JP5233623B2 - 劣化検知システム及び劣化検知方法 - Google Patents
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Description
この交通システムは、主に、インフラ側の通信装置としての複数の路側通信装置と、各車両に搭載される通信装置である車載通信装置(移動端末)とによって実現される。通信の組み合わせとしては、路側通信装置同士での路路間通信と、路側通信装置と車載通信装置とによる路車(または車路)間通信と、車載通信装置同士での車車間通信とがある。
このまま路側通信装置が放置されていると、劣化が進行し、やがて他の通信装置との間で無線通信ができなくなる(故障する)。この場合、故障した路側通信装置と通信相手となっている他の通信装置において、受信エラーが多く発生することとなるが、例えば、その受信エラーの発生率が、予め定められた閾値よりも大きくなることを、当該他の通信装置が検出することで、前記路側通信装置が故障したことを検知することができる。
そこで、本発明は、路側通信装置の通信性能の劣化を検知することができ、路側通信装置が故障して通信不能となる前に、路側通信装置のメンテナンスを可能とさせる劣化検知システム及び劣化検知方法を提供することを目的とする。
なお、車両感知器から得られる感知器情報は、例えば、車両感知器の感知エリアを単位時間に通過した車両の台数や、当該車両の走行速度である。そして、前記交通状況情報は、路側通信装置の受信エリアに存在している車両の台数や走行速度についての情報である。
このように、路側通信装置の劣化を推定することができるので、劣化が推定された路側通信装置が故障して通信不能となる前に、路側通信装置のメンテナンス等が可能となり、路側通信装置の故障の予防が可能となる。
予め与えられ定期的に更新される車載通信装置の車両への搭載率と車両台数とから、受信エリア内およびその近傍に同時に存在する車載通信装置の予想台数を算出する。そして、車載通信装置の台数と受信予定回数とを対応付けたテーブル(情報)を事前に用意しておき、当該テーブルを参照することにより、前記算出した車載通信装置の予想台数に基づいて受信予定回数を算定する方法である。
又は、例えば1週間あるいは1月といった期間において、交通状況と実受信回数の実績値を統計データとして記憶しておき、現状の交通状況と似通った交通状況における過去の統計データに基づいて受信予定回数を予測しても良い。
しかし、識別情報取得部が車載通信装置の識別情報を取得することで、予測部の回数検知部が、一つの車載通信装置から所定期間内に発信された無線信号の受信回数を検知することにより、当該一つの車載通信装置から発信された無線信号を複数回受信していることが判り、予測部の補正部は、前記受信予定回数を補正することで、劣化検出部は、実受信回数と、補正した受信予定回数とを比較することができ、判定精度を高めることが可能となる。
このように、路側通信装置の劣化を推定することができるので、劣化が推定された路側通信装置が故障して通信不能となる前に、路側通信装置のメンテナンス等が可能となり、路側通信装置の故障の予防が可能となる。
〔交通システム〕
図1は、交通システムが設けられている道路の模式図であり、図2は図1の一部(二点鎖線で囲まれた部分)を拡大して説明している説明図である。
交通システムは、複数の路側通信装置(以下、「路側機」という)1を有している。図1では路側機1として、路側機1A〜1Iが示されている。また、この交通システムは、道路を走行している車両5(図2参照)を感知する車両感知器7を有している。図1では路側機1Aの近傍に一つの車両感知器7が代表として示されているが、交通システムは複数の車両感知器を有している。
さらに、路側機1(例えば路側機1A)は、他の路側機(路側機1B,1C,1D,1E)との間の通信も可能であり、路側機1同士で情報を交換することが可能である。この路側機1同士の通信を「路路間通信」というものとする。
なお、交通システムが使用する周波数は、例えば720MHz帯であり、特に路路間通信では2.4GHzや5GHz帯がある。
車両感知器7が超音波式、光学式である場合、感知ヘッド7aが超音波や近赤外線を発信して車両5を検出する形式以外に、車載機2が例えば近赤外線を発信しこれを感知ヘッド7aが感知する形式のものであってもよい。
図2において、各交差点Jには、4本の各道路RE,RW,RN,RS用に4つ(複数)の交通信号灯器20a,20b,20c,20dが設置されている。
また、各交差点の角には、ビル等の障害物がある。なお、道路構造は、上記に限定されるものではない。
路側機1は、車載機2に対して同報通信(1対多通信)が可能であり、交通情報などを、周囲に存在している車載機2に対して一斉に送信することができる。
そして、前記第一時間帯以外の残りの第二時間帯が、車載機2が信号を送信することのできる時間であり、この第二時間帯で例えばCSMA/CA方式による車車間通信が行われる。
このように、路側機1が信号を送信する時間(第一時間帯)が優先的に与えられていることで、路側機1から送信される信号の品質を確保している。
そして、各路側機1は、時刻を同期させ、通信エリア内に(通信エリア内の車載機2に対して)前記割り当て情報を送信する。
一方、割り当て情報を受信して取得した車載機2は、路側機1が信号を送信する時間帯(第一時間帯)と、当該車載機2が信号を送信することが可能となる通信可能時間帯(第二時間帯)とを知ることができる。これにより、車載機2は、第二時間帯で、車路間通信と車車間通信との内の一方または双方を行うことができる。
逆に車載機2を搭載している車両5の台数が少なく、走行速度が速い場合、車両5は短時間で受信エリアAを通過するため、受信エリアAを通過する間に1台の車載機2が無線信号を送信できる回数が減る。この場合、路側機1が無線信号を受信する受信回数は少なくなる。しかし、車両5の台数が少なくても、速度が遅い場合、路側機1が無線信号を受信する受信回数は増加する傾向にある。
また、各車載機2に、予め識別情報が割り当てられていて、各車載機2における記憶部(図示せず)は、自己の識別情報(ID情報)を記憶している。そして、車載機2は、自己の識別情報を含ませて無線信号を発信することができる。
以上のように、交通システムは複数の路側機1及び車両感知器7を有し、これらは中央制御装置4によって統括されている。そして、この交通システムには、路側機1の通信性能の劣化を検知する劣化検知システムSが設けられている(図3参照)。図3の実施形態では、各路側機1(図1のすべての路側機1)の通信装置本体10に、劣化検知システムSが設けられている。劣化検知システムSは、CPU及び記憶部を有しているプログラマブルなマイコンなどからなる。
以下の説明では、図1の路側機1Aにおける通信性能の劣化を検知する場合について説明する。この場合、路側機1Aのアンテナ11が設置されている位置(交差点)から、車両5の走行方向上流側に、車両感知器7は設置されていて、アンテナ11が設置されている位置に向かって走行する車両5を感知するように構成されている。
なお、図3では路側機1に劣化検知システムSを設けた場合が示されているが、劣化検知システムSは、中央制御装置4に設けられていてもよく、または、劣化検知システムSの各機能部が、路側機1と中央制御装置4とに分かれて設けられていてもよい。また、各機能部は、通信装置本体10の制御部13が有していてもよい。
劣化検知システムSの機能について図3と図4とにより説明する。
車両感知器7が超音波式、光学式である場合も、感知器制御部7bが検出する感知情報は、感知エリアB(図4(a)参照)を単位時間の間に通過した車両5の台数及び速度である。なお、この場合、速度は、例えば感知ヘッド7aを複数備えていることによって求められる。
このために、交通状況取得部15は、路側機1の正常時における受信エリアAの広さ(車両走行方向の長さ)に関する情報を記憶部19から取得する。この広さに関する情報と、取得した前記感知情報とに基づいて、交通状況取得部15は演算処理することによって、路側機1の受信エリアA内に存在していると思われる車両5の台数を推定することができる。また、車両感知器7の感知エリアBは、路側機1の受信エリアAに含まれていることにより、交通状況取得部15は、感知エリアBにおける車両5の速度を、受信エリアAにおける車両5の速度とみなすことができる。なお、交通状況情報の取得については後にも説明する。
このために、記憶部19には、交通状況情報と、受信予定回数Qとが対応付けられた対応情報(図5)が記憶されている。そして、予測部16は、取得された前記交通状況情報に基づいて、前記受信予定回数Qを予測することができる。
例えば、交通状況取得部15によって取得された交通状況情報が、受信エリアA内の車両5の台数が4台であり、平均速度が60km/hであった場合、図5の対応情報によれば、受信予定回数Q=4であると、予測部16は予測することができる。
Q=k×L×N/v (kは係数)
という、関数とすることができる。この関数は、車両5の台数Nに比例し、平均速度vに反比例する関係を有している。
このように、図5のようなデータ又は前記関数によって、予測部16は、取得された交通状況情報に基づいて、受信予定回数Qを予測することができる。
例えば、図4(a)において、所定期間内に、受信エリアA内に進入している車両5aが、当該受信エリアA内で例えば3回(複数回)無線信号を路側機1に送信していて、当該路側機1がこの3回の無線信号をすべて受信しているとする。なお、所定期間内に、他の車両5b、5c、5dの車載機2はそれぞれ1回のみ無線信号を路側機1に送信していて、当該路側機1がそれぞれ無線信号を受信しているとする。
そして、図4(a)において、車両感知器7による感知器情報によれば、受信エリアA内の車両台数は4台(5a、5b、5c、5d)であるため、交通状況取得部15が取得する交通状況情報によれば車両5が4台であり、予測部16によって、受信予定回数Qが4回であると予想される。
しかし、前記のとおり、1台の車両5aの車載機2は受信エリアAで3回の無線信号を送信し、路側機1はこれを全て受信しているので、受信予定回数Q(=4回)と、路側機1(無線部12)が実際に受信する実受信回数R(=6回)とが異なる結果となる。
これは、前記のとおり、前記予測部16が、交通状況情報に基づけば車両5が4台であり、受信予定回数Qを4回であると予想していても、路側機1が実際に受信する実受信回数Rが6回となり、異なる結果となるが、前記補正部16bは、当初の受信予定回数Qに、車載機2毎の重複受信回数Mに1少ない回数(M−1)を加算する演算処理を行う。
つまり、回数検知部16aによって検知された重複受信回数Mが3回である場合、当初の受信予定回数Q=4に、重複受信回数Mに1少ない回数(M−1=3−1=)2を加算して、補正後の受信予定回数Q1を、6回とする(Q1=6)。これにより、補正後の受信予定回数Q1と、実受信回数Rとの間の齟齬は解消される。
なお、前記受信予定回数Qは、補正部16bによって補正されている場合、補正後の受信予定回数Q1が採用される。
車両感知器7は、感知エリアBにおける車両5を感知する(図6のステップS1)。車両感知器7(感知器制御部7b)は、単位時間あたりで感知エリアBを通過した車両5の台数及び当該車両5の速度(平均速度)を求める。これら台数及び速度についての感知情報は、路側機1の劣化検知システムSに送信される(ステップS2)。
具体例を説明すると、交通状況取得部15は、路側機1の正常時(図4(a))における受信エリアAの広さ(車両走行方向の長さL)に関する情報を記憶部19から取得する。交通状況取得部15は、車両感知器7によって求められた感知エリアBにおける車両5の平均速度を、受信エリアAにおける車両5の平均速度vとみなす。
そして、前記受信エリアAの広さ(長さL)と、前記平均速度vとによって、車両5が受信エリアAを通過する時間を求める。そして、求めた時間の間で感知エリアBを通過した車両5の台数を計上することにより、交通状況取得部15は、受信エリアAに存在している車両5の台数Nを取得(推定)することができる。
予測部16は、図5の対応関係の情報に基づいて受信予定回数Qを予測してもよく、前記関数に基づいて受信予定回数Qを予測してもよい。
なお、以下では速度v=60km/hであり、受信予定回数Qを4回として説明する。
これと共に、路側機1は車載機2から当該車載機2の識別情報(ID情報)を取得しているので、前記補正部16bによる補正を行う(ステップS8)。これは、予測部16の前記回数検知部16aによって検知された重複受信回数Mに基づいて、前記のとおり、受信予定回数Qを補正する。なお、補正が不要である場合は、補正処理は実行されない。
具体的には、受信予定回数Qと実受信回数Rとの差(R−Q)が、閾値α以上である場合、劣化検出部17は、路側機1の受信系装置の通信性能が劣化していると推定する(ステップS10)。なお、閾値αは、例えば、受信予定回数Qの±5%とすることができる。
なお、前記実施形態では、補正部による受信予定回数Qの補正処理(ステップS8)を行ったが、これを省略してもよい。この場合、閾値αを変更する必要があり、例えば、受信予定回数Qの±20%とすることができる。
そして、交通管制センターの管理者が、取得したメンテナンス情報に基づいて、通信性能の劣化が推定された路側機1に対してメンテナンスを行うことが可能となる。このため、劣化が推定された路側機1が故障して通信不能となる前に、路側機1のメンテナンスを行うことができる。つまり、路側機1の故障の予防が可能となる。なお、路側機1が故障して通信不能となってからでは、その路側機1の運用が長期間にわたって停止されてしまうおそれがあるが、本発明によれば、このような長期間の運用の停止を防ぐことができる。
2 車載機(車載通信装置)
5 車両
7 車両感知器
15 交通状況取得部
16 予測部
16a 回数検知部
16b 補正部
17 劣化検出部
18 識別情報取得部
19 記憶部
A 受信エリア
Q 受信予定回数
R 実受信回数
S 劣化検知システム
Claims (3)
- 車載通信装置から発信された無線信号を受信できる受信エリアを道路上に有している路側通信装置の通信性能の劣化を検知する劣化検知システムであって、
前記道路に設置された車両感知器から得られる感知器情報に基づいて前記受信エリア内の交通状況に関する交通状況情報を取得する交通状況取得部と、
取得された前記交通状況情報に基づいて、前記受信エリア内に存在している前記車載通信装置から発信された無線信号を、前記路側通信装置が所定期間内に受信する受信予定回数を予測する予測部と、
前記受信予定回数と、前記車載通信装置から発信された無線信号を前記路側通信装置が前記所定期間内に実際に受信した実受信回数と、を比較することによって、前記路側通信装置の通信性能の劣化を推定する劣化検出部と、
前記交通状況情報と、前記受信予定回数とが対応付けられた対応情報を記憶している記憶部と、
を備え、
前記予測部は、前記記憶部が記憶している前記対応情報及び前記交通状況取得部により取得された前記交通状況情報に基づいて、前記受信予定回数を予測することを特徴とする劣化検知システム。 - 前記車載通信装置が発信した前記無線信号に含まれている当該車載通信装置の識別情報を取得する識別情報取得部を更に備え、
前記予測部は、取得された前記識別情報に基づいて、一つの前記車載通信装置から前記所定期間内に発信された無線信号の受信回数を検知する回数検知部と、検知された受信回数に基づいて前記受信予定回数を補正する補正部を有している請求項1に記載の劣化検知システム。 - 車載通信装置から発信された無線信号を受信できる受信エリアを道路上に有している路側通信装置の通信性能の劣化を検知する劣化検知方法であって、
前記道路に設置された車両感知器から得られる感知器情報に基づいて前記受信エリア内の交通状況に関する交通状況情報を取得し、
取得した前記交通状況情報に基づいて、前記受信エリア内に存在している前記車載通信装置から発信された無線信号を、前記路側通信装置が所定期間内に受信する受信予定回数を予測し、
前記受信予定回数と、前記車載通信装置から発信された無線信号を前記路側通信装置が前記期間内に実際に受信した実受信回数と、を比較することによって、前記路側通信装置の通信性能の劣化を推定し、
前記受信予定回数の予測を、前記交通状況情報と前記受信予定回数とが対応付けられて記憶部に記憶させた対応情報、及び、取得した前記交通状況情報に基づいて、行うことを特徴とする劣化検知方法。
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