JP5293172B2 - 放電ランプ - Google Patents
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しかし、トリタンによる電極材料の原料として用いられるトリウム粉末は、放射性物質であるため、法律上その保管や取り扱いに厳重な管理が必要であると共に、これを取り扱う作業者或いは使用者に対しても、健康や安全管理に十分注意を払う必要があり、取り扱いが極めて煩雑である、という問題がある。しかも、トリウムは、環境負荷の観点から使用が減縮される傾向にあり、入手が困難になってきている。このため、トリタンに代わる電極を用いた、すなわち、トリウムを含有しないと共に、従来通りの高入力高負荷に耐えられる電極を備えた放電ランプの開発が望まれている。
(1)特許文献1(特開平7−153421号公報)には、放電ランプの電極材料として、第1の金属酸化物にHfO2、ZrO2、第2の金属酸化物にY2O3、La2O3、Ce2O3、Sc2O3が存在するものが開示されている。
(2)特許文献2(国際公開特許WO03/075310号公報)には、La2O3とHfO2またはZrO2を含有することが記載されている。
これらの文献には、電子放射性物質として、特定の金属酸化物を用いると共に、これにハフニウム、ジルコニウムの酸化物を加えることによって、とりわけ高温における安定化を実現する、という技術について記載されている。
特に、電極先端温度が2400℃〜3000℃という高い温度で動作させる高負荷の高輝度放電ランプ、例えば上記した、キセノンショートアークランプ、超高圧水銀ランプ、希ガス水銀ショートアークランプのような、高輝度で、高負荷の放電ランプにおいては、電極先端の磨耗が激しい。
陰極先端付近の電子放射性物質は、粒界拡散により先端に運ばれるが、電子放射性物質の量が減少するにつれて、先端への供給量が低下する。ランプの寿命時間を通じて、陰極先端への電子放射性物質の供給の大部分は、陰極先端から少し後ろの、温度の高い領域から、粒界拡散で陰極先端部の表面に出てきた電子放射性物質が、表面拡散により先端に供給されるものである。高輝度、高負荷の条件で使用される放電ランプにおいては、陰極先端の温度が高くなるため、表面拡散により先端に輸送される途中で蒸発して、失われる電子放射性物質の割合が高くなる。そのため、電極先端部近傍にハフニウム、ジルコニウムの酸化物を特定の金属酸化物と共存させたとしても、これらの物質が電子放射性物質の安定化の機能を果たす前に、電放射性物質の供給が途絶えることになり、安定的な放電を維持することができなくなる。
すなわち、タングステンによって特定の金属酸化物が還元され、融点の低いタングステン酸化物を生成する。
例えばLa,Se,Smなどの特定の金属元素をRで一般化して表記すると、還元作用は下記の通りに進行する。
(式1)R2O3+W → R + WOx
このとき、特定の金属酸化物R2O3が共存するWOxと反応し、融点の低いタングステートRWOxを生成する。
このRWOxは、R2O3やWと比較して融点が低く、陰極先端付近の高温部分に存在した場合には、流動性が高くなり、電子放射性物質が早期に流出してしまう。これにより、電子放射性物質の供給が早期に減少してしまうため、アーク不安定や点灯困難になり、電極、更には放電ランプ短寿命になる。
本発明に係る放電ランプは、密閉された発光管の内部に、陰極と陽極とが対向配置され、前記陰極は、基体部分が、ランタン、セリウム、ガドリニウム、イットリウムからなる金属群のうち少なくとも1つの酸化物を含有したタングステンからなり、当該陰極先端部の近傍にジルコニウム、酸化ジルコニウム、炭化ジルコニウム、ハフニウム、酸化ハフニウム、炭化ハフニウムの群のうち少なくとも1つの物質を備えてなる放電ランプにおいて、前記陰極の先端部を除く外表面の少なくとも一部にタングステンカーバイド層を備え、前記発光管内部に、放電ランプ動作中の該発光管内部の水素量が圧力換算で13Pa〜1330Paとなるように水素を吸蔵している水素吸蔵体を備えていることを特徴とする。
また、前記水素吸蔵体は、水素を吸蔵する物質としてタンタル、ニオブおよびジルコニウムのいずれかより構成されたものである
のがよい。
その結果、放電ランプにおける電極としてトリウムを含まない材料より構成でき、高熱負荷の点灯条件にも耐えられる、高負荷の高輝度放電ランプを提供することができる。
図1は、本発明に係る超高圧放電ランプの一部を断面で示す説明用図面である。この超高圧放電ランプ10(以下、簡単に「放電ランプ10」という。)は、例えば水銀が封入された超高圧水銀ランプである。図1において、発光管11は石英ガラスからなり、略球状の発光管部12の両端に封止管部13が一体に連続して形成されている。この発光管部12内には、各々金属製の陽極15および陰極16よりなる一対の電極が、互いに対向するよう配置されており、その各々から伸びる電極棒17が封止管部13において保持されると共に、当該封止管部13内において気密に設けられた金属箔(図示せず)を介して外部リード棒(図示せず)や外部端子18に接続され、これに外部電源が接続される。発光管部12内には、水銀、キセノン、アルゴンなどの発光物質や、始動用ガスが、所定量封入されている。なお同図において符号14は封止管部12に装着された口金である。
このような放電ランプ10においては、外部電源より電力が供給されることにより、陽極15と陰極16との間でアーク放電が生じ、発光物質が発光して所定の波長域の光が放射される。
図2において、陰極16は、本体部分が先端側に向かって徐々に先細りする、略円錐形状のテーパー部161を備えており、このテーパー部161の後端に略円柱状の胴部162が一体的に形成されて構成され、胴部162の後方側の端部に電極棒17が接続されて、構成されている。
陰極16本体部分は、材質としては特定の金属酸化物が微少量添加された、タングステン(W)より構成される。ここに、特定の金属酸化物とは、酸化ランタン(La2O3)、酸化セリウム(Ce2O3)、イットリウム(Y2O3)、ガドリニウム(Gd2O3)よりなる群から選択されたものであり、このような金属酸化物がタングステン中に含有する割合は、0.5〜4.0質量%の範囲である。ここで、金属元素について記号Rを用い、特定の酸化物を一般化して表記するとR2O3となる。
エミッタとしてランタン(La)、セリウム(Ce)、イットリウム(Y)、ガドリニウム(Gd)が選択される理由としては、ランタン(La)、セリウム(Ce)、イットリウム(Y)においては実績においても十分あるものであり、アーク放電の陰極エミッタ物質であるからであり、ガドリニウム(Gd)については陰極降下電圧が低くかつアーク安定度が良好であることが本発明者らの検証によって得られたからである。
なお、上記安定化物質を電極先端に配置する手段としては、このような被覆層20による形態のほかに、電極本体内に混入するような手段でもよい。
なお、本明細書において、陰極の先端部16aとは、放電アーク内部に取り込まれる部分において、最も輝度が高い部分であり、実用の範囲でいうと電極先端から約3mmまでの範囲である。
タングステンカーバイト層21は、例えば、陰極基体本体に、カーボンブラック、ニトロセルロース、酢酸ブチルなどを混練したペーストを塗付し、高温で焼成することにより、電極本体を構成するタングステンと炭素とを反応させて、タングステンカーバイトWC(炭化タングステン)を生成させ、形成したものである。
タングステンカーバイトWCはタングステンよりも融点が低いため、陰極先端部16aの近傍にこの層を形成した場合には、点灯時、高温に昇温するため溶融してしまう。従って、陰極16の先端部16aにはタングステンカーバイトを形成することなく、先端部16aを除いた部分、好ましくはテーパー部161と胴部162の境界から後方に亘る部分に形成するのがよい。
なお、このタングステンカーバイト層21と上記した安定化物質による被覆層20との位置関係について述べると、厳密には定義されないが、安定化物質については陰極先端16aの近傍であることが望ましいが、タングステンカーバイト層21は陰極先端部16aを除く部分であることが必須であるため、タングステンカーバイト層21が被覆層20より後方であることが好ましい。電極先端16aに関して位置的条件を満たしていれば、タングステンカーバイト層22上に被覆層20を形成することも可能である。
無論、水素吸蔵体22はこのような形態に限定されることなく、発光管11内部の放電空間において水素を供給できるものであれば適宜変更が可能である。また、水素吸蔵体22が取り付けられる個所は陰極16の近傍に限定されることなく、例えば陽極15側の電極棒に装着されていても良い。
放電空間S内において、水素吸蔵体22により保持された水素(H2)は、ランプ動作中、同じく放電空間内に存在する炭素Cと反応してメタン(CH3)を生成する。メタン(CH3)はアークによって運ばれ、アーク中で分解して炭素Cと水素Hになる。炭素Cはイオン化して浮遊すると、陰極先端部16aを含むアーク支持部16Aに運ばれる。なお、ここでの説明において「アーク支持部16A」とは、ランプ点灯中、陰極16の先端近傍においてアークに包まれた部分である。
(式2)R2O3+C → R+COn
このため、陰極先端部16aのタングステンWが特定の金属酸化物R2O3の還元反応で使用されずに済み、タングステート(WOn)の生成が抑えられ、タングステートと特定の金属酸化物R2O3とによった低融点化合物の生成もまた抑制され、エミッタの早期流出を抑制することができる。
とりわけ、本発明によれば、炭素Cは、メタン(ガス)の形態で陰極先端部16a付近に運ばれるため、特定の金属酸化物R2O3の還元が停滞なく進行し、しかも、陰極先端部16aにタングステンカーバイド層21を形成することなく、当該先端部16aに炭素Cを送り込むことができるので、電極先端部16aが溶融することを効果的に回避することができる。
[水素吸蔵体の選定]
高負荷高輝度放電ランプの放電空間内部においては高温雰囲気が形成されるため、1000℃〜1500℃以上の熱に耐えられるものである必要がある。このような要求を満足する水素吸蔵体材料としては、タンタル(Ta),ジルコニウム(Zr)あるいはそのいずれかの金属の合金を考えることができる。このうち、ジルコニウム(Zr)は水銀に溶ける性質を有しており、例えば放電空間内部に水銀が封入される超高圧水銀ランプにおいては、タンタル(Ta)を使用するのが望ましい。
[水素の吸蔵方法]
脱ガスしたシリカガラス内に0.25φの、水素を吸蔵保持する担体としてのタンタル(Ta)線、または0.1m厚のタンタル(Ta)板を設置する。そこに水素を必要量導入し、封止してアンプル化する。これを、約400℃の電気炉中に入れて約1時間保持する。この加熱処理後、導入された水素はほぼすべてタンタル(Ta)に吸蔵される。アンプル内に導入する水素量の必要量は、アンプルの体積、タンタルの質量を基に算出して決定したものである。具体的には、内容積100ccのアンプルに、10gの物質用の金属、例えばタンタル(Ta)を導入し、タンタル1gあたり13300Pa・ccの吸蔵量させる場合には13300*10/100(単位:Pa)、すなわち、圧力が1330(Pa)となるよう調製してアンプルに水素を封入する。
このように、水素吸蔵物質となる金属に予め水素吸蔵処理を行っておきランプに導入する水素量に応じて切り分けて使用する。
なお、タンタルは水素を大量に吸収すると脆くなる性質を有しているので、線材を用いた場合は、水素量には注意を払う必要がある。本発明の実施の範囲、例えば1gのタンタルあたり13300Pa・cc以下の割合で吸収させた場合であれば、取り扱いが難しくなるほどには脆くならない。
無論、水素吸蔵体の作製方法はここで説明した内容に限定されることなく適宜変更が可能であり、また、ここでは水素吸蔵金属としてタンタルについて説明したが、その他の金属を用いてもよい。
陰極の炭化部分から炭素を陰極先端に輸送するために必要な水素の圧力は13Pa〜1330Paの範囲が良い。これは、水素の圧力が低すぎると炭素の陰極先端への輸送量が減り、炭素による還元効果が低くなるからである。一方、水素の圧力が高くなりすぎると、メタンの生成過剰となり、陰極先端に輸送される炭素の量が多くなりすぎて、比較的低融点の陰極先端にW2Cを形成し、先端が溶融する可能性が生じる。
水素量の好ましい範囲に関しては、ランプの内容積と必要な水素圧から、予め適切な水素量を決定できる。
例えば、内容積をV(cc)、放電空間S中の水素の分圧をP(Pa)、タンタル1gのあたりに吸蔵した水素量をQ(Pa・cc)、タンタル(Ta)の質量をM(g)とする。内容積Vが150cc,水素圧Pが133Paなら、1gのタンタル(Ta)あたりQ13300Pa・ccの水素を吸蔵したタンタル(Ta)の量Mは1.5g必要になる。
すなわち、下記式のようになる。
(式3) M=V*P/Q
放電空間内に配置された水素吸蔵体は、ランプの動作中1000℃以上に温度が上昇する。この温度域では吸蔵された水素の大部分は放電空間内に放出し、ランプを消灯すると温度が低下する過程で再び水素吸蔵体に吸収される。このように水素を水素吸蔵体に吸蔵させた状態で放電空間内に封入することにより、ランプの始動時、水素ガスの存在によって始動性が悪くなるということがなくなる。
[1](昇温脱離法)
水素吸蔵体をシリカガラス製の管の中に置き、管の内部を排気したのち、圧力が10−4Pa以下になるまで排気する。続いて、シリカガラス管の温度を1000℃まで、徐々に昇温し、放出ガスの流出量を測定し、時間積分によって、全放出量を算出する。このときの流出量は既知のコンダクタンスの両端の水素分圧の差を測定することで求めることができる。
[2]
また、その他の方法について下記に説明する。
容積がV1(cc)の容器に容積V2(cc)のシリカガラス製のアンプル中に水素吸蔵体を入れ、シリカガラス製のアンプルの温度を1000℃まで上げて圧力P(Pa)を読む。1000℃では、水素吸蔵体に含まれる水素量は無視できるので、V1(〜数1000cc)がV2(〜10cc)に比べて十分に大きければ、吸蔵水素量はV1xP(Pacc)となる。
陰極後部に設けられた炭化部から供給される炭素と、水素吸蔵体から供給された水素の働きによって、ランプ点灯時、放電空間内部において、メタンガス(CH3)が生成され、このメタンガスが放電プラズマの作用によりアーク近傍に単体のC(炭素)とH(水素)に分離されて、電極先端にC(炭素)が供給されるので、炭素がエミッタである特定の金属酸化物の還元に用いられることにより、タングステンが易電子放射性物質の酸化物の還元に使用される割合が低くなり、融点の低いタングステートの生成が抑制されて、電極先端部が溶融することが回避される。この結果、高い入力電力で駆動させる場合や大型の該高負荷高輝度放電ランプであっても、該陰極にトリエーティッドタングステン(トリタン)材料を利用した場合と同様の安定した放電と長寿命を実現することができる。
本発明にかかる放電ランプを下記要領で作製した。
(実施例1)
特定の金属酸化物として酸化ランタン(La2O3)を選択し、これをタングステン(W)に対して2.5質量%の割合で添加して陰極本体材料を製作した。この陰極本体材料を切削によって所定の形状に成形した後、先端を除くテーパー部の表面に、カーボンブラック、ニトロセルロース、酢酸ブチルからなる練り墨を塗布し、乾燥後、真空雰囲気中で1950℃で30分熱処理を行い、テーパー部に層の厚みが約30μmの炭化層を形成した。
その後、先端部をマスクし、スパッタリングにより、テーパー部に炭化ジルコニウム(ZrC)をターゲットとして膜厚が約80nmとなるよう被膜を形成した。その後、真空中で1600℃15分焼成を行い、ZrCを安定化させた。
一方、上述した水素吸蔵体の水素吸蔵方法と同様の方法により、1gあたり13300Pa・ccの水素を吸蔵させた線径φ0.25mmのタンタル線を、約1g分切り出し、陰極側電極棒に取り付けた。なお、タンタルに吸蔵された水素が全て放電空間内に放出された場合、水素量13300Pa・ccとなる。
この電極(陰極)を、図1で示したような超高圧水銀ランプに組み込み、ランプAを作製した。
この高圧水銀ランプの仕様を下記に述べる。
定格消費電力:2kW
発光管;材質:石英ガラス、バルブ外径55mm、全長75mm
陽極;材質:タングステン、最大径部の直径:20mm、全長:30mm
電極棒;材質:タングステン
陰極;材質:酸化ランタン添加タングステン、最大径部直径:6mm、テーパー角度:40度
電極間距離;5mm
封入物;水銀、水銀量25mm3、アルゴンガス;0.12MPa
水素吸蔵体;タンタル(1.0g、水素量:13300Pa・cc)
陰極材料として、上記実施例(1)と同様の方法により陰極を製作し、これを用いて定格消費電力4kWのキセノンショートアークランプを作製した。このキセノンショートアークランプをランプBという。仕様を下記に示す。
定格消費電力:4kW
発光管;材質:石英ガラス、内容積:112cc、全長(シール部端部まで含む)250mm
陽極;材質:タングステン、最大径部の直径:22mm、全長:31mm
電極棒;材質:タングステン
陰極;材質:酸化ランタン添加タングステン、最大径部直径:10mm、テーパー部の頂角40度
電極間距離;4.5mm
封入物;キセノンガス、静圧時2.5MPa
水素吸蔵体;タンタル(1.6g、水素量:21300Pa・cc)
陰極の構成が、酸化ランタンの代わりに酸化トリウム(ThO2)を2.0%の割合で含み、炭化層、炭化ジルコニウム(ZrC)層および水素吸蔵体を備えていないこと以外は上記実施例1と同様の構成となるよう、超高圧水銀ランプを作製した。このランプをランプCという。
陰極の構成が、酸化ランタンの代わりに酸化トリウム(ThO2)を2.0%の割合で含み、炭化層、炭化ジルコニウム(ZrC)層および水素吸蔵体を備えていないこと以外は上記実施例2と同様の構成となるよう、キセノンショートアークランプを作製した。このランプをランプDという。
ランプA,ランプCについて、それぞれ陽極が上となるよう、発光管の管軸を垂直方向に支持し、安定時におけるランプ電流が80A、ランプ電圧が25V(2kW)となるよう点灯した。この結果、従来の陰極材料にトリウムを用いたランプCは1000〜1200hでアーク不安定になった。ランプAは、約1300hでアーク不安定によるチラツキが発生した。
このように、陰極材料にトリウムを用いていないにもかかわらず、本発明に係るランプAにおいては、従来の放電ランプと遜色ない長寿命を達成できることが確認された。
ランプB,ランプDについて、それぞれ発光管の管軸を水平方向に支持し、安定時におけるランプ電流が133A、ランプ電圧が30V(4kW)となるよう点灯した。この結果、従来の陰極材料にトリウムを用いたランプDは約600〜800hでアーク不安定によるチラツキが発生した。ランプBは、約600hでアーク不安定によるチラツキが発生した。
チラツキが発生するまでの時間は、両ランプともほぼ同じであった。従って、発明に係るランプBにおいては、陰極材料にトリウムを用いていないにもかかわらず、従来のトリタン電極を備えた放電ランプと同等の寿命を達成できた。
11 発光管
12 発光管部
13 封止管部
15 陽極
16 陰極
161 テーパー部
162 胴部
16a 陰極先端部
16A アーク支持部
17 電極棒
20 被覆層
21 タングステンカーバイト層
22 水素吸蔵体
S 放電空間
Claims (2)
- 密閉された発光管の内部に、陰極と陽極とが対向配置され、
前記陰極は、基体部分が、ランタン、セリウム、ガドリニウム、イットリウムからなる金属群のうち少なくとも1つの酸化物を含有したタングステンからなり、
当該陰極先端部の近傍にジルコニウム、酸化ジルコニウム、炭化ジルコニウム、ハフニウム、酸化ハフニウム、炭化ハフニウムの群のうち少なくとも1つの物質を備えてなる放電ランプにおいて、
前記陰極の先端部を除く外表面の少なくとも一部にタングステンカーバイド層を備え、
前記発光管内部に、放電ランプ動作中の該発光管内部の水素量が圧力換算で13Pa〜1330Paとなるように水素を吸蔵している水素吸蔵体を備えている
ことを特徴とする放電ランプ。 - 前記水素吸蔵体は、水素を吸蔵する物質としてタンタル、ニオブおよびジルコニウムのいずれかより構成されたものである
ことを特徴とする請求項1記載の放電ランプ。
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