以下では、上述した本願発明の内容を明確にするために、次のような順序に従って実施例を説明する。
A.パチンコ機の装置構成:
A−1.装置前面側の構成:
A−2.遊技盤の構成:
A−3.制御回路の構成:
B.遊技の概要:
C.制御の概要:
C−1.遊技制御処理:
C−2.特別図柄遊技処理:
C−3.特別電動役物遊技処理:
D.本実施例のスペック設定方法:
E.変形例:
A.パチンコ機の装置構成 :
A−1.装置前面側の構成 :
図1は、本実施例の遊技機1の正面図である。図1に示すように、遊技機1の前面部は、大きくは、前面枠4、上皿部5、下皿部6、遊技盤10などから構成されている。なお、図1では遊技盤10の詳細な図示を省略している。前面枠4は、図示しない中枠3に取り付けられており、中枠3は図示しない本体枠2に取り付けられている。中枠3はプラスチック材料で成形されており、本体枠2の内側に取り付けられている。本体枠2は、木製の板状部材を組み立てて構成された略長方形の枠体であり、遊技機1の外枠を形成している。前面枠4の一端は、中枠3に対して回動可能に軸支されており、中枠3の一端は本体枠2に対して回動可能に軸支されている。遊技盤10は、中枠3の前面側に着脱可能に取り付けられており、その前面側が前面枠4で覆われている。
前面枠4は、プラスチック材料で成形されており、略中央部には、円形状の開口部4aが形成されている。この開口部4aにはガラス板等の透明板がはめ込まれており、奥側に配置される遊技盤10の盤面が視認可能となっている。また、前面枠4には、遊技効果を高めるための各種ランプ類4b〜4fが設けられている。
前面枠4の下方には、上皿部5が設けられており、上皿部5の下方には下皿部6が設けられている。また、前面枠4の右側には施錠装置9が設けられており、前面枠4の左側にはプリペイドカード式の球貸装置13(CRユニット)が設けられている。
上皿部5には、皿状の凹部と、凹部を取り巻くように形成された皿外縁部5aとが設けられている。遊技球は、上皿部5に形成された凹部に投入されて、発射装置ユニット12(図5参照)に供給される。また、皿外縁部5aには、遊技球の球貸スイッチ5b、返却スイッチ5c、投入した遊技球を排出するための排出ボタンなど、各種のボタン類が設けられている。さらに、上皿部5の略中央部には複数の長孔とその上部に多数の小穴が形成された第1スピーカ5yが設けられている。更に、上皿部5の手前側(遊技者側)には、2つの操作スイッチSW1,SW2が設けられている。遊技者は、このスイッチを押すことによって、遊技中に遊技条件を変更するなど、遊技の進行に介入することが可能となっている。
下皿部6には、遊技機1の内部から遊技球を排出するための排出口6aが設けられており、排出された遊技球は下皿部6内に貯留される。また、下皿部6の下面の左右には、第2スピーカ6cが設けられている。
下皿部6の右端には発射ハンドル8が設けられている。発射ハンドル8には、遊技者がハンドルに触れていることを検出するタッチスイッチ8aが設けられている。発射ハンドル8の回転軸は、下皿部6の奥側に搭載された図示しない発射装置ユニット12に接続されており、遊技者が発射ハンドル8を回転させると、その動きが発射装置ユニット12に伝達され、ユニットに内蔵された図示しない発射モータが回転して、回転角度に応じた強さで遊技球が発射される。発射ハンドル8の左側面には、遊技者が操作して遊技球の発射を一時的に停止する発射停止スイッチ8bが配置されている。
A−2.遊技盤の構成 :
図2は、遊技盤10の盤面構成を示す説明図である。前述したように、遊技盤10は中枠3の前面側に着脱可能に取り付けられている。図2に示すように、遊技盤10の中央には、外レール14と内レール15とによって囲まれた略円形状の遊技領域11が形成されている。
遊技領域11の略中央には中央装置26が設けられており、また、遊技領域11の下方部分には変動入賞装置18が設けられ、そして、中央装置26と変動入賞装置18との間には始動口(普通電動役物)17が設けられている。始動口(普通電動役物)17は、左右に一対の翼片部が開閉可能に構成されたいわゆるチューリップ式の始動口である。始動口17の内部には、遊技球の通過を検出する始動口(普通電動役物)スイッチ17s(図5参照)と、翼片部を作動させるための普通電動役物(始動口)ソレノイド17m(図5参照)とが備えられている。一対の翼片部が左右に開くと、遊技球の入球可能性が大きくなる開口状態となり、一対の翼片部が直立して、遊技球の入球可能性が小さくなる通常状態となる。
中央装置26のほぼ中央には、変動表示装置27が設けられている。変動表示装置27は、液晶画面を搭載しており、キャラクタ図柄や背景図柄などの種々の演出用図柄を変動停止表示することが可能となっている。変動表示装置27の画面上で表示される各種図柄については後述する。
中央装置26の左下には、図柄表示装置28が設けられている。詳細な構成については後述するが、図柄表示装置28では普通図柄や特別図柄などを変動停止表示することが可能となっている。
遊技領域11の左端には、普通図柄作動ゲート36が設けられており、このゲートの内部には、遊技球の通過を検出するゲートスイッチ36sが設けられている。更に、普通図柄作動ゲート36と中央装置26との間には、ランプ風車24が設けられている。これら各遊技装置の間および周辺には、多数の障害釘23が設けられている。
中央装置26の下方に設けられた変動入賞装置18には、ほぼ中央に大入賞装置31が設けられている。この大入賞装置31は、略長方形状に大きく開口する大入賞口31dと、大入賞口31dを開閉するための大入賞口ソレノイド31m(図5参照)などから構成されている。大入賞口31dは、後述する所定の条件が成立すると開口状態となり、この結果、遊技球が高い確率で大入賞口31dに入球することとなって、遊技者にとって有利な遊技状態である大当り遊技状態が開始される。また、大入賞口31dの内部には、大入賞口スイッチ31sが設けられており、大入賞口31dに入賞した遊技球を検出することが可能となっている。
遊技盤10の下方にはアウト口48が設けられ、そのアウト口48の下部にはバック球防止部材58が設けられている。バック球防止部材58は、遊技領域11に到達せず戻ってきた遊技球が再び発射位置に戻ることを防止する機能を有している。
図3は、本実施例の遊技機1に搭載された図柄表示装置28の構成を示す説明図である。本実施例の図柄表示装置28は、大きくは、普通図柄表示部29と、特別図柄表示部30とから構成されている。普通図柄表示部29は、左普通図柄表示部29aと右普通図柄表示部29bとから構成されており、特別図柄表示部30は、左特別図柄表示部30aと右特別図柄表示部30bとから構成されている。2つの普通図柄表示部29a,29bは、発光ダイオード(LED)を用いて構成されており、左普通図柄表示部29aは赤色の光を点灯し、右普通図柄表示部29bは緑色の光を点灯することが可能となっている。また、特別図柄表示部30には、いわゆる7セグメントLEDが用いられており、このうちの7セグメント部分が左特別図柄表示部30aを構成し、コンマ部分が右特別図柄表示部30bを構成している。この7セグメント部分およびコンマ部分は、赤色、橙色、緑色のいずれかの光を点灯可能となっている。また、図柄表示装置28には、普通図柄保留表示部29c、および特別図柄保留表示部30cも設けられている。これらは、それぞれ4つのLEDで構成されている。このような構成を有する図柄表示装置28の表示内容については後述する。
図4は、本実施例の遊技機1に搭載された変動表示装置27の画面構成を示す説明図である。前述したように、変動表示装置27は、主に液晶表示画面を用いて構成されており、液晶画面上には、3つのキャラクタ図柄27a,27b,27cと、その背景の背景図柄27dなどが表示されている。このうち、3つのキャラクタ図柄27a,27b,27cは、図3に示した特別図柄30の表示に合わせて種々の態様で変動表示され、遊技を演出することが可能となっている。変動表示装置27で行われる各種演出の詳細な内容および予告表示領域27eで行われる予告の内容については後述する。
A−3.制御回路の構成 :
次に、本実施例の遊技機1における制御回路の構成について説明する。図5は、本実施例の遊技機1における制御回路の構成を示したブロック図である。図示されているように遊技機1の制御回路は、多くの制御基板や、各種基板、中継端子板などから構成されているが、その機能に着目すると、遊技の基本的な進行や賞球に関わる当否についての制御を司る主制御基板200と、図柄やランプや効果音を用いた遊技の演出の制御を司るサブ制御基板220と、サブ制御基板220の制御の下で変動表示装置27の具体的な制御を行う演出制御基板230と、貸球や賞球を払い出す動作の制御を司る払出制御基板240と、遊技球の発射に関する制御を司る発射制御基板260などから構成されている。これら制御基板は、各種論理演算および算出演算を実行するCPUや、CPUで実行される各種プログラムやデータが記憶されているROM、プログラムの実行に際してCPUが一時的なデータを記憶するRAM、周辺機器とのデータのやり取りを行うための周辺機器インターフェース(PIO)、CPUが演算を行うためのクロックを出力する発振器、CPUの暴走を監視するウォッチドッグタイマ、定期的に割り込み信号を発生させるCTC(カウンター・タイマ・サーキット)など、種々の周辺LSIがバスで相互に接続されて構成されている。また、図5中に示した矢印の向きは、データあるいは信号を入出力する方向を表している。尚、図5では、主制御基板200に搭載されたCPU201、ROM202のみが図示されている。
図示されているように主制御基板200は、始動口スイッチ17sや、大入賞口スイッチ31s、ゲートスイッチ36sなどから遊技球の検出信号を受け取って、遊技の基本的な進行や賞球に関わる当否を決定した後、サブ制御基板220や、払出制御基板240、発射制御基板260などに向かって、各種の動作を指令するコマンドを出力する。また、主制御基板200には、始動口17に設けられた一対の翼片部を開閉させるための普通電動役物ソレノイド17mや、大入賞口31dを開閉させるための大入賞口ソレノイド31m、更には、普通図柄や特別図柄の変動停止表示を行う図柄表示装置28などが中継端子板を介して接続されており、各種ソレノイド17m,31m、および図柄表示装置28に向かって信号を出力することにより、これらの動作の制御も行っている。
サブ制御基板220は、主制御基板200からの各種コマンドを受け取ると、コマンドの内容を解析して、その結果に応じた遊技の演出を行う。すなわち、前述した変動表示装置27の表示制御を行う演出制御基板230に対して表示内容を指定するコマンドを出力したり、各種のスピーカ5y、6cを駆動するアンプ基板224、装飾用の各種LEDやランプを駆動する装飾駆動基板226に駆動信号を出力することにより、遊技の演出を行う。
払出制御基板240は、いわゆる貸球や賞球の払い出しに関する各種の制御を司っている。例えば、遊技者が前述した上皿部5に設けられた球貸スイッチ5bや返却スイッチ5cを操作すると、この信号は、球貸表示基板242から中継端子板を介して、球貸装置13に伝達される。球貸装置13は、払出制御基板240とデータをやり取りしながら、貸球の払い出しを行う。また、主制御基板200が賞球の払出コマンドを出力すると、このコマンドを払出制御基板240が受け取って、払出モータ109mに駆動信号を出力することによって賞球の払い出しが行われる。
B.遊技の概要 :
次に、上述した構成を有する本実施例の遊技機1で行われる遊技の概要について簡単に説明しておく。
本実施例の遊技機1では、次のようにして遊技が行われる。先ず、遊技者が上皿部5の凹部に遊技球を投入して発射ハンドル8を回転させると、上皿部5に投入された遊技球が、1球ずつ発射装置ユニット12に供給されて、図2を用いて前述した遊技領域11に発射される。遊技球を打ち出す強さは、発射ハンドル8の回転角度によって調整することが可能となっており、遊技者は発射ハンドル8の回転角度を変化させることによって、遊技球の狙いを付けることができる。
発射した遊技球が、遊技領域11の左側に設けられた普通図柄作動ゲート36を通過すると、図柄表示装置28において普通図柄の変動表示が開始される。図3を用いて前述したように、図柄表示装置28には左普通図柄表示部29aと、右普通図柄表示部29bとが設けられている。左普通図柄表示部29aは赤色の光を点灯可能に構成されており、右普通図柄表示部29bは緑色の光を点灯可能に構成されている。普通図柄の変動表示が開始されると、左右の普通図柄表示部29a,29bが点滅表示を行う。
図6は、普通図柄が変動表示している様子を概念的に示した説明図である。変動表示中の普通図柄は、図示されている4つの状態を取ることができる。先ず、図6(a)は、左普通図柄表示部29aが点灯して、右普通図柄表示部29bが消灯している状態を表している。図6(b)は、左普通図柄表示部29aおよび右普通図柄表示部29bがいずれも点灯した状態を表している。図6(c)は、左普通図柄表示部29aが消灯し、右普通図柄表示部29bが点灯した状態を表しており、図6(d)は、左普通図柄表示部29aおよび右普通図柄表示部29bがいずれも消灯した状態を表している。普通図柄の変動表示中は、これら4つの表示状態が速い速度で次々と切り換わる態様で表示され、そして、所定時間が経過すると、4つの表示状態のいずれかの状態で停止表示される。このとき、所定の表示状態で停止表示されると、いわゆる普通図柄の当りとなって、始動口17が所定時間(例えば0.5秒間)だけ開口状態となる。本実施例では、図6(c)に示した表示状態、すなわち、左普通図柄表示部29aが消灯して右普通図柄表示部29bが点灯している状態が、普通図柄の当りに設定されている。
尚、普通図柄の変動表示中に遊技球が普通図柄作動ゲート36を通過した場合は、この遊技球の通過が保留数として蓄えられて、現在の普通図柄の変動表示が終了後に、変動表示が行われる。普通図柄の保留は最大4個まで蓄えることが可能となっており、蓄えられている普通図柄の保留数は、普通図柄保留表示部29c(図3参照)に表示される。
次いで、開口状態となった始動口17に遊技球が入球すると、今度は、特別図柄の変動表示が開始される。特別図柄は、図3を用いて説明したように特別図柄表示部30によって表示される。尚、前述したように、本実施例の特別図柄表示部30は、7セグメントLEDからなる左特別図柄表示部30aと、コンマ部分の右特別図柄表示部30bとから構成されており、これら左右の特別図柄表示部30a,30bは、赤色、橙色、緑色のいずれかで点灯可能となっている。
図7は、特別図柄が変動表示している様子を概念的に示した説明図である。特別図柄の変動表示中は、左特別図柄表示部30aでは、「A」または「Y」のいずれかの図柄が表示され、右特別図柄表示部30bではコンマ「.」が表示される。また、左特別図柄表示部30aの「A」および「Y」、右特別図柄表示部30bのコンマ「.」は、赤色、橙色、緑色の3つの状態を取ることができる。本実施例の特別図柄表示部30では、これらの表示状態が組み合わされて、図7に示す12種類の状態を表示することが可能となっている。図中で7セグメントLEDあるいはコンマ部分に細かいハッチングが付されているのは、赤色の状態で点灯されていることを表している。また、少し粗いハッチングが付されているのは橙色の状態で点灯表示されていることを表しており、粗いハッチングが付されているのは緑色の状態で点灯表示されていることを表している。特別図柄の変動表示が開始されると、これら12種類の表示状態が速い速度で次々と切り換わる態様で表示され、所定時間が経過すると、いずれかの状態で停止表示される。
停止表示された図柄が「−」である場合は、特別図柄は外れとなるが、それ以外の図柄の組合せが停止表示された場合は特別図柄の大当りとなって、遊技者にとって有利な遊技状態である特別遊技状態が開始される。すなわち、特別図柄が大当りとなる図柄の組合せとしては、図7に示した12種類の図柄から、「−」を除いた10種類の組合せが存在することになる。また、本実施例の特別遊技状態は、大入賞口31dが開放状態となる遊技状態(ラウンド)が、所定ラウンドだけ繰り返されるように構成されている。大入賞口31dは大きく開口するために、遊技球が高い確率で入球する。その結果、所定回数のラウンドが繰り返される間に遊技者は多くの賞球を獲得することが可能となっている。
尚、特別図柄の変動表示中に遊技球が始動口17に入球した場合は、この遊技球の入球が特別図柄の保留数として蓄えられて、現在の特別図柄の変動表示が終了後に、変動表示が行われる。特別図柄の保留も最大4個まで蓄えることが可能となっており、蓄えられている特別図柄の保留数は、特別図柄保留表示部30c(図3参照)に表示される。
また、図7に示した特別図柄が大当りとなる10種類の組合せのうち、実線で囲った5種類の組合せは、いわゆる「確変大当り図柄」と呼ばれる組合せであり、変動表示された特別図柄が、これら確変大当り図柄の組合せのいずれかで停止すると、特別遊技の終了後、特別図柄が所定回数(本実施例では10000回)変動表示されるか、若しくは次の特別遊技が開始されるまでの間、大当り図柄で停止表示される確率が通常の状態よりも高くなる。このように、大当り図柄で停止表示される確率が高くなっている遊技状態は、確変遊技状態(若しくは、単に確変状態)と呼ばれる。
更に、図7に示した特別図柄が大当りとなる10種類の組合せのうち、破線で囲った5種類の組合せは、いわゆる「通常大当り図柄」と呼ばれる組合せであり、変動表示された特別図柄が、これら通常大当り図柄の組合せのいずれかで停止すると、特別遊技の終了後、特別図柄が所定回数(本実施例では100回)変動表示されるか、若しくは次回の特別遊技状態が開始されるまでの間、特別図柄の変動時間が短くなるとともに、始動口17の開放時間が長くなるように設定されている。このような遊技状態は、変動時間短縮状態(若しくは、時短状態)と呼ばれる。尚、本実施例の遊技機1においては、こうした時短機能は、通常大当り図柄で停止表示された場合だけでなく、確変大当り図柄で停止表示された場合にも作動するようになっている。結局、特別図柄が、図7に示した10種類の大当り図柄のいずれかで停止表示された場合は、特別遊技状態の終了後、必ず時短機能が作動することになる。
上述した特別図柄の変動停止表示に合わせて、変動表示装置27では演出用図柄を用いた各種の演出が行われる。図8は、変動表示装置27で行われる演出の一態様を例示した説明図である。図4を用いて前述したように、変動表示装置27を構成する液晶表示画面には、3つのキャラクタ図柄27a,27b,27cが表示されている。前述した図柄表示装置28で特別図柄の変動表示が開始されると、変動表示装置27においても、これら3つのキャラクタ図柄27a,27b,27cが一斉に変動表示を開始する。本実施例では、キャラクタ図柄として「1」〜「9」までの9つの数字を意匠化した図柄が用意されている。
図8(a)には、3つのキャラクタ図柄27a,27b,27cが一斉に変動表示している様子が概念的に示されている。変動表示が開始された後、所定時間が経過すると、初めに左キャラクタ図柄27aが「1」〜「9」のいずれかの図柄で停止表示され、次いで、右キャラクタ図柄27cが停止表示され、最後に中キャラクタ図柄27bが停止表示される。
これら変動表示装置27で停止表示される3つのキャラクタ図柄27a,27b,27cの組合せは、前述した図柄表示装置28で停止表示される特別図柄の組合せと連動するように構成されている。たとえば、図柄表示装置28の特別図柄が大当り図柄で停止する場合は、変動表示装置27の3つのキャラクタ図柄27a,27b,27cが同じ図柄で停止表示される。特に、図柄表示装置28の特別図柄が、前述した確変大当り図柄で停止する場合は、変動表示装置27の3つのキャラクタ図柄27a,27b,27cが、奇数を表す同じ図柄で停止表示される。一方、図柄表示装置28の特別図柄が外れ図柄で停止する場合は、3つのキャラクタ図柄27a,27b,27cは同じ図柄で揃わない任意の組合せで停止表示される。
このように、図柄表示装置28で表示される特別図柄と、変動表示装置27で表示される3つのキャラクタ図柄27a,27b,27cとは、表示内容が互いに対応しており、それぞれの表示図柄が確定する(停止表示される)タイミングも同じに設定されている。しかも、図2に示すように、図柄表示装置28よりも変動表示装置27の方が目に付き易い位置に設けられており、表示画面も大きく、表示内容も分かり易いので、遊技者は変動表示装置27の画面を見ながら遊技を行うことが通常である。従って、変動表示装置27の表示画面上で初めに停止表示される左キャラクタ図柄27aと、続いて停止表示される右キャラクタ図柄27cとが同じ図柄であった場合には、最後に停止表示される中キャラクタ図柄27bも同じ図柄で停止して、いわゆる大当り遊技状態になるのではないかと、遊技者は図柄の変動を注視することになる。このように、2つのキャラクタ図柄を同じ図柄で停止した状態で、最後の図柄を変動表示させる演出は、リーチ演出と呼ばれており、リーチ演出を行うことで遊技者の興趣を高めることが可能となっている。
C.遊技機の制御内容 :
以下では、上述した遊技を実現するために、本実施例の遊技機1が行っている制御内容について詳しく説明する。
C−1.遊技制御処理 :
図9は、主制御基板200に搭載されたCPU201が、遊技の進行を制御するために行う遊技制御処理の大まかな流れを示したフローチャートである。図示されているように、遊技制御処理では、賞球関連処理、普通図柄遊技処理、普通電動役物停止処理、特別図柄遊技処理、特別電動役物遊技処理などの各処理が繰り返し実行されている。一周の処理に要する時間は、ほぼ4msecとなっており、従って、これら各種の処理は約4msec毎に繰り返し実行されていることになる。そして、これら各処理中で、サブ制御基板220を初めとする各種制御基板に向けて、主制御基板200から各種コマンドを送信する。こうすることにより、遊技機1全体の遊技が進行するとともに、サブ制御基板220では、遊技の進行に合わせた演出の制御が行われることになる。以下、フローチャートに従って、主制御基板200に搭載されたCPU201が行う遊技制御処理について説明する。
主制御基板200に搭載されたCPU201は、遊技制御処理を開始すると、遊技球を賞球として払い出すための処理(賞球関連処理)を行う(S50)。かかる処理では、主制御基板200に接続された各種スイッチの中で、遊技球の入賞に関わるスイッチ(始動口スイッチ17sや大入賞口スイッチ31sなど)について、遊技球が入球したか否かを検出する。そして、遊技球の入球が検出された場合には、払い出すべき賞球数を算出した後、払出制御基板240に向かって賞球数指定コマンドを出力する処理を行う。払出制御基板240は、主制御基板200から出力された賞球数指定コマンドを受け取るとコマンドの内容を解釈し、その結果に従って、払出装置109に搭載された払出モータ109mに駆動信号を出力することにより、実際に賞球を払い出す処理を行う。
主制御基板200のCPU201は、賞球数指定コマンドを出力すると(S50)、今度は、普通図柄遊技処理を行うか否か、すなわち普通図柄の変動停止表示を行うか否かを判断する(S100)。かかる判断は、普通電動役物が作動中であるか否か、換言すると始動口17が開口中であるか否かを検出することによって行う。普通電動役物が作動中でなければ普通図柄遊技処理を行うものと判断し(S100:yes)、普通電動役物が作動中であれば普通図柄遊技処理は行わないものと判断する(S100:no)。そして、普通図柄遊技処理を行うと判断された場合は(S100:yes)、以下に説明する普通図柄遊技処理を行う(S150)。一方、普通図柄遊技処理を行わないと判断された場合は(S100:no)、普通図柄遊技処理(S150)はスキップする。
普通図柄遊技処理(S150)では、主に次のような処理を行う。先ず、普通図柄の保留数が存在するか否か(「0」であるか否か)を判定し、保留数が存在する場合には普通図柄の当否判定を行う。ここで、普通図柄の保留数は遊技球が普通図柄作動ゲート36を通過することにより設定されるものであり、本実施例では、その保留数の上限値を「4」としている。そして、普通図柄の当否判定の結果に基づき、普通図柄を当り図柄(図6(c)参照)で停止表示させるか、それ以外の何れの外れ図柄で停止表示させるかを決定する。次いで、普通図柄の変動表示時間を設定した後、普通図柄の変動表示を開始する。そして、変動表示時間が経過すると、決定しておいた図柄で普通図柄を停止表示させ、このときに、普通図柄の当り図柄が停止表示された場合には、普通電動役物の作動を開始させる。こうして普通電動役物が作動すると、始動口17に設けられた一対の翼片部が外側に向かって回動し、始動口17が開口状態となる。
以上のようにして普通図柄遊技処理を終了したら、普通電動役物が作動中か否かを判断する(S190)。そして、作動中である場合は(S190:yes)、普通電動役物を停止させるための処理(普通電動役物停止処理)を行う(S200)。一方、普通電動役物が作動していない場合は(S190:no)、普通電動役物停止処理を行う必要はないのでスキップする。
図10は、普通電動役物停止処理の流れを示すフローチャートである。図示されているように普通電動役物停止処理を開始すると、先ず初めに、普通電動役物の所定の作動時間が経過したか否かを判断する(S202)。前述したように、普通電動役物が作動すると始動口17が開口状態となるが、所定時間が経過すると、再び一対の翼片部が直立した通常状態に復帰する。そこで、S202では、普通電動役物が予め設定しておいた作動時間に達したか否かを判断するのである。そして、作動時間に達したと判断された場合は(S202:yes)、普通電動役物の作動を停止した後(S206)、普通電動役物遊技処理を終了して図9に示した遊技制御処理に復帰する。尚、普通電動役物作動時間(すなわち、始動口17の開口時間)は、通常の遊技状態では約0.5秒間に設定されているが、後述する開口時間延長機能が作動すると約1.5秒間に延長される。
一方、始動口17は開口中に規定数の遊技球が入球すると、開口時間が設定時間に達していない場合でも、通常状態に復帰してしまう。このことと対応して、普通電動役物の作動時間が所定時間に達していない場合は(S202:no)、普通電動役物に規定数の遊技球が入球したか否かを判断し(S204)、規定数の遊技球が入球したと判断された場合は(S204:yes)、普通電動役物の作動を停止して、図10に示した普通電動役物遊技処理を終了する。逆に、規定数の入球がないと判断された場合は(S204:no)、普通電動役物を作動させたまま、図10に示した普通電動役物遊技処理を終了して、図9に示した遊技制御処理に復帰する。尚、このように始動口17を所定時間だけ開口状態とするための処理は、主制御基板200のCPU201が、上述した普通図柄遊技処理(S150)および普通電動役物停止処理(S200)を実行することによって行われている。従って、本実施例の主制御基板200は、本発明における「始動口開口手段」の一態様を構成している。
遊技制御処理では、普通電動役物停止処理から復帰すると、特別図柄に関連する処理を開始する。かかる処理では、後述する特別図柄遊技処理を行うための所定の条件を満足しているか否かを判断した後、所定の条件を満足していた場合には、特別図柄遊技処理を開始する。
図11は、特別図柄遊技処理を開始するか否かを判断するために行う処理(特別図柄遊技開始判断処理)の流れを示すフローチャートである。特別図柄遊技処理を開始するか否かの判断に当たっては、先ず初めに、始動口17に遊技球が入球したか否かを判断する(S302)。前述したように、始動口17の内部には、遊技球の入球を検出する始動口スイッチ17sが設けられており、遊技球が入球したことを検出することができる。
遊技球が始動口スイッチ17sを通過している場合は(S302:yes)、特別図柄の保留数が上限値(本実施例では「4」)に達しているか否かを判断する(S304)。そして、保留数が上限値に達していなければ(S304:no)、特別図柄当否判定乱数、図柄決定乱数、変動パターン決定乱数を取得して記憶するとともに、特別図柄の保留数に「1」を加算する(S306)。ここで、特別図柄当否判定乱数は、特別図柄の当否判定を行うために用いられる乱数であり、図柄決定乱数は、特別図柄の当否判定結果に応じて停止表示させる特別図柄を決定するための乱数であり、また、変動パターン決定乱数は、後述する特別図柄変動パターンを決定するために用いられる乱数である。一方、特別図柄の保留数が4に達している場合は(S304:no)、特別図柄当否判定用乱数や、図柄決定乱数、変動パターン決定乱数の取得は行わない。その結果、特別図柄に関するこれらの乱数も、前述した普通図柄当否判定乱数と同様に、最大4つまで記憶することが可能となっている。
以上のようにして特別図柄の保留に関わる処理を終了したら、大当り遊技中か否かを判断する(S308)。後述する特別遊技処理は、特別図柄を変動表示させ、所定の大当り図柄で停止表示された場合には、遊技者にとって有利な特別遊技である大当り遊技を開始する処理である。そして、現在、大当り遊技を行っているのであれば、重ねて大当り遊技を開始する必要はない。そこで、特別図柄の保留に関わる処理を終了したら、大当り遊技中であるか否かを判断し(S308)、大当り遊技中で無かった場合には(S308:no)、後述する特別図柄遊技処理を開始すると判断する(すなわち、S300:yes)。一方、現在、既に大当り遊技中であった場合は(S308:yes)、特別図柄遊技処理は開始しないと判断する(すなわち、S300:no)。
以上のようにして、特別図柄遊技処理を行うと判断された場合は(S300:yes)、以下に説明する特別図柄遊技処理を行う(S320)。一方、特別図柄遊技処理を行わないと判断された場合は(S300:no)、特別図柄遊技処理(S320)はスキップする。
C−2.特別図柄遊技処理 :
図12および図13は、特別図柄遊技処理の流れを示したフローチャートである。特別図柄遊技処理を開始すると、先ず初めに、特別図柄が変動中か否かを判断する(S322)。図3を用いて前述したように、本実施例の遊技機1では図柄表示装置28に特別図柄表示部30が設けられており、特別図柄を変動表示可能となっている。
特別図柄表示部30の特別図柄が変動中でない場合は(S322:no)、特別図柄の停止図柄を表示させる停止表示時間中であるか否かを判断する(S324)。すなわち、特別図柄の変動表示が終了してしばらくの期間は、特別図柄が何れの図柄で停止表示されたかを、遊技者が確認するための停止表示時間が設けられているので、この停止表示時間中か否かを判断するのである。特別図柄が変動表示されておらず且つ特別図柄の停止図柄を表示している停止表示時間も経過していることが確認された場合は(S324:no)、特別図柄の保留数が「0」であるか否かを判断する(S326)。ここで、特別図柄保留数は、遊技球が始動口17に入球した場合に設定されるもので、上限値「4」に達するまで設定可能となっている。そして、特別図柄保留数が「0」である場合には(S326:yes)、そのまま特別図柄遊技処理を終了して図9に示す遊技制御処理に復帰する。一方、特別図柄保留数が「0」でない場合、換言すれば、特別図柄の保留が残っている場合は(S326:no)、特別図柄の当否判定を行う処理(特別図柄当否判定処理)を開始する(S330)。
図14は、特別図柄の当否判定を行う処理の流れを示したフローチャートである。図示するように、特別図柄当否判定処理を開始すると、先ず初めに、特別図柄当否判定乱数を読み出す処理を行う(S3300)。特別図柄当否判定乱数とは、図11を用いて前述した特別図柄遊技開始判断処理の中で、遊技球が始動口17に入球したと判断されると、特別図柄の保留数が4個に達するまで、4個を限度として取得される乱数である。図14に示した特別図柄当否判定処理では、先ず初めに、予め記憶しておいた特別図柄当否判定乱数を1つ読み出す処理を行う。
次いで、現在の遊技状態が確変状態か否かを判断し(S3302)、確変状態であれば(S3302:yes)、確変用の当否判定テーブルを選択し(S3304)、確変状態でなければ(S3302:no)、非確変用の当否判定テーブルを選択する(S3306)。ここで当否判定テーブルとは、特別図柄当否判定乱数に対応付けて、特別図柄の当否判定結果が設定されているテーブルであり、主制御基板200のROM202に予め記憶されている。
図15は、本実施例の遊技機1に記憶されている特別図柄の当否判定テーブルを例示した説明図である。図15(a)には非確変用の当否判定テーブルが示されており、図15(b)には確変用の当否判定テーブルが示されている。本実施例の遊技機1では、0〜65535の値を取り得る2バイトの特別図柄当否判定乱数が用いられており、当否判定テーブルには、図示されているように、0〜65535の各乱数値に対応付けて、「大当り」あるいは「外れ」の特別図柄の当否判定結果が設定されている。また、図15(a)に示した非確変用の当否判定テーブル、および図15(b)に示した確変用の当否判定テーブルには、それぞれで大当りが発生する確率(大当り確率)も示されている。これら2つのテーブルに設定された大当り確率を比較すれば明らかなように、図15(b)に示した確変用の当否判定テーブルは、図15(a)に示した非確変用の当否判定テーブルよりも高い確率で(本実施例では10倍の確率で)、大当りが発生するように設定されている。
次いで、先に読み出した特別図柄当否判定乱数に基づいて、選択した当否判定テーブルを参照することにより、特別図柄の当否判定結果が「大当り」か否かを判断する(S3308)。上述したように、確変状態の時に参照する確変用の当否判定テーブルは、確変状態ではないときに参照する非確変用の当否判定テーブルに比べて大当り確率が高確率に設定されているから、確変中は非確変中よりも大当りが発生し易くなっている。
そして、特別図柄の当否判定結果が当りと判断された場合には(S3308:yes)、図柄決定乱数を読み出した後(S3310)、特別図柄の大当り図柄を決定する処理を行う(S3312)。ここで、図柄決定乱数とは、始動口に遊技球が入球すると、図11に示した特別図柄遊技開始判断処理の中で、特別図柄当否判定乱数とともに取得される乱数である。また、特別図柄の大当り図柄は、図柄決定乱数に基づいて、大当り図柄決定テーブルを参照することによって決定する。
図16は、特別図柄の大当り図柄を決定するために参照される大当り図柄決定テーブルを例示した説明図である。図示されているように、大当り図柄決定テーブルには、図柄決定乱数に対応付けて、特別図柄の大当り図柄が予め設定されている。図7を用いて前述したように、本実施例の遊技機1では、通常大当り図柄および確変大当り図柄が、それぞれ5種類ずつ設定されていることから、大当り図柄決定テーブルにも、通常大当り図柄および確変大当り図柄が、それぞれ5種類ずつ設定されている。また、本実施例の遊技機1では、図柄決定乱数は1バイトのデータとなっており、0〜255の乱数値を取ることができる。そして、0〜127までの範囲の乱数値には通常大当り図柄が対応付けられており、128〜255の範囲の乱数値には確変大当り図柄が対応付けられている。このように、通常大当り図柄が対応付けられている乱数範囲の大きさと、確変大当り図柄が対応付けられている乱数範囲の大きさとは、同じ大きさに設定されているので、大当り発生時には、50%の確率で確変大当りが発生することになる。このように、特別図柄の当否判定結果が「大当り」であった場合には(図14のS3308:yes)、始動口17への遊技球の入球時に取得しておいた図柄決定乱数に基づいて、図16の大当り図柄決定テーブルを参照することにより、特別図柄を何れの大当り図柄で停止表示させるかを決定する処理を行う。
一方、特別図柄の当否判定結果が「外れ」であった場合は(S3308:no)、「大当り」の場合と同様に図柄決定乱数を読み出した後(S3314)、特別図柄の外れ図柄を決定する処理を行う(S3316)。外れ図柄を決定する処理も、図柄決定乱数に対して外れ図柄が予め設定された外れ図柄決定テーブルを参照することによって行う。尚、図7を用いて前述したように、本実施例の遊技機1では、特別図柄の外れ図柄は2種類の図柄しか設けられていないから、外れ図柄決定テーブルには、何れかの外れ図柄が、図柄決定乱数に対して設定されている。
以上に説明したように、図14に示した特別図柄当否判定処理では、先に取得しておいた特別図柄当否判定乱数および図柄決定乱数を読み出して、特別図柄の当否判定を行うとともに、当否判定結果に応じて、特別図柄の大当り図柄あるいは外れ図柄を決定する処理を行う(S3312またはS3316)。そして、大当り図柄あるいは外れ図柄を決定したら、特別図柄当否判定処理を終了して、図12の特別図柄遊技処理に復帰する。
尚、始動口17への遊技球入球時に取得した特別図柄当否判定乱数および図柄決定乱数に基づいて、「通常大当り」あるいは「確変大当り」の何れかの大当りを発生させる処理は、主制御基板200のCPU201が、上述した特別図柄当否判定処理を実行することによって行われている。従って、本実施例の主制御基板200は、本発明における「抽選手段」の一態様に該当している。
図12に示されているように、特別図柄遊技処理では、特別図柄当否判定処理(S330)から復帰すると、続いて、今度は、特別図柄の変動パターンを設定する処理を開始する(S338)。
図17は、特別図柄遊技処理の中で特別図柄の変動パターンを設定する処理(特別図柄変動パターン設定処理)の流れを示すフローチャートである。かかる処理も特別図柄遊技処理と同様に、主制御基板200のCPU201によって実行される処理である。
主制御基板200のCPU201は、特別図柄変動パターン設定処理を開始すると、先ず初めに、特別図柄の当否判定結果が大当りであるか否かを判断する(S3380)。特別図柄の当否判定は、特別図柄変動パターン設定処理に先立って、図14を用いて前述した特別図柄当否判定処理において既に行われているので、主制御基板200のCPU201は、当否判定結果が大当りであるか否かを直ちに判断することができる。そして、特別図柄の当否判定結果が大当りであった場合には(S3380:yes)、現在の遊技状態が時短中(すなわち時短機能の作動中)であるか否かを判断し(S3382)、時短中であれば(S3382:yes)、当否判定結果が当りで且つ時短中の場合に用いられる変動パターンテーブル(大当り・時短用変動パターンテーブル)を選択する(S3384)。これに対して、時短中でない場合は(S3382:no)、当否判定結果が大当りで且つ時短中ではない場合に用いられる変動パターンテーブル(大当り・非時短用変動パターンテーブル)を選択する(S3386)。これらの変動パターンテーブルは、主制御基板200に搭載されたROM202に予め設定されている。尚、ここで言う「時短中」とは、変動時間短縮機能(時短機能)が作動している状態を指すもので、確変遊技中を含んでいる。
図18は、主制御基板200のROM202に設定されている当り・時短用の変動パターンテーブルを概念的に示した説明図である。図示されているように変動パターンテーブルには、変動パターン決定乱数の値に対応付けて、特別図柄の変動パターンが設定されている。ここで、変動パターン決定乱数とは、特別図柄の変動パターンを決定するために用いられる1バイトの乱数であり、0〜255の乱数値を取ることができる。変動パターン決定乱数は、始動口17に遊技球が入球すると、特別図柄当否判定乱数および図柄決定乱数とともに取得されている。また、それぞれの変動パターンには、特別図柄の変動時間が予め設定されている。例えば、0〜64の範囲の変動パターン決定乱数に対しては、「パターン特5」という変動パターンが設定されており、この変動パターンは、特別図柄の変動時間が52.1秒間の変動パターンである旨が設定されている。同様に、65〜128の範囲の変動パターン決定乱数に対しては、「パターン特6」という変動パターンが設定され、この変動パターンは、特別図柄の変動時間が54.1秒間である旨が設定されている。
また、図19は、大当り・非時短用の変動パターンテーブルを概念的に示した説明図である。図18に示した大当り・時短用の変動パターンテーブルと同様に、大当り・非時短用の変動パターンテーブルについても、変動パターン決定乱数に対応付けて、特別図柄の変動パターンと変動時間とが設定されている。尚、図18の変動パターンテーブルは時短用のテーブルであり、図19の変動パターンテーブルは非時短用のテーブルであることに対応して、図18に設定されている変動パターンは、図19に設定されている変動パターンよりも、変動時間が短めのパターンが設定されている。
以上に説明したように、特別図柄の当否判定結果が大当りであると判断された場合には(S3380:yes)、時短中か否かに応じて、大当り・時短用の変動パターンテーブルまたは大当り・非時短用の変動パターンテーブルの何れかを選択し、続いて、変動パターン決定乱数を読み出す(S3388)。そして、読み出した変動パターン決定乱数に基づいて変動パターンテーブルを参照することにより、当否判定結果が「大当り」の場合の特別図柄の変動パターンを決定する(S3390)。
以上、特別図柄の当否判定結果が当りの場合に(図17のS3380:yes)、特別図柄の変動パターンを決定する処理について説明したが、当否判定結果が外れの場合には(S3380:no)、次のようにして特別図柄の変動パターンを決定する。
特別図柄の当否判定結果が外れと判断された場合にも(S3380:no)、大当りと判断された場合と同様に、現在の遊技状態が時短中か否かを判断する(S3392)。そして、時短中であれば(S3392:yes)。当否判定結果が外れで且つ時短中の場合に用いられる変動パターンテーブル(外れ・時短用変動パターンテーブル)を選択し(S3394)、一方、時短中でなければ(S3392:no)、当否判定結果が外れで且つ時短中ではない場合に用いられる変動パターンテーブル(外れ・非時短用変動パターンテーブル)を選択する(S3396)。これら外れの場合に用いられる変動パターンテーブルも、大当りの場合の変動パターンテーブルと同様に、主制御基板200に搭載されたROM202に設定されている。なお、ここで言う「時短中」とは、変動時間短縮機能(時短機能)が作動している状態を指すもので、確変遊技中を含んでいる。
図20は、主制御基板200のROM202に設定されている外れ・時短用の変動パターンテーブルを概念的に示した説明図である。また、図21は、外れ・非時短用の変動パターンテーブルを概念的に示した説明図である。図示されているように、当否判定結果が外れの場合の変動パターンテーブルにも、特別図柄の変動パターンおよび変動時間が、変動パターン決定乱数に対応付けて設定されている。
このように、特別図柄の当否判定結果が外れの場合にも(S3380:no)、時短中か否かに応じて、外れ・時短用の変動パターンテーブルまたは外れ・非時短用の変動パターンテーブルの何れかを選択する。続いて、変動パターン決定乱数を読み出した後(S3398)、選択した変動パターンテーブルを参照することにより、当否判定結果が「外れ」の場合の特別図柄の変動パターンを決定する(S3400)。
図17に示した特別図柄変動パターン設定処理では、以上のようにして、特別図柄の当否判定結果に応じて、特別図柄の変動パターンを決定した後、図12の特別図柄遊技処理に復帰する。
図12に示されているように、特別図柄変動パターン設定処理から復帰すると、主制御基板200のCPU201は図柄表示装置28における特別図柄の変動表示を開始した後(S340)、特別図柄保留数から1を減算する処理を行う(S342)。前述したように、本実施例の図柄表示装置28は、図7に示した12種類の特別図柄を表示可能であり、これら図柄の表示を次々と切り換えることによって変動表示を行う。また、特別図柄の変動表示が開始されると特別図柄の保留数が1つ消化されるので、主制御基板200上のRAMに記憶されている特別図柄保留数のデータから1を減算しておくのである。そして、先に決定しておいた特別図柄の変動パターンを指定するコマンド(特別図柄変動パターン指定コマンド)を、サブ制御基板220に向かって出力した後(S344)、特別図柄の停止図柄を指定するコマンド(特別図柄停止情報指定コマンド)を、同じくサブ制御基板220に向かって出力する(S346)。
サブ制御基板220のCPU221は、このようにして特別図柄変動パターン指定コマンドおよび特別図柄停止情報指定コマンドを受け取ることにより、図柄表示装置28で変動表示される特別図柄の変動時間、および特別図柄の停止図柄についての情報を知ることができる。そこで、これらの情報に応じて、変動表示装置27で行われる演出態様を決定して、決定した演出態様を指示する制御コマンドを演出制御基板230へ向けて出力する。こうすることにより、図柄表示装置28で行われる特別図柄の変動表示および停止表示に合わせて、変動表示装置27においても、キャラクタ図柄27a,27b,27cを用いた各種の演出表示が行われる。
主制御基板200のCPU201は、以上のようにして、特別図柄の変動パターンと停止図柄とを決定し、変動パターン指定コマンド、特別図柄停止情報指定コマンドをサブ制御基板220に向けて出力したら、図12に示した特別図柄遊技処理を終了して、図9に示す遊技制御処理に復帰する。
以上、特別図柄が変動表示していない場合(すなわち、図12のS322:noの場合)に、特別図柄遊技処理で行われる詳細な処理について説明した。一方、特別図柄が変動中に、図12の特別図柄遊技処理が開始された場合は、最初に行うS322の判断で、特別図柄が変動中であると判断される(S322:yes)。この場合は、既に、特別図柄の変動パターンと停止図柄とが決定されて、特別図柄の変動が開始されている場合に該当する。そこで、特別図柄変動時間が経過したか否かを判断する(S348)。すなわち、特別図柄の変動時間は変動パターンに応じて予め定められているので、特別図柄の変動を開始すると同時にタイマをセットすることにより、所定の変動時間が経過したかを判断するのである。そして、未だ変動時間が経過していない場合は(S348:no)、そのまま特別図柄遊技処理を終了して、図9に示す遊技制御処理に復帰する。
これに対して、変動時間が経過したと判断された場合は(S348:yes)、特別図柄を停止表示させることを示すコマンド(図柄停止コマンド)をサブ制御基板220に向かって出力するとともに(S350)、図柄表示装置28で変動表示されている特別図柄を、予め設定しておいた図柄で停止表示させる(S352)。次いで、特別図柄を停止表示させる時間(停止表示時間)を設定した後(S354)、設定した表示時間が経過したか否かを判断する(S356)。そして、表示時間が経過していなければ(S356:no)、そのまま特別図柄遊技処理を終了して図9に示す遊技制御処理に復帰する。
一方、特別図柄の停止表示時間が経過していれば(S356:yes)、停止表示された特別図柄が条件装置を作動させることとなる図柄であるか否かを判断する(図13のS358)。ここで、条件装置を作動させることとなる図柄とは、図7に示した通常大当り図柄または確変大当り図柄の何れかの大当り図柄である。図13のS358では、図柄表示装置28で停止表示された特別図柄が、これら大当り図柄であるか否かを判断する。
停止表示された図柄が、条件装置を作動させることとなる図柄であった場合は(S358:yes)、大入賞口の開口時間(大入賞口開口時間)、および役物連続作動装置の連続作動回数を設定する(S359)。本実施例では、大入賞口の開口時間(大入賞口開口時間)は約26秒間、連続作動回数は15回に設定される。
こうして、大入賞口の開口時間および連続作動回数を設定した後、条件装置および役物連続作動装置を作動させる(S360)。ここで条件装置とは、後述する役物連続作動装置が作動するための条件となる装置であり、特別図柄が前述した「確変大当り図柄」または「通常大当り図柄」の何れかで停止表示されると作動を開始して大入賞口31dを開口状態とする装置である。また、役物連続作動装置とは、一旦閉鎖された大入賞口31dを再び開口させる装置である。詳細には後述するが、こうして条件装置および役物連続作動装置を作動させることにより、特別図柄遊技処理を抜けて図9の遊技制御処理に復帰すると特別電動役物遊技処理が開始され、特別遊技状態が開始されることになる。
尚、特別図柄の当否判定結果を受けて特別図柄の変動表示を開始し、特別図柄の変動パターンによって指定された変動時間の経過後に、当否判定結果に応じた図柄で、特別図柄を停止表示させる処理は、本実施例の主制御基板200のCPU201が、上述した特別図柄遊技処理を実行することによって行われている。従って、本実施例の主制御基板200は、本発明における「図柄表示手段」の一態様に該当している。
また、本実施例の遊技機1では、条件装置および役物連続作動装置の作動時は、確変機能や時短機能は働かないこととしている。尚、時短機能とは、図柄表示装置28および変動表示装置27で図柄が変動表示される時間を短縮する機能である。そこで、図13のS360において条件装置および役物連続作動装置を作動させたら、現在の遊技状態が確変中か否かを判断する(S362)。そして、確変中であれば(S362:yes)、確変機能および時短機能が作動しているので、これらの機能を停止させる(S364,S366)。一方、現在の遊技状態が確変中ではなかった場合は(S362:no)、続いて、時短中か否かを確認し(S368)、時短中であった場合は(S368:yes)、時短機能を停止させる(S366)。また、本実施例の遊技機1では、時短機能が作動している場合は、始動口17(普通電動役物)の開口時間を延長する機能も働いているので、時短機能を停止したら(S366)、普通電動役物開口時間の延長機能も停止させた後(S370)、図12および図13に示した特別図柄遊技処理を抜けて、図9の遊技制御処理に復帰する。一方、条件装置および役物連続作動装置を作動させたときの遊技状態が確変中でも時短中でもなかった場合は(S368:no)、そのまま特別図柄遊技処理を抜けて、遊技制御処理に復帰する。
以上、図柄表示装置28で停止表示された特別図柄が、条件装置を作動させることとなる図柄であった場合(S358:yes)の処理について説明したが、停止表示された特別図柄が条件装置を作動させる図柄でなかった場合は(S358:no)、次のような処理を行う。
まず、現在の遊技状態が確変中か否かを判断する(S372)。そして、確変中と判断された場合は(S372:yes)、確変中の特別図柄の変動回数を計数した後(S374)、変動回数が所定の確変切回数に達したか否かを判断する(S376)。前述したように本実施例の遊技機1では、特別図柄が「確変大当り図柄」で停止表示された場合には、特別遊技の終了後に確変状態での遊技が開始され、次の大当り遊技状態が発生するか、もしくは特別図柄の変動回数が所定の確変切回数(本実施例では10000回)に達するまでは、継続する設定となっている。そこで、現在の遊技状態が確変中と判断された場合は(S372:yes)、特別図柄の変動回数を計数した後(S374)、変動回数の計数値が確変切回数に達したか否かを判断するのである(S376)。そして、確変切回数に達していれば(S376:yes)、確変機能を停止させる(S378)。一方、現在の遊技状態が確変状態でないと判断された場合(S372:no)、あるいは、確変状態ではあるが(S372:yes)、特別図柄の変動回数が未だ確変切回数に達していないと判断された場合は(S376:no)、確変機能を停止させる処理は行わない。
このように、現在の遊技状態が確変状態か否か、確変状態であれば、特別図柄の変動回数が確変切回数に達したかに応じて確変機能を停止させる処理を行ったら、今度は、現在の遊技状態が時短中か否かを判断する(S380)。そして、時短中と判断された場合は(S380:yes)、今度は、時短中の特別図柄の変動回数を計数した後(S382)、変動回数が所定の時短切回数に達したか否かを判断する(S384)。前述したように本実施例の遊技機1では、「確変大当り」または「通常大当り」の何れの場合にも特別遊技の終了後に時短状態が開始され、次の大当り遊技状態が発生するか、もしくは特別図柄の変動回数が所定の時短切回数(本実施例では100回)に達するまでは、時短状態が継続される設定となっている。そこで、現在の遊技状態が時短状態であると判断された場合は(S380:yes)、特別図柄の変動回数を計数した後(S382)、変動回数の計数値が所定の時短切回数に達したか否かを判断するのである(S384)。そして、時短切回数に達していれば(S386:yes)、時短機能を停止させ(S386)、続いて、普通電動役物開口時間の延長機能も停止させた後(S370)、図12および図13に示した特別図柄遊技処理を抜けて、図9の遊技制御処理に復帰する。一方、特別図柄の変動回数が、未だ時短切回数に達していなければ(S384:no)、時短状態を維持したまま、特別図柄遊技処理を抜けて、図9の遊技制御処理に復帰する。
図9に示すように、遊技制御処理では、特別図柄遊技処理から復帰すると、条件装置が作動中か否かを判断する(S390)。前述したように条件装置は、役物連続作動装置を作動させることにより、特別遊技状態を開始させる装置である。そこで、主制御基板200に搭載されたCPU201は、条件装置が作動中であれば、以下に説明する特別電動役物遊技処理を開始する(S400)。一方、条件装置が作動中でなければ(S390:no)、特別電動役物遊技処理(S400)はスキップして、遊技制御処理の先頭に戻り、前述した賞球関連処理(S50)以降の一連の処理を繰り返す。
C−3.特別電動役物遊技処理 :
図22は、特別電動役物遊技処理の一部の流れを示すフローチャートである。また、図23は、特別電動役物遊技処理の残りの部分の流れを示すフローチャートである。このような特別電動役物遊技処理が実行されることによって、いわゆる特別遊技状態が発生する。以下、図22および図23を参照しながら特別電動役物遊技処理について説明するが、その準備として、いわゆる特別遊技状態と呼ばれる遊技の内容について簡単に説明しておく。
図2を用いて前述したように、遊技盤の下方には大入賞口31dが設けられており、この大入賞口31dは通常の遊技状態では閉鎖されている。しかし、特別遊技が開始されると、大入賞口31dが開口状態となる。本明細書中で言う「特別電動役物」とは、大入賞口31dを開口状態とする装置である。大入賞口31dは他の入賞口に比べて大きく開口するため、大入賞口31dが開口状態になると、遊技球が高い確率で入球することになる。開口された大入賞口31dは、所定の開口時間が経過するか、あるいは所定数の遊技球が入球すると一旦閉鎖されるが、所定の閉鎖時間が経過すると再び開口状態となる。本明細書中で言う「役物連続作動装置」とは、大入賞口31dを再び開口状態とする装置である。また、大入賞口31dが開口してから閉鎖するまでの遊技は、「ラウンド」と呼ばれる。こうしたラウンドを繰り返して、所定回数のラウンドを消化したら特別遊技状態が終了する。以下、上述した特別遊技を実行するために、主制御基板200のCPU201が行う特別電動役物遊技処理について、図22および図23を参照しながら説明する。
主制御基板200のCPU201は、特別電動役物遊技処理(S400)を開始すると先ず初めに、大入賞口31dが開口中か否かを判断する(S402)。大入賞口31dは、通常の遊技状態では閉鎖されており、従って特別遊技の開始直後は、大入賞口31dは閉鎖状態となっている。そこで、大入賞口は開口中ではないと判断して(S402:no)、特別電動役物の連続作動回数が所定回数に達したか否かを判断する(S404)。前述したように特別電動役物とは、大入賞口31dを開口させる装置であり、特別遊技状態が発生すると特別電動役物が所定回数だけ作動して、所定回数のラウンドが繰り返されることになっている。このことに対応して、大入賞口31dが閉鎖されている場合は(S402:no)、特別電動役物の作動回数が所定回数に達したか否か、換言すれば、所定回数のラウンドが終了したか否かを判断する(S404)。
当然のことながら、特別遊技が開始された直後は、特別電動役物の作動回数が所定回数に達していないから(S404:no)、大入賞口の閉鎖時間が経過したか否かを判断する(S406)。大入賞口の閉鎖時間とは、ラウンドとラウンドとの間で大入賞口31dが閉鎖状態となっている時間である。特別遊技が開始された直後は、大入賞口31dは閉鎖状態となっているから、当然、大入賞口31dの閉鎖時間が経過していると判断され(S406:yes)、大入賞口31dを開口させた後(S408)、図22に示した特別電動役物遊技処理を一旦終了して、図9の遊技制御処理に復帰する。
主制御基板200のCPU201は遊技制御処理に復帰すると、図9に示したように、賞球関連処理(S50)以降の一連の各種処理を行った後、再び特別電動役物遊技処理(S400)を開始する。前述したように、図9に示した遊技制御処理を、主制御基板200のCPU201が一回、実行するために要する時間は、約4msecとなっている。従って、図22に示した特別電動役物遊技処理も、約4msec毎に実行されることになる。そして、特別遊技が開始されて、図22の特別電動役物遊技処理が初めて実行された場合には、前述したようにS408において大入賞口31dを開口させて、そのまま処理を終了するが、約4msec後に2周目の処理を行う場合には、S402にて、大入賞口31dが開口中(S402:yes)と判断されることになる。
次いで、大入賞口31dの開口時間が所定時間に達したか否かを判断する(S410)。前述したように、特別遊技では、大入賞口31dが開口状態となるが、開口時間が所定時間に達するか、または大入賞口31dに所定数の遊技球が入球すると閉鎖される。このことに対応して、S410では大入賞口31dの開口時間が所定時間に達したか否かを判断する。そして、開口時間が所定時間に達していれば(S410:yes)、大入賞口31dを閉鎖した後(S414)、図22に示した特別電動役物遊技処理を抜けて、図9の遊技制御処理に復帰する。一方、開口時間が所定時間に達していない場合は(S410:no)、大入賞口31dに入球した遊技球が規定数に達しているか否かを判断する(S412)。そして、遊技球が規定数に達した場合は(S412:yes)、大入賞口31dを閉鎖する(S414)。これに対して、規定数に達していない場合は(S412:no)、大入賞口31dの開口時間が未だ所定時間に達しておらず、しかも大入賞口31dに入球した遊技球も規定数に達していないことになるので、大入賞口31dを開口させたまま、図22に示した特別電動役物遊技処理を抜けて、図9の遊技制御処理に復帰する。
図9の遊技制御処理を何回も繰り返し実行しているうちに、大入賞口31dの開口時間が所定時間に達するか(図22のS410:yes)、もしくは大入賞口31dに規定数数の遊技球が入球して(S412:yes)、大入賞口31dが閉鎖される(S414)。こうして、1ラウンドの遊技が終了する。そして、次に特別電動役物遊技処理が実行された時には、S402において大入賞口31dが閉鎖中と判断され(S402:no)、所定回数のラウンドが終了したか否かが判断され(S404)、全てのラウンドが終了していなければ(S404:no)、大入賞口の閉鎖時間が所定時間に達したことを確認した後(S406:yes)、再び大入賞口31dを開口状態として新たなラウンドを開始する(S408)。一方、S404において、所定回数のラウンドが終了したと判断された場合は(S404:yes)、特別遊技状態を終了させるべく、条件装置および役物連続作動装置の作動を停止する(S416)。
以上のようにして特別遊技が終了したら、条件装置を作動させることとなった特別図柄が「確変大当り図柄」または「通常大当り図柄」のいずれであったかを判断する(図23のS418)。そして、「確変大当り図柄」によるものであった場合は(S418:yes)、確変機能の作動を開始した後(S420)、時短機能および普通電動役物の開口時間延長機能の作動を開始して(S422、S424)、図22および図23に示す特別電動役物遊技処理を終了する。一方、条件装置を作動させることとなった特別図柄が「確変大当り図柄」では無いと判断された場合は(S418:no)、条件装置は「通常大当り図柄」によって作動したことになる。そこで、確変機能の作動を開始する処理(S420)はスキップして、時短機能の作動を開始し(S422)、続いて普通電動役物開口時間延長機能の作動を開始した後(S424)、図22および図23に示す特別電動役物遊技処理を終了して、図9の遊技制御処理に復帰する。
主制御基板200に搭載されたCPU201は、以上に説明したような遊技制御処理を繰り返し行うことによって、遊技機1の遊技を進行させる。そして、遊技制御処理を繰り返し行う中で、特別図柄遊技処理において特別図柄の当否判定が行われ(図12のS330)、当否判定結果が「大当り」であった場合には、条件装置および役物連続作動装置が作動し(図13のS360)、大入賞口31dが開口状態となって、特別遊技状態が開始される。このように、大入賞口31dが開口して行われる特別遊技状態は、主制御基板200のCPU201が、図9の遊技制御処理を繰り返し行うことによって実現されている。従って、本実施例の主制御基板200は、本発明の「第1の特別遊技実行手段」の一態様に該当するものとなっている。
更に、特別遊技状態の終了後は、時短機能が作動している時短状態、あるいは確変機能(および時短機能)が作動している確変状態が開始され、特別図柄の変動回数が時短切回数、あるいは確変切回数に達するまでの間は、普通電動役物開口時間の延長機能が作動した状態(始動口17の開口時間が延長された状態)となる。このように、始動口17の開口時間が延長されて、遊技球が入球し易くなった遊技状態についても、主制御基板200のCPU201が、図9の遊技制御処理を繰り返し行うことによって実現されている。従って、本実施例の主制御基板200は、本発明の「第2の特別遊技実行手段」の一態様にも該当するものとなっている。
また、上述したように、遊技の進行は、主制御基板200のCPU201が、ROM202に記憶されている各種のデータ(例えば、図15に示した当否判定テーブルや、図16に示した大当り図柄決定テーブル、図18ないし図21の変動パターンテーブルなど)を参照しながら、遊技制御処理を実行することによって制御されている。従って、ROM202に記憶されている各種データの設定を変えることで、遊技の印象を大きく変更することが可能である。例えば、なかなか大当りが発生しないものの、一旦、大当りが発生すると続けて何回も大当りが発生するようなタイプの遊技機から、大当りが発生し易い代わりに大当りが直ぐに終了したり、連荘し難くなっているようなタイプの遊技機まで、種々のタイプの遊技機とすることが可能である。そこで、遊技者の多様な要望に応えるために、ROM202に記憶されている各種のデータ(いわゆるスペック)を変更して、複数のタイプの遊技機を設定することが行われている。
もっとも、新たなスペックを設定するためには、単に各種データの設定を変更すれば良いというものではない。何故なら、遊技機1は、第一義的には遊技者が十分に楽しめるものでなければならないが、その一方で、遊技ホールにも適正な利益が残るようになっていることも必須の要件であり、そして、この2つの要件は、互いに二律背反の関係にある。すなわち、遊技者が楽しめるような設定にすると遊技ホールに利益が残り難くなり、逆に遊技ホールの利益を確保しようとすると遊技者が十分に楽しめなくなりがちである。従って、スペックは、互いに背反する2つの要件が、微妙にバランスして共に満足されるようなものでなければならないからである。実際には、こうしたことを実現するために、各種の制御データの値を変更しながら試行錯誤を繰り返さなければならず、新たなスペックを設定するためには多大な労力が必要となっている。こうした点に鑑みて、本実施例の遊技機1では、新たなスペックを簡便に設定することを可能とするべく、次のようにしてスペックを設定している。
D.本実施例のスペック設定方法 :
具体的な設定方法について説明する前に、先ず、本実施例の設定方法を案出する根拠となった技術的な思想について概要を説明しておく。
本願の発明者の考えによれば、遊技機1において行われる遊技は、「遊技者が遊技を楽しめるか否か」および「遊技ホールの利益を確保できるか否か」という2つの観点から見ると、次のような3つの状態を切り換えながら進行するものと考えることができる。すなわち、「遊技者は楽しめないが、遊技ホールは利益を確保できる第1の状態」と、「遊技者は楽しめるが、遊技ホールにとっては損になる第2の状態」と、「遊技者はそれなりに楽しめるが満足するには到らず、遊技ホールは利益にも損にもならない第3の状態」の3つの状態を切り換えながら遊技が行われている。
図24は、「遊技者が遊技を楽しめるか否か」および「遊技ホールの利益を確保できるか否か」という観点から、遊技機1で行われる遊技を分類した結果を例示した説明図である。図24(a)は、通常遊技中に通常大当りが発生して特別遊技状態が開始される場合を表している。尚、通常遊技とは、時短機能や、確変機能、普通電動役物の開口時間延長機能、更には条件装置や役物連続作動装置などが作動していない状態で行われる遊技のことである。通常遊技では、多数の遊技球を発射しても賞球として払い出される遊技球は僅かであり、従って、遊技者にとっては必ずしも楽しめる遊技状態ではない。もちろん、通常遊技の期間でも種々の演出が行われるので全く楽しめないわけではないが、それでも遊技球を発射するほど遊技者の持ち球が減っていくので、通常遊技が続くと演出を楽しむ余裕もなくなってしまう。その一方で、遊技ホールにとっては効率よく遊技球を回収することができるから、利益を確保することは容易となる。従って、通常遊技は、第1の状態、すなわち遊技者は楽しめないが、遊技ホールは利益を確保できる状態ということができる。尚、図24では、通常遊技が行われている期間を太い実線によって表している。
次いで、遊技中に通常大当りが発生して大当り遊技(第1の特別遊技)が開始されると、遊技球を発射すればするほど多数の遊技球が賞球として払い出される。従って、大当り遊技は第2の状態、すなわち、遊技者にとっては十分に楽しむことができるが、遊技ホールにとっては損が出る遊技状態となっている。図24では、通常大当りによって開始された大当り遊技(通常大当り遊技)が行われている期間を、斜線を付した矩形によって表している。
通常大当り遊技が終了すると、前述したように、時短機能および普通電動役物の開口時間延長機能が作動した状態で遊技が行われる。ここでは、開口時間延長機能が作動していることに着目して、このような遊技状態を開口時間延長遊技(第2の特別遊技)と呼ぶことにする。普通電動役物の開口時間延長機能が作動して始動口17の開口時間が延長されると、始動口17に遊技球が入球し易くなって、入賞に伴う賞球が払い出され易くなるので、遊技者はほとんど持ち球を減らすことなく大当りを狙って遊技を続けることができる。すなわち、開口時間延長遊技は、持ち球が増えないので遊技者が十分に満足するわけではないが、それなりに楽しめる遊技状態と言うことができる。その一方で、遊技ホールにとっては、遊技球が多量に払い出されることはないものの、さりとて遊技球を回収することもできないので、損はしない代わりに、利益を確保することも難しい。結局、開口時間延長遊技は、第3の状態、すなわち、遊技者はそれなりに楽しめが満足するには到らず、遊技ホールにとっては利益にも損にもならない状態となっている。図24では、大当り遊技後に開口時間延長遊技が行われている期間を、白抜きの矩形によって表している。そして、このような開口時間延長遊技は、所定の時短切回数(本実施例では100回)だけ特別図柄の変動表示を行ったら終了し、その後は、前述した通常遊技が開始される。
また、開口時間延長遊技の間にも、特別図柄の変動表示は行われているから、開口時間延長遊技が終了するまでに、大当りが発生する場合もある。図24(b)には、このような状態が例示されている。すなわち、図24(b)に示したように、太い実線で示した通常遊技を行っているうちに通常大当りが発生し、続いて、斜線を付した矩形によって表される通常大当り遊技の終了後に、白抜きの矩形で示す開口時間延長遊技が開始される。そして、開口時間延長遊技が行われている間に再び通常大当りが発生して、通常大当り遊技が行われる。従って、このような場合は、通常遊技から大当り遊技が開始されて、再び通常遊技に戻るまでの間に、複数回(図示した例では2回)ずつの通常大当り遊技および開口時間延長遊技が行われ、そして、遊技者にとっては楽しめない通常遊技の間の期間は、遊技者が曲がりなりにも遊技を楽しめる(大当り遊技中は十分に楽しめ、開口時間延長遊技中はそれなりに楽しめる)期間となっている。そこで以下では、大当り遊技および開口時間延長遊技が連続して行われている期間を、特別遊技連続期間と呼ぶことにする。
更に、大当りの態様には、通常大当りの他に確変大当りも設けられており、確変大当りが発生した場合にも大当り遊技が開始される。ここでは、確変大当りの発生後に行われる大当り遊技を確変大当り遊技と呼ぶものとし、図24では確変大当り遊技が行われている期間を、細かい斜線を付した矩形によって表している。確変大当り遊技の終了後は、確変機能と、時短機能と、普通電動役物の開口時間延長機能とが作動した遊技状態が開始される。このような遊技状態も開口時間延長機能が作動している点では、前述した開口時間延長遊技と同様であるため、確変大当り遊技後に行われる遊技状態も、開口時間延長遊技と呼ぶことにする。もっとも、確変大当り遊技後の開口時間延長遊技では確変機能が作動しており、大当りが発生し易くなっているため、多くの場合は開口時間延長遊技が継続している間に、再び大当りが発生して大当り遊技が開始される。図24(c)には、確変大当り遊技と開口時間延長遊技とを繰り返した後に、通常大当り遊技と、これに続く開口時間延長遊技を経て、通常遊技に復帰している様子が示されている。
もちろん、通常大当り遊技に続く開口時間延長遊技の継続中に、確変大当りが発生することもあり、このような場合にも、その確変大当りによる大当り遊技後の開口時間延長遊技の継続中に、高い確率で大当り遊技が開始される。図24(d)には、通常大当り遊技後の開口時間延長遊技中に確変大当り遊技が開始され、その大当り遊技後に行われる開口時間延長遊技の継続中に大当りが発生している様子が示されている。
大当りの態様が通常大当りであった場合には、多くの場合は、図24(a)に示すように開口時間延長遊技が終了して通常遊技に戻ってしまい、従って、図24(b)に例示したように、再び通常遊技に戻るまでに、大当り遊技および開口時間延長遊技を複数回繰り返すことは少ない。これに対して確変大当りが発生した場合には、図24(c)または図24(d)に例示したように、再び通常遊技に戻るまでの間に、多くの場合は、大当り遊技と開口時間延長遊技とが複数回繰り返されることになる。
以上、図24に各種例示したように、遊技機1で行われる遊技は、遊技者にとっては楽しめない第1の状態である通常遊技の間に、遊技者が楽しめる第2の状態および第3の状態(すなわち特別遊技連続期間)が挿入されたような状態となっている。このような視点に立って遊技を観察すると、遊技者が遊技を楽しめるようにしながら、遊技ホールの利益も確保するためには、大当り確率と特別遊技連続期間の継続時間との間には、一定の関係が成り立っているべきことが予想される。
図25は、大当り確率と特別遊技連続期間の継続時間との間に成り立つべき関係について説明するための概念図である。図24を用いて前述したように、大当りが発生すると特別遊技連続期間が開始されるから、大当り確率が低いということは特別遊技連続期間が稀にしか発生しないということである。そして、遊技者にとって楽しめるのは特別遊技連続期間だけであるから、稀にしか発生しない特別遊技連続期間が短時間で終了したのでは、遊技者は全く楽しめない筈である。すなわち、大当り確率が低い場合には、図25(a)に示すように、毎回の特別遊技連続期間を長くする必要があると考えられる。
逆に、大当り確率が高いということは特別遊技連続期間が頻繁に発生するということであるから、特別遊技連続期間が発生するたびに長い時間継続したのでは、遊技ホールにとっては遊技球を回収する期間である通常遊技が短くなるので、遊技ホールが利益を確保できなくなってしまう。従って、大当り確率が高い場合には、図25(b)に示すように、毎回の特別遊技連続期間の平均時間を短くする必要があると考えられる。
以上のような理由から、遊技者が遊技を楽しめるようにしながら、尚かつ遊技ホールの利益も確保するためには、大当り確率が低くなるほど毎回の特別遊技連続期間の平均時間を長くし、逆に大当り確率が高くなるほど特別遊技連続期間の平均時間を短くしておく必要があると考えられる。また、特別遊技連続期間の中でも、大当り遊技の期間は、遊技球が多量に払い出されるので、遊技ホールの利益を確保するためには、大当り確率によって継続時間をむやみに変動させることはできない。従って、特別遊技連続期間の中でも特に、開口時間延長遊技の継続時間を大当り確率によって変動させることが望ましいと考えられる。結局、大当り確率が低くなるほど毎回の開口時間延長遊技の平均時間を長くし、逆に大当り確率が高くなるほど開口時間延長遊技の平均時間を短くしておけばよいと考えられる。
こうした考え方の妥当性を検証するために、試行錯誤を繰り返して設定された各種スペックの遊技機について、大当り確率と開口時間延長遊技の平均時間との間に、上述した関係が成立しているか否かを調べてみた。
図26は、新規に開発されたある遊技機(機種を示すコードは「α」)に設定されている各スペックについて、設定値の一部を例示した説明図である。図示されているように、スペックには、大当り確率を初めとして、確変中の大当り確率や、確変突入率など、種々の値が設定されている。ここで大当り確率は、前述したように、特別遊技連続期間がどのような頻度で発生するかに関する値である。また、確変突入率は、大当りが発生したときに、その大当り態様が確変大当りである確率を示す値である。この確変突入率や確変中大当り確率の値は、いわゆる連荘のし易さ、すなわち、開口時間延長遊技の継続中に大当りが発生するし易さに関する値であり、確変突入率や確変中大当り確率が高いほど連荘し易くなる。尚、実際には、大当り確率および確変中大当り確率は、図15(a)および図15(b)に示した当否判定テーブルの中で大当りに対応付けられた乱数範囲として、ROM202に設定されている。また、確変突入率は、図16に示した大当り図柄決定テーブルの中で確変大当り図柄に対応付けられた乱数範囲として、ROM202に設定されている。
時短切回数は、前述したように、通常大当り遊技終了後に、時短状態で行われる特別図柄の変動回数の上限値である。通常大当り遊技後の時短中に大当りが発生する確率(大当り確率)は決して高くはないから、時短切回数は、開口時間延長遊技の継続時間に直接的に関係しており、時短切回数が大きな値になるほど、開口時間延長遊技の継続時間は長くなる。これに対して、上述した確変突入率や確変中大当り確率は大当りの連荘し易さに関する値であり、大当りと大当りの間には開口時間延長遊技が行われているから、連荘するほど開口時間延長遊技の継続時間も長くなる傾向がある。従って、確変突入率や確変中大当り確率は、開口時間延長遊技の継続時間に間接的に影響する値ということができる。
また確変切回数は、前述したように、確変大当り遊技終了後に、時短機能が作動した状態で行われる特別図柄の変動回数の上限値である。もっとも、確変中は高い確率で大当りが発生するから、確変切回数の値は、開口時間延長遊技の継続時間に大きな影響を及ぼすことはない。尚、時短切回数や確変切回数の値は、ROM202に設定されている。
図26に示したスペックAおよびスペックBの遊技機は、大当り確率が1/282.5に設定されていることからも明らかなように、比較的大当り確率の高い標準的な遊技機である。また、スペックD、スペックE、やスペックFの遊技機は、大当り確率がそれぞれ1/392.4あるいは1/344.9と、何れも小さな値に設定されていることから明らかなように、比較的大当り確率の低いタイプの遊技機となっている。これに対してスペックGの遊技機は、大当り確率が1/109.8と大きな値に設定されていることから、大当たり確率が非常に高い、遊技者にとって遊びやすいタイプの遊技機である。
これら全てのスペックが、遊技者が十分に遊技を楽しめ、尚且つ遊技ホールも適切な利益を確保できるか否かは、ある程度の時間を掛けて、実際に遊技を行って評価してみなければ分からない。これらスペックを評価してみると、スペックAは、遊技者が遊技を楽しむことができないものと評価されて、採用することができなかった。また、スペックDは、遊技者は楽しめるものの遊技ホールが適正な利益を確保できないものと評価され、採用されなかった。結局、図26に示した各種のスペックでは、スペックB、スペックE、スペックF、およびスペックGのみを、採用することができた。
また、図27は、新規に開発された別の遊技機(機種を示すコードは「β」)に設定されている各スペックについて、設定値の一部を例示した説明図である。この遊技機のスペックについても、大当り確率を初めとして、確変中の大当り確率や、確変突入率など、種々の値が設定されている。この遊技機では、スペックAが大当り確率の低いタイプに近く、スペックBが比較的標準に近く、そしてスペックCが大当り確率の非常に高いタイプの遊技機となっている。また、スペックCとスペックBとの中間的なスペックを狙って、スペックDおよびスペックEも設定されている。
図27に示した機種コード「β」の遊技機についても、実際に遊技を行って、遊技者が遊技を楽しめ、尚且つ遊技ホールも適切な利益を確保できるか否かが評価された。その結果、スペックDについては、遊技者は楽しめるものの遊技ホールが適正な利益を確保できないものと評価され、スペックEは、遊技者が遊技を楽しむことができないものと評価されて、何れも採用することができず、結局、スペックCとスペックBとの中間的なスペックの設定は断念された。
これら新規に開発済みの遊技機については、遊技機の稼働状況を監視するために実験室の稼働データが取得されているから、このデータを解析することで、開口時間延長遊技の平均時間を求めることができる。図28は、新規に開発された遊技機についての、大当り確率と開口時間延長遊技の平均時間との関係を示した説明図である。図示されているように、大当り確率Pと、開口時間延長遊技の平均時間Tave (単位は秒)との乗算値は、ほぼ2.5〜4の範囲に収まっている。このことは、大当り確率が高くなれば、開口時間延長遊技の平均時間は短くなり、逆に、大当り確率が低くなれば、開口時間延長遊技の平均時間は長くことを表している。これら遊技機のスペックは何れも、遊技者が遊技を十分に楽しみながら、遊技ホールにも利益が確保できるように試行錯誤を重ねて設定したものであり、従って、図28に示した結果は、図25を用いて説明した本願発明者の考え方、すなわち、遊技者を楽しませながらも遊技ホールの利益を確保するためには、大当り確率が低くなるほど開口時間延長遊技の平均時間を長くし、逆に大当り確率が高くなるほど開口時間延長遊技の平均時間を短くしておけばよいという考え方が、妥当であることを示している。
また、この結果を裏付けるために、機種コード「α」および機種コード「β」の遊技機で、実際には採用されなかったスペックについても、稼働データを取得して解析することで、開口時間延長遊技の平均時間を求めて、同様の解析を行ってみた。前述したように、機種コード「α」のスペックAおよび機種コード「β」のスペックEは、何れも、遊技者が遊技を楽しむことができないものとして、不採用になったスペックである。これらスペックについては、開口時間延長遊技の平均時間が、大当り確率の割には小さな値となっている。また、機種コード「α」のスペックDおよび機種コード「β」のスペックDは、何れも、遊技ホールが適正な利益を確保できないと評価され、不採用になったスペックである。これらスペックについては、開口時間延長遊技の平均時間が、大当り確率の割には大きな値となっている。これら不採用になったスペックについての解析結果も、上述した考え方、すなわち、遊技者を楽しませながら、遊技ホールの利益を確保するためには、大当り確率に応じて開口時間延長遊技の平均時間を設定すればよいという考え方の妥当性を示していると言える。
こうした考え方に基づけば、遊技者が遊技を十分に楽しみながら、遊技ホールにも利益が確保できるようなスペックを、試行錯誤を繰り返さずとも設定できる筈である。そこで、開発中の遊技機のスペックを、上述した考え方に基づいて実際に設定してみた。
図29は、本実施例の考え方を利用して設定されたスペックの一部を示した説明図である。開発中の遊技機の機種を示すコードは「γ」であり、この遊技機には、大当り確率の低いタイプの遊技機を想定したスペックAと、比較的大当たり確率の高い標準タイプに近づけたスペックBと、大当り確率の非常に高いタイプの遊技機を想定したスペックCの、3つのスペックが設定されている。
これらスペックを設定するに際しては、先ず、それぞれのスペックに対応した大当り確率Pを設定し、次いで、確変中大当り確率や、確変突入率などのスペックの値を仮に設定する。そして、仮のスペックが設定された遊技機を用いて実際に遊技を行い、開口時間延長遊技の平均時間Tave を算出する。こうして得られた平均時間Tave と大当り確率Pの乗算値が、2.5〜4より小さければ、乗算値が増加する方向にスペックの設定値を修正する。開口時間延長遊技の平均時間Tave を増やすためには、例えば、時短切回数や確変突入率を増やしたり、あるいは確変中の大当り確率を低くすればよい。逆に、平均時間Tave と大当り確率Pの乗算値が、2.5〜4より大きい場合には逆の方向、すなわち乗算値が減少する増加する方向にスペックの設定値を修正すればよい。図29に示したスペックは、このようにして設定されたスペックである。また、図30には、上述した本実施例の方法によってスペックが設定された遊技機について、大当り確率と開口時間延長遊技の平均時間との関係が示されている。
以上のようにしてスペックを設定した後、遊技者が遊技を十分に楽しめるか否か、および遊技ホールの利益が確保されているかについて、従来通りの方法を用いて評価したところ、何れの点からも適切なスペックとなっていることが確認できた。従って、遊技機のスペックを設定する際に、初めに大当り確率を設定しておき、この大当り確率と、開口時間延長遊技の平均時間との乗算値が2.5〜4の範囲となるように調整する方法によれば、適切に且つ簡単に新たなスペックを設定することが可能である。
E.変形例 :
また、大当り確率の非常に高いタイプの遊技機の中には、確変切回数を数回程度の少ない回数に設定した遊技機も存在している。このような遊技機では、確変状態で特別図柄が複数回変動すると、時短状態に切り換わってしまうので、確変中のリーチの発生確率を高くしても良い。以下では、このような変形例について説明する。
図31は、変形例の遊技機で行われる特別図柄変動パターン設定処理の一部を示すフローチャートである。また、図32は、変形例の遊技機で行われる特別図柄変動パターン設定処理の残りの部分を示すフローチャートである。かかる処理は、図17を用いて前述した特別図柄変動パターン設定処理と同様に、図12の特別図柄遊技処理の中で特別図柄の当否判定を行った後に実行される処理である。
変形例の特別図柄変動パターン設定処理においても、前述した処理と同様に、先ず初めに、特別図柄の当否判定結果が大当りであるか否かを判断する(S3500)。そして、特別図柄の当否判定結果が大当りであった場合には(S3500:yes)、現在の遊技状態が確変中か否かを判断し(S3502)、確変中であれば(S3502:yes)、大当り・確変用の変動パターンテーブルを選択する(S3506)。一方、確変中ではないと判断された場合は(S3502:no)、時短中か否かを判断し(S3504)、時短中であれば(S3504:yes)、大当り・時短用変動パターンテーブルを選択し(S3508)、時短中でなければ(S3504:no)、大当り・非時短用変動パターンテーブルを選択する(S3510)。これらの変動パターンテーブルは、主制御基板200に搭載されたROM202に予め設定されている。
図33は、変形例の遊技機で確変中に大当りが発生した場合に参照される「大当り・確変用変動パターンテーブル」を概念的に示した説明図である。図示されているように、大当り・確変用変動パターンテーブルも、図18あるいは図19に示した変動パターンテーブルと同様に、変動パターン決定乱数の値に対応付けて、特別図柄の変動パターンが設定されている。もっとも、図33に示した確変用の変動パターンテーブルには、時短用(あるいは非時短用)のテーブルよりも、変動時間の長い変動パターンが多く設定されており、従って、リーチが発生し易くなっている。
このように、特別図柄の当否判定結果が大当りであった場合には(S3500:yes)、確変中か否か、時短中か否かに応じて対応する変動パターンテーブルを選択し(S3506、S3508、S3510)、続いて、変動パターン決定乱数を読み出す(S3512)。そして、読み出した変動パターン決定乱数に基づいて変動パターンテーブルを参照することにより、当否判定結果が「大当り」の場合の特別図柄の変動パターンを決定する(S3514)。
これに対して、特別図柄の当否判定結果が外れであった場合には(S3500:no)、現在の遊技状態が確変中か否かを判断し(S3516)、確変中であれば(S3516:yes)、外れ・確変用の変動パターンテーブルを選択する(S3520)。確変中でなければ(S3516:no)、時短中か否かを判断し(S3518)、時短中であれば(S3518:yes)、外れ・時短用変動パターンテーブルを選択し(S3522)、時短中でなければ(S3518:no)、大当り・非時短用変動パターンテーブルを選択する(S3524)。
図34は、変形例の遊技機で確変中に外れが発生した場合に参照される「外れ・確変用変動パターンテーブル」を概念的に示した説明図である。この外れ・確変用変動パターンテーブルは、図20あるいは図21に示した時短用(あるいは非時短用)変動パターンテーブルよりも、変動時間の長いパターンが多く設定されており、従って、リーチが発生し易くなっている。特別図柄の当否判定結果が外れであった場合には(S3500:no)、確変中か否か、時短中か否かに応じて対応する変動パターンテーブルを選択し(S3520、S3522、S3524)、続いて、変動パターン決定乱数を読み出して(S3526)、当否判定結果が「外れ」の場合の特別図柄の変動パターンを決定する(S3528)。こうして変動パターンを決定したら、図12に示した特別図柄遊技処理に復帰する。
変形例の遊技機では、以上のようにして特別図柄の変動パターンを決定しているため、確変中にはリーチが発生し易くなっている。一般に、時短中では、特別図柄の変動時間が短くなっているから、大当り確率と開口時間延長遊技の平均時間との乗算値を2.5から4の範囲とするためには、特別図柄の変動回数を増やさなければならない場合も生じ得る。このような場合でも確変中はリーチが発生し易くしておけば、特別図柄の変動回数を増やさずとも開口時間延長遊技の平均時間を確保することができるので、大当り確率と開口時間延長遊技の平均時間との乗算値を適切な範囲に設定することが容易となる。特に、確変切回数が数回程度の少ない回数に設定された大当り確率の非常に高いタイプの遊技機では、確変状態で特別図柄が複数回変動すると、時短状態に切り換わってしまうので、確変中のリーチの発生確率を高くしておくことで、メリハリの効いた遊技とすることが可能となる。
以上、本発明について各種の実施の形態を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各請求項に記載した範囲を逸脱しない限り、各請求項の記載文言に限定されず、当業者がそれらから容易に置き換えられる範囲にも及び、かつ、当業者が通常有する知識に基づく改良を適宜付加することができる。