上述した本発明の内容を明確にするために、本発明を以下のようなパチンコ機(弾球遊技機)に適用した実施例について説明する。
A.第1実施例 :
A−1.パチンコ機の装置構成 :
A−1−1.装置前面側の構成 :
図1は、第1実施例のパチンコ機1の正面図である。図1に示すように、パチンコ機1の前面部は、大きくは、前面枠4、上皿部5、下皿部6、遊技盤10などから構成されている。なお、図1では遊技盤10の詳細な図示を省略している。前面枠4は、図示しない中枠3に取り付けられており、中枠3は図示しない本体枠2に取り付けられている。中枠3はプラスチック材料で成形されており、本体枠2の内側に取り付けられている。本体枠2は、木製の板状部材を組み立てて構成された略長方形の枠体であり、パチンコ機1の外枠を形成している。前面枠4の一端は中枠3に対して回動可能に軸支されており、中枠3の一端は本体枠2に対して回動可能に軸支されている。遊技盤10は中枠3の前面側に着脱可能に取り付けられており、その前面側が前面枠4で覆われている。
前面枠4は、プラスチック材料で成形されており、略中央部には円形状の窓部4aが形成されている。この窓部4aにはガラス板等の透明板が嵌め込まれており、奥側に配置される遊技盤10の盤面が視認可能となっている。また、前面枠4には、遊技効果を高めるための各種ランプ類4b〜4fが設けられている。前面枠4の下方には上皿部5が設けられており、上皿部5の下方には下皿部6が設けられている。遊技球は、上皿部5に投入されて、発射装置ユニット12(図7参照)に供給される。また、上皿部5の左部にはスピーカー5yが設けられている。
下皿部6には、パチンコ機1の内部から遊技球を排出するための排出口6aが設けられており、排出された遊技球は下皿部6内に貯留される。下皿部6の右端には発射ハンドル8が設けられている。発射ハンドル8の回転軸は、下皿部6の奥側に搭載された図示しない発射装置ユニット12に接続されており、遊技者が発射ハンドル8を回転させると、その動きが発射装置ユニット12に伝達され、ユニットに内蔵された図示しない発射モータが回転して、回転角度に応じた強さで遊技球が発射される。
A−1−2.遊技盤の構成 :
図2は、遊技盤10の盤面構成を示す説明図である。前述したように、遊技盤10は中枠3の前面側に着脱可能に取り付けられている。図2に示すように、遊技盤10の中央には、外レール14と内レール15とによって囲まれた略円形状の遊技領域11が形成されている。上述した発射装置ユニット12から発射された遊技球は、外レール14と内レール15との間を通って遊技領域11に放出され、遊技領域11の上方から下方に向かって流下する。
遊技領域11の略中央には中央装置26が設けられており、中央装置26のほぼ中央には、演出表示装置27が設けられている。演出表示装置27は液晶表示器によって構成されており、その表示画面上では、識別図柄や背景画像などの種々の演出図柄を変動表示した後に停止表示することが可能となっている。演出表示装置27の表示画面上で表示される各種の演出図柄については後述する。
演出表示装置27の左斜め下方には第1図柄表示装置28が設けられ、演出表示装置27の右斜め下方には第2図柄表示装置32が設けられている。このうち、演出表示装置27の左下方に設けられた第1図柄表示装置28では、普通図柄や第1特別図柄を変動表示することが可能となっており、演出表示装置27の右下方に設けられた第2図柄表示装置32では、第2特別図柄を変動表示することが可能となっている。第1図柄表示装置28や、第2図柄表示装置32の詳細な構成については後述する。尚、以下では、第1特別図柄を単に「第1特図」と略記し、第2特別図柄を単に「第2特図」と略記することがあるものとする。
遊技領域11において中央装置26の左方には、普通図柄作動ゲート36が設けられており、普通図柄作動ゲート36の内部には、遊技球の通過を検出する普図ゲートスイッチ36sが設けられている。また、遊技領域11において中央装置26の右方には、大当り開始ゲート37(図7参照)が設けられており、大当り開始ゲート37の内部には、遊技球の通過を検出する大当りゲートスイッチ37s(図7参照)が設けられている。更に、普通図柄作動ゲート36と中央装置26との間には、ランプ風車24が設けられている。これら各遊技装置の間および周辺には、多数の障害釘23が設けられている。
遊技領域11において中央装置26の下方には、始動口ユニット17が設けられている。後述するように始動口ユニット17は、2つの始動口を上下に組み合わせて構成されており、上側に設けられた第1始動口17aは、遊技球の入球を許容する遊技球受入口の大きさが不変(一定)で、遊技球が常時入球可能となっている固定式(非可変式)の入球口であり、下側に設けられた第2始動口17bは、左右に一対の翼片部が開閉可能に構成された可変式の入球口となっている。始動口ユニット17の詳細な構成については、別図を用いて後述する。
遊技領域11において始動口ユニット17の下方には、第1大入賞装置60が設けられている。この第1大入賞装置60は、略長方形状に大きく開放する第1大入賞口60d(可変入球口、第1可変入球口)や、第1大入賞口60dを開閉させる開閉部材60e、開閉部材60eを動作させる第1大入賞口ソレノイド60m(図7参照)などから構成されている。後述する所定の条件が成立すると、第1大入賞装置60が作動を開始して第1大入賞口ソレノイド60mにより開閉部材60eが開動作され、第1大入賞口60dが開放状態となる。この結果、遊技球が高い確率で第1大入賞口60dに入球することとなって、遊技者にとって有利な大当り遊技が実行される。また、第1大入賞口60dの内部には第1大入賞口スイッチ60s(図7参照)が設けられており、第1大入賞口60dに入球した遊技球を検出することが可能である。
また、第1大入賞口60dの下方、且つ、遊技盤10の奥側には、第1大入賞口60dに入球した遊技球が案内される「振分領域70」が形成されている。振分領域70には、振分領域70に進入した遊技球を「特定領域71」または「非特定領域72」の何れかに振り分けるための構成(振分手段)が設けられている。また、遊技盤10において、振分領域70の位置に対応する部分は、無色プラスチック板等の透明板で形成されている。したがって、振分領域70(ひいては、遊技球が振分手段によって特定領域71と非特定領域72とに振り分けられる様子)は、遊技者から視認可能となっている。振分領域70の詳細な構成については、別図を用いて後述する。
遊技領域11において中央装置26の右方には、第2大入賞装置65が設けられている。この第2大入賞装置65は、略長方形状に大きく開放する第2大入賞口65d(第2可変入球口)や、第2大入賞口65dを開閉させる開閉部材65e、開閉部材65eを動作させる第2大入賞口ソレノイド65m(図7参照)などから構成されている。後述する所定の条件が成立すると、第2大入賞装置65が作動を開始して第2大入賞口ソレノイド65mにより開閉部材65eが開動作され、第2大入賞口65dが開放状態となる。この結果、遊技球が高い確率で第2大入賞口65dに入球することとなって、遊技者にとって有利な大当り遊技が実行される。また、第2大入賞口65dの内部には第2大入賞口スイッチ65s(図7参照)が設けられており、第2大入賞口65dに入球した遊技球を検出することが可能である。
遊技領域11の下部にはアウト口48が設けられ、そのアウト口48の下部にはバック球防止部材58が設けられている。バック球防止部材58は、遊技領域11に到達せず戻ってきた遊技球が再び発射位置に戻ることを防止する機能を有している。
図3は、第1実施例のパチンコ機1に搭載された第1図柄表示装置28および第2図柄表示装置32の構成を示す説明図である。図3(a)は第1図柄表示装置28を表しており、図3(b)は第2図柄表示装置32を表している。まず、第1図柄表示装置28の構成について説明する。図3(a)に示されているように、第1実施例の第1図柄表示装置28は、略矩形の領域内に16個の小さな発光ダイオード(LED)が組み込まれて構成されている。これら16個のLEDのうち、5個のLEDが普通図柄表示部29を構成しており、残りの11個のLEDは第1特別図柄表示部30を構成している。更に、普通図柄表示部29は、普通図柄を表示するための1個のLED(普通図柄LED29a)と、普通図柄の保留数を表示するための4個のLED(普図保留表示LED29b)とから構成されている。また、第1特別図柄表示部30は、第1特別図柄を表示するための7個のLED(第1特別図柄LED30a)と、第1特別図柄の保留数を表示するための4個のLED(第1特図保留表示LED30b)とから構成されている。尚、以下では、第1特別図柄(第1特図)の保留を「第1特図保留」とも称し、第1特図の保留数を「第1特図保留数」とも称する。
図3(b)に示した第2図柄表示装置32は、上述した第1図柄表示装置28から普通図柄表示部29を取り除いた構成となっている。すなわち、第2図柄表示装置32には、11個のLEDから構成される第2特別図柄表示部33が設けられており、そのほぼ中央に設けられた7個のLEDは、第2特別図柄を表示するためのLED(第2特別図柄LED33a)であり、残りの4個のLEDは、第2特別図柄の保留数を表示するためのLED(第2特図保留表示LED33b)となっている。尚、以下では、第2特別図柄(第2特図)の保留を「第2特図保留」とも称し、第2特図の保留数を「第2特図保留数」とも称する。また、特に区別する必要がない場合は「第1特図保留」と「第2特図保留」とを、まとめて単に「特図保留」とも称する。
図4は、第1実施例のパチンコ機1に搭載された演出表示装置27の画面構成を示す説明図である。前述したように、演出表示装置27は液晶表示器を用いて構成されており、その表示画面上には、3つの識別図柄27a,27b,27cと、その背景の背景画像27dが表示されている。3つの識別図柄27a,27b,27cは、第1特別図柄表示部30および第2特別図柄表示部33における特別図柄の変動表示の開始タイミングと同期して変動表示を開始し、その後、特別図柄の変動時間が経過するまで種々の態様で変動表示を行う。そして、特別図柄の変動表示の終了タイミング(特別図柄の停止表示)と同期して3つの識別図柄27a,27b,27cの変動表示が終了する。
図5は、第1実施例のパチンコ機1に搭載された始動口ユニット17の構成を示す説明図である。前述したように始動口ユニット17には、第1始動口17aと、第2始動口17bとが設けられている。上側に設けられた第1始動口17aは、遊技球受入口の大きさが一定の非可変式(ポケット式)の入球口(一般始動口)として構成され、下側に設けられた第2始動口17bは、一対の翼片17wを備えた可変式の入球口(可変始動口)として構成されている。一対の翼片17wは、ほぼ直立した閉鎖状態(図5(a)参照)と、外側に向かって回転した開放状態(図5(b)参照)との2つの状態を取ることが可能である。図5(a)に示すように、一対の翼片17wがほぼ直立した第2始動口17bの閉鎖状態は、遊技球は第2始動口17bに入球することができず、専ら第1始動口17aに入球する状態である。これに対して、図5(b)に示すように、一対の翼片17wが外側に開いた第2始動口17bの開放状態は、第2始動口17bにも遊技球が入球し得る状態である。尚、第1実施例の始動口ユニット17では、第2始動口17bが開放状態となると、第1始動口17aよりも第2始動口17bの方が、遊技球が入球し易くなる。
第1始動口17aあるいは第2始動口17bに入球した遊技球は、それぞれの内部に設けられた通路を通って遊技盤10の裏面側に導かれる。第1始動口17aの内部の通路の途中には第1始動口スイッチ17sが設けられ、第2始動口17bの内部の通路の途中には第2始動口スイッチ17tが設けられており、第1始動口17aあるいは第2始動口17bに入球した遊技球はそれぞれ第1始動口スイッチ17sあるいは第2始動口スイッチ17tによって検出されるようになっている。
図6は、第1実施例の振分領域70の構成を示す説明図である。上述したように、振分領域70は、第1大入賞口60dの下方、且つ、遊技盤10の奥側に形成されており、第1大入賞口60dに入球した遊技球が進入する領域である。図6(a)に示すように、第1大入賞口60dに入球した遊技球は、進入口74から振分領域70に進入する。進入口74の下方には、振分部材73が設けられており、振分部材73の左側(一方)の下方には特定領域71が設けられ、振分部材73の右側(他方)の下方には非特定領域72が設けられている。
振分部材73は、先端部側が矢印形状に形成されており、基部側が振分用モータ73m(図7参照)の回転軸に接続されている。これにより、振分部材73は、基部側を回動中心にして左右に回動する動作(所定の動作パターンに基づく動作、以下「振分動作」ともいう)を行うことが可能である。そして、図6(b)に示すように、振分部材73が左側(一方)に回動した場合は、振分領域70に進入した遊技球は、振分部材73の右側面(他方の面)および振分部材73と非特定領域72との間に突設された案内ピン75によって、非特定領域72に案内される(非特定領域72を通過する)可能性(確率)が高くなる。当然ながら、振分部材73の左側(一方)への回動量が大きいほど、振分領域70に進入した遊技球が振分部材73の右側面(他方の面)に接触する可能性が高くなるので、遊技球が非特定領域72に案内される(非特定領域72を通過する)可能性(確率)が高くなる。
これに対して、図6(c)に示すように、振分部材73が右側(他方)に回動した場合は、振分領域70に進入した遊技球は、振分部材73の左側面(一方の面)および振分部材73と特定領域71との間に突設された案内ピン76によって、特定領域71に案内される(特定領域71を通過する)可能性が高くなる。当然ながら、振分部材73の右側(他方)への回動量が大きいほど、振分領域70に進入した遊技球が振分部材73の左側面(一方の面)に接触する可能性が高くなるので、遊技球が特定領域71に案内される(特定領域71を通過する)可能性(確率)が高くなる。
A−1−3.制御回路の構成 :
次に、第1実施例のパチンコ機1における制御回路の構成について説明する。図7は、第1実施例のパチンコ機1における制御回路の構成を示したブロック図である。
図示されているようにパチンコ機1の制御回路は、多くの制御基板や、各種基板、中継端子板などから構成されているが、その機能に着目すると、遊技の基本的な進行や賞球に関わる当否についての制御を司る主制御基板200と、演出図柄やランプや効果音を用いた遊技の演出の制御を司るサブ制御基板220と、サブ制御基板220の制御の下で画像の表示や音声の出力を行う画像音声制御基板230と、サブ制御基板220の制御の下で各種LED,ランプ4b〜4fを駆動する装飾駆動基板226と、貸球や賞球を払い出す動作の制御を司る払出制御基板240と、遊技球の発射に関する制御を司る発射制御基板260などから構成されている。これら制御基板は、各種論理演算および算出演算を実行するCPUや、CPUで実行される各種プログラムやデータが記憶されているROM、プログラムの実行に際してCPUが一時的なデータを記憶するRAMなど、種々の周辺LSIがバスで相互に接続されて構成されている。
主制御基板200は、第1始動口スイッチ17sや、第2始動口スイッチ17t、第1大入賞口スイッチ60s、第2大入賞口スイッチ65s、特定領域71を通過した遊技球を検出する特定領域検出スイッチ71s、非特定領域72を通過した遊技球を検出する非特定領域検出スイッチ72s、普図ゲートスイッチ36s、大当りゲートスイッチ37sなどから遊技球の検出信号の入力があると、その検出信号の入力のあったスイッチに応じて定められる各種動作を指令するコマンドを、サブ制御基板220や、払出制御基板240などに向かって送信する。また、主制御基板200には、第2始動口17bに設けられた一対の翼片部17wを開閉させるための始動口ソレノイド17mや、第1大入賞口60dを開閉させるための第1大入賞口ソレノイド60m、第2大入賞口65dを開閉させるための第2大入賞口ソレノイド65m、更には、第1図柄表示装置28、第2図柄表示装置32などが中継端子板(図示略)を介して接続されており、これら各種ソレノイド17m,60m,65m、第1図柄表示装置28、第2図柄表示装置32に向かって駆動信号を送信することにより、これらの動作の制御も行う。さらに、主制御基板200には、振分用モータ73mの動作を制御するモータコントローラ73cが接続されている。モータコントローラ73cは、主制御基板200のCPU201から振分部材73の振分動作の開始を指示するコマンド(振分動作開始コマンド)を受信すると、振分用モータ73mを駆動することで、振分部材73に振分動作を行わせる。また、モータコントローラ73cは、主制御基板200のCPU201から振分部材73の振分動作の停止を指示するコマンド(振分動作停止コマンド)を受信すると、振分用モータ73mの駆動を停止することで、振分部材73の振分動作を停止する。尚、モータコントローラ73cは、主制御基板200のCPU201から振分動作停止コマンドを受信すると、該コマンドを受信した時の姿勢(振分動作の態様)で振分部材73の振分動作を停止させる。すなわち、モータコントローラ73cが振分動作停止コマンドを受信した時の振分部材73の回動量の大きさに拘わらず、その時の回動量の大きさで振分部材73の振分動作を停止させる。
サブ制御基板220には、画像音声制御基板230、装飾駆動基板226が接続されている。サブ制御基板220は、主制御基板200からの各種コマンドを受信すると、コマンドの内容を解析して、その結果に応じた遊技の演出を行う。すなわち、画像音声制御基板230に対して表示内容および音声内容を指定するコマンドを送信したり、装飾駆動基板226に各種LED、ランプ4b〜4fの駆動信号を送信したりすることにより、遊技の演出を行う。
画像音声制御基板230は、CPU231、ROM232、RAM233に加えて、VDP234、画像ROM235、音声ROM236を備えている。画像音声制御基板230のCPU231は、サブ制御基板220からコマンドを受信すると、そのコマンドに対応する画像の表示をVDP234に指示する。VDP234は、指示された画像の表示に利用するデータ(例えば、演出図柄やキャラクタ画像を表示するためのスプライトデータや動画データなど)を画像ROM235から読み出して画像を生成して、演出表示装置27の表示画面に出力する。また、CPU231は、サブ制御基板220からコマンドを受信すると、そのコマンドに対応する音声データを音声ROM236から読み出して、該音声データに基づく音声を、アンプ基板224を介してスピーカー5yから出力する。
払出制御基板240は、いわゆる貸球や賞球の払い出しに関する各種の制御を司っている。例えば、主制御基板200が賞球の払出コマンドを送信すると、このコマンドを払出制御基板240が受信して、払出モータ109mに駆動信号を出力することによって賞球の払い出しが行われる。
A−2.遊技の概要 :
第1実施例のパチンコ機1では、次のようにして遊技が行われる。まず、遊技者が上皿部5の凹部に遊技球を投入して発射ハンドル8を回転させると、上皿部5に投入された遊技球が、1球ずつ発射装置ユニット12に供給されて、図2を用いて前述した遊技領域11に発射される。遊技球を打ち出す強さは、発射ハンドル8の回転角度によって調整することが可能となっており、遊技者は発射ハンドル8の回転角度を変化させることによって、遊技球の狙いを付けることができる。
発射した遊技球が、遊技領域11に設けられた普通図柄作動ゲート36を通過すると、演出表示装置27の左下方に設けられた第1図柄表示装置28において普通図柄の変動表示が開始される。図3を用いて前述したように、第1図柄表示装置28には普通図柄表示部29が設けられており、普通図柄表示部29には、普通図柄LED29aおよび普図保留表示LED29bが搭載されている。このうち、普通図柄LED29aを用いて普通図柄の変動表示を行う(点灯、消灯を繰り返す)。
また、発射した遊技球が第1始動口17aに入球すると、第1図柄表示装置28の第1図柄表示部30で第1特別図柄の変動表示が開始され、第2始動口17bに入球すると第2図柄表示装置32の第2特別図柄表示部33で第2特別図柄の変動表示が開始される。図3を前述したように、第1特別図柄表示部30および第2特別図柄表示部33は、何れも同様な構成をしているので、第1特別図柄も第2特別図柄も同様の態様で変動表示を行う。
第1特別図柄および第2特別図柄は、所定の変動時間が経過するまで変動表示した後、大当り判定の結果に応じて大当り図柄または外れ図柄の何れかで停止表示される。そして、停止表示された図柄を確定させるべく、特別図柄が停止表示された状態を所定の時間が経過するまで維持する表示(以下「確定表示」ともいう)を行う。第1実施例では、停止表示される図柄(停止図柄)として、第1特別図柄および第2特別図柄の各々について、3種類の大当り図柄と、1種類の外れ図柄が設けられている。図3を用いて前述したように、第1特別図柄表示部30および第2特別図柄表示部33の何れも7個のLEDによって構成されており、各図柄は、点灯させるLEDの組合せを互いに異ならせて設定されている。第1図柄表示装置28および第2図柄表示装置32では、それぞれ7個のLED(第1特別図柄LED30aおよび第2特別図柄LED33a)を所定の変動時間にわたって点滅させることによって特別図柄の変動表示を行い、その変動時間が経過すると、所定の組合せのLEDを点灯させることで何れかの図柄を停止表示する。そして、何れかの大当り図柄が停止表示(確定表示)された後、遊技球が大当り開始ゲート37を通過すると、第1大入賞口60dおよび第2大入賞口65dが所定の割合で長時間(例えば30秒×15回)開放状態となる大当り遊技が開始される(大当りが発生する)。大当り遊技中は、第1大入賞口60dまたは第2大入賞口65dに遊技球が入球することを契機として遊技球が払い出される。
尚、上述したように、第1実施例のパチンコ機1では、大当り図柄が停止表示された後、遊技球が大当り開始ゲート37を通過すると、大当り遊技が開始される。そこで、以下では、大当り図柄が停止表示されてから遊技球が大当り開始ゲート37を通過するまで(大当り遊技が開始されるまで)を、大当り遊技の開始を待機している状態であることから、「大当り待機中」とも称する。また、特別図柄を変動表示させてから、その変動表示が終了して大当り図柄または外れ図柄が確定表示されるまでの遊技、すなわち1回の変動表示の結果が得られるまでの遊技を「図柄変動遊技」とも称する。
第1始動口17aあるいは第2始動口17bへの遊技球の入球は、該入球を契機とする特別図柄の変動表示が開始されるまで、第1特別図柄の保留(第1特図保留)あるいは第2特別図柄の保留(第2特図保留)としてRAM203の記憶領域(特図保留記憶領域)に記憶される。第1特図保留および第2特図保留は、それぞれ最大4個まで記憶可能となっており、第1特図保留の個数(第1特図保留数)については第1特図保留表示LED30bに表示され、第2特図保留の個数(第2特図保留数)については第2特図保留表示LED33bに表示される。
第1特別図柄あるいは第2特別図柄の図柄変動遊技に対応して、演出表示装置27では演出図柄(識別図柄27a,27b,27cなど)を用いた各種の演出(以下「図柄変動演出」ともいう)が行われる。図8は、演出表示装置27で行われる図柄変動演出の一態様を例示した説明図である。演出表示装置27を構成する液晶表示器の表示画面には、左識別図柄27aが表示される左図柄表示領域と、中識別図柄27bが表示される中図柄表示領域と、右識別図柄27cが表示される右図柄表示領域が形成され、これらの表示領域を用いて3つの識別図柄27a,27b,27cが表示される。第1図柄表示装置28あるいは第2図柄表示装置32の何れかで特別図柄の変動表示が開始されると、演出表示装置27においても3つの識別図柄27a,27b,27cが一斉に変動表示を開始する。第1実施例では、識別図柄として「1」〜「9」までの9つの数字を意匠化した図柄が用意されている。
図8(a)には、3つの識別図柄27a,27b,27cが一斉に変動表示している様子が概念的に示されている。変動表示が開始された後、所定時間が経過すると、初めに左識別図柄27aが「1」〜「9」のいずれかの図柄で停止表示され、次いで、右識別図柄27cが停止表示され、最後に中識別図柄27bが停止表示される。これら演出表示装置27で停止表示される3つの識別図柄27a,27b,27cの組合せは、前述した第1図柄表示装置28あるいは第2図柄表示装置32で停止表示される特別図柄(第1特別図柄あるいは第2特別図柄)の停止表示態様と連動するように構成されている。例えば、第1特別図柄あるいは第2特別図柄が「大当り図柄」で停止表示される場合は、演出表示装置27の3つの識別図柄27a,27b,27cが同じ図柄となる図柄組合せ(ゾロ目)で停止表示される。また、第1特別図柄あるいは第2特別図柄が「外れ図柄」で停止表示される場合は、3つの識別図柄27a,27b,27cは同じ図柄で揃わない図柄組合せ(バラケ目)で停止表示される。尚、停止表示された識別図柄27a、27b、27cは、特別図柄の確定表示時間が経過するまで停止表示された状態となる(確定表示される)。
このように、第1図柄表示装置28あるいは第2図柄表示装置32で表示される特別図柄と、演出表示装置27で表示される3つの識別図柄27a,27b,27cとは、表示内容が互いに対応しており、変動表示中の第1特別図柄あるいは第2特別図柄が停止表示する際には、3つの識別図柄27a,27b,27cも停止表示するようになっている。しかも、図2に示すように、演出表示装置27は、第1図柄表示装置28や第2図柄表示装置32よりも目に付き易い位置に設けられており、表示画面も大きく、表示内容も分かり易いので、遊技者は演出表示装置27の画面を見ながら図柄変動遊技を行わせることが通常である。従って、図8(b)に示すように、演出表示装置27の表示画面上で初めに停止表示される左識別図柄27aと、続いて停止表示される右識別図柄27cとが同じ図柄であった場合には、最後に停止表示される中識別図柄27bも同じ図柄で停止して、「遊技球に大当り開始ゲート37を通過させれば大当り遊技が開始される状態(大当り待機中)になるのではないか」と、遊技者は識別図柄の変動表示(図柄変動演出)を注視することになる。このように、2つの識別図柄を同じ図柄(ゾロ目となり得る態様)で停止させて最後の識別図柄を変動表示させた状態で行われる演出は「リーチ演出」と呼ばれており、このリーチ演出を発生させることで遊技興趣を高めることが可能である。
A−3.遊技機の制御内容 :
A−3−1.遊技制御処理 :
図9は、主制御基板200に搭載されたCPU201が、遊技の進行を制御するために行う遊技制御処理の大まかな流れを示したフローチャートである。
図9に示すように、遊技制御処理では、「賞球関連処理」「普通図柄遊技処理」「第2始動口閉鎖処理」「特図保留関連処理」「特別図柄遊技処理」「大当り開始処理」「大当り進行処理」などの各処理が繰り返し実行されている。主制御基板200のCPU201は、遊技制御処理を、4msec毎のタイマ割り込み処理として実行する。そして、遊技制御処理中に、サブ制御基板220を初めとする各種制御基板に向けて、主制御基板200から各種コマンドを送信する。こうすることにより、パチンコ機1全体の遊技が進行するとともに、サブ制御基板220では、遊技の進行に合わせた演出の制御が行われることになる。以下、フローチャートに従って、主制御基板200に搭載されたCPU201が行う遊技制御処理について説明する。
CPU201は、遊技制御処理を開始すると、遊技球を賞球として払い出すための処理(賞球関連処理)を行う(S50)。この処理では、主制御基板200に接続された各種スイッチのうち、遊技球の入賞に関わるスイッチ(第1始動口スイッチ17sや、第2始動口スイッチ17t、第1大入賞口スイッチ60s、第2大入賞口スイッチ65sなど)について、遊技球を検出したか否か、すなわち、遊技球が入球(通過)したか否かを判断する。そして、遊技球が入球(通過)した場合には、払い出すべき賞球数を算出した後、払出制御基板240に向かって賞球数指定コマンドを送信する。払出制御基板240は、主制御基板200から送信された賞球数指定コマンドを受信するとコマンドの内容を解釈し、その結果に従って、払出装置(図示せず)に搭載された払出モータ109mに駆動信号を送信することにより、実際に賞球を払い出す処理を行う。
主制御基板200のCPU201は、賞球関連処理(S50)に続いて、普通図柄遊技処理を行うか否かを判断する(S100)。この判断処理は、第2始動口17bが開放状態であるか否かを検出することによって行う。第2始動口17bが開放状態でなければ普通図柄遊技処理を行うものと判断し(S100:yes)、第2始動口17bが開放状態であれば普通図柄遊技処理は行わないものと判断する(S100:no)。そして、普通図柄遊技処理を行うと判断した場合は(S100:yes)、以下に説明する普通図柄遊技を実行するための処理(普通図柄遊技処理)を行う(S150)。これに対して、普通図柄遊技処理を行わないと判断した場合は(S100:no)、普通図柄遊技処理(S150)は省略する。
普通図柄遊技処理(S150)では、次のような処理を行う。先ず、普通図柄の保留(普図保留)が存在するか否か(「0」であるか否か)を判定し、普図保留が存在する場合には普通図柄の当り判定を行う。ここで、普図保留は、遊技球が普通図柄作動ゲート36を通過することにより取得される普図当り判定乱数の値を示す情報を記憶するものであり、第1実施例では、その記憶数(保留数)の上限値を「4」としている。そして、普通図柄の当り判定の結果に基づき、普通図柄を当り図柄で停止表示させるか、外れ図柄で停止表示させるかを決定する。続いて、普通図柄の変動時間を設定した後、普通図柄の変動表示を開始し、その後、変動時間が経過すると、決定しておいた図柄(普通図柄LED29aの点灯または消灯)で普通図柄を停止表示させる。このとき、普通図柄の当り図柄が停止表示されると(普通図柄LED29aが点灯すると)、始動口ソレノイド17mを作動させて、第2始動口17bに設けられた翼片17wを両側に回動させることにより、第2始動口17bを開放状態とする(図5(b)参照)。
以上のようにして普通図柄遊技処理を終了したら、第2始動口17bが開放状態であるか否かを判断する(S190)。そして、開放状態である場合は(S190:yes)、第2始動口17bを開放状態から閉鎖状態にするための処理(第2始動口閉鎖処理)を行う(S200)。一方、第2始動口17bが開放状態でない場合は(S190:no)、第2始動口閉鎖処理を行う必要はないので省略する。
第2始動口閉鎖処理(S200)では、次の何れかの条件が満足された場合(始動口開放終了条件が成立した場合)、すなわち、第2始動口17bの開放時間が経過したか、若しくは、第2始動口17bに規定数の遊技球が入球したかの何れかの条件が成立したか否かを判断し、何れかの条件(始動口開放終了条件)が成立した場合に、開放状態の第2始動口17bを閉鎖状態にする処理を行う。一方、第2始動口17bの開放時間が経過しておらず、第2始動口17bへの入球数も規定数に達していない場合(始動口開放終了条件が成立していない場合)は、第2始動口17bを開放状態としたまま、第2始動口閉鎖処理(S200)を終了する。
ここで、第1実施例のパチンコ機1の遊技状態は、「開放延長状態」または「非開放延長状態」に設定される。「開放延長状態」は「非開放延長状態」に比べ、前述の普通図柄の当り判定の結果が「当り」となる確率(普図当り確率)が高く、普通図柄の変動時間(普図変動時間)が短く、第2始動口17bの開放時間が長く設定される。従って、開放延長状態は、非開放延長状態と比較して、第2始動口17bが頻繁に開放状態になるとともに該開放状態にある期間が長くなるので、第2始動口17bへの遊技球の入球可能性が高くなる遊技者に有利な期間である。
このような構成を実現するために、第1実施例のパチンコ機1では、遊技状態が「開放延長状態」に設定されている場合は「変動短縮フラグ」および「開放延長フラグ」がONに設定され、遊技状態が「非開放延長状態」に設定されている場合はこれらのフラグがOFFに設定される。そして、主制御基板200のCPU201は、「変動短縮フラグ」がONに設定されていることに基づき、普図当り確率を高確率(例えば「99/100」)、普図変動時間を短時間(例えば「1秒」)にそれぞれ設定し、「開放延長フラグ」がONに設定されていることに基づき、第2始動口17bの開放時間を長時間(例えば「1.5秒×3回開放=4.5秒」)に設定する。一方、主制御基板200のCPU201は、変動短縮フラグがOFFに設定されていることに基づき、普図当り確率を低確率(例えば「2/100」)、普図変動時間を長時間(例えば「20秒」)にそれぞれ設定し、開放延長フラグがOFFに設定されていることに基づき、第2始動口17bの開放時間を短時間(例えば「0.1秒×3回開放=0.3秒」)に設定する。
こうして、第2始動口17bの閉鎖に係る処理を行ったら(S190〜S200)、特図保留を記憶するための処理(特図保留関連処理)を行う(S250)。特図保留関連処理では、第1始動口17aに遊技球が入球すると、第1特別図柄の保留数(第1特図保留数)が上限値(第1実施例では「4」)に達していなければ、判定乱数を第1特図保留として取得するとともに記憶する。また、第2始動口17bに遊技球が入球すると、第2特別図柄の保留数(第2特図保留数)が上限値(第1実施例では「4」)に達していなければ、判定乱数を第2特図保留として取得するとともに記憶する。ここで、判定乱数としては、大当り判定を行うための大当り判定乱数や、大当り判定の結果が「大当り」である場合に第1特図または第2特図として停止表示する大当り図柄を決定するための大当り図柄決定乱数、図柄が停止表示するまでの変動パターンを決定するための変動パターン決定乱数などを取得する。
こうして、特図保留関連処理を行ったら(S250)、特別図柄遊技を実行するための処理(特別図柄遊技処理)を行う(S300)。特別図柄遊技処理では、大当り待機中および大当り遊技中の何れでもない場合に次のような処理を行う。先ず、特別図柄(第1特図または第2特図の何れか)が、変動表示中または確定表示中であるか否かを判断する。そして、特別図柄が変動表示中でも確定表示中でもない場合は、特別図柄の変動表示(図柄変動遊技)を開始するための処理を行う。
この処理では、先ず、第2特図保留が記憶されている場合は第2特図保留を読み出し、第2特図保留が記憶されていない場合は第1特図保留を読み出す。そして、第1特図保留または第2特図保留を読み出したら、高確フラグがONに設定されているか否かを判断する。
ここで、第1実施例のパチンコ機1の遊技状態は、前述した「開放延長状態」あるいは「非開放延長状態」の何れかに設定されるとともに、特別図柄が大当り図柄で停止表示する(大当り判定の結果が大当りとなる)確率(大当り確率)の高い「高確率状態」あるいは該確率が高確率状態より低い「低確率状態」の何れかに設定される。高確フラグは、遊技状態を高確率状態(確変機能が作動した状態)に設定するときにONに設定されるフラグである。
低確率状態中であれば、読み出した特図保留に含まれる大当り判定乱数に基づく判定結果が低確率(例えば300分の1)で「大当り」となる大当り判定を行い、高確率状態中であれば該大当り判定乱数に基づく判定結果が高確率(例えば30分の1)で「大当り」となる大当り判定を行う。続いて、読み出した特図保留に含まれる変動パターン決定乱数に基づき、特別図柄が変動表示を開始してから停止するまでの変動パターンを決定する。さらに、大当り判定の結果が大当りである場合は、特図保留に含まれる大当り図柄決定乱数に基づき、3種類の大当り図柄の中から、今回の図柄変動遊技で停止表示させる大当り図柄を決定する。尚、大当り判定の結果が大当りでない(外れである)場合は、1種類しかない外れ図柄をそのまま、今回の図柄変動遊技で停止表示させる図柄として決定する。このように特図保留に基づき、大当たり判定を行うとともに、変動パターン、停止表示させる図柄(3種類の大当り図柄のうち1つの大当り図柄、または、外れ図柄)を決定したら、決定した変動パターンに基づき特別図柄を変動表示させて、決定した図柄を停止表示させる。S300の特別図柄遊技処理では、上述した処理に加えて次に説明する処理も行う。
図10は、第1実施例の大当り図柄停止時処理を示すフローチャートである。大当り図柄停止時処理は、特別図柄遊技処理(図9のS300)の中で、特別図柄を停止表示(確定表示)させた後に行われる処理である。主制御基板200のCPU201は、特別図柄を停止表示させたら(すなわち、図10に示す大当り図柄停止時処理を開始すると)、先ず、今回の図柄変動遊技で大当り図柄が停止表示されたか否かを判断する(S310)。その結果、大当り図柄が停止表示されなかった場合、すなわち、今回の図柄変動遊技で外れ図柄が停止表示された場合は(S310:no)、そのまま図10に示す大当り図柄停止時処理を終了する。
これに対して、今回の図柄変動表示の結果、特別図柄が大当り図柄で停止表示された場合は(S310:yes)、大当り待機中フラグをONに設定する(S312)。詳しくは後述するが、前述したように第1実施例のパチンコ機1では、大当り図柄が停止表示された後、遊技球が大当り開始ゲート37を通過したら、大当り遊技を開始する。大当り待機フラグは、大当り図柄が停止表示されてから遊技球が大当り開始ゲート37を通過するまでの状態(大当り待機中)であることを示すフラグであって、主制御基板200のRAM203の所定アドレスにその記憶領域が確保されている。S312の処理では、大当り図柄が停止表示されたことを受けて、大当り待機中とすべく、大当り待機フラグをONに設定する(S312)。
こうして大当り待機フラグをONに設定したら(S312)、振分部材73の振分動作の開始を指示するコマンド(振分動作開始コマンド)をモータコントローラ73cに向けて送信する(S314)。モータコントローラ73cは、振分動作開始コマンドを受信すると、振分用モータ73mを駆動することで、図6を用いて前述した振分部材73に振分動作を行わせる。すなわち、第1実施例のパチンコ機1では、大当り図柄が停止表示するまでは振分部材73の振分動作は停止されており、大当り図柄が停止表示されると(大当り待機中となると)、振分部材73の振分動作が開始される。
こうして振分動作開始コマンドをモータコントローラ73cに向けて送信したら(S314)、大当り待機中となったことを示す大当り待機中コマンドをサブ制御基板220に向けて送信する(S316)。サブ制御基板220のCPU221は、大当り待機中コマンドを受信すると、演出表示装置27等を利用して、大当り待機中であることを遊技者に報知するとともに、大当り開始ゲート37に遊技球を通過させることを遊技者に催促する。例えば、演出表示装置27の表示画面に「大当り待機中、大当り開始ゲートを狙え!」等の文字を表示する。
こうして大当り待機中コマンドをサブ制御基板220に向けて送信したら(S316)、図10に示す大当り図柄停止時処理を終了することで、図9のS300の特別図柄遊技処理を終了する。
そして、特別図柄遊技処理を終了したら(図9のS300)、続いて、「大当り開始処理(S400)」「大当り進行処理(S500)」を行う。以下では、「大当り開始処理(S400)」「大当り進行処理(S500)」の順に説明する。
A−3−2.大当り開始処理 :
図11は、第1実施例の大当り開始処理を示すフローチャートである。大当り開始処理では、大当り遊技を開始するための処理が行われる。大当り開始処理(S400)を開始すると、主制御基板200のCPU221は、大当り実行中フラグがONに設定されているか否かを判断する(S402)。大当り実行中フラグは、大当り遊技が実行中であるときにONに設定されるフラグであって、主制御基板200のRAM203の所定アドレスにその記憶領域が確保されている。したがって、S402の処理では、大当り遊技の実行中であるか否かが判断される。その結果、既に大当り遊技の実行中である場合は(S402:yes)、大当り遊技は開始せずに、そのまま図11に示す大当り開始処理を終了する。
これに対して、大当り遊技の実行中でない場合は(S402:no)、大当り待機中フラグがONに設定されているか否か、すなわち、大当り図柄が停止表示されたことで大当り待機中となっているか否かを判断する(S404)。その結果、大当り待機中でない場合は(S404:no)、大当り遊技は開始せずに、そのまま図11に示す大当り開始処理を終了する。
これに対して、大当り待機中である場合は(S404:yes)、遊技球が大当り開始ゲート37を通過したか否かを判断する(S406)。この判断処理は、大当りゲートスイッチ37sが遊技球を検出したか否かを判断することによって行われる。この結果、大当り待機中であるものの、未だ遊技球が大当り開始ゲート37を通過していない場合は(S406:no)、大当り遊技は開始せずに、そのまま図11に示す大当り開始処理を終了する。
これに対して、大当り待機中であって、遊技球が大当り開始ゲート37を通過した場合は(S406:yes)、大当り遊技を開始すべく、以下の処理を行う。先ず、大当り遊技中であることを示すべく、大当り実行中フラグをONに設定する(S408)。そして、大当り遊技が開始されることに伴って、大当り待機中であることを解消すべく大当り待機中フラグをOFFに設定する(S410)。
こうして大当り遊技を開始するに際してのフラグ処理を行ったら(S408,S410)、振分部材73の振分動作の停止を指示するコマンド(振分動作停止コマンド)をモータコントローラ73cに向けて送信する(S412)。モータコントローラ73cは、振分動作停止コマンドを受信すると、振分用モータ73mの駆動を停止することで、図6を用いて前述した振分部材73に振分動作を停止させる。すなわち、第1実施例のパチンコ機1では、図10を用いて前述したように、大当り図柄が停止表示されると(大当り待機中となると)振分部材73の振分動作が開始されるところ、その後に、遊技球が大当り開始ゲート37を通過することで大当り遊技が開始されると振分部材73の該振分動作を停止させる。尚、前述したように、モータコントローラ73cは、主制御基板200のCPU201から振分動作停止コマンドを受信すると、該コマンドを受信した時の姿勢(振分動作の態様)で振分部材73の振分動作を停止させる。すなわち、モータコントローラ73cが振分動作停止コマンドを受信した時の振分部材73の回動量の大きさに拘わらず、その時の回動量の大きさで振分部材73の振分動作を停止させる。
こうして振分動作停止コマンドをモータコントローラ73cに向けて送信したら(S412)、大当り遊技中の第1大入賞口60d,第2大入賞口65d(以下、特に区別しない場合は、まとめて「大入賞口」とも称する)の開放パターン(開放状態および閉鎖状態とするパターン)を設定する(S414)。ここで、第1実施例の大当り遊技では、大入賞口(第1大入賞口60d,第2大入賞口65d)を開放状態とするラウンド遊技を15回行う。具体的には、15回のラウンド遊技のうち、1回目〜9回目のラウンド遊技は第1大入賞口60dを開放状態とし、10回目〜15回目のラウンド遊技は第2大入賞口65dを開放状態とする。そこで、当然ながらS414の処理では、1回目〜9回目のラウンド遊技では第1大入賞口60dを開放状態とし、10回目〜15回目のラウンド遊技では第2大入賞口65dを開放状態とする開放パターンを設定する。
こうして、大当り遊技中の大入賞口(第1大入賞口60d,第2大入賞口65d)の開放パターンを設定したら(S414)、大当り遊技が開始されることを示す大当り開始コマンドをサブ制御基板220に向けて送信する(S416)。サブ制御基板220のCPU221は、大当り開始コマンドを受信すると、演出表示装置27等を利用して大当り遊技中であることを示す演出(大当り遊技演出)を実行する。
こうしてサブ制御基板220に大当り開始コマンドを送信したら(S416)、図11に示す大当り開始処理を終了して、大当り開始処理(図9のS400)に続く、大当り進行処理(図9のS500)を行う。
A−3−3.大当り進行処理 :
図12は、第1実施例の大当り進行処理を示すフローチャートである。大当り進行処理では、大当り遊技の進行に係る処理が行われる。大当り進行処理(S500)を開始すると、主制御基板200のCPU221先ず、大当り実行中フラグがONに設定されているか否か、すなわち、大当り遊技の実行中であるか否かを判断する(S502)。その結果、大当り遊技の実行中でない場合は(S502:no)、大当り遊技を進行させる必要はないので、そのまま図12に示す大当り進行処理を終了する。
これに対して、大当り遊技の実行中である場合は(S502:yes)、先ず、第1大入賞口60dまたは第2大入賞口65dの何れかが開放状態であるか否かを判断する(S504)。すなわち、大当り遊技の実行中は、上述したように第1大入賞口60dまたは第2大入賞口65dを開放状態(入球可能状態)とするので、これらのうち何れかが既に開放状態とされているか否かを判断する。大当り遊技が開始された直後は、大当り実行中フラグがONに設定されているだけで第1大入賞口60dおよび第2大入賞口65dの何れも未だ開放状態となっていないので、S504の判断処理では「no」と判断されて、大当り遊技の終了条件が成立したか否かが判断される(S510)。第1実施例のパチンコ機1では、大当り遊技の終了条件として、15回のラウンド遊技の終了が設定されている。したがって、S510の判断処理では、15回のラウンド遊技が終了したか否かが判断される。
大当り遊技を開始した直後は、当然ながら大当り遊技の終了条件は成立していないので、S510の判断処理では「no」と判断される。そして、大当り遊技の終了条件が成立していない間は(S510:no)、遊技球が特定領域71を通過したか否かを判断する(S512)。
ここで、第1実施例のパチンコ機1は、図10および図11を用いて前述したように、大当り待機中となると振分部材73の振分動作が開始され、大当り遊技が開始されると振分部材73の振分動作が停止される。そして、大当り遊技中は、図11を用いて前述したように、1回目〜9回目のラウンド遊技において第1大入賞口60dが開放状態となり、第1大入賞口60dに遊技球が入球する。第1大入賞口60dに入球した遊技球は、図6を用いて前述したように、振分領域70に案内され、振分部材73によって、特定領域71と非特定領域72とに振り分けされる。したがって、S512の判断処理では、1回目から9回目の第1大入賞口60dが開放状態となるラウンド遊技において、振分領域70に進入した遊技球が「振分動作の停止された振分部材73」に案内されて特定領域71を通過したか否かが判断される。尚、遊技球が特定領域71を通過したか否かの判断は、特定領域検出スイッチ71sが遊技球を検出したか否かを判断することによって行われる。
S512の判断処理の結果、遊技球が特定領域71を通過したと判断された場合は(S512:yes)、特定フラグをONに設定する(S514)。特定フラグは、遊技球が特定領域71を通過したことを示す(記憶するための)フラグであって、主制御基板200のRAM203の所定アドレスにその記憶領域が確保されている。当然ながら、遊技球が特定領域71を通過していない場合は(S512:no)、特定フラグをONに設定する処理は省略される。
こうして、遊技球の特定領域71の通過に係る処理を行ったら(S512,S514)、大入賞口(第1大入賞口60dまたは第2大入賞口65d)の閉鎖時間が経過したか否かを判断する(S516)。ここで大入賞口の閉鎖時間とは、ラウンド遊技とラウンド遊技との間で、大入賞口を閉鎖しておく時間である。S516の判断処理の結果、大入賞口の閉鎖時間が経過したと判断された場合は(S516:yes)、第1大入賞口60dまたは第2大入賞口65dの何れを開放状態とするかを判断する(S518)。そして、1回目〜9回目のラウンド遊技を開始するに際しては、第1大入賞口60dを開放状態とすると判断して(S518:yes)、第1大入賞口60dを開放状態とし(S520)、10回目〜15回目のラウンド遊技を開始するに際しては、第2大入賞口65dを開放状態とすると判断して(S518:no)、第2大入賞口65dを開放状態とする。こうして、大入賞口を開放状態としたら(S520,S522)、図12に示す大当り進行処理を終了して、図9に示す遊技制御処理に復帰する。
一方、S504の判断処理で、大入賞口(第1大入賞口60dまたは第2大入賞口65d)が既に開放状態であると判断された場合は(S504:yes)、ラウンド遊技の終了条件が成立したか否かを判断する(S506)。第1実施例のパチンコ機1では、ラウンド遊技の終了条件としては、「大入賞口の開放時間の所定時間(例えば30秒)到達」または「大入賞口への入球数の所定数(例えば10個)到達」が設定されている。
当然ながら、大入賞口が開放状態となった直後は、ラウンド遊技の終了条件は成立していないから(S506:no)、図12に示す大当り遊技処理を終了して、図9に示す遊技制御処理に復帰する。そして、再び大当り遊技処理を開始すると、大入賞口が開放状態であるか否か(S504)、およびラウンド遊技の終了条件が成立したか否かを判断し(S506)、未だラウンド遊技の終了条件が成立していなければ(S506:no)、図12に示す大当り遊技処理を終了して、図9に示す遊技制御処理に復帰する。このような処理を繰り返しているうちに、やがてラウンド遊技の終了条件が成立したと判断されるので(S506:yes)、開放状態の大入賞口(第1大入賞口60dまたは第2大入賞口65d)を閉鎖状態(入球不能状態)とする(S508)。
こうして大入賞口を閉鎖状態としたら(S508)、大当り遊技の終了条件が成立したか否かを判断する(S510)。そして、大当り遊技の終了条件が成立した場合は(S510:yes)、大当り遊技を終了する際の処理(大当り終了時処理)を行う(S600)。
図13は、第1実施例の大当り終了時処理を示すフローチャートである。大当り終了時処理を開始すると、主制御基板200のCPU201は先ず、大当り遊技を終了すべく、大当り実行中フラグをOFFに設定する(S602)。そして、大当り遊技の終了を示すコマンド(大当り終了コマンド)をサブ制御基板220に送信する(S604)。サブ制御基板220のCPU221は、大当り遊技終了コマンドを受信すると、それまで実行していた大当り遊技演出を終了する。
続いて、特定フラグがONに設定されているか否か、すなわち、今回終了した大当り遊技において、第1大入賞口60dに入球した遊技球が特定領域71を通過したか否かを判断する(S606)。その結果、遊技球が特定領域71を通過した場合は(S606:yes)、大当り遊技終了後の遊技状態を開放延長状態に設定すべく、変動短縮フラグおよび開放延長フラグをONに設定する(S608)。また、これに加えて、大当り遊技終了後の遊技状態を高確率状態に設定すべく、高確フラグをONに設定する(S610)。すなわち、大当り遊技終了後の遊技状態を開放延長状態且つ高確率状態に設定する。続いて、継続カウンタの値に「70」を設定する(S612)。継続カウンタは、「遊技状態が開放延長状態且つ高確率状態に設定された期間」が終了するまでの残りの図柄変動遊技回数が設定されるカウンタであって、主制御基板200のRAM203の所定アドレスにその記憶領域が確保されている。この継続カウンタの値は、「遊技状態が開放延長状態且つ高確率状態に設定された期間」において、図柄変動遊技が1回行われると「1」減算され、70回の図柄変動遊技が行われることで継続カウンタの値が「0」になると、変動短縮フラグおよび開放延長フラグがOFFに設定されることで遊技状態が非開放延長状態に設定され、且つ、高確フラグがOFFに設定されることで遊技状態が低確率状態に設定される(遊技状態が非開放延長状態且つ低確率状態に設定される)。
続いて、次回の大当り遊技中における遊技球の特定領域71通過に備えて、特定フラグをOFFに設定した後(S614)、図13に示す大当り終了時処理を終了して、図12に示す大当り進行処理に復帰する。尚、今回終了した大当り遊技において遊技球が特定領域71を通過しなかった場合は、S608〜S612の処理を省略する。すなわち、大当り遊技終了後の遊技状態を非開放延長状態且つ低確率状態に設定する。
以上のように、第1実施例のパチンコ機1では、大当り遊技中に遊技球が特定領域71を通過した場合は、70回の図柄変動遊技が行われるまで該大当り遊技終了後の遊技状態を開放延長状態且つ高確率状態に設定する。これに対して、大当り遊技中に遊技球が特定領域71を通過しなかった場合は、該大当り遊技終了後の遊技状態を非開放延長状態且つ低確率状態に設定する。
A−4.第1実施例のパチンコ機1によって得られる効果 :
図14は、第1実施例のパチンコ機1によって得られる効果を説明するための説明図である。図14に示すように、第1実施例のパチンコ機1では、特別図柄(識別情報)が大当り図柄で停止表示されると(特定結果となると)(ev.1)、振分部材73(振分手段)の振分動作を開始するとともに(ev.2)、「遊技球が大当り開始ゲート37を通過するまで大当り遊技の開始を待機している状態(大当り待機中)」となる。そして、大当り待機中に遊技球が大当り開始ゲート37を通過すると(開始条件が成立することに基づいて)(大当りゲートスイッチ37s(検知手段)に検知されると)(ev.3)、大当り遊技(特定遊技)を開始すると共に(ev.5)振分部材73(振分手段)の振分動作を停止する(ev.4)。
そして、大当り遊技中に第1大入賞口60dに入球した遊技球が特定領域71を通過すると(ev.6)、該大当り遊技終了後の遊技状態を開放延長状態且つ高確率状態に設定する(遊技利益を付与する)(ev.7)。これに対して、大当り遊技中に遊技球が特定領域71を通過しないと(ev.8)、該大当り遊技終了後の遊技状態を非開放延長状態且つ低確率状態に設定する(ev.9)。尚、当然ながら、特別図柄が外れ図柄で停止表示された場合は、大当り遊技は開始されない。
以上のように、第1実施例のパチンコ機1は、特別図柄が大当り図柄で停止表示された後に(大当り待機中に)遊技球が大当り開始ゲート37を通過すると、大当り遊技が開始されると共に「第1大入賞口60dに入球した遊技球が特定領域71に振り分けられる可能性」(図6参照)を変化させる振分部材73の振分動作が停止される。したがって、遊技球が大当り開始ゲート37を通過するタイミングによって、振分部材73の停止姿勢(振分手段の停止態様)、すなわち、「第1大入賞口60dに入球した遊技球が特定領域71に振り分けられる可能性(遊技状態が開放延長状態且つ高確率状態に設定される可能性)」が異なる。これにより、振分部材73の姿勢が「第1大入賞口60dに入球した遊技球が特定領域71に振り分けられる可能性(遊技状態が開放延長状態且つ高確率状態に設定される可能性)」が高い姿勢(図6(c)に近い姿勢)である時に大当り開始ゲート37に遊技球を通過させて大当り遊技を開始させることを、遊技者に狙わせる(期待させる)という斬新な遊技性を実現することができ、この結果、大当り遊技が開始される際の遊技興趣を高めることが可能となる。
また、第1実施例のパチンコ機1は、特別図柄が大当り図柄で停止表示されると(大当り待機中となると)、振分部材73の振分動作を開始させる。したがって、振分部材73の振分動作開始が、特別図柄が大当り図柄で停止表示されたこと(大当り待機中となったこと)の合図となるので、特別図柄が大当り図柄で停止表示されたこと(大当り待機中となったこと)を遊技者に印象付けることができる。また、その後に開始される大当り遊技において振分部材73の停止姿勢が「第1大入賞口60dに入球した遊技球が特定領域71に振り分けられる可能性」に影響することを遊技者に印象付けることができる。さらに、特別図柄が大当り図柄で停止表示される前から振分部材73に振分動作を行わせる必要がないので、CPU201やモータコントローラ73c、振分用モータ73m、振分部材73の負担を軽減することが可能となる。
B.第1変形例 :
上述した第1実施例では、特別図柄が大当り図柄で停止表示された後、直ちに遊技球が大当り開始ゲート37を通過した場合であっても、大当り遊技が開始されると共に振分部材73の振分動作が停止される構成とした。この構成に限らず、特別図柄が大当り図柄で停止表示された後、所定の時間(例えば5秒)が経過するまでは、遊技球が大当り開始ゲート37を通過したか否かに拘わらず、大当り遊技を開始しない無効期間を発生させる構成としてもよい。このような無効期間を発生させるためには、例えば、第1実施例の大当り開始処理(図11)に相当する処理を、特別図柄が大当り図柄で停止表示されてから所定の時間(無効期間)が経過するまで行わないようにする。
図15は、第1変形例のパチンコ機によって得られる効果を説明するための説明図である。図15に示すように、第1変形例のパチンコ機でも、第1実施例と同様に、特別図柄が大当り図柄で停止表示されると(ev.11)、振分部材73の振分動作を開始するとともに(ev.12)、「遊技球が大当り開始ゲート37を通過するまで大当り遊技の開始を待機している状態(大当り待機中)」となる。第1変形例では、この大当り待機中の期間のうち、該大当り待機中となってから所定の時間(例えば5秒)が経過するまでの期間を、遊技球が大当り開始ゲート37を通過しても大当り遊技を開始しない無効期間とする(無効期間発生手段)。そして、無効期間が終了した後に、遊技球が大当り開始ゲート37を通過すると(ev.13)、大当り遊技を開始すると共に(ev.15)振分部材73の振分動作を停止する(ev.14)。
そして、第1実施例と同様に、大当り遊技中に第1大入賞口60dに入球した遊技球が特定領域71を通過すると(ev.16)、該大当り遊技終了後の遊技状態を開放延長状態且つ高確率状態に設定する(ev.17)。これに対して、大当り遊技中に遊技球が特定領域71を通過しないと(ev.18)、該大当り遊技終了後の遊技状態を非開放延長状態且つ低確率状態に設定する(ev.19)。
以上のように、第1変形例のパチンコ機では、特別図柄が大当り図柄で停止表示されても、所定の時間が経過するまでは(無効期間が終了するまでは)、大当り遊技が開始されないので、振分部材73の振分動作も停止されない。したがって、所定の時間が経過するまでは、振分部材73の振分動作を遊技者に確認させることができる。これにより、振分部材73の振分動作に遊技者の注目を一旦引き付けた上で、振分部材73の姿勢が「第1大入賞口60dに入球した遊技球が特定領域71に振り分けられる可能性(遊技状態が開放延長状態且つ高確率状態に設定される可能性)」が高い姿勢(図6(c)に近い姿勢)である時に大当り開始ゲート37に遊技球を通過させて大当り遊技を開始させることを、遊技者に狙わせることができる。この結果、大当り遊技が開始される際の遊技興趣を更に高めることが可能となる。
C.第2実施例 :
上述した第1実施例および第1変形例では、大当り遊技の開始に伴って振分部材73の振分動作を開始する構成とした。これに代えて、大当り遊技中に第1大入賞口60dが開放状態となることに伴って振分部材73の振分動作を開始する構成としてもよい。
このような構成を好適に実現するために、第2実施例のパチンコ機では、停止表示された大当り図柄の種類に応じて3種類の大当り遊技を実行する。これら3種類の大当り遊技は、1回の大当り遊技中に行われるラウンド遊技の回数は互いに同一の15回であるものの、第1大入賞口60dを開放状態とするラウンド遊技の順番が互いに異なる。
図16は、第2実施例における大当り遊技の種類を示す説明図である。図16に示すように、特別図柄が大当り図柄「1」で停止表示された場合は、1回目(R)〜15回目(R)のラウンド遊技、すなわち、全てのラウンド遊技で第1大入賞口60dを開放状態とする大当り遊技を行う。また、特別図柄が大当り図柄「2」で停止表示された場合は、9回目(R)〜15回目(R)のラウンド遊技で第1大入賞口60dを開放状態とし、その他(1回目〜8回目)のラウンド遊技で第2大入賞口65dを開放状態とする大当り遊技を行う。また、特別図柄が大当り図柄「3」で停止表示された場合は、2回目(R),4回目(R),6回目(R),8回目(R),10回目(R),12回目(R),14回目(R)のラウンド遊技で第1大入賞口60dを開放状態とし、その他(1回目,3回目,5回目,7回目,9回目,11回目,13回目,15回目)のラウンド遊技で第2大入賞口65dを開放状態とする大当り遊技を行う。これらのような大当り遊技を行うためには、例えば、第1実施例の大当り開始処理(図11のS414)に相当する処理において、停止表示された大当り図柄の種類を特定して、特定した大当り図柄の種類に応じた大入賞口の開放パターンを設定する。
第2実施例のパチンコ機では、特別図柄が大当り図柄で停止表示されると(大当り待機中となると)、振分部材73の振分動作を開始し、その後は、大当り遊技の種類(第1大入賞口60dの開放パターン)に応じて、振分部材73の振分動作の開始および停止を行う。
図17は、大当り遊技の種類(停止表示された大当り図柄の種類)毎の第1大入賞口60dおよび第2大入賞口65dの開放パターンと共に、振分部材73の振分動作の開始タイミングおよび停止タイミングを示す説明図である。図17に示すように、大当り図柄「1」が停止表示された場合は、1回目のラウンド遊技で第1大入賞口60dが開放状態とされるので、1回目のラウンド遊技が開始されると(第1大入賞口60dが開放状態とされると)、振分部材73の振分動作を停止させる。そして、1回目のラウンド遊技が終了されると(第1大入賞口60dが閉鎖状態とされると)、振分部材73の振分動作を再開させる。その後も、15回目のラウンド遊技まで、第1大入賞口60dの開放状態および閉鎖状態が繰り返されるので、これに合わせて、第1大入賞口60dが開放状態となると振分部材73の振分動作を停止させ、第1大入賞口60dが閉鎖状態となると振分部材73の振分動作を開始させる。
また、大当り図柄「2」が停止表示された場合は、9回目のラウンド遊技で初めて第1大入賞口60dが開放状態とされるので、特別図柄が大当り図柄「2」で停止表示されてから9回目のラウンド遊技が開始されるまでは(第1大入賞口60dが開放状態とされるまでは)、振分部材73の振分動作を実行させて、9回目のラウンド遊技が開始されると(第1大入賞口60dが開放状態とされると)、振分部材73の振分動作を停止させる。そして、9回目のラウンド遊技が終了されると(第1大入賞口60dが閉鎖状態とされると)、振分部材73の振分動作を再開させる。その後も、15回目のラウンド遊技まで、第1大入賞口60dの開放状態および閉鎖状態が繰り返されるので、これに合わせて、第1大入賞口60dが開放状態となると振分部材73の振分動作を停止させ、第1大入賞口60dが閉鎖状態となると振分部材73の振分動作を開始させる。
また、大当り図柄「3」が停止表示された場合は、2回目のラウンド遊技で初めて第1大入賞口60dが開放状態とされるので、特別図柄が大当り図柄「3」で停止表示されてから2回目のラウンド遊技が開始されるまでは(第1大入賞口60dが開放状態とされるまでは)、振分部材73の振分動作を実行させて、2回目のラウンド遊技が開始されると(第1大入賞口60dが開放状態とされると)、振分部材73の振分動作を停止させる。そして、2回目のラウンド遊技が終了されると(第1大入賞口60dが閉鎖状態とされると)、振分部材73の振分動作を再開させる。その後も、4,6,8,10,12,14回目のラウンド遊技で、第1大入賞口60dの開放状態および閉鎖状態が繰り返されるので、これに合わせて、第1大入賞口60dが開放状態となると振分部材73の振分動作を停止させ、第1大入賞口60dが閉鎖状態となると振分部材73の振分動作を開始させる。
図18は、第2実施例のパチンコ機によって得られる効果を説明するための説明図である。図18に示すように、第2実施例のパチンコ機でも、第1実施例と同様に、特別図柄(識別情報)が大当り図柄で停止表示されると(特定結果となると)(ev.21)、振分部材73(振分手段)の振分動作を開始するとともに(ev.22)、「遊技球が大当り開始ゲート37を通過するまで大当り遊技の開始を待機している状態(大当り待機中)」となる。そして、大当り待機中に遊技球が大当り開始ゲート37を通過すると(ev.23)(大当りゲートスイッチ37s(検知手段)に検知されると)、大当り遊技を開始する(ev.24)。第2実施例では、大当り遊技の開始を契機として振分部材73の振分動作が停止されるわけではなく、大当り遊技中に第1大入賞口60dが開放状態となると振分部材73(振分手段)の振分動作が停止される(ev.25)。そして、大当り遊技中に第1大入賞口60dが閉鎖状態となると振分部材73の振分動作が開始される(ev.26)。したがって、第2実施例のパチンコ機では、大当り遊技中であっても、第1大入賞口60dが閉鎖状態である場合は、振分部材73の振分動作は停止される。このような振分動作の開始および停止を、大当り遊技中の第1大入賞口60dの開放パターンに合わせて繰り返す。
そして、第1実施例と同様に、大当り遊技中に第1大入賞口60dに入球した遊技球が特定領域71を通過すると(ev.27)、該大当り遊技終了後の遊技状態を開放延長状態且つ高確率状態に設定する(ev.28)。これに対して、大当り遊技中に遊技球が特定領域71を通過しないと(ev.29)、該大当り遊技終了後の遊技状態を非開放延長状態且つ低確率状態に設定する(ev.30)。尚、当然ながら、特別図柄が外れ図柄で停止表示された場合は、大当り遊技は開始されない。
以上のように、第2実施例のパチンコ機は、大当り遊技中に第1大入賞口60dが開放状態となると、「第1大入賞口60dに入球した遊技球が特定領域71に振り分けられる可能性」(図6参照)を変化させる振分部材73の振分動作が停止される。したがって、第1大入賞口60dが開放状態となるタイミングによって、振分部材73の停止姿勢(振分手段の停止態様)、すなわち、「第1大入賞口60dに入球した遊技球が特定領域71に振り分けられる可能性(遊技状態が開放延長状態且つ高確率状態に設定される可能性)」が異なる。これにより、振分部材73の姿勢が「第1大入賞口60dに入球した遊技球が特定領域71に振り分けられる可能性(遊技状態が開放延長状態且つ高確率状態に設定される可能性)」が高い姿勢(図6(c)に近い姿勢)である時に、第1大入賞口60dが開放状態となることを遊技者に期待させるという斬新な遊技性を実現することができ、この結果、大当り遊技中の遊技興趣を高めることが可能となる。
また、第2実施例のパチンコ機は、大当り遊技中に、第1大入賞口60dが開放状態となることで振分部材73の振分動作が停止された後、第1大入賞口60dが閉鎖状態となると、振分部材73の振分動作が再開される。そして、再度、第1大入賞口60dが開放状態となると、振分部材73の振分動作が再停止される。したがって、一旦は「第1大入賞口60dに入球した遊技球が特定領域71に振り分けられる可能性(遊技状態が開放延長状態且つ高確率状態に設定される可能性)」の低い姿勢で振分部材73の振分動作が停止されたとしても、次に第1大入賞口60dが開放状態となるときに「第1大入賞口60dに入球した遊技球が特定領域71に振り分けられる可能性(遊技状態が開放延長状態且つ高確率状態に設定される可能性)」の高い姿勢で振分部材73の振分動作が停止されることを遊技者に期待させるという斬新な遊技性を実現させることができ、この結果、大当り遊技中の遊技興趣を高めることが可能となる。
また、第2実施例のパチンコ機は、大当り遊技の種類(停止表示された大当り図柄の種類)に応じたパターン(順番のラウンド遊技)で、第1大入賞口60dが開放状態となると共に振分部材73の振分動作が停止され、第1大入賞口60dが閉鎖状態となると共に振分部材73の振分動作が開始される。したがって、大当り遊技の種類に応じて、振分部材73の振分動作に遊技者を注目させるタイミングを異ならせることができ、大当り遊技中の遊技興趣を高めることが可能となる。
また、第2実施例のパチンコ機は、第1実施例と同様に、特別図柄が大当り図柄で停止表示されると(大当り待機中となると)、振分部材73の振分動作を開始させる。したがって、振分部材73の振分動作開始が、特別図柄が大当り図柄で停止表示されたこと(大当り待機中となったこと)の合図となるので、特別図柄が大当り図柄で停止表示されたこと(大当り待機中となったこと)を遊技者に印象付けることができる。また、その後に開始される大当り遊技において振分部材73の停止姿勢が「第1大入賞口60dに入球した遊技球が特定領域71に振り分けられる可能性(遊技状態が開放延長状態且つ高確率状態に設定される可能性)」に影響することを遊技者に印象付けることができる。さらに、特別図柄が大当り図柄で停止表示される前から振分部材73に振分動作を行わせる必要がないので、CPU201やモータコントローラ73c、振分用モータ73m、振分部材73の負担を軽減することが可能となる。
D.第3実施例 :
上述した第1実施例〜第2実施例,第1変形例では、特別図柄が大当り図柄で停止表示された後(大当り待機中に)、遊技球が大当り開始ゲート37を通過したら大当り遊技を発生させる構成とした。これに限らず、次のような経路(手順)で大当り遊技を発生させる構成としてもよい。
図19は、第3実施例のパチンコ機における大当り遊技の発生経路を示す説明図である。第3実施例のパチンコ機では、大当り遊技の発生経路が2種類ある。1種類目の発生経路は、特別図柄が大当り図柄で停止表示されたら(ev.31)、直ちに大当り遊技を発生させる(ev.32)経路である。このような経路で発生する大当り遊技を、以下では「直当りの大当り遊技」ともいう。
2種類目の発生経路は、先ず、特別図柄が小当り図柄で停止表示されたら(所定条件が成立することに基づいて)(ev.33)、第1大入賞口60dを短時間だけ(大当り遊技より短い時間)開放状態とする小当り遊技(特定遊技)を実行する(ev.34)。そして、小当り遊技中に、遊技球が第1大入賞口60dに入球し、該遊技球が特定領域71を通過したら(ev.35)、大当り遊技を発生させる(遊技利益を付与する)経路である。このような経路で発生する大当り遊技を、以下では「小当り経由の大当り遊技」ともいう。尚、小当り図柄とは、大当り図柄および外れ図柄の何れとも異なる図柄である。
このような「小当り経由の大当り遊技」を発生可能な第3実施例のパチンコ機では、特別図柄の変動表示中に振分部材73(振分手段)の振分動作が実行されている(ev.36)。そして、小当り図柄が停止表示されて小当り遊技が開始されると(第1大入賞口60dが開放状態となると)、振分部材73(振分手段)の振分動作を停止させる(ev.37)。その後、小当り遊技が終了したら、振分部材73の振分動作を再開させる。尚、当然ながら、特別図柄が外れ図柄で停止表示された場合は、大当り遊技および小当り遊技は開始されない。
以上のように、第3実施例のパチンコ機は、小当り図柄が停止表示されて小当り遊技が開始されると(第1大入賞口60dが開放状態となると)、「第1大入賞口60dに入球した遊技球が特定領域71に振り分けられる可能性(小当り経由の大当り遊技が発生する可能性)」(図6参照)を変化させる振分部材73の振分動作が停止される。したがって、第1大入賞口60dが開放状態となるタイミングによって、振分部材73の停止姿勢(振分手段の停止態様)、すなわち、「第1大入賞口60dに入球した遊技球が特定領域71に振り分けられる可能性(小当り経由の大当り遊技が発生する可能性)」が異なる。これにより、振分部材73の姿勢が「第1大入賞口60dに入球した遊技球が特定領域71に振り分けられる可能性(小当り経由の大当り遊技が発生する可能性)」が高い姿勢(図6(c)に近い姿勢)である時に第1大入賞口60dが開放状態となること、を遊技者に期待させるという斬新な遊技性を実現することができ、この結果、小当り遊技が開始される際の遊技興趣を高めることが可能となる。
尚、「直当りの大当り遊技」および「小当り経由の大当り遊技」としては、第1実施例または第2実施例の大当り遊技と、発生経路が異なるものの、その他は同様の大当り遊技を実行することとしてもよい。
E.第2変形例 :
図20は、第2変形例の振分動作の開始および停止タイミングを示す説明図である。上述した第1実施例および第1変形例では、大当り遊技中は振分部材73の振分動作を停止させる構成としたが、図20(a)に示すように、大当り遊技が開始されることで振分部材73の振分動作を停止させた後、所定時間t1(大当り遊技の実行時間より短い時間、例えば5秒)が経過すると、振分部材73の振分動作を再開する構成としてもよい。
こうすれば、大当り遊技が開始されたときの振分部材73の姿勢が「第1大入賞口60dに入球した遊技球が特定領域71に振り分けられる可能性(遊技状態が開放延長状態且つ高確率状態に設定される可能性)」の高い姿勢であるか否かを遊技者に判断させた上で、振分部材73の振分動作が停止されている間に第1大入賞口60dに遊技球を入球させることを狙うか、振分部材73の振分動作が再開されてから第1大入賞口60dに遊技球を入球させることを狙うかを遊技者に思案させることができる。この結果、大当り遊技が開始される際の遊技興趣を高めることが可能となる。
また、上述した第2実施例では、第1大入賞口60dが開放状態である場合は振分部材73の振分動作を停止させる構成としたが、図20(b)に示すように、第1大入賞口60dが開放状態とされることで振分部材73の振分動作を停止させた後、所定時間t2(第1大入賞口60dが開放状態とされる時間より短い時間、例えば5秒)が経過すると、振分部材73の振分動作を再開する構成としてもよい。
こうすれば、第1大入賞口60dが開放状態とされたときの振分部材73の姿勢が「第1大入賞口60dに入球した遊技球が特定領域71に振り分けられる可能性(遊技状態が開放延長状態且つ高確率状態に設定される可能性)」の高い姿勢であるか否かを遊技者に判断させた上で、振分部材73の振分動作が停止されている間に第1大入賞口60dに遊技球を入球させることを狙うか、振分部材73の振分動作が再開されてから第1大入賞口60dに遊技球を入球させることを狙うかを遊技者に思案させることができる。この結果、大当り遊技中の遊技興趣を高めることが可能となる。
また、上述した第3実施例では、小当り遊技中は振分部材73の振分動作を停止させる構成としたが、図20(c)に示すように、小当り遊技が開始されることで振分部材73の振分動作を停止させた後、所定時間t3(小当り遊技の実行時間より短い時間、例えば2秒)が経過すると、振分部材73の振分動作を再開する構成としてもよい。
こうすれば、小当り遊技が開始されたときの振分部材73の姿勢が「第1大入賞口60dに入球した遊技球が特定領域71に振り分けられる可能性(小当り経由の大当り遊技が発生する可能性)」の高い姿勢であるか否かを遊技者に判断させた上で、振分部材73の振分動作が停止されている間に第1大入賞口60dに遊技球を入球させることを狙うか、振分部材73の振分動作が再開されてから第1大入賞口60dに遊技球を入球させることを狙うかを遊技者に思案させることができる。この結果、小当り遊技が開始される際の遊技興趣を高めることが可能となる。
F.第3変形例 :
上述した実施例および変形例では、遊技球を特定領域と非特定領域とに振り分けて通過させる振分手段としては、振分部材73を1つ備えた構成としたが、振分手段として次のような構成を採用してもよい。
図21は、第3変形例の振分手段を示す説明図である。第3変形例の振分手段は、第1実施例の振分部材73と同じ形状の振分部材を2つ備える。すなわち、図21に示すように、遊技球は、進入口80から上側振分領域81に進入する。上側振分領域81において、進入口80の下方には、上側振分部材82が設けられており、上側振分部材82の左側(一方)の下方には下側振分領域91への進入通路90が設けられ、上側振分部材82の右側(他方)の下方には非特定領域83が設けられている。
上側振分部材82は、基部側が上側振分用モータ(図示省略)の回転軸に接続されている。これにより、上側振分部材82は、基部側を回動中心にして左右に回動する動作(以下「上側振分動作」ともいう)を行うことが可能である。そして、上側振分部材82が左側(一方)に回動した場合は、上側振分領域81に進入した遊技球は、上側振分部材82の右側面(他方の面)および上側振分部材82と非特定領域83との間に突設された案内ピン84によって、非特定領域83に案内される(非特定領域83を通過する)可能性(確率)が高くなる。当然ながら、上側振分部材82の左側(一方)への回動量が大きいほど、上側振分領域81に進入した遊技球が上側振分部材82の右側面(他方の面)に接触する可能性が高くなるので、遊技球が非特定領域83に案内される(非特定領域83を通過する)可能性(確率)が高くなる。
これに対して、上側振分部材82が右側(他方)に回動した場合は、上側振分領域81に進入した遊技球は、上側振分部材82の左側面(一方の面)および上側振分部材82と進入通路90との間に突設された案内ピン85によって、下側振分領域91に案内される可能性が高くなる。当然ながら、上側振分部材82の右側(他方)への回動量が大きいほど、上側振分領域81に進入した遊技球が上側振分部材82の左側面(一方の面)に接触する可能性が高くなるので、遊技球が下側振分領域91に案内される可能性(確率)が高くなる。
下側振分領域91において、進入通路90の下方には、下側振分部材92が設けられており、下側振分部材92の左側(一方)の下方には特定領域96が設けられ、下側振分部材92の右側(他方)の下方には非特定領域93が設けられている。
下側振分部材92は、基部側が下側振分用モータ(図示省略)の回転軸に接続されている。これにより、下側振分部材92は、基部側を回動中心にして左右に回動する動作(以下「下側振分動作」ともいう)を行うことが可能である。そして、下側振分部材92が左側(一方)に回動した場合は、下側振分領域91に進入した遊技球は、下側振分部材92の右側面(他方の面)および下側振分部材92と非特定領域93との間に突設された案内ピン94によって、非特定領域93に案内される(非特定領域93を通過する)可能性(確率)が高くなる。当然ながら、下側振分部材92の左側(一方)への回動量が大きいほど、下側振分領域91に進入した遊技球が下側振分部材92の右側面(他方の面)に接触する可能性が高くなるので、遊技球が非特定領域93に案内される(非特定領域93を通過する)可能性(確率)が高くなる。
これに対して、下側振分部材92が右側(他方)に回動した場合は、下側振分領域91に進入した遊技球は、下側振分部材92の左側面(一方の面)および下側振分部材92と特定領域96との間に突設された案内ピン95によって、特定領域96に案内される可能性が高くなる。当然ながら、下側振分部材92の右側(他方)への回動量が大きいほど、下側振分領域91に進入した遊技球が下側振分部材92の左側面(一方の面)に接触する可能性が高くなるので、遊技球が特定領域96に案内される可能性(確率)が高くなる。
上述したような第3変形例の振分手段を採用した場合は、上述した実施例および変形例における振分動作の停止タイミングで、上側振分動作および下側振分動作のうち何れか一方(複数の振分部材のうち一部の稼働)を停止する構成としてもよい。このように上側振分動作および下側振分動作のうち何れか一方のみを停止することによって、「第1大入賞口60dに入球した遊技球が特定領域96に振り分けられる可能性」の一部は決定されるものの、上側振分動作および下側振分動作のうち他方は継続するので、その後も該可能性を変動させることができる。これにより、「第1大入賞口60dに入球した遊技球が特定領域96に振り分けられる可能性」を多様にすることができる。また、上側振分動作および下側振分動作のうち何れか一方(複数の振分部材のうち一部の稼働)または全部を停止する構成とした場合は、上側振分動作および下側振分動作のうち何れか一方(複数の振分部材のうち一部の稼働)が停止するか全部が停止するかに遊技者を注目させることができる。これらの結果、大当り遊技または小当り遊技が開始される際の遊技興趣を高めることが可能となる。
以上、本発明について実施例および変形例を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各請求項に記載した範囲を逸脱しない限り、各請求項の記載文言に限定されず、当業者がそれらから容易に置き換えられる範囲にも及び、かつ、当業者が通常有する知識に基づく改良を適宜付加することができる。
例えば、上述した第1実施例では、特別図柄が大当り図柄で停止表示された後に遊技球が大当り開始ゲート37を通過すると、振分部材73の振分動作を停止させる構成としたが、遊技球が大当り開始ゲート37を通過しても、振分部材73の振分動作を停止させない(継続させる)場合を設ける構成としてもよい。例えば、特別図柄が第1大当り図柄で停止表示された後に遊技球が大当り開始ゲート37を通過した場合は、振分部材73の振分動作を停止させ、特別図柄が第2大当り図柄で停止表示された後に遊技球が大当り開始ゲート37を通過した場合は、振分部材73の振分動作を停止させない構成としてもよい。また、振分部材73の振分動作を停止させるか否かを抽選によって決定し、該抽選で振分部材73の振分動作を停止させることが決定されたら該振分動作を停止し、該抽選で振分部材73の振分動作を停止させないことが決定されたら該振分動作を停止させない構成としてもよい。こうすると、遊技球が大当り開始ゲート37を通過するに際して、振分部材73の振分動作が停止するか否かに遊技者を注目させる遊技性を実現することが可能となる。
また、上述した実施例および変形例では、振分部材73の姿勢を遊技者が視認できる構成としたが、遊技者が視認できない構成としてもよい。この場合は、演出表示装置27等を利用して振分部材73の姿勢を遊技者に報知する構成としてもよい。
また、上述した第2実施例では、第1大入賞口60dが閉鎖状態となったら振分部材73の振分動作を再開する構成としたが、第2大入賞口65dが開放状態となったら振分部材73の振分動作を再開する構成としてもよい。
また、上述した第2実施例では、第1大入賞口60dが開放状態となるたびに振分部材73の振分動作を停止する構成としたが、第1大入賞口60dが開放状態となる機会のうち一部の機会において、振分部材73の振分動作を停止する構成としてもよい。
また、当然ながら、本発明の「振分手段」の構成は上述した実施例や変形例の構成に限定されず、本発明の目的を達成することができるのであれば、振分部材の個数や、形状、材質、動作態様等は何れであってもよい。例えば、皿状の部材に複数の穴が形成され、該複数の穴のうち一部を特定領域とする構成(いわゆるクルーン)を採用してもよい。
また、上述した実施例では、遊技ホールの島設備から供給される遊技球を「貸球」や「賞球」として利用し、遊技盤に設けられた各種入賞口(第1始動口17a、第2始動口17b、第1大入賞口60d、第2大入賞口65d等)への遊技球の入球に応じて所定数の賞球を払い出すことによって、遊技の結果としての遊技価値を遊技者に付与するパチンコ機1に本発明を適用した例を説明したが、「賞球の払い出し」とは異なる形態で遊技価値を付与するタイプの遊技機にも、本発明を適用することができる。例えば、各種入賞口への遊技球の入球が発生することで、その入球に対応する遊技価値の量(大きさ)を示すデータを主制御部あるいは払出制御部のRAMに記憶することによって、遊技価値を遊技者に付与するタイプのパチンコ機にも本発明を適用することができ、この場合にも、上述した実施例と同様の効果を得ることができる。なお、遊技価値をデータ化して遊技者に付与するタイプのパチンコ機としては、パチンコ機に内蔵された複数個の遊技球を循環させて使用する遊技機、具体的には、各種入賞口あるいはアウト口を経て遊技盤の裏面に排出された遊技球を、再度、発射位置に戻して発射するように構成されたパチンコ機(いわゆる封入式遊技機)を例示できる。