以下では、上述した本願発明の内容を明確にするために、次のような順序に従って実施例を説明する。
A.パチンコ機の装置構成:
A−1.装置前面側の構成:
A−2.遊技盤の構成:
A−3.制御回路の構成:
B.遊技の概要:
C.制御の概要:
C−1.遊技制御処理:
C−2.特別図柄遊技処理:
C−3.特別電動役物遊技処理:
D.当り遊技演出処理:
E.図柄変動演出処理:
A.パチンコ機の装置構成 :
A−1.装置前面側の構成 :
図1は、本実施例の遊技機1の正面図である。図1に示すように、遊技機1の前面部は、大きくは、前面枠4、上皿部5、下皿部6、遊技盤10などから構成されている。なお、図1では遊技盤10の詳細な図示を省略している。前面枠4は、図示しない中枠3に取り付けられており、中枠3は図示しない本体枠2に取り付けられている。中枠3はプラスチック材料で成形されており、本体枠2の内側に取り付けられている。本体枠2は、木製の板状部材を組み立てて構成された略長方形の枠体であり、遊技機1の外枠を形成している。前面枠4の一端は、中枠3に対して回動可能に軸支されており、中枠3の一端は本体枠2に対して回動可能に軸支されている。遊技盤10は、中枠3の前面側に着脱可能に取り付けられており、その前面側が前面枠4で覆われている。
前面枠4は、プラスチック材料で成形されており、略中央部には、円形状の開口部4aが形成されている。この開口部4aにはガラス板等の透明板がはめ込まれており、奥側に配置される遊技盤10の盤面が視認可能となっている。また、前面枠4には、遊技効果を高めるための各種ランプ類4b〜4fが設けられている。
前面枠4の下方には、上皿部5が設けられており、上皿部5の下方には下皿部6が設けられている。また、前面枠4の右側には施錠装置9が設けられており、前面枠4の左側にはプリペイドカード式の球貸装置13(CRユニット)が設けられている。
上皿部5には、皿状の凹部と、凹部を取り巻くように形成された皿外縁部5aとが設けられている。遊技球は、上皿部5に形成された凹部に投入されて、発射装置ユニット12(図5参照)に供給される。また、皿外縁部5aには、遊技球の球貸スイッチ5b、返却スイッチ5c、投入した遊技球を排出するための排出ボタンなど、各種のボタン類が設けられている。さらに、上皿部5の略中央部には複数の長孔とその上部に多数の小穴が形成された第1スピーカ5yが設けられている。
下皿部6には、遊技機1の内部から遊技球を排出するための排出口6aが設けられており、排出された遊技球は下皿部6内に貯留される。また、下皿部6の下面の左右には、第2スピーカ6cが設けられている。
下皿部6の右端には発射ハンドル8が設けられている。発射ハンドル8には、遊技者がハンドルに触れていることを検出するタッチスイッチ8aが設けられている。発射ハンドル8の回転軸は、下皿部6の奥側に搭載された図示しない発射装置ユニット12に接続されており、遊技者が発射ハンドル8を回転させると、その動きが発射装置ユニット12に伝達され、ユニットに内蔵された図示しない発射モータが回転して、回転角度に応じた強さで遊技球が発射される。発射ハンドル8の左側面には、遊技者が操作して遊技球の発射を一時的に停止する発射停止スイッチ8bが配置されている。
A−2.遊技盤の構成 :
図2は、遊技盤10の盤面構成を示す説明図である。前述したように、遊技盤10は中枠3の前面側に着脱可能に取り付けられている。図2に示すように、遊技盤10の中央には、外レール14と内レール15とによって囲まれた略円形状の遊技領域11が形成されている。
遊技領域11の略中央には中央装置26が設けられている。また、中央装置26の下方には、始動口(普通電動役物)17が設けられ、中央装置26の下方には、変動入賞装置18が設けられている。始動口(普通電動役物)17は、左右に一対の翼片部が開閉可能に構成されたいわゆるチューリップ式の始動口である。始動口17の内部には、遊技球の通過を検出する始動口(普通電動役物)スイッチ17s(図5参照)と、一対の翼片部を作動させるための普通電動役物(始動口)ソレノイド17m(図5参照)とが備えられている。一対の翼片部が左右に開くと、遊技球の入球可能性が大きくなる開口状態となり、一対の翼片部が直立すると、遊技球の入球可能性が小さくなる通常状態となる。
中央装置26のほぼ中央には、演出表示装置27が設けられている。演出表示装置27は、液晶画面を搭載しており、意匠図柄や背景図柄などの種々の図柄を変動表示および停止表示させることが可能となっている。演出表示装置27の画面上で表示される各種図柄については後述する。
中央装置26の左下には、図柄表示装置28が設けられている。詳細な構成については後述するが、図柄表示装置28では普通図柄や特別図柄などを変動停止表示することが可能となっている。
遊技領域11の左には、普通図柄作動ゲート36が設けられており、このゲートの内部には、遊技球の通過を検出するゲートスイッチ36sが設けられている。更に、普通図柄作動ゲート36と中央装置26との間には、ランプ風車24が設けられている。これら各遊技装置の間および周辺には、多数の障害釘23が設けられている。
中央装置26の下方に設けられた変動入賞装置18には、ほぼ中央に大入賞装置31が設けられている。この大入賞装置31は、略長方形状に大きく開口する大入賞口31dや、大入賞口31dを開閉するための開閉扉31e、開閉扉31eを作動させるための大入賞口ソレノイド31m(図5参照)などから構成されている。後述する所定の条件が成立して開閉扉31eが開動作することで、大入賞口31dは開口状態となり、この結果、遊技球が高い確率で大入賞口31dに入球することとなって、遊技者にとって有利な遊技状態である大当り遊技状態が開始される。大入賞口31dの内部には、大入賞口スイッチ31sが設けられており、大入賞口31dに入賞した遊技球を検出することが可能となっている。また、詳細には後述するが、本実施例の遊技機1では、遊技球が容易には入球し得ないような、特殊な態様(特定開口態様)で大入賞口31dが開口する特殊な当り遊技(特殊当り遊技)も設けられている。
中央装置26の右側には、特別通過ゲート37が設けられている。この特別通過ゲート37は、大入賞口31dで特殊な当り遊技が行われている場合にだけ有効となって、遊技球が通過したことを検知する特別な通過ゲートである。普通図柄作動ゲート36と同様に、特別通過ゲート37にもゲートスイッチ(特別ゲートスイッチ37s)が組み込まれており(図5参照)、遊技球が通過したことを検出することが可能となっている。
尚、特別通過ゲート37は、中央装置26の右側に設けられていることから、特別通過ゲート37に遊技球を通過させるためには、中央装置26の右側を狙って遊技球を発射する必要がある。そして、中央装置26の右側に発射された遊技球は、遊技領域11の右側を流下していく。これに対して、普通図柄作動ゲート36は中央装置26の左側に設けられているから、通常の遊技時は、遊技者は中央装置26の左側を狙って遊技球を発射し、遊技球は遊技領域11の左側を流下していく。このように、遊技球は中央装置26の右側または左側の何れも流下し得るが、右側を流下する遊技球が大入賞口31に到達するまでに要する時間(流下経路の長さ)は、左側を流下する遊技球のそれに比べて長くなる。このため、一定期間内における大入賞口31dへの遊技球の入球率は、遊技領域11の左側を流下する遊技球の方が遊技領域11の右側を流下する遊技球よりも高くなるので、左側を流下する遊技球は大入賞口31dに入球し易く、右側を流下する遊技球は大入賞口31dに入球し難いといえる。特に、遊技球が入球し得ないような特殊な態様(開口時間が極めて短かい態様、開口量が少ない態様など)で大入賞口31dが開口する場合には、遊技領域11の右側を流下する遊技球が大入賞口31dに入球することは殆どない。従って、中央装置26の左側に形成された遊技球の流下通路が、本発明における「第1の流下通路」に対応しており、中央装置26の右側に形成された遊技球の流下通路が、本発明における「第2の流下通路」に対応している。そして、中央装置26の右側に設けられた特別通過ゲート37が、本発明における「通過ゲート」に対応している。
遊技盤10の下方にはアウト口48が設けられ、そのアウト口48の下部にはバック球防止部材58が設けられている。バック球防止部材58は、遊技領域11に到達せず戻ってきた遊技球が再び発射位置に戻ることを防止する機能を有している。
図3は、本実施例の遊技機1に搭載された図柄表示装置28の構成を示す説明図である。図示されているように、本実施例の図柄表示装置28は、略矩形の領域内に12個の小さな発光ダイオード(LED)が組み込まれて構成されている。これら12個のLEDのうちの、3個のLEDは普通図柄表示部29を構成しており、残りの9個のLEDは特別図柄表示部30を構成している。更に、普通図柄表示部29は、普通図柄を表示するための1個のLED(以下、普通図柄LED29aと呼ぶ)と、普通図柄の保留数を表示するための2個のLED(以下、普図保留表示LED29bと呼ぶ)とから構成されている。また、特別図柄表示部30は、特別図柄を表示するための7個のLED(以下、特別図柄LED30aと呼ぶ)と、特別図柄の保留数(以下、特図保留数と呼ぶ)を表示するための2個のLED(以下、特図保留表示LED30bと呼ぶ)とから構成されている。本実施例の図柄表示装置28が、これら12個のLEDを用いて、普通図柄や、特別図柄、特図保留数を表示する様子については後述する。
図4は、本実施例の遊技機1に搭載された演出表示装置27の画面構成を示す説明図である。前述したように、演出表示装置27は、主に液晶表示画面を用いて構成されており、液晶画面上には、3つの意匠図柄27a,27b,27cと、その背景の背景図柄27dが表示されている。このうち、3つの意匠図柄27a,27b,27cは、図3に示した特別図柄30の表示に合わせて種々の態様で変動表示され、遊技を演出することが可能となっている。
A−3.制御回路の構成 :
次に、本実施例の遊技機1における制御回路の構成について説明する。図5は、本実施例の遊技機1における制御回路の構成を示したブロック図である。図示されているように遊技機1の制御回路は、多くの制御基板や、各種基板、中継端子板などから構成されているが、その機能に着目すると、遊技の基本的な進行や賞球に関わる当否についての制御を司る主制御基板200と、図柄やランプや効果音を用いた遊技の演出の制御を司るサブ制御基板220と、サブ制御基板220の制御の下で演出表示装置27の具体的な制御を行う演出制御基板230と、貸球や賞球を払い出す動作の制御を司る払出制御基板240と、遊技球の発射に関する制御を司る発射制御基板260などから構成されている。これら制御基板は、各種論理演算および算出演算を実行するCPUや、CPUで実行される各種プログラムやデータが記憶されているROM、プログラムの実行に際してCPUが一時的なデータを記憶するRAMなど、種々の周辺LSIがバスで相互に接続されて構成されている。また、図5中に示した矢印の向きは、データあるいは信号を入出力する方向を表している。尚、図5では、主制御基板200に搭載されたCPU201や、ROM202、RAM203、およびサブ制御基板220に搭載されたCPU221や、ROM222、RAM223のみが図示されている。
図示されているように主制御基板200は、始動口スイッチ17sや、大入賞口スイッチ31s、ゲートスイッチ36sなどから遊技球の検出信号を受け取って、遊技の基本的な進行や賞球に関わる当否を決定した後、サブ制御基板220や、払出制御基板240、発射制御基板260などに向かって、各種の動作を指令するコマンドを出力する。また、主制御基板200には、始動口17に設けられた一対の翼片部を開閉させるための普通電動役物ソレノイド17mや、大入賞口31dを開閉させるための大入賞口ソレノイド31m、更には、普通図柄や特別図柄の変動停止表示を行う図柄表示装置28などが中継端子板を介して接続されており、各種ソレノイド17m,31m、および図柄表示装置28に向かって信号を出力することにより、これらの動作の制御も行っている。
サブ制御基板220は、主制御基板200からの各種コマンドを受け取ると、コマンドの内容を解析して、その結果に応じた遊技の演出を行う。すなわち、前述した演出表示装置27の表示制御を行う演出制御基板230に対して表示内容を指定するコマンドを出力したり、各種のスピーカ5y、6cを駆動するアンプ基板224、装飾用の各種LEDやランプを駆動する装飾駆動基板226に駆動信号を出力したりすることによって、遊技の演出を行う。また、図2を用いて前述したように、本実施例の遊技機1には、特殊な当り遊技の間にだけ遊技球の通過を検知する特別通過ゲート37も設けられており、特別通過ゲート37内に組み込まれている特別ゲートスイッチ37sは、サブ制御基板220に接続されている。詳細には後述するが、本実施例の遊技機1では、サブ制御基板220が演出内容を決定する際に、特別通過ゲート37を通過した遊技球の個数も考慮して決定することで、遊技者によって止め打ちが行われることを回避可能となっている。
払出制御基板240は、いわゆる貸球や賞球の払い出しに関する各種の制御を司っている。例えば、遊技者が前述した上皿部5に設けられた球貸スイッチ5bや返却スイッチ5cを操作すると、この信号は、球貸表示基板242から中継端子板を介して、球貸装置13に伝達される。球貸装置13は、払出制御基板240とデータをやり取りしながら、貸球の払い出しを行う。また、主制御基板200が賞球の払出コマンドを出力すると、このコマンドを払出制御基板240が受け取って、払出モータ109mに駆動信号を出力することによって賞球の払い出しが行われる。
B.遊技の概要 :
次に、上述した構成を有する本実施例の遊技機1で行われる遊技の概要について簡単に説明しておく。
本実施例の遊技機1では、次のようにして遊技が行われる。先ず、遊技者が上皿部5の凹部に遊技球を投入して発射ハンドル8を回転させると、上皿部5に投入された遊技球が、1球ずつ発射装置ユニット12に供給されて、図2を用いて前述した遊技領域11に発射される。遊技球を打ち出す強さは、発射ハンドル8の回転角度によって調整することが可能となっており、遊技者は発射ハンドル8の回転角度を変化させることによって、遊技球の狙いを付けることができる。
発射した遊技球が、遊技領域11の左側に設けられた普通図柄作動ゲート36を通過すると、図柄表示装置28において普通図柄の変動表示が開始される。図3を用いて前述したように、図柄表示装置28には普通図柄表示部29が設けられており、普通図柄表示部29には、普通図柄LED29aおよび普図保留表示LED29bが搭載されている。このうち、普通図柄LED29aを用いて普通図柄の変動表示を行う。
図6(a)は、普通図柄が変動表示している様子を概念的に示した説明図である。本実施例の遊技機1では、普通図柄LED29aの点滅を繰り返すことによって、普通図柄の変動表示を行う。図では、普通図柄LED29aが点灯している状態を放射状の実線で表し、消灯している状態を破線で表している。そして、点滅している普通図柄LED29aが点灯状態で停止した場合には、普通図柄の当りとなって、始動口17が所定時間(例えば0.5秒間)だけ開口状態となる。逆に、消灯状態で停止した場合には普通図柄の外れとなって、始動口17が開口することはない。
また、普通図柄の変動表示中に遊技球が普通図柄作動ゲート36を通過した場合は、この遊技球の通過が保留数として蓄えられて、現在の普通図柄の変動表示が終了後に、変動表示が行われる。普通図柄の保留は最大4個まで蓄えることが可能となっており、蓄えられている普通図柄の保留数は、普図保留表示LED29bによって表示される。
図6(b)は、図柄表示装置28に設けられた普図保留表示LED29bによって普通図柄の保留数が表示される様子を示した説明図である。普通図柄の保留が無い場合(すなわち、保留が0個の場合)は、2個の普図保留表示LED29bは何れも消灯している。保留が1個の場合は、向かって左側の普図保留表示LED29bは消灯したままで、右側の普図保留表示LED29bが点灯する。保留が2個になると、今度は、右側の普図保留表示LED29bに加えて左側の普図保留表示LED29bが点灯する。次いで、保留が3個になると、右側の普図保留表示LED29bが点滅し、左側の普図保留表示LED29bが点灯する。更に保留が増加して上限値である4個になると、左右の普図保留表示LED29bが点滅した状態となる。このように普通図柄表示部29では、2個の普図保留表示LED29bを点灯、消灯、あるいは点滅させることによって、0個から4個までの保留数を表示することが可能となっている。
また、図3を用いて前述したように、図柄表示装置28には、特別図柄表示部30が設けられており、始動口17に遊技球が入球すると、特別図柄の変動表示を開始した後、以下に説明する何れかの図柄で停止表示するようになっている。
図7は、特別図柄の停止表示態様を概念的に示した説明図である。図3を用いて前述したように、特別図柄表示部30は7個のLEDによって構成されており、これらを点灯させることによって特別図柄を表示する。図7に示されているように、本実施例の遊技機1では、10通りの特別図柄の停止表示態様が設けられており、それぞれの停止表示態様に固有の点灯状態が設定されている。また、これら10種類の特別図柄の停止表示態様は、大きく5つの図柄に分類されている。先ず、図中の最上段に示した2つの特別図柄の停止表示態様は「通常大当り図柄」に分類されており、上から2段目に示した2つの特別図柄の停止表示態様は「確変大当り図柄」に分類されている。また、上から3段目に示した2つの特別図柄の停止表示態様は「2ラウンド(2R)確変大当り図柄」に分類されており、上から4段目に示した2つの特別図柄の停止表示態様は「小当り図柄」に分類されている。これら8種類の停止図柄が、いわゆる当り図柄となる。更に、最下段に示した2つの特別図柄の停止表示態様は「外れ図柄」に分類されている。
特別図柄表示部30では、7個のLED(特別図柄LED30a)を所定時間にわたって点滅させることによって特別図柄の変動表示を行い、所定時間が経過すると、いずれかの停止表示態様に従って停止表示される。そして、何れかの当り図柄が停止表示された場合には、大入賞口31dが開口状態となって当り遊技が開始される。このうち、「通常大当り図柄」または「確変大当り図柄」の何れかの当り図柄が停止表示された場合には、発射された遊技球が高い確率で入球する態様で、大入賞口31dが開口するいわゆる大当り遊技が開始される。これに対して、「2R確変大当り図柄」または「小当り図柄」で停止表示された場合には、遊技球が容易には入球し得ないような特殊な態様で、大入賞口31dが開口する特殊な当り遊技が開始される。これら特殊な当り遊技については、後ほど詳しく説明する。
また、変動表示していた特別図柄が、図7の上から2段目に示した「確変大当り図柄」、あるいは上から3段目の「2R確変大当り図柄」で停止表示した場合には、所定の条件が成立するまで(例えば、次の大当り遊技が発生するまで、あるいは特別図柄の変動表示が所定回数行われるまで等)、特別図柄が大当り図柄で停止表示する確率が高確率に設定された状態(いわゆる、確率変動状態、あるいは単に確変状態)となる。
尚、始動口17に遊技球が入球したにも拘わらず、特別図柄の変動表示を開始できない場合(例えば、特別図柄が変動表示中であった場合、あるいは大当り遊技中であった場合など)であっても、始動口17に遊技球が入球したことは特別図柄の保留数(特図保留数)として蓄えられている。このため、特別図柄の変動表示が可能になった時点で、蓄えられていた保留数を使って、変動表示を行うことが可能となっている。尚、蓄えられている特図保留数については特図保留表示LED30bによって表示される。特図保留表示LED30bを用いて特別図柄の保留数を表示する態様は、図6(b)に示した普図保留表示LED29bの場合と全く同様であるため、ここでは説明は省略する。
上述した特別図柄の変動表示および停止表示に合わせて、演出表示装置27では意匠図柄を用いた各種の演出が行われる。図8は、演出表示装置27で行われる演出の一態様を例示した説明図である。図4を用いて前述したように、演出表示装置27を構成する液晶表示画面には、3つの意匠図柄27a,27b,27cが表示されている。前述した図柄表示装置28で特別図柄の変動表示が開始されると、演出表示装置27においても、これら3つの意匠図柄27a,27b,27cが一斉に変動表示を開始する。本実施例では、意匠図柄として「1」〜「9」までの9つの数字を意匠化した図柄が用意されている。
図8(a)には、3つの意匠図柄27a,27b,27cが一斉に変動表示している様子が概念的に示されている。変動表示が開始された後、所定時間が経過すると、初めに左意匠図柄27aが「1」〜「9」のいずれかの図柄で停止表示され、次いで、右意匠図柄27cが停止表示され、最後に中意匠図柄27bが停止表示される。これら演出表示装置27で停止表示される3つの意匠図柄27a,27b,27cの組合せは、前述した図柄表示装置28で停止表示される特別図柄の組合せと連動するように構成されている。たとえば、図柄表示装置28の特別図柄が「通常大当り図柄」または「確変大当り図柄」で停止する場合は、演出表示装置27の3つの意匠図柄27a,27b,27cが同じ図柄で停止表示される。特に、図柄表示装置28の特別図柄が「確変当り図柄」で停止する場合は、演出表示装置27の3つの意匠図柄27a,27b,27cが、奇数を表す同じ図柄で停止表示される。これに対して、「2R確変大当り図柄」または「小当り図柄」で停止する場合は、3つの意匠図柄27a,27b,27cは同じ図柄で揃わない所定の組合せで停止表示される。更に、図柄表示装置28の特別図柄が外れ図柄で停止する場合は、「2R確変大当り図柄」または「小当り図柄」に対応する組合せを除いて、3つの意匠図柄27a,27b,27cは同じ図柄で揃わない任意の組合せで停止表示される。
このように、図柄表示装置28で表示される特別図柄と、演出表示装置27で表示される3つの意匠図柄27a,27b,27cとは、表示内容が互いに対応しており、それぞれの表示図柄が確定する(停止表示される)タイミングも同じに設定されている。しかも、図2に示すように、図柄表示装置28よりも演出表示装置27の方が目に付き易い位置に設けられており、表示画面も大きく、表示内容も分かり易いので、遊技者は演出表示装置27の画面を見ながら遊技を行うことが通常である。従って、演出表示装置27の表示画面上で初めに停止表示される左意匠図柄27aと、続いて停止表示される右意匠図柄27cとが同じ図柄であった場合には、最後に停止表示される中意匠図柄27bも同じ図柄で停止して、いわゆる大当り遊技状態になるのではないかと、遊技者は図柄の変動を注視することになる。このように、2つの意匠図柄を同じ図柄で停止した状態で、最後の図柄を変動表示させる演出は、リーチ演出と呼ばれており、リーチ演出を行うことで遊技者の興趣を高めることが可能となっている。
C.遊技機の制御内容 :
以下では、上述した遊技を実現するために、本実施例の遊技機1が行っている制御内容について詳しく説明する。
C−1.遊技制御処理 :
図9は、主制御基板200に搭載されたCPU201が、遊技の進行を制御するために行う遊技制御処理の大まかな流れを示したフローチャートである。図示されているように、遊技制御処理では、賞球関連処理、普通図柄遊技処理、始動口復帰処理、特別図柄遊技処理、特別電動役物遊技処理などの各処理が繰り返し実行されている。一周の処理に要する時間は、ほぼ4msecとなっており、従って、これら各種の処理は約4msec毎に繰り返し実行されることになる。そして、これら各処理中で、サブ制御基板220を初めとする各種制御基板に向けて、主制御基板200から各種コマンドを送信する。こうすることにより、遊技機1全体の遊技が進行するとともに、サブ制御基板220では、遊技の進行に合わせた演出の制御が行われることになる。以下、フローチャートに従って、主制御基板200に搭載されたCPU201が行う遊技制御処理について説明する。
主制御基板200に搭載されたCPU201は、遊技制御処理を開始すると、遊技球を賞球として払い出すための処理(賞球関連処理)を行う(S50)。かかる処理では、主制御基板200に接続された各種スイッチの中で、遊技球の入賞に関わるスイッチ(始動口スイッチ17sや大入賞口スイッチ31sなど)について、遊技球が入球したか否かを検出する。そして、遊技球の入球が検出された場合には、払い出すべき賞球数を算出した後、払出制御基板240に向かって賞球数指定コマンドを出力する処理を行う。払出制御基板240は、主制御基板200から出力された賞球数指定コマンドを受け取るとコマンドの内容を解釈し、その結果に従って、払出装置109に搭載された払出モータ109mに駆動信号を出力することにより、実際に賞球を払い出す処理を行う。
主制御基板200のCPU201は、賞球に関連する処理を行うと(S50)、今度は、普通図柄遊技処理を行うか否か、すなわち普通図柄の変動停止表示を行うか否かを判断する(S100)。かかる判断は、始動口17が開口中であるか否かを検出することによって行う。始動口17が開口中でなければ普通図柄遊技処理を行うものと判断し(S100:yes)、始動口17が開口中であれば普通図柄遊技処理は行わないものと判断する(S100:no)。そして、普通図柄遊技処理を行うと判断された場合は(S100:yes)、以下に説明する普通図柄遊技処理を行う(S150)。一方、普通図柄遊技処理を行わないと判断された場合は(S100:no)、普通図柄遊技処理(S150)はスキップする。
普通図柄遊技処理(S150)では、主に次のような処理を行う。先ず、普通図柄の保留数が存在するか否か(「0」であるか否か)を判定し、保留数が存在する場合には普通図柄の当否判定を行う。ここで、普通図柄の保留数は遊技球が普通図柄作動ゲート36を通過することにより設定されるものであり、本実施例では、その保留数の上限値を「4」としている。そして、普通図柄の当否判定の結果に基づき、普通図柄を当り図柄または外れ図柄(図6(a)参照)の何れで停止表示させるかを決定する。次いで、普通図柄の変動表示時間を設定した後、普通図柄の変動表示を開始する。そして変動表示時間が経過すると、決定しておいた図柄で普通図柄を停止表示させ、このときに、普通図柄の当り図柄が停止表示された場合には、始動口17に設けられた一対の翼片部を外側に向かって回動させて、始動口17を開口状態とする。
以上のようにして普通図柄遊技処理を終了したら、始動口17が開口中か否かを判断する(S190)。そして、開口中である場合は(S190:yes)、開口している始動口17を通常の状態に復帰させるための処理(始動口復帰処理)を行う(S200)。一方、始動口17が開口中でない場合は(S190:no)、始動口復帰処理を行う必要はないのでスキップする。
始動口復帰処理(S200)では、次の何れかの条件が満足された場合、すなわち、始動口17の開口時間が経過するか、若しくは、始動口17に規定数の遊技球が入球したかの何れかの条件が成立した場合に、始動口17を通常状態に復帰させる処理を行う。尚、始動口17の開口時間は、通常の遊技状態では約0.5秒間に設定されているが、後述する開口時間延長機能が作動すると約5秒間(開口回数が1回の場合には1回の開口時間が約5秒間、あるいは開口回数が複数回の場合には複数回の開口時間の合計が約5秒間)に延長される。一方、始動口17の開口時間が経過しておらず、始動口17への入球数も規定数に達していない場合は、始動口17を開口状態としたまま、始動口復帰処理(S200)を終了する。
遊技制御処理では、始動口復帰処理から復帰すると、特別図柄に関連する処理を開始する。かかる処理では、後述する特別図柄遊技処理を行うための所定の条件を満足しているか否かを判断した後、所定の条件を満足していた場合には、特別図柄遊技処理を開始する。
図10は、特別図柄遊技処理を開始するか否かを判断するために行う処理(特別図柄遊技開始判断処理)の流れを示すフローチャートである。特別図柄遊技処理を開始するか否かの判断に当たっては、先ず初めに、始動口17に遊技球が入球したか否かを判断する(S302)。前述したように、始動口17の内部には、遊技球の入球を検出する始動口スイッチ17sが設けられており、遊技球が入球したことを検出することができる。
遊技球が始動口スイッチ17sを通過している場合は(S302:yes)、特別図柄の保留数(特図保留数)が上限値(本実施例では「4」)に達しているか否かを判断する(S304)。そして、特図保留数が上限値に達していなければ(S304:no)、特別図柄当否判定乱数、図柄決定乱数を取得して記憶する(S306)。ここで、特別図柄当否判定乱数は、特別図柄の当否判定を行うために用いられる乱数であり、図柄決定乱数は、特別図柄の当否判定結果に応じて停止表示させる特別図柄の種類を決定するための乱数である。次いで、特図保留数に「1」を加算する(S308)。一方、特別図柄の保留数が4に達している場合は(S304:no)、特別図柄の当否判定用乱数や、図柄決定乱数を取得し、特図保留数に1を加算する処理は行わない。
以上のようにして特別図柄の保留に関わる処理を終了したら、大当り遊技中または小当り遊技中か否かを判断する(S310)。ここで大当り遊技とは、後述する特別遊技処理で特別図柄の変動表示が開始され、前述した「通常大当り図柄」、「確変大当り図柄」、または「2R確変大当り図柄」が停止表示されると行われる遊技である。大当り遊技は、大入賞口31dを開口状態として行われるラウンド遊技を、複数回繰り返すことによって行われる。また、小当り遊技とは、後述する特別遊技処理で特別図柄の変動表示が開始され、前述した「小当り図柄」が停止表示されると行われる遊技である。小当り遊技では、「2R確変大当り図柄」が停止表示されたときの大当り遊技と同じ態様で大入賞口31dを開口動作させるラウンド遊技が1回だけ行われる。現在、大当り遊技または小当り遊技を行っているのであれば、重ねて大当り遊技を開始する必要はない。そこで、特別図柄の保留に関わる処理を終了したら、大当り遊技中または小当り遊技中であるか否かを判断し(S310)、何れでもなかった場合には(S310:no)、後述する特別図柄遊技処理を開始すると判断する(すなわち、S300:yes)。一方、現在、既に大当り遊技中あるいは小当り遊技中であった場合は(S310:yes)、特別図柄遊技処理は開始しないと判断する(すなわち、S300:no)。
以上のようにして、特別図柄遊技処理を行うと判断された場合は(S300:yes)、以下に説明する特別図柄遊技処理を行う(S320)。一方、特別図柄遊技処理を行わないと判断された場合は(S300:no)、特別図柄遊技処理(S320)はスキップする。
C−2.特別図柄遊技処理 :
図11および図12は、特別図柄遊技処理の流れを示したフローチャートである。特別図柄遊技処理を開始すると、先ず初めに、特別図柄が変動中か否かを判断する(S322)。図3を用いて前述したように、本実施例の遊技機1では図柄表示装置28に特別図柄表示部30が設けられており、特別図柄を変動表示可能となっている。
特別図柄表示部30の特別図柄が変動中でない場合は(S322:no)、特別図柄の停止図柄を表示させる停止表示時間中であるか否かを判断する(S324)。すなわち、特別図柄の変動表示が終了してしばらくの期間は、特別図柄が何れの図柄で停止表示されたかを、遊技者が確認するための停止表示時間が設けられているので、この停止表示時間中か否かを判断するのである。特別図柄が変動表示されておらず且つ特別図柄の停止図柄を表示している停止表示時間も経過していることが確認された場合は(S324:no)、特別図柄の保留数(特図保留数)が「0」であるか否かを判断する(S326)。前述したように特図保留数は、上限値「4」に達するまで記憶可能である。そして、特図保留数が「0」である場合には(S326:yes)、そのまま特別図柄遊技処理を終了して図9に示す遊技制御処理に復帰する。一方、特別図柄保留数が「0」でない場合、換言すれば、特別図柄の保留が残っている場合は(S326:no)、特別図柄の当否判定を行う処理(特別図柄当否判定処理)を開始する(S330)。
図13は、特別図柄の当否判定を行う処理の流れを示したフローチャートである。図示するように、特別図柄当否判定処理を開始すると、先ず初めに、特別図柄当否判定乱数を読み出す処理を行う(S3300)。特別図柄当否判定乱数とは、図10を用いて前述した特別図柄遊技開始判断処理の中で、遊技球が始動口17に入球したと判断されると、特別図柄の保留数が4個に達するまで、4個を限度として取得される乱数である。図13に示した特別図柄当否判定処理では、先ず初めに、予め記憶しておいた特別図柄当否判定乱数の中から、最も古くに記憶された特別図柄当否判定乱数を読み出す処理を行う。
次いで、現在の遊技状態が確変状態か否か、すなわち、確変フラグがセットされているか否かを判断し(S3302)、確変フラグがセットされていれば(S3302:yes)、確変用の当否判定テーブルを選択し(S3304)、確変フラグがセットされていなければ(S3302:no)、非確変用の当否判定テーブルを選択する(S3306)。ここで確変フラグとは、遊技状態が確変状態になるとセットされるフラグであり、主制御基板200に搭載されたRAM203の所定アドレスが、確変フラグとして割り当てられている。また、当否判定テーブルとは、特別図柄の当否判定乱数に対応付けて、特別図柄の当否判定結果が設定されているテーブルであり、主制御基板200のROM202に予め記憶されている。
図14は、本実施例の遊技機1に記憶されている特別図柄の当否判定テーブルを例示した説明図である。図14(a)には非確変用の当否判定テーブルが示されており、図14(b)には確変用の当否判定テーブルが示されている。図示するように、当否判定テーブルには、特別図柄の当否判定乱数に対応付けて、「大当り」あるいは「外れ」の特別図柄の当否判定結果が設定されている。また、図14(a)と図14(b)とを比較すれば明らかなように、図14(b)に示した確変用の当否判定テーブルは、図14(a)に示した非確変用の当否判定テーブルよりも多くの乱数に、「大当り」の当否判定結果が設定されている。
次いで、先に読み出した特別図柄当否判定乱数に基づいて、選択した当否判定テーブルを参照することにより、特別図柄の当否判定結果が「大当り」であるか否かを判断する(S3308)。上述したように、確変状態の時に参照する確変用の当否判定テーブルは、確変状態ではないときに参照する非確変用の当否判定テーブルに比べて、多くの特別図柄当否判定乱数に「大当り」の当否判定結果が設定されていることから、確変中は非確変中よりも高い確率で「大当り」の当否判定結果が発生することになる。S3308の処理は、いわゆる「大当り抽選」に該当する。
そして、特別図柄の当否判定結果が大当りと判断された場合(大当り抽選に当選した場合)には(S3308:yes)、予め記憶されている図柄決定乱数の中から、最も古くに記憶された図柄決定乱数を読み出した後(S3310)、特別図柄の大当り図柄を決定する処理を行う(S3312)。ここで、図柄決定乱数とは、始動口に遊技球が入球すると、図10に示した特別図柄遊技開始判断処理の中で、特別図柄当否判定乱数とともに取得される乱数である。また、特別図柄の大当り図柄は、図柄決定乱数に基づいて、大当り図柄決定テーブルを参照することによって決定する。
図15は、特別図柄の大当り図柄を決定するために参照される大当り図柄決定テーブルを例示した説明図である。図示されているように、大当り図柄決定テーブルには、図柄決定乱数に対応付けて、特別図柄の大当り図柄が予め設定されている。図7を用いて前述したように、本実施例の遊技機1では、6種類の大当り図柄が設定されていることから、当り図柄決定テーブルにも、これら6種類の当り図柄が設定されている。特別図柄の当否判定結果が「大当り」であった場合には、始動口17への遊技球の入球時に取得しておいた図柄決定乱数に基づいて、図15の大当り図柄決定テーブルを参照することにより、特別図柄を何れの大当り図柄で停止表示させるかを決定する処理を行う。
一方、特別図柄の当否判定結果が「外れ」であった場合は(図13のS3308:no)、小当り抽選を行う(S3314)。この小当り抽選は、特別図柄の当否判定結果が「外れ」の場合(大当り抽選に当選しなかった場合)にのみ行うもので、特別図柄の当否判定乱数とは別の小当り抽選用の乱数(小当り乱数)を用いて行う。具体的には、小当り乱数を取得した後、小当り判定テーブル(図示せず)を参照して「小当り」に当選したか否かを判定する。そして、「小当り」に当選した場合には(S3315:yes)、特別図柄の小当り図柄(図7参照)を決定する処理を行い(S3316)、「小当り」に当選しなかった場合には(S3315:no)、特別図柄の外れ図柄(図7参照)を決定する処理を行う(S3317)。つまり、「大当り抽選」および「小当り抽選」の何れにも当選しなかった場合に、「外れ」となる。小当り図柄を決定する処理は、図柄決定乱数に対して小当り図柄が予め設定された小当り図柄決定テーブルを参照することによって行い、外れ図柄を決定する処理は、図柄決定乱数に対して外れ図柄が予め設定された外れ図柄決定テーブルを参照することによって行う。
以上に説明したように、図13に示した特別図柄当否判定処理では、先に取得しておいた特別図柄当否判定乱数および図柄決定乱数を読み出して、特別図柄の当否判定(大当り抽選)を行うとともに、当否判定結果が大当りの場合には特別図柄の大当り図柄を決定する処理を行い、当否判定結果が外れの場合には、小当り抽選を経て小当り図柄あるいは外れ図柄を決定する処理を行う(S3308〜S3317)。そして、大当り図柄、小当り図柄あるいは外れ図柄のいずれかを決定したら、特別図柄当否判定処理を終了して、図11の特別図柄遊技処理に復帰する。尚、特別図柄当否判定処理で、特別図柄の当否判定結果が大当りとなった場合または小当り抽選に当選して小当りとなった場合(「大当り」または「小当り」の何れかの「当り」に当選した場合)には、大入賞口31dを開口させて当り遊技(大当り遊技または小当り遊技)が行われる。従って、特別図柄当否判定処理(大当り抽選または小当り抽選)を実行する主制御基板200のCPU201は、本発明における「抽選手段」に対応するものとなっている。
図11に示されているように、特別図柄遊技処理では、特別図柄当否判定処理(S330)から復帰すると、続いて、特別図柄の変動パターンを決定する処理を開始する(S332)。ここで、特別図柄の変動パターンとは、特別図柄を変動表示させる態様のことである。尚、特別図柄を変動表示させるとはいっても、図7に示した10種類の表示態様を次々と切り換えながら表示するだけなので、特別図柄の変動パターンは、実質的には、特別図柄を変動表示させる時間に対応している。もっとも、前述したように本実施例の遊技機1では、図柄表示装置28で行われる特別図柄の変動表示と、演出表示装置27で行われる意匠図柄27a,27b,27cの変動表示とは互いに連動していることから、特別図柄の変動パターンを決定すると、意匠図柄27a,27b,27cが変動表示される時間が決定される。そして、その変動表示の時間の範囲内で、具体的な変動表示の内容が、サブ制御基板220によって決定されることになる。この点については、後ほど詳しく説明する。
特別図柄の変動パターンを決定すると、図柄表示装置28における特別図柄の変動表示を開始する(S340)。前述したように、本実施例の図柄表示装置28は、図7に示した10種類の特別図柄を表示可能であり、これら図柄の表示を次々と切り換えることによって変動表示を行う。また、特別図柄の変動表示が開始されると、特別図柄保留数から「1」を減算した後(S342)、先に決定しておいた特別図柄の変動パターンを指定するコマンド(特別図柄変動パターン指定コマンド)を、サブ制御基板220に向かって出力する(S344)。更に、特別図柄の停止図柄を指定するコマンド(特別図柄停止情報指定コマンド)を、同じくサブ制御基板220に向かって出力する(S346)。
サブ制御基板220のCPU221は、このようにして特別図柄変動パターン指定コマンドおよび特別図柄停止情報指定コマンドを受け取ることにより、図柄表示装置28で変動表示される特別図柄の変動時間、および特別図柄の停止図柄についての情報を知ることができる。そこで、これらの情報に応じて、演出表示装置27で行われる演出態様(意匠図柄27a,27b,27cの変動表示態様)を決定して、決定した演出態様を指示する制御コマンドを演出制御基板230へ向けて出力する。こうすることにより、図柄表示装置28で行われる特別図柄の変動表示および停止表示に合わせて、演出表示装置27においても、意匠図柄27a,27b,27cを用いた各種の演出表示が行われる。
主制御基板200のCPU201は、以上のようにして、特別図柄の変動パターンと停止図柄とを決定し、変動パターン指定コマンド、特別図柄停止情報指定コマンドをサブ制御基板220に向けて出力したら、図11に示した特別図柄遊技処理を終了して、図9に示す遊技制御処理に復帰する。
以上、特別図柄が変動表示していない場合(すなわち、図11のS322:noの場合)に、特別図柄遊技処理で行われる詳細な処理について説明した。一方、特別図柄が変動中に、図11の特別図柄遊技処理が開始された場合は、最初に行うS322の判断で、特別図柄が変動中であると判断される(S322:yes)。この場合は、既に、特別図柄の変動パターンと停止図柄とが決定されて、特別図柄の変動が開始されている場合に該当する。そこで、特別図柄変動時間が経過したか否かを判断する(S348)。すなわち、特別図柄の変動時間は変動パターンに応じて予め定められているので、特別図柄の変動を開始すると同時にタイマをセットすることにより、所定の変動時間が経過したかを判断するのである。そして、未だ変動時間が経過していない場合は(S348:no)、そのまま特別図柄遊技処理を終了して、図9に示す遊技制御処理に復帰する。
これに対して、変動時間が経過したと判断された場合は(S348:yes)、特別図柄を停止表示させることを示すコマンド(図柄停止コマンド)をサブ制御基板220に向かって出力する(S350)とともに、図柄表示装置28で変動表示されている特別図柄を、予め設定しておいた図柄で停止表示させる(S352)。次いで、特別図柄を停止表示させる時間(停止表示時間)を設定した後(S354)、設定した表示時間が経過したか否かを判断する(S356)。そして、表示時間が経過していなければ(S356:no)、そのまま特別図柄遊技処理を終了して図9に示す遊技制御処理に復帰する。
一方、特別図柄の停止表示時間が経過した場合は(S356:yes)、停止表示された特別図柄が、図7に示した何れかの大当り図柄であるか否かを判断する(図12のS358)。そして、停止表示された図柄が、大当り図柄であった場合は(S358:yes)、大当りフラグをONにする(S360)。前述したように大当りフラグとは、大当り遊技を開始することを示すフラグであり、大当りフラグに割り当てられている所定アドレスの値を「1」に設定することによって、大当りフラグがONとなる。
続いて、大入賞口31dの開口時間と、大当り遊技中に行われるラウンド遊技の回数(ラウンド回数)とを設定する(S361)。大入賞口31dの開口時間とラウンド回数とは、大当り図柄によって予め定められている。すなわち、停止表示された特別図柄が、図7に示した「通常大当り図柄」または「確変大当り図柄」であった場合には、大入賞口31dの開口時間は約25秒、ラウンド回数は15回に設定される。これに対して、停止表示された特別図柄が「2R確変大当り図柄」であった場合には、大入賞口31dの開口時間は約0.2秒、ラウンド回数は2回に設定される。
こうして大当り遊技の態様、すなわち、大入賞口31dの開口時間およびラウンド回数を設定したら、次に、大当り図柄が「2R確変大当り図柄」であったか否かを判断する(S362)。そして、2R確変大当り図柄であった場合は(S362:yes)、2R確変大当り遊技を開始することを示すコマンド(2R確変大当り開始コマンド)を、サブ制御基板220に向かって出力する(S363)。これに対して、2R確変大当り図柄ではなかった場合は(S362:no)、ラウンド回数が15回の大当り遊技を開始することを示すコマンド(大当り開始コマンド)を、サブ制御基板220に向かって出力する(S364)。これらの開始コマンドを受け取って、サブ制御基板220がコマンドに応じた演出を行うことにより、大当り遊技に伴う演出が行われることになる。この点については後ほど詳しく説明する。
以上に説明したように、特別図柄の停止図柄が大当り図柄(通常大当り図柄、確変大当り図柄、2R確変大当り図柄)であった場合には(S358:yes)、大当り開始コマンドまたは2R確変大当り開始コマンドの何れかをサブ制御基板220に向かって出力した後(S363,S364)、確変フラグがセットされているか否かを判断する(S370)。そして、確変フラグがセットされている場合は(S370:yes)、現在の遊技状態が確変状態であって確変機能および時短機能が作動している。そこで、確変フラグをOFFに(すなわち、確変フラグの値を「1」から「0」に変更)して確変機能の作動を停止させるとともに(S372)、時短フラグもOFFに(すなわち、時短フラグの値を「1」から「0」に変更)することによって時短機能の作動も停止させる(S374)。ここで、時短フラグとは、遊技状態が時短中である場合にセットされるフラグであり、主制御基板200に搭載されたRAM203の所定アドレスが、時短フラグとして割り当てられている。
一方、確変フラグがセットされていなかった場合は(S370:no)、時短フラグがセットされているか否かを判断し(S378)、時短フラグがセットされていた場合は(S378:yes)、時短機能を停止させるべく時短フラグをOFFにする(S374)。また、本実施例の遊技機1では、時短機能が作動している場合は、始動口17の開口時間を延長する機能(開口延長機能)も作動している。そこで、時短フラグをクリアして時短機能を停止したら(S374)、開口延長機能も停止させるべく、開口延長フラグをOFFにした後(S376)、図11および図12に示した特別図柄遊技処理を抜けて、図9の遊技制御処理に復帰する。一方、大当り図柄が停止表示したときに、確変フラグも時短フラグも何れもセットされていなかった場合は(S370:no、S378:no)、そのまま特別図柄遊技処理を抜けて、遊技制御処理に復帰する。
以上、図柄表示装置28で停止表示された特別図柄が大当り図柄であった場合(S358:yes)の処理について説明したが、大当り図柄でなかった場合は(S358:no)、次のような処理を行う。
先ず、停止表示された特別図柄が小当り図柄か否かを判断する(S365)。小当り図柄とは、図7の下から2段目に示した何れかの図柄である。そして、停止表示された図柄が小当り図柄であった場合は(S365:yes)、小当りフラグをONにする(S366)。ここで、小当りフラグとは、小当り遊技を開始することを示すフラグであり、前述した大当りフラグと同様に、主制御基板200に搭載されたRAM203の所定アドレスが、小当りフラグを設定するデータ領域として割り当てられている。そして、その所定アドレスの値を「1」に設定することによって、小当りフラグがONとなる。
続いて、大入賞口31dの開口態様を、小当り遊技用の態様に設定する(S367)。前述したように小当り遊技では、大入賞口31dを開口させてラウンド遊技が1回だけ行われるが、大入賞口31dを開口させる態様は、小当り遊技用の態様とすることができる。そこで、小当りフラグをONに設定したら(S366)、続いて、小当り用の開口態様を設定するのである(S367)。本実施例では、小当り遊技用の開口態様は、大入賞口31dを極短時間(約0.2秒)だけ開口状態とした後、直ぐに閉鎖し、再び極短時間(約0.2秒)だけ開口状態とする態様に設定されている。すなわち、1回のラウンド遊技中に大入賞口31dを2回開口させる態様となっているが、この開口態様は、前述した2R確変大当り遊技中で、短時間で2回のラウンド遊技を行う際の大入賞口31dの動きと、良く似た態様(実質的に同一の態様)となっている。こうして小当り遊技用の開口態様を設定したら、小当り遊技を開始することを示すコマンド(小当り開始コマンド)を、サブ制御基板220に向かって出力する(S368)。一方、停止表示された特別図柄が小当り図柄ではなかった場合は(S365:no)、小当り遊技を行うための上述した一連の処理(S366〜S368)は不要であるためスキップする。
尚、特別図柄の停止図柄が大当り図柄であった場合に設定される大入賞口31dの開口時間やラウンド回数などの開口態様は、主制御基板200に搭載されたROM202の中に予め記憶されている。また、停止図柄が小当り図柄であった場合に設定される小当り遊技用の開口態様も、主制御基板200のROM202に予め記憶されている。従って、本実施例の主制御基板200に搭載されたROM202は、本発明における「開口態様記憶手段」に対応するものとなっている。また、停止図柄が「通常大当り図柄」あるいは「確変大当り図柄」であった場合には同じ開口態様が設定され、「2R確変大当り図柄」または「小当り図柄」に対しては良く似た開口態様が設定される。そして、「2R確変大当り図柄」または「小当り図柄」に対して設定される開口態様は、「通常大当り図柄」または「確変大当り図柄」に対して設定される開口態様よりも、大入賞口31dに遊技球が入球し難い開口態様となっている。従って、「通常大当り図柄」または「確変大当り図柄」の停止図柄に対して設定される開口態様が、本発明における「標準の開口態様」に対応しており、「2R確変大当り図柄」または「小当り図柄」の停止図柄に対して設定される開口態様が、本発明における「特定開口態様」に対応している。
次に、現在の遊技状態が確変中か否か、すなわち、確変フラグがONにセットされているか否かを判断する(S380)。本実施例の遊技機1では、「確変大当り図柄」または「2R確変大当り図柄」で大当り遊技が開始されると、大当り遊技の終了後に確変状態が開始され、次の大当り遊技状態が発生するまでは継続する設定となっている。そこで、確変フラグがONになっていた場合は(S380:yes)、図11および図12に示した特別図柄遊技処理を抜けて、図9の遊技制御処理に復帰する。一方、確変フラグがONではなかった場合は(S380:no)、今度は、時短フラグがセットされているか否かを判断する(S382)。そして、時短フラグがセットされていた場合は(S382:yes)、時短中の特別図柄の変動回数を計数した後(S384)、変動回数が所定回数に達したか否かを判断する(S386)。本実施例の遊技機1では、「通常大当り図柄」で大当り遊技が開始されると、大当り遊技の終了後に時短状態が開始され、次の大当り遊技状態が発生するか、もしくは特別図柄が所定回数変動するまでは継続する設定となっている。そこで、現在の遊技状態が時短中(すなわち、時短フラグがセットされている)と判断された場合は(S382:yes)、特別図柄の変動回数を計数した後(S384)、変動回数の計数値が所定回数に達したか否かを判断するのである(S386)。そして、所定回数に達していれば(S386:yes)、時短機能を停止させるべく時短フラグをクリアし(S374)、続いて、普通電動役物の開口延長機能も停止させるべく開口延長フラグもクリアした後(S376)、図11および図12に示した特別図柄遊技処理を抜けて、図9の遊技制御処理に復帰する。一方、特別図柄の変動回数が、未だ所定回数に達していなければ(S386:no)、時短状態を維持したまま(時短フラグおよび開口延長フラグがONのまま)、特別図柄遊技処理を抜けて、図9の遊技制御処理に復帰する。
図9に示すように、遊技制御処理では、特別図柄遊技処理から復帰すると、大当りフラグまたは小当りフラグがセットされているか否かを判断する(S390)。前述したように特別図柄遊技処理で、通常大当り図柄、確変大当り図柄、2R確変大当り図柄の何れかの大当り図柄が停止表示されると、大当り遊技を開始するべく、大当りフラグがONに設定される。また、小当り図柄が停止表示された場合には、小当り遊技を開始するべく、小当りフラグがONに設定される。そこで、特別図柄遊技を終了した後は、大当りフラグまたは小当りフラグがONに設定されているか否かを判断するのである(S390)。そして、大当りフラグまたは小当りフラグの何れかがONになっている場合は(S390:yes)、以下に説明する特別電動役物遊技処理を開始する(S400)。一方、大当りフラグも小当りフラグもONになっていなければ(S390:no)、特別電動役物遊技処理(S400)はスキップして、遊技制御処理の先頭に戻り、前述した賞球関連処理(S50)以降の一連の処理を繰り返す。
C−3.特別電動役物遊技処理 :
図16は、特別電動役物遊技処理の前半部分の流れを示すフローチャートである。また、図17は、特別電動役物遊技処理の後半部分の流れを示すフローチャートである。このような特別電動役物遊技処理が実行されることによって、大当り遊技、あるいは小当り遊技が行われる。以下、図16および図17を参照しながら特別電動役物遊技処理について説明する。尚、大当り遊技あるいは小当り遊技(すなわち、当り遊技)は、主制御基板200に搭載されたCPU201が、以下に説明する特別電動役物遊技処理を実行することによって行われている。従って、本実施例の主制御基板200に搭載されたCPU201は、本発明における「当り遊技実行手段」に対応している。
主制御基板200のCPU201は、特別電動役物遊技処理(S400)を開始すると先ず初めに、小当りフラグがONに設定されているか否かを判断する(S402)。そして、小当りフラグがONに設定されていた場合は(S402:yes)、予め設定しておいた小当り遊技の態様で大入賞口31dを開口させて、小当り遊技を行う(S404)。前述したように小当り遊技は、大入賞口31dを約0.2秒開口させる動作が2回実行されるラウンド遊技を1回だけ行う当り遊技であり、直ぐに終了する。そこで、小当りフラグをOFFにする(S406)。小当りフラグには主制御基板200のRAM203の所定アドレスが割り当てられており、このアドレスの値に「0」を設定することによって、小当りフラグをOFFにすることができる。続いて、小当り遊技を終了することを示すコマンド(小当り終了コマンド)をサブ制御基板220に向かって出力した後(図17のS434)、特別電動役物遊技処理を終了して、図9の遊技制御処理に復帰する。
これに対して、小当りフラグがONではないと判断された場合は(S402:no)、大当りフラグがONに設定されていることになる。そこで、大入賞口31dが開口中か否かを判断する(S408)。大入賞口31dは、通常の遊技状態では閉鎖されており、従って特別遊技の開始直後は、大入賞口31dは閉鎖状態となっている。そこで、大入賞口31dは開口中ではないと判断して(S408:no)、大入賞口31dの開口回数(すなわち、ラウンド回数)が所定回数に達したか否かを判断する(S410)。
当然のことながら、特別遊技が開始された直後は、大入賞口31dの開口回数は所定回数に達していないから(S410:no)、大入賞口31dの閉鎖時間が経過したか否かを判断する(S412)。大入賞口31dの閉鎖時間とは、ラウンドとラウンドとの間で大入賞口31dが閉鎖状態となっている時間である。特別遊技が開始された直後は、大入賞口31dは閉鎖状態となっているから、当然、大入賞口31dの閉鎖時間が経過していると判断され(S412:yes)、大入賞口31dを開口させた後(S414)、図16に示した特別電動役物遊技処理を一旦終了して、図9の遊技制御処理に復帰する。
主制御基板200のCPU201は遊技制御処理に復帰すると、図9に示したように、賞球関連処理(S50)以降の一連の各種処理を行った後、再び特別電動役物遊技処理(S400)を開始する。そして、この場合は、既に大入賞口31dが開口しているので、S408にて、大入賞口31dが開口中(S408:yes)と判断されることになる。
次いで、大入賞口31dの開口時間が所定時間に達したか否かを判断する(S416)。前述したように、特別遊技では、大入賞口31dが開口状態となるが、開口時間が所定時間に達するか、または大入賞口31dに所定数の遊技球が入球すると閉鎖される。このことに対応して、S416では大入賞口31dの開口時間が所定時間に達したか否かを判断する。そして、開口時間が所定時間に達していれば(S416:yes)、大入賞口31dを閉鎖した後(S420)、図16に示した特別電動役物遊技処理を抜けて、図9の遊技制御処理に復帰する。一方、開口時間が所定時間に達していない場合は(S416:no)、大入賞口31dに入球した遊技球が規定数に達しているか否かを判断する(S418)。そして、遊技球が規定数に達した場合は(S418:yes)、大入賞口31dを閉鎖する(S420)。これに対して、規定数に達していない場合は(S418:no)、大入賞口31dの開口時間が未だ所定時間に達しておらず、しかも大入賞口31dに入球した遊技球も規定数に達していないことになるので、大入賞口31dを開口させたまま、図16に示した特別電動役物遊技処理を抜けて、図9の遊技制御処理に復帰する。
図9の遊技制御処理を何回も繰り返し実行しているうちに、大入賞口31dの開口時間が所定時間に達するか(S416:yes)、もしくは大入賞口31dに規定数数の遊技球が入球して(S418:yes)、大入賞口31dが閉鎖される(S420)。こうして、1回のラウンド遊技が終了する。そして、次に特別電動役物遊技処理が実行された時には、S408において大入賞口31dが閉鎖中と判断され(S408:no)、所定回数のラウンドが終了したか否かが判断され(S410)、全てのラウンドが終了していなければ(S410:no)、大入賞口の閉鎖時間が所定時間に達したことを確認した後(S412:yes)、再び大入賞口31dを開口状態として新たなラウンドを開始する(S414)。一方、S410において、所定回数のラウンドが終了したと判断された場合は(S410:yes)、大当り遊技を終了させるべく、大当りフラグの値を「1」から「0」に変更することによって、大当りフラグをOFFにする(S422)。
以上のようにして大当りフラグをOFFにしたら、その大当り遊技を発生させることとなった当り図柄が、確変大当り図柄または2R確変大当り図柄であったか否かを判断する(図17のS424)。そして、確変大当り図柄または2R確変大当り図柄であった場合は(S424:yes)、確変フラグをONに設定した後(S426)、時短機能および普通電動役物の開口延長機能を作動させるべく、時短フラグおよび開口延長フラグをONに設定した後(S428、S430)、大当り遊技が終了したことを示すコマンド(大当り終了コマンド)をサブ制御基板220に出力して(S432)、図16および図17に示す特別電動役物遊技処理を終了する。一方、大当り遊技を発生させることとなった当り図柄が、確変大当り図柄または2R確変大当り図柄ではなかった場合は(S424:no)、確変フラグはOFFのままで、時短機能および開口延長機能を作動させるべく、時短フラグおよび開口延長フラグをONに設定し(S428、S430)、大当り終了コマンドをサブ制御基板220に出力した後(S432)、図16に示す特別電動役物遊技処理を終了して、図9の遊技制御処理に復帰する。
尚、S426で確変フラグがONに設定されると、図13に示した特別図柄当否判定処理では、確変用の当否判定テーブルを参照して当否判定が行われ、その結果、高い確率で「大当り」が発生する状態となる。確変フラグをONにする処理は、主制御基板200のCPU201が、特別電動役物遊技処理を実行する中で行われることから、本実施例における主制御基板200のCPU201は、本発明における「確率変動手段」に対応している。
主制御基板200に搭載されたCPU201は、以上のような遊技制御処理を繰り返して行うことにより、遊技機1の遊技を進行させている。そして、特別図柄で通常大当り図柄または確変大当り図柄が停止表示された場合には、15回のラウンド遊技が行われる大当り遊技が開始される。この大当り遊技では、遊技球を発射すると高い確率で大入賞口31dに入球させることができるので、遊技者は大いに遊技を楽しむことができる。これに対して、2R確変大当り図柄または小当り図柄が停止表示された場合には、大入賞口31dが極短い時間だけしか開口しないので、遊技球を発射しても、大入賞口31dに入球させることは困難である。そこで、熟練した遊技者は、2R確変大当り図柄による大当り遊技、または小当り図柄による小当り遊技が開始されると、終了するまで遊技球の発射を中止して、いわゆる止め打ちを行うことがある。しかし、これでは、本来は公平であるべき遊技が、熟達した遊技者と一般の遊技者との間では不公平になってしまう。更に、止め打ちされると、遊技球の発射球数が減少するので、遊技ホールにとっても、遊技機の稼働率が低下してしまう。そこで、止め打ちが行われることを回避するために、本実施例の遊技機1では、次のような演出を行っている。以下では、サブ制御基板220のCPU221が演出を行うために実行する処理について詳しく説明する。
D.当り遊技演出処理 :
図18は、大当り遊技また小当り遊技の演出を行うために実行される当り遊技演出処理の流れを示すフローチャートである。かかる処理は、サブ制御基板220に搭載されたCPU221によって実行される処理である。
図示されるように、当り遊技演出処理では、当り遊技の開始コマンド(すなわち、大当り開始コマンド、2R確変大当り開始コマンド、または小当り開始コマンド)を受け取ったか否かを判断する(S502)。そして、何れの開始コマンドも受け取っていない場合は(S502:no)、当り遊技の演出を行う必要はないので、そのまま待機状態となる。
これに対して、何れかの開始コマンドを受け取った場合は(S502:yes)、そのコマンドが、大当り開始コマンドか否かを判断する(S504)。前述したように、大当り開始コマンドとは、特別図柄が通常大当り図柄または確変大当り図柄で停止表示されて、大当り遊技が開始される際に出力されるコマンドである(図12のS364参照)。判断の結果、大当り開始コマンドであると判断された場合は(S504:yes)、大当り遊技に伴って行われる各種の演出を実行する(S506)。ここで、大当り遊技に伴う演出とは、例えば、大当り遊技の開始時に行われるファンファーレ演出や、ラウンド遊技中に行われる演出、ラウンド遊技間に行われる演出である。これらの演出内容は、サブ制御基板220に搭載されたROM222に予め記憶されている。サブ制御基板220のCPU221は、ROM222に記憶されている演出内容を読み出して、演出制御基板230に対して制御コマンドを出力するとともに、アンプ基板224や装飾駆動基板226を介して各種のスピーカ5y,6cや、各種ランプ類4b〜4fに駆動信号を出力することによって、大当り遊技の演出を実行する。そして、大当り遊技の終了を示すコマンド(大当り終了コマンド)を受け取ったか否かを判断し、大当り終了コマンドを受け取ったら(S508:yes)、計数フラグをOFFに設定した後(S510)、図18に示す当り遊技演出処理を終了する。尚、計数フラグの意味するところについては、後述する。
以上は、当り遊技の開始コマンドが、大当り開始コマンドであった場合に(S504:yes)、大当り遊技の演出を行う処理について説明した。これに対して、受け取った当り遊技の開始コマンドが、大当り開始コマンドではなかった場合(2R確変大当り開始コマンドまたは小当り開始コマンドであった場合)は(S504:no)、次のような処理を行う。先ず、計数フラグをONに設定する(S512)。そして、特別通過ゲート37を通過した遊技球の計数を開始する(S514)。すなわち、計数フラグとは、中央装置26の右側に設けられた特別通過ゲート37(図2参照)を通過する遊技球を計数することを示すフラグである。計数フラグは、サブ制御基板220に設けられたRAM223の所定アドレスが割り当てられており、この所定アドレスの値に「1」が設定されると、計数フラグがONになる。
また、計数フラグがONに設定されるのは、当り遊技の開始コマンドが大当り開始コマンドではないと判断された場合であるから(S504:no)、2R確変大当り開始コマンドまたは小当り開始コマンドの何れかを受け取った場合ということになる。そこで、受け取った開始コマンドが2R確変大当り開始コマンドであった場合には2R確変大当り用の演出、または小当り開始コマンドであった場合には、小当り用の演出を実行する。すなわち、当り遊技の開始コマンドを受け取ったら、ファンファーレ演出や、ラウンド遊技中に行われる演出など、当り遊技に伴って行われる一連の演出を実行する。
尚、2R確変大当り遊技や小当り遊技は、大入賞口31dの開口態様は良く似た態様に設定されており、このことと対応して、ファンファーレ演出やラウンド遊技中に行われる演出なども、2R確変大当り遊技と小当り遊技とは、ほとんど同じ演出となっている。また、2R確変大当り遊技および小当り遊技では、大入賞口31dには、ほとんど遊技球が入球することはないので、ファンファーレ演出やラウンド遊技中の演出は、当り遊技を意識させない演出となっている。また、これら演出の内容は、サブ制御基板220に搭載されたROM222に予め記憶されている。
そして、2R確変大当り遊技または小当り遊技に伴う演出の実行中に、2R確変大当り遊技の終了を示すコマンド(大当り終了コマンド)、または小当り遊技の終了を示すコマンド(小当り終了コマンド)を受け取ったか否かを判断し(S518)、これら終了コマンドを受け取ったら(S518:yes)、特別通過ゲート37を通過した遊技球数の計数値を、サブ制御基板220に搭載されたRAM223の所定アドレスに記憶した後(S520)、図18に示す当り遊技演出処理を終了する。
以上に説明したように、当り遊技演出処理では、主制御基板200から大当り開始コマンドを受け取った場合には(S504:yes)、大当り遊技に対応する演出が行われ、2R確変大当り開始コマンドまたは小当り開始コマンドを受け取った場合には(S504:no)、2R確変大当り遊技または小当り遊技に対応する演出が行われるとともに、特別通過ゲート37を通過する遊技球が計数されて、その計数値が記憶される。そして、2R確変大当り遊技または小当り遊技の終了後は、この計数値に応じた演出が行われる。そのため、2R確変大当り遊技または小当り遊技中に止め打ちが行われることを回避することが可能となっている。
尚、2R確変大当り遊技中あるは小当り遊技中に、特別通過ゲート37を通過する遊技球を計数する処理は、サブ制御基板220に搭載されたCPU221が、図18に示した当り遊技演出処理を実行する中で行われている。従って、本実施例のサブ制御基板220に搭載されたCPU221は、本発明における「遊技球検出手段」に対応している。
E.図柄変動演出処理 :
前述した当り遊技演出処理は、主制御基板200から当り遊技の開始コマンド(大当り開始コマンド、2R確変大当り開始コマンド、または小当り開始コマンド)を受け取ると、サブ制御基板220のCPU221によって実行される処理である。この当り遊技の開始コマンドは、主制御基板200のCPU201が特別図柄遊技処理(図9のS320)を実行することによって出力され、その後、特別電動役物遊技処理(図9のS400)を実行することによって、大当り遊技、2R確変大当り遊技、小当り遊技の何れかの当り遊技が行われる。そして、特別電動役物遊技処理の終了後は、図9に示したように、賞球関連処理(S50)、普通図柄遊技処理(S150)、始動口復帰処理(S200)、特別図柄遊技処理(S320)が行われる。その結果、始動口17に遊技球が入球すると、特別図柄遊技処理の中で特別図柄の当否判定処理が行われ(図11のS330)、特別図柄の変動表示が行われる。これに合わせて、主制御基板200からは、サブ制御基板220に向かって、特別図柄の変動パターン指定コマンドおよび特別図柄の停止図柄指定コマンドが出力される。サブ制御基板220は、これらのコマンドを受け取ると、演出表示装置27上での演出を開始する。そして、先に行われた当り遊技が、2R確変大当り遊技または小当り遊技であり、その当り遊技中に遊技球が特別通過ゲート37を通過していた場合には、通過した遊技球の計数値に応じた演出を行うようになっている。以下では、このような演出を行うための図柄変動演出処理について説明する。
図19は、演出表示装置27上の演出内容を制御するために行われる図柄変動演出処理の流れを示したフローチャートである。上述したように、かかる処理は、サブ制御基板220に搭載されたCPU221によって実行される処理である。
図示されるように図柄変動演出処理では、先ず始めに、主制御基板200からの変動パターン指定コマンドおよび停止図柄指定コマンドを受け取ったか否かを判断する(S602)。図11を用いて前述したように、これらのコマンドは、主制御基板200のCPU201が特別図柄の当否判定(大当り抽選)や小当り抽選を行い、その結果を受けて、サブ制御基板220に出力するコマンドである。これらのコマンドを受け取っていない場合は(S602:no)、そのまま待機状態となる。前述したように、主制御基板200では図9に示した遊技制御処理が行われており、始動口17に遊技球が入球すると特別図柄の当否判定処理が行われる。その結果、主制御基板200から変動パターン指定コマンドおよび停止図柄指定コマンドが出力されてくるので、これらコマンドを受け取ったと判断される(S602:yes)。
次に、主制御基板200から受け取ったコマンドに応じて、演出表示装置27で行う演出内容を決定する(S604)。前述したように、変動パターンは特別図柄の変動表示時間に対応しているから、演出表示装置27で行う演出内容も、変動パターン指定コマンドによって指定された変動時間に合わせた演出内容を選択する。また、演出表示装置27上で停止表示させる意匠図柄27a,27b,27cは、停止図柄指定コマンドによって指定された特別図柄の停止図柄に合わせた図柄が停止表示されるように、演出内容を決定する。
続いて、サブ制御基板220のCPU221は、計数フラグがONに設定されているか否かを判断する(S606)。計数フラグとは、図18を用いて前述したように、2R確変大当り遊技または小当り遊技が行われるとONに設定されるフラグである。そして、計数フラグがONに設定されていた場合には(S606:yes)、今度は、報知タイミングか否かを判断する(S608)。これは次のような処理である。
先ず、本実施例の遊技機1には、2R確変大当り遊技および小当り遊技が設けられており、これらは大入賞口31dの開口態様も、演出表示装置27で行われる演出もほとんど同じに設定されているため、遊技者は、何れが発生したのかを容易には区別することができない。その一方で、2R確変大当り遊技が行われると遊技状態が確変状態に切り換わるが、小当り遊技が行われても遊技状態が切り換わることはない。このため、遊技者は、大入賞口31dが短時間だけ開口する態様の当り遊技が行われると、その当り遊技が、2R確変大当り遊技なのか小当り遊技なのか、更には、現在の遊技状態が確変状態に切り換わっているのかいないのかを知りたいと、強く願うようになる。
計数フラグがONに設定されている(S606:yes)ということは、先に、2R確変大当り遊技または小当り遊技が行われたということであり、従って遊技者は、その当り遊技が2R確変大当り遊技または小当り遊技の何れであったのか、更に言えば、現在の遊技状態が確変状態に切り換わっているのか否かを知りたいと願っている筈である。そこで、S608では、かかる情報を遊技者に報知するタイミングになったか否かを判断するのである。
遊技者に報知するタイミングとしては、2R確変大当り遊技または小当り遊技が行われてからの経過時間が、あまり長くならないことが望ましい。従って、例えば、2R確変大当り遊技または小当り遊技の終了後、特別図柄の変動表示が、10回以下の所定回数行われたタイミングで報知を行うことが望ましい。あるいは、所定回数に固定するのではなく、抽選を行って報知するタイミングを決定しても良い。更には、記憶されている計数値に応じて、報知を行うするタイミングを決定しても良い。例えば、計数値が一定値以上あった場合には、1回目の図柄変動時を報知タイミングとし、計数値が0個であった場合は、10回目の図柄変動時を報知タイミングとし行い、計数値が中間の個数であった場合には、中間の図柄変動回数時を報知タイミングとするようにしても良い。
そして、報知タイミングであると判断された場合は(S608:yes)、2R確変大当り遊技または小当り遊技中に、特別通過ゲート37を通過した遊技球の計数値を読み出した後(S610)、計数値に応じた報知演出内容を取得する(S612)。報知演出の内容は、サブ制御基板220のROM222に予め記憶されている。
図20は、特別通過ゲート37を通過した遊技球の計数値に応じて、報知演出の内容が設定されている様子を示した説明図である。計数値が0の場合には、確変か否かの報知は行わない旨が設定されている。これに対して、1〜3個の計数値に対しては、確変か否かを低信頼度で報知する演出内容が記憶されている。例えば、現在の遊技状態が確変状態であれば、「ひょっとして確変中かも」という内容を表示する画像が記憶されており、確変状態でない場合は、「確変中ではないかも」という内容の画像が記憶されている。また、4〜6個の計数値に対しては、確変か否かを中信頼度で報知する演出内容が記憶されている。例えば、現在の遊技状態が確変状態であれば、「確変、期待してね」という内容の画像が、確変状態でない場合は、「確変は期待しないでね」という内容の画像が記憶されている。更に、7個以上の計数値に対しては、現在の遊技状態が確変状態であれば、「確変中」という内容の画像が、確変状態でない場合は、「確変ではないです」という内容の画像が記憶されている。図19に示したS612では、このように計数値に応じて記憶されている報知演出内容を取得する処理を行う。尚、計数値に応じた報知演出内容は、サブ制御基板220に搭載されたROM222に記憶されていることから、サブ制御基板220のROM222は、本発明における「遊技演出内容記憶手段」に対応している。
続いて、サブ制御基板220のCPU221は、取得した報知演出の内容を、先に主制御基板200から受け取ったコマンドに応じて決定しておいた演出内容に組み込む処理を行う(S614)。すなわち、コマンドに応じて決定された演出表示装置27上で行われる一連の演出中の所定タイミングの内容を、計数値に応じて取得した報知演出内容に差し替える処理を行う。
その後、計数フラグをOFFに設定した後(S616)、記憶しておいた計数値を初期化する(S618)。すなわち、サブ制御基板220のRAM223の所定アドレスに割り当てられている計数値に「0」を設定した後、決定した演出内容で、演出表示装置27での図柄変動演出を実施する(S620)。
一方、計数フラグがONに設定されていない場合や(S606:no)、計数フラグはONに設定されているが、報知タイミングではないと判断された場合は(S608:no)、計数値に応じた報知演出内容を取得したり(S612)、あるいは取得した報知演出内容を組み込む処理(S614)を行うことなく、主制御基板200から受け取ったコマンドに応じて決定した演出内容で、図柄変動演出を実施した後(S620)、図19に示した図柄変動演出処理を終了する。尚、サブ制御基板220のROM222に記憶されている報知演出内容を読み出して、演出を行う処理は、サブ制御基板220のCPU221が、図19の図柄変動演出処理を実行することによって行われている。従って、本実施例のサブ制御基板220に搭載されたCPU221は、本発明における「遊技演出実行手段」に対応している。
以上に説明したように、本実施例の遊技機1では、計数フラグがONに設定されている場合には、現在の遊技状態が確変状態か否かを、計数値に応じた態様で遊技者に報知するようになっている。このため、2R確変大当り遊技または小当り遊技中に、いわゆる止め打ちが行われることを回避することが可能となっている。以下では、この点について詳しく説明する。
前述したように、2R確変大当り遊技および小当り遊技では、大入賞口31dが短時間しか開口しないので、遊技球を発射しても大入賞口31dに入球する可能性は低くなっている。また、2R確変大当り遊技および小当り遊技は、大入賞口31dの開口態様が良く似ているだけでなく、演出表示装置27で行われる演出も良く似ているので、遊技者にとっては、何れが行われたのかは容易には区別することが困難となっている。その一方で、2R確変大当り遊技が行われた場合には、その当り遊技の終了後は確変状態になるが、小当り遊技が行われた場合には、小当り発生時の遊技状態がそのまま維持される。従って、遊技中に大入賞口31dが短時間だけ開口する当り遊技が行われると、遊技者は、その当り遊技が、2R確変大当り遊技または小当り遊技の何れであるか、更に言えば、現在の遊技状態が確変状態に切り換わっているのか否かを知りたいと願うようになる。
そこで、本実施例の遊技機1では、2R確変大当り遊技および小当り遊技中に、特別通過ゲート37を通過する遊技球数を計数しておく。そして、2R確変大当り遊技または小当り遊技の終了後は、特別通過ゲート37を通過した遊技球数の計数値に応じて、現在の遊技状態を遊技者に報知する。すなわち、2R確変大当り遊技または小当り遊技の終了後に、確変状態に切り換わっているか否かを知るためには、2R確変大当り遊技および小当り遊技中に、特別通過ゲート37に遊技球を通過させておく必要がある。このため、2R確変大当り遊技および小当り遊技中に止め打ちが行われることを回避することが可能となる。
また、2R確変大当り遊技または小当り遊技中に特別通過ゲート37を通過させた遊技球数が多くなるほど、信頼性の高い報知が行われるので、遊技者は、できるだけ多くの遊技球を特別通過ゲート37に通過させようとする。このため、2R確変大当り遊技および小当り遊技中に止め打ちが行われることを、より一層確実に回避することが可能となる。
加えて、図2に示したように、本実施例の遊技機1では、特別通過ゲート37は中央装置26の右側に設けられている。そして、中央装置26の右側を狙って発射された遊技球は、中央装置26の左側を狙って発射された遊技球よりも、大入賞口31dに入球し難くなっている。このため、2R確変大当り遊技または小当り遊技中に特別通過ゲート37を通過させるために発射した遊技球が、大入賞口31dに入球することはほとんどないので、遊技ホールにとっては貸し出した遊技球を回収することが容易となる。すなわち、2R確変大当り遊技または小当り遊技中に遊技球を発射して特別通過ゲート37を通過させることで、遊技者にとっては確変状態に切り換わったか否かを知ることができるという利益を与え、遊技ホールにとっては貸し出した遊技球を容易に回収することができるという利益を与えることが可能となる。
以上、本発明について各種の実施の形態を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各請求項に記載した範囲を逸脱しない限り、各請求項の記載文言に限定されず、当業者がそれらから容易に置き換えられる範囲にも及び、かつ、当業者が通常有する知識に基づく改良を適宜付加することができる。
例えば、上述した実施例では、特別通過ゲート37を通過した遊技球の計数値に応じて、確変状態か否かを報知する演出を行うものとして説明した。しかし、確変状態か否かを報知する演出に代えて、希にしか発生しないような特別な演出(いわゆるプレミア演出)を行うようにしても良い。この場合、特別通過ゲート37を通過した遊技球の計数値に応じて、特別な演出の出現率が異なるようにする。このようにしても、遊技者は、特別な演出を見ようとして、2R確変大当り遊技または小当り遊技中に特別通過ゲート37を狙って遊技球を発射するので、止め打ちが行われることを回避することが可能となる。
すなわち、特別通過ゲート37を通過した遊技球の計数値に応じて行われる演出が「遊技者にとって有益な遊技情報を含む演出」であれば、上述した実施例のように、2R確変大当り遊技または小当り遊技における止め打ちを効果的に回避することができる。この「遊技者にとって有益な遊技情報」としては、「大当り抽選の結果を事前に示唆する予告情報」や、「大当り抽選の実行条件を示唆する抽選条件情報」や、「種々の演出画像(背景図柄、キャラクタ図柄、予告図柄など)のうち極めて出現率が低い特別演出画像」などが例示できる。なお、上述した実施例の「確変状態か否かを報知する演出」は「抽選条件情報を含む演出」の一種と言え、上述の「希にしか発生しないような特別な演出(いわゆるプレミア演出)」は「特別演出画像を含む演出」の一種と言える。
また、上述した実施例では、当り種別として「通常大当り」、「確変大当り」、「2R確変大当り」および「小当り」の4種が設定されているものとして説明したが、これら4種の当り種別のうち、「小当り」を「2R通常大当り」に置き換えても良い。
つまり、「2R通常大当り遊技」の態様を、「2R確変大当り遊技」と同一の特殊な態様、すなわち大入賞口31dの開口時間が「約0.2秒」で、ラウンド回数が「2回」の特殊な態様とする。また、「2R通常大当り遊技」で行われる演出を「2R確変大当り遊技」の演出と同一とし、「2R通常大当り遊技」が終了した後の遊技状態を通常状態(特別図柄当否判定の確率が通常確率とされる状態)に設定するようにする。そして、「2R確変大当り遊技」または「2R通常大当り遊技」の実行中は、特別通過ゲート37を通過する遊技球数を計数し、「2R確変大当り遊技」または「2R通常大当り遊技」の終了後の所定時期に、特別通過ゲート37を通過した遊技球数の計数値に応じて、現在の遊技状態を遊技者に報知することとする。
このような構成においても、遊技者にとっては、「2R確変大当り遊技」および「2R通常大当り遊技」の何れの大当り遊技が行われたのかを区別するのは困難となり、その大当り遊技終了後の遊技状態(確変か否か)を区別するのも困難となる。よって、「2R確変大当り遊技」または「2R通常大当り遊技」の終了後に、特別通過ゲート37を通過した遊技球数の計数値に応じて、現在の遊技状態を遊技者に報知するようにすることで、「2R確変大当り遊技」または「2R通常大当り遊技」における止め打ちを回避することが可能となる。