JP5672573B1 - 放電ランプ - Google Patents

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【課題】発光管内の陰極にトリウム以外のエミッタを添加してなる放電ランプにおいて、陰極からエミッタが過剰に蒸発して早期に枯渇してしまうことを防止するとともに、当初点灯時にも円滑な点灯ができるようにした構造を提供する。【解決手段】陰極3は、本体部31とその先端側に接合された先端部32とからなり、本体部は、トリウムを含まない高融点金属材料から構成され、先端部は、エミッタ(トリウムを除く)が含有されたタングステンから構成されるとともに、本体部および/または先端部の内部に形成された密閉空間内に、先端部に含有されたエミッタ濃度よりも高濃度のセリウムが含有された焼結体が埋設されるとともに、陰極の先端と焼結体の先端との距離が1.5mm乃至3.5mmとする。【選択図】図2

Description

この発明は、陰極に電子放射を良好にするためのエミッタを含有してなる放電ランプに関するものであり、特に、トリウム以外のエミッタを含有してなる放電ランプに係わるものである。
一般に、高入力で高輝度な放電ランプなどにおいては、その陰極には、電子放射を容易にするためにエミッタが添加されている。例えば、特開2012−15008号公報(特許文献1)には、エミッタとして酸化トリウムを含有する放電ランプ用の陰極が開示されている。
しかしながら、トリウムは放射性物質として法的規制の対象であり、その管理や取り扱いに慎重な配慮が必要であって、そのためにトリウムに代わる代替物質が要望されている。
そのトリウムに代わる代替物質として、希土類元素及びその化合物を用いるものが提案されている。希土類元素は、仕事関数(一般的に、物質表面から外方へ電子が飛び出す際に必要なエネルギーを指す)が低く電子放射に優れた物質であり、トリウムの代替物質として期待されている。
特開2005−519435号公報(特許文献2)には、陰極の材料であるタングステンにエミッタとして付加的に酸化ランタン(La)、酸化ハフニウム(HfO)、酸化ジルコニウム(ZrO)などを含有させた放電ランプが開示されている。
しかしながら、酸化ランタン(La)のような希土類酸化物は、酸化トリウム(ThO)より蒸気圧が高いために比較的蒸発しやすい。そのため、陰極に含有させるエミッタとして酸化トリウムに代えて希土類酸化物を用いた場合、当該希土類酸化物が過度に蒸発してしまい、早期に枯渇してしまうという事態が発生する。このエミッタの枯渇により、陰極における電子放射機能が失われてしまい、フリッカーが生じてしまってランプ寿命が短くなるという問題がある。
また、電子放射特性に寄与するエミッタは陰極の先端に存在するものだけであり、陰極後端から先端に向けての運搬が迅速に行われないことも一因といえる。このためトリウム以外のエミッタ物質を使った放電ランプにおいては、点灯が早期に不安定になるなどの問題がいまだ残るというのが実情である。特に、1kW以上の高入力の放電ランプにあっては、希土類元素やバリウム系物質の蒸気は、放電ランプを不安定な点灯に導くことが顕著である。
特開2012−15008号公報 特開2005−519435号公報
この発明は、上記従来技術の問題点に鑑みて、発光管の内部に、陰極と陽極とが対向配置された放電ランプにおいて、陰極にトリウム以外のエミッタを添加しても、当該エミッタの早期の枯渇を防止して、電子放出機能を長時間維持し、ランプのフリッカー寿命の長期化を図るようにするとともに、当初の点灯時の点灯始動性に優れた構造を提供しようとするものである。
上記課題を解決するために、この発明では、前記陰極が、本体部とその先端側に接合された先端部とからなり、前記本体部は、トリウムを含まない高融点金属材料から構成され、前記先端部は、エミッタ(トリウムを除く)が含有されたタングステンから構成され、前記本体部および/または先端部の内部に形成された密閉空間内に、前記先端部に含有されたエミッタ濃度(重量%)よりも高濃度のセリウムが含有された焼結体が埋設されているとともに、前記陰極の先端と前記焼結体の前端との距離が1.5mm乃至3.5mmであることを特徴とする。
また、前記先端部のエミッタが、酸化ランタン(La)、酸化セリウム(CeO)、酸化ガドリニウム(Gd)、酸化サマリウム(Sm)、酸化プラセオジム(Pr11)、酸化ネオジム(Nd)あるいは酸化ハフニウム(HfO)のいずれか、もしくは、その組み合わせであることを特徴とする。
また、前記先端部のエミッタ濃度(CF)が0.5wt%≦CF≦5wt%であり、前記密閉空間に埋設された前記焼結体のエミッタであるセリウム濃度(CB)が10wt%≦CB≦80wt%であることを特徴とする。
本発明によれば、トリウムを含まない本体部の先端に、トリウム以外のエミッタが含有された先端部が接合され、前記本体部および/または先端部の内部に形成された密閉空間内に、前記先端部に含有されたエミッタ濃度よりも高濃度のセリウムが含有された焼結体が埋設されているので、放電ランプを当初に点灯する際には、先端部に含まれたエミッタ(トリウムを除く)が先端部を被覆することにより良好な点灯性がもたらされる。
点灯時間に応じて、先端部に当初含有されたエミッタは消費されるが、陰極内部のエミッタである高濃度のセリウムが含有された焼結体から、セリウムが先端部側に拡散供給されてくるので、先端部でセリウムが枯渇することなく、良好な点灯性は安定的に長期間維持される。
この焼結体は、陰極内部に埋設されているため、放電アークに直接曝されることがなく、アークによって過熱されることが抑制されるので、過度に蒸発してセリウムが早期に枯渇してしまうようなことがない。
また、所定時間の点灯後に消灯し、陰極が冷却された際には、点灯時に焼結体から拡散してくるセリウムが先端部内で留まるために、その後の再点灯時には、この先端部内のセリウムがその点灯性を良好なものとしてくれるものである。
上記陰極先端部には、エミッタ(トリウムを除く)が含有されたタングステンを用いる。陰極先端部は、放電アークに直接曝されて高温になるため、エミッタを含有させる基体材料には高融点金属を用いなければならないが、高温における平衡蒸気圧の低いタングステンを用いることによって、その蒸発が抑制されて、発光管の黒化による照度の低下を最小限に抑えることができる。
また、陰極内部の焼結体に含有させるエミッタは、セリウムとする。それは、後述するように、焼結体中のエミッタは先端部を形成するタングステンの結晶粒界を拡散(粒界拡散)して陰極先端へ供給されると考えられるが、セリウムの場合、この拡散が速く、十分な、陰極先端へのエミッタの供給速度が得られるからである。それに加えて、通常、エミッタは酸化物の形態(セリウムの場合は、CeO)で焼結体に含有されるが、CeOは吸湿性が低いため、ランプの製造工程においてランプ内に取り込んでしまう水分量を少なくすることができるという利点もある。
次に、当該陰極の動作機構について説明する。前記焼結体は、通常、酸化セリウム(CeO)の形態でセリウムが含有される。そして、ランプの動作中に高温になると、焼結体内の還元反応によって、酸化セリウムからセリウム(Ce)が生成される。こうして生成したセリウムは、前記先端部を粒界拡散によって、陰極先端面まで輸送され、そこで陰極先端のタングステン表面上に単原子層を形成することによって、エミッタとして機能する。このセリウム単原子層は、高温のために、その温度に応じた速度でタングステン表面から脱離する。ここで、セリウム陰極先端面へのセリウムの輸送速度が大きく、陰極先端面にセリウムの多原子層が形成される場合、セリウム表面上のセリウムの脱離エネルギーがタングステン表面上のそれよりも小さいために、陰極先端からのセリウムの脱離が増大し、それがランプの発光管内面に付着して、白濁を生じる。逆に、陰極先端面へのセリウムの輸送速度が小さいと、陰極先端面のエミッタ(セリウム)が枯渇する。
上述のセリウムの粒界拡散について、陰極先端からの軸方向の距離をxとして数式を用いて表すと、以下のようである。
<式1>
Figure 0005672573
<式2>
Figure 0005672573
ここで、nは先端部におけるCeの濃度、Dは定数、Qは拡散の活性化エネルギー、Rは気体定数、Tは温度(K)である。式1と式2から、粒界拡散によるセリウムの輸送速度は、Ceの濃度勾配dn/dxが大きいほど、また、温度が高いほど大きくなることが分かる。
そこで、焼結体は、その前端が陰極先端から1.5mm乃至3.5mmの範囲に位置するように埋設される。すなわち、焼結体の前端が陰極先端から1.5mmより前になるように埋設すると、セリウムの粒界拡散の経路(先端部の焼結体より前の部分)におけるセリウムの濃度勾配が大きくなることと、同経路の平均的な温度が高くなることのためにセリウムの輸送速度が増大し、陰極先端からのセリウムの脱離が増大して、発光管の白濁を生じる。逆に、焼結体の前端が陰極先端から3.5mmより後ろになるように埋設すると、逆の理由のために、セリウムの輸送速度が低下し、陰極先端面のエミッタ(セリウム)が枯渇する。
なお、陰極先端面の動作温度は、ランプ入力、電流、陰極形状、エミッタの種類、先端部の基体材料などの要因によって異なり、したがって、陰極先端面からのセリウムの脱離速度も異なるが、陰極先端温度とセリウムの粒界拡散の経路(先端部の焼結体より前の部分)の温度とが連動するため、陰極先端からのセリウムの脱離と陰極先端への輸送がつりあうための焼結体の埋設位置は、陰極先端面の温度にあまり依存しない。例えば、電流および/または陰極先端径が異なり、陰極先端における電流密度(電流を先端面の面積で割った値)が異なる場合を比較すると、電流密度の大きい方が、陰極先端の温度が高くなり、エミッタの脱離速度が大きいが、Ceの拡散経路である先端部内部の温度も高くなるため、式2に従ってCeの拡散係数が大きくなり、陰極先端へのCeの供給速度も大きくなる。その結果、二つの場合で、焼結体の埋設位置は、ほぼ同じでよい。
本発明に係る陰極構造を有する放電ランプの全体図 本発明の実施例を表す陰極構造図 本発明の陰極の製造工程図 実験結果を表す表
図1は、この発明の陰極構造を有する放電ランプの全体構造を示し、放電ランプ1は発光管2の内部に陰極3と陽極4とが対向配置されている。
図2に示されるように、陰極3は、本体部31と、その先端に接合された先端部32とからなる。
前記本体部31は、トリウムを含まない、タングステンやモリブデンなどの高融点金属材料からなる。
そして、前記先端部32は、前記本体部31の先端側、即ち、陽極4と対向する面に固相接合、溶接などの適宜な接合手段により接合されている。当該先端部32には、トリウム以外のエミッタが適宜含有量で含有されている(以下、先端部に含まれるエミッタを第1エミッタともいう)。
このトリウム以外の第1エミッタとしては、例えば、酸化ランタン(La)、酸化セリウム(CeO)、酸化ガドリニウム(Gd)、酸化サマリウム(Sm)、酸化プラセオジム(Pr11)、酸化ネオジム(Nd)あるいは酸化ハフニウム(HfO)などが単体、もしくはその組み合わせで用いられる。
ここで、第1エミッタの含有量は、例えば、0.5重量%〜5.0重量%と低めに設定される。この第1エミッタは、ランプの当初の点灯時に始動性を確保するためのものであって、濃度が低めに設定されるのは、放電アークに曝されてエミッタが過度に蒸発することを防止するためである。
つまり、第1エミッタの含有量が、0.5重量%未満の場合、点灯初期において電子放出に必要となるエミッタ濃度を確保できず、ランプ電圧の上昇や変動の増大が、発生する。また、含有量が、5.0重量%を超えてしまうと、タングステン材料等の製造の際に、焼結体が脆くなってしまい、焼結工程やスウェージ工程での割れに起因する破損が発生しやすくなるだけでなく、仮に、製造できた場合でも、先端部に使用した場合に、エミッタの蒸発が顕著になり、バルブの黒化や白濁を促進してしまうため好ましくない。
図2に示されるように、陰極3の内部には、密閉空間33が形成されていて、該密閉空間33内には、セリウムが含有された焼結体34が埋設されている。
図2(A)は、密閉空間33が本体部31側に形成されていて、焼結体34は実質的には、該本体部31内に埋設されている。
図2(B)は、密閉空間33が、本体部31と先端部32とに跨って形成されていて、焼結体34はこの本体部31と先端部32とに跨るように埋設されている。
図2(C)は、密閉空間33が先端部32側に形成されていて、焼結体34は、実質的には、該先端部32内に埋設されている。
当然ながら、これらの形態のいずれかによって、先端部32の寸法、特に、厚さ寸法が異なってくるが、いずれの形態の場合も、焼結体34の前端は、前記陰極先端から1.5mm乃至3.5mmの位置に配置される。また、これらの形態のいずれを選択するかは、製造面での容易性と、先端部32の厚さに依存するコスト、あるいは全体の製造コストなどの兼ね合いで適宜に選択される。
前記焼結体34にはセリウムが含有されていて、例えば、タングステン等の構成材料に、酸化セリウムの形態で混入して、焼結したものが使われる。
そして、この焼結体34に含有される酸化セリウムの濃度は、前記先端部32に含まれる第1エミッタよりも高濃度の10重量%〜80重量%である。
この酸化セリウムの濃度が、10重量%未満であると、陰極3内部に格納できる焼結体34のサイズの関係から、陰極先端部32にエミッタとして供給するセリウム量を確保することが難しくなってしまう。また、80重量%を超えてしまうと、焼結体34のタングステン等の構成材料の割合が減少してしまい、酸化物の還元による生成物が減少してしまうため、いずれの場合も、陰極の寿命を短くしてしまうことになる。
この焼結体34中に含有するセリウムは、陰極3内部に埋設されていることにより、放電アークに直接曝されることがなく、必要以上に加熱されることがないので過度に蒸発することがない。また、焼結体34はランプ点灯に伴い適宜に加熱され、該焼結体34中のセリウムは濃度拡散によって先端部32側に移動供給されていく。これにより、先端部32ではエミッタとしてのセリウムが枯渇することがなく、安定的な点灯性が持続される。
さらに、前記陰極の先端と前記焼結体の前端との距離が1.5mm乃至3.5mmとなる位置に焼結体が埋設されることにより、陰極先端からのセリウムの脱離に対して過不足のないセリウムの供給が維持される。
しかして、この焼結体34は、陰極先端側の端面が先端部32に当接した状態であることが望ましい。こうすることにより、焼結体34に含まれるセリウムがランプ点灯中に拡散する際、先端部32に当接していることにより、セリウムが粒界拡散によって先端部32側に円滑に且つ速やかに移動して確実に供給されるようになる。
本発明の陰極3を構成する先端部32と焼結体34の機能と作用について説明する。当初点灯時には、先端部32に含有されている第1エミッタが、粒界拡散によって先端面に輸送されて電子放出を行い、確実な初期点灯がなされる。この点灯により先端部32に当初含まれていた第1エミッタは消費されるが、そのエミッタが枯渇するまでに、陰極3内に埋設された焼結体34中のセリウムが、先端部32中の粒界拡散によって先端面に供給されていくことにより、先端面でのエミッタの枯渇が生じない。
なお、前述のとおり、本体部31はトリウムを含まないタングステンなどの高融点金属からなるものであるが、トリウム以外のエミッタを含むことを排除するものではない。その場合、高濃度の焼結体34が存在するので、エミッタを先端部32に供給するという点については、本体部31にトリウム以外のエミッタを含むことに特段の利点は存在しないかもしれないが、本体部31と先端部32が同一の材料から構成されることで両者の接合が容易になるなどの別の利点を有する。
また、上記では、焼結体34は、酸化セリウムの形態でセリウムを含有する場合について述べたが、セリウム金属の形態で含有してもよいし、焼結体34の代わりにセリウム金属を密閉空間33内に埋設してもよい。
本発明の陰極構造について一寸法例を示すと以下の通りである。
陰極の外径:φ12mm、軸方向の長さ:21mm
先端部の寸法:軸方向長さ2mm、材料例:酸化ランタン、酸化ジルコニウムをドープしたタングステン
本体部の寸法:軸方向長さ19mm、材料例:純タングステン(不純物濃度が0.1重量%未満であるタングステン)
焼結体の寸法:φ2mm、軸方向長さ:6mm、材料例:酸化セリウム、タングステンを重量比 1:2で混合、成型、焼結したもの。
次いで、本発明に係る陰極の製造工程を、図3を用いて説明する。
陰極3内部の密閉空間33内に埋設する焼結体34は、酸化セリウム(CeO)とタングステン(W)の配合比を、1:2で、混合し、バインダ(ステアリン酸)を添加した上で、加圧プレス機により成型を行う。この後、水素中で1000℃の温度で脱脂・仮焼結を行った上で、真空中での本焼結をタングステン炉中において、1700〜2000℃、好ましくは1800〜1900℃、1hで行うことで、製作する。
陰極の先端部32は、La及びZrOドープタングステンとし、本体部31は、ZrOドープタングステンである。ともに、水素中または真空中で2300℃〜2500℃の温度で焼結する。このようにエミッタが含有されたタングステンをより高い温度(例えば、3000℃)で焼結すると、エミッタが蒸発して消失してしまうので、好ましくはない。
なお、本体部31にエミッタを含有しない形態の場合には、それよりももっと高い温度、例えば2700℃〜3000℃で焼結することもできる。
先ず図3(A)に示すように、本体部31を構成する本体部材31aの先端側に密閉空間33を構成する穴33aを形成し、該穴33a内に焼結体34を挿入する。次いで、先端部32を構成する先端部材32aを焼結体34に当接する。
この時、図3(B)に示すように、焼結体34の先端は、本体部31の表面より0.5mm程度の若干量だけ突出している。
図3(C)に示すように、先端部材32aを押圧して、焼結体34を圧縮し、先端部材32aと本体部材31aとを当接する。この際、焼結体34は、本体部31や先端部32の焼結温度よりも低い温度で焼結してあるので、押圧による縮み代は大きく、本体部材31aと先端部材32aの当接により、若干量だけ縮み、焼結体34は先端部材32aと当接した状態となる。
この状態で、拡散接合やスポット溶接等により本体部材31aと先端部材32aを接合する。
次いで、先端部材32aと本体部材31aの接合後に、陰極3の先端を切削加工する。
これにより、図3(D)に示すように、本体部31の先端に先端部32が接合され、その内部の密閉空間33内に焼結体34が密閉埋設された陰極3の最終形状が得られる。
図1では、本願発明の陰極構造の適用例として、水銀ランプやキセノンランプなどのショートアーク型放電ランプを示したが、ロングアーク型放電ランプに適用することもできる。
<実験>
本発明の効果を実証するために、以下の仕様のランプを用いて実験を行った。
陰極先端部:La(2重量%)とZrO(0.05重量%)が添加されたタングステン、密度18.4g/cm、長さ4mm
陰極本体部:ZrO(0.8重量%)が添加されたタングステン、密度18.5g/cm、長さ17mm
焼結体:CeO:W=1:2(重量比)、CeO(33重量%)、密度9.5g/cm、φ1.4mm×L6mm
陰極形状:先端径φ0.9mm、テーパ角55°、陰極径φ12mm、全長21mm
ランプ:7kW、Xeショートアークランプ(デジタルプロジェクター用光源)、
電気特性:175A−40V−7kW
上記ランプにおいて、焼結体の埋込み位置、即ち、陰極先端から焼結体先端までの距離(L)を変化させて実験した。
その結果が図4の表に示されている。
(1)照度維持率は、ランプの光を所定の楕円鏡を用いて集光し、所定の矩形領域を照射したときの平均照度の維持率(初期の照度に対する500h点灯後の照度の比)である。
(2)電圧変動は、ランプ電圧を所定のアナログ式ペンレコーダ(設定:チャートスピード:120mm/h、電圧レンジ:30~50V)を用いて20分間測定したときの電圧の変動幅をチャートから読み取ったもので、アーク安定性(フリッカー)の代用特性となる。すなわち、この方法で計測されるランプ電圧の変動幅とデジタルプロジェクターの映像に現れる照度変動には相関があり、ランプ電圧の変動幅が1.2Vを超えると、ヒトの視覚に映像のフリッカーが認識されることが確認されている。これは、このペンレコーダの周波数特性(応答速度)とヒトの視覚のフリッカー刺激光に対する感度特性とが近似しているためと考えられる。
従来の7kWのXeショートアークランプ(トリタン陰極)の寿命は、点灯不能となる(破裂を含む)、または、フリッカーが発生するまでの点灯時間によって定義されており、その平均寿命は500hである。寿命の一つである点灯不能の最たるものは破裂であるが、これについては、発光管の白濁や黒化が、照度維持率にして50%程度にまで進行すると、アークからの光の吸収が増えることによって発光管の温度が上昇するために、発光管に熱歪が蓄積されて破裂確率が高くなることが分かっている。一方、フリッカーの発生は、上記の備考(2)に記載したように、ランプ電圧の変動幅によって検出することができる。
そこで、500h点灯後の照度維持率と電圧変動とによって、本願の陰極の良否を判定した。具体的には、500h点灯後の電圧変動幅が1.2V以下、かつ、照度維持率50%以上の場合を良好(現行のトリタン陰極と同等の寿命特性)と判定した。
以上説明したように、本発明においては、陰極にトリウム以外のエミッタを添加した放電ランプにおいて、本体部に接合される先端部に第1エミッタを含有させてあるので、ランプの当初の始動時にはこのエミッタが始動性を確保して確実な点灯が行われる。
そして、陰極内部に密封埋設した焼結体には、前記先端部の第1エミッタよりも高濃度のセリウムが含有されているので、ランプ点灯に伴ってこのセリウムが拡散して、先端部側に移動して供給されるので、先端部でエミッタとしてのセリウムが枯渇するという心配がなく、継続的なセリウム供給による安定的な点灯が確保される。
この焼結体は陰極内部に密封埋設されていて、直接放電アークに曝されることがないので、トリウム以外の蒸気圧の低いセリウムが、過度に蒸発して短時間で枯渇してしまうこともない。
1 放電ランプ
2 発光管
3 陰極
31 本体部
32 先端部
4 陽極



Claims (3)

  1. 発光管の内部に陰極と陽極とが対向配置された放電ランプにおいて、
    前記陰極は、本体部とその先端面に接合された先端部とからなり、
    前記本体部は、トリウムを含まない高融点金属材料から構成され、
    前記先端部は、エミッタ(トリウムを除く)が含有されたタングステンから構成されるとともに、
    前記本体部および/または先端部の内部に形成された密閉空間内に、前記先端部に含有されたエミッタ濃度(重量%)よりも高濃度のセリウムが含有された焼結体が埋設されるとともに、
    前記陰極の先端と前記焼結体の先端との距離が1.5mm乃至3.5mmである、
    ことを特徴とする放電ランプ。

  2. 前記先端部のエミッタが、酸化ランタン(La)、酸化セリウム(CeO)、酸化ガドリニウム(Gd)、酸化サマリウム(Sm)、酸化プラセオジム(Pr11)、酸化ネオジム(Nd)あるいは酸化ハフニウム(HfO)のいずれか、もしくは、その組み合わせであることを特徴とする請求項1に記載の放電ランプ。
  3. 前記先端部のエミッタ濃度(CF)が0.5重量%≦CF≦5重量%であり、
    前記密閉空間に埋設された前記焼結体のエミッタであるセリウム濃度(CB)が10重量%≦CB≦80重量%である、
    ことを特徴とする請求項1記載の放電ランプ。


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