JP5237882B2 - 端部金具、枠組足場用桟および枠組足場 - Google Patents

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Description

本発明は、建築現場等の枠組足場、その枠組足場において用いられる桟(さん)およびその桟を枠組足場に固定するための端部金具に関する。
建築現場等で用いられる枠組足場は、通常、横桟と縦柱から構成されるH形状や鳥居形状の建枠複数個を筋違(すじかい)や手摺枠を取り付けて組み立てることによって形成される(例えば、特許文献1参照)。すなわち、建枠の複数個を、所定の間隔で建物等の構造物とは直角に立設し、隣接する建枠の縦柱の間に筋違や手摺枠を取り付け固定して複数個の建枠を自立させた後、隣接する建枠の横桟の間に床付き布枠(布板ともいう。)を1枚又は2枚以上架け渡すことで、1単位の足場を形成する。次に、既に立設した建枠の上に、別途用意された建枠を立設し、同様にして筋違や手摺枠を隣接する建枠の間に取り付け固定した後、新たに立設した建枠の横桟の上に床付き布枠を1枚又は2枚以上架け渡すことによって一つ上の段の足場を形成する。これを順次繰り返すことによって、全体の枠組み足場を形成する。
この建枠として、鳥居形状の建枠(以下、「鳥居枠」という。)を用いて枠組足場を形成する一例を、図1に示す。(a)が正面図、(b)が右側面図である。
まず3個の鳥居枠4を建物22とは直角に等間隔に並べ、隣接する鳥居枠4との間に、建物とは反対側に筋違13をロック金具8bに取り付け、そして建物側にも筋違13をロック金具8aに取り付けて、1段目の鳥居枠4を自立させることによって、1段目の足場を形成する。その後、1段目の隣接する鳥居枠4の上部の横桟3の間に2段目の足場板となる床付き布枠11を架け渡した後、既に立設した1段目の鳥居枠4の縦柱2の上に、別途用意した鳥居枠4の縦柱2の下部を載置し、固定ピン(図示せず)で固定することによって、2段目の鳥居枠4を立設する。その後、1段目と同様にして、建物とは反対側に筋違13をロック金具8bに取り付け、そして、建物側にも筋違13をロック金具8aに取り付けて、2段目の鳥居枠4を自立させることによって、2段目の足場を形成する。その後、2段目の隣接する鳥居枠4の上部の横桟3の間に3段目の足場板となる床付き布枠11を架け渡した後、既に立設した2段目の鳥居枠4の縦柱2の上に、別途用意した鳥居枠4の縦柱2の下部を載置し、固定ピン(図示せず)で固定することによって、3段目の鳥居枠4を立設する。その後、2段目と同様にして、建物とは反対側に筋違13をロック金具8bに取り付け、そして、建物側にも筋違13をロック金具8aに取り付けて、3段目の鳥居枠4を自立させることによって、3段目の足場を形成する。このようにして、必要な段数になるまで枠組足場を形成する。
なお、ここでは筋違を用いることによって各段の枠組を自立させる手順を説明したが、筋違の一部を手摺枠に置き換えて各段の枠組を自立させてもよい。
また、建枠を用いる他の例として、H形状の建枠(以下、「H枠」という。)を用いて枠組足場を形成する1例を、図2に示す。(a)が正面図、(b)が右側面図である。
3個のH枠1を建物22とは直角に等間隔に並べ、隣接するH枠の間に、建物とは反対側に手摺枠10をロック金具6bに取り付けて、1段目のH枠1を自立させる。さらに、建物とは反対側に手摺枠10をロック金具7bに取り付け、そして建物側の筋違(斜材)13をロック金具7aに取り付けて固定する。その後、1段目の隣接するH枠1の横桟3の間に床付き布枠11を架け渡して、1段目の足場を形成する。次に、既に立設した1段目のH枠1の縦柱2の上に、別途用意したH枠1の縦柱2の下部を載置し、固定ピン(図示せず)で固定することによって、2段目のH枠1を立設する。その後、1段目と同様にして、建物とは反対側に手摺枠10をロック金具6bと7bに取り付け、そして、建物側に筋違13をロック金具7aに取り付けて固定し、その後、2段目のH枠1の横桟3に床付き布枠11を架け渡して、2段目の足場を形成する。3段目の足場も、2段目の足場と同じ手順で組み立てる。すなわち、建物とは反対側に手摺枠10を取り付け、そして、建物側に筋違13を取り付けて固定し、その後、3段目のH枠1の横桟3に床付き布枠11を架け渡して、3段目の足場を形成する。このようにして、必要な段数になるまで枠組足場を形成する。
なお、ここでは手摺枠と筋違を用いることによって各段の枠組を自立させる手順を説明したが、手摺枠を用いることなく筋違だけでも枠組を自立させることができる。
特開2008−163740号公報
このように枠組足場においては、隣接する建枠の縦柱の間には筋違(すじかい)又は手摺枠が設けられている。
しかしながら、建物側の縦柱の間には、通常は筋違13が設けられているだけであって、筋違13と床付き布枠11との間には大きな空間が形成されている。そのため、その空間から作業者が足を滑らしたり、落下したりするおそれがあった。
また、建物とは反対側の縦柱の間も同様な空間が形成されることが多い。図1に例示した鳥居枠からなる枠組足場においては、建物とは反対側の縦柱の間は筋違13が設けられているだけであるから、筋違13と床付き布枠11との間には大きな空間が形成されている。図2に例示したH枠からなる枠組足場においては、建物とは反対側の縦柱の間は手摺枠10が設けられているから、図1の鳥居枠に比べると空間は小さくなっているが、その手摺枠10の枠模様や設置場所によっては、大きな空間が形成されるおそれがある。また、必ずしも手摺枠10が設置されるとは限らず、図1と同様に、筋違13で代用される場合がある。そこで、このような問題を解決するために、枠組足場の建物側およびその反対側の空間を小さくすることによって、その空間から作業者が足を滑らしたり、落下したりすることを防止するための対策を採ることが求められている。
枠組足場の建物側およびその反対側の空間を小さくするための対策として、まず思いつくのは、その空間部分に下桟あるいはさらに中桟等の桟を設けることによって、空間を小さくすることである。この場合、従来から用いられている手摺を下桟あるいはさらに中桟として用いれば、新たな部材を開発する必要がないので、枠組足場のコスト上昇を抑制することができる。
なお、従来から用いられている筋違や手摺等の足場構成部材は、通常、円筒状のパイプの両端部が押し潰された平板形状を有し、この両端の平板に穿たれた取付孔を、隣接する縦柱に設けられたロック金具に掛けることによって、縦柱に取り付けることができる。
図3は、鳥居枠からなる枠組足場の建物とは反対側に下桟を設けた場合の一例を示す斜視図であり、建物側上部より枠組足場を見た図である。
下桟としての手摺30は、隣接する鳥居枠4の建物とは反対側の縦柱2の下部に、床付き布枠11から一定間隔を開けて水平に設置される。この手摺30は、円筒状のパイプの両端部が押し潰された平板形状を有し、この両端の平板に穿たれた取付孔を、隣接する縦柱に設けられたロック金具8bに掛けることによって、隣接する縦柱の間に手摺30を取り付けることができる。したがって、この手摺30が取り付けられる縦柱2の下部のロック金具8bには左右2本の手摺30の端部2つが取り付けられることになる。
しかし、隣接する鳥居枠4の建物とは反対側の縦柱2の間には、すでに2本の筋違13が斜めに取り付けられている。この筋違13の端部も円筒状のパイプの両端部を押し潰してなる平板形状(その厚みは通常4.6mm程度である)を有し、この両端の平板に穿たれた取付孔を、隣接する縦柱に設けられたロック金具8bに掛けることによって、筋違13を隣接する縦柱の間に取り付けることができるものである。したがって、この手摺30が取り付けられる縦柱2の下部のロック金具8bにはすでに左右2本の筋違13の端部2つが取り付けられている。
言い換えると、1本の縦柱の下部に設けられたロック金具8bには、左右2本の筋違13の端部2つに加えて、左右2本の手摺30の端部2つが取り付けられることになる。
図4に、1本の縦柱の下部に設けられたロック金具8bに、筋違13の端部2つに加えて、手摺30の端部2つが取り付けられた状態を示す。ここでは、ロック金具8bの先端部にバネ可動式の爪部9が設けられており、ロック金具8bに取り付けられた4つの端部は外力を加えない限り外れない仕組みとなっている。なお、図4には、通常時の爪部9が実線で示され、ロック金具8bの内部に押し込まれた状態の爪部9が二点鎖線で示されている。
しかしながら、既存のロック金具8bの爪部9を除いた部分の厚さは、通常25.4mm程度である。ところが、通常、ロック金具8bは溶接Wによって縦柱に取り付けられるので、その溶接Wの厚み(6mm程度)と取り付けの遊び等を考慮すると、筋違13と手摺30の端部を取り付けることのできる長さは、16.8mm程度でしかない。したがって、筋違13の端部2つに加えて手摺30の端部2つを取り付けるためには、従来よりも十分に長いロック金具8bを用いる必要がある。
しかしながら、この場合、既存のロック金具8bを用いることができないので、新たにロック金具8bを作製する必要があり、枠組足場のコストが上昇するという問題がある。また、ロック金具8bが長尺化すると、作業員の服装や工具等が引っ掛かりやすくなり、通行や作業の邪魔になるという問題がある。
本発明は、上記のような問題を解決するためになされたものであって、筋違の端部が取り付けられる既存のロック金具に筋違の端部とともに取り付け可能な端部金具およびこの端部金具を備えてなる枠組足場用桟(さん)並びにその枠組足場用桟を備えた枠組足場を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記のような問題点を解決するために、次の(a)〜(d)に示すとおり、検討を重ねた。
(a) 前述したとおり、下桟又は中桟としての手摺を含めて、筋違や手摺等の足場構成部材は、通常、円筒状のパイプの端部が押し潰された平板形状を有している。従来は、この端部は円筒状のパイプの両端部を押し潰して平板形状とすることによって形成されてきたが、これでは、筋違の端部に加えて下桟又は中桟の端部を取り付けることができない。そこで、本発明者等は、薄肉の平板を別途作製し、これを円筒状のパイプの端部に溶接することで平板の薄肉化を試みた。
(b) 図5は、平板を円筒状のパイプの端部に溶接してなる桟の一例である。図5(a)は桟の端部の正面図であり、図5(b)は桟の端部の上面図である。
この桟31は、円筒状のパイプ31aおよび別途作製した薄い平板形状の端部金具31bにより構成される。端部金具31bには、ロック金具8bを通すための取付孔31cが形成されている。また、パイプ31aの端部には、切欠き31dが形成されている。桟31は、端部金具31bを切欠き31dに嵌合した状態で、図5(a)に二点鎖線で示す領域を溶接することにより、パイプ31aと端部金具31bとが固定されている。
この桟31は、薄い平板形状の端部金具31bがロック金具8bに取り付けられるので、既存のロック金具8bを用いることができる。したがって、新たに長尺のロック金具8bを作製する必要が無く、作業員は通行や作業を従来通り行なうことができる。
しかしながら、パイプ31aに切欠き31dを形成する必要があり、コスト面および加工面の観点から問題が残る。
(c) 図6は、平板を円筒状のパイプの端部に溶接してなる桟の他の例である。図6(a)は桟の端部の正面図であり、図6(b)は桟の端部の上面図である。
この桟32は、円筒状のパイプ32aおよび別途作製した薄い平板形状の端部金具32bにより構成される。端部金具32bには、ロック金具8bを通すための取付孔32cが形成されている。また、端部金具32bの一端側には、凹状の切欠き部32dが形成されている。なお、図5の桟31と異なり、図6の桟32のパイプ32aには切欠きは形成されていない。桟32においては、切欠き32dにパイプ32aの一端部を嵌合した状態で、図6(a)に二点鎖線で示す領域を溶接してパイプ32aと端部金具32bとが固定されている。
図6の桟32においては、端部金具32bの加工が容易であるので、桟32の製造コストを抑制することができる。しかしながら、この桟32においても、なおも、次の問題が発生する。
図7は、図6の桟32の断面図である。図7(a)は図6のA−A線断面図であり、図7(b)は図6のB−B線断面図である。なお、図7においては、パイプ32aと端部金具32bとが溶接部32eによって接合されている。溶接部32eは、図6に二点鎖線で示した領域に形成されている。また、図6のB−B線は、パイプ32aの端面と切欠き32dの底面との境界(接触面)を通る線である。
図7に示すように、桟32のB−B線断面(図6参照)における断面積は、A−A線断面(図6参照)における断面積に比べて小さい。そのため、桟32のB−B線(図6)に相当する部分の剛性は、他の部分の剛性に比べて大きく低下する。それにより、端部金具32bのB−B線(図6)に相当する部分が他の部分に比べて変形しやすくなる。
ここで、図8に、端部金具32bが変形する場合の一例を示す。なお、図8(a)は、端部金具32bが変形する直前の様子を示す桟32の部分拡大図であり、図8(b)は、端部金具32bが変形した後の様子を示す桟32の部分拡大図である。
図8(a)に示すように、枠組足場の解体時または下桟32の運搬時等には、端部金具32bの先端部が地面100に衝突する場合がある。この場合、端部金具32bにパイプ32aの全荷重がかかることになる。そのため、図8(b)に示すように、端部金具32bに大きな荷重がかかった際に、上述した剛性の低い部分において薄い平板形状の端部金具32bが折れ曲がってしまう場合がある。
(d) そこで、本発明者らは、薄肉であっても剛性の低下を防止することができる端部金具について、さらに検討した。
図9に、剛性の低下を防止することができる薄い平板形状の端部金具の側面図を示す。
この端部金具33は、一端側に突出部33aを有する。この端部金具33を図6の端部金具32bに代えて用いる場合には、突出部33aをパイプ32a(図6参照)に挿入した後、パイプ32aの端部を押し潰すとともにその押し潰した部分において突出部33a(図9)とパイプ32a(図6参照)とを溶接する。この場合、端部金具33とパイプ32aとの溶接部において端部金具33の剛性が低下することを防止することができるので、薄肉であっても端部金具33の変形を防止することができる。
しかしながら、この薄い平板形状の端部金具33を用いる場合には、パイプ32aの端部を押し潰す必要があり、加工性の点で問題が残る。
このような検討結果を踏まえて、本発明者等は、次の(e)〜(h)に示すとおり、既存のロック金具の利用、桟の加工性向上および端部金具の強度の向上を図るために有用な知見を得た。
(e) 桟を既存のロック金具に取り付けるためには、別途作成した薄い平板形状の端部金具を用いればよい。
(f) 桟の加工性を向上させるためには、特別な加工を要しない通常のパイプを用いることができればよい。そのためには、薄い平板形状の端部金具にパイプの端部が嵌合可能な切欠きを形成すればよい。
(g) 切欠きが形成された端部金具の強度(剛性)を向上させるためには、切欠きの底面部に突出部を形成すればよい。また、この突出部は、パイプが切欠きに嵌合された場合に、パイプ内に突出するように形成すればよい。この場合、端部金具の溶接代を、パイプの外周面の外側の領域だけではなく突出部まで拡大することができる。したがって、パイプの外周面だけではなく、パイプの端面も端部金具に確実に溶接することができる。それにより、パイプの端面との接触面近傍における端部金具の強度(剛性)を向上させることができ、薄い平板形状の端部金具の折れ曲がりを防止することができる。
(h) 薄い平板形状の端部金具の強度(剛性)をさらに向上させるためには、パイプの内周面を上記の突出部に溶接すればよい。
本発明は、上記の知見に基づいて完成したものであって、その要旨は下記の(1)の端部金具および(2)〜(4)の枠組足場用桟並びに(5)の枠組足場にある。以下、総称して、本発明という。
(1)パイプの両端部にそれぞれ溶接される薄い平板形状の端部金具であって、パイプの端部が嵌合可能な略凹状の切欠きと、切欠きの底面部に形成され、パイプが切欠きに嵌合された場合にパイプ内に突出する突出部とを有することを特徴とする枠組足場用桟の端部金具。
(2)パイプとそのパイプの両端部にそれぞれ溶接される薄い平板形状の端部金具からなる桟であって、端部金具は、パイプの端部が嵌合可能な略凹状の切欠きと、切欠きの底面部に形成され、パイプが切欠きに嵌合された場合にパイプ内に突出する突出部とを有することを特徴とする枠組足場用桟。
(3)切欠き内において少なくともパイプの端面および外周面が端部金具に溶接されていることを特徴とする上記(2)に記載の枠組足場用桟。
(4)切欠き内においてパイプの内周面と突出部とが溶接されていることを特徴とする上記(3)に記載の枠組足場用桟。
(5)筋違によって固定されてなる枠組足場であって、筋違の端部と上記(2)〜(4)までのいずれかに記載の枠組足場用桟の端部の両方が建枠の縦柱に設けられた共通のロック金具に取り付けられていることを特徴とする枠組足場。
本発明に係る薄い平板形状の端部金具とこの端部金具を備えてなる枠組足場用桟は、筋違の端部が取り付けられる既存のロック金具に筋違の端部とともに取り付け可能であるとともに、桟の加工性と端部金具の強度の向上を図ることができる。
鳥居枠を用いて枠組足場を形成する一例である。 H枠を用いて枠組足場を形成する一例である。 鳥居枠からなる枠組足場に下桟を設けた場合の一例を示す斜視図である。 1本の縦柱の下部に設けられたロック金具に、筋違の端部2つと手摺の端部2つが取り付けられた状態を示す。 薄い平板形状の端部金具を円筒状のパイプの端部に溶接してなる桟の一例である。 薄い平板形状の端部金具を円筒状のパイプの端部に溶接してなる桟の他の例である。 図6の桟の断面図である。 薄い平板形状の端部金具が変形する場合の一例を示す図である。 剛性の低下を防止することができる端部金具の側面図である。 本発明に係る枠組足場の一例を示す図である。 本発明に係る桟の一例である。 図11の端部金具の拡大正面図である。 図11の桟の一端部を示す図である。 突出部の効果を説明するための図である。 パイプと端部金具との溶接方法の他の例を示す図である。 突出部の形状の他の例を示す図である。
以下、本発明の実施の形態に係る端部金具、その端部金具を備えた枠組足場用桟(以下、桟と略記する。)およびその桟を備えた枠組足場について図面を用いて説明する。
図10は、本発明に係る枠組足場の一例を示す図である。図10に示す枠組足場50が図3に示した枠組足場と異なる点は、手摺30の代わりに桟40が設けられている点である。なお、図10には、枠組足場50の一部が示されており、実際には、図1に示した枠組足場と同様に、複数の鳥居枠4および複数の床付き布枠11等によって枠組足場50が構成されている。また、図10においては、簡便のため、枠組足場50の一方側に設けられる桟40のみを示しているが、枠組足場50の他方側にも同様に桟40が設けられる。
図11は、図10の桟40を示す図である。なお、図11において、(a)は正面図であり、(b)は上面図である。
図11に示すように、本実施の形態に係る桟40は、円筒状のパイプ41および薄い平板形状の端部金具42により構成される。パイプ41には、切欠き等は形成されていない。端部金具42の板厚は、例えば、3.6mm以下である。この桟40は、図3で説明した手摺30と同様に、下桟または中桟等として使用される。
図12は、図11の端部金具42の拡大正面図である。また、図13は、図11の桟40の一端部を示す図である。なお、図13において、(a)は正面図であり、(b)は上面図である。
図12に示すように、端部金具42の一端側には、ロック金具8b(図10参照)を通すための取付孔43が形成されている。端部金具42の他端側には、略凹状の切欠き44が形成され、その切欠き44の両側に長尺状の腕部42aが形成されている。また、端部金具42の他端側には、切欠き44の底面部において他端側に突出する突出部42bが形成されている。腕部42aと突出部42bとの間には、パイプ41の先端部を嵌合させるための隙間が形成されている。なお、パイプ41を切欠き44に嵌合させた場合に、パイプ41の外周面と腕部42aとの間の距離は、例えば、0.2mm〜1.0mmになることが好ましい。腕部42aと突出部42bとの間の隙間d1は、パイプ41の厚みに応じて適切に設定することが好ましく、例えば、パイプ41の厚みが1.9mmである場合には、2.3mm〜4.0mmであることが好ましい。また、突出部42bの突出長さd2は、例えば、4mm以上であることが好ましい。腕部42aの長さは、例えば、10mm以上であることが好ましい。
図13に示すように、本実施の形態に係る桟40においては、腕部42aと突出部42bとの隙間にパイプ41の先端部を嵌合させた状態で、パイプ41および端部金具42が溶接される。図13の例では、溶接部45によりパイプ41と端部金具42とが接合されている。溶接方法としては、アーク溶接またはガス溶接等の種々の手法を用いることができる。
ここで、上述したように、本実施の形態に係る端部金具42には、突出部42bが形成されている。その効果を図14を用いて説明する。図14において、(a)は図13のA−A線断面図であり、(b)は図13のB−B線断面図である。なお、図13のA−A線は、パイプ41の端面と切欠き44の底面との境界(接触面)を通る線である。
図14に示すように、本実施の形態に係る端部金具42においては、突出部42bが形成されていることにより、端部金具42の溶接代を、パイプ41の外周面の外側の領域だけではなく突出部42bまで拡大することができる。そのため、パイプ41の外周面と腕部42aとの溶接だけでなく、パイプ41の端面および内周面を端部金具42に溶接することができる。この場合、腕部42aと突出部42bとが溶接部45およびパイプ41により接続されるので、端部金具42のA−A線(図13)に相当する部分の剛性を大きくすることができる。したがって、枠組足場の解体時または桟40の運搬時等に、薄い平板形状の端部金具42に大きな荷重がかかった場合でも、薄い平板形状の端部金具42が折れ曲がることを防止することができる。
また、本実施の形態に係る桟40においては、薄い平板形状の端部金具42が用いられているので、従来のロック金具8b(図10)によって2本の筋違13および2本の桟40を枠組足場に固定することができる。したがって、桟40を取り付けるために新たなロック金具8bを作製する必要がないので、枠組足場の製造コストの上昇を抑制することができる。また、本実施の形態に係る桟40においては、特別な加工が施されていない通常のパイプ41を用いることができるので、桟40の加工性が向上するとともに、製造コストを抑制することができる。また、パイプ41と端部金具42とを接合する際にパイプ41を押し潰す必要がないので、桟40の加工性がさらに向上する。また、新たに長尺のロック金具8bを作製する必要が無く、作業員は通行や作業を従来通り行なうことができる。
以上のように、本実施の形態に係る薄い平板形状の端部金具42によれば、桟40の加工性を向上させることができるとともに、端部金具42の強度を十分に向上させることができる。
なお、上記においては、図14(b)で説明したように、溶接部45がパイプ41の内面側まで延びるようにパイプ41と端部金具42とが溶接される場合について説明したが、パイプ41と端部金具42との溶接方法は上記の例に限定されない。例えば、図15に示すように、パイプ41の端面が端部金具42に溶接されていれば、パイプ41の内周面に溶接部45が形成されていなくてもよい。この場合でも、パイプ41の端面との接触面近傍における端部金具42の強度(剛性)を向上させることができるので、端部金具42の折れ曲がりを防止することができる。なお、突出部42bが形成されていない図6に示した端部金具32bでは、溶接代を拡大することができないので、パイプの端面を端部金具32bに確実に溶接することは困難である。したがって、端部金具32bの強度を向上させることができない。
なお、突出部42bの形状は上記の例に限定されず、例えば、図16に示すように、中央部が凹んだ形状であってもよい。この場合、突出部42bの凹部の両側の部分の幅d3は、それぞれ4mm以上であることが好ましい。
本発明に係る薄い平板形状の端部金具とこの端部金具を備えてなる枠組足場用桟は、筋違の端部が取り付けられる既存のロック金具に筋違の端部とともに取り付け可能であるとともに、桟の加工性と端部金具の強度の向上を図ることができる。
1 H枠
2 縦柱
3 横桟
4 鳥居枠
6b ロック金具
7a ロック金具
7b ロック金具
8a ロック金具
8b ロック金具
9 爪部
10 手摺枠
11 床付き布枠
13 筋違
22 建物
30 手摺
31 桟
31a パイプ
31b 端部金具
31c 取付孔
31d 切欠き
32 桟
32a パイプ
32b 端部金具
32c 取付孔
32d 切欠き
32e 溶接部
33 端部金具
33a 突出部
40 桟
41 パイプ
42 端部金具
42a 腕部
42b 突出部
43 取付孔
44 切欠き
45 溶接部
50 枠組足場
W 溶接部

Claims (5)

  1. パイプの両端部にそれぞれ溶接される薄い平板形状の端部金具であって、
    前記パイプの端部が嵌合可能な略凹状の切欠きと、
    前記切欠きの底面部に形成され、前記パイプが前記切欠きに嵌合された場合に前記パイプ内に突出する突出部とを有することを特徴とする枠組足場用桟の端部金具。
  2. パイプとそのパイプの両端部にそれぞれ溶接される薄い平板形状の端部金具からなる桟であって、
    前記端部金具は、
    前記パイプの端部が嵌合可能な略凹状の切欠きと、
    前記切欠きの底面部に形成され、前記パイプが前記切欠きに嵌合された場合に前記パイプ内に突出する突出部とを有することを特徴とする枠組足場用桟。
  3. 前記切欠き内において少なくとも前記パイプの端面および外周面が前記端部金具に溶接されていることを特徴とする請求項2に記載の枠組足場用桟。
  4. 前記切欠き内において前記パイプの内周面と前記突出部とが溶接されていることを特徴とする請求項3に記載の枠組足場用桟。
  5. 筋違によって固定されてなる枠組足場であって、筋違の端部と請求項2〜4のいずれかに記載の枠組足場用桟の端部の両方が建枠の縦柱に設けられた共通のロック金具に取り付けられていることを特徴とする枠組足場。
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