JP2000106131A - 放電灯用電極に使用されるタングステン材、放電灯用電極およびそれを用いた放電灯 - Google Patents
放電灯用電極に使用されるタングステン材、放電灯用電極およびそれを用いた放電灯Info
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Abstract
超高圧水銀ランプなどのランプに用いられるW電極にお
いて、ランプ点灯時間の増加に伴う電極からのガス放出
を抑制する。これにより、ランプの黒化を抑制してラン
プの長寿命化を実現する。 【解決手段】 Wを基材とする放電灯用電極に用いられ
るW材および放電灯用電極であって、このようなW材お
よびW系電極の単位面積当りの結晶個数を 100個/mm2
以上とする。さらに、このようなW材およびW系電極の
相対密度を90.0〜99.2%の範囲に制御する。このような
W系電極を陰極3として用いることによって、ランプ4
が構成される。
Description
用電極に係り、特にレーザ光用Xeランプやフォトエッ
チング用超高圧水銀ランプなどの電極に好適な放電灯用
電極、およびそれを用いた放電灯に関する。
導体フォトエッチング用超高圧水銀ランプなどの電極に
は、一般にタングステン(W)が用いられている。具体
的には、陰極には酸化トリウムなどを添加したタングス
テン合金が使用されており、また陽極には純タングステ
ンや結晶成長を抑制するためにK、Si、Alなどをド
ープしたドープドタングステンが使用されている。
ッチング用超高圧水銀ランプなどの大電流を流すランプ
(以下、大電流型ランプと記す)に対する要求寿命は、
従来は1000時間程度であったが、近年になり設備や装置
の稼働率などの向上を目的として、2000時間の以上の寿
命が要求されるようになってきている。
の寿命に影響を及ぼす要因の 1つとして、ランプを構成
する部材からのガス放出がある。特に、大電流型ランプ
の陽極は陰極からの電子放出により2500℃以上の高温と
なるため、そこからのガス放出が問題となる。
テンやドープドタングステンでは、例えば1000時間以上
の点灯で電極中の不純物元素、あるいは結晶成長を抑制
するために添加したK、Si、Alなどのドープ剤が徐
々にランプ中に放出され、ランプの黒化の原因となって
いる。
のレーザ光用Xeランプやフォトエッチング用超高圧水
銀ランプなどの大電流型ランプにおいては、純タングス
テンやドープドタングステンを用いた陽極からのガス放
出に起因する黒化がランプの寿命を低下させており、こ
れが近年の高寿命化要求を損う原因になっている。
なされたもので、大電流型ランプなどの放電灯の電極と
して用いた場合に、点灯時間の増加に伴うガス放出を抑
制することを可能にしたタングステン材および放電灯用
電極を提供することを目的としており、またそのような
電極を用いることによって、黒化によるランプ寿命の低
下を抑制することを可能にした放電灯を提供することを
目的としている。
題を解決するために、レーザ光用Xeランプやフォトエ
ッチング用超高圧水銀ランプなどのW電極からのガス放
出について検討した結果、W結晶粒の粒成長に伴ってW
電極からガス放出が生じることを見出した。すなわち、
W電極中に含まれる不純物元素やK、Si、Alなどの
ドープ剤は、主としてWの結晶粒界に多く存在してお
り、このような元素はランプ点灯時間の増加に伴うW結
晶粒の粒成長に応じてランプ内に放出され、ランプの黒
化の原因となる。そして、このようなW結晶粒の粒成長
に伴うガス放出は、W電極の単位面積当りの結晶数を制
御することにより抑制し得ることを見出した。
たもので、本発明のタングステン材は請求項1に記載し
たように、タングステンを基材とする放電灯用電極に使
用されるタングステン材であって、前記タングステン材
の単位面積当りの結晶個数が100個/mm2 以上であるこ
とを特徴としている。本発明のタングステン材は、さら
に請求項2に記載したように、前記タングステン材の相
対密度が90.0〜 99.2%の範囲であることを特徴としてい
る。
体的な構成材料としては、請求項3に記載したK、Si
およびAlから選ばれる少なくとも 1種を 0.001〜0.01
重量% の範囲で含有するドープドタングステン、請求項
4に記載した純タングステンなどが用いられる。
したように、上記した本発明のタングステン材、より具
体的にはタングステン線を用いたことを特徴としてい
る。また、本発明の放電灯は、請求項7に記載したよう
に、上記した本発明の放電灯用電極を具備することを特
徴としている。
したように、上記した本発明の放電灯用電極からなる陽
極と、金属酸化物を含むタングステン合金からなる陰極
とを具備するものである。この際、陰極には請求項9に
記載したように、酸化トリウム、酸化ハフニウム、酸化
ジルコニウム、酸化ランタン、酸化セリウムおよび酸化
スカンジウムから選ばれる少なくとも 1種の金属酸化物
を含むタングステン合金を用いることが好ましい。ま
た、本発明の放電灯は、例えば請求項10に記載したよ
うに、レーザ光用Xeランプやフォトエッチング用超高
圧水銀ランプとして用いられるものである。
態について説明する。
ステン材は、タングステンを基材とするものであり、具
体的には純タングステン、K、Si、Alなどのドープ
剤を含むドープドタングステン、酸化トリウム(ThO
2 )などの金属酸化物を含有するタングステン合金など
からなる。本発明においては、このようなタングステン
(W)材の単位面積当りの結晶個数を 100個/mm2 以上
としている。
不純物元素、あるいはK、Si、Alなどのドープ剤
は、主としてWの結晶粒界に多く存在している。このよ
うな結晶粒界に存在している元素は、ランプ点灯時間の
増加に伴うW結晶粒の粒成長に応じてランプ内に放出さ
れ、前述したようにランプの黒化の原因となる。
るW材においては、W材の単位面積当りの結晶個数を 1
00個/mm2 以上としている。このように、W材の結晶個
数を増やすことによって、言い換えるとW結晶粒を微細
化することによって、W結晶粒の粒成長を抑制すること
ができ、これによりW結晶粒の粒成長に伴う不純物元素
やドープ剤などのランプ内への放出、ひいてはそれに基
づくランプの黒化を抑制することが可能となる。
のW材を使用したものであり、それを用いたランプ、特
にレーザ光用Xeランプやフォトエッチング用超高圧水
銀ランプなどの大電流を流すランプ(大電流型ランプ)
を、例えば1000時間以上さらには2000時間以上点灯した
場合のランプ内へのガス放出およびそれに基づくランプ
の黒化を抑制し、ランプの長寿命化を達成したものであ
る。このような条件を満足させる上で、本発明ではW系
電極の単位面積当りの結晶個数を 100個/mm2以上とし
ている。
個/mm2 未満であると、ランプ点灯中にW結晶粒の粒成
長が起こり、例えば1000時間以下のランプ点灯でガス放
出が生じて、早期にランプの黒化が発生してしまう。本
発明におけるW系電極の単位面積当りの結晶個数は 300
個/mm2 以上とすることがさらに好ましく、これにより
ランプの寿命をより一層向上させることができる。
は軸方向に伸びた形状を有することが好ましく、このよ
うなW結晶粒の個数が軸方向断面において 100個/mm2
以上であることが好ましい。このように、本発明で言う
W系電極の単位面積当りの結晶個数は、軸方向断面にお
いて測定した結果とする。ここで言う軸方向断面とは、
加工時に延伸させた方向に切断した断面を指すものとす
る。
/mm2 以上のW系電極は、加工を抑制することに得るこ
とができる。具体的には、W系電極の相対密度が90.0〜
99.2% の範囲となるように、例えば焼結条件や鍛造加工
時の加工率、さらには加工後の熱処理条件などを制御す
ることによって、単位面積当りの結晶個数が 100個/mm
2 以上のW系電極を再現性よく得ることができる。
系電極の相対密度を90.0〜 99.2%の範囲に制御すること
が好ましい。W系電極の相対密度を 90.0%未満である
と、熱伝導率が著しく低下するため、ランプ点灯中の電
極温度が上昇し、周辺部材などからのガス放出によりラ
ンプが黒化するおそれが大きい。また、ガス吸収などの
面からもW系電極の相対密度があまり低いことは好まし
くない。
ると、加工歪みの蓄積が点灯中のW系電極の結晶粒成長
を促進するため、ガス放出を生じさせることになる。ま
た、相対密度を 99.2%より高くするためには高加工率が
必要となるため、製造コストの増大を招くことになる。
密度は、95〜 98%の範囲に制御することがより好まし
い。ここで、本発明で規定するW系電極の90.0〜 99.2%
の範囲の相対密度は、Wの真比重を 19.25としたとき、
比重が17.3〜19.1の範囲に相当するものである。
Xeランプやフォトエッチング用超高圧水銀ランプなど
の大電流を流すランプ(大電流型ランプ)の陽極に好適
である。このような大電流型ランプの陽極に本発明のW
系電極を適用する場合、その具体的な構成材料として
は、K、SiおよびAlから選ばれる少なくとも 1種を
0.001〜0.01重量% の範囲で含有するドープドタングス
テンを使用することが好ましい。また、本発明の放電灯
用電極は、上述したようにW結晶粒の粒成長に伴うガス
放出を結晶粒の個数を制御することにより抑制している
ことから、場合によっては純タングステンをW系電極に
使用することができる。
えば以下のようにして作製される。まず、W粉末あるい
は所望組成のドープドW粉末やW合金粉末などを原料粉
末として用いて、粉末冶金法によりW系電極素材を作製
する。W系電極素材は、場合によっては溶解法を適用し
て作製してもよい。このようなW系電極素材に対して鍛
造、圧延などの加工を施し、所望の電極形状とする。加
工工程中には必要に応じてアニール処理を施す。
率)、さらにはアニール条件などを制御することによっ
て、W系電極の相対密度を95〜 98%の範囲とする。この
ような製造条件の制御によって、単位面積当りの結晶個
数が 100個/mm2 以上のW材を得ることができる。その
後、このW材を線材などの所定形状に加工することによ
って、本発明のW系電極が得られる。
電極の相対密度を95〜 98%の範囲としても、その後のア
ニール処理などによりW結晶粒を粒成長させてしまう
と、W系電極の単位面積当りの結晶個数を 100個/mm2
以上とすることができないおそれがある。このようなこ
とから、焼結条件や加工条件に加えて、アニール条件な
ども制御する。
3μm 程度のドープドタングステン粉末を成形圧力196M
Paで成形し、続いてハンドリングしやすいように例えば
1300℃で仮焼結した後、通電焼結で例えば相対密度約 9
3%の焼結体を作製する。その後、加工率10〜 30%程度で
鍛造などの塑性加工を行った後、アニール処理を1500〜
1800℃で行い、所定の電極形状に加工することが好まし
い。
説明する。
ランプやフォトエッチング用超高圧水銀ランプなどの大
電流型ランプに適用する場合の一実施形態の概略構成を
示す図である。同図において、1は石英ガラスなどから
なるガラス管であり、このガラス管1内には陰極2と陽
極3とが対向配置されており、これらによって大電流型
ランプ4が構成されている。
に優れるW合金を用いることが好ましい。このようなW
合金としては、酸化トリウム(ThO2 )、酸化ハフニ
ウム(HfO2 )、酸化ジルコニウム(ZrO2 )、酸
化ランタン(La2 O3 )、酸化セリウム(Ce
2 O3 )、酸化スカンジウム(Sc2 O3 )などから選
ばれる少なくとも 1種の金属酸化物を、例えば 1〜 4重
量% 程度含有するW合金が挙げられる。
らの電子放出により2500℃以上の高温となるため、そこ
からのガス放出が問題となる。そこで、このような陽極
3には、前述した本発明の放電灯用電極、すなわち単位
面積当りの結晶個数を 100個/mm2 以上としたW系電極
が用いられる。
したW系電極を陽極3に適用することによって、前述し
たようにW結晶粒の粒成長に伴うガス放出を抑制するこ
とができる。従って、陽極3からのガス放出に基づく黒
化を抑えることができるため、ランプの長寿命化を達成
することが可能となる。
ンプやフォトエッチング用超高圧水銀ランプなどに好適
であり、このような電極に大電流を流すランプにおいて
も陽極3からのガス放出に基づく黒化を抑えることがで
きる。従って、レーザ光用Xeランプやフォトエッチン
グ用超高圧水銀ランプなどの長寿命化、例えば2000時間
を超えるような寿命を実現することが可能となる。
する。
pm、Al,Si:20ppm)の粉末を成形圧力196MPaで成形
し、直径28mmの成形体を複数作製した。これら成形体を
ハンドリングしやすいように1300℃で仮焼結した後、そ
れぞれ条件を変えて通電焼結することにより焼結体を得
た。
のについては、相対密度 93%の焼結体にそれぞれ条件
(加工率)を変えて鍛造加工を施した。この後、各W電
極素材を機械加工により所定の電極形状に仕上げた。ま
た、各電極に対して1500〜2000℃の温度で熱処理を施し
た。このようにして得た各W電極の相対密度と結晶個数
を表1に示す。
の通りである。すなわち、表1の試料Aは所定の焼結温
度で 5分間焼結することにより、表1に示す相対密度と
結晶個数を有するW材を得た。試料Bについては、焼結
時間を10分間とすることにより表1に示す相対密度と結
晶個数を有するW材を得た。試料Cについては焼結時間
を20分間とし、相対密度を 93%とした後、加工率 10%に
て鍛造加工を行い、さらに1500℃で熱処理を行うことに
よって、表1に示す相対密度と結晶個数を有するW材を
得た。試料D、Eについては焼結時間を20分間とし、相
対密度を 93%とした後、加工率 30%にて鍛造加工を行
い、さらにそれぞれ1800℃および2000℃で熱処理を行う
ことによって、それぞれ表1に示す相対密度と結晶個数
を有するW材を得た。試料Fについては焼結時間を20分
間とし、相対密度を 93%とした後、加工率 50%にて鍛造
加工を行い、さらに2000℃で熱処理を行うことによっ
て、表1に示す相対密度と結晶個数を有するW材を得
た。
当するものであり、試料A、E、Fは本発明の比較例に
相当するものである。次に、これら各W電極を陽極とし
て用いて、超高圧水銀ランプをそれぞれ組み立てた。な
お、陰極には2%トリア−タングステン合金を使用した。
これら各超高圧水銀ランプの寿命を測定した。ランプ寿
命は黒化により点灯しなくなった時間により判定した。
その結果を表2に示す。
発明の範囲内に制御したW電極を用いた超高圧水銀ラン
プは、本発明の範囲外のW電極を用いた場合に比べて、
ランプ寿命を大幅に向上させることができる。
電極に用いられるタングステン材および放電灯用電極
は、例えば大電流型ランプなどの電極として用いた場合
においても、点灯時間の増加に伴う電極からのガス放出
を抑制することができる。従って、このような放電灯用
電極を用いた本発明の放電灯によれば、黒化によるラン
プ寿命の低下を抑制することができる。すなわち、放電
灯の長寿命化を実現することが可能となる。
す図である。
Claims (10)
- 【請求項1】 タングステンを基材とする放電灯用電極
に使用されるタングステン材であって、前記タングステ
ン材の単位面積当りの結晶個数が 100個/mm2 以上であ
ることを特徴とするタングステン材。 - 【請求項2】 請求項1記載のタングステン材におい
て、 前記タングステン材の相対密度が90.0〜 99.2%の範囲で
あることを特徴とするタングステン材。 - 【請求項3】 請求項1記載のタングステン材におい
て、 前記タングステン材は、K、SiおよびAlから選ばれ
る少なくとも 1種を0.001〜0.01重量% の範囲で含有す
るドープドタングステンからなることを特徴とするタン
グステン材。 - 【請求項4】 請求項1記載のタングステン材におい
て、 前記タングステン材は、純タングステンからなることを
特徴とするタングステン材。 - 【請求項5】 請求項1記載のタングステン材におい
て、 粉末冶金法で得られたことを特徴とするタングステン
材。 - 【請求項6】 請求項1ないし請求項5のいずれか1項
記載のタングステン材を用いたことを特徴とする放電灯
用電極。 - 【請求項7】 請求項6記載の放電灯用電極を具備する
ことを特徴とする放電灯。 - 【請求項8】 請求項7記載の放電灯において、 請求項6記載の放電灯用電極からなる陽極と、金属酸化
物を含むタングステン合金からなる陰極とを具備するこ
とを特徴とする放電灯。 - 【請求項9】 請求項8記載の放電灯において、 前記陰極は、酸化トリウム、酸化ハフニウム、酸化ジル
コニウム、酸化ランタン、酸化セリウムおよび酸化スカ
ンジウムから選ばれる少なくとも 1種の金属酸化物を含
むタングステン合金からなることを特徴とする放電灯。 - 【請求項10】 請求項7記載の放電灯において、 レーザ光用Xeランプまたはフォトエッチング用超高圧
水銀ランプであることを特徴とする放電灯。
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JP27544598A JP4011208B2 (ja) | 1998-09-29 | 1998-09-29 | 放電灯用電極に使用されるタングステン材、放電灯用電極およびそれを用いた放電灯 |
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