた判定との切り替えは、トッププレート温度検知部25の出力値に基づいて行う。これは、実際の鍋の放射率が低く隙間距離が大きい場合(鏡面加工の鍋がトッププレート2から浮いている場合)以外において、加熱を行うと、通常、鍋底からの熱伝導や赤外線放射によってトッププレート2の温度は相対的に高くなるためである。したがって、トッププレート2の温度より<放射率が低く隙間距離が大きい場合>であるか否かが判定可能である。通常モード用の過加熱監視温度Tr_emを用いた判定と、空焼き監視温度Tr_frを用いた判定とを切り替えるためのトッププレート温度検知部25の温度の閾値(判定切替閾値)は、例えば、湯沸かしでも問題をきたさないように100℃以下の温度にするのが好ましい。
なお、空焼き監視温度Tr_frの算出において、トッププレート温度検知部25の出力値に掛ける第五補正係数ηは、通常モード用の過加熱監視温度Tr_emの算出に用いるものと同じ値としている。このようにしているのは、空焼き監視温度Tr_frを用いるのは、トッププレート2の温度が上がりにくい条件(放射率が低く隙間距離が大きい)のときであり、トッププレート温度検知部25の出力値に掛ける補正係数を変更しても、検出精度の向上に与える影響が小さいことが分かったためである。
図17は、実施の形態2に係る誘導加熱調理器の各種温度と加熱コイルへの投入電力量の一例を示すグラフである。図17は、空焼き用の空焼き監視温度Tr_frと通常モード用の過加熱監視温度Tr_emとを切り替えるための判定切替閾値を70℃とした条件において、火力設定キー31を用いた火力設定によりフライパンを用いて炒め物を行った実験のデータを示している。使用しているフライパンは、鍋底とトッププレート2の表面との隙間距離が1.0mm、鍋底の放射率ε=0.18、火力が2000Wの条件である。
図17に示すように、フライパンは加熱開始から2.0kWにて空焼き状態で加熱されており、フライパンの表面温度は急上昇する。加熱初期のトッププレート2の温度が低い条件(トッププレート温度検知部25の出力値TH≦70℃)においては、第六補正係数ζを用いた空焼き監視温度Tr_frを用いた判定が行われる。なお、図17では、通常モード用の過加熱監視温度T_emについても破線Yで仮想的に示している。そして、加熱開始からの時間T1にて、空焼き監視温度Tr_frが過加熱抑制閾値(290℃)に達したため、加熱コイル14への投入電力が抑制されている。このとき、フライパンの表面温度も、290℃に近づいているが、空焼き監視温度Tr_frを用いた判定により投入電力を低下させることで、空焼きの発生が抑制され、フライパンのフッ素加工の破損や変形を抑制することができる。投入電力の低下により、フライパン表面温度はやや低下傾向を示している。
そして、時間T2でトッププレート温度検知部25の出力値が判定切替閾値(70℃)を超えると、空焼き監視温度Tr_frを用いた判定から、通常モード用の過加熱監視温度Tr_emを用いた判定に切り替わる。そうすると、通常モード用の過加熱監視温度Tr_emは、空焼き監視温度Tr_frよりも小さく過加熱抑制閾値(290℃)に達しない。このため、制御部23は、加熱コイル14への投入電力を、設定値である2000Wに復帰させている。トッププレート温度検知部25の出力値THは、判定切替閾値(70℃)を超えた状態であるため、その後も通常モード用の過加熱監視温度Tr_emを用いた判定が行われる。なお、図17に示す破線Xは、空焼き監視温度Tr_frを仮想的に示したものである。
時間T3において、使用者が火力を1500Wに変更し、食材をフライパンに投入している。そうすると、フライパンの表面温度が低下するとともに、赤外線温度検知部24の出力値IR、トッププレート温度検知部25の出力値TH、及び通常モード用の過加熱監視温度Tr_emも低下している。
以上のように、本実施の形態2では、赤外線温度検知部24の出力値とトッププレート温度検知部25の出力値にそれぞれ、隙間距離と鍋の放射率に関する実験により予め得た補正係数を掛けて補正し、補正後の赤外線温度検知部24の温度から補正後のトッププレート温度検知部25の温度を差し引くことで、過加熱状態を監視するための過加熱監視温度(過加熱監視温度Tr_em、及び空焼き監視温度Tr_fr)を算出した。そして、この過加熱監視温度が過加熱抑制閾値に達した場合には、加熱を停止あるいは火力を低下させるようにした。このため、マニュアル操作による加熱において、鍋が過度に高温化するのを抑制することができる。
また、本実施の形態2では、感度に違いのある2種類の過加熱監視温度(通常モード用の過加熱監視温度Tr_emと、空焼き監視温度Tr_fr)を切り替えて、上記の判定を行うようにした。このため、鍋の放射率や隙間距離の異なる条件においても、調理時の火力が不要に下がるといった不具合感を抑制し、また、鍋の過度な高温化を抑制することができる。
1 本体、2 トッププレート、3 操作部、4 表示部、5 火力表示部、6 加熱口、7 透過窓部、8 排気口、9 吸気口、12 赤外線センサ、13 塗装、14 加熱コイル、14a 内側加熱コイル、14b 外側加熱コイル、15 隙間、16 加熱コイル支持部、17 接触式温度センサ、18 センサケース、21 記憶部、22 演算部、23 制御部、24 赤外線温度検知部、25 トッププレート温度検知部、26 高周波インバータ、31 火力設定キー、32 メニューキー、100 誘導加熱調理器、121 集光レンズ、122 サーモパイルチップ、123 自己温度検出サーミスタ、124 平板、125 リフレクター、126 視野、200 鍋。

Claims (3)

  1. 被加熱物が載置されるトッププレートと、
    前記トッププレートの下に配置された加熱手段と、
    前記被加熱物の目標温度を設定する操作手段と、
    前記トッププレートの下に設けられ、上方から放射される赤外線を検知する赤外線センサと、
    前記赤外線センサの出力値を温度換算する赤外線温度検知手段と、
    前記トッププレートの温度を検知するトッププレート温度検知手段と、
    前記赤外線温度検知手段と前記トッププレート温度検知手段の検知結果に基づく演算を行い、この演算結果に基づいて前記加熱手段を制御する制御手段と、
    前記加熱手段による加熱を開始してからの前記トッププレート温度検知手段の出力値の上昇量に基づいて、前記トッププレートの表面と前記被加熱物の底面との間の距離である隙間距離を算出する隙間距離演算部と、
    前記加熱手段による加熱を開始して第一時間が経過したときの前記赤外線温度検知手段の出力値に対する、前記第一時間が経過した後に第二時間が経過したときの前記赤外線温度検知手段の出力値の上昇量と、前記隙間距離とに基づいて、前記被加熱物の底面の放射率を算出する放射率演算部とを備え、
    前記制御手段は、
    前記赤外線温度検知手段の出力値に第一補正係数を掛けて得た赤外線温度補正値から、前記トッププレート温度検知手段の出力値に第二補正係数を掛けて得たトッププレート温度補正値を差し引くことによって、第一被加熱物温度を推定する被加熱物温度推定処理と、
    前記赤外線温度検知手段の出力値に前記第一補正係数よりも大きい値である第三補正係数を掛けて得た赤外線温度補正値から、前記トッププレート温度補正値を差し引くことによって、第二被加熱物温度を推定する過加熱抑制用温度推定処理と、を実行し、
    前記第一被加熱物温度が、前記操作手段により設定された目標温度に対応する被加熱物の温度である被加熱物目標値になるように、前記加熱手段を制御し、
    前記第二被加熱物温度が、予め設定された前記被加熱物目標値よりも高い温度である第一過加熱抑制閾値を超えた場合には、前記加熱手段による加熱を停止させるあるいは火力を低下させる制御を行い、
    前記第一補正係数及び前記第二補正係数の少なくとも一方は、
    前記隙間距離又は前記放射率に応じて、予め記憶された値の中から選択されるものである
    ことを特徴とする加熱調理器。
  2. 前記第一補正係数及び前記第二補正係数の少なくとも一方は、
    前記隙間距離及び前記放射率に応じて、予め記憶された値の中から選択される
    ことを特徴とする請求項記載の加熱調理器。
  3. 被加熱物が載置されるトッププレートと、
    前記トッププレートの下に配置された加熱手段と、
    前記加熱手段へ投入する電力の目標値である目標電力をする操作手段と、
    前記トッププレートの下に設けられ、上方から放射される赤外線を検知する赤外線センサと、
    前記赤外線センサの出力値を温度換算する赤外線温度検知手段と、
    前記トッププレートの温度を検知するトッププレート温度検知手段と、
    前記赤外線温度検知手段と前記トッププレート温度検知手段の検知結果に基づく演算を行い、この演算結果及び前記操作手段にて設定された前記目標電力に基づいて前記加熱手段を制御する制御手段とを備え、
    前記制御手段は、
    前記赤外線温度検知手段の出力値に第四補正係数を掛けて得た赤外線温度補正値から、前記トッププレート温度検知手段の出力値に第五補正係数を掛けて得たトッププレート温度補正値を差し引くことによって、第三被加熱物温度を推定し、前記第三被加熱物温度が、予め設定された前記被加熱物の過度な高温化を抑制するための第二過加熱抑制閾値を超えると、前記加熱手段への電力投入を停止するあるいは投入する電力を低下させる加熱制御を行い、
    前記加熱手段への電力投入を開始してから、前記トッププレート温度検知手段の出力値が、予め設定された閾値を超えるまでは、前記第四補正係数に代えて、前記第四補正係数よりも大きい値である第六補正係数を用いて前記加熱制御を行う
    ことを特徴とする加熱調理器。
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