JP5245298B2 - リンゴ酸ジアルキルエステル及びその製造方法 - Google Patents

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本発明は、リンゴ酸ジアルキルエステル及びその製造方法に関し、詳しくは、環境や人体に対する高い安全性を有するリンゴ酸を原料とした、可塑剤、界面活性剤、その中間原料などとして好適に使用することが出来るリンゴ酸ジアルキルエステル及びその工業的有利な製造法に関する。
例えば、可塑剤は、各種ポリマーに添加することにより、その溶融温度や溶融粘度を低下させて成形加工を容易にすると共に、柔軟性、弾性、耐寒性などの性質を付与してその性質を持続させるために使用される。
代表的な可塑剤は、フタル酸ジアルキルエステル、アジピン酸ジアルキルエステル等の二塩基酸高級アルコールジエステルであり、特に、フタル酸ジ−2−エチルヘキシル(DOP)は、可塑化効率、耐寒性などの諸物性のバランスに優れることから、幅広く使用されている。
また、可塑剤としての特性を改良するため、原料の1価アルコールとして炭素鎖の長いノニルアルコールやデシルアルコールを使用したフタル酸ジイソノニルやフタル酸ジイソデシルが提案されている(特許文献1)。
一方、例えば、リンゴ酸ジブチルやリンゴ酸ジヘキシルのようなリンゴ酸ジアルキルエステルは、界面活性剤、その中間原料などとして使用されているが、リンゴ酸自体は、生体内に存在する物質であり、そうではないフタル酸と比べて低毒性であることが容易に推定できる。そこで、近年、医療用プラスチックの可塑剤としてリンゴ酸ジアルキルエステルが提案されている(特許文献2)。
しかしながら、リンゴ酸(オキシコハク酸)は分子内にカルボキシル基と水酸基を併せ持つため、1価アルコールとのエステル化反応とリンゴ酸同士のオリゴマー化反応が競争し、高純度のリンゴ酸ジアルキルエステルを得ることは困難である。特に1価アルコールの炭素鎖が長くなると、エステル化反応を完結させるために厳しい反応条件が必要となり、結果的にオリゴマーの割合が増えてしまったり、或いは、別途にジオキサンのような反応溶媒を使用して反応を行う必要があり、更には、反応の終了後、蒸留、有機溶媒による抽出、シリカゲルカラムクロマトグラフィー等による特別な精製処理が必要となる(特許文献3)。
特公平7−107001号公報 特開平6−209980号公報 特開2001−220553号公報
本発明は、上記実情に鑑みなされたものであり、その目的は、可塑剤、界面活性剤、その中間原料などに好適に使用することが出来、反応溶媒を使用せず、特別な精製処理を必要としない、工業的有利なリンゴ酸ジアルキルエステルの製造方法を提供することにあり、本発明の他の目的は、市販品に比して遥かにオリゴマーの含有量が少ないリンゴ酸ジアルキルエステルを提供することにある。
本発明者は、上記の目的を達成すべく鋭意検討を重ねた結果、エステル化反応終了後、未反応の1価アルコールの留去前に酸触媒を分解して失活させるならば、リンゴ酸同士のオリゴマー化反応が抑制され、上記の目的を容易に達成し得るとの知見を得、本発明の完成に到った。
発明の要旨は、反応溶媒の不存在下、酸触媒として、テトライソプロピルチタネート、テトラブチルチタネート、ジエチルスズオキシド、ジブチルスズジラウレートの群から選択される何れかを使用し、リンゴ酸とこれに対し過剰量の1価アルコールとをエステル化反応させ、次いで、反応液に水を添加して酸触媒の分解処理を行った後、未反応の1価アルコールの留去と酸触媒の分解物の濾過による除去とを任意の順序で行うことを特徴とするリンゴ酸ジアルキルエステルの製造方法に存する。
本発明によれば、オリゴマーの副生が抑制された工業的有利なリンゴ酸ジアルキルエステルの製造方法が提供される。
以下、本発明を詳細に説明する。先ず、本発明のリンゴ酸ジアルキルエステルについて説明する。本発明のリンゴ酸ジアルキルエステルは、リンゴ酸と1価アルコールのエステル化反応物である。
リンゴ酸は、工業用、食品添加物用などの各種リンゴ酸を使用することが出来る。リンゴ酸は、L−リンゴ酸、D−リンゴ酸の何れでもよく、両者の混合物でもよい。また、リンゴ酸ジメチルやリンゴ酸ジエチルのように、炭素数1又は2の1価アルコールでモノ及び/またジエステル化されたものを使用してもよいし、無水リンゴ酸を使用してもよい。
1価アルコールとしては、炭素数3〜18の1価アルコールが好適に使用される。その具体例としては、プロピルアルコール、ブチルアルコール、オクチルアルコール、2−エチルヘキシルアルコール、ノニルアルコール、イソノニルアルコール、デシルアルコール、ラウリルアルコール、ステアリルアルコール等の脂肪族アルコールが挙げられる。
上記の他、エチレングリコールモノメチルエーテルのようなエーテル結合を持ったもの、エチレングリコールモノアリルエーテルのような二重結合を持ったもの、ベンジルアルコールのような芳香環を持ったものでもよい。1価アルコールは2種以上を併用してもよい。好ましい1価アルコールは炭素数3〜18の脂肪族アルコールであり、更に好ましい1価アルコールは炭素数4〜12の脂肪族アルコールであり、最も好ましい1価アルコールは2−エチルヘキシルアルコール又はイソノニルアルコールである。
リンゴ酸と1価アルコールのエステル化反応は次の式(1)にように行われる。なお、式(1)中の「R」は1価アルコール由来の有機基であり、好適にはアルキル基である。エステル化反応に2種以上の1価アルコールを併用した場合は、得られるリンゴ酸ジアルキルエステルにおける各「R」は異なる有機基となる。
Figure 0005245298
そして、エステル化反応と競争するリンゴ酸同士のオリゴマー化反応により、例えば、式(2)及び(3)で示すような、分子中に2つ以上のリンゴ酸構造単位を有するオリゴマーが生成する。なお、式(2)及び(3)中の「R」は、式(1)におけるのと同義である。
Figure 0005245298
式(2)で示されるオリゴマーは分子中に2つのリンゴ酸構造単位を有するダイマーであり(α体)、式(3)で示されるオリゴマーは分子中に3つのリンゴ酸構造単位を有するトリマーである(α,α体)。
本発明のリンゴ酸ジアルキルエステルはオリゴマーの含有量が1〜10重量%であることを特徴とする。
上記のオリゴマーには、結合したリンゴ酸同士のエステル結合と水酸基の位置に応じた異性体が存在する。例えば、ダイマーにはリンゴ酸同士のエステル結合の隣に水酸基を有するα体、リンゴ酸同士のエステル結合からメチレン基を1つ挟んで水酸基を有するβ体の2種類の異性体が存在する。本発明において、異性体の種類や組成比は、特に問わず、それぞれ併せてダイマーやトリマーとする。また、リンゴ酸には不斉炭素に伴う鏡像異性体が存在するため、オリゴマーにも鏡像異性体や立体異性体が存在し得る。本発明において、これらもそれぞれを併せてダイマーやトリマーとする。オリゴマーの組成比(分子量分布)はゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)等で分析することが出来る。
次に、本発明に係るリンゴ酸ジアルキルエステルの製造方法について説明する。本発明の製造方法で使用するリンゴ酸および1価アルコールの種類は前述の通りである。そして、酸触媒としてはルイス酸であるチタン系化合物またはスズ系化合物を使用する。斯かるチタン系化合物およびスズ系化合物としては、テトライソプロピルチタネート、テトラブチルチタネート、ジエチルスズオキシド、ジブチルスズジラウレート等が挙げられる。好ましい酸触媒はチタン系化合物である。
先ず、反応溶媒の不存在下、酸触媒として上記のチタン系化合物またはスズ系化合物を使用し、リンゴ酸とこれに対し過剰量の1価アルコールとをエステル化反応させる。エステル化反応においは、例えば、Dean−Starkトラップ、充填塔(精留管)等を使用し、エステル化反応に伴い副生する水と1価アルコールを分留する。
酸触媒の使用量は、生成するリンゴ酸ジアルキルエステル量に対し、通常0.001〜0.1重量%、好ましくは0.005〜0.05重量%、更に好ましくは0.01〜0.03重量%である。1価アルコールの使用量は、リンゴ酸1モルに対し、通常2.2〜5.0モル、好ましくは2.3〜4.5モル、更に好ましくは2.4〜4.0モルである。1価アルコールの使用量が2.2モルより少ない場合、反応の完結が困難となり、オリゴマーの生成量が増加し、オリゴマー含有量が1〜10重量%のリンゴ酸ジアルキルエステルを得ることが困難になる。一方、1価アルコールの使用量が5.0モルを超える場合、反応後に留去する1価アルコールの量が増え、工業的には不利となる。
反応温度は、通常110〜220℃、好ましくは130〜200℃である。反応温度があまり高いとオリゴマーの副生量が増える他、リンゴ酸分子から水が脱離してフマル酸および/またはマレイン酸が副生する。例えば、140℃で反応を開始し、反応の進行に伴って190℃まで徐々に昇温するような条件であれば、反応の制御が容易である。また、反応圧力は、常圧でもよいが、副生する水を系外に除去し、反応を速やかに完結させるために、反応の進行に伴って、徐々に減圧するのがよい。ただし、反応時の減圧度が不足するとエステル化反応の完結度が低くなり、酸価の高いリンゴ酸ジアルキルエステルが生成する。一方、反応時に過度に減圧にすると、1価アルコールが系外に留去されるばかりか、オリゴマーの生成量が増える。従って、適切な到達反応圧力は、反応温度や1価アルコールの使用量によっても異なるが、例えば、反応温度が180℃の場合、通常20〜80kPa、好ましくは30〜70kPaである。また、窒素のような不活性ガスをキャリアーとして使用してもよい。尚、反応開始時には、生成するリンゴ酸ジアルキルエステルの着色を防ぐために反応容器の空間部を窒素置換し、更に、反応液中の溶存酸素も除去することが好ましい。
エステル化反応の終点は、通常、リンゴ酸の未反応カルボキシル基の量で決定する。可塑剤、界面活性剤、その中間原料などとして使用する場合、未反応のカルボキシル基の量、すなわち、酸価は、出来るだけ低い方が好ましい場合が多く、通常5mgKOH/g以下、好ましくは3mgKOH/g以下、更に好ましくは1mgKOH/g以下であり、一層低い酸価が要求される場合もある。
次いで、酸触媒の分解(失活)処理を行う。例えば、チタン化合物を使用した場合は、反応液に水を添加してチタン化合物を分解して失活させる。水の添加量は酸触媒に対して10〜100重量倍程度で十分である。また、グリセリンのような多価アルコールやリン酸エステルようなりン化合物を使用する方法でもよい。通常、水の添加は反応液を100℃程度まで冷却してから行う。
次いで、未反応の1価アルコールの留去と酸触媒の分解物の濾過による除去とを行う。これらの操作は任意の順序で行うことが出来る。酸触媒の分解(失活)処理の後に未反応の1価アルコールの留去を行う場合は、エステル化反応で使用した反応設備をそのまま使用して1価アルコールの留去を行うことが利点があり、酸触媒の分解(失活)処理の後に酸触媒の分解物の濾過による除去を行う場合は、比較的低粘度の条件で濾過操作を行うことが出来る利点がある。
未反応の1価アルコールの留去は、酸触媒の分解処理のために反応液に水を添加している場合、脱水と同時に行うこととなる。1価アルコールの留去の際の反応液の温度は、通常110〜220℃、好ましくは130〜200℃である。例えば、酸触媒の分解処理のために、反応液の温度を100℃まで冷却して水を添加し、引き続き、1価アルコールの留去を行う場合は、水および1価アルコールの留去に伴って190℃まで徐々に昇温するようにすれば操作が容易である。また、1価アルコールの留去の際の圧力は、例えば、常圧から開始し、水および1価アルコールの留去に伴って徐々に減圧にするのがよい。適切な到達反応圧力は、反応温度や1価アルコールの種類によっても異なるが、通常20〜0.1kPa、好ましくは10〜0.5kPaである。このようにして、反応液中の含有量が1〜3重量%程度となるまで1価アルコールを留去した後、更に、反応液中に水蒸気や窒素のような不活性ガスを吹き込んで、残存する1価アルコール、水分、臭気成分、着色成分、その他の副生した軽沸成分を除去するのがよい。
1価アルコールの留去の終点はリンゴ酸ジアルキルエステル中の1価アルコールの含有量で決定する。可塑剤、界面活性剤、その中間原料などとして、リンゴ酸ジアルキルエステルを使用する場合、リンゴ酸ジアルキルエステル中の1価アルコールの含有量は、通常2000ppm以下、好ましくは1000ppm以下、更に好ましくは500ppm以下である。1価アルコールの含有量は、ガスクロマトグラフィー(GC)等で分析することが出来る。
酸触媒の分解物の濾過に先立ち、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウムのようなアルカリ土類金属の酸化物や水酸化物(アルカリ性物質)を反応液に添加し、残存しているリンゴ酸を不溶性の塩に変換するならば、触媒の分解物と共に除去することが出来るので好ましい。また、シリカゲル、珪酸マグネシウム、珪藻土、ハイドロタルサイト、活性炭などの吸着剤(濾過助剤)を反応液に添加するならば、酸触媒の分解物やリンゴ酸の不溶性塩が吸着剤(濾過助剤)に吸着されるため、濾過操作が容易となるので好ましい。なお、酸触媒の分解に必要な水、上記のアルカリ性物質および吸着剤(濾過助剤)はスラリーとして反応液に一緒に添加することが出来る。添加後は10〜60分程度保持する。この場合の圧力は常圧または微減圧である。
触媒の分解物の濾過は、特に、未反応の1価アルコールの留去後に行う場合は、加圧濾過装置を採用し、リンゴ酸ジアルキルエステルの粘度を考慮して50〜100℃程度にリンゴ酸ジアルキルエステルを加温し、リンゴ酸ジアルキルエステルの着色や吸湿を防ぐために可及的に空気との接触を避けるために窒素で加圧しつつ行うのが好ましい。
未反応の1価アルコールの留去の後に酸触媒の分解処理を行った場合は、アルコールの留去の際に酸触媒による無用なエステル交換反応が生じてオリゴマーの副生量が多くなるが、本発明の製造方法によれば、酸触媒の分解処理を行った後に未反応の1価アルコールの留去を行うため、上記のような問題は起こらない。
従って、本発明の製造方法によれば、酸触媒の分解処理を行った後、未反応の1価アルコールの留去と酸触媒の分解物の濾過による除去とを行うことにより、蒸留などの特別の精製工程を必要とせず、直接的に、オリゴマーの含有量が1〜10重量%のリンゴ酸ジアルキルエステルを得ることが出来る。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、採用した測定法は以下の(1)〜(3)に示す通りである。
(1)酸価の測定:
酸価はJIS K6751に準拠して測定した。
(2)分子量分布の測定:
分子量分布はGPC法で測定した。カラムには、東ソー株式会社製「TSK−GEL G1000HXL」、「TSK−GELG 2000 HXL」、「TSK−GEL G3000 HXL」(何れも、直径7.8mm、長さ300mm)を3本直列に接続して使用した。溶離液にはTHFを使用し(流速1.0ml/min)、カラム温度は40℃とし、検出器にはRI検出器を使用した。
(3)1価アルコールの含有量の測定:
1価アルコールの含有量はGC法(ガスクロマトグラフ)で測定した。カラムには、株式会社島津製作所製「キャピラリー CBP1−W25−500」を使用し、カラム温度は次のように操作した。すなわち、50℃(10分保持)→昇温速度10℃/分で昇温→250℃(30分保持)とした。注入器および検出器の温度は250℃とし、検出器にはFIDを使用し、水素圧、空気圧、ヘリウム圧は、何れも、50kPaとした。
実施例1:
(a)エステル化反応:
攪拌機、充填塔(精留管)、温度計、圧力計、加熱装置などを装備した、容積が2リットルのガラス製反応器に、リンゴ酸262g、2−エチルヘキシルアルコール758gを仕込み、反応器の空間部を窒素ガス置換した後、反応器の加熱を開始した。反応器内温が140℃程度に達した時点で、エステル化反応の開始に伴う副生水の留出が確認された。なお、副生水に同伴する2−エチルヘキシルアルコールは充填塔にて大半を分留し反応器内に戻した。
その後、反応温度を3時間かけて徐々に180℃まで昇温し、その温度を維持した。一方、反応器内の圧力は、昇温中は93.3kPaとし、180℃となった時点からは1時間かけて徐々に44.0kPaまで減圧した。その後、酸触媒としてテトライソプロピルチタネート0.14gを2−エチルヘキシルアルコール5gで希釈して添加した。その後、上記の温度および圧力を維持しながら反応を続け、適時、サンプルを抜き出し、酸価を測定して反応進行の指標とした。エステル化反応の終了は酸価が0.5mgKOH/g以下になった時点とした。実際のサンプルの酸価は0.46mgKOH/gであった。
(b)酸触媒の分解処理:
反応器内温を100℃まで冷却し、窒素にて圧力を常圧まで戻した後、水酸化カルシウム0.07g、シリカゲル(SLK−645)0.7gをイオン交換水3.1gでスラリー水溶液として反応器に徐々に添加した。更に、イオン交換水17.9gを加え、その後、この温度および圧力を20分間維持した。
(c)過剰の1価アルコールの留去:
反応温度を100℃に維持しつつ、反応圧力を1時間かけて徐々に4.0kPaまで減圧した。続いて、反応温度を1時間かけて徐々に190℃まで昇温し、その温度および圧力を30分維持した。その後、150℃まで冷却した後、凝縮水換算で90gの加熱水蒸気を2時間かけて吹き込んだ。1価アルコールの留去の終了は1価アルコールの含有量が2000ppm以下になった時点とした。そして、加熱水蒸気の吹込みを止め、更に、その温度および圧力を30分維持した。このときのサンプルの2−エチルヘキシルアルコールの含有量は1300ppmであった。
(d)濾過:
反応液を80℃まで冷却した後、窒素にて圧力を常圧に戻した。その後、加圧濾過器にて濾過した。濾過圧は、製品の流量を見ながら、窒素で0.05〜0.2MPaの加圧とした。濾過して得た製品(リンゴ酸エステル)について、酸価、分子量分布、1価アルコールの含有量を分析し、結果を表1に示した。なお、表1の符号「ND」は検出限界以下であることを示す。
比較例1:
実施例1の方法において、次のように操作および条件を変更した以外は、実施例1と同様にしてリンゴ酸エステルを製造した。すなわち、エステル化反応の終了後、反応温度を180℃に保ったまま反応圧力を2時間かけて徐々に4.0kPaまで減圧し、その温度および圧力を5分維持し、2−エチルヘキシルアルコールの留去を行った。続いて、酸触媒の分解処理を行い、過剰の1価アルコールの留去においては、加熱水蒸気の吹込みの部分のみを行った。そして、濾過して得た製品(リンゴ酸エステル)について、酸価、分子量分布、1価アルコールの含有量を分析し、結果を表1に示した。
比較例2:
実施例1の方法において、次のように操作および条件を変更した以外は、実施例1と同様にしてリンゴ酸エステルを製造した。すなわち、エステル化反の終了後、反応温度を180℃に保ったまま反応圧力を2時間かけて徐々に4.0kPaまで減圧し、その温度および圧力を1時間維持して、2−エチルヘキシルアルコールの留去を行った。続いて、酸触媒の分解処理を行い、過剰の1価アルコールの留去においては、加熱水蒸気の吹込みの部分のみを行った。そして、濾過して得た製品(リンゴ酸エステル)について、酸価、分子量分布、1価アルコールの含有量を分析し、結果を表1に示した。
Figure 0005245298

Claims (3)

  1. 反応溶媒の不存在下、酸触媒として、テトライソプロピルチタネート、テトラブチルチタネート、ジエチルスズオキシド、ジブチルスズジラウレートの群から選択される何れかを使用し、リンゴ酸とこれに対し過剰量の1価アルコールとをエステル化反応させ、次いで、反応液に水を添加して酸触媒の分解処理を行った後、未反応の1価アルコールの留去と酸触媒の分解物の濾過による除去とを任意の順序で行うことを特徴とするリンゴ酸ジアルキルエステルの製造方法。
  2. 1価アルコールが炭素数4〜12の脂肪族アルコールである請求項に記載の製造方法。
  3. 1価アルコールの使用量がリンゴ酸1モルに対して2.2〜5.0モルである請求項1又は2に記載の製造方法。
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