以下では、上述した本願発明の内容を明確にするために、次のような順序に従って実施例を説明する。
A.パチンコ機の装置構成 :
A−1.装置前面側の構成 :
A−2.遊技盤の構成 :
A−3.制御回路の構成 :
B.遊技の概要 :
C.制御の概要 :
C−1.遊技制御処理 :
C−2.特別図柄遊技処理 :
C−3.特別電動役物遊技処理 :
D.第1実施例の時短上限回数設定処理 :
E.第2実施例の時短上限回数設定処理 :
A.パチンコ機の装置構成 :
A−1.装置前面側の構成 :
図1は、本実施例の遊技機1の正面図である。図1に示すように、遊技機1の前面部は、大きくは、前面枠4、上皿部5、下皿部6、遊技盤10などから構成されている。尚、図1では遊技盤10の詳細な図示を省略している。前面枠4は、図示しない中枠3に取り付けられており、中枠3は図示しない本体枠2に取り付けられている。中枠3はプラスチック材料で成形されており、本体枠2の内側に取り付けられている。本体枠2は、木製の板状部材を組み立てて構成された略長方形の枠体であり、遊技機1の外枠を形成している。前面枠4の一端は、中枠3に対して回動可能に軸支されており、中枠3の一端は本体枠2に対して回動可能に軸支されている。遊技盤10は、中枠3の前面側に着脱可能に取り付けられており、その前面側が前面枠4で覆われている。
前面枠4は、プラスチック材料で成形されており、略中央部には、円形状の開口部4aが形成されている。この開口部4aにはガラス板等の透明板がはめ込まれており、奥側に配置される遊技盤10の盤面が視認可能となっている。また、前面枠4には、遊技を効果的に演出するための各種ランプ類4b〜4fが設けられている。
前面枠4の下方には、上皿部5が設けられており、上皿部5の下方には下皿部6が設けられている。また、前面枠4の右側には施錠装置9が設けられており、前面枠4の左側にはプリペイドカード式の球貸装置13(CRユニット)が設けられている。
上皿部5には、皿状の凹部と、凹部を取り巻くように形成された皿外縁部5aとが設けられている。遊技球は、上皿部5に形成された凹部に投入されて、発射装置ユニット12(図5参照)に供給される。また、皿外縁部5aには、遊技球の球貸スイッチ5b、返却スイッチ5c、投入した遊技球を排出するための排出ボタンなど、各種のボタン類が設けられている。さらに、上皿部5の前面側の略中央部には、複数の長孔とその上部に多数の小穴が形成された第1スピーカ5yが設けられている。また、上皿部5の手前側(遊技者側)には、2つの操作スイッチSW1,SW2が設けられている。遊技者は、このスイッチを操作することによって、遊技中に遊技条件を変更するなど、遊技の進行に介入することが可能となっている。
下皿部6には、遊技機1の内部から遊技球を排出するための排出口6aが設けられており、排出された遊技球は下皿部6内に貯留される。また、下皿部6の下面の左右には、第2スピーカ6cが設けられている。
下皿部6の右端には発射ハンドル8が設けられている。発射ハンドル8には、遊技者がハンドルに触れていることを検出するタッチスイッチ8aが設けられている。発射ハンドル8の回転軸は、下皿部6の奥側に搭載された図示しない発射装置ユニット12に接続されており、遊技者が発射ハンドル8を回転させると、その動きが発射装置ユニット12に伝達され、ユニットに内蔵された図示しない発射モータが回転して、ハンドル8の操作角度に応じた強さで遊技球が発射される。発射ハンドル8の左側面には、遊技者が操作して遊技球の発射を一時的に停止する発射停止スイッチ8bが配置されている。
A−2.遊技盤の構成 :
図2は、遊技盤10の盤面構成を示す説明図である。前述したように、遊技盤10は中枠3の前面側に着脱可能に取り付けられている。また、遊技盤10の中央には、外レール14と内レール15とによって囲まれた略円形状の遊技領域11が形成されている。
遊技領域11の略中央には中央装置26が設けられており、また、遊技領域11の下方部分には変動入賞装置18が設けられ、そして、中央装置26と変動入賞装置18との間には始動口(普通電動役物)17が設けられている。始動口(普通電動役物)17は、左右に一対の翼片部が開閉可能に構成されたいわゆるチューリップ式の始動口である。始動口17の内部には、遊技球の通過を検出する始動口(普通電動役物)スイッチ17s(図5参照)と、翼片部を作動させるための普通電動役物(始動口)ソレノイド17m(図5参照)とが備えられている。一対の翼片部が左右に開くと、遊技球の入球可能性が大きくなる開口状態となり、一対の翼片部が直立すると、遊技球の入球可能性が開口状態よりも小さくなる通常状態となる。なお、本実施例の始動口(普通電動役物)17は、遊技球が常時入球可能となるように構成されているが、通常状態のときは遊技球の入球を不可能とし、開口状態のときのみ入球可能となるようにしてもよい。この場合には、開口状態のときのみ入球可能な始動口(普通電動役物)に加え、翼片部を有していない一般入球口により構成される常時入球可能な始動口を設けることが望ましい。
中央装置26のほぼ中央には、演出表示装置27が設けられている。演出表示装置27は、液晶画面を搭載しており、キャラクタ図柄、背景図柄などの種々の演出用図柄を変動停止表示することが可能となっている。演出表示装置27の画面上で表示される各種図柄については後述する。
中央装置26の左下には、図柄表示装置28が設けられている。詳細な構成については後述するが、図柄表示装置28では普通図柄や特別図柄などを変動停止表示することが可能となっている。
遊技領域11の左端には、普通図柄作動ゲート36が設けられており、このゲートの内部には、遊技球の通過を検出するゲートスイッチ36sが設けられている。更に、普通図柄作動ゲート36と中央装置26との間には、ランプ風車24が設けられている。これら各遊技装置の間および周辺には、多数の障害釘23が設けられている。
中央装置26の下方に設けられた変動入賞装置18には、ほぼ中央に大入賞装置31が設けられている。この大入賞装置31は、略長方形状に大きく開口する大入賞口31dと、大入賞口31dを開閉するための大入賞口ソレノイド31m(図5参照)などから構成されている。大入賞口31dは、後述する所定の条件が成立すると、所定の態様で開口する動作を複数回繰り返すようになっている。尚、大入賞口31dが開口動作を繰り返す遊技状態は特別遊技状態(または、大当り遊技)と呼ばれている。一般的には、大入賞口31dが開口状態になると、遊技球が高い確率で大入賞口31dに入球することとなるので、遊技者は多数の遊技球を獲得することが可能となる。また、大入賞口31dの内部には、大入賞口スイッチ31sが設けられており、大入賞口31dに入賞した遊技球を検出することが可能となっている。
遊技盤10の下方にはアウト口48が設けられ、そのアウト口48の下部にはバック球防止部材58が設けられている。バック球防止部材58は、遊技領域11に到達せずに戻ってきた遊技球が、発射位置まで戻ることを防止する機能を有している。
図3は、本実施例の遊技機1に搭載された図柄表示装置28の構成を示す説明図である。本実施例の図柄表示装置28は、大まかには、普通図柄表示部29と、特別図柄表示部30とから構成されている。普通図柄表示部29は、左普通図柄表示部29aと右普通図柄表示部29bとから構成されており、特別図柄表示部30は、左特別図柄表示部30aと右特別図柄表示部30bとから構成されている。2つの普通図柄表示部29a,29bは、発光ダイオード(LED)を用いて構成されており、左普通図柄表示部29aは赤色の光を点灯し、右普通図柄表示部29bは緑色の光を点灯することが可能となっている。また、特別図柄表示部30には、いわゆる7セグメントLEDが用いられており、このうちの7セグメント部分が左特別図柄表示部30aを構成し、コンマ部分が右特別図柄表示部30bを構成している。この7セグメント部分およびコンマ部分は、赤色、橙色、緑色のいずれかの光を点灯可能となっている。また、図柄表示装置28には、普通図柄保留表示部29c、および特別図柄保留表示部30cも設けられている。これらは、それぞれ4つのLEDで構成されている。このような構成を有する図柄表示装置28の表示内容については後述する。
図4は、本実施例の遊技機1に搭載された演出表示装置27の画面構成を示す説明図である。前述したように、演出表示装置27は、主に液晶表示画面を用いて構成されており、液晶画面上には、3つのキャラクタ図柄27a,27b,27cと、背景図柄27dとが表示されている。このうち、3つのキャラクタ図柄27a,27b,27cは、図3に示した特別図柄表示部30の表示に合わせて種々の態様で変動表示され、遊技を演出することが可能となっている。演出表示装置27で行われる演出の詳細な内容については後述する。
A−3.制御回路の構成 :
次に、本実施例の遊技機1の制御回路の構成について説明する。図5は、本実施例の遊技機1における制御回路の構成を示したブロック図である。図示されているように遊技機1の制御回路は、複数の制御基板や、各種基板、中継端子板などから構成されているが、その機能に着目すると、遊技の基本的な進行や賞球に関わる当否についての制御を司る主制御基板200と、遊技に伴って行われる各種演出の全体的な制御を司るサブ制御基板220と、演出表示装置27の液晶画面上で演出用の各種図柄を用いて遊技を演出する制御を司る演出制御基板230と、貸球や賞球を払い出す動作の制御を司る払出制御基板240と、遊技球の発射に関する制御を司る発射制御基板260などから構成されている。これら制御基板は、各種論理演算および算出演算を実行するCPUや、CPUで実行される各種プログラムやデータが記憶されているROM、プログラムの実行に際してCPUが一時的なデータを記憶するRAM、周辺機器との間でデータのやり取りを行うための周辺機器インターフェース(PIO)、CPUが演算を行うためのクロックを出力する発振器、CPUの暴走を監視するウォッチドッグタイマ、定期的に割り込み信号を発生させるCTC(カウンター・タイマ・サーキット)など、種々の周辺LSIがバスで相互に接続されて構成されている。また、図5中に示した矢印の向きは、データあるいは信号を入出力する方向を表している。尚、図5では、主制御基板200に搭載されたCPU201や、ROM202、RAM203のみが図示されており、その他の各種ディバイスについては図示が省略されている。
図示されているように主制御基板200は、始動口スイッチ17sや、大入賞口スイッチ31s、ゲートスイッチ36sなどから遊技球の検出信号を受け取って、遊技の基本的な進行や賞球に関わる当否を決定した後、サブ制御基板220や、演出制御基板230、払出制御基板240、発射制御基板260などに向かって、各種の動作を指令するコマンドを出力する。また、主制御基板200には、始動口17に設けられた一対の翼片部を開閉させるための普通電動役物ソレノイド17mや、大入賞口31dを開閉させるための大入賞口ソレノイド31m、更には、普通図柄や特別図柄の変動停止表示を行う図柄表示装置28などが中継端子板を介して接続されており、これら各種ソレノイド17m,31m、および図柄表示装置28に向かって信号を出力することにより動作の制御も行っている。
サブ制御基板220は、主制御基板200からの各種コマンドを受け取ると、コマンドの内容を解析して、その結果に応じた遊技の演出を行う。すなわち、前述した演出表示装置27を制御する演出制御基板230や、各種のスピーカ5y、6cを駆動するアンプ基板224、装飾用の各種LEDやランプを駆動する装飾駆動基板226に向けて、各種のコマンドや駆動信号を出力することにより、遊技の演出を行う。また、図1に示したように上皿部5の前面側に設けられた操作スイッチSW1,SW2は、演出ボタン基板228を介してサブ制御基板220に接続されている。遊技者が操作スイッチSW1,SW2を操作すると、この操作信号がサブ制御基板220に供給され、サブ制御基板220は受け取った操作信号を、演出表示装置27を初めとする各種の演出内容に反映させることが可能となっている。
演出制御基板230は、サブ制御基板220からのコマンドを受け取ると、コマンドの内容に従って、演出表示装置27を制御することにより、液晶画面上で3つのキャラクタ図柄27a,27b,27cなどを変動表示させる演出を行う。
払出制御基板240は、いわゆる貸球や賞球の払い出しに関する各種の制御を司っている。例えば、遊技者が前述した上皿部5に設けられた球貸スイッチ5bや返却スイッチ5cを操作すると、この信号は、球貸表示基板242から払出制御基板240に伝達される。球貸装置13は、払出制御基板240とデータをやり取りしながら、貸球の払出を行う。また、主制御基板200が賞球の払出コマンドを出力すると、このコマンドを払出制御基板240が受け取って、払出モータ109mに駆動信号を出力することによって賞球の払い出しが行われる。
B.遊技の概要 :
次に、上述した構成を有する本実施例の遊技機1で行われる遊技の概要について簡単に説明しておく。
本実施例の遊技機1では、次のようにして遊技が行われる。先ず、遊技者が上皿部5の凹部に遊技球を投入して発射ハンドル8を回転させると、上皿部5に投入された遊技球が、1球ずつ発射装置ユニット12に供給されて、図2を用いて前述した遊技領域11に発射される。遊技球を打ち出す強さは、発射ハンドル8の回転角度によって調整することが可能となっており、遊技者は発射ハンドル8の回転角度を変化させることによって、遊技球の狙いを付けることができる。
発射した遊技球が、遊技領域11の左側に設けられた普通図柄作動ゲート36を通過すると、図柄表示装置28の普通図柄表示部29において普通図柄の変動表示が開始される。図3を用いて前述したように、図柄表示装置28には左普通図柄表示部29aと、右普通図柄表示部29bとが設けられている。左普通図柄表示部29aは赤色の光を点灯可能に構成されており、右普通図柄表示部29bは緑色の光を点灯可能に構成されている。普通図柄の変動表示が開始されると、左右の普通図柄表示部29a,29bが点滅表示を行う。
図6は、普通図柄が変動表示している様子を概念的に示した説明図である。変動表示中の普通図柄は、図示されている4つの状態を取ることができる。先ず、図6(a)に示した状態は、左普通図柄表示部29aが点灯して、右普通図柄表示部29bが消灯している状態を表している。図6(b)は、左普通図柄表示部29aおよび右普通図柄表示部29bがいずれも点灯した状態を表している。図6(c)は、左普通図柄表示部29aが消灯し、右普通図柄表示部29bが点灯した状態を表しており、図6(d)は、左普通図柄表示部29aおよび右普通図柄表示部29bがいずれも消灯した状態を表している。普通図柄の変動表示中は、これら4つの表示状態が速い速度で次々と切り換わる態様で表示され、そして所定時間が経過すると、4つの表示状態のいずれかの状態で停止表示される。このとき所定の表示状態で停止表示されると、いわゆる普通図柄の当りとなって始動口17が所定時間(例えば0.5秒間)だけ開口状態となる。本実施例では、図6(c)に示した表示状態、すなわち、左普通図柄表示部29aが消灯して右普通図柄表示部29bが点灯している状態が、普通図柄の当りに設定されている。
尚、普通図柄の変動表示中に遊技球が普通図柄作動ゲート36を通過した場合は、この遊技球の通過が保留数として蓄えられて、現在の普通図柄の変動表示が終了した後に、変動表示が行われる。普通図柄の保留は最大4個まで蓄えることが可能となっており、蓄えられている普通図柄の保留数は、普通図柄保留表示部29c(図3参照)に表示される。
次いで、開口状態となった始動口17に遊技球が入球すると、今度は、特別図柄の変動表示が開始される。特別図柄は、図3を用いて説明したように特別図柄表示部30によって表示される。尚、前述したように、本実施例の特別図柄表示部30は、7セグメントLEDからなる左特別図柄表示部30aと、コンマ部分の右特別図柄表示部30bから構成されており、これら左右の特別図柄表示部30a,30bは、赤色、橙色、緑色のいずれかで点灯可能となっている。
図7は、特別図柄が変動表示している様子を概念的に示した説明図である。特別図柄の変動表示中は、左特別図柄表示部30aでは、「A」、または「Y」のいずれかの図柄が表示され、右特別図柄表示部30bではコンマ「.」が表示される。また、左特別図柄表示部30aの「A」および「Y」、右特別図柄表示部30bのコンマ「.」は、赤色、橙色、緑色の3つの状態を取ることができる。本実施例の特別図柄表示部30では、これらの表示状態が組み合わされて、図7に示す12種類の状態を表示することが可能となっている。図中で7セグメントLEDあるいはコンマ部分に細かいハッチングが付されているのは、赤色の状態で点灯されていることを表している。また、少し粗いハッチングが付されているのは橙色の状態で点灯表示されていることを表しており、粗いハッチングが付されているのは緑色の状態で点灯表示されていることを表している。特別図柄の変動表示が開始されると、これら12種類の表示状態が速い速度で次々と切り換わる態様で表示され、所定時間が経過すると、いずれかの状態で停止表示される。
図7に示した12種類の表示態様の中で、赤色の「Y」と赤色の「コンマ」との組合せ(以下では、この組合せを「赤Y−赤コンマ」と表すものとする)、および、橙色の「Y」と赤色の「コンマ」との組合せ(すなわち、「橙Y−赤コンマ」)は外れ図柄に設定されている。そして、残りの10種類の図柄の組合せが「当り図柄」となっている。図柄表示装置28で特別図柄が変動表示された後、停止表示された図柄が当り図柄であった場合には、いわゆる特別遊技状態が開始され、大入賞口31dが所定態様で開口する遊技状態(ラウンド)が、所定回数だけ繰り返されるようになっている。尚、特別図柄の変動表示中に遊技球が始動口17に入球した場合は、この遊技球の入球が特別図柄の保留数として蓄えられて、現在の特別図柄の変動表示が終了後に、変動表示が行われる。特別図柄の保留も最大4個まで蓄えることが可能となっており、蓄えられている特別図柄の保留数は、特別図柄保留表示部30c(図3参照)に表示される。
本実施例の遊技機では、当り図柄として「通常当り図柄」および「確変当り図柄」に加えて「特定確変当り図柄」が設けられている。図7では、「通常当り図柄」を破線で囲って表しており、「確変当り図柄」を実線で囲って表し、「特定確変当り図柄」は一点鎖線で囲って表している。始動口17に遊技球が入球すると、特別図柄の当否判定が行われ、当否判定の結果に応じて、これら12種類の特別図柄の中の何れかの図柄が特別図柄表示部30に停止表示される。例えば、当否判定結果が通常当りであった場合には、図7に破線で囲って示した通常当り図柄が停止表示され、当否判定結果が確変当りであった場合には、実線で囲って示した確変当り図柄が、当否判定結果が特定確変当りであった場合には、一点鎖線で囲った特定確変当り図柄が、そして、当否判定結果が外れであった場合は、細い実線で囲った外れ図柄が停止表示される。このように、特別図柄は、主制御基板200で行われる当否判定の結果を表す図柄となっている。
図柄表示装置28における特別図柄表示部30の特別図柄が、「通常当り図柄」あるいは「確変当り図柄」で停止表示された場合は、特別遊技状態が開始されて、大入賞口31dが所定の態様で開口するラウンドが15ラウンドまで繰り返される。「通常当り図柄」あるいは「確変当り図柄」が停止表示されて大入賞口31dが開口状態になると、遊技球が入球し易くなり、遊技者は15ラウンドを終了するまでの間に多数の賞球を獲得することが可能となる。このような遊技の状態が、いわゆる「大当り遊技」と呼ばれる状態である。更に、特別遊技状態の終了後も、しばらくの期間は、始動口17の開口時間が延長されて遊技球が始動口17に入球し易くなるとともに、普通図柄および特別図柄の変動時間が短縮された状態(いわゆる時短状態)となる。加えて、当り図柄が「確変当り図柄」であった場合は、再び当り図柄が停止表示される確率が高い値に設定される。尚、当り図柄で停止表示される確率が高くなっている遊技状態は、確率変動状態(若しくは、確変状態)と呼ばれる。このように「通常当り図柄」あるいは「確変当り図柄」が停止表示されると、遊技者はたいへん有利に遊技を進めることができるので、これらの当り図柄が停止表示されることを強く願いながら遊技を行うことが通常である。
これに対して、図柄表示装置28の特別図柄が「特定確変当り図柄」で停止表示された場合も大当り遊技が開始され、大当り遊技の終了後は、前述した確変状態となる。もっとも、「特定確変当り図柄」で停止表示されたことにより開始される大当り遊技は、2ラウンドしか行われない。加えて、1回のラウンドも大入賞口31dがごく僅かな時間(本実施例では、0.1秒)開口しただけで終わってしまう。このため「特定確変当り図柄」によって大当り遊技が開始されても、ほとんど賞球が払い出されることなく、ごく短い時間で終了してしまい、遊技者が、大当り遊技が行われたことに気が付かないまま遊技が継続される。その結果、図柄表示装置28が「特定確変当り図柄」で停止表示された場合は、遊技者が気付かない間に、通常の遊技状態から確変状態へと遊技状態を切り換えることができる。
尚、本実施例においては「通常当り図柄」または「確変当り図柄」が、本発明における「第1の当り図柄」に対応しており、「通常当り図柄」または「確変当り図柄」が停止表示されたときに開始される15ラウンドの大当り遊技が、本発明の「第1の大当り遊技」に該当している。また、本実施例における「特定確変当り図柄」が、本発明における「第2の当り図柄」に対応しており、「特定確変当り図柄」が停止表示されたときに開始される2ラウンドの大当り遊技が、本発明の「第2の大当り遊技」に該当している。
このように図柄表示装置28で変動表示された特別図柄が、何れの図柄で停止表示されるかは、遊技状態を大きく左右するものとなっている。もっとも、図柄表示装置28で停止表示された特別図柄が「通常当り図柄」、「確変当り図柄」、または「外れ図柄」の何れであるかの判別は、必ずしも容易ではない。また、本実施例の遊技機1では、これら図柄に加えて「特定確変当り図柄」も設けられていることから、図柄表示装置28に停止表示された特別図柄に基づいて、当否態様を判別することは困難である。そこで、上述した特別図柄の変動停止表示に合わせて、演出表示装置27においてもキャラクタ図柄27a,27b,27cを変動停止表示させる演出を行う。
図8は、演出表示装置27の液晶画面上に表示される3つのキャラクタ図柄を用いて行われる演出の一態様を例示した説明図である。図4を用いて前述したように、演出表示装置27を構成する液晶表示画面には、3つのキャラクタ図柄27a,27b,27cや、背景図柄27dが表示されている。前述した図柄表示装置28で特別図柄の変動表示が開始されると、演出表示装置27では、これら3つのキャラクタ図柄27a,27b,27cも一斉に変動表示を開始する。本実施例では、キャラクタ図柄として「1」〜「9」までの9つの数字を意匠化した図柄が用意されている。
図8(a)には、背景画像27dが表示された画面上で、3つのキャラクタ図柄27a,27b,27cが一斉に変動表示している様子が概念的に示されている。変動表示が開始された後、所定時間が経過すると、初めに左キャラクタ図柄27bが「1」〜「9」のいずれかの図柄で停止表示され、次いで、右キャラクタ図柄27dが停止表示され、最後に中キャラクタ図柄27cが停止表示される。これら演出表示装置27で停止表示される3つのキャラクタ図柄27a,27b,27cの組合せは、前述した図柄表示装置28で停止表示される特別図柄の組合せと連動するように構成されている。たとえば、図柄表示装置28の特別図柄が「通常当り図柄」で停止する場合は、演出表示装置27の3つのキャラクタ図柄27a,27b,27cが、偶数を表す同じ図柄で停止表示され、「確変当り図柄」で停止する場合は、奇数を表す同じ図柄で停止表示される。一方、図柄表示装置28の特別図柄が「特定確変当り図柄」で停止する場合は、3つのキャラクタ図柄27a,27b,27cは同じ図柄で揃わない所定の組合せで停止表示され、「外れ図柄」で停止する場合は、その他の組合せ(3つの図柄が同じ図柄で揃わず、特定確変当りでもない図柄の組合せ)で停止表示される。
このように、図柄表示装置28で表示される特別図柄と、演出表示装置27で表示される3つのキャラクタ図柄27a,27b,27cとは、表示内容が互いに対応しており、それぞれの表示図柄が確定するタイミングも同じに設定されている。しかも、図2に示すように、図柄表示装置28よりも演出表示装置27の方が目に付き易い位置に設けられており、表示画面も大きく、表示内容も分かり易いので、遊技者は演出表示装置27の画面に表示された3つのキャラクタ図柄27a,27b,27cを見ながら遊技を行うことが通常である。従って、演出表示装置27の表示画面上で初めに停止表示される左キャラクタ図柄27bと、続いて停止表示される右キャラクタ図柄27dとが同じ図柄であった場合には、最後に停止表示される中キャラクタ図柄27cも同じ図柄で停止して、いわゆる大当り遊技が開始されるのではないかと、遊技者は図柄の変動を注視することになる。このように、2つのキャラクタ図柄を同じ図柄で停止した状態で、最後の図柄を変動表示させる演出は、リーチ演出と呼ばれており、リーチ演出を行うことで遊技者の興趣を高めることが可能となっている。
また、本実施例の遊技機1では、演出表示装置27において、3つのキャラクタ図柄27a,27b,27cが同じ図柄で揃わなかった場合(いわゆる「ばらけ目」)でも単なる「外れ」とは限らず、図柄表示装置28において「特定確変当り図柄」で停止表示されている場合がある。もっとも、図柄表示装置28の特別図柄は何れの図柄もよく似た図柄に設定されているので、停止表示された特別図柄が「外れ図柄」、「特定確変当り図柄」の何れであるかを判別することは難しく、また、演出表示装置27に停止表示されるキャラクタ図柄も、3つの図柄が揃わない「バラケ目」となる点では全く同じであって判別は難しい。しかも、「特定確変当り図柄」の停止表示に続いて行われる2ラウンドの大当り遊技は、特に賞球も得られないまま極めて短い時間で終了することから、大当り遊技が行われたことに遊技者が気付かないことが多い。このため、遊技者が知らない間に、いつの間にか遊技状態を確変状態に切り換えることが可能となり、その結果、遊技者は常に「もうすぐ大当りするのではないか」と期待感を抱きながら遊技を行うことが可能となっている。
以下では、上述した遊技を実現するために、主制御基板200およびサブ制御基板220を中心として実行される制御内容について詳しく説明する。
C.制御の概要 :
遊技機1で行われる遊技の進行は、主制御基板200によって制御されている。以下では、遊技を進行させるために、主制御基板200で行われる遊技制御処理について説明する。
C−1.遊技制御処理 :
図9は、主制御基板200に搭載されたCPU201が、遊技の進行を制御するために行う遊技制御処理の大まかな流れを示したフローチャートである。図示されるように、遊技制御処理では、賞球関連処理、普通図柄遊技処理、普通電動役物停止処理、特別図柄遊技処理、特別電動役物遊技処理などの各処理が繰り返し実行されている。一周の処理に要する時間は、ほぼ4msecとなっており、従って、これら各種の処理は約4msec毎に繰り返し実行されることになる。そして、主制御基板200は、これら各処理中で、サブ制御基板220を初めとする各種制御基板に向けて各種コマンドを送信することにより、遊技機1全体の遊技を進行させている。以下、フローチャートに従って、主制御基板200に搭載されたCPU201が行う遊技制御処理について説明する。
主制御基板200に搭載されたCPU201は、遊技制御処理を開始すると、遊技球を賞球として払い出すための処理(賞球関連処理)を行う(S50)。かかる処理では、主制御基板200に接続された各種スイッチの中で、遊技球の入賞に関わるスイッチ(始動口スイッチ17sや大入賞口スイッチ31sなど)に遊技球が入球したか否かを検出する。そして、遊技球の入球が検出された場合には、払い出すべき賞球数を算出した後、払出制御基板240に向かって賞球数指定コマンドを出力する処理を行う。
主制御基板200から出力された賞球数指定コマンドを受け取ると、払出制御基板240はコマンドの内容を解釈する。そして、その結果に従って、払出装置109に搭載された払出モータ109mに駆動信号を出力して、実際に賞球を払い出す処理を行う。
主制御基板200のCPU201は、賞球数指定コマンドを出力すると(S50)、今度は、普通図柄遊技処理を行うか否か、すなわち普通図柄の変動停止表示を行うか否かを判断する(S90)。かかる判断は、普通電動役物が作動中であるか否か、換言すると始動口17が開口中であるか否かを検出することによって行う。普通電動役物が作動中でなければ普通図柄遊技処理を行うものと判断し(S90:yes)、普通電動役物が作動中であれば普通図柄遊技処理は行わないものと判断する(S90:no)。
そして、普通図柄遊技処理を行うと判断した場合は(S90:yes)、以下に説明する普通図柄遊技処理を行う(S100)。一方、普通図柄遊技処理を行わないと判断した場合は(S90:no)、普通図柄遊技処理(S100)はスキップする。
普通図柄遊技処理(S100)では、主に次のような処理を行う。先ず、普通図柄の保留数が存在するか否か(「0」であるか否か)を判定し、保留数が存在する場合には普通図柄の当否判定を行う。ここで、普通図柄の保留数は遊技球が普通図柄作動ゲート36を通過することにより設定されるもので、本実施例では、その保留数の上限値を「4」としている。そして、普通図柄の当否判定の結果に基づき、普通図柄を当り図柄(図6(c)参照)で停止表示させるか、それ以外の何れの外れ図柄で停止表示させるかを決定する。次いで、普通図柄の変動表示時間を設定した後、普通図柄の変動表示を開始する。そして、変動表示時間が経過すると、決定しておいた図柄で普通図柄を停止表示させ、このときに、普通図柄の当り図柄が停止表示された場合には、普通電動役物の作動を開始させる。普通図柄遊技処理では、以上のようにして普通図柄の変動停止表示を行い、普通図柄が当り図柄で停止表示された場合には普通電動役物を作動させる処理を行う。普通電動役物が作動すると、始動口17に設けられた一対の翼片部が外側に向かって回動し、始動口17が開口状態となる。
以上のようにして普通図柄遊技処理を終了したら、普通電動役物が作動中か否かを判断する(S190)。そして、作動中である場合は(S190:yes)、普通電動役物を停止させるための処理(普通電動役物停止処理)を行う(S200)。一方、普通電動役物が作動していない場合は(S190:no)、普通電動役物停止処理を行う必要はないのでスキップする。
図10は、普通電動役物停止処理の流れを示すフローチャートである。以下、フローチャートに従って説明する。普通電動役物停止処理では、先ず初めに、普通電動役物の所定の作動時間が経過したか否かを判断する(S202)。前述したように、普通電動役物が作動すると始動口17が開口状態となるが、所定時間が経過すると、再び一対の翼片部が直立した通常の状態に復帰する。そこで、S202では、普通電動役物が予め設定しておいた作動時間に達したか否かを判断するのである。そして、作動時間に達したと判断された場合は(S202:yes)、普通電動役物の作動を停止した後(S206)、普通電動役物遊技処理を終了して図9に示した遊技制御処理に復帰する。尚、普通電動役物作動時間(すなわち、始動口17の開口時間)は、通常の遊技状態では短時間(本実施例では0.5秒)に設定されているが、後述する開口時間延長機能が作動すると長時間(本実施例では5秒)に延長される。
一方、始動口17は開口中に規定数の遊技球が入球すると、開口時間が設定時間に達していない場合でも、通常状態に復帰してしまう。このことと対応して、普通電動役物の作動時間が所定時間に達していない場合は(S202:no)、普通電動役物に規定数の遊技球が入球したか否かを判断し(S204)、規定数の遊技球が入球したと判断された場合は(S204:yes)、普通電動役物の作動を停止して、図10に示した普通電動役物遊技処理を終了する。逆に、規定数の入球がないと判断された場合は(S204:no)、普通電動役物を作動させたまま、図10に示した普通電動役物遊技処理を終了して、図9に示した遊技制御処理に復帰する。
図9に示すように、遊技制御処理では、普通電動役物停止処理から復帰すると、特別図柄遊技処理を開始するか否かを判断する(S300)。かかる判断は、条件装置が作動しているか否かを検出することによって行う。ここで条件装置とは、役物連続作動装置が作動するための条件となる装置であり、特別図柄が図7に示した「通常当り図柄」、「確変当り図柄」、「特定確変当り図柄」の何れかで停止表示されると作動を開始する装置である。条件装置は役物連続作動装置を作動させ、これによって、大入賞口31dが連続して開口する遊技状態(いわゆる大当り遊技)が開始される。ここで、「条件装置が作動しているか否か」とは、「大当り遊技中であるか否か」ということである。なお、条件装置および役物連続作動装置は、主制御基板200のCPU201が実行する制御プログラムによって構成される。そして、条件装置が作動中でなければ(大当り遊技中でなければ)特別図柄遊技処理を行うものと判断し(S300:yes)、条件装置が作動中であれば(大当り遊技中であれば)特別図柄遊技処理は行わないものと判断する(S300:no)。
以上のような判断の結果、特別図柄遊技処理を行うと判断された場合は(S300:yes)、以下に説明する特別図柄遊技処理を行う(S320)。一方、特別図柄遊技処理を行わないと判断された場合は(S300:no)、特別図柄遊技処理(S320)はスキップする。
詳細には後述するが、特別図柄遊技処理(S320)では、次のような処理が行われる。先ず、特別図柄の当否判定を行って、「通常当り」、「確変当り」、「特定確変当り」、または「外れ」の何れかに当否を決定する。そして、「通常当り」、「確変当り」、または「特定確変当り図柄」の何れかであれば、いわゆる大当り遊技を開始するべく、条件装置および役物連続作動装置を作動させる。
特別図柄遊技処理(S320)を終了して、図9に示した遊技制御処理に復帰すると、条件装置が作動中か否かを判断する(S390)。そして、条件装置が作動中であると判断されれば(S390:yes)、大当り遊技を行うための処理(特別電動役物遊技処理)を開始する(S400)。特別電動役物遊技処理の詳細については後述するが、その条件装置を作動させることとなった特別図柄の当り図柄に応じて、15ラウンド大当りまたは2ラウンド大当りの何れかの態様で大当り遊技が行われる。一方、条件装置が作動中でないと判断された場合は(S390:no)、特別電動役物遊技処理を行うことなく、遊技制御処理の先頭に戻って、再び賞球関連処理を開始する。
尚、特別図柄表示部30で当り図柄が停止表示されると、当り図柄に応じて、15ラウンド大当り遊技(第1の大当り遊技)または2ラウンド大当り遊技(第2の大当り遊技)の何れかの態様で大入賞口31dを開口させて、大当り遊技を行う処理は、主制御基板200のCPU201によって実行されている。従って、本実施例の主制御基板200に搭載されたCPU201は、本発明の「大当り遊技実行手段」に該当している。
本実施例の遊技機1では、主制御基板200に搭載されたCPU201が、以上のような遊技制御処理を繰り返し行うことによって遊技が進行するようになっている。そして、特別図柄遊技処理(S320)の中で特別図柄の当否判定が行われ、その結果に応じて条件装置の作動が開始され、特別電動役物遊技処理(S400)で大当り遊技が実行されるようになっている。以下では、特別図柄遊技処理(S320)、および特別電動役物遊技処理(S400)の詳細な内容について説明する。
C−2.特別図柄遊技処理 :
図11および図12は、特別図柄遊技処理の流れを示したフローチャートである。上述したように、かかる処理は図9に示した遊技制御処理の中で、主制御基板200に搭載されたCPU201によって実行される処理である。特別図柄遊技処理を開始すると、先ず初めに、特別図柄が変動中か否かを判断する(S322)。図3を用いて前述したように、本実施例の遊技機1では図柄表示装置28に特別図柄表示部30が設けられており、特別図柄を変動表示可能となっている。
特別図柄表示部30の特別図柄が変動中でない場合は(S322:no)、特別図柄の停止図柄を表示させる表示時間中であるか否かを判断する(S324)。すなわち、特別図柄の変動表示が終了してしばらくの期間は、遊技者が停止図柄を確認するための停止表示時間が設けられているので、この停止表示時間中か否かを判断するのである。特別図柄が変動表示されておらず且つ特別図柄の停止表示時間も経過していることが確認された場合は(S324:no)、特別図柄の保留数が「0」であるか否かを判断する(S326)。ここで、特別図柄保留数は、遊技球が始動口17に入球した場合に設定されるもので、上限値「4」に達するまで設定可能となっている。そして、特別図柄保留数が「0」である場合には(S326:yes)、そのまま特別図柄遊技処理を終了して図9に示す遊技制御処理に復帰する。一方、特別図柄保留数が「0」でない場合、換言すれば、特別図柄の保留が残っている場合は(S326:no)、特別図柄の当否判定を開始する。
本実施例の遊技機1では、特別図柄の当否判定に先立って、大当りの発生確率が高確率状態(確変状態)となっているか否かを判断する(S328)。確変状態は、特別図柄表示部30に表示される特別図柄が、図7に示した「確変当り図柄」または「特定確変当り図柄」のいずれかで停止した場合に、特別遊技が終了してから次の特別遊技が開始されるまで継続される。このことから、S328では、現在の遊技状態が確変状態であるか否かを判断して、確変中であれば(S328:yes)、大当りの確率が高めに設定された状態で特別図柄の当否判定を行う(S330)。逆に、確変中でなければ(S328:no)、大当りの確率が通常の値に設定された状態で特別図柄の当否判定を行う(S332)。
特別図柄の当否判定は、次のような当否判定テーブルおよび大当り態様判定テーブルを参照することによって行う。図13は、本実施例の特別図柄遊技処理において特別図柄の当否判定を行うために参照する当否判定テーブルを概念的に示した説明図である。図示されているように、当否判定テーブルには、図13(b)に示す確変用のテーブルと図13(a)に示す非確変用のテーブルとが用意されており、それぞれのテーブルには、特別図柄当否判定用乱数に対して、「大当り」、または「外れ」の何れかの当否判定結果が対応付けて記憶されている。また、図13(a)と図13(b)とを比較すれば明らかなように、確変用の当否判定テーブルは、非確変用の当否判定テーブルよりも「大当り」の発生確率が高くなっている。ここで特別図柄当否判定用乱数とは、遊技球が始動口17に入球したときに取得されて、主制御基板200上のRAM203に記憶される乱数である。特別図柄当否判定用乱数から当否判定テーブルを参照することによって特別図柄の当否判定を行い、その結果、「大当り」と判定された場合は、更に、大当り態様判定テーブルを参照することで、特別図柄の大当り態様を決定する。
図14は、特別図柄の当否判定結果が大当りの場合に、大当り態様を判定するために参照される大当り態様判定テーブルを概念的に示した説明図である。図示されるように、大当り態様判定テーブルには、大当り態様判定用乱数に対して、「通常当り」、「確変当り」、「特定確変当り」の何れかの大当り態様が対応付けて記憶されている。ここで大当り態様判定用乱数は、特別図柄の当否判定結果が「大当り」であった場合に取得される乱数である。なお、大当り態様の決定は、後述する特別図柄変動パターン設定処理(図15参照)における特別図柄の停止図柄の決定と共に行っても良く、この場合には、特別図柄の停止図柄決定用乱数により大当り態様も決定されることとなるので、大当り態様判定用乱数や大当り態様判定テーブルを設ける必要はない。
図11に示した特別図柄遊技処理のS328〜S332では、特別図柄の当否判定に先立って確変中か否かを判断し、確変中であれば、図13(b)に示した当否判定テーブルおよび図14の大当り態様判定テーブルを参照して特別図柄の当否判定を行い、確変中でなければ、図13(a)の当否判定テーブルおよび図14の大当り態様判定テーブルを参照して特別図柄の当否判定を行うのである。以上のようにして、特別図柄の当否を判断したら、今度は、特別図柄の変動パターンを設定する処理を行う(S338)。
図15は、特別図柄遊技処理の中で特別図柄の変動パターンを設定する処理(特別図柄変動パターン設定処理)の流れを示すフローチャートである。ここで、特別図柄変動パターンとは特別図柄の変動時間を定めるものであり、この特別図柄の変動時間は、キャラクタ図柄27a,27b,27cの変動時間にも相当する。特別図柄変動パターン設定処理を開始すると、先ず初めに、当否判定の結果が確変当りであったか否かを判断する(S3380)。そして、確変当りであった場合には(S3380:yes)、確変当り用の特別図柄の停止図柄を決定する(S3382)。図7に示したように、確変当り図柄としては4通りの図柄が設定されているから、抽選を行って何れか1つの図柄を決定する。
一方、当否判定の結果が確変当りでなかった場合には(S3380:no)、通常当りであったか否かを判断する(S3384)。そして、通常当りであったと判断された場合には(S3384:yes)、通常当り用の特別図柄の停止図柄を決定する(S3386)。図7に示したように、通常当り図柄としては5通りの図柄が設定されているから、抽選を行って何れか1つの図柄を決定する。
また、当否判定の結果が通常当りでもなかった場合には(S3384:no)、今度は、特定確変当りであったか否かを判断する(S3388)。そして、特定確変当りであったと判断された場合には(S3388:yes)、特定確変当り図柄を決定する(S3390)。図7に示したように、本実施例の遊技機1では、特定確変当り図柄は1つだけしか設定されていないから、当否判定結果が特定確変当りであった場合には、抽選を行うことなく停止図柄を決定することができる。もちろん、特定確変当り図柄を複数種類設けておき、抽選によって図柄を決定しても良い。
以上のようにして、特別図柄の当否判定結果が当りであった場合には、確変当り、通常当り、特定確変当りといった当り態様に応じて、特別図柄の停止図柄を決定した後、続いて、これら当り態様に応じて特別図柄の変動パターンを決定する(S3395)。特別図柄の変動パターンを決定するに際して、当り態様に応じて複数の変動パターンが設けられている場合には、抽選を行って、それらの中から何れか1つの変動パターンを選択する。こうして、特別図柄の当り態様に応じて特別図柄変動パターンを決定したら、図15の特別図柄変動パターン設定処理を終了して、図11に示した特別図柄遊技処理に復帰する。
一方、当否判定の結果が特定確変当りでもないと判断された場合は(S3388:no)、「確変当り」、「通常当り」、「特定確変当り」の何れでもないから、当否の判定結果が「外れ」であると判断できるので、外れ用の停止図柄と変動パターンとを決定すればよい。もっとも、「外れ」の場合には、リーチ演出の後に外れとなる場合と、リーチ演出とならずに外れる場合とが存在する。そこで、停止図柄および変動パターンを決定する前に、先ず、抽選を行って、リーチ演出を行うか否かを決定する(S3396)。そして、リーチ演出の有無に応じて、特別図柄の停止図柄と特別図柄の変動パターンとを、それぞれ抽選によって決定する(S3398)。
以上のような処理を行うことにより、当否判定結果に応じて、特別図柄の停止図柄と変動パターンとを決定したら、図15に示した特別図柄変動パターン設定処理を終了して、図11の特別図柄遊技処理に復帰する。
主制御基板200のCPU201は、特別図柄変動パターン設定処理から復帰すると、サブ制御基板220に向かって特別図柄の変動パターン指定コマンドを出力し(S340)、図柄表示装置28における特別図柄の変動表示を開始する(S342)。ここで出力する特別図柄変動パターン指定コマンドは、図15に示した特別図柄変動パターン設定処理中で決定しておいた特別図柄変動パターンを指定するコマンドである。
主制御基板200のCPU201は、特別図柄の変動表示を開始すると(S342)、続いて、特別図柄保留数から1を減算する処理を行う(S344)。前述したように、本実施例の図柄表示装置28は、図7に示した12種類の特別図柄を表示可能であり、これら図柄の表示を次々と切り換えることによって変動表示を行う。また、特別図柄の変動表示が開始されると特別図柄の保留数が1つ消化されるので、主制御基板200上のRAM203に記憶されている特別図柄保留数のデータから1を減算しておくのである。そして、特別図柄保留数から1を減算すると、サブ制御基板220に向かって、特別図柄停止情報指定コマンドを出力する(S346)。ここで出力する特別図柄停止情報指定コマンドは、図15を用いて前述した特別図柄変動パターン設定処理の中で、特別図柄の変動パターンとともに決定された特別図柄の停止図柄を指定するコマンドである。
サブ制御基板220側のCPU221は、主制御基板200から出力されたこれらのコマンドに基づいて、特別図柄変動パターンおよび特別図柄の停止図柄を取得する。そして、演出表示装置27での演出態様を決定した後、演出表示装置27の動作を制御する演出制御基板230に向かって、各種のコマンドを出力する。演出制御基板230では、こうしてサブ制御基板220からのコマンドに基づいて演出表示装置27の制御が実行され、その結果、演出表示装置27の液晶画面上では、3つのキャラクタ図柄27a,27b,27cの変動表示および停止表示が行われる。
主制御基板200のCPU201は、以上のようにして、特別図柄の変動パターンと特別図柄の停止図柄とを決定し、これらに対応する特別図柄変動パターン指定コマンドと特別図柄停止情報指定コマンドとをサブ制御基板220に向けて出力したら、図11に示した特別図柄遊技処理を終了して、図9に示す遊技制御処理に復帰する。
一方、特別図柄遊技処理を開始した直後のS322の処理で、特別図柄表示部30の特別図柄が変動中であると判断された場合は(S322:yes)、既に、特別図柄の変動パターンと停止図柄とが決定されて、特別図柄の変動が開始されているものと考えられる。そこで、特別図柄変動時間が経過したか否かを判断する(S348)。すなわち、特別図柄の変動時間は変動パターンに応じて予め定められているので、特別図柄の変動を開始すると同時にタイマをセットすることにより、所定の変動時間が経過したかを判断するのである。そして、未だ変動時間が経過していない場合は(S348:no)、そのまま特別図柄遊技処理を終了して、図9に示す遊技制御処理に復帰する。一方、変動時間が経過したと判断された場合は(S348:yes)、サブ制御基板220に向かって演出表示装置27で変動表示されているキャラクタ図柄27a,27b,27c(および場合によっては背景図柄27d)の図柄停止コマンドを出力するとともに(S350)、図柄表示装置28において変動表示している特別図柄表示部30の特別図柄を停止表示する(S352)。そして、図柄表示装置28上での特別図柄の停止表示時間を設定した後(S354)、設定した停止表示時間が経過したか否かを判断する(S356)。特別図柄の停止表示時間が経過していなければ(S356:no)、そのまま特別図柄遊技処理を終了して図9に示す遊技制御処理に復帰する。
一方、特別図柄の停止表示時間が経過した場合は(S356:yes)、停止表示された特別図柄が条件装置を作動させることとなる図柄であるか否かを判断する(図12のS358)。ここで、条件装置を作動させることとなる図柄とは、図7に示した通常当り図柄、確変当り図柄、特定確変当り図柄の何れかの図柄(すなわち、大当り図柄)である。図12のS358では、図柄表示装置28の特別図柄表示部30に停止表示された図柄が、これら大当り図柄であるか否かを判断する。
停止表示された図柄が、条件装置を作動させることとなる図柄であった場合は(S358:yes)、その図柄が特定確変当り図柄に該当するか否かを判断する(S360)。特定確変当り図柄ではなかった場合、すなわち条件装置を作動させることとなった図柄が通常当り図柄または確変当り図柄であった場合は(S360:no)、役物連続作動装置を連続して作動させる回数(連続作動回数)を標準回数(本実施例では、15回)に設定する(S364)。一方、条件装置を作動させることとなった図柄が特定確変当り図柄であった場合は(S360:yes)、連続作動回数を特定確変当り用の回数(本実施例では、2回)に設定する(S362)。
次いで、時短遊技の上限回数を設定する処理(時短上限回数設定処理)を行う(S1000)。すなわち、前述したように大当り遊技の終了後は、始動口17の開口時間が延長される時短遊技が開始され、時短遊技は、図柄表示装置28の特別図柄(および演出表示装置27のキャラクタ図柄27a,27b,27c)が、所定回数の変動表示および停止表示を行うか、あるいは途中で再び大当り遊技が開始されるまで継続される。そこで、大当り遊技を開始する前に、その大当り遊技が終了した後に開始される時短遊技の上限回数を設定しておく処理を行うのである。尚、本実施例の時短上限回数設定処理では、時短遊技が画一的になってしまうことを回避するために、大当り遊技が開始された時の遊技状態に応じて、大当り遊技の終了後に行われる時短遊技の上限回数を変更可能となっている。時短上限回数設定処理の詳細については後述する。
時短遊技の上限回数を設定したら(S1000)、条件装置および役物連続作動装置の作動を開始する(S366)。ここで、役物連続作動装置とは、一旦閉鎖された大入賞口31dを再び開口させる装置であり、条件装置が作動することによって作動を開始する装置である。また、上述したように、条件装置および役物連続作動装置は、主制御基板200のCPU201が実行する制御プログラムによって構成されている。
本実施例の遊技機1では、条件装置および役物連続作動装置の作動時は、確変機能や時短機能は働かないこととしている。そこで、図12のS366において条件装置および役物連続作動装置を作動させたら、現在の遊技状態が確変中か否かを判断する(S368)。確変中であれば(S368:yes)、確変機能および時短機能が作動しているので、これら機能を停止させる(S370)。一方、現在の遊技状態が確変中ではなかった場合は(S368:no)、時短中か否かを確認し(S374)、時短中であった場合は(S374:yes)、時短機能を停止させる(S376)。また、本実施例の遊技機1では、時短機能が作動している場合は、普通電動役物の開口時間を延長する機能も働いているので、S370あるいはS376において時短機能を停止したら、普通電動役物の開口時間延長機能も停止させた後(S372)、図11および図12に示した特別図柄遊技処理を抜けて、図9の遊技制御処理に復帰する。一方、S366で条件装置および役物連続作動装置を作動させたときの遊技状態が確変中でも時短中でもなかった場合は(S374:no)、そのまま特別図柄遊技処理を抜けて、遊技制御処理に復帰する。
以上、図柄表示装置28で停止表示された特別図柄が、条件装置を作動させることとなる図柄であった場合(S358:yes)の処理について説明したが、停止表示された特別図柄が条件装置を作動させる図柄でなかった場合は(S358:no)、次のような処理を行う。
先ず、現在の遊技状態が時短中または確変中か否かを判断する(S380)。そして、時短中または確変中の何れでもないと判断された場合は(S380:no)、そのまま図11および図12に示した特別図柄遊技処理を抜けて、図9の遊技制御処理に復帰する。
これに対して、時短中あるいは確変中と判断された場合は(S380:yes)、特別図柄の変動回数を計数した後(S382)、変動回数が所定の上限回数に達したか否かを判断する(S384)。ここで、所定の上限回数は、大当り遊技の開始前に時短上限回数設定処理(S1000)において予め設定されている。また、S382で計数された特別図柄の変動回数は、主制御基板200に搭載されたRAM203の所定アドレスに記憶されている。本実施例の遊技機1では、時短状態は、特別図柄の変動表示回数が上限回数に達するか、もしくは次の大当り遊技が開始されるまでは継続する設定となっている。そこで、現在の遊技状態が時短中であった場合は(S380:yes)、特別図柄の変動回数が上限回数に達したか否かを判断するのである(S384)。そして、上限回数に達していれば(S384:yes)、時短機能を停止させ(S386)、続いて、計数していた図柄変動回数も初期化する(S388)。すなわち、図柄変動回数の計数値は、時短中に大当りが発生した場合には保持されるが、時短遊技の終了後は保持されないようになっている。次いで、普通電動役物の開口時間延長機能を停止させた後(S372)、図11および図12に示した特別図柄遊技処理を抜けて、図9の遊技制御処理に復帰する。一方、特別図柄の変動回数が、未だ上限回数に達していなければ(S384:no)、時短状態を維持したまま、特別図柄遊技処理を抜けて、図9の遊技制御処理に復帰する。
以上に説明したように、特別図柄遊技処理では、特別図柄の当否判定を行って、通常当り、確変当り、特定確変当りであった場合には条件装置および役物連続作動装置の作動を開始する処理を行う。この結果、図9に示した遊技制御処理では、続いて特別電動役物遊技処理が開始されて、いわゆる大当り遊技が行われる。
尚、時短中に大当り遊技が開始された場合には、図柄変動回数の計数値を記憶しておく処理は、主制御基板200に搭載されたCPU201が、図11および図12に示した特別図柄遊技処理を実行することによって行われている。従って、本実施例のCPU201は、本発明における「時短中変動回数記憶手段」に対応するものとなっている。また、時短遊技の上限回数を設定する処理は、主制御基板200のCPU201が後述する時短行限界数設定処理を実行することによって行われている。従って、本実施例のCPU201は、本発明における「時短上限継続期間設定手段」に対応するものとなっている。
C−3.特別電動役物遊技処理 :
図16は、特別電動役物遊技処理の一部の流れを示すフローチャートである。また、図17は、特別電動役物遊技処理の残りの部分の流れを示すフローチャートである。このような特別電動役物遊技処理が実行されることによって、特別遊技状態(いわゆる大当り遊技状態)が発生する。以下、図16および図17を参照しながら特別電動役物遊技処理について説明するが、その準備として、いわゆる特別遊技状態と呼ばれる遊技の内容について簡単に説明しておく。
図2を用いて前述したように、遊技盤の下方には大入賞口31dが設けられており、この大入賞口31dは通常の遊技状態では閉鎖されている。しかし、特別遊技が開始されると、大入賞口31dが開口状態となる。本明細書中で言う「特別電動役物」とは、大入賞口31dを指している。大入賞口31dは他の入賞口に比べて大きく開口可能なため、大入賞口31dが開口状態になると、遊技球が高い確率で入球することになる。開口された大入賞口31dは、所定の開口時間が経過するか、あるいは所定数の遊技球が入球すると一旦閉鎖されるが、所定の閉鎖時間が経過すると再び開口状態となる。また、大入賞口31dが開口してから閉鎖するまでの遊技は、「ラウンド」と呼ばれる。こうしたラウンドを繰り返して、所定回数のラウンドを消化したら大当り遊技が終了する。
また、本実施例の遊技機では、特別図柄に「特定確変当り図柄」が設定されており、この図柄によって条件装置および役物連続作動装置が作動した場合には、次のような大当り遊技が行われる。すなわち、大入賞口31dが約0.1秒間だけ開口した後、直ぐに閉鎖して1ラウンドを終了し、これを2ラウンド繰り返したら特別遊技を終了する。このような態様で行われる特別遊技は、大入賞口31dにはほとんど遊技球が入球することなく、従って賞球も払い出されることなく、ごく短時間で終了してしまう。このため大当り遊技が行われたことに、遊技者が気付かないまま、遊技が継続されることになる。
以上に説明した大当り遊技は、主制御基板200に搭載されたCPU201が、図16および図17に示す特別電動役物遊技処理を行うことによって実現されている。以下、図16および図17を参照しながら、詳細な処理内容について説明する。
CPU201は、特別電動役物遊技処理を開始すると先ず初めに、大入賞口31dが開口中か否かを判断する(S402)。大入賞口31dは、通常の遊技状態では閉鎖されており、従って、特別遊技の開始直後は、大入賞口31dは閉鎖状態となっている。そこで、大入賞口は開口中ではないと判断して(S402:no)、特別電動役物の連続作動回数が所定回数に達したか否かを判断する(S404)。特別電動役物の連続作動回数は、図12を用いて前述した特別図柄遊技処理において、「確変当り」または「通常当り」時には15回、「特定確変当り」時には2回に設定されている。また、大当り遊技状態が発生すると特別電動役物が所定回数だけ開口状態となり、所定回数のラウンドが繰り返されることになっている。このことに対応して、大入賞口31dが閉鎖されている場合は(S402:no)、特別電動役物の作動回数が所定回数に達したか否か、換言すれば、所定回数のラウンドが終了したか否かを判断するのである(S404)。
当然のことながら、特別遊技が開始された直後は、特別電動役物の作動回数が所定回数に達していないから(S404:no)、大入賞口の閉鎖時間が経過したか否かを判断する(S406)。大入賞口の閉鎖時間とは、ラウンドとラウンドとの間で大入賞口31dが閉鎖状態となっている時間である。特別遊技が開始された直後は、大入賞口31dは閉鎖状態となっているから、当然、大入賞口31dの閉鎖時間が経過していると判断され(S406:yes)、大入賞口31dを開口させた後(S408)、図16に示した特別電動役物遊技処理を一旦終了して、図9の遊技制御処理に復帰する。
主制御基板200のCPU201は遊技制御処理に復帰すると、図9に示したように、賞球関連処理(S50)以降の一連の各種処理を行った後、再び特別電動役物遊技処理(S400)を開始する。前述したように、図9に示した遊技制御処理を、主制御基板200のCPU201が一回、実行するために要する時間は、約4msecとなっている。従って、図16に示した特別電動役物遊技処理も、約4msec毎に実行されることになる。そして、特別遊技が開始されて、図16の特別電動役物遊技処理が初めて実行された場合には、前述したようにS406において大入賞口31dを開口させて、そのまま処理を終了するが、約4msec後に2周目の処理を行う場合には、S402にて、大入賞口31dが開口中(S402:yes)と判断されることになる。
次いで、大入賞口31dの開口時間が所定時間に達したか否かを判断する(S410)。前述したように、特別遊技では、大入賞口31dが開口状態となるが、開口時間が所定時間に達するか、または大入賞口31dに所定数の遊技球が入球すると閉鎖される。このことに対応して、S410では大入賞口31dの開口時間が所定時間に達したか否かを判断するのである。そして、開口時間が所定時間に達していれば(S410:yes)、大入賞口31dを閉鎖した後(S414)、図16に示した特別電動役物遊技処理を抜けて、図9の遊技制御処理に復帰する。一方、開口時間が所定時間に達していない場合は(S410:no)、大入賞口31dに入球した遊技球が規定数に達しているか否かを判断する(S412)。そして、遊技球が規定数に達した場合は(S412:yes)、大入賞口31dを閉鎖する(S414)。これに対して、規定数に達していない場合は(S412:no)、大入賞口31dの開口時間が未だ所定時間に達しておらず、しかも大入賞口31dに入球した遊技球も規定数に達していないことになるので、大入賞口31dを開口させたまま、図16に示した特別電動役物遊技処理を抜けて、図9の遊技制御処理に復帰する。
図9の遊技制御処理を何回も繰り返し実行しているうちに、大入賞口31dの開口時間が所定時間に達するか(図16のS410:yes)、もしくは大入賞口31dに所定数の遊技球が入球して(S412:yes)、大入賞口31dが閉鎖される(S414)。こうして、1ラウンドの遊技が終了する。そして、次に特別電動役物遊技処理が実行された時には、S402において大入賞口31dが閉鎖中と判断され(S402:no)、所定回数のラウンドが終了したか否かが判断され(S404)、全てのラウンドが終了していなければ(S404:no)、大入賞口の閉鎖時間が所定時間に達したことを確認した後(S406:yes)、再び大入賞口31dを開口状態として新たなラウンドを開始する(S408)。尚、前述したように、条件装置を作動させることになった図柄が「特定確変当り図柄」であった場合には、大入賞口31dの開口時間は約0.1秒間に設定されているので、大入賞口31dが開口しても直ちに開口時間が経過し(S410:yes)、再び閉鎖されて(S414)、ごく短時間で1ラウンドが終了してしまう。
一方、S404において、所定回数のラウンドが終了したと判断された場合は(S404:yes)、大当り遊技を終了させるべく、条件装置および役物連続作動装置の作動を停止させる(S416)。尚、前述したように、条件装置を作動させることになった図柄が「特定確変当り図柄」であった場合には、ラウンド回数は2回に設定されているので、直ぐに所定回数のラウンドが終了としたと判断され(S404:yes)、条件装置および役物連続作動装置の作動が停止され(S416)、これにより大当り遊技が終了する。
以上のようにして大当り遊技が終了したら、条件装置を作動させることとなった特別図柄が「確変当り図柄」または「特定確変当り図柄」であったか否かを判断する(図17のS418)。そして、これら何れかの図柄であったと判断された場合は(S418:yes)、確変機能の作動を開始した後(S420)、条件装置を作動させることとなった特別図柄が「確変当り図柄」であったか否かを判断する(S422)。その結果、「確変当り図柄」であると判断された場合は(S422:yes)、確変機能に加えて、普通電動役物の開口時間延長機能および時短機能の作動を開始する(S428、S430)。尚、開口時間延長機能が作動すると、始動口17の開口時間が延長される。従って、開口時間延長機能を作動させる主制御基板200のCPU201は、本発明の「時短遊技実行手段」に該当している。
これに対して、「確変当り図柄」ではないと判断された場合は(S422:no)、条件装置は「特定確変当り図柄」によって作動を開始したことになる。そこで、条件装置の作動開始時に普通電動役物の開口時間延長機能が作動していたか否かを判断する(S424)。そして、条件装置の作動開始時に開口時間延長機能が作動していたと判断されれば(S424:yes)、普通電動役物の開口時間延長機能および時短機能の作動を開始する(S428、S430)。これに対して、条件装置の作動開始時に開口時間延長機能が作動していなかったと判断された場合は(S424:no)、普通電動役物の開口時間延長機能および時短機能の作動を開始する処理はスキップする。
一方、条件装置を作動させることとなった特別図柄が「確変当り図柄」または「特定確変当り図柄」では無いと判断された場合は(S418:no)、条件装置を作動させることとなった特別図柄は「通常当り図柄」であったことになるので、確変機能は作動させることなく、普通電動役物開口時間延長機能の作動を開始し(S428)、続いて時短機能の作動を開始する(S430)。
以上のように、条件装置を作動させることとなった特別図柄の種類や、条件装置の作動開始時における開口時間延長機能の作動有無に応じて、確変機能、時短機能、開口時間延長機能の作動を開始する処理を行い、最後に、大当り遊技の終了を示すコマンド(大当り遊技終了コマンド)を、サブ制御基板220に出力し(S432)、図16および図17に示す特別電動役物遊技処理を終了する。いわゆる大当り遊技は、主制御基板200に搭載されたCPU201が、以上のような特別電動役物遊技処理を実行することによって行われている。
主制御基板200では、以上に説明した遊技制御処理が行われ、特別図柄の当否判定結果に応じて、大当り遊技を行い、大当り遊技後は時短遊技を行うことによって遊技が進行していく。また、大当り遊技後に行われる時短遊技の継続期間が、常に、図柄表示装置28で所定回数の変動表示が行われるまでとしたのでは、時短遊技が画一化してしまうので、本実施例の遊技機1では、以下のような時短上限回数設定処理を行うことによって、こうした問題が発生することを回避している。
D.第1実施例の時短上限回数設定処理 :
図18は、第1実施例の時短上限回数設定処理の流れを示すフローチャートである。かかる処理は、図11および図12を用いて前述した特別図柄遊技処理の中で、停止表示された特別図柄が条件装置を作動させる図柄であると判断された場合に(図12のS358:yes)、主制御基板200に搭載されたCPU201によって実行される処理である。
第1実施例の時短上限回数設定処理(図18のS1000)では、先ず初めに、特別図柄が条件装置を作動させる図柄で停止した時に開口時間延長機能が作動していたか否かを判断する(S1002)。そして、開口時間延長機能が作動していなかった場合は(S1002:no)、停止した図柄が、通常当り図柄か否かを判断し(S1018)、通常当り図柄であった場合は(S1018:yes)、時短上限回数を100回に設定する(S1022)。設定された時短上限回数は、主制御基板200に搭載されたRAM203の所定のアドレスに記憶され、必要に応じて何時でも参照することが可能である。また、前述したように、特別図柄が通常当り図柄で停止表示されると、大入賞口31dが開口して大当り遊技が開始され、大当り遊技の終了後は時短遊技が開始される。そして、時短遊技中は、特別図柄が停止表示される度に変動回数を1つずつ計数し(図12のS382)、計数した変動回数が時短上限回数に達するまで時短遊技が継続される。
一方、停止した特別図柄が通常当り図柄ではなかった場合は(S1018:no)、今度は確変当り図柄か否かを判断する(S1020)。そして確変当り図柄であった場合は(S1020:yes)、時短上限回数を10000回に設定する(S1016)。前述したように確変当り図柄が停止表示された場合には、大当り遊技の終了後、確変機能が作動して確変遊技状態となる(図17のS420)。そして、確変遊技中も、上述した時短遊技状態と同様に、特別図柄の変動回数を計数し(S382)、計数した変動回数が時短上限回数に達したか否かが判断されるが(S384)、特別図柄が10000回も変動表示する間に全く大当りが発生しないことは、ほとんどあり得ない。このため、実際には、確変遊技が開始されると、次回の大当りが発生するまで継続されることになる。
これに対して、条件装置を作動させることとなった停止図柄が、通常当り図柄でも確変当り図柄でもないと判断された場合は(S1020:no)、その停止図柄は特定確変当り図柄であると判断できる。また、ここでは、特別図柄が停止表示されたときに、開口時間延長機能が作動していなかった場合(S1002:no)を想定しているから、時短上限回数を0回に設定する(S1024)。すなわち、図17を用いて前述したように、特定確変当り図柄による大当り遊技の終了後、その大当り遊技の開始時(条件装置の作動開始時)に開口時間延長機能が作動していなかった場合は、時短機能および開口時間延長機能を作動させず、従って、時短遊技を行わないこととしているので、これに対応して、図18に示した時短上限回数設定処理においても、開口時間延長機能の非作動時に(S1002:no)、特定確変当り図柄によって条件装置が作動する場合は(S1020:no)、時短上限回数を0回に設定しておくのである。
以上、条件装置を作動させることとなる特別図柄が停止表示されたときに、開口時間延長機能が作動中ではなかったと判断された場合(S1002:no)の処理について説明した。これに対して、開口時間延長機能が作動していたと判断された場合は(S1002:yes)、次のようにして時短上限回数を設定する。
先ず、特別図柄が停止表示された時点で設定されている時短上限回数の設定値を取得する(S1004)。前述したように、時短上限回数は主制御基板200に搭載されたRAM203の所定アドレスに記憶されており、何時でも参照することが可能となっている。
次いで、取得した時短上限回数が10000回か否かを判断する(S1006)。前述したように、時短上限回数が10000回に設定されるのは、通常遊技状態中に確変当りが発生した場合である。そして、時短上限回数が10000回であった場合には(S1006:yes)、今回の当り図柄が通常当り図柄か否かを判断し(S1012)、通常当り図柄であれば(S1012:yes)、時短上限回数を100回に設定し(S1014)、その他の当り図柄であれば(S1012:no)、時短上限回数を10000回に設定する(S1016)。すなわち、通常遊技状態から確変当りを経て時短遊技が開始され(時短上限回数が10000回に設定された状態に対応)、その時短遊技中に確変当りや特定確変当りが発生した場合には(S1012:noに対応)、そのまま時短上限回数10000回の設定を継続することによって(S1016)、次の大当りが発生するまでは時短遊技を継続する。これに対して通常当りが発生した場合には(S1012:yes)、続く時短遊技の上限回数を100回に設定するのである(S1014)。
一方、取得した時短上限回数が10000回ではなかった場合は(S1006:no)、当り発生時の特別図柄の変動回数を取得する(S1008)。前述したように、確変中あるいは時短中は、特別図柄の変動回数が計数され(図12のS382)、計数された変動回数は、主制御基板200のRAM203に記憶されている。図18に示した時短上限回数設定処理のS1008では、RAM203に記憶されている特別図柄の変動回数を取得する。この変動回数が時短上限回数に達したら、時短機能および開口時間延長機能の作動が停止されるから(図12のS386,S372)、大当りの発生時に開口時間延長機能が作動していた(図18のS1002:yes)と言うことは、特別図柄の変動回数が時短上限回数に達しておらず、未消化の図柄変動回数が発生しているということである。そこで、この未消化の図柄変動回数、すなわち時短上限回数から、大当り発生時点での図柄変動回数を減算した残りの回数を、新たな時短上限回数に設定する(S1010)。
このように、第1実施例の時短上限回数設定処理では、大当り発生時の遊技状態に応じて、時短上限回数を異なる値に設定している。このため、大当り遊技後に開始される時短遊技が継続し得る上限回数が、大当り発生時の遊技状態に応じて変化することとなって、時短遊技が画一化することを回避することが可能となっている。この点について、詳しく説明する。
図19は、大当り発生時の遊技状態に応じて、時短遊技が継続し得る上限回数が変化する様子を示した説明図である。また、図20には、特に特定確変当り図柄による大当りが発生した場合が示されている。先ず初めに、通常遊技状態から大当りが発生した場合について説明する。通常遊技状態から大当りが発生した場合は、その大当りが通常当り図柄によるものであれば、時短遊技の継続可能な上限回数は100回に設定され(図19(a)参照)、確変当り図柄によるものであれば、継続可能な上限回数は10000回に設定される(図19(b)参照)。また、確変当りの発生後に上限回数10000回の時短遊技が開始され、その時短遊技中に大当りが発生した場合も同様に、大当りが通常当り図柄によるものであれば、100回を上限回数とする時短遊技が開始され、大当りが確変当り図柄によるものであれば、10000回を上限回数とする時短遊技が開始される。図19(c)には、確変当り後の時短遊技中に通常当り図柄による大当りが発生した場合が例示されている。
これに対して、通常当り後の時短遊技中(換言すれば、実質的な上限回数が設定されている時短遊技中)に大当りが発生した場合には、大当りが発生したことによって生じた未消化の変動回数を、その大当りに続いて行われる時短遊技の上限回数に設定する。図19(d)には、上限回数が100回に設定された時短遊技中で、特別図柄が70回目の変動表示を行ったときに、通常当り図柄または確変当り図柄による大当りが発生した場合が例示されている。上限回数100回の時短遊技中に、70回目の変動表示で大当りが発生したのであるから、未消化の図柄変動回数は30回となり、この図柄変動回数が、次の時短遊技の上限回数となる。すなわち、従来の弾球遊技機では、時短遊技の上限回数は、所定の固定回数(多くの場合は100回、または50回)に設定されているか、若しくは実質的には上限回数が定められていないかの何れかであり、時短遊技が画一的になってしまう傾向があったところを、本実施例の弾球遊技機では、時短遊技中に大当りが発生して未消化の変動回数が生じると、その未消化の変動回数を次回の時短遊技の上限回数に設定している。このため、大当り遊技後に開始される時短遊技の継続可能な上限回数が、その大当り発生時に生じた未消化の図柄変動回数に応じて変化するので、時短遊技が画一化することを回避することが可能となる。
加えて、上述した時短上限回数設定処理では、実質的な上限回数が設定された時短遊技中に大当りが発生した場合、その大当りが通常当り図柄または確変当り図柄の何れによるものであっても、未消化となった時短遊技の変動回数に相当する時短遊技が開始され、その時短遊技の終了後は、時短機能および開口時間延長機能の作動が停止する(尚、本実施例の遊技機1では、時短機能および開口時間延長機能は同時に作動を開始し、同時に停止する。従って、説明が煩雑となることを避けるために、本明細書中では特に指定しない限り、時短機能と開口時間延長機能とを含めて、単に時短機能という場合があるものとする。)。ここで、大当り遊技が確変当り図柄によるものであった場合は、時短機能および開口時間延長機能に加えて確変機能も作動しているから、時短遊技を終了すると、いわゆる潜伏確変状態に移行する。このため遊技者は、時短機能や開口時間延長機能が作動していない場合でも、確変機能が作動しているか否か(すなわち、大当りが発生し易い状態か否か)を容易には判断できなくなる。その結果、たとえ確変機能が非作動の場合であっても、遊技者は、もうすぐ大当りが発生するのではないかと、期待しながら遊技を継続することが可能となり、遊技に対する興味を維持することが可能となる。
また、特定確変当り図柄による大当り遊技が発生した場合には、時短遊技の継続可能な上限回数は、次のような回数に設定される。図20(a)は、通常遊技状態中に特定確変当り図柄による大当り遊技が発生した場合を示している。通常遊技状態中に発生した大当りが特定確変当り図柄によるものであった場合は、遊技者が気付かない程の短時間で2ラウンドの大当り遊技を終了し、時短遊技は行われない(図17参照のこと)。これに対応して、時短遊技の上限回数は0回に設定される(図18のS1024)。この結果、遊技者に気付かれないうちに、遊技状態を通常の遊技状態から確変状態(潜伏確変状態)に切り換えることが可能となる。
一方、図20(b)には、上限回数が10000回に設定された時短遊技中に特定確変当り図柄が停止表示された場合が示されている。この場合も、遊技者が気付かない程の短時間で2ラウンドの大当り遊技を終了し、続いて、上限回数が10000回に設定された時短遊技が開始される。このため、遊技者は、特定確変当り図柄による大当り遊技が行われたことに気付かずに、時短遊技が継続しているかのように感じられることになる。
これに対して、実質的に上限回数が設定された時短遊技中に特定確変当りによる大当りが発生した場合には、2ラウンドの短い大当り遊技の終了後も時短遊技が継続されるとともに、その時短遊技の上限回数は、大当りの発生によって生じた未消化の時短遊技の変動回数に設定される。例えば、図20(c)に示されるように、上限回数が100回に設定された時短遊技中で、特別図柄が70回目の変動表示を行ったときに特定確変当り図柄が停止表示された場合は、変動回数30回分の未消化の時短遊技が発生する。そこで、2ラウンドの短い大当り遊技の終了後、上限回数が30回の時短遊技を開始する。そして、図柄変動30回分の時短遊技を終了すると、時短機能や開口時間延長機能が作動していないにも拘わらず、確変機能が作動した潜伏確変状態となる。
前述したように、特定確変当り図柄による大当り遊技は短時間で終了することから、遊技者は大当り遊技が行われたことに気付かず、上限回数100回の時短遊技が終了しただけであるかのように感じられる。このため、遊技者に気付かれることなく、遊技状態を潜伏確変状態に切り換えることが可能となる。
以上に説明したように、第1実施例の弾球遊技機では、時短遊技中に大当りが発生して未消化の時短遊技が生じた場合には、未消化となった図柄変動回数を、その大当りに続いて行われる時短遊技の上限回数に設定する。未消化の時短遊技に相当する図柄変動回数は、大当りの発生した時期に応じて種々に変化することから、このように未消化の図柄変動回数を、その大当り遊技に続く時短遊技の上限回数に設定することで、時短遊技が画一化してしまうことを回避することが可能となる。加えて、大当り遊技が確変当り図柄によるものであった場合には、このようにして設定された上限回数の図柄変動を行った後は、いわゆる潜伏確変状態となる。このため遊技者は、現在の遊技状態が大当りの発生し易い状態なのか、そうでないのかの判断が困難となり、常に、もうすぐ大当りするかも知れないと期待しながら遊技を継続することが可能となる。
更に加えて、このように、未消化の図柄変動回数を次の時短遊技の上限回数とすることで、次のような大きな効果も得ることができる。すなわち、特定確変当り図柄が停止表示された場合には、遊技者に気付かれないような短時間の大当り遊技が行われる。そして、大当りの発生によって未消化の時短遊技が生じていた場合には、短時間の大当り遊技の終了後、その未消化の図柄変動回数を上限回数とする時短遊技が行われる。このため、遊技者にとっては、単に、上限回数を消化して時短遊技を終了しただけであるかのように感じられるので、遊技状態が確変状態に切り換わっていることを、遊技者に気付かれないようにすることが可能となる。仮に、短時間の大当り遊技の終了後に開始する時短遊技の上限回数を、未消化となった時短遊技の変動回数とは異なる回数に設定した場合、たとえ大当り遊技が行われたことには気付かなくても、時短遊技の変動回数が大きく変化したことから、短時間の大当り遊技が行われたことが遊技者に悟られてしまう虞も生じ得る。これに対して本実施例では、こうした虞も無く、従って、遊技者には全く悟られることなく、特定確変当り図柄による短時間の大当りを行って、遊技状態を確変状態に切り換えることが可能となる。
尚、上述した第1実施例の時短上限回数設定処理では、時短遊技の上限回数に達する直前に大当りが発生すると、その大当り遊技に続いて行われる時短遊技が直ぐに終了してしまう場合も生じ得る。そして、時短遊技があまりに短時間で終了したのでは、遊技者が落胆して遊技に対する興趣を失ってしまう虞もある。そこで、時短上限回数に下限値を設けておき、未消化の時短遊技の変動回数が下限値よりも小さな値であった場合には、時短上限回数として下限値の回数を設定するようにしても良い。
E.第2実施例の時短上限回数設定処理 :
以上に説明した第1実施例の時短上限回数設定処理では、大当り遊技の発生によって未消化の時短遊技が生じた場合には、その大当りに続いて行われる時短遊技の上限回数を、未消化の時短遊技の図柄変動回数と同じ回数に設定するものとして説明した。しかし、未消化の時短遊技の図柄変動回数ではなく、大当り遊技が発生した時点での時短遊技の図柄変動回数を、その大当りに続いて行われる時短遊技の上限回数に設定することも可能である。以下では、かかる第2実施例の時短上限回数設定処理について説明する。
図21は、第2実施例の時短上限回数設定処理の流れを示すフローチャートである。かかる処理も、図18を用いて前述した第1実施例の時短上限回数設定処理と同様に、図11および図12を用いて前述した特別図柄遊技処理の中で、停止表示された特別図柄が条件装置を作動させる図柄であると判断された場合に(図12のS358:yes)、主制御基板200に搭載されたCPU201によって実行される処理である。
第2実施例の時短上限回数設定処理においても、処理を開始すると先ず初めに、大当りの発生時に開口時間延長機能が作動していたか否かを判断する(S1502)。そして、開口時間延長機能が作動していなかった場合は(S1502:no)、図18に示した第1実施例の時短上限回数設定処理と全く同じ処理を行う。以下、簡単に説明すると、大当り遊技を開始することとなった停止図柄が、通常当り図柄か否かを判断し(S1508)、通常当り図柄であった場合は(S1508:yes)、時短上限回数を100回に設定する(S1516)。一方、通常当り図柄ではなかった場合は(S1508:no)、確変当り図柄か否かを判断し(S1510)、確変当り図柄であった場合は(S1510:yes)、時短上限回数を10000回に設定する(S1512)。更に、通常当り図柄でも確変当り図柄でもないと判断された場合は(S1510:no)、その停止図柄は特定確変当り図柄であると判断できるので、時短上限回数を0回に設定する(S1514)。
これに対して、大当り発生時に開口時間延長機能が作動中であったと判断された場合は(S1502:yes)、先ず、特別図柄が停止表示された時点で計数されていた特別図柄の変動回数を取得する(S1504)。前述したように、確変中あるいは時短中は、特別図柄の変動回数が計数され(図12のS382)、計数された変動回数は、主制御基板200のRAM203に記憶されている。図21に示した第2実施例の時短上限回数設定処理においても、RAM203に記憶されている特別図柄の変動回数を取得する。そして、第2実施例の時短上限回数設定処理では、こうして大当りの発生時に取得した変動回数を、その大当りの終了後に行われる時短遊技の時短上限回数に設定する(S1506)。
このように、第2実施例の時短上限回数設定処理においても、前述した第1実施例と同様に、大当り発生時の遊技状態に応じて、時短上限回数を異なる値に設定することができ、このため時短遊技が画一化することを回避することが可能となる。加えて、第2実施例では、第1実施例と比較して、時短遊技の上限回数を大きく変動させることが可能であり、時短遊技が画一化することを確実に回避することが可能となる。以下では、この点について、詳しく説明する。
図22は、第2実施例の時短上限回数設定処理において、大当り発生時の遊技状態に応じて時短遊技の上限回数が変化する様子を例示した説明図である。図22(a)は、時短遊技が開始された後、比較的短期間で再び大当り遊技が開始された場合が示されている。図示した例では、時短遊技の開始後、20回目の特別図柄の変動表示で大当りが発生した場合が示されている。第2実施例の時短上限回数設定処理においては、20回目の図柄変動で大当り遊技が発生した場合には、その大当り遊技に続いて行われる時短遊技は、20回という時短遊技としては比較的短い上限回数に設定される。また、図22(b)には、時短遊技が開始された後、特別図柄が150回変動表示された時点で大当り遊技が発生した場合が例示されている。この場合は、続いて行われる時短遊技の上限回数は、150回という時短遊技としては比較的長い期間に設定される。
このように、第2実施例の時短上限回数設定処理では、時短遊技の上限回数を大きく変化させることができるので、時短遊技が画一化することを回避することが可能となる。また、図22(b)に示したように、時短遊技中に特別図柄が何回変動表示されても、なかなか大当り遊技が開始されないと、遊技者は次第にイライラして遊技に対する興趣を冷ましてしまう虞があるが、第2実施例の時短上限回数設定処理では、時短中に大当り遊技の発生が遅くなればなるほど、次の時短遊技を長く続けることができる。このため、なかなか大当り遊技が発生しない場合でも、遊技者がイライラして遊技に対する興趣を冷ましてしまうことを回避することも可能となる。
また、時短遊技の上限回数を大きく変化させることが可能であるという第2実施例の時短上限回数設定処理の特徴は、特定確変当り図柄による大当りが発生した場合に特に顕著に現れる。例えば、図22(c)に示されているように、大当り遊技の終了後、時短遊技が開始されて、比較的短期間で特定確変当りが発生した場合は、その特定確変当りによる短い大当り遊技の後、短期間の時短遊技が終了すると、潜伏確変状態となる。図22(c)に示した例では、特定確変当りによる短い大当り遊技を挟んで、図柄変動10回の時短遊技を2回行ったら、潜伏確変状態となる。前述したように、特定確変当りによる大当りは遊技者が気付かないうちに終了するから、遊技者にとっては、2つの時短遊技が連続して行われ、あたかも図柄変動を20回行っただけで時短遊技が終了したかのように感じられることになる。
図22(d)には、時短中に図柄変動を150回行った時点で特定確変当りが発生した場合が示されている。この場合は、特定確変当りによる短時間の大当り遊技が終了すると、再び時短遊技が開始され、特別図柄が150回変動したら潜伏確変状態となる。特定確変当りによる短時間の大当り遊技は遊技者が気付かないうちに終了するから、2つの時短遊技が連続して行われ、あたかも時短遊技が図柄変動300回分に相当するだけ、継続したかのように感じられることになる。このように、第2実施例の時短上限回数設定処理では、特に特定確変当りが発生した場合に、時短遊技の継続回数が大きく変化しているかのように遊技者に感じさせることができる。このため、時短遊技が画一化することを回避することが可能となる。
尚、上述した第2実施例の時短上限回数設定処理においても、時短上限回数に下限値(例えば、30回)を設けておき、下限値よりも少ない変動回数に替えて、下限値の上限回数を設定するようにしても良い。また、第2実施例では、確変当り後の時短遊技でなかなか次の大当りが発生しなかった場合に、時短遊技の上限回数が大変に大きな値が設定される可能性もある。このような場合を考慮して、時短上限回数に上限値(例えば、200回)を設けておき、上限値よりも多い変動回数に替えて、上限値の時短上限回数を設定するようにしても良い。こうすれば、時短遊技があまりに短期間で終了したために、遊技者が落胆して遊技に対する興趣を失ってしまったり、あるいは、時短遊技があまりに長い期間続いたために、遊技者が遊技に飽きてしまったりすること、あるいは射幸性があがりすぎることを回避することが可能となる。
尚、以下のように、連荘中のすべての時短回数を通常大当り後に付与すこととしてもよい。例えば、確変当り終了後の確変中に85回転目で確変当りし、70回転目でまた確変当りし、40回転で通常当りしたとする。その場合に通常当りの後の時短回数を連荘中(確変当りが続いているとき)のすべての時短回数を合算した回数とする。つまり、時短回数を85+70+40=195回とする。こうすることにより、連荘すればするほど、通常当り後の時短回数が増える傾向になるため、遊技者はより連荘に対して興趣を感じることができる。
以上、本発明について各種の実施の形態を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各請求項に記載した範囲を逸脱しない限り、各請求項の記載文言に限定されず、当業者がそれらから容易に置き換えられる範囲にも及び、かつ、当業者が通常有する知識に基づく改良を適宜付加することができる。