上述した本発明の内容を明確にするために、本発明を「セブン機」や「デジパチ」と呼ばれるタイプのパチンコ機(遊技機)に適用した実施例について説明する。
A.パチンコ機の装置構成 :
A−1.装置前面側の構成 :
図1は、本実施例のパチンコ機1の正面図である。図1に示すように、パチンコ機1の前面部は、大きくは、前面枠4、上皿部5、下皿部6、遊技盤10などから構成されている。なお、図1では遊技盤10の詳細な図示を省略している。前面枠4は、図示しない中枠3に取り付けられており、中枠3は図示しない本体枠2に取り付けられている。中枠3はプラスチック材料で成形されており、本体枠2の内側に取り付けられている。本体枠2は、木製の板状部材を組み立てて構成された略長方形の枠体であり、パチンコ機1の外枠を形成している。前面枠4の一端は中枠3に対して回動可能に軸支されており、中枠3の一端は本体枠2に対して回動可能に軸支されている。遊技盤10は中枠3の前面側に着脱可能に取り付けられており、その前面側が前面枠4で覆われている。
前面枠4は、プラスチック材料で成形されており、略中央部には円形状の窓部4aが形成されている。この窓部4aにはガラス板等の透明板が嵌め込まれており、奥側に配置される遊技盤10の盤面が視認可能となっている。また、前面枠4には、遊技効果を高めるための各種ランプ類4b〜4fが設けられている。前面枠4の下方には上皿部5が設けられており、上皿部5の下方には下皿部6が設けられている。また、前面枠4の右側には施錠装置9が設けられており、前面枠4の左側にはプリペイドカード式の球貸装置13(CRユニット)が設けられている。
上皿部5には、皿状の凹部と、凹部を取り巻くように形成された皿外縁部5aとが設けられている。遊技球は、上皿部5に形成された凹部に投入されて、発射装置ユニット12(図6参照)に供給される。また、皿外縁部5aには、遊技球の球貸スイッチ5b、返却スイッチ5c、投入した遊技球を排出するための排出ボタンなど、各種のボタン類が設けられている。上皿部5の左部にはスピーカー5yが設けられている。また、上皿5の前面側には演出ボタンBTが設けられている。この演出ボタンBTに対する遊技者の操作を受け付けることによって、該操作に対応した遊技演出を行うことが可能である。
下皿部6には、パチンコ機1の内部から遊技球を排出するための排出口6aが設けられており、排出された遊技球は下皿部6内に貯留される。下皿部6の右端には発射ハンドル8が設けられている。発射ハンドル8には、遊技者がハンドルに触れていることを検知するタッチスイッチ8aが設けられている。発射ハンドル8の回転軸は、下皿部6の奥側に搭載された図示しない発射装置ユニット12に接続されており、遊技者が発射ハンドル8を回転させると、その動きが発射装置ユニット12に伝達され、ユニットに内蔵された図示しない発射モータが回転して、回転角度に応じた強さで遊技球が発射される。発射ハンドル8の左側面には、遊技者が操作して遊技球の発射を一時的に停止する発射停止スイッチ8bが配置されている。
A−2.遊技盤の構成 :
図2は、遊技盤10の盤面構成を示す説明図である。前述したように、遊技盤10は中枠3の前面側に着脱可能に取り付けられている。図2に示すように、遊技盤10の中央には、外レール14と内レール15とによって囲まれた略円形状の遊技領域11が形成されている。上述した発射装置ユニット12から発射された遊技球は、外レール14と内レール15との間を通って遊技領域11に放出され、遊技領域11の上方から下方に向かって流下する。
遊技領域11の略中央には中央装置26が設けられており、該中央装置26には演出表示装置27が設けられている。演出表示装置27は液晶表示器によって構成されており、その表示画面上では、識別図柄や背景画像などの種々の演出図柄を変動表示させた後に停止表示させることが可能となっている。また、中央装置26における演出表示装置27の右方には、遊技領域11のうち中央装置26(演出表示装置27)の右方(第2領域)を流下する遊技球が小当り遊技中に入球可能となる小当り用大入賞装置50が設けられている。小当り用大入賞装置50の詳細な構成については後述する。
中央装置26の下方には、大当り遊技中に遊技球が入球可能となる大当り用大入賞装置31が設けられている。具体的には、大当り用大入賞装置31は、略長方形状に大きく開放する大当り用大入賞口31dや、大当り用大入賞口31dを開閉させる開閉部材31e、開閉部材31eを動作させる大当り用大入賞口ソレノイド31m(図6参照)などから構成されている。大当り遊技中は、大当り用大入賞装置31が作動を開始して大当り用大入賞口ソレノイド31mにより開閉部材31eが開動作され、大当り用大入賞口31dが閉鎖状態から開放状態となる。この結果、遊技球が高い確率で大当り用大入賞口31dに入球することとなる。また、大当り用大入賞口31dの内部には大当り用大入賞口スイッチ31sが設けられており、大当り用大入賞口31dに入球した遊技球を検知することが可能である。
演出表示装置27の左斜め下方には第1図柄表示装置28が設けられ、演出表示装置27の右斜め下方には第2図柄表示装置32が設けられている。このうち、演出表示装置27の左下方に設けられた第1図柄表示装置28では、普通図柄や第1特別図柄(第1識別情報)を変動表示することが可能となっており、演出表示装置27の右下方に設けられた第2図柄表示装置32では、第2特別図柄(第2識別情報)を変動表示することが可能となっている。第1図柄表示装置28や、第2図柄表示装置32の詳細な構成については後述する。尚、以下では、第1特別図柄を単に「第1特図」とも表記し、第2特別図柄を単に「第2特図」とも表記する。
中央装置26と大当り用大入賞装置31との間であって、遊技領域11のうち中央装置26(演出表示装置27)の左方(第1領域)を流下する遊技球が入球可能な位置には、第1始動口16が設けられている。第1始動口16は、遊技球の入球を許容する遊技球受入口の大きさが不変(一定)で、遊技球が常時入球可能となっている固定式(非可変式)の入球口である。
また、遊技領域11における中央装置26(演出表示装置27)の右下方であって、遊技領域11のうち中央装置26(演出表示装置27)の右方(第2領域)を流下する遊技球が入球可能な位置には、第2始動口17が設けられている。第2始動口17は、左右に一対の翼片部が開閉可能に構成された可変式の入球口となっている。第2始動口17の詳細な構成については後述する。
第1始動口16あるいは第2始動口17に入球した遊技球は、それぞれの内部に設けられた通路を通って遊技盤10の裏面側に導かれる。第1始動口16の内部の通路の途中には第1始動口スイッチ16sが設けられ、第2始動口17の内部の通路の途中には第2始動口スイッチ17sが設けられており(図6参照)、第1始動口16あるいは第2始動口17に入球した遊技球はそれぞれ第1始動口スイッチ16sあるいは第2始動口スイッチ17sによって検知されるようになっている。
また、遊技領域11における中央装置26(演出表示装置27)の右方であって、遊技領域11のうち中央装置26(演出表示装置27)の右方(第2領域)を流下する遊技球が入球可能な位置には、普通図柄作動ゲート37(検知部)が設けられている。普通図柄作動ゲート37の内部には、遊技球の通過を検知するゲートスイッチ37s(図6参照)が設けられている。
さらに、遊技領域11における中央装置26(演出表示装置27)の左方であって、遊技領域11のうち中央装置26(演出表示装置27)の左方(第1領域)を流下する遊技球が入球可能な位置には、固定式(非可変式)の入球口である作動口40(通過部)が設けられている。中央装置26(演出表示装置27)の左方(第1領域)を流下する遊技球が作動口40へ入球する可能性は、中央装置26(演出表示装置27)の左方(第1領域)を流下する遊技球が第1始動口16に入球する可能性より低い。また、中央装置26(演出表示装置27)の右下方であって、遊技領域11のうち中央装置26(演出表示装置27)の右方(第2領域)を流下する遊技球が入球可能な位置には、可変式の入球口である第3始動口41が設けられている。第3始動口41は、いわゆる第2種非電動役物と呼ばれるものであって、作動口40に入球した遊技球から受ける機械的な作用によって遊技球が入球可能な状態となる。第3始動口41の詳細な構成については後述する。
第3始動口41に入球した遊技球は、内部に設けられた通路を通って遊技盤10の裏面側に導かれる。第3始動口41の内部の通路の途中には第3始動口スイッチ41sが設けられており(図6参照)、第3始動口41に入球した遊技球は第3始動口スイッチ41sによって検知されるようになっている。
上述した各遊技装置の間および周辺には、多数の障害釘23が設けられており、遊技球の進路に影響を与えている。また、遊技盤10の下部にはアウト口38が設けられ、そのアウト口38の下方にはバック球防止部材39が設けられている。バック球防止部材39は、遊技領域11に到達せず戻ってきた遊技球が再び発射位置に戻ることを防止する機能を有している。
図3は、本実施例のパチンコ機1に搭載された第1図柄表示装置28および第2図柄表示装置32の構成を示す説明図である。図3(a)は第1図柄表示装置28を表しており、図3(b)は第2図柄表示装置32を表している。図3(a)に示されているように、本実施例の第1図柄表示装置28は、略矩形の領域内に16個の小さな発光ダイオード(LED)が組み込まれて構成されている。これら16個のLEDのうち、5個のLEDが普通図柄表示部29を構成しており、残りの11個のLEDは第1特別図柄表示部30を構成している。更に、普通図柄表示部29は、普通図柄を表示するための1個のLED(普通図柄LED29a)と、普通図柄の保留数を表示するための4個のLED(普図保留表示LED29b)とから構成されている。また、第1特別図柄表示部30は、第1特別図柄を表示するための7個のLED(第1特別図柄LED30a)と、第1特別図柄の保留数を表示するための4個のLED(第1特図保留表示LED30b)とから構成されている。尚、以下では、第1特別図柄(第1特図)の保留を「第1特図保留」とも称し、第1特図の保留数を「第1特図保留数」とも称する。
図3(b)に示した第2図柄表示装置32は、上述した第1図柄表示装置28から普通図柄表示部29を取り除いた構成となっている。すなわち、第2図柄表示装置32には、11個のLEDから構成される第2特別図柄表示部33が設けられており、そのほぼ中央に設けられた7個のLEDは、第2特別図柄を表示するためのLED(第2特別図柄LED33a)であり、残りの1個のLEDは、第2特別図柄の保留数を表示するためのLED(第2特図保留表示LED33b)となっている。尚、詳しくは後述するが、本実施例のパチンコ機1では、第2特別図柄の保留数は1個までとなっているので、それに対応して、第2特別図柄の保留数を表示するためのLEDも1個となっている。以下では、第2特別図柄(第2特図)の保留を「第2特図保留」とも称し、第2特図の保留数を「第2特図保留数」とも称する。また、特に区別しない場合は「第1特図保留」と「第2特図保留」とを、まとめて単に「特図保留」とも称する。
図4は、本実施例のパチンコ機1に搭載された演出表示装置27の画面構成を示す説明図である。前述したように、演出表示装置27は液晶表示器を用いて構成されており、その表示画面上には、3つの識別図柄27a,27b,27cと、その背景の背景画像27dが表示されている。3つの識別図柄27a,27b,27cは、第1特別図柄表示部30および第2特別図柄表示部33における特別図柄の変動表示の開始タイミングと同期して変動表示を開始し、その後、特別図柄の変動時間が経過するまで種々の態様で変動表示を行う。そして、特別図柄の変動表示の終了タイミング(特別図柄の停止表示)と同期して3つの識別図柄27a,27b,27cの変動表示が終了する。
図5(a)は、遊技領域11に設けられた第2始動口17の構成を示す説明図である。第2始動口17は、一対の翼片17wを備えた可変式の入球口(可変始動口)として構成されている。一対の翼片17wは、ほぼ直立した閉鎖状態(図5(a)に破線で示す状態)と、外側に向かって回転した開放状態(図5(a)に実線で示す状態)との2つの状態に変化可能である。図5(a)に示すように、閉鎖状態は、障害釘23および翼片17wに遮られて遊技球は第2始動口17に入球することができない状態であり、開放状態は、第2始動口17に遊技球が入球し得る状態である。
図5(b)は、遊技領域11に設けられた第3始動口41の構成を示す説明図である。第3始動口41は、一対の翼片41wを備えた可変式の入球口(可変始動口)として構成されている。一対の翼片41wは、ほぼ直立した閉鎖状態(図5(b)に破線で示す状態)と、外側に向かって回転した開放状態(図5(b)に実線で示す状態)との2つの状態に変化可能である。図5(b)に示すように、閉鎖状態は、翼片41wに遮られて遊技球は第3始動口41に入球することができない状態であり、開放状態は、第3始動口41に遊技球が入球し得る状態である。
第3始動口41は、上述したように第2種非電動役物と呼ばれるものであって、第3始動口41が閉鎖状態である場合に、1個の遊技球が作動口40に入球すると、該遊技球から受ける機械的な作用によって開放状態となる。従って、遊技者は、第3始動口41に遊技球を入球させるためには、先ず、作動口40に遊技球を入球させて第3始動口41を開放状態にする必要がある。そして、開放状態となった第3始動口41に1個(所定数)の遊技球が入球すると、該遊技球から受ける機械的な作用によって第3始動口41は閉鎖状態となる。換言すると、第3始動口41は開放状態となると、第3始動口41に遊技球が入球するまでは開放状態を維持する(閉鎖状態とならない)。従って、遊技者は、作動口40に遊技球を入球させることで第3始動口41を開放状態とした後は、自己の所望するタイミングで第3始動口41への遊技球の入球を狙うことができる。尚、遊技球から受ける機械的な作用によって第3始動口41を開放状態および閉鎖状態とする上述の構成としては、種々のリンク機構を採用することができ、例えば、特開2010−125079号公報に開示されているような技術を採用することが可能である。
図5(c)は、演出表示装置27の右方に設けられた小当り用大入賞装置50の構成を示す説明図である。小当り用大入賞装置50は、右方に向かって開口された小当り用大入賞口51が形成されており、小当り用大入賞口51を開閉させる開閉部材52を有している。開閉部材52は、ほぼ直立した閉鎖状態(図5(c)に破線で示す状態)と、外側に向かって回転した開放状態(図5(c)に実線で示す状態)との2つの状態に変化可能である。図5(c)に示すように、閉鎖状態は、開閉部材52に遮られて遊技球が小当り用大入賞口51に入球し得ない状態であり、開放状態は、開閉部材52に案内されて小当り用大入賞口51に遊技球が入球し得る状態である。
また、小当り用大入賞装置50の内部には、小当り用大入賞口51に入球した遊技球を特定領域53(いわゆる「V」)に案内する球通路54が形成されている。また、この球通路54の中途部の下部には特定領域53とは異なる非特定領域55に繋がる開口部56が形成されており、この開口部56には、遊技盤10の奥側および手前側に移動可能な振分部材57が設けられている。振分部材57が奥側に移動した「非特定領域振分状態」では、開口部56が開放されることで、小当り用大入賞口51に入球した遊技球は開口部56から落下して非特定領域55に振り分けられる。また、振分部材57が手前側に移動した「特定領域振分状態」では、開口部56が閉鎖されることで、小当り用大入賞口51に入球した遊技球は開口部56から落下することなく特定領域53に振り分けられる。また、小当り用大入賞装置50の手前側は、透明板等の光透過性の材料で形成されており、遊技者は、小当り用大入賞口51に入球した遊技球が特定領域53または非特定領域55に振り返られる様子を視認可能となっている。
尚、小当り用大入賞口51には小当り用大入賞口スイッチ51s(図6参照)が設けられており、小当り用大入賞口51に入球した遊技球は小当り用大入賞口スイッチ51sによって検知されるようになっている。また、特定領域53には特定領域スイッチ53s(図6参照)が設けられており、特定領域53を通過する遊技球は特定領域スイッチ53sによって検知されるようになっている。また、非特定領域55には非特定領域スイッチ55s(図6参照)が設けられており、非特定領域55を通過する遊技球は非特定領域スイッチ55sによって検知されるようになっている。
A−3.制御回路の構成 :
次に、本実施例のパチンコ機1における制御回路の構成について説明する。図6は、本実施例のパチンコ機1における制御回路の構成を示したブロック図である。図示されているようにパチンコ機1の制御回路は、多くの制御基板や、各種基板、中継端子板などから構成されているが、その機能に着目すると、遊技の基本的な進行や賞球に関わる当否についての制御を司る主制御基板200や、演出図柄やランプ、効果音を用いた遊技演出の制御を司るサブ制御基板220、サブ制御基板220の制御の下で画像の表示や音声の出力を行う画像音声制御基板230、サブ制御基板220の制御の下で各種LED,ランプ4b〜4fを駆動する装飾駆動基板226、貸球や賞球を払い出す動作の制御を司る払出制御基板240、遊技球の発射に関する制御を司る発射制御基板260などから構成されている。これら制御基板は、各種論理演算および算出演算を実行するCPUや、CPUで実行される各種プログラムやデータが記憶されているROM、プログラムの実行に際してCPUが一時的なデータを記憶するRAMなど、種々の周辺LSIがバスで相互に接続されて構成されている。
主制御基板200は、第1始動口スイッチ16sや、第2始動口スイッチ17s、第3始動口スイッチ41s、大当り用大入賞口スイッチ31s、小当り用大入賞口スイッチ51s、特定領域スイッチ53s、非特定領域スイッチ55s、ゲートスイッチ37sなどから遊技球の検知信号の入力があると、その検知信号の入力のあったスイッチに応じて定められる各種動作を指令するコマンドを、サブ制御基板220や、払出制御基板240、発射制御基板260などに向かって送信する。また、主制御基板200には、第2始動口17に設けられた一対の翼片部17wを開閉させるための始動口ソレノイド17mや、大当り用大入賞口31dを開閉させるための大当り用大入賞口ソレノイド31m、小当り用大入賞口51を開閉させるための小当り用大入賞口ソレノイド51m、振分部材57を手前側および奥側に移動させるための振分ソレノイド57m、更には、第1図柄表示装置28、第2図柄表示装置32などが中継端子板(図示略)を介して接続されており、これら各種ソレノイド17m,31m,51m,57m、第1図柄表示装置28、第2図柄表示装置32に向かって駆動信号を送信することにより、これらの制御も行う。
サブ制御基板220には、画像音声制御基板230や、装飾駆動基板226、演出ボタン基板228が接続されている。サブ制御基板220は、主制御基板200からの各種コマンドを受信すると、コマンドの内容を解析して、その結果に応じた遊技演出を行う。すなわち、画像音声制御基板230に対して表示内容および音声内容を指定するコマンドを送信したり、装飾駆動基板226に各種LED,ランプ4b〜4fの駆動信号を送信したりすることにより、遊技演出を行う。また、サブ制御基板220は、演出ボタン基板228を介して演出ボタンBTに対する遊技者の操作を検知すると、該操作に対応する遊技演出を行う。すなわち、演出ボタンBTが遊技者によって押圧操作されると、演出ボタン基板228を介してサブ制御基板220に入力される演出ボタン信号がONとなり、これをサブ制御基板220のCPU221が検知する。
画像音声制御基板230は、CPU231、ROM232、RAM233に加えて、VDP234、画像ROM235、音声ROM236を備えている。画像音声制御基板230のCPU231は、サブ制御基板220からコマンドを受信すると、そのコマンドに対応する画像の表示をVDP234に指示する。VDP234は、指示された画像の表示に利用するデータ(例えば、演出図柄やキャラクター画像を表示するためのスプライトデータや動画データなど)を画像ROM235から読み出して画像を生成して、演出表示装置27の表示画面に出力する。また、CPU231は、サブ制御基板220からコマンドを受信すると、そのコマンドに対応する音声データを音声ROM236から読み出して、該音声データに基づく音声を、アンプ基板224を介してスピーカー5yから出力する。
払出制御基板240は、いわゆる貸球や賞球の払い出しに関する各種の制御を司っている。例えば、遊技者が前述した上皿部5に設けられた球貸スイッチ5bや返却スイッチ5cを操作すると、この信号は、球貸表示基板242から中継端子板(図示略)を介して、球貸装置13に伝達される。球貸装置13は、払出制御基板240とデータを通信しながら、貸球の払い出しを行う。また、主制御基板200が賞球の払出コマンドを送信すると、このコマンドを払出制御基板240が受信して、払出モータ109mに駆動信号を出力することによって賞球の払い出しが行われる。
B.遊技の概要 :
本実施例のパチンコ機1では、次のようにして遊技が行われる。まず、遊技者が上皿部5の凹部に遊技球を投入して発射ハンドル8を回転させると、上皿部5に投入された遊技球が、1球ずつ発射装置ユニット12に供給されて、図2を用いて前述した遊技領域11に発射される。遊技球を打ち出す強さは、発射ハンドル8の回転角度によって調整することが可能となっており、遊技者は発射ハンドル8の回転角度を変化させることによって、遊技球の狙いを付けることができる。詳しくは後述するが、本実施例のパチンコ機1では、遊技の進行状況によって、演出表示装置27の左方の遊技領域11を遊技球が流下するように遊技者に遊技球を打ち出させる場合と、演出表示装置27の右方を遊技球が流下するように遊技者に遊技球を打ち出させる場合とがある。以下では、演出表示装置27の左方の遊技領域11を遊技球が流下するように遊技球を打ち出すことを「左打ち」とも表現し、演出表示装置27の右方の遊技領域11を遊技球が流下するように遊技球を打ち出すことを「右打ち」とも表現する。
図2を用いて前述したように、第1始動口16および作動口40は、演出表示装置27の左方の遊技領域11を流下する遊技球(左打ちされた遊技球)が入球可能な位置に設けられている。そして、左打ちされた遊技球が第1始動口16に入球すると、第1特図を後述する大当り図柄、外れ図柄の何れで停止表示させるか(後述の図柄変動遊技の結果が大当り、外れの何れであるか)を判定する大当り判定(当否判定)が行われ、第1図柄表示装置28の第1図柄表示部30で第1特図の変動表示が開始される。また、左打ちされた遊技球が作動口40に入球すると、該遊技球から受ける機械的な作用により第3始動口41が開放状態となる。
一方、図2を用いて前述したように、普通図柄作動ゲート37、第2始動口17、第3始動口41は、演出表示装置27の右方の遊技領域11を流下する遊技球(右打ちされた遊技球)が入球可能な位置に設けられており、演出表示装置27の左方の遊技領域11を流下する遊技球(左打ちされた遊技球)は第3始動口41に入球し得ないようになっている。そして、右打ちされた遊技球が普通図柄作動ゲート37を通過すると、演出表示装置27の左下方に設けられた第1図柄表示装置28の普通図柄表示部29において普通図柄の変動表示が開始される。図3を用いて前述したように、普通図柄表示部29には、普通図柄LED29aおよび普図保留表示LED29bが搭載されており、このうち、普通図柄LED29aを用いて普通図柄の変動表示を行う(点灯、消灯を繰り返す)。そして、普通図柄が当り図柄で停止表示することで開放状態となった第2始動口17に、右打ちされた遊技球が入球すると、第2特図を大当り図柄、小当り図柄、外れ図柄の何れで停止表示させるか(後述の図柄変動遊技の結果が大当り、小当り、外れの何れであるか)を判定する大当り判定が行われ、第2図柄表示装置32の第2特別図柄表示部33で第2特図の変動表示が開始される。さらに、本実施例のパチンコ機1では、右打ちされた遊技球が開放状態の第3始動口41に入球した場合も、第2始動口17に遊技球が入球した場合と同様の大当り判定および第2特図の変動表示が行われる。
尚、詳しくは後述するが、第2特図は小当り図柄で停止表示されることがあるが、第1特図は小当り図柄で停止表示されることはない(第1特図に係る大当り判定の結果が小当りとなることはない)。
図3を用いて前述したように、第1特別図柄表示部30および第2特別図柄表示部33は、何れも同様な構成をしているので、第1特図も第2特図も同様の態様で変動表示を行う。すなわち、第1特別図柄表示部30および第2特別図柄表示部33では、それぞれ7個のLED(第1特別図柄LED30aおよび第2特別図柄LED33a)を所定の変動時間にわたって点滅させることによって特別図柄の変動表示を行う。そして、その変動時間が経過すると、所定の組合せのLEDを点灯させることで、大当り判定結果に基づき大当り図柄、外れ図柄、小当り図柄の何れかの図柄を停止表示する。続いて、停止表示された図柄を確定させるべく、特別図柄が停止表示された状態を所定の時間が経過するまで維持する表示(以下「確定表示」ともいう)を行う。
第1特図または第2特図を変動表示させた結果、大当り図柄(第1特定態様)が停止表示されると、大当り用大入賞口31dが開放状態となる大当り遊技が開始される。大当り遊技中は、大当り用大入賞口31dに遊技球が入球することを契機として遊技球が払い出される。これに対して、第2特図を変動表示させた結果、小当り図柄(第2特定態様)が停止表示されると、小当り用大入賞口51が開放状態となる小当り遊技が開始される(第1特図には小当り図柄は停止表示されない)。そして、小当り遊技中に小当り用大入賞口51に遊技球が入球し、該遊技球が特定領域53を通過すると、大当り遊技が開始される。
以下では、第1特図または第2特図が大当り図柄で停止表示されることで開始される大当り遊技を「直当りの大当り遊技」とも表現し、第2特図が小当り図柄で停止表示されることで小当り遊技が開始され、該小当り遊技中に小当り用大入賞口51に入球した遊技球が特定領域53を通過することで開始される大当り遊技を「小当り経由の大当り遊技」とも表現する。
また、特別図柄を変動表示させてから大当り図柄、外れ図柄、小当り図柄が確定表示されるまでの遊技、すなわち1回の変動表示の結果が得られるまでの遊技を「図柄変動遊技」とも表現する。
第1始動口16への遊技球の入球は、該入球を契機とする第1特図の変動表示が開始されるまで、第1特別図柄の保留(第1特図保留)としてRAM203の記憶領域(特図保留記憶領域)に記憶される。第1特図保留は最大4個まで記憶可能となっており、第1特図保留の個数(第1特図保留数)については第1特図保留表示LED30bに表示される。これに対して、第2始動口17および第3始動口41への遊技球の入球は、該入球を契機とする第2特図の変動表示が開始されるまで、第2特別図柄の保留(第2特図保留)としてRAM203の記憶領域(特図保留記憶領域)に記憶される。第2特図保留は1個まで記憶可能となっており、第2特図保留の個数(第2特図保留数、すなわち、1個までしか記憶されないので第2特図保留が記憶されているか否か)については第2特図保留表示LED33bに表示される。
第1特別図柄あるいは第2特別図柄の図柄変動遊技に対応して、演出表示装置27では演出図柄(識別図柄27a,27b,27cなど)を用いた各種の演出(以下「図柄変動演出」ともいう)が行われる。図7は、演出表示装置27で行われる図柄変動演出の一態様を例示した説明図である。演出表示装置27を構成する液晶表示器の表示画面には、左識別図柄27aが表示される左図柄表示領域と、中識別図柄27bが表示される中図柄表示領域と、右識別図柄27cが表示される右図柄表示領域が形成され、これらの表示領域を用いて3つの識別図柄27a,27b,27cが表示される。第1図柄表示装置28あるいは第2図柄表示装置32の何れかで特別図柄の変動表示が開始されると、演出表示装置27においても3つの識別図柄27a,27b,27cが一斉に変動表示を開始する。本実施例のパチンコ機1では、識別図柄として「1」〜「9」までの9つの数字を意匠化した図柄が用意されている。
図7(a)には、3つの識別図柄27a,27b,27cが一斉に変動表示している様子が概念的に示されている。変動表示が開始された後、所定時間が経過すると、初めに左識別図柄27aが「1」〜「9」のいずれかの図柄で停止表示され、次いで、右識別図柄27cが停止表示され、最後に中識別図柄27bが停止表示される。これら演出表示装置27で停止表示される3つの識別図柄27a,27b,27cの組合せは、前述した第1図柄表示装置28あるいは第2図柄表示装置32で停止表示される特別図柄(第1特図あるいは第2特図)の停止表示態様と連動するように構成されている。例えば、第1特図または第2特図が「大当り図柄」で停止表示される場合は、演出表示装置27の3つの識別図柄27a,27b,27cが同じ図柄となる図柄組合せ(ゾロ目)で停止表示される。また、第1特図または第2特図が「外れ図柄」で停止表示される場合は、3つの識別図柄27a,27b,27cは同じ図柄で揃わない図柄組合せ(バラケ目)で停止表示される。また、第2特図が「小当り図柄」で停止表示される場合は、「特殊な識別図柄」が表示される。例えば、「1」〜「9」とは異なるキャラクターを示す識別図柄が表示されたり、特別図柄が「外れ図柄」で停止表示される場合には停止表示されない特殊なバラケ目(「1」−「2」−「3」の図柄組合せ等)が停止表示されたりする。尚、停止表示された識別図柄27a、27b、27cは、特別図柄の確定表示時間が経過するまで停止表示された状態となる(確定表示される)。
このように、第1図柄表示装置28あるいは第2図柄表示装置32で表示される特別図柄と、演出表示装置27で表示される3つの識別図柄27a,27b,27cとは、表示内容が互いに対応しており、変動表示中の第1特別図柄あるいは第2特別図柄が停止表示する際には、3つの識別図柄27a,27b,27cも停止表示するようになっている。しかも、図2に示すように、演出表示装置27は、第1図柄表示装置28や第2図柄表示装置32よりも目に付き易い位置に設けられており、表示画面も大きく、表示内容も分かり易いので、遊技者は演出表示装置27の画面を見ながら図柄変動遊技を行わせることが通常である。従って、図7(b)に示すように、演出表示装置27の表示画面上で初めに停止表示される左識別図柄27aと、続いて停止表示される右識別図柄27cとが同じ図柄であった場合には、最後に停止表示される中識別図柄27bも同じ図柄で停止して、「大当り遊技が開始されるのではないか」と、遊技者は識別図柄の変動表示(図柄変動演出)を注視することになる。このように、2つの識別図柄を同じ図柄(ゾロ目となり得る態様)で停止させて最後の識別図柄を変動表示させた状態で行われる演出は「リーチ演出」と呼ばれており、このリーチ演出を発生させることで遊技興趣を高めることが可能である。
C.遊技制御処理 :
図8は、主制御基板200に搭載されたCPU201が、遊技の進行を制御するために行う遊技制御処理の大まかな流れを示したフローチャートである。
図8に示すように、遊技制御処理では、「賞球関連処理」「普通図柄遊技処理」「第2始動口閉鎖処理」「特図保留関連処理」「特別図柄遊技処理」「小当り遊技処理」「大当り遊技処理」などの各処理が繰り返し実行されている。主制御基板200のCPU201は、所定周期毎(例えば4msec毎)に発生するタイマ割り込みに基づき遊技制御処理を行う。そして、遊技制御処理中に、サブ制御基板220を初めとする各種制御基板に向けて、主制御基板200から各種コマンドを送信する。こうすることにより、遊技が進行するとともに、サブ制御基板220では、遊技の進行に合わせた演出の制御が行われることになる。以下、フローチャートに従って、主制御基板200に搭載されたCPU201が行う遊技制御処理について説明する。
主制御基板200のCPU201は、遊技制御処理を開始すると、遊技球を賞球として払い出すための処理(賞球関連処理)を行う(S50)。この処理では、主制御基板200に接続された各種スイッチのうち、遊技球の入賞に関わるスイッチ(第1始動口スイッチ16sや、第2始動口スイッチ17s、第3始動口スイッチ41s、大当り用大入賞口スイッチ31s、小当り用大入賞口スイッチ51s等)について、遊技球を検知したか否かを判断する。そして、遊技球の入賞に関わるスイッチが遊技球を検知した場合には、払い出すべき賞球数を算出した後、払出制御基板240に向かって賞球数指定コマンドを送信する。払出制御基板240は、主制御基板200から送信された賞球数指定コマンドを受信するとコマンドの内容を解釈し、その結果に従って、払出装置(図示せず)に搭載された払出モータ109mに駆動信号を送信することにより、実際に賞球を払い出す処理を行う。
主制御基板200のCPU201は、賞球関連処理(S50)に続いて、普通図柄遊技処理を行うか否かを判断する(S100)。この判断は、第2始動口17が開放状態であるか否かを判断することによって行う。第2始動口17が開放状態でなければ普通図柄遊技処理を行うものと判断し(S100:yes)、第2始動口17が開放状態であれば普通図柄遊技処理は行わないものと判断する(S100:no)。そして、普通図柄遊技処理を行うと判断した場合は(S100:yes)、以下に説明する普通図柄遊技処理を行う(S150)。これに対して、普通図柄遊技処理を行わないと判断した場合は(S100:no)、普通図柄遊技処理(S150)は省略する。
普通図柄遊技処理(S150)では、主に次のような処理を行う。先ず、普通図柄の保留(普図保留)が存在するか否か(「0」であるか否か)を判定し、普図保留が存在する場合には普通図柄の当り判定を行う。ここで、普図保留は、遊技球が普通図柄作動ゲート37を通過することにより取得される普図当り判定乱数の値を示す情報を記憶するものであり、本実施例では、その記憶数(保留数)の上限値を「4」としている。そして、普通図柄の当り判定の結果に基づき、普通図柄を当り図柄で停止表示させるか、外れ図柄で停止表示させるかを決定する。続いて、普通図柄の変動時間を設定した後、普通図柄の変動表示を開始し、その後、変動時間が経過すると、決定しておいた図柄で普通図柄を停止表示させる。このとき、普通図柄の当り図柄が停止表示されると、第2始動口ソレノイド17mを作動させて、第2始動口17に設けられた翼片17wを両側に回動させることにより、第2始動口17を開放状態とする(図5(a)参照)。
以上のようにして普通図柄遊技処理を終了したら、第2始動口17が開放状態であるか否かを判断する(S190)。そして、開放状態である場合は(S190:yes)、第2始動口17を開放状態から閉鎖状態にするための処理(第2始動口閉鎖処理)を行う(S200)。一方、第2始動口17が開放状態でない場合は(S190:no)、第2始動口閉鎖処理を行う必要はないので省略する。
第2始動口閉鎖処理(S200)では、次の何れかの条件が満足された場合、すなわち、第2始動口17の開放時間が経過したか、若しくは、第2始動口17に規定数の遊技球が入球したかの何れかの条件が成立したか否かを判断し、何れかの条件(始動口開放終了条件)が成立した場合に、開放状態の第2始動口17を閉鎖状態にする処理を行う。一方、第2始動口17の開放時間が経過しておらず、第2始動口17への入球数も規定数に達していない場合(始動口開放終了条件が成立していない場合)は、第2始動口17を開放状態としたまま、第2始動口閉鎖処理(S200)を終了する。
ここで、本実施例のパチンコ機1の遊技状態は、第2始動口17が開放状態になる際の開放時間の設定状況に基づき決定される。すなわち、第2始動口17の開放時間の設定状況に基づく遊技状態として「電サポ状態」および「非電サポ状態」のうち何れかに設定される。「電サポ状態」は「非電サポ状態」に比べ、前述の普通図柄の当り判定の結果が「当り」となる確率(普図当り確率)が高く、普通図柄の変動時間(普図変動時間)が短く、第2始動口17の開放時間が長く設定される。従って、「電サポ状態」は、「非電サポ状態」と比較して、第2始動口17が高頻度で開放状態になるとともに該開放状態にある期間が長くなるので、第2始動口17への遊技球の入球可能性が高くなる。このような構成を実現するために、本実施例のパチンコ1では、遊技状態が「電サポ状態」に設定されている場合は、「変動短縮フラグ」および「開放延長フラグ」がONに設定され、遊技状態が「非電サポ状態」に設定されている場合はこれらのフラグがOFFに設定される。そして、主制御基板200のCPU201は、「変動短縮フラグ」がONに設定されていることに基づき、普図当り確率を高確率(例えば「99/100」)に、普図変動時間を短時間(例えば「1秒」)にそれぞれ設定し、「開放延長フラグ」がONに設定されていることに基づき、第2始動口17の開放時間を長時間(例えば「1.5秒×3回開放=4.5秒」)に設定する。一方、主制御基板200のCPU201は、変動短縮フラグがOFFに設定されていることに基づき、普図当り確率を低確率(例えば「2/100」)に、普図変動時間を長時間(例えば「20秒」)にそれぞれ設定し、開放延長フラグがOFFに設定されていることに基づき、第2始動口17の開放時間を短時間(例えば「0.1秒×3回開放=0.3秒」)に設定する。
こうして、第2始動口17の閉鎖に係る処理を行ったら(S190〜S200)、特図保留を記憶するための処理(特図保留関連処理)を行う(S250)。
C−1.特図保留関連処理 :
図9は、特図保留関連処理を示すフローチャートである。特図保留関連処理(S250)では、先ず初めに、第1始動口16に遊技球が入球したか否かを判断する(S252)。その結果、第1始動口16に遊技球が入球した場合は(S252:yes)、第1特別図柄の保留数(第1特図保留数)が上限値(本実施例では「4」)に達しているか否かを判断する(S254)。そして、第1特図保留数が上限値に達していなければ(S254:no)、判定乱数を取得する(S256)。ここで、判定乱数としては、大当り判定を行うために用いられる大当り判定乱数や、第1図柄表示装置28(あるいは第2図柄表示装置32)で停止表示する図柄を決定するために用いられる図柄決定乱数、図柄が停止表示するまでの変動パターンを決定するために用いられる変動パターン決定乱数などの乱数を取得する。続いて、取得した判定乱数の値を示す情報を、主制御基板200に搭載されたRAM203(特図保留記憶領域)に第1特図保留として記憶する(S258)。こうして第1特図保留を記憶したら(S258)、第1特図保留数に「1」を加算する(S260)。そして、第1保留発生コマンドを主制御基板200からサブ制御基板220に向かって送信する(S262)。第1保留発生コマンドには、第1特図保留が記憶された(発生した)ことを示す情報、今回記憶した第1特図保留を含む現在の第1特図保留数を示す情報が含まれている。サブ制御基板220のCPU221は、受信した第1保留発生コマンドに基づき、第1特図保留数を判断する。尚、第1保留発生コマンドに含まれる各情報を、それぞれ別のコマンドで送信するようにしてもよい。また、第1始動口16に遊技球が入球していない場合や(S252:no)、第1特図保留数が上限値(ここでは「4」)に達していた場合は(S254:yes)、S256〜S262の処理は省略する。
以上のようにして、第1特図保留に関する処理を終了したら、続いて第2特図保留に関する処理を開始する。第2特図保留に関する処理では、先ず初めに、第2始動口17および第3始動口41のうち何れかに遊技球が入球したか否かを判断する(S272)。つまり、本実施例のパチンコ機1では、第2始動口17に遊技球が入球した場合だけでなく、第3始動口41に遊技球が入球した場合にも、後述する第2特図保留を取得するための処理を行う。そこで、S272の判断処理では、第2始動口17に遊技球が入球したか否かの判断の他に、第3始動口41に遊技球が入球したか否かの判断も行う。
S272の判断処理の結果、第2始動口17および第3始動口41のうち何れかに遊技球が入球したと判断された場合は(S272:yes)、第2特図保留数が上限値に達しているか否かを判断する(S274)。ここで、本実施例のパチンコ機1では、第1特図保留は最大4個まで記憶するものの、第2特図保留は1個までしか記憶しない。すなわち、第2特図保留数の上限値は「1」であるので、S274の判断処理では、第2特図保留数が1個であるか否か(第2特図保留が記憶されているか否か)が判断される。その結果、第2特図保留が記憶されていなければ(S274:no)、判定乱数(大当り判定乱数、図柄決定乱数、変動パターン決定乱数など)を取得して(S276)、取得した判定乱数の値を示す情報を、主制御基板200に搭載されたRAM203(特図保留記憶領域)に第2特図保留として記憶する(S278)。そして、第2特図保留が記憶されていることを示すべく、第2特図保留数を「1」とする(S280)。こうして、第2特図保留数を「1」としたら、第2保留発生コマンドを主制御基板200からサブ制御基板220に向かって送信する(S282)。サブ制御基板220のCPU221は、受信した第2保留発生コマンドに基づき、第2特図保留が記憶されたことを認識する。尚、第2始動口17および第3始動口41の何れにも遊技球が入球していない場合や(S272:no)、第2特図保留が既に記憶されていた場合は(S274:yes)、S276〜S282の処理は省略する。
以上のようにして、第1特図保留および第2特図保留に関する処理を終了したら、図9に示した特図保留関連処理を終了して、図8の遊技制御処理に復帰する。そして、特図保留関連処理から復帰すると、遊技制御処理では、以下に説明する特別図柄遊技処理(S300)を開始する。
C−2.特別図柄遊技処理 :
図10および図11は、本実施例の特別図柄遊技処理を示したフローチャートである。主制御基板200のCPU201は、特別図柄遊技処理を開始すると先ず、大当りフラグがONに設定されているか否かを判断する(S302)。大当りフラグとは、大当り遊技が実行されている(大当り遊技中である)ことを示すフラグであり、主制御基板200に搭載されたRAM203の所定のアドレスが大当りフラグの記憶領域として確保されている。主制御基板200のCPU201は、大当りフラグの設定状態に応じて、大当り遊技中であるか否かを判断する。
その結果、大当りフラグがONに設定されている場合、すなわち、大当り遊技中である場合は(S302:yes)、そのまま特別図柄遊技処理を終了して、図8の遊技制御処理に復帰する。これに対して、大当り遊技中ではなかった場合は(S302:no)、続いて、小当りフラグがONに設定されているか否かを判断する(S304)。小当りフラグとは、小当り遊技が実行されている(小当り遊技中である)ことを示すフラグであり、主制御基板200に搭載されたRAM203の所定のアドレスが小当りフラグの記憶領域として確保されている。主制御基板200のCPU201は、小当りフラグの設定状態に応じて、小当り遊技中であるか否かを判断する。
その結果、小当りフラグがONに設定されている場合、すなわち、小当り遊技中である場合も(S304:yes)、そのまま特別図柄遊技処理を終了して、図8の遊技制御処理に復帰する。
一方、大当り遊技中および小当り遊技中の何れでもない場合は(S302:no、S304:no)、第1特図および第2特図の何れかが変動表示中であるか否かを判断する(S306)。第1特図および第2特図の何れも変動表示中でない場合は(S306:no)、第1特図あるいは第2特図が確定表示中であるか否かが判断される(S308)。前述したように、第1特図および第2特図の何れであっても、変動表示が終了してから所定の時間が経過するまでは、変動表示の終了に伴い停止表示された特別図柄を確定させるべく、特別図柄が停止表示された状態を維持する表示(確定表示)を行う。S308の処理では、この「確定表示」の実行中であるか否かが判断される。その結果、第1特図および第2特図が変動表示中および確定表示中の何れでもない場合は(S306:no、S308:no)、次回の特別図柄の変動表示(図柄変動遊技)を開始するための処理(特図変動開始処理)を開始する(S310)。
図12および図13は特図変動開始処理を示すフローチャートである。主制御基板200のCPU201は、特図変動開始処理を開始すると先ず、第2特図保留数が「0」であるか否かを判断する(S400)。上述したように、本実施例のパチンコ機1では、第2特図保留は1個までしか記憶しないので、S400の判断処理では、1個の第2特図保留が記憶されているか否かが判断される。その結果、第2特図保留が記憶されている場合は(S400:no)、該記憶されている第2特図保留、すなわち、該第2特図保留として記憶されている各種の判定乱数を読み出す(S402)。そして、第2特図保留に基づく大当り判定を行う際に参照される「第2特図大当り判定テーブル」を選択する(S404)。
これに対して、S400の判断処理で、第2特図保留数が記憶されていないと判断された場合は(S400:yes)、第1特図保留数が「0」であるか否かを判断する(S406)。上述したように、本実施例のパチンコ機1では、第1特図保留は最大4個まで記憶されるので、S406の判断処理では、1〜4個の第1特図保留が記憶されているか否かが判断される。その結果、1〜4個の第1特図保留が記憶されている場合は(S406:no)、記憶されている第1特図保留の中から最も古くに第1特図保留として記憶されていた各種の判定乱数を読み出す(S408)。そして、第1特図保留に基づく大当り判定を行う際に参照される「第1特図大当り判定テーブル」を選択する(S410)。
尚、上述したように特図変動開始処理では、先ず初めに第2特図保留が記憶されているか否かを判断し(S400)、第2特図保留が記憶されてない場合にだけ(S400:yes)、第1特図保留が記憶されているか否かを判断している(S406)。従って、第1特図保留と第2特図保留とが両方とも記憶されている場合には、常に第2特図保留が第1特図保留に優先して読み出されることとなり(第2特図保留を優先消化することとなり)、第1特図保留が読み出されるのは、第2特図保留が記憶されていない場合に限られる。
以上のように、「第2特図大当り判定テーブル」または「第1特図大当り判定テーブル」を選択したら(S404、S410)、選択した大当り判定テーブルを参照して大当り判定を行う(S412)。
図14は、「第1特図大当り判定テーブル」および「第2特図大当り判定テーブル」を概念的に示す説明図である。これらのうち、「第1特図大当り判定テーブル」は第1特図保留に基づく大当り判定を行うための大当り判定テーブルであり、「第2特図大当り判定テーブル」は第2特図保留に基づく大当り判定を行うための大当り判定テーブルである。第1特図保留または第2特図保留に基づく大当り判定では(図12のS412の処理では)、これらの大当り判定テーブルを参照して、第1特図保留または第2特図保留として取得した大当り判定乱数に対応する大当り判定結果を決定する。尚、大当り判定テーブルは、主制御基板200のROM202の所定アドレスに記憶されている。
「第1特図大当り判定テーブル」では、図14(a)に示すように、65536個の乱数のうち328個の乱数に「大当り」が設定されている。従って、第1特図保留に基づく大当り判定では、約200分の1の確率で「大当り」と判定される。また、残りの65208個の乱数には「外れ」が設定されている。従って、第1特図保留に基づく大当り判定では、「大当り」と判断されない場合は「外れ」と判定される。尚、第1特図保留に基づく大当り判定では、「小当り」と判定されることはない。
また、「第2特図大当り判定テーブル」でも、図14(b)に示すように、65536個の乱数のうち328個の乱数に「大当り」が設定されている。従って、第2特図保留に基づく大当り判定でも、約200分の1の確率で「大当り」と判定される。これに対して、残りの65208個の乱数には「小当り」が設定されている。従って、第2特図保留に基づく大当り判定では、約200分の199の確率(高い頻度)で「小当り」と判定される。尚、第2特図保留に基づく大当り判定では、「外れ」と判定されることはない。
以上のように、第1特図保留および第2特図保留の何れに基づく大当り判定であっても約200分の1の確率で「大当り」と判定されるものの、第2特図保留に基づく大当り判定では、約200分の199の確率(高い頻度)で「小当り」と判定される。なお、第2特図保留に基づく判定において、「大当り」または「小当り」と判定され得るだけでなく「外れ」と判定され得るようにしてもよい。この場合、「大当り」または「外れ」と判定される確率を、「小当り」と判定される確率よりも低くすればよく、例えば、「小当り」と判定される確率を約200分の198、「大当り」と判定される確率を約200分の1、「外れ」と判定される確率を約200分の1、とすることができる。
主制御基板200のCPU201は、上述したような大当り判定テーブルを利用して大当り判定を行ったら(S412)、該大当り判定の結果が「大当り」であるか否かを判断する(図13のS420)。その結果、大当り判定の結果が「大当り」である場合には(S420:yes)、今回の図柄変動遊技で停止表示する大当り図柄を選択するための処理(大当り図柄選択処理)を行う(S422)。ここで、本実施例のパチンコ機1では、100種類の大当り図柄1〜100と、1種類の外れ図柄101と、25種類の小当り図柄102〜126が予めROM202の所定アドレスに記憶されている。S422の大当り図柄選択処理では、100種類の大当り図柄1〜100の中から、大当り図柄決定テーブル(図示省略)を参照して、1つの大当り図柄を選択する。すなわち、大当り図柄決定テーブルには、図柄決定乱数として「0〜99」の100個の値が設定され、この図柄決定乱数の各値に対して大当り図柄1〜100が設定されている。そして、特図保留として読み出した判定乱数のうち図柄決定乱数に対応する大当り図柄を選択する。こうして大当り図柄を選択したら(S422)、その選択した大当り図柄を停止表示する図柄(停止図柄)としてRAM203の記憶領域(停止図柄記憶領域)に記憶する(S424)。尚、大当り図柄決定テーブルは、ROM202に予め記憶されている。
続いて、大当り図柄で停止表示する際の変動パターン(大当り変動パターン)を選択するための大当り変動パターン選択処理を行う(S426)。ここで、変動パターンとは、第1図柄表示装置28または第2図柄表示装置32で特別図柄(第1特図または第2特図)が変動表示を開始してから停止表示するまでの時間(変動時間)であって、各変動パターンには他の変動パターンと識別するための情報が付されている。大当り変動パターン選択処理では、変動パターン決定乱数に対応させて複数の大当り変動パターンが設定された大当り変動パターンテーブル(図示省略)を参照して、特図保留として取得した変動パターン決定乱数に対応する変動パターンを選択する。尚、大当り変動パターンテーブルは、ROM202に予め記憶されている。また、大当り変動パターンテーブルとしては、遊技状態に対応させて複数の大当り変動パターンを記憶しておいてもよい。例えば、電サポ状態用の大当り変動パターンテーブルと、非電サポ状態用の大当り変動パターンテーブルを記憶しておき、電サポ状態においては、電サポ状態用の大当り変動パターンテーブルを参照して大当り変動パターンを選択し、非電サポ状態においては、非電サポ状態用の大当り変動パターンテーブルを参照して大当り変動パターンを選択するようにしてもよい。
以上は、大当り判定結果が「大当り」である場合の処理について説明した。これに対して、大当り判定の結果が「大当り」でない場合は(S420:no)、「小当り」であるか否かを判断する(S430)。尚、上述したように、大当り判定の結果が「小当り」となるのは、第2特図保留に基づく大当り判定が行われる場合のみである。S420の判断処理の結果、大当り判定の結果が「小当り」であると判断された場合には(S430:yes)、今回の図柄変動遊技で停止表示する小当り図柄を選択するための処理(小当り図柄選択処理)を行う(S432)。この処理では、25種類の小当り図柄102〜126の中から、小当り図柄決定テーブル(図示省略)を参照して、1つの小当り図柄を選択する。すなわち、小当り図柄決定テーブルでは、25種類の小当り図柄102〜126の1つずつに対応して4つの図柄決定乱数(合計で「0〜99」の100個の乱数)が設定されている。そして、第2特図保留として読み出した判定乱数のうち図柄決定乱数に対応する小当り図柄を選択する。こうして小当り図柄を選択したら(S432)、その選択した小当り図柄を停止図柄としてRAM203の記憶領域(停止図柄記憶領域)に記憶する(S434)。尚、小当り図柄決定テーブルは、ROM202に予め記憶されている。
続いて、小当り図柄で停止表示する際の変動パターン(小当り変動パターン)を選択する小当り変動パターン選択処理を行う(S436)。この処理では、変動パターン決定乱数に対応させて複数の小当り変動パターンが設定された小当り変動パターンテーブル(図示省略)を参照して、第2特図保留として取得した変動パターン決定乱数に対応する変動パターンを選択する。尚、小当り変動パターンテーブルは、ROM202に予め記憶されている。また、小当り変動パターンテーブルとしては、遊技状態に対応させて複数の小当り変動パターンを記憶しておいてもよい。例えば、電サポ状態用の小当り変動パターンテーブルと、非電サポ状態用の小当り変動パターンテーブルを記憶しておき、電サポ状態においては、電サポ状態用の小当り変動パターンテーブルを参照して小当り変動パターンを選択し、非電サポ状態においては、非電サポ状態用の小当り変動パターンテーブルを参照して小当り変動パターンを選択するようにしてもよい。
以上は、大当り判定結果が「小当り」である場合の処理について説明した。これに対して、大当り判定の結果が「小当り」でもなかった場合、すなわち、「外れ」であった場合には(S430:no)、外れ図柄101を停止図柄としてRAM203の記憶領域(停止図柄記憶領域)に記憶する(S440)。すなわち、外れ図柄は1種類(外れ図柄101)しか記憶されていないので、その外れ図柄101を停止図柄記憶領域に記憶する。続いて、外れ図柄で停止表示する際の変動パターン(外れ変動パターン)を選択する外れ変動パターン選択処理を行う(S442)。この処理では、変動パターン決定乱数に対応させて複数の外れ変動パターンが設定された外れ変動パターンテーブル(図示省略)を参照して、特図保留として取得した変動パターン決定乱数に対応する変動パターンを選択する。尚、外れ変動パターンテーブルは、ROM202に予め記憶されている。また、外れ変動パターンテーブルとしては、遊技状態に対応させて複数の外れ変動パターンを記憶しておいてもよい。例えば、電サポ状態用の外れ変動パターンテーブルと、非電サポ状態用の外れ変動パターンテーブルを記憶しておき、電サポ状態においては、電サポ状態用の外れ変動パターンテーブルを参照して外れ変動パターンを選択し、非電サポ状態においては、非電サポ状態用の外れ変動パターンテーブルを参照して外れ変動パターンを選択するようにしてもよい。
こうして、停止図柄を停止図柄記憶領域に記憶すると共に(S424、S434、S440)変動パターンを選択したら(S426、S436、S442)、先に行われた大当り判定が、第1特図保留に基づいて行われたものであるか否かを判断する(S450)。その結果、第1特図保留に基づいて行われたものであった場合は(S450:yes)、選択した変動パターンに従って、第1図柄表示装置28で特別図柄(第1特図)の変動表示(図柄変動遊技)を開始した後(S452)、第1特図保留数から「1」を減算する(S454)。一方、大当り判定が第1特図保留に基づいて行われたものではなかった場合、すなわち、第2特図保留に基づいて行われたものである場合は(S450:no)、第2図柄表示装置32で特別図柄(第2特図)の変動表示(図柄変動遊技)を開始した後(S456)、第2特図保留数を「0」にする(S458)。すなわち、第2特図保留は1個までしか記憶されていないので、第2特図保留に基づく変動表示を今回開始したことに対応して、第2特図保留を記憶していない状態とする。
こうして、第1特図保留数から「1」を減算したら(S454)、または、第2特図保留数を「0」にしたら(S458)、変動表示を今回開始した第1特図または第2特図の変動パターンの種類を指定する(変動パターン識別情報を含む)変動パターン指定コマンドや、変動表示を経て停止表示される特別図柄の停止図柄を指定する停止図柄指定コマンドを、変動開始時コマンドとしてサブ制御基板220に向けて送信する(S460)。
ここで、サブ制御基板220に搭載されたCPU221は、上述の変動開始時コマンドを受信すると、該変動開始時コマンド(図柄変動遊技)に対応する図柄変動演出を実行する。すなわち、停止図柄指定コマンドに基づいて、図柄変動遊技の終了に伴って演出表示装置27で識別図柄27a,27b,27cとして停止表示する図柄を決定する。また、サブ制御基板220に搭載されたCPU221は、変動パターン指定コマンドに基づいて、今回の図柄変動遊技の開始から終了までの演出パターン、すなわち、識別図柄27a,27b,27cの変動表示を開始してから、それら3つの識別図柄を停止表示するまでの演出パターンを選択する。そして、サブ制御基板220のCPU221は、選択された演出パターンにしたがって演出表示装置27の表示画面上で図柄変動演出を実行し、識別図柄27a,27b,27cを決定した図柄で停止表示する。
こうして変動開始時コマンドを、サブ制御基板220に向かって送信したら(S460)、図12および図13に示す特図変動開始処理を終了して、図10および図11の特別図柄遊技処理に復帰する。
以上では、特別図柄遊技処理の実行に際して、大当り遊技中および小当り遊技中の何れでもなく(S302:no、S304:no)、第1特図および第2特図の何れの変動表示中でもない(S306:no)と判断された場合の処理について説明した。これに対して、大当り遊技中および小当り遊技中の何れでもないものの(S302:no、S304:no)、第1特図または第2特図の何れかが変動表示中である場合は(S306:yes)、既に、第1特図または第2特図の変動パターンと停止図柄とが決定されて、第1特図または第2特図の変動表示が開始されている場合に該当する。そこで、変動表示中の特別図柄の変動時間が経過したか否かを判断する(S312)。第1特図または第2特図の変動時間は変動パターンに応じて予め定められているので、第1特図または第2特図の変動を開始すると同時に所定のタイマ(変動時間計測タイマ)に変動時間を設定することにより、所定の変動時間が経過したかを判断することができる。その結果、未だ変動時間が経過していない場合は(S312:no)、そのまま特別図柄遊技処理を終了して、図8に示す遊技制御処理に復帰する。
これに対して、変動時間が経過したと判断された場合は(S312:yes)、変動表示中の特別図柄を予め設定しておいた図柄(図13のS424、S434、S440)で停止表示させることで確定表示を行い(S314)、変動表示中の特別図柄を停止表示させたことを示すコマンド(図柄停止コマンド)をサブ制御基板220に向かって送信する(S316)。そして、確定表示時間を設定した後(S318)、設定した確定表示時間が経過したか否かを判断する(S320)。その結果、確定表示時間が経過していない場合は(S320:no)、そのまま特別図柄遊技処理を終了して図8に示す遊技制御処理に復帰する。
こうして第1特図あるいは第2特図が確定表示された状態で、図8の遊技制御処理に復帰した後、再び図10および図11の特別図柄遊技処理が開始されると、第1特図および第2特図が変動表示中ではないと判断され(S306:no)、続いて、特別図柄の確定表示中であるか否かの判断では、確定表示中と判断されるので(S308:yes)、再び確定表示時間が経過したか否かを判断する(S320)。
このような判断を繰り返しているうちに確定表示時間が経過したと判断されると(S320:yes)、図11に移り、今回停止表示(確定表示)された特別図柄(第1特図あるいは第2特図)が「大当り図柄」であるか否かを判断する(図11のS322)。その結果、停止表示された特別図柄が大当り図柄であった場合は(S322:yes)、大当り遊技(いわゆる「直当りの大当り遊技」)を開始するための処理を行う。具体的には先ず、大当り用大入賞口31dの開放パターン(開放回数、開放時間、閉鎖時間など)を設定する(S324)。すなわち、大当り図柄が停止表示されたことに対応して「直当りの大当り遊技」を開始することから、該「直当りの大当り遊技」における大当り用大入賞口31dの開放パターンを設定する。本実施例のパチンコ機1では、大当り用大入賞口31dが所定時間(例えば30秒)に亘って開放状態となるラウンド遊技が10回行われる開放パターンが設定される。つまり、本実施例の大当り遊技は「10ラウンド大当り遊技」となっている。
こうして、大当り用大入賞口31dの開放パターンを設定したら(S324)、「直当りの大当り遊技」を開始すべく大当りフラグをONに設定する(S326)。続いて、「直当りの大当り遊技」を開始するにあたって、遊技状態が電サポ状態に設定されていれば、該電サポ状態を終了する処理を行う。つまり、電サポ状態にて「直当りの大当り遊技」が発生した場合は該電サポ状態を終了させる。具体的には、変動短縮フラグがONに設定されていれば(S328:yes)、変動短縮フラグとともに開放延長フラグもONに設定されているので、変動短縮フラグおよび開放延長フラグをOFFに設定する(S330)。続いて、電サポカウンタの値に「0」を設定する(S332)。電サポカウンタとは、電サポ状態を終了するまでの図柄変動遊技回数(以下「電サポ回数」ともいう)が設定されるカウンタであって、RAM203の所定アドレスにその記憶領域が確保されている。S332の処理では、電サポ状態の終了に伴って電サポ回数を「0回」とすべく、電サポカウンタの値に「0」を設定する。もちろん、「直当りの大当り遊技」が発生したときに電サポ状態でなかった場合は(S328:no)、S330およびS332の処理は省略する。
こうして「直当りの大当り遊技」の開始に際してのフラグやカウンタの設定処理を終了すると(S326〜S332)、「直当りの大当り遊技」を開始することを示すコマンド(直当りの大当り開始コマンド)をサブ制御基板220に向けて送信する(S334)。サブ制御基板220のCPU221は、直当りの大当り開始コマンドを受信すると、「直当りの大当り遊技」に対応する演出を実行する。直当りの大当り開始コマンドを送信したら(S334)、図10および図11に示す特別図柄遊技処理を終了して、図8の遊技制御処理に復帰する。
以上は、第1図柄表示装置28あるいは第2図柄表示装置32で停止表示された特別図柄(すなわち第1特図あるいは第2特図)が大当り図柄であった場合(S322:yes)の処理について説明した。これに対して、停止表示された特別図柄が大当り図柄でなかった場合は(S332:no)、今度は、停止表示された特別図柄が「小当り図柄」であったか否か、すなわち、第1特図は小当り図柄で停止表示されないことから、第2特図が「小当り図柄」で停止表示されたか否かを判断する(S336)。その結果、第2特図が小当り図柄で停止表示された場合は(S336:yes)、小当り用大入賞口51の開放パターン(開放回数、開放時間、閉鎖時間など)を設定する(S338)。すなわち、小当り図柄が停止表示されたことに対応して小当り遊技を開始することから、該小当り遊技における小当り用大入賞口51の開放パターンを設定する。本実施例のパチンコ機1では、小当り用大入賞口51を短時間(例えば2秒)開放状態とする開放パターンが設定される。
こうして、小当り用大入賞口51の開放パターンを設定したら(S338)、今度は、振分部材57の動作パターンを設定する(S340)。すなわち、小当り遊技中は、振分ソレノイド57mを制御することによって振分部材57を動作させるので、その動作パターンを設定する。本実施例のパチンコ機1では、小当り遊技が開始されてから1秒間は特定領域振分状態(手前側に移動した状態)になり、その後の1秒間は非特定領域振分状態(奥側に移動した状態)になる動作パターンが設定される。
振分部材57の動作パターンを設定したら(S340)、小当り遊技を開始すべく小当りフラグをONに設定する(S342)。そして、小当り遊技を開始することを示すコマンド(小当り遊技開始コマンド)をサブ制御基板220に向けて送信する(S344)。サブ制御基板220のCPU221は、小当り遊技開始コマンドを受信すると、小当り遊技に対応する演出を実行する。
続いて、電サポ状態の期間を進行させる処理を行う。つまり、電サポ状態にて小当りが発生した場合は、該電サポ状態を終了させることなく、今回、図柄変動遊技が行われたことに対応して、電サポ回数を減算する。具体的には先ず、変動短縮フラグがONに設定されているか否か、すなわち、電サポ状態中であるか否かを判断する(S346)。その結果、電サポ状態中であれば(S346:yes)、電サポ回数を1回減算すべく、電サポカウンタの値から「1」を減算する(S348)。そして、電サポカウンタの値から「1」を減算した結果、電サポカウンタの値が「0」になったか否か、すなわち、電サポ回数が「0回」になったか否かを判断する(S350)。その結果、電サポ回数が「0回」になった場合は、電サポ状態を終了すべく(非電サポ状態とすべく)、変動短縮フラグおよび開放延長フラグをOFFに設定する(S352)。そして、遊技状態が電サポ状態から非電サポ状態に変化したことを示す遊技状態指定コマンドをサブ制御基板220に向けて送信する。サブ制御基板220のCPU221は、遊技状態指定コマンドを受信すると、非電サポ状態の開始に対応する演出を実行する。遊技状態指定コマンドを送信したら(S354)、図10および図11に示す特別図柄遊技処理を終了して、図8の遊技制御処理に復帰する。尚、S346の処理で、電サポ状態中でないと判断された場合は(S346:no)、当然ながら、電サポ状態の期間を進行させる処理(S348〜S354)は省略する。また、S350の処理で、電サポ回数が未だ「0回」になっていないと判断された場合は(S350:no)、電サポ状態を継続させる(S352およびS354の処理を省略する)。
以上は、第1図柄表示装置28あるいは第2図柄表示装置32で停止表示された特別図柄(すなわち第1特図あるいは第2特図)が小当り図柄であった場合(S336:yes)の処理について説明した。これに対して、停止表示された特別図柄が小当り図柄でもなかった場合、すなわち、外れ図柄であった場合も(S336:no)、小当り図柄が停止表示された場合と同様に、電サポ状態の期間を進行させる処理(S346〜S354)を行う。すなわち、電サポ状態中であれば(S346:yes)、今回、図柄変動遊技が行われたことに対応して、電サポ回数を1回減算する(S348)。そして、電サポ回数が0回になると(S350:yes)、電サポ状態を終了すべく、変動短縮フラグおよび開放延長フラグをOFFに設定し(S352)、サブ制御基板220に遊技状態指定コマンドを送信する(S354)。遊技状態指定コマンドを送信したら(S354)、図10および図11に示す特別図柄遊技処理を終了して、図8の遊技制御処理に復帰する。
こうして、図10および図11に示す特別図柄遊技処理を行った後、図8に示す遊技制御処理に復帰したら、小当りフラグがONに設定されているか否か、すなわち、小当り遊技中であるか否かを判断する(S500)。その結果、小当り遊技中であれば(S500:yes)、小当り遊技を進行させるための小当り遊技処理を行う(S600)。
C−3.小当り遊技処理 :
図15は、小当り遊技処理を示すフローチャートである。小当り遊技処理を開始すると、主制御基板200のCPU201は先ず、小当り用大入賞口ソレノイド51mを制御することによって、小当り遊技を開始するに際して設定された開放パターン(図11のS338)で小当り用大入賞口51が短時間(例えば2秒間)開放状態となるように、開閉部材52を動作させる(S602)。続いて、振分ソレノイド57mを制御することによって、小当り図柄が停止表示された際に設定された動作パターン(図11のS340)に従って振分部材57を特定領域振分状態または非特定領域振分状態に動作させる(S604)。
続いて、小当り用大入賞口51に入球した遊技球が特定領域53を通過したか否かを判断する(S606)。その結果、遊技球が特定領域53を通過した場合は(S606:yes)、特定領域53を遊技球が通過したことを記憶すべく特定フラグをONに設定する(S608)。特定フラグは、特定領域53を遊技球が通過したことを示すフラグであって、主制御基板200のRAM203の所定アドレスにその記憶領域が確保されている。
続いて、小当り遊技の終了条件が成立したか否かを判断する(S610)。本実施例のパチンコ機1では、前述のS338の処理で設定された開放パターンに基づいて小当り用大入賞口51を開放状態とする動作が終了し、小当り用大入賞口51に入球した遊技球の全てが特定領域53または非特定領域55を通過して排出された場合に、小当り遊技の終了条件が成立したと判断する。尚、小当り用大入賞口51に入球した遊技球の全てが特定領域53または非特定領域55を通過したか否かの判断は、特定領域スイッチ53sが検知した遊技球の数と非特定領域スイッチ55sが検知した遊技球の数との合計が、小当り用大入賞口スイッチ51sが検知した遊技球の数と一致するか否かを判断することによって行われる。
S610の判断処理の結果、小当り遊技の終了条件が未だ成立していない場合は(S610:no)、そのまま図15に示す小当り遊技処理を終了して、図8に示す遊技制御処理に復帰する。これに対して、小当り遊技の終了条件が成立した場合は(S610:yes)、小当り遊技を終了するべく、小当りフラグをOFFに設定すると共に(S612)、小当り遊技が終了することを示す小当り終了コマンドを、サブ制御基板220に向けて送信する(S614)。
続いて、特定フラグがONに設定されているか否か、すなわち、今回終了した小当り遊技中に小当り用大入賞口51に入球した遊技球が特定領域53を通過したか否かを判断する(S616)。その結果、遊技球が特定領域53を通過しなかった場合は(S616:no)、そのまま図15に示す小当り遊技処理を終了して、図8の遊技制御処理に復帰する。
これに対して、遊技球が特定領域53を通過した場合は(S616:yes)、次回の小当り遊技に備えて特定フラグをOFFに設定した後(S618)、大当り遊技(いわゆる「小当り経由の大当り遊技」)を開始するための処理を行う。すなわち、上述した「直当りの大当り遊技」を開始するための処理(図11のS324〜S334)と同様に、先ず、大当り用大入賞口31dの開放パターン(開放回数、開放時間、閉鎖時間など)を設定し(S620)、大当り遊技を開始すべく大当りフラグをONに設定する(S622)。本実施例のパチンコ機1では、「小当り経由の大当り遊技」における大当り用大入賞口31dの開放パターンとしては、「直当りの大当り遊技」と同様の開放パターンが設定される。すなわち、本実施例の「小当り経由の大当り遊技」は「10ラウンド大当り遊技」と同様の大当り遊技となる。続いて、「小当り経由の大当り遊技」を開始するにあたって、電サポ状態が設定されていれば(S624:yes)、該電サポ状態を終了すべく、変動短縮フラグおよび開放延長フラグをOFFに設定すると共に(S626)、電サポカウンタの値に「0」を設定する(S628)。もちろん、「小当り経由の大当り遊技」を開始するにあたって、電サポ状態が設定されていなければ(S624:no)、S626およびS628の処理は省略する。
こうして「小当り経由の大当り遊技」の開始に際してのフラグやカウンタの設定処理を終了すると(S622〜S628)、「小当り経由の大当り遊技」を開始することを示すコマンド(小当り経由大当り開始コマンド)をサブ制御基板220に向けて送信する(S630)。サブ制御基板220のCPU221は、小当り経由大当り開始コマンドを受信すると、「小当り経由の大当り遊技」に対応する演出を実行する。小当り経由大当り開始コマンドを送信したら(S630)、図15に示す小当り遊技処理を終了して、図8に示す遊技制御処理に復帰する。
こうして、図15に示す小当り遊技処理を行った後、図8に示す遊技制御処理に復帰したら、大当りフラグがONに設定されているか否か、すなわち、大当り遊技中(「直当りの大当り遊技」または「小当り経由の大当り遊技」)であるか否かを判断する(S700)。その結果、大当り遊技中であれば(S700:yes)、大当り遊技を進行させるための大当り遊技処理を行う(S800)。
C−4.大当り遊技処理 :
図16は、大当り遊技処理を示すフローチャートである。大当り遊技処理を開始すると、主制御基板200のCPU201は先ず、大当り用大入賞口ソレノイド31mを制御することによって、大当り遊技を開始するに際して設定されて開放パターン(図11のS324、図15のS620)で大当り用大入賞口31dが開放状態となるように(10回のラウンド遊技が行われるように)、開閉部材31eを動作させる(S802)。
続いて、大当り遊技の終了条件が成立したか否か、すなわち、10回のラウンド遊技が行われたか否かを判断する(S804)。その結果、10回のラウンド遊技が未だ行われていないのであれば(S804:no)、そのまま図16に示す大当り遊技処理を終了して、図8に示す遊技制御処理に復帰する。
これに対して、10回のラウンド遊技が行われた場合は(S804:yes)、大当り遊技を終了するべく、大当りフラグをOFFに設定すると共に(S806)、大当り遊技が終了することを示す大当り終了コマンドを、サブ制御基板220に向けて送信する(S808)。続いて、大当り遊技終了後の遊技状態を非電サポ状態または電サポ状態に設定する。具体的には、変動短縮フラグおよび開放延長フラグをOFFまたはONに設定すると共に(S810)、電サポカウンタの値に電サポ回数を設定する(S812)。
図17は、大当り遊技終了後の遊技状態(電サポ回数)を示す説明図である。図17(a)に示すように、「直当りの大当り遊技」の終了後は、該「直当りの大当り遊技」が開始される際に大当り図柄1〜50(50個の大当り図柄のうち何れか)が停止表示されたのであれば、変動短縮フラグおよび開放延長フラグをONに設定すると共に電サポカウンタの値に「50」を設定することで、電サポ回数50回の電サポ状態を設定する。これに対して、該「直当りの大当り遊技」が開始される際に大当り図柄51〜100(50個の大当り図柄のうち何れか)が停止表示されたのであれば、変動短縮フラグおよび開放延長フラグをOFFに設定したままにすると共に電サポカウンタの値を「0」に設定したままにすることで、非電サポ状態を設定する。以上のように、「直当りの大当り遊技」の終了後は、50%の確率で電サポ回数50回の電サポ状態が設定される。
一方、図17(b)に示すように、「小当り経由の大当り遊技」の終了後は、該「小当り経由の大当り遊技」の開始契機である小当り遊技に対応して遊技状態が設定される。すなわち、該小当り遊技が開始される際に小当り図柄102〜121(20個の小当り図柄のうち何れか)が停止表示されたのであれば、変動短縮フラグおよび開放延長フラグをONに設定すると共に電サポカウンタの値に「100」を設定することで、電サポ回数100回の電サポ状態を設定する。これに対して、該小当り遊技が開始される際に小当り図柄122〜126(5個の小当り図柄のうち何れか)が停止表示されたのであれば、変動短縮フラグおよび開放延長フラグをOFFに設定したままにすると共に電サポカウンタの値を「0」に設定したままにすることで、非電サポ状態を設定する。以上のように、「小当り経由の大当り遊技」の終了後は、80%の確率で電サポ回数100回の電サポ状態が設定される。
D.本実施例のパチンコ機によって実現される遊技性 :
図18〜図20は、本実施例のパチンコ機1における遊技の進行過程を示す説明図である。尚、以下の説明中の括弧内の符号「ev」は、図中の符号に対応している。
図18には、非電サポ状態における遊技の進行過程が概念的に示されている。非電サポ状態中は、普通図柄作動ゲート37に遊技球を通過させても第2始動口17が開放状態になる頻度が低く、「右打ち」を行っても第2始動口17には遊技球を入球させ難い。従って、図18に示すように、非電サポ状態中は、「左打ち」を行うことによって、第1始動口16への入球を狙う遊技が専ら行われる。左打ちを行うことにより、第1始動口16に遊技球が入球すると(ev.1)、第1特図の変動表示が実行される(ev.2)。第1特図保留に基づく大当り判定では約200分の1の確率で「大当り」と判定され、約200分の199の確率で「外れ」と判定されるので(図17(a)参照)、ほとんどの場合は、第1特図は外れ図柄で停止表示される(ev.3)。このような第1特図の変動表示を繰り返しているうちに、第1特図保留に基づく大当り判定で「大当り」と判定されると、大当り図柄が停止表示されて(ev.4)、「直当りの大当り遊技」が実行される(ev.5)。
そして、「直当りの大当り遊技」が終了すると、50%の確率で遊技状態が非電サポ状態に設定され(ev.6)、同じく50%の確率で遊技状態が電サポ状態に設定される(ev.7)。これらのうち、遊技状態が非電サポ状態に設定された場合は(ev.6)、第2始動口17が開放状態になる頻度が低いままであるので、上述した左打ちを行う遊技が繰り返されることとなる。
本実施例のパチンコ機1は以上のように遊技が進行するので、非電サポ状態において、「直当りの大当り遊技」が実行されることを遊技者に期待させると共に、「直当りの大当り遊技」の終了後に電サポ状態が設定されることを遊技者に期待させるという遊技性を実現することができる。尚、本実施例のパチンコ機1は、非電サポ状態(左打ちを行う遊技)における遊技性としては、上述した遊技性以外にも特徴的な遊技性を有するが、その特徴的な遊技性については図20を用いて後述する。
「直当りの大当り遊技」が実行された後の遊技状態が電サポ状態に設定された場合は(ev.7)、次のような遊技が行われる。すなわち、電サポ状態中は、第2始動口17が開放状態になる頻度が高く、遊技球を第2始動口17に入球させ易い。従って、図19に示すように、電サポ状態中は、「右打ち」を行うことによって第2始動口17への入球を狙う遊技が専ら行われる。そして、第2始動口17に遊技球が入球すると(ev.11)、第2特図の変動表示が実行される(ev.12)。第2特図保留に基づく大当り判定では約200分の1の確率で「大当り」と判定され、約200分の199の確率で「小当り」と判定されるので(図17(b)参照)、ほとんどの場合は、第2特図は小当り図柄で停止表示されて(ev.13)小当り遊技が実行される(ev.14)。そして、小当り遊技中に小当り用大入賞口51に入球した遊技球が特定領域53(図5(b)参照)を通過すると(ev.15)、「小当り経由の大当り遊技」が実行される(ev.16)。そして、「小当り経由の大当り遊技」が終了すると、20%の確率で遊技状態が非電サポ状態に設定され(ev.17)、80%の確率で遊技状態が電サポ状態に設定される(ev.18)。尚、小当り遊技が行われても(ev.14)、遊技球が特定領域53を通過しなかった場合は(ev.19)、当然ながら、小当り経由の大当り遊技は実行されない。
これに対して、第2特図保留に基づく大当り判定で「大当り」と判定されると、非電サポ状態における遊技の進行過程(図18のev.4〜7)と同様に、大当り図柄が停止表示されて(ev.20)、「直当りの大当り遊技」が実行される(ev.21)。そして、「直当りの大当り遊技」が終了すると、50%の確率で遊技状態が非電サポ状態に設定され(ev.22)、同じく50%の確率で遊技状態が電サポ状態に設定される(ev.23)。
以上のように、電サポ状態中は(右打ちを行う遊技では)、高い頻度で第2始動口17に遊技球が入球し、高い頻度で小当り遊技が実行される。そして、小当り遊技が実行されれば、遊技球が特定領域53を通過しさえすれば、「小当り経由の大当り遊技」が実行される。すなわち、電サポ状態は、持ち球の減少を抑えつつ比較的早い段階で「小当り経由の大当り遊技」を開始させることができる遊技者に有利な状態である。そして、このように遊技者に有利な電サポ状態が設定される確率は、「直当りの大当り遊技」が実行される場合よりも(50%)、「小当り経由の大当り遊技」が実行される場合(80%)の方が高い。従って、本実施例のパチンコ機1は、電サポ状態において、「直当りの大当り遊技」よりも「小当り経由の大当り遊技」が行われることを遊技者に期待させるという遊技性を実現することができる。
ここで、本実施例のパチンコ機1は、上述した遊技性に加えて、特徴的な遊技性を有する。この遊技性は、次のような遊技の進行過程によって実現される。図18を用いて上述したように、非電サポ状態中は、左打ちを行うことによって第1始動口16への入球を狙う遊技が専ら行われる。左打ちをした遊技球が入球可能な位置には、第1始動口16より入球頻度は低いものの、作動口40も設けられているので、第1始動口16への入球を狙う遊技の過程で、図20に示すように、作動口40に遊技球が入球することがある(ev.31)。
作動口40に遊技球が入球すると(ev.31)、作動口40に入球した遊技球から受ける機械的な作用によって第3始動口41が開放状態となる(ev.32)。この第3始動口41は、右打ちされた遊技球が入球可能な位置に設けられており、且つ、開放状態となった後は遊技球が入球するまでは該開放状態を維持する。このため、遊技者が左打ちを行っている間は、第3始動口41には遊技球が入球しないので、第3始動口41は開放状態を維持した状態となる。
そして、遊技者が所望のタイミングで、右打ちを行って第3始動口41に遊技球を入球させると、第2特図の変動表示が行われる。すなわち、非電サポ状態中(左打ちを行う遊技中)にも拘わらず、第2特図の変動表示が行われて、上述した電サポ状態中(右打ちを行う遊技中)の遊技の進行過程(図19のev.12〜23)と同様の進行過程を実現することができる。このため、非電サポ状態中にも拘わらず、右打ちを行わせると共に、第2特図で遊技を行う際の遊技性、すなわち、「直当りの大当り遊技」よりも「小当り経由の大当り遊技」が行われることを遊技者に期待させる遊技性を実現することができる。
以上のように、本実施例のパチンコ機1は、非電サポ状態中において、「直当りの大当り遊技」が実行されることを遊技者に期待させると共に該「直当りの大当り遊技」の終了後に電サポ状態が設定されることを遊技者に期待させつつも、その過程で、作動口40に遊技球が入球することを期待させるという遊技性を実現することができる。そして、作動口40に遊技球が入球した場合は、電サポ状態と同じく、右打ちを行わせると共に、第2特図で遊技を行う際の遊技性、すなわち、「直当りの大当り遊技」よりも「小当り経由の大当り遊技」が行われることを遊技者に期待させるという遊技性を実現することができる。この結果、マンネリになりがちな非電サポ状態中の遊技性に斬新な遊技性を加えることができ、いわゆる1種2種混合機における非電サポ状態中の遊技興趣を高めることが可能となる。
また、作動口40に遊技球が入球すると、遊技者の所望のタイミングで右打ちを行わせて第2特図の変動表示(第3始動口41への入球)を行わせることができる。従って、非電サポ状態において、遊技者の所望のタイミングで、第2特図で遊技を行う際の遊技性を実現することができる。この結果、非電サポ状態中の遊技興趣を更に高めることが可能となる。
また、作動口40は、第1始動口16よりも入球頻度(入球可能性)が低い位置に設けられているので、第1始動口16への入球を狙って左打ちを行っている最中に、突発的に作動口40に遊技球が入球することになる。従って、遊技者の意識が第1始動口16に集中している状態で、作動口40への入球という突発的な喜びを遊技者に与えることができる。この結果、非電サポ状態中の遊技興趣を更に高めることが可能となる。
以上、本発明の実施例および変形例について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各請求項に記載した範囲を逸脱しない限り、各請求項の記載文言に限定されず、当業者がそれらから容易に置き換えられる範囲にも及び、かつ、当業者が通常有する知識に基づく改良を適宜付加することができる。
例えば、上述した実施例では、第3始動口41は右打ちされた遊技球が入球可能な位置に設ける構成としたが、左打ちされた遊技球が入球可能な位置に設ける構成としてもよい。このような構成とした場合は、左打ちを行ったまま第2特図を変動表示させることができるので、容易に第2特図で遊技を行う際の遊技性を遊技者に感じさせることが可能となる。また、このような構成とした場合は、開放状態となった後でも第3始動口41に遊技球が入球する可能性を極めて低く(例えば、作動口40に遊技球が入球する可能性よりも低く)設定してもよい。こうすると、非電サポ状態中に第2特図が変動表示することの希少性を更に高くすることができる。
また、上述した実施例では、第3始動口41は、作動口40に入球した遊技球から受ける機械的な作用によって開放状態とする構成としたが、作動口40への遊技球を所定のスイッチが検知し、該検知に基づいて電気的な制御によって(例えばソレノイドを利用して)第3始動口41を開放状態とする構成としてもよい。また、第3始動口41は、該第3始動口41に入球した遊技球から受ける機械的な作用によって閉鎖状態となる構成としたが、第3始動口41への遊技球を所定のスイッチが検知し、該検知に基づいて電気的な制御によって(例えばソレノイドを利用して)第3始動口41を閉鎖状態とする構成としてもよい。
また、上述した実施例では、特別図柄の変動表示中に第3始動口41に入球した場合であっても、第2特図保留を記憶する構成とした。これに限らず、特別図柄の変動表示中に第3始動口41に入球した場合は、第2特図保留を記憶しない構成としてもよい。このような構成とした場合は、第3始動口41が開放状態になった後に第3始動口41を狙うタイミング(右打ちのタイミング)を遊技者に思案させることができ、すなわち、第2特図保留が記憶される特別図柄の変動表示終了後まで第3始動口を狙うことを待機させることができ、非電サポ状態中の遊技興趣を更に高めることが可能となる。
また、上述した実施例では、「直当りの大当り遊技」と「小当り経由の大当り遊技」とは大当り用大入賞口31dの開放パターン(大当り遊技の実行パターン)が同じ構成としたが、互いに異なる構成としてもよい。また、停止表示された大当り図柄の種類あるいは小当り図柄の種類に応じて、互いに異なる開放パターンを設定する構成としてもよい。
また、上述した実施例では、「小当り経由の大当り遊技」中の振分部材57の動作パターンは1種類としたが、小当り図柄の種類に応じて、互いに異なる動作パターンを設定する構成としてもよい。
また、上述した実施例では、遊技ホールの島設備から供給される遊技球を「貸球」や「賞球」として利用し、遊技盤に設けられた各種入賞口(第1始動口スイッチ16sや、第2始動口スイッチ17s、第3始動口スイッチ41s、大当り用大入賞口スイッチ31s、小当り用大入賞口スイッチ51s等)への遊技球の入球に応じて所定数の賞球を払い出すことによって、遊技の結果としての利益(遊技価値)を遊技者に付与するパチンコ機1に本発明を適用した例を説明したが、「賞球の払い出し」とは異なる形態で遊技上の利益を付与するタイプの遊技機にも、本発明を適用することができる。例えば、各種入賞口への遊技球の入球が発生することで、その入球に対応する利益の量(遊技価値の大きさ)を示すデータを主制御部あるいは払出制御部のRAMに記憶することによって、遊技上の利益(遊技価値)を遊技者に付与するタイプのパチンコ機にも本発明を適用することができ、この場合にも、上述した実施例と同様の効果を得ることができる。なお、遊技上の利益(遊技価値)をデータ化して遊技者に付与するタイプのパチンコ機としては、パチンコ機に内蔵された複数個の遊技球を循環させて使用する遊技機、具体的には、各種入賞口あるいはアウト口を経て遊技盤の裏面に排出された遊技球を、再度、発射位置に戻して発射するように構成されたパチンコ機(いわゆる封入式遊技機)を例示できる。