JP5239828B2 - 放電ランプ - Google Patents

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Description

本発明は、高負荷で高輝度の放電ランプに関し、更に詳しくは、陰極材料に易電子放射性材料としてランタン(La)を含む材料を使用したことを特長とする放電ランプに関する。
露光処理に用いられる露光装置用の光源として使用されている放電空間に水銀が封入されている放電ランプや、映写機などにおいて光源として使用されている放電空間にキセノンガスが封入されている放電ランプにおいて、タングステン(W)を主成分とする陰極に、易電子放射性材料として酸化ランタン(La)を含有させることによって、良好な電子放射特性を示すことが知られている。
しかしながら、易電子放射性材料として酸化ランタン(La)を含有させた陰極を有する放電ランプでは、点灯時に陰極にかかる高熱負荷のために、ランタン(La)が早期に蒸発して枯渇し、安定した放電を維持することができなくなってしまうことが問題となっている。
そこで、特開2006−286236号公報に示す技術には、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)などがタングステンよりも酸素と結びつきやすいという特性を利用し、これらの金属から選ばれた少なくとも1種類の金属酸化物を共存させることによって、タングステン酸化物が形成されることを抑制できることが記載されている。融点の低いタングステン酸化物が、陰極の動作温度程度で液相化されることが抑制され、長時間に亘って安定した該易電子放射性材料の供給がなされ、安定した放電を長時間維持することができるようになる。
さらに、特表2005−519436号公報に示す技術には、酸化物またはカーバイドを添加することによって改善を達成させることが試みられたことが記載されている。
特開2006−286236号公報 特表2005−519436号公報
ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)などから選ばれた少なくとも1種類の金属酸化物を共存させることによって、ランタン(La)が早期に蒸発して枯渇することは防止できるようになったが、酸化ランタン(La)として含有されている易電子放射性材料の還元が不十分で、長寿命の放電ランプを提供するにはランタン(La)がなお不足している。ランタン(La)が不足すると、陰極の先端部におけるランタン(La)原子の被覆率(1原子層で被覆するときを1とするLa原子の表面密度)が小さくなり、仕事関数が大きくなって陰極の温度が上がって変形し、チラツキが発生するという問題がある。
本発明は、以上のような問題を解決するためになされたものであって、易電子放射性材料として酸化ランタン(La)が含有されている陰極を有する放電ランプにおいて、酸化ランタン(La)の還元を促し、ランタン(La)の供給量を増やし、長寿命の放電ランプを提供することを目的とする。
本願第1の発明は、放電容器の内部に当該放電容器の管軸方向において対向するように配置された陽極と陰極とを有し、タングステン金属基体中に、ランタンの金属酸化物と、ジルコニウムの金属酸化物とが含まれた材料により前記陰極が形成された放電ランプにおいて、前記陰極を構成するタングステン金属基体中に炭素が固溶して遍在していることを特徴とする。
本願第2の発明は、前記陰極は先端部とテーパ部と胴部とにより構成され、前記先端部に固溶する炭素の濃度は、前記テーパ部に固溶する炭素の濃度より高いことを特徴とする。

本願第1の発明に係る放電ランプによれば、易電子放射性材料として酸化ランタン(La)を含有する陰極に、炭素(C)を固溶させることによって、放電ランプの点灯時に温度が比較的高くならない部位でも酸化ランタン(La)の還元が進んでランタン(La)を生成することができる。陰極に炭素(C)が固溶していない場合に比べて、ランタン(La)の供給源となる部分を広げることができ、ランタン(La)の供給量を増やし、長寿命の放電ランプを提供することができる。
本願第2の発明に係る放電ランプによれば、点灯時に高温となる陰極の先端部の炭素(C)の濃度を高めて酸化ランタン粒子の付近のCO分圧を高くすることにより還元反応を抑制し、ランタン(La)の流出を抑えて、陰極の先端部の消耗を押さえることができる。また、陰極のテーパ部は、点灯時でも先端部ほど高温にならないので、先端部に比べて炭素(C)の濃度を下げて、還元反応を促進させている。テーパ部で生成されたランタン(La)がタングステン(W)の粒界に沿って拡散して陰極の先端部に供給され、ランタン(La)不足によるチラツキの発生を防いでいる。
図1は、本発明の放電ランプの一例として、露光装置用の光源として使用される、放電空間に水銀が封入されている放電ランプの構成を示す説明用断面図である。放電容器1の一部である発光管2だけを透過させてその内部の構造を示している。
放電ランプは、例えば石英ガラスなどの光透過性材料よりなり、概略球状の発光管2とその両端に連続して外方に伸びる封止管3とを有する放電容器1を備え、放電容器1の内部には、各々例えばタングステン(W)からなる陽極4および陰極5が放電容器1の管軸方向において対向配置されている。陰極5は、陽極4と向かい合うように配置される先端部51と、先端部51に向かって縮径するテーパ部52と、円柱状の胴部53により構成される。
放電容器1の内部空間には、発光物質または始動補助用のガスとしての水銀およびバッファガスがそれぞれ所定の封入量で封入されている。バッファガスとしては、例えばキセノンガスが封入される。水銀の封入量は、例えば1mg/cm〜70mg/cmの範囲内、例えば22mg/cmとされ、キセノンガスの封入量は例えば0.05MPa〜0.5MPaの範囲内、例えば0.1MPaとされる。
この放電ランプにおいて、陽極4および陰極5の電極間に高電圧例えば20kVが印加されることにより、陰極5から陽極4に電子が飛んで電極間で絶縁破壊が生じ、それに続いて放電アークが形成され、例えば波長365nmのi線や波長435nmのg線を含む光が放射される。
陽極4は、例えばタングステン含有率が99.99重量%以上である純タングステンを用い、陰極5には、タングステンを主成分とし、タングステン含有率を98重量%弱としている。この陰極5のタングステン金属基体中に、易電子放射性材料としてランタン(La)の金属酸化物と、易電子放射性材料を安定化させる安定化材として、ジルコニウム(Zr)の金属酸化物とが含まれ、さらに炭素(C)がタングステン(W)中に固溶している。
陰極5に含有される酸化ランタン(La)は易電子放射性材料であり、還元されて酸素が離脱し、ランタン原子としてタングステン中を移動して陰極の先端部51まで進み、陰極5の先端部51を被覆して単原子層電子放射陰極が形成される。すなわち、陰極5の先端部51にランタン(La)が1原子層で被覆することによって、陰極5の仕事関数が小さくなり、陰極5の動作温度が下がり、陰極5の寿命を延ばすことができる。
陰極5に含有される酸化ジルコニウム(ZrO)は易電子放射性材料を安定化させる安定化材であり、タングステン酸化物が形成されて、融点が低下することによる液相化を抑制することができるものである。酸化ランタン(La)が還元されることにより発生する酸素(O)は、ジルコニウム(Zr)等がない場合には、タングステン(W)と結合してタングステン酸化物(WO)を生成する。タングステン酸化物(WO)は、ランタン酸化物(La)と融点の低い化合物を形成し、液相化することによってエミッターの輸送速度が急速に増加し、消耗してしまうという問題が生じる。
そのため、酸化ジルコニウム(ZrO)を添加し、タングステン(W)よりも酸素と結びつきやすいジルコニウム(Zr)が酸素ゲッタとして機能し、タングステン酸化物(WO)が形成されることを抑制している。融点の低い化合物が形成されなくなるので、陰極5の動作温度程度で液相化されることが抑制され、ランタン(La)が早期に蒸発して枯渇することを防止できる。
陰極5に含有される炭素(C)は、金属元素と化合物を形成した炭化物(カーバイド)のような形態ではなく、タングステン(W)中に固溶した単体で存在している。固溶とは、金属の結晶構造の中に他の原子が入り込んでも、元の結晶構造の形を保って固体状態で混じり合っている状態をいい、具体的には、原子半径の小さい炭素(C)が、タングステン(W)の金属結晶格子の原子間のすきまに侵入した侵入型固溶体となっている。
図2は、タングステン(W)と炭素(C)の平衡状態図である。
出典:S.V. Nagender Naidu and P.Rama Rao, Phase Diagrams of Binary Tungsten Alloys,(Indian Institute of Metals, 1991) P.37-50
横軸はタングステン(W)と炭素(C)の比率を示し、縦軸は温度を示す。
平衡状態図より、タングステン(W)に含有する炭素(C)の割合によって、炭素(C)の混入する状態も変わることがわかる。グラフの中央下部分(a)は、炭素(C)の比率が30%〜50%で、温度が2700℃以下である状態を示し、炭化タングステン(WC)のようなタングステン(W)と炭素(C)の化合物である炭化物(カーバイド)を作ることが読み取れる。グラフの左端部分(b)は、炭素(C)の比率が極少量で、温度が2700℃近辺である状態を示し、炭素(C)は化合物を形成せず、タングステン(W)に固溶し、炭素(C)が単体として存在することが読み取れる。このような(b)の条件の状態を固溶体といい、2種類以上の元素が互いに溶け合い、全体が均一の固相となっている。
図3は、図2に示す平衡状態図の、炭素(C)の比率が極僅かな部分を拡大して示す図である。
出典:S.V. Nagender Naidu and P.Rama Rao, Phase Diagrams of Binary Tungsten Alloys,(Indian Institute of Metals, 1991) P.37-50
炭素(C)の比率が極少量の左側(b)が固溶相となり、炭素(C)の比率が比較的大きく、温度が高い右上(α)が固溶相と液相とが混ざった状態を示し、炭素(C)の比率が比較的大きく、温度が低い右下(β)が固溶相とカーバイドとが混ざった状態を示す。
固溶相と液相とが混ざった状態(α)と固溶相(b)との境界線から、炭素(C)の割合が大きくなると、融点が下がることが読み取れる。陰極5の先端部51の付近は点灯時に3000℃程度の高温になるため、炭素(C)の混入割合を小さく抑え、点灯時に陰極5が溶融しないようにする必要がある。放電ランプの点灯時でも陰極5が溶けないようにするためには、炭素の濃度が100wt.ppm(約0.15at.%)以下でなければならないことが、平衡状態図から読み取れる。
上記のようなタングステン金属基体中に炭素(C)を固溶させた構成を陰極5に適用して試験したところ、放電ランプの寿命が改善された。改善された理由としては、以下の現象が生じていることが推測される。
タングステン(W)中に固溶している炭素(C)は、同じくタングステン(W)中に含有される酸化ランタン(La)と以下のような反応を起こし、酸化ランタン(La)を還元する。
La+3C ⇔ 2La+3CO
還元されて生成された単体のランタン(La)は、タングステン(W)の結晶粒界を拡散して、陰極5の先端部51に進む。一方、還元に伴って生成された一酸化炭素(CO)はタングステン(W)中の酸化ランタン(La)を含む酸化物の粒が存在する空隙に気体として存在することになる。
酸化ランタン(La)の還元が進むと一酸化炭素(CO)の量も増え、上記の空隙における一酸化炭素(CO)の圧力が高くなる。このような状態になると、一酸化炭素(CO)はタングステン(W)に接するところで炭素(C)と酸素(O)とに分解しそれぞれタングステン(W)中に固溶する。
このような二次反応(CO ⇔ C+O)により、炭素(C)は繰り返し使われるため、少量でも酸化ランタン(La)を十分に還元させることができる。また、酸化ランタン(La)の還元により発生する酸素(O)が、炭素と結合して一酸化炭素(CO)を生成し、タングステン酸化物(WO)が形成されることを抑制するので、ランタン(La)が早期に蒸発して枯渇することもない。
炭素(C)が金属元素と化合物を形成した炭化物(カーバイド)のような形態ではなく、タングステン(W)中に固溶した単体で存在しているので、炭素(C)を金属元素と分解する必要がない。炭素(C)を還元剤として使用するときに、炭素(C)を分解するために必要なエネルギーがいらないため、温度が比較的低いところでも酸化ランタン(La)の還元反応が起こる。
また、炭素(C)を炭化物(カーバイド)の形態で含有させると、炭化物(カーバイド)が陰極5の一部に局所的に偏在するようになるが、炭素(C)を固溶させると、少量の炭素(C)が陰極5に均一に遍在するようになる。したがって、陰極5のどの部分に存在する酸化ランタン(La)にも、直ぐ側に炭素(C)が配置され、酸化ランタン(La)の還元反応を遮ることなく進めることができる。
易電子放射性材料として酸化ランタン(La)を含有する陰極5に、炭素(C)を固溶させることによって、放電ランプの点灯時に温度が比較的高くならない部位でも酸化ランタン(La)の還元が進んでランタン(La)を生成することができる。陰極5に炭素(C)が固溶していない場合に比べて、ランタン(La)の供給源となる部分を広げることができ、ランタン(La)の供給量を増やし、長寿命の放電ランプを提供することができる。
易電子放射性材料として酸化ランタン(La)を用いる場合、これまでは、還元が十分に進まないためにランタン(La)が不足して陰極5の先端の温度が上昇してしまい、大電力が投入される大型の放電ランプには採用できなかった。しかしながら、陽極4に炭素(C)と酸素(O)を添加して陰極5の内部に炭素(C)を拡散するようにしたことにより、大電力が投入される大型の放電ランプに易電子放射性材料として酸化ランタン(La)を採用しても、ランタン(La)を十分に供給することができるようになる。
また、先端部51に固溶する炭素の濃度を、テーパ部52に固溶する炭素の濃度より高くなるように陰極5を構成して試験したところ、放電ランプの寿命がさらに改善された。改善された理由としては、以下の現象が生じていることが推測される。
結晶と結晶との間に気体として存在する一酸化炭素(CO)の圧力は、タングステン(W)中に固溶している炭素(C)と酸素(O)の濃度が高いほど、高くなる。La+3C ⇔ 2La+3COの化学反応式で示される酸化ランタンの還元は、平衡反応なので、一酸化炭素(CO)の濃度が高いほど、タングステン(W)中の酸化ランタンの還元反応が抑制され、エミッターとしてのランタン(La)の流出を抑える。
タングステン(W)中に固溶している炭素(C)の濃度が高いほど、一酸化炭素(CO)の分圧が上がり、酸化ランタン(La)の還元反応が抑制される。酸化ランタンの還元反応は温度にも依存するため、点灯時に高温となる陰極5の先端部51の炭素(C)の濃度を高めることにより還元反応を抑制し、ランタン(La)の流出を抑えて、陰極5の先端部51の消耗を押さえることができる。一方、陰極5の先端部51の周囲のテーパ部52は、点灯時でも先端部51ほど高温にならないので、先端部51に比べて炭素(C)の濃度を下げて、還元反応を促進させている。テーパ部52で生成されたランタン(La)がタングステン(W)の粒界に沿って拡散して陰極5の先端部51に供給され、ランタン(La)不足によるチラツキの発生を防いでいる。
続いて、タングステン(W)中に炭素(C)が固溶している陰極5の製造方法について説明する。
陰極材料であるタングステンは、粉末冶金法によって形成される。まず、調製タングステン粉末が適当な粒度分布を持つように平均粒径の異なる粉末を混合し、ステアリン酸などのバインダーを加え、型に充填し、加圧成形し、棒状の成形体を得る。続いて、水素中で徐々に温度を上げてバインダーをとばし、さらに温度を上げて仮焼結体を得る。この際、水素の露点が低いと、バインダー由来の炭素(C)の残留量が多くなるので、水素の露点を調節することで、炭素(C)のドープ量を調整できる。
なお、水素の露点を始めに低く保ってバインダー由来の炭素(C)の残留量を多くしておき、仮焼結の最後に、露点の高い湿った水素を流すことによって、陰極の表面付近の残留炭素(C)を取り除き、中心付近の炭素濃度が高く、先端周辺の炭素濃度が低い仮焼結体を得ることができる。
さらに、仮焼結体を水素中で通電焼結することによって、焼結棒が得られる。焼結の過程で、タングステン(W)中に含有する炭素(C)量が減少する。減少の割合は仮焼結体の太さ、原料粉末の粒度分布、仮焼結体のみかけ密度、焼結温度(通電電流)、焼結時間によって変化するので、減少割合に応じて、仮焼結時の水素の露点を調節し、多めに入れることで、所望の炭素量を持ったタングステン焼結棒が得られる。
また、放電によって炭素の注入することで、先端部51に固溶する炭素濃度を高くすることもできる。陰極形状に仕上げた後、大気圧のアルゴン雰囲気中で、陰極先端部で放電させ、先端温度が2500K程度になるように電流を調整する。その後、ガスをアルゴンに13Pa以下のメタンを混入したものに切り替え、約1時間程度放電を維持する。この処理により、先端部51の約3mm程度において、固溶する炭素濃度を高くすることができる。
続いて、陰極材料のタングステン(W)中に炭素(C)が固溶していることを検証する分析方法について説明する。
図3に示す平衡状態図より、タングステン(W)中に炭素(C)を含有し、かつ、その量が100wt.ppm以下のときは、あらゆる温度においても炭素(C)がカーバイドのような炭化物を形成せず、タングステン(W)中に炭素(C)が固溶しているといえる。したがって、陰極材料のタングステン(W)を分析し、炭素(C)を含有していることが確認され、その量が100wt.ppm以下であれば、タングステン(W)中に炭素(C)が固溶しているといえる。
タングステン(W)中に含有している炭素(C)の量を検出する分析方法は、タングステン・モリブデン工業会規格、タングステン及びモリブデン分析方法、16.全炭素定量方法による。全炭素の定量方法として、a)燃焼−誘電率法、b)燃焼−電量法、c)燃焼−電熱伝導法、d)燃焼−赤外線吸収法(積分法)、e)燃焼−赤外線吸収法(循環法)が挙げられているが、いずれでもよい。
ここでは、a)燃焼−誘電率法について説明する。
陰極5を砕いてタングステンの粉末状にして試料とし、試料を酸素気流中で加熱し、炭素を酸化して二酸化炭素とし、一定量の水酸化ナトリウム溶液に吸収させ、吸収前後の溶液の伝導率の変化を測定することによって、炭素の含有率を求めることができる。
なお、図1に示す放電ランプについて、水銀が封入されているものとして説明したが、封入物を水銀に替えてキセノンガスのみとし、映写機などにおいて光源として使用される放電ランプにおいて、本発明の炭素(C)が固溶された陰極とすることもできる。
続いて、本発明の実施例について説明する。
〔実験例〕
タングステン金属基体中に、ランタンの金属酸化物と、ジルコニウムの金属酸化物とが含まれた材料に、炭素を固溶させて形成された陰極を用いて、キセノンショートアークランプを製作し、1000時間まで点灯したときのランプ電圧を測定した。
陰極およびキセノンショートアークの構成は下記の通りである。
<仕様>
封入ガス:キセノン(Xe)0.65MPa(静圧)
入力:2kW
陰極:軸方向長さ15mm、胴部外径:6mm、テーパ部角度40°
主成分 タングステン、LaZrを2wt.%添加
実験対象1として、炭素が約10wt.ppmの濃度でタングステンに固溶した材料よりなる陰極を用意した。実験対象2として、表面から約3mmの先端部において炭素が約50wt.ppmの濃度で、表面から約3mm以上離れたテーパ部において炭素が約10wt.ppmの濃度で、タングステンに固溶した材料よりなる陰極を用意した。また、比較例として、炭素がタングステンに固溶していない材料よりなる陰極を用意した。
各陰極を用いたときのランプ電圧は、電圧変動率を用いて比較した。点灯後に定常状態になったときを起点とし、起点時(0h)と、起点から計測して連続点灯時間が100時間(100h)、200時間(200h)、500時間(500h)、1000時間(1000h)となった時点で電圧変動率を計測した。ここでは、電圧変動率を、10秒間の電圧波形にける最大値と最小値の差を平均値で割った値とした。
実験結果を表1に示す。
Figure 0005239828
キセノンランプは映写機などにおいて光源として使用されているが、照度変動が大きくなると映像面でのチラツキとなって現れるため、照度変動を基準としてランプ寿命が設定されている。電圧変動率は照度変動の代用特性として用いることができ、電圧変動率が5%を越えると照度変動が大きくなり、ランプ寿命と判定される。
この基準によると、比較例のキセノンランプの寿命は500時間程度であるが、炭素が固溶された陰極を有する実験対象1、2のキセノンランプの寿命は1000時間以上になる。特に先端部の炭素濃度を高くした実験対象2のキセノンランプは1000時間点灯後においても電圧変動率は低く維持されており、より長寿命のキセノンランプとなることが推測される。
本発明の放電ランプの一例における構成を示す説明用断面図 タングステン(W)と炭素(C)の平衡状態図 図2に示す平衡状態図の、炭素(C)の比率が極僅かな部分を拡大して示す図
符号の説明
1 放電容器
2 発光管
3 封止管
4 陽極
5 陰極

Claims (2)

  1. 放電容器の内部に当該放電容器の管軸方向において対向するように配置された陽極と陰極とを有し、タングステン金属基体中に、ランタンの金属酸化物と、ジルコニウムの金属酸化物とが含まれた材料により前記陰極が形成された放電ランプにおいて、
    前記陰極を構成するタングステン金属基体中に炭素が固溶して遍在していることを特徴とする放電ランプ。
  2. 前記陰極は先端部とテーパ部と胴部とにより構成され、前記先端部に固溶する炭素の濃度は、前記テーパ部に固溶する炭素の濃度より高いことを特徴とする請求項1に記載の放電ランプ。
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