JP2001307676A - 電子放出用電極とその製造方法、およびそれを用いた放電灯 - Google Patents

電子放出用電極とその製造方法、およびそれを用いた放電灯

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 レーザ光用Xeランプやフォトエッチング用
超高圧水銀ランプなどのランプに用いられる電子放出用
電極(陰極)において、ランプ点灯時間の増加に伴う電
子放出特性の低下を抑制する。これによりランプの長寿
命化を実現する。 【解決手段】 W、Mo、NbおよびTaから選ばれる
少なくとも1種の高融点金属を基材とし、これにTh、
Hf、Zrおよび希土類元素から選ばれる少なくとも1
種の酸化物からなるエミッション材を含有させた高融点
金属合金からなる電子放出用電極である。このような電
子放出用電極において、電極内部のエミッション材の含
有濃度C1より電極表面および表面近傍層のエミッショ
ン材の含有濃度C2を高める(C1<C2)。例えば、エ
ミッション材の含有濃度C2を含有濃度C1に対して2倍
以上とする。このような電子放出用電極を陰極2として
用いることによって、ランプ4を構成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、Wなどの高融点金
属を用いた電子放出用電極とその製造方法、およびそれ
を用いた放電灯に関する。
【0002】
【従来の技術】レーザ光用キセノン(Xe)ランプや半
導体フォトエッチング用超高圧水銀ランプなどの電極に
は、一般にタングステン(W)が用いられている。具体
的には、陰極には仕事関数が低い酸化トリウムや希土類
酸化物などをエミッション材として含有させたタングス
テン合金が使用されており、また陽極には純タングステ
ンや結晶成長を抑制するためにK、Si、Alなどをド
ープしたドープドタングステンが使用されている。
【0003】上述したレーザ光用Xeランプやフォトエ
ッチング用超高圧水銀ランプなどの大電流を流すランプ
(以下、大電流型ランプと記す)に対する要求寿命は、
従来は1000時間程度であったが、近年になり設備や装置
の稼働率などの向上を目的として、2000時間の以上の寿
命が要求されるようになってきている。
【0004】ところで、上記したような大電流型ランプ
の寿命に影響を及ぼす要因の1つとして、陰極の電子放
出特性が挙げられる。従来の陰極は、Wなどの高融点金
属からなる多孔質基体を作製し、その空孔部にトリウム
や希土類元素、もしくはそれらの酸化物を含浸させた
り、あるいはドープ法や粉末混合法などにより酸化トリ
ウムや希土類酸化物をWなどの高融点金属に添加し、こ
れを粉末冶金法で成形した後、機械加工を施して所定の
電極形状に仕上げることにより得ている。
【0005】上述したような従来の放電灯用の陰極にお
いて、電子放出特性は酸化トリウムや希土類酸化物など
のエミッション材の分散性、存在量などに起因するとこ
ろが大である。そして、電極の表面近傍に存在するエミ
ッション材は、放電灯の稼働時間の経過と共に減少する
傾向にあり、これにより電子放出特性は劣化することに
なる。このような電子放出特性の劣化が放電灯の寿命の
低下要因となっている。特に、大電流型ランプの陰極に
おいては、表面近傍のエミッション材の減少が比較的早
期に起こるため、より一層寿命を低下させることにな
る。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上述したように、従来
のレーザ光用Xeランプやフォトエッチング用超高圧水
銀ランプなどの放電灯においては、陰極の表面近傍に存
在するエミッション材の減少が放電灯の寿命低下要因と
なっており、これが近年の高寿命化要求を損う原因にな
っている。
【0007】このような点に対して、陰極を構成する電
極材料全体のエミッション材の含有濃度を高めることも
考えられるが、電極材料全体としてエミッション材の含
有濃度を高くしすぎると、塑性加工性が悪化したり、ま
たエミッション材が偏析して分布が不均一になるという
ような問題を引き起こすことになる。
【0008】本発明はこのような課題に対処するために
なされたもので、大電流型ランプなどの放電灯の陰極と
して用いた場合に、点灯時間の増加に伴う電子放出特性
の劣化を抑制することを可能にした電子放出用電極とそ
の製造方法を提供することを目的としており、またその
ような電極を用いることによって、高寿命化を図ること
を可能にした放電灯を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の電子放出用電極
は、請求項1に記載したように、W、Mo、Nbおよび
Taから選ばれる少なくとも1種の高融点金属を基材と
し、これにTh、Hf、Zrおよび希土類元素から選ば
れる少なくとも1種の酸化物からなるエミッション材を
含有させた高融点金属合金からなる電子放出用電極にお
いて、前記電極内部の前記エミッション材の含有濃度を
1、前記電極の表面層における前記エミッション材の
含有濃度をC2としたとき、C1<C2を満足することを
特徴としている。
【0010】本発明の電子放出用電極において、請求項
2に記載したように、電極の表面層におけるエミッショ
ン材の含有濃度C2は、電極内部のエミッション材の含
有濃度C1に対して2倍以上とすることが好ましい。ま
た、このようなエミッション材がリッチな表面層は、請
求項3に記載したように、電極の表面から少なくとも深
さ10μmの範囲とすることが好ましい。本発明の電子放
出用電極は請求項6に記載したように、例えば放電灯用
電極として用いられるものである。
【0011】また、本発明の電子放出用電極の製造方法
は、請求項7に記載したように、W、Mo、Nbおよび
Taから選ばれる少なくとも1種の高融点金属を基材と
し、これにTh、Hf、Zrおよび希土類元素から選ば
れる少なくとも1種の酸化物からなるエミッション材を
含有させた高融点金属合金からなる電子放出用電極を作
製するにあたり、前記高融点金属合金からなる電極素材
に対して、前記高融点金属を選択的に電解し得る電解液
を用いて電解加工を施す工程を有することを特徴として
いる。
【0012】本発明の放電灯は、請求項9に記載したよ
うに、上記した本発明の電子放出用電極を具備すること
を特徴とするものである。本発明の放電灯の具体的な構
成としては、請求項10に記載したように、上記した本
発明の電子放出用電極からなる陰極と、高融点金属また
はドープド高融点金属からなる陽極とを具備する放電灯
が挙げられる。
【0013】本発明においては、例えば電極素材に対し
て高融点金属からなる基材を選択的に電解し得る電解加
工を施すことによって、電極内部のエミッション材の含
有濃度C1より電極表面および表面近傍層のエミッショ
ン材の含有濃度C2を高めている。すなわち、電極の表
面および表面近傍層のみエミッション材の含有濃度をリ
ッチにしている。
【0014】上述したような電子放出用電極によれば、
電極表面および表面近傍層のエミッション材の含有濃度
に基づいて、優れた電子放出特性を長期間にわたって維
持することが可能となる。また、電極全体としてのエミ
ッション材の含有濃度を高めた場合のように、エミッシ
ョン材の分布の不均一性というような問題を招くことも
ない。そして、このような電子放出用電極を陰極に用い
ることによって、放電灯の長寿命化を達成することが可
能となる。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明を実施するための形
態について説明する。
【0016】本発明の電子放出用電極は、タングステン
(W)、モリブデン(Mo)、ニオブ(Nb)およびタ
ンタル(Ta)から選ばれる少なくとも1種の高融点金
属を基材とし、これにトリウム(Th)、ハフニウム
(Hf)、ジルコニウム(Zr)および希土類金属元素
から選ばれる少なくとも1種の酸化物からなるエミッシ
ョン材を含有させた合金からなるものである。
【0017】基材としての高融点金属には、特に電子放
出特性に優れるWを用いることが好ましい。また、エミ
ッション材は電極材料の仕事関数を低くして、電子放出
特性(エミッション特性)を向上させるものである。エ
ミッション材としては、上記したようにTh、Hf、Z
rなどの酸化物、あるいはランタン(La)、セリウム
(Ce)、スカンジウム(Sc)などの希土類元素の酸
化物が用いられる。
【0018】高融点金属基材中のエミッション材の含有
濃度は、電極全体の平均含有濃度として0.5〜6質量%の
範囲とすることが好ましい。エミッション材の平均含有
濃度が0.5質量%未満であると、例えば放電灯の陰極など
に求められる電子放出特性を満足させることができない
おそれがある。一方、エミッション材の平均含有濃度が
6質量%を超えると、前述したように塑性加工性の悪化、
エミッション材の不均一分布というような問題を招くこ
とになる。
【0019】そして、本発明の電子放出用電極において
は、電極内部のエミッション材の含有濃度C1に対して
電極表面および表面近傍層のエミッション材の含有濃度
2を高濃度(C1<C2)としている。すなわち、電極
の表面および表面近傍層のみエミッション材の含有濃度
をリッチにしている。具体的な濃度差としては、電極表
面層のエミッション材濃度C2を電極内部のエミッショ
ン材濃度C1の2倍以上とすることが好ましい。
【0020】このように、電極の表面および表面近傍層
のエミッション材をリッチにすることによって、優れた
電子放出特性を長期間にわたって維持することが可能と
なる。また、電極全体としてのエミッション材の含有濃
度を高めた場合のように、エミッション材の分布が不均
一になるというような問題を招くこともない。
【0021】電極表面層のエミッション材濃度C2を電
極内部のエミッション材濃度C1の2倍以上とすることに
よって、電子放出特性の長期信頼性をより再現性よく高
めることができる。この濃度差は3倍以上とすることが
さらに好ましい。ただし、濃度差をあまり高く設定しす
ぎると、言い換えれば電極表面および表面近傍層の基材
(高融点金属)の量を低くしすぎると、エミッション材
の脱落が発生したり、使用開始時のエミッション濃度が
高すぎるため、電極表面層と電極内部の濃度差は10倍以
下とすること好ましい。
【0022】電極表面および表面近傍層のエミッション
材の含有濃度C2を、電極内部の含有濃度C1より高くす
る手法としては、後に詳述するように、電極素材に対し
て高融点金属からなる基材を選択的に電解し得るような
電解加工を施すことが有効である。このような電解加工
の条件を適宜設定することによって、容易に電極表面層
のエミッション材濃度C2を電極内部のエミッション材
濃度C1の2倍以上とすることができる。
【0023】また、エミッション材濃度をリッチにする
表面層は、電極の表面から少なくとも深さ10μmの範囲
とすることが好ましい。エミッション材がリッチな表面
層の範囲が深さ10μm未満であると、電子放出特性の維
持能を十分に高めることができないおそれがある。上記
したような電解加工によれば、エミッション材がリッチ
な表面層の範囲を比較的容易に設定することができ、電
極表面から深さ10μmまでの範囲、さらに深さ15μm程度
までの範囲を、エミッション材がリッチな表面層とする
ことができる。
【0024】なお、電極内部のエミッション材の含有濃
度C1は、電極素材に対して電解加工などを施す前のエ
ミッション材の含有濃度、すなわち電極素材の時点での
含有濃度となる。これは電極全体としてのエミッション
材の平均含有濃度におおよそ相当するものである。
【0025】本発明の電子放出用電極は、放電灯の陰極
などとして用いられるものであり、特にレーザ光用Xe
ランプやフォトエッチング用超高圧水銀ランプなどの大
電流を流すランプ(大電流型ランプ)の陰極に好適であ
る。本発明の電子放出用電極によれば、例えば1000時間
以上さらには2000時間以上点灯した場合の電子放出特性
の劣化を抑制することができ、ランプの長寿命化が実現
可能となる。
【0026】上述したような本発明の電子放出用電極
は、例えば以下のようにして作製することができる。
【0027】まず、W粉末、Mo粉末、Nb粉末、Ta
粉末などの高融点金属粉末に、ThO2粉末、HfO2
末、ZrO2粉末、La23粉末やCe23粉末のよう
な希土類酸化物粉末からなるエミッション材原料を所定
量配合し、これを十分に混合する。この混合粉末を粉末
冶金法の原料粉末として用いる。
【0028】あるいは、上述した高融点金属粉末と硝酸
トリウム、水酸化ナトリウムなどとを用い、溶液ドープ
法にしたがって高融点金属粉末にエミッション材をドー
プした粉末を作製する。このドープド高融点金属粉末を
原料粉末として用いる。
【0029】次に、上記した原料粉末を所定形状に成形
した後、焼結することにより電極素材を作製する。この
ような電極素材に対して鍛造、圧延などの加工を施した
後、電解加工を施して所望の電極形状とする。電解加工
は予め機械加工した後に実施してもよい。
【0030】上記した電極素材への電解加工は、基材と
しての高融点金属を選択的に電解し得る電解液を用いて
実施する。例えば、基材にWを用いた場合には、電解液
として水酸化ナトリウム(NaOH)などを用いる。こ
のような電解液を用いた電解加工によれば、電極素材の
表面および表面近傍層から高融点金属のみを選択的に電
解除去することができるため、電極素材の表面および表
面近傍層のエミッション材の含有濃度を、電極素材の内
部濃度より高くすることができる。
【0031】電解加工の具体的な条件としては、電極素
材の表面から少なくとも深さ10μmまで加工範囲が及ぶ
ように設定することが好ましい。電解加工範囲は電極素
材の表面から深さ15μm程度までとすることがさらに好
ましい。また、電解条件は前述したように、電極素材の
表面および表面近傍層のエミッション材の含有濃度が電
極素材内部のエミッション材の含有濃度の2倍以上とな
るように設定することが好ましい。
【0032】上述したような電解加工を最終加工として
電極素材に施すことによって、電極表面および表面近傍
層におけるエミッション材の含有濃度C2を、電極内部
のエミッション材の含有濃度C1より高濃度とした電子
放出用電極、さらには2倍以上とした電子放出用電極を
得ることができる。このような電子放出用電極によれ
ば、優れた電子放出特性を長期間にわたって維持するこ
とが可能となる。
【0033】次に、本発明の放電灯の実施形態について
説明する。
【0034】図1は、本発明をレーザ光用Xeランプや
フォトエッチング用超高圧水銀ランプなどの放電灯に適
用する場合の一実施形態の概略構造を示す図である。同
図において、1は石英ガラスなどからなるガラス管であ
る。このガラス管1内には、陰極2と陽極3とが対向配
置されており、これらによって放電灯4が構成されてい
る。
【0035】電子を放出する陰極2には、上述した本発
明の電子放出用電極が用いられる。一方、陽極3には
W、Mo、Nb、Taなどの高融点金属単体、あるいは
高融点金属にK、Si、Alなどのドープ剤を例えば0.
005〜0.5質量%の範囲でドープした高融点金属(ドープ
ド高融点金属)などが用いられる。陽極3においても高
融点金属としてWを用いることが好ましい。
【0036】上述したような電極表面および表面近傍層
のエミッション材濃度を高く設定した電子放出用電極か
らなる陰極2を適用することによって、放電灯4の長寿
命化を図ることができる。特に、レーザ光用Xeランプ
やフォトエッチング用超高圧水銀ランプなどの大電流型
ランプに対する長寿命化の要求が強まっており、本発明
の放電灯4はこのような要求に対応し得るものである。
【0037】
【実施例】次に、本発明の具体的な実施例について説明
する。
【0038】実施例1 まず、平均粒径3μmのW粉末と硝酸トリウムとを用意
し、溶液ドープ法により酸化トリウム(ThO2)を2質
量%含有するW合金粉末を作製した。次に、上記したT
hO2を含有するW合金粉末を成形圧力196MPaで成形
し、直径20mmの成形体を作製した。次いで、成形体をハ
ンドリングしやすいように1300℃で仮焼結した後、通電
焼結することにより焼結体を得た。
【0039】この焼結体に鍛造加工を施した後、線引き
加工、ストレーナ加工を順に施し、長さ50mmに切断し
た。このような電極素材をさらに機械加工した後、以下
に示す電解加工で所定の電極形状に仕上げることによっ
て、目的とする電極を得た。電解加工の条件は、NaO
H濃度=1.5%、液温=35℃、電流=0.6A、電解時間=10
分とした。このようにして得た電極を後述する特性評価
に供した。
【0040】比較例1 上記した実施例1において、電解加工を施すことなく、
機械加工で所定の電極形状に加工する以外は、実施例1
と同様にして電極を作製し、これを後述する特性評価に
供した。
【0041】上述した実施例1および比較例1の各電極
について、表面近傍層(表面から深さ15μm程度の範
囲)の状態(ThO2粒子の分布状態)を走査型電子顕
微鏡(SEM)で観察した。その結果、実施例1の電極
は内部に比べて表面近傍層の方がThO2粒子が多く存
在していたのに対して、比較例1の電極では内部と表面
近傍層との間にあまり差が生じていないことが分かっ
た。
【0042】また、上記した各電極の表面近傍層(表面
から深さ10μm付近)と内部(表面から深さ1mm付近)の
元素分布をEPMAで分析した。EPMAの測定条件は
加速電圧15kV、スポット径50μmとした。実施例1の電
極について、表面近傍層のEPMA分析結果を図2に、
内部のEPMA分析結果を図3に示す。これらのEPM
A分析結果からWピークに対するThピークの比率を求
め、このピーク比率からエミッション材(ThO2)の
含有濃度を比較した。比較例1の電極についても、同様
にWピークに対するThピークの比率からエミッション
材(ThO2)の含有濃度を比較した。これらの結果を
表1に示す。
【0043】次に、これら各電極を陰極として用いて、
超高圧水銀ランプをそれぞれ組み立てた。なお、陽極に
はドープドタングステンを使用した。これら各超高圧水
銀ランプの寿命を測定した。ランプ寿命はエミッション
量の急激に低下する時間により判定した。その結果を併
せて表1に示す。
【0044】
【表1】 表1から明らかなように、実施例1による電極は、電極
表面および表面近傍層におけるエミッション材の含有濃
度が内部濃度に対して約6倍程度となっているのに対し
て、比較例1の電極ではエミッション材の含有濃度が内
部と表面近傍層との間でほとんど差がないことが分か
る。実施例1と比較例1とを比べた場合、実施例1の電
極は比較例1に対して電極表面および表面近傍層のエミ
ッション材の含有濃度が6倍程度になっていることが分
かる。そして、このような実施例1の陰極を用いた超高
圧水銀ランプによれば、電解加工を施していないW合金
電極を用いた比較例1に比べて、ランプ寿命を大幅に向
上させることができることを確認した。
【0045】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の電子放出
用電極によれば、電極表面および表面近傍層のエミッシ
ョン材濃度を高めているため、点灯時間の増加に伴う電
子放出特性の低下を抑制することができる。従って、こ
のような電極を用いた本発明の放電灯によれば長寿命化
を実現することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の放電灯の一実施形態の概略構成を示
す図である。
【図2】 本発明の実施例1による電極の表面近傍層の
EPMA分析結果を示す図である。
【図3】 本発明の実施例1による電極の内部のEPM
A分析結果を示す図である。
【符号の説明】
1……ガラス管 2……本発明の電子放出用電極からなる陰極 3……陽極 4……放電灯

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 W、Mo、NbおよびTaから選ばれる
    少なくとも1種の高融点金属を基材とし、これにTh、
    Hf、Zrおよび希土類元素から選ばれる少なくとも1
    種の酸化物からなるエミッション材を含有させた高融点
    金属合金からなる電子放出用電極において、 前記電極内部の前記エミッション材の含有濃度をC1
    前記電極の表面層における前記エミッション材の含有濃
    度をC2としたとき、C1<C2を満足することを特徴と
    する電子放出用電極。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の電子放出用電極におい
    て、 前記電極の表面層におけるエミッション材の含有濃度C
    2は、前記電極内部のエミッション材の含有濃度C1に対
    して2倍以上であることを特徴とする電子放出用電極。
  3. 【請求項3】 請求項1または請求項2記載の電子放出
    用電極において、 前記表面層は、前記電極の表面から少なくとも深さ10μ
    mの範囲であることを特徴とする電子放出用電極。
  4. 【請求項4】 請求項1または請求項2記載の電子放出
    用電極において、 前記電極全体としての前記エミッション材の平均含有濃
    度が0.5〜6質量%の範囲であることを特徴とする電子放
    出用電極。
  5. 【請求項5】 請求項1または請求項2記載の電子放出
    用電極において、 前記基材としての高融点金属がタングステンであり、か
    つ前記エミッション材が酸化トリウムであることを特徴
    とする電子放出用電極。
  6. 【請求項6】 請求項1ないし請求項5のいずれか1項
    記載の電子放出用電極において、 放電灯用電極であることを特徴とする電子放出用電極。
  7. 【請求項7】 W、Mo、NbおよびTaから選ばれる
    少なくとも1種の高融点金属を基材とし、これにTh、
    Hf、Zrおよび希土類元素から選ばれる少なくとも1
    種の酸化物からなるエミッション材を含有させた高融点
    金属合金からなる電子放出用電極を作製するにあたり、 前記高融点金属合金からなる電極素材に対して、前記高
    融点金属を選択的に電解し得る電解液を用いて電解加工
    を施す工程を有することを特徴とする電子放出用電極の
    製造方法。
  8. 【請求項8】 請求項7記載の電子放出用電極の製造方
    法において、 前記電解加工工程は、前記電極素材の表面から少なくと
    も深さ10μmの範囲の前記エミッション材の含有濃度
    が、前記電極素材の内部の前記エミッション材の含有濃
    度に対して2倍以上となるように実施することを特徴と
    する電子放出用電極の製造方法。
  9. 【請求項9】 請求項1ないし請求項6のいずれか1項
    記載の電子放出用電極を具備することを特徴とする放電
    灯。
  10. 【請求項10】 請求項9記載の放電灯において、 請求項1ないし請求項6のいずれか1項記載の電子放出
    用電極からなる陰極と、高融点金属またはドープド高融
    点金属からなる陽極とを具備することを特徴とする放電
    灯。
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