JP2013133492A - タングステン合金部品およびそれを用いた放電ランプ、送信管、マグネトロン - Google Patents

タングステン合金部品およびそれを用いた放電ランプ、送信管、マグネトロン Download PDF

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慎一 山本
Kayo Nakano
佳代 中野
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Abstract

【課題】 放射性物質であるトリウム成分を含有しないタングステン合金部品を提供する。
【解決手段】 Ta、Hf、Zr、Nbを合計で0.1〜3wt%含有するタングステン合金部品において、Ta、Hf、Zr、Nbの少なくとも2種以上を含有することを特徴とする。また、Ta、Hf、Zr、Nbの少なくとも1種はタングステンと固溶体を形成していることが好ましい。また、タングステン合金部品は、放電ランプ用部品、送信管用部品、マグネトロン用部品の少なくとも1種に用いられることが好ましい。
【選択図】 図1

Description

本発明は、タングステン合金部品およびそれを用いた放電ランプ、送信管、マグネトロンに関する。
タングステン合金部品は、タングステンの高温強度を利用して様々な分野に使われている。その一例として、放電ランプ、送信管、マグネトロンが挙げられる。放電ランプ(HIDランプ)では、カソード電極、電極支持棒、コイル部品などにタングステン合金部品が使われている。また、送信管では、フィラメントやメッシュグリットなどにタングステン合金部品が使われている。また、マグネトロンでは、コイル部品などにタングステン合金部品が使われている。これらタングステン合金部品は、所定の形状を有する焼結体、線材、線材をコイル状にしたコイル部品の形状を取っている。
従来、これらタングステン合金部品は、特開2002−226935号公報(特許文献1)に記載されたようにトリウム(またはトリウム化合物)を含有したタングステン合金が用いられている。トリウム含有タングステン合金は、エミッタ特性や高温での機械的強度に優れていることから、前述の分野に使われている。
しかしながら、トリウムまたはトリウム化合物は放射性物質であることから、環境への影響を考慮してトリウムを使わないタングステン合金部品が望まれている。特開2011−103240号公報(特許文献2)では、トリウムを使わないタングステン合金部品として、ホウ化ランタン(LaB)を含有するタングステン合金部品が開発されている。
特開2002−226935号公報 特開2011−103240号公報
例えば、タングステン合金部品の用途の一種である放電ランプは、大きく分けて低圧放電ランプと高圧放電ランプの2種類に分けられる。低圧放電ランプは、一般照明、道路やトンネルなどに使われる特殊照明、塗料硬化装置、UV硬化装置、殺菌装置、半導体などの光洗浄装置など様々なアーク放電型の放電ランプが挙げられる。また、高圧放電ランプは、上下水の処理装置、一般照明、競技場などの屋外照明、UV硬化装置、半導体やプリント基板などの露光装置、ウエハ検査装置、プロジェクタなどの高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、超高圧水銀ランプ、キセノンランプ、ナトリウムランプなどが挙げられる。
放電ランプは、その用途に応じて、10V以上の電圧が印加される。特許文献2に記載されたホウ化ランタンを含有したタングステン合金では、電圧が100V未満ではトリウム含有タングステン合金と同等の寿命が得られていた。しかしながら、電圧が100V以上と大きくなるにつれエミッション特性が低下し、その結果、寿命も大きく低下した。
送信管やマグネトロンに関しても、同様に印加電圧が上がるにつれて十分な特性が得られないと言った問題があった。
本発明は、このような問題に対応するためのものであり、放射性物質であるトリウムを使用せず、トリウム含有タングステン合金と同等以上のタングステン合金部品を提供することを目的とするものである。
本発明のタングステン合金部品は、Ta、Hf、Zr、Nbを合計で0.1〜3wt%含有するタングステン合金部品において、Ta、Hf、Zr、Nbの少なくとも2種以上を含有することを特徴とするものである。
また、Ta、Hf、Zr、Nbの少なくとも1種はタングステンと固溶体を形成していることが好ましい。また、炭素含有量が100wtppm以下であることが好ましい。また、TaとNbを含有することが好ましい。また、HfとZrを含有することが好ましい。また、K、Si、Alの少なくとも1種を0.1wt%以下含有したことが好ましい。また、タングステンの平均結晶粒径は1〜100μmであることが好ましい。
また、放電ランプ用部品、送信管用部品、マグネトロン用部品の少なくとも1種に用いられることが好ましい。
また、本発明の放電ランプは、本発明のタングステン合金部品を具備するものである。また、本発明の送信管は、本発明のタングステン合金部品を具備するものである。また、本発明のマグネトロンは、本発明のタングステン合金部品を具備するものである。
本発明のタングステン合金部品は、放射性物質であるトリウムを含有していないことから環境への悪影響がない。その上で、トリウム含有タングステン合金と同等以上の特性を有している。そのため、それを使った放電ランプ、送信管、マグネトロンは環境にやさしい製品とすることができる。
本発明のタングステン合金部品の一例を示す図。 本発明のタングステン合金部品の他の一例を示す図。 本発明の放電ランプの一例を示す図。 本発明のマグネトロン用部品の一例を示す図。 実施例1および比較例1のエミッション電流密度−印加電圧の関係を示す図。
本発明のタングステン合金部品は、Ta、Hf、Zr、Nbを合計で0.1〜3wt%含有するタングステン合金部品において、Ta、Hf、Zr、Nbの少なくとも2種以上を含有することを特徴とするものである。
Ta(タンタル)、Hf(ハフニウム)、Zr(ジルコニウム)、Nb(ニオブ)の合計が0.1〜3wt%であると、エミッション特性や強度を向上させることができる。Ta、Hf、Zr、Nbの合計が0.1wt%未満であると添加の効果が得られず、3wt%を超えるとそれ以上の効果が得られないだけでなく、加工性が低下する恐れがある。
また、Ta、Hf、Zr、Nbの各元素は、金属単体としての蒸気圧(温度−蒸気圧曲線)が金属Th(トリウム)と近似している元素である。蒸気圧が金属Thと近似しているということは、高温での挙動が金属Thと近似することを意味する。例えば、放電ランプのカソード部品として、トリウム含有タングステン合金を使った場合、トリウムはエミッター材として機能する。放電ランプを長時間使用しているとエミッター材は蒸発してカソード部品の寿命が来ることになる。Ta、Hf、Zr、Nbの各元素は蒸気圧が金属Thと近似しているので、エミッター材としての機能がトリウムと同等以上になると考えられる。
また、金属トリウムの融点は1750℃であるのに対し、金属Taは2990℃、金属Hfは2330℃、金属Zrは1850℃、金属Nbは2470℃とそれぞれ高い値を示す(岩波書店「理化学事典」参照)。そのため、高温強度に関しても、トリウム含有タングステン合金と同等以上のものが得られる。
本発明は、Ta、Hf、Zr、Nbの少なくとも2種以上を含有することを特徴とするものである。2種以上の組合せは任意であり、3種または4種(全部)含有していてもよい。本発明は、2種以上含有させることにより、エミッション特性、高温強度などの特性を向上させることができる。
例えば、密度を比較すると、金属Thは11.72g/cm、金属Taは16.65g/cm、金属Hfは13.31g/cm、金属Zrは6.51g/cm、金属Nbは8.56g/cm、である。同じ体積であれば密度が大きい方が重いことになる。言い換えれば、同じ重量であれば、密度が大きい方が体積は小さくなる。
例えば、放電ランプのカソード部品の場合、カソード部品のエミッション特性は、エミッター材料固有のエミッション特性(仕事関数)とカソード部品中に分散されるエミッター材の量によって決まる。材料固有の仕事関数は、ThはTa、Hf、Zr、Nbよりも小さいことからエミッション特性はよい。一方でThは放射性物質である。そのため、本発明では、Ta、Hf、Zr、Nbの中から2種以上を選び、エミッター材としての単位体積当たりの存在割合を調製することが可能となる。このため、2種以上の組合せは、密度の高いTaまたはHfから1種と密度の低いZrとNbから1種を選択することが好ましい。このような考えた方は、タングステン結晶の粒界を強化する強化材としてTa、Hf、Zr、Nbを使う場合も同様である。
また、Ta、Hf、Zr、Nbの少なくとも1種はタングステンと固溶体を形成していることが好ましい。Ta、Hf、Zr、Nbはいずれもタングステンと固溶体を形成する元素である。タングステン合金に含有されたTa、Hf、Zr、Nbの一部または全部が固溶体となることにより、合金の強度を向上させることができる。タングステンの融点は3400℃であり、固溶体とすることにより合金の高温強度を高めることができる。
また、K、Si、Alの少なくとも1種を0.1wt%以下含有してもよい。K(カリウム)、Si(珪素)、Al(アルミニウム)はいわゆるドープ材であり、これらドープ材を添加することにより再結晶特性を向上させることができる。再結晶特性を向上させることにより、再結晶熱処理を行った際に均一な再結晶組織を得易くなる。また、ドープ材の含有量の下限は特に限定されるものではないが、0.001wt%以上であることが好ましい。0.001wt%未満では添加の効果が小さく、また、0.1wt%を超えると焼結性が悪くなり量産性が悪くなる。
また、タングステン合金中の炭素含有量は100wtppm以下が好ましい。さらに好ましくは10wtppm以下(ゼロ含む)である。炭素は、タングステン中の不純物酸素を脱酸する効果がある。一方で、放電ランプでは黒化の原因となるなど特定の用途では不具合の原因となる。そのため、炭素含有量は100wtppm以下であることが好ましい。また、炭素はタングステン結晶に固溶したり、炭化物(WCまたはW2C)を形成することによって炭素が系外に放出され難くすることができる。また、炭素量の測定は、燃焼−赤外線吸収法により行うものとする。
また、Ta含有量を100質量部としたときNb含有量が5質量部以下であることが好ましい。また、Ta含有量を100質量部としたときNb含有量が0.1〜3質量部であることが好ましい。また、Hf含有量を100質量部としたときZr含有量が10質量部以下であることが好ましい。また、Hf含有量を100質量部としたときZr含有量が0.1〜5質量部であることが好ましい。
Ta、Hf、Zr、Nbの組合せは任意であり、その含有量は合計0.1〜3wt%の範囲であれば特に限定されるものではない。また、Ta、Hf、Zr、Nbをそれぞれ計量して混合すれば対応できる。その一方で、金属Taや金属Hfは酸化されやすく、原料混合工程での取り扱いには注意が必要である。そのため、原料混合工程での酸化による原料の劣化を防ぐために、純度の低いTa粉末や純度の低いHf粉末を使う方法が有効である。市販の金属Ta粉であれば、Nbを5質量部以下含有するものもある。また、市販の金属Hf粉であればZrを10質量部以下含有するものもある。このような原料粉末を用いることにより、原料混合工程での酸化による劣化を防ぐことができる。
また、タングステンの平均結晶粒径は1〜100μmであることが好ましい。タングステン合金部品は焼結体であることが好ましい。焼結体であると、成型工程を利用することにより様々な形状の部品を作製することができる。また、焼結体を鍛造工程、圧延工程、線引き工程などを行うことにより、線材(フィラメント含む)、コイル部品などへの加工を行い易い。
また、タングステン結晶は、焼結体のときはアスペクト比3未満の結晶が90%以上の等方結晶組織となる。また、線引き加工を行うとアスペクト比3以上の結晶が90%以上の扁平結晶組織となる。また、タングステン結晶の粒径の求め方は、金属顕微鏡などの拡大写真により結晶組織を撮る。そこに写るタングステン結晶一つにて最大フェレー径を測定し粒径とする。この作業を任意の100粒について行い、その平均値を平均結晶粒径とする。
また、タングステンの平均結晶粒径が1μm未満と小さいと、Ta、Hf、Zr、Nbといった分散成分の分散状態を均一にするのが困難となる。分散成分は、タングステン結晶同士の粒界に存在する。そのため、タングステンの平均結晶粒径が1μm未満と小さいと粒界が小さくなるため、分散成分を均一分散させるのが困難となる。一方、タングステンの平均結晶粒径が100μmを超えて大きいと、焼結体としての強度が低下する。そのため、タングステンの平均結晶粒径は1〜100μm、さらには10〜60μmであることが好ましい。
また、均一分散の観点からTa、Hf、ZrまたはNbといった分散成分の平均粒径は、タングステンの平均結晶粒径よりも小さいことが好ましい。また、タングステンの平均結晶粒径をA(μm)、分散成分の平均粒径をB(μm)としたとき、B/A≦0.5であることが好ましい。分散成分は、タングステン結晶同士の粒界に存在し、エミッタ材や粒界強化材として機能する。分散成分の平均粒径をタングステンの平均結晶粒径の1/2以下に小さくすることにより、分散成分がタングステン結晶粒界に均一分散し易くすることができ、特性バラツキを低減することができる。
以上のようなタングステン合金部品は、放電ランプ用部品、送信管用部品、マグネトロン用部品の少なくとも1種に用いることが好ましい。
放電ランプ用部品とは、放電ランプに用いるカソード電極、電極支持棒、コイル部品が挙げられる。図1および図2に放電ランプ用カソード電極の一例を示した。図中、1はカソード電極、2は電極胴体部、3は電極先端部、である。カソード電極1はタングステン合金の焼結体で形成されている。また、電極先端部3は図1のように先端が台形状であってもよいし、図2のように先端が三角状であってもよい。必要に応じ、先端部は研磨加工を行うものとする。また、電極胴体部2は直径2〜35mmの円柱状、また、電極胴体部2の長さは10〜600mmであることが好ましい。
図3に放電ランプの一例を示した。図中、1はカソード電極、4は放電ランプ、5は電極支持棒、6はガラス管、である。放電ランプ4は、一対のカソード電極1を電極先端部を向い合せになるように配置する。カソード電極1は電極支持棒5に接合されている。また、ガラス管6の内部には、図示しない蛍光体層が設けられている。また、ガラス管の内部には、必要に応じ、水銀、ハロゲン、アルゴンガス(またはネオンガス)などが封入されている。
また、本発明のタングステン合金部品を電極支持棒5として使う場合、電極支持棒全体が本発明のタングステン合金であってもよいし、カソード電極と接合する部分について本発明のタングステン合金を使い、残りの部分を他のリード材と接合する形状であってもよい。
また、放電ランプは、その種類によっては、電極支持棒にコイル部品を取り付けて電極とするものもある。このコイル部品に本発明のタングステン合金を適用することも可能である。
また、本発明の放電ランプは、本発明のタングステン合金部品を用いたものである。放電ランプの種類は特に限定されるものではなく、低圧放電ランプと高圧放電ランプのどちらにも適用できる。また、低圧放電ランプは、一般照明、道路やトンネルなどに使われる特殊照明、塗料硬化装置、UV硬化装置、殺菌装置、半導体などの光洗浄装置など様々なアーク放電型の放電ランプが挙げられる。また、高圧放電ランプは、上下水の処理装置、一般照明、競技場などの屋外照明、UV硬化装置、半導体やプリント基板などの露光装置、ウエハ検査装置、プロジェクタなどの高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、超高圧水銀ランプ、キセノンランプ、ナトリウムランプなどが挙げられる。
また、本発明のタングステン合金部品は、送信管用部品にも好適である。送信管用部品としては、フィラメントまたはメッシュグリッドが挙げられる。また、メッシュグリッドは線材をメッシュ状に編んだものや、焼結体板に複数の穴を形成したものであってもよい。本発明の送信管は、送信管用部品として本発明のタングステン合金部品を使用しているのでエミッション特性などが向上する。
また、本発明のタングステン合金部品は、マグネトロン用部品にも好適である。マグネトロン用部品としては、コイル部品が挙げられる。図4にマグネトロン用部品の一例として、マグネトロン用陰極構体を示した。図中、7はコイル部品、8は上部支持部材、9は下部支持部材、10は支持棒、11はマグネトロン用陰極構体、である。上部支持部材8と下部支持部材9は支持棒10を介して一体化されている。また、支持棒10の周囲にはコイル部品7が配置され、上部支持部材8と下部支持部材9に一体化されている。このようなマグネトロン用部品は、電子レンジに好適である。また、コイル部品は、用いるタングステン線材の線径0.1〜1mmが好ましい。また、コイル部品としての直径は2〜6mmが好ましい。本発明のタングステン合金部品は、マグネトロン用部品に用いたとき、優れたエミッション特性と高温強度を示す。そのため、それを用いたマグネトロンの信頼性を向上させることができる。
次に本発明のタングステン合金部品の製造方法について説明する。本発明のタングステン合金部品は前述の構成を有すればその製造方法は特に限定されるものではないが、効率のよい製造方法として以下の方法が挙げられる。
まず、原料となるタングステン粉末を用意する。タングステン粉末は平均粒径1〜10μmが好ましい。平均粒径が1μm未満では、タングステン粉末が凝集し易く、TaC成分を均一分散させ難い。また、10μmを超えると焼結体としての平均結晶粒径が100μmを超えてしまう恐れがある。また、純度は、目的とする用途にもあるが99.0wt%以上、さらには99.9wt%以上の高純度タングステン粉末であることが好ましい。
次に、Ta、Hf、Zr、Nbから選ばれる2種以上の金属粉末を用意する。また、前述のように酸化による劣化を防ぐために、不純物Nbを含有したTa粉、不純物Zrを含有したHf粉を使うことも有効である。
また、Ta、Hf、ZrまたはNbの2種以上からなる分散成分粉末は、平均粒径0.5〜5μmであることがこのましい。平均粒径が0.5μm未満では分散成分の凝集が大きく均一分散させ難い。また、5μmを超えるとタングステン結晶の粒界に均一分散させ難くなる。また、均一分散という観点からすると、分散成分粉末の平均粒径≦タングステン粉末の平均粒径、であることが好ましい。
また、必要に応じ、K、Si、Alから選ばれる少なくとも1種以上のドープ材を添加するものとする。添加量は0.1質量%以下が好ましい。
次に、各原料粉末を均一混合する。混合工程は、ボールミルなどの混合機を用いて行うことが好ましい。混合工程は、8時間以上、さらには20時間以上行うことが好ましい。また、必要に応じ、有機バインダーや有機溶媒と混合してスラリーとしてもよい。また、必要に応じ、造粒工程を行ってもよい。また、混合工程での原料粉末の酸化を防ぐために、不活性雰囲気または真空中で行うことが好ましい。
次に、金型でプレスし、成形体を作製する。必要に応じ、成形体に脱脂工程を行う。次に、焼結工程を行う。焼結工程は、水素などの還元雰囲気、窒素などの不活性雰囲気または真空中で行うことが好ましい。また、焼結条件は温度1400〜3000℃×1〜20時間で行うことが好ましい。焼結温度が1400℃未満または焼結時間が1時間未満では焼結が不十分であり、焼結体の強度が低下する。また、焼結温度が3000℃を超えるまたは焼結時間が20時間を超えるとタングステン結晶が粒成長し過ぎる恐れがある。また、不活性雰囲気または真空中で焼結を行うことにより、焼結体表面部の炭素を系外に放出し易くできる。また、焼結工程は、通電焼結、常圧焼結、加圧焼結など特に限定されるものではない。
次に、焼結体を部品に加工するための工程を行う。部品に加工するための工程は、鍛造工程、圧延工程、線引き工程、切断工程、研磨工程などが挙げられる。また、コイル部品にする場合はコイリング工程が挙げられる。また、送信管用部品としてメッシュグリッドを作製する場合は、フィラメントをメッシュ状に組み上げる工程が挙げられる。
次に、部品に加工した後、必要に応じ、歪取り熱処理を行うものとする。歪取り熱処理は、還元雰囲気、不活性雰囲気または真空中で、1300〜2500℃の範囲で行うことが好ましい。歪取り熱処理を行うことにより、部品への加工工程で発生した内部応力を緩和し、部品の強度を向上させることができる。
(実施例)
(実施例1)
原料粉末として、平均粒径2.2μmのタングステン粉末(純度99.99wt%)に、平均粒径2μmのTa粉末(純度96%)を1.5wt%となるように添加した。なお、金属Ta粉末にはTa量を100質量部としたとき不純物Nb量は3質量部であった。
原料粉末をボールミルにより、アルゴン雰囲気中で20時間混合して混合原料粉末を調製した。次に、混合原料粉末を金型に入れて、成形体を作製した。得られた成形体を水素雰囲気中で1850℃×11時間の炉電焼結を行った。この工程により、縦16mm×横16mm×長さ420mmの焼結体を得た。
次に、鍛造工程などを行った後、直径2.4mm×長さ150mmの円柱体の試料を切り出した。試料に対し、センタレス研磨加工を施し、表面粗さRaを5μm以下にした。次に、歪取り熱処理として、水素雰囲気中にて1600℃の熱処理を施した。
これにより、実施例1に係るタングステン合金部品として放電ランプ用カソード部品を作製した。
(比較例1)
ThOを2wt%含有するタングステン合金からなる同サイズの放電ランプ用カソード部品を作製した。
実施例1に係るタングステン合金部品に関して、TaまたはNbとWの固溶体の有無、炭素含有量、タングステン結晶の平均粒径を調べた。Ta、Nb、C成分の含有量の分析は、ICP分析により行った。固溶体の有無はX線回折により分析した。また、タングステンの平均結晶粒径は、任意の断面組織において最大フェレー径を用いて100粒測定し、その平均値を平均結晶粒径とした。その結果を表1に示す。
Figure 2013133492
次に、実施例1および比較例1に係る放電ランプ用カソード部品のエミッション特性を調べた。エミッション特性の測定は、印加電圧(V)を100V、200V、300V、400Vと変化させ、エミッション電流密度(mA/mm2)を測定した。カソード部品への印加電流負荷18±0.5A/W、印加時間20msで測定した。その結果を図5に示す。
図5から分かる通り、実施例1は比較例1と比べて、エミッション特性が優れていることが分かった。この結果、実施例1の放電ランプ用カソード部品は放射性物質である酸化トリウムを使わずに、優れたエミッション特性を示すことが分かる。なお、測定時は、カソード部品は2100〜2200℃になっていた。このため、実施例1に係るカソード部品は高温強度や寿命も優れていることが分かる。
(実施例2〜5)
次に、Ta、Hf、Zr、Nb含有量、およびドープ材としてK添加量を表2のように変えた原料混合粉末を調製した。各原料混合粉末を金型成形し、水素雰囲気中にて1500〜1900℃×7〜16時間焼結して焼結体を得た。なお、実施例2〜3は焼結体サイズを実施例1と同様にして、切り出し工程を行った。また、実施例4〜5は、成形体サイズを調製して直径2.4mm×長さ150mmの焼結体を直接得たものである。
各試料に対し、センタレス研磨加工を施し、表面粗さRaを5μm以下にした。次に、歪取り熱処理として、水素雰囲気中にて1400〜1700℃の熱処理を施した。これにより、実施例2〜5に係る放電ランプ用カソード部品を作製し、実施例1と同様の測定を行った。その結果を表3に示す。
Figure 2013133492
Figure 2013133492
次に、実施例1と同様の条件にて、エミッション特性を評価した。その結果を表4に示す。
Figure 2013133492
表から分かる通り、本実施例に係る放電ランプ用カソード部品は、いずれも優れた特性を示した。なお、測定時は、カソード部品は2100〜2200℃になっていた。このため、実施例2〜5に係るカソード部品は高温強度も優れていることが分かる。
1…カソード部品
2…胴体部
3…先端部
4…放電ランプ
5…電極支持棒
6…ガラス管
7…コイル部品
8…上部支持部材
9…下部支持部材
10…支持棒
11…マグネトロン用陰極構体

Claims (11)

  1. Ta、Hf、Zr、Nbを合計で0.1〜3wt%含有するタングステン合金部品において、Ta、Hf、Zr、Nbの少なくとも2種以上を含有することを特徴とするタングステン合金部品。
  2. Ta、Hf、Zr、Nbの少なくとも1種はタングステンと固溶体を形成していることを特徴とする請求項1記載のタングステン合金部品。
  3. 炭素含有量が100wtppm以下であることを特徴とする請求項1ないし請求項2のいずれか1項に記載のタングステン合金部品。
  4. TaとNbを含有することを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のタングステン合金部品。
  5. HfとZrを含有することを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のタングステン合金部品。
  6. K、Si、Alの少なくとも1種を0.1wt%以下含有したことを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載のタングステン合金部品。
  7. タングステンの平均結晶粒径は1〜100μmであることを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載のタングステン合金部品。
  8. 放電ランプ用部品、送信管用部品、マグネトロン用部品の少なくとも1種に用いられることを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載のタングステン合金部品。
  9. 請求項8記載のタングステン合金部品を用いたことを特徴とする放電ランプ。
  10. 請求項8記載のタングステン合金部品を用いたことを特徴とする送信管。
  11. 請求項8記載のタングステン合金部品を用いたことを特徴とするマグネトロン。
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