JP2010192136A - 放電ランプ - Google Patents

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Abstract

【課題】 陰極5にかかる電流密度が50A/mm以上となる高負荷で高輝度の放電ランプにおいて、陰極5に易電子放射性材料として酸化ランタン(La)を含有させ、ランタン(La)を長時間にわたって先端部51に供給し、長寿命の放電ランプを提供すること。
【解決手段】 放電容器1の内部に当該放電容器1の管軸方向において対向するように配置された陽極4と陰極5とを有し、前記陰極5は、タングステン金属基体中に、ランタンの金属酸化物とジルコニウムの金属酸化物とよりなる易電子放射性材料が含まれた材料により形成され、50A/mm以上の電流密度がかけられる放電ランプにおいて、前記易電子放射性材料の粒子は、タングステン粒子に比べてアスペクト比が小さいことを特徴とする。
【選択図】 図2

Description

本発明は、高負荷で高輝度の放電ランプに関し、更に詳しくは、陰極材料に易電子放射性材料としてランタン(La)を含む材料を使用したことを特徴とする放電ランプに関する。
露光処理に用いられる露光装置用の光源として使用されている放電空間に水銀が封入されている放電ランプや、映写機などにおいて光源として使用されている放電空間にキセノンガスが封入されている放電ランプにおいて、タングステン(W)を主成分とする陰極に、易電子放射性材料を含有させることによって、良好な電子放射特性を示すことが知られている。易電子放射性材料としてトリウム(Th)を用いることが一般的であったが、近年、環境負荷を低減するために、放射性物質であるトリウム(Th)に代わってランタン(La)が使用されるようになっている。
しかしながら、易電子放射性材料として酸化ランタン(La)を含有させた陰極を有する放電ランプでは、点灯時に陰極にかかる高熱負荷のために、ランタン(La)が早期に蒸発して枯渇し、安定した放電を維持することができなくなってしまうことが問題となっている。
そこで、特開2006−286236号公報に示す技術には、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)などがタングステンよりも酸素と結びつきやすいという特性を利用し、これらの金属から選ばれた少なくとも1種類の金属酸化物を共存させることによって、タングステン酸化物が形成されることを抑制できることが記載されている。融点の低いタングステン酸化物が、陰極の動作温度程度で液相化されることが抑制され、安定した該易電子放射性材料の供給がなされ、安定した放電を長時間維持することができるようになる。
特開2006−286236号公報
ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)などから選ばれた少なくとも1種類の金属酸化物を共存させることによって、融点の低いタングステン酸化物が形成されることを抑制し、陰極の動作温度程度で液相化されないようにしている。しかし、陰極にかかる電流密度が50A/mm以上となる高負荷で高輝度の放電ランプにおいては、陰極が非常に高温になるため、易電子放射性材料として酸化ランタン(La)を用いると動作温度程度で液相化してしまう問題が発生する。
この問題の原因は、酸化ランタン(La)は、酸化トリウム(ThO)に比べて低い温度で流動性が高くなってしまうことにある。そのため、陰極の温度が非常に高くなる電流密度(ランプ電流を陰極先端から0.5mmの位置の断面積で除した見かけの電流密度)が50A/mm以上となる高負荷で高輝度の放電ランプにおいて、易電子放射性材料として酸化ランタン(La)を用いる場合、避けられない問題となる。
液相化した易電子放射性材料は陰極先端に供給されて消耗しやすいため、易電子放射性材料に酸化ランタン(La)を用いた場合は、酸化トリウム(ThO)を用いたときほど長い時間にわたって易電子放射性材料を供給し続けられず、早期に枯渇してしまう。易電子放射性材料が枯渇すると、陰極の先端部におけるランタン(La)原子の被覆率(1原子層で被覆するときを1とするLa原子の表面密度)が小さくなり、仕事関数が大きくなって陰極の温度が上がって変形し、チラツキが発生するという問題がある。
本発明は、以上のような問題を解決するためになされたものであって、陰極にかかる電流密度が50A/mm以上となる高負荷で高輝度の放電ランプにおいて、陰極に易電子放射性材料として酸化ランタン(La)を含有させ、ランタン(La)を長時間にわたって先端部に供給し、長寿命の放電ランプを提供することを目的とする。
本願第1の発明は、放電ランプにおいて、放電容器の内部に当該放電容器の管軸方向において対向するように配置された陽極と陰極とを有し、前記陰極は、タングステン金属基体中に、ランタンの金属酸化物とジルコニウムの金属酸化物とよりなる易電子放射性材料が含まれた材料により形成され、50A/mm以上の電流密度がかけられる放電ランプにおいて、前記易電子放射性材料の粒子は、タングステン粒子に比べてアスペクト比が小さいことを特徴とする。
本願第2の発明は、陰極の製造方法において、タングステン粉末と酸化ランタン粉末と酸化ジルコニウム粉末とを焼結して、スエージ加工をし、アニール処理をされた易電子放射性材料を介在物として含むタングステン材料のインゴットについて、乾燥水素中に通電して高温に保つ工程を有することを特徴とする。
本願第1の発明に係る放電ランプによれば、電子放射性材料の粒子は、タングステン(W)粒子に比べてアスペクト比が小さい結晶構造をしているので、易電子放射性材料がゆっくり消耗され、その拡散も軸方向に選択的に生じるようになる。これら2つの効果により、先端部から離れたより広い部位を易電子放射性材料の供給源とすることができるとともに、易電子放射性材料の消耗速度も遅くなるので、易電子放射性材料を長時間にわたって先端部に供給することができる。これより、ランタン(La)を長時間にわたって先端部に供給し、長寿命の放電ランプを提供することができる。
本願第2の発明に係る陰極の製造方法によれば、乾燥水素中にインゴットを置き、通電して高温に保つと、易電子放射性材料の結晶の変形を促して、アスペクト比を小さくすることができる。タングステン(W)中の水素の拡散速度は非常に速いため、乾燥水素中にインゴットを置くだけで、易電子放射性材料まで水素が到達し、球形に近づく方向に変形を促し、アスペクト比を小さくさせることができる。
本発明の放電ランプの一例における構成を示す説明用断面図 陰極を切断した断面における内部の結晶構造を示す図 タングステン(W)粒子のアスペクト比を求める方法を説明するための図
図1は、本発明の放電ランプとして、露光装置用の光源として使用される、放電空間に水銀が封入されている放電ランプの構成を示す説明用断面図である。放電容器1の一部である発光管2だけを透過させてその内部の構造を示している。
放電ランプは、例えば石英ガラスなどの光透過性材料よりなり、概略球状の発光管2とその両端に連続して外方に伸びる封止管3とを有する放電容器1を備え、放電容器1の内部には、各々例えばタングステン(W)からなる陽極4および陰極5が放電容器1の管軸方向において対向配置されている。陰極5は、陽極4と向かい合うように配置される先端部51と、先端部51に向かって縮径するテーパ部52と、円柱状の胴部53により構成される。
放電容器1の内部空間には、発光物質または始動補助用のガスとしての水銀およびバッファガスがそれぞれ所定の封入量で封入されている。バッファガスとしては、例えばキセノンガスが封入される。水銀の封入量は、例えば1mg/cm〜70mg/cmの範囲内、例えば22mg/cmとされ、キセノンガスの封入量は例えば0.05MPa〜0.5MPaの範囲内、例えば0.1MPaとされる。
このような高負荷で高輝度の放電ランプにおいて、陽極4および陰極5の電極間に、例えば20kVの高電圧が印加される。陰極5から陽極4に電子が飛んで電極間で絶縁破壊が生じ、それに続いて放電アークが形成され、例えば波長365nmのi線や波長435nmのg線を含む光が放射される。このとき、陰極5の先端部51に流れる単位面積当りの電流量、すなわち電流密度は50A/mm以上となっている。電流密度は、陰極5にかかる負荷を表す数値であり、非常に高い負荷がかかっていることがわかる。また、陰極5の先端部51は放電のアークがかぶっているので、実際には、先端部51から0.5mm内側に入ったところの、軸方向に垂直な陰極5の断面積の大きさを用いて、電流密度が算出される。
陽極4は、例えばタングステン含有率が99.99重量%以上である純タングステンを用い、陰極5には、タングステンを主成分とし、タングステン含有率を98重量%弱としている。この陰極5のタングステン金属基体中に、易電子放射性材料としてランタン(La)の金属酸化物と、易電子放射性材料を安定化させる安定化材として、ジルコニウム(Zr)の金属酸化物とが含まれている。
陰極5に含有される酸化ランタン(La)は易電子放射性材料であり、還元されて酸素が離脱し、ランタン原子としてタングステン中を移動して陰極5の先端部51まで進み、陰極5の先端部51を被覆して単原子層電子放射陰極が形成される。すなわち、陰極5の先端部51にランタン(La)が1原子層で被覆することによって、陰極5の仕事関数が小さくなり、陰極5の動作温度が下がり、陰極5の寿命を延ばすことができる。
陰極5に含有される酸化ジルコニウム(ZrO)は易電子放射性材料を安定化させる安定化材であり、タングステン酸化物が形成されて、融点が低下することによる液相化を抑制する作用を有するものである。酸化ランタン(La)が還元されることにより発生する酸素(O)は、ジルコニウム(Zr)等がない場合には、タングステン(W)と結合してタングステン酸化物(WO)を生成する。タングステン酸化物(WO)は、ランタン酸化物(La)と融点の低い化合物を形成し、液相化することによってエミッターの輸送速度が急速に増加し、消耗してしまうという問題が生じる。
そのため、酸化ジルコニウム(ZrO)を添加し、タングステン(W)よりも酸素と結びつきやすいジルコニウム(Zr)が酸素ゲッタとして機能し、タングステン酸化物(WO)が形成されることを抑制している。融点の低い化合物が形成されなくなるので、陰極5の動作温度程度で液相化されることが抑制され、ランタン(La)が早期に蒸発してしまうことを防止する効果がある。
図2は、陰極5を軸方向に沿って切断した断面における、テーパ部52の内部の結晶構造を示す図である。
陰極5の先端部51は、点灯時の放電アークに近く、非常に高温になるため、その内部のタングステン(W)の結晶が成長したり、易電子放射性材料が蒸発したりする。先端部51の内部の結晶構造は、点灯時間によって変わる不安定なものなので、先端部51より放電アークが離れているテーパ部52を用いて、陰極5の内部の結晶構造を確認する。具体的には、先端部51から1mm内側に入ったところテーパ部52の軸方向に沿って切断した断面を用いて評価することが好ましい。
なお、胴部53は、先端部51から離れすぎていて易電子放射性材料の供給源とならないため、先端部51に供給される易電子放射性材料の陰極5の内部での結晶構造を確認するには好ましい部位ではない。
テーパ部の内部の結晶構造は、主成分であるタングステン(W)の粒子6が密に並んで全体に分布しており、酸化ランタン(La)と酸化ジルコニウム(ZrO)とよりなる易電子放射性材料の粒子7が略均一に分布するように分散して配置している。結晶の粒子は、タングステン(W)も易電子放射性材料も電極の軸方向に長い非等方的な形状をしており、タングステン(W)の粒子6が易電子放射性材料の粒子7より大きくなっている。
また、軸方向に長い非等方的な形状をしているといっても、易電子放射性材料の粒子7の方が、タングステン(W)粒子6に比べて球状に近い形をしている。非等方的な形状の粒子の長径と短径との比をアスペクト比という。タングステン(W)粒子6と易電子放射性材料の粒子7のアスペクト比をそれぞれ計測して、比較した。
まず、タングステン(W)粒子のアスペクト比の測定方法を説明する。
タングステン(W)粒子のアスペクト比は切断法を用いて測定する。陰極を軸方向に切断して断面を研磨し、金属顕微鏡によって200倍程度に拡大して観察すると、断面で切断された結晶粒の形を見ることができる。JIS H 0501に記載の切断法によると、断面の写真に縦と横に直線を引き、各直線によって完全に切り取られる結晶粒数を数え、その切断長さの平均値を結晶粒の長さおよび幅とする。
図3を用いて具体的に説明する。直線A−A’によって切断される結晶粒は2個で、「平均の結晶粒の長さ」は、(A1−A3の長さ)/2となる。同様に直線B−B’を考えると、切断される結晶粒は7個、「平均の結晶粒の幅」は(B1−B8の長さ)/7となる。縦と横のそれぞれに等間隔で20本程度の直線を引き、それぞれについて「平均の結晶粒の長さまたは幅」を求める。縦方向について、20個程度求められた「平均の結晶粒の長さ」の平均値をこの領域における「結晶粒の長さ」とする。同様に、横方向について、20個程度求められた「平均の結晶粒の幅の平均値」をこの領域における「結晶粒の幅」とする。この「結晶粒の長さと幅」を用いて、タングステン(W)粒子のアスペクト比を求める。
次に、易電子放射性材料の粒子のアスペクト比を説明する。
易電子放射性材料の粒子のアスペクト比は画像処理を用いて測定する。陰極5を軸方向に切断して断面を撮影したSEM画像が用いられる。SEM画像では、易電子放射性材料の粒子が黒く映し出されるので、画像解析ソフト、例えばWinRoofを用いて、各易電子放射性材料の長さ、幅およびアスペクト比を求めることができる。なお、易電子放射性材料の粒子の形状にはバラツキがあるので、100個以上の易電子放射性材料の粒子について得られたアスペクト比の代数平均を、陰極5の内部に含有する易電子放射性材料の粒子のアスペクト比とすることが好ましい。
計測結果より、タングステン(W)粒子の結晶粒の長さは250μm、結晶粒の幅は50μm、アスペクト比は5と得られた。同様に、易電子放射性材料の粒子の長さは8μm、粒子の幅は3μm、アスペクト比は3と得られた。易電子放射性材料の粒子は、タングステン(W)粒子に比べて小さく、20分の1程度しかないことがわかった。また、アスペクト比は、タングステン(W)粒子の結晶粒方が易電子放射性材料の粒子より大きいことがわかった。なお、アスペクト比は非等方的な形状の粒子の長径と短径との比であり、アスペクト比が小さい易電子放射性材料の粒子の方が球形に近い形状をしていることがいえる。
粒子の形状が球形に近いということは、体積に対する表面積が小さくなり、粒子が外部に接触して反応できる面積が小さくなる。アスペクト比が小さい易電子放射性材料は、ゆっくり消耗するようになる。一方、タングステン(W)粒子は、アスペクト比が大きいので電極の軸方向に長い非等方的な形状をしており、その粒界も電極の軸方向に長くなっている。酸化ランタン(La)と酸化ジルコニウム(ZrO)とよりなる易電子放射性材料の拡散は、タングステン(W)粒子の粒界に沿って生じるため、軸方向に選択的に生じるようになる。
易電子放射性材料の粒子は、タングステン(W)粒子に比べてアスペクト比が小さい結晶構造をしているので、易電子放射性材料がゆっくり消耗されるとともに、その拡散も軸方向に選択的に生じるようになる。これら2つの効果により、先端部から離れたより広い部位を易電子放射性材料の供給源とすることができるとともに、易電子放射性材料の消耗速度も遅くなるので、易電子放射性材料を長時間にわたって先端部に供給することができる。これより、ランタン(La)を長時間にわたって先端部に供給し、長寿命の放電ランプを提供することができる。
続いて、易電子放射性材料の粒子がタングステン粒子に比べてアスペクト比が小さい結晶構造をしている陰極5の製造方法について説明する。
陰極材料であるタングステンは、粉末冶金法によって形成される。タングステン(W)粉末と酸化ランタン(La)粉末と酸化ジルコニウム(ZrO)粉末とを焼結することにより、易電子放射性材料を介在物として含むタングステン材料のインゴットが作られる。この段階ではタングステン結晶も易電子放射性材料の結晶も球形の等方的な形状をしている。
この棒状のインゴットを加熱して径方向に転打し、直径を小さくする方向に力を加える。このようなスエージ加工を受けるとタングステン結晶も易電子放射性材料の結晶も、インゴットの軸方向に伸びた形になる。加工が進むにつれてインゴットが硬くなるため、スエージ加工が困難になる。このような状態になると、インゴットをさらに高温に加熱してアニール処理をする。アニール処理では、タングステン結晶だけがあらゆる方向に等しい長さ成長するので、軸方向に長いタングステン結晶が径方向に太ってくる。易電子放射性材料の結晶の形状に変化がなく、タングステン結晶だけが径方向に太ってくるため、アスペクト比は、易電子放射性材料の結晶に比べてタングステン結晶の方が小さくなる。
従来の陰極は上記までの手順で製作されているため、易電子放射性材料の結晶に比べてタングステン結晶のアスペクト比の方が小さくなっていた。しかしながら、本発明の陰極は上記の手順に加えて以下の処理も加えているため、タングステン結晶に比べて易電子放射性材料の結晶のアスペクト比を小さくすることができる。
発明者らは鋭意研究の結果、水素が酸化物の結晶の変形速度を速めることを見出した。この原理を利用して、圧力が1気圧、露点が−40℃の乾燥水素中にアニール処理を終えたインゴットを置き、通電して約2200℃の高温に約30分保つと、易電子放射性材料の結晶の変形を促して、アスペクト比を小さくすることができる。タングステン(W)中の水素の拡散速度は非常に速いため、乾燥水素中にインゴットを置くだけで、易電子放射性材料まで水素が到達し、球形に近づく方向に変形を促し、アスペクト比を小さくすることができる。
乾燥水素中で高温に保っても、タングステン粒子は成長しないので、従来の陰極に含まれるタングステン粒子と大きさもアスペクト比も略同様となる。したがって、易電子放射性材料の粒子のアスペクト比が、タングステン粒子のアスペクト比に比べて小さくなることは、易電子放射性材料の粒子とタングステン粒子の大きさは従来と略同等で、易電子放射性材料の粒子が球形に近い形状となることを意味する。そのため、易電子放射性材料の粒子の体積当りの表面積が小さくなり、易電子放射性材料の消耗速度が遅くなる。
続いて、本発明の実施例について説明する。
〔実験例〕
タングステン金属基体中に、易電子放射性材料として酸化ランタン(LaO3)が2wt.%と酸化ジルコニウム(ZrO)が0.1wt.%添加された材料よりなる陰極を用意し、この陰極を用いて定格電力が2kWのキセノンショートアークランプを製作した。ランプへの入力電流が70Aで、陰極の先端から0.5mm内側の軸方向に垂直な断面積が0.73mmなので、陰極にかかる電流密度は96A/mmとなる。
本発明に係る陰極として、タングステン(W)粒子のアスペクト比が5、易電子放射性材料の粒子のアスペクト比が3となる材料を用意した。また、従来技術に係る陰極として、タングステン(W)粒子のアスペクト比が5、易電子放射性材料の粒子のアスペクト比が10となる材料を比較例とした。
各陰極を電圧変動率の推移を計測して比較した。点灯後に定常状態になったときを起点とし、起点時(0h)と、起点から計測して連続点灯時間が100時間(100h)、200時間(200h)、500時間(500h)、1000時間(1000h)となった時点で電圧変動率を計測した。ここでは、電圧変動率を、10秒間の電圧波形における最大値と最小値の差を平均値で割った値とした。
実験結果を表1に示す。
Figure 2010192136
キセノンランプは映写機などにおいて光源として使用されているが、照度変動が大きくなると映像面でのチラツキとなって現れるため、照度変動を基準としてランプ寿命が設定されている。電圧変動率は照度変動の代用特性として用いることができ、電圧変動率が5%を越えると照度変動が大きくなり、ランプ寿命と判定される。
この基準によると、従来技術に係る陰極を備えるキセノンランプの寿命は500時間程度であるが、本発明に係る陰極を備えるキセノンランプの寿命は1000時間以上になり、長寿命の放電ランプを提供できることがわかった。
1 放電容器
2 発光管
3 封止管
4 陽極
5 陰極

Claims (2)

  1. 放電容器の内部に当該放電容器の管軸方向において対向するように配置された陽極と陰極とを有し、前記陰極は、タングステン金属基体中に、ランタンの金属酸化物とジルコニウムの金属酸化物とよりなる易電子放射性材料が含まれた材料により形成され、50A/mm以上の電流密度がかけられる放電ランプにおいて、
    前記易電子放射性材料の粒子は、タングステン粒子に比べてアスペクト比が小さいことを特徴とする放電ランプ。
  2. タングステン粉末と酸化ランタン粉末と酸化ジルコニウム粉末とを焼結して、スエージ加工をし、アニール処理をされた易電子放射性材料を介在物として含むタングステン材料のインゴットについて、
    乾燥水素中に通電して高温に保つ工程を有することを特徴とする陰極の製造方法。
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