JP5375722B2 - 無線受信機及び路車間通信システム - Google Patents
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Description
かかる高度道路交通システムは、主として、インフラ側の無線通信装置である複数の路側通信機と、各車両に搭載される無線通信装置である複数の車載通信機とによって構成される。
例えば、前記一の車載通信機と前記他の車載通信機とが互いに異なる方路からある交差点に進入する場合、これら車載通信機の間に互いの伝搬路を遮る建物等のような障害物が存在すると、仮に前記他の車載通信機が前記交差点に設置された路側通信機に無線信号を送信していたとしても、前記一の車載通信機にはその無線信号が到達せず、一の車載通信機側でこの無線信号を検知することができない場合がある。このような場合、前記一の車載通信機は、伝搬路中に他の無線信号は存在しないと判断して無線信号の送信を開始することがある。すると、前記路側通信機においては、両車載通信機双方からの無線信号が到達することになり、両信号の間で干渉を生じ、両車載通信機からの無線信号を正常に受信できなくなるおそれがあった。
このように、互いの無線信号を検知することができず同じ期間内で無線信号を送信してしまうおそれがある関係にある複数の車載通信機の関係を、以下、隠れ端末の関係という。
例えば、図10に示すような5叉路を成す交差点において、方路100と、方路101とによって構成される角部の位置に建物102が存在しており、その建物102の側方に路側通信機の受信アンテナ103が設置されている場合、建物102によって無線伝搬路が遮られることによって、方路101及びこの方路101とで角部を方路104においては、その領域から送信される無線信号を受信できない受信不能エリア105が生じる。
さらに、図10の場合、方路100から交差点に進入しようとしている車両の車載通信機106と、方路101から交差点に進入しようとしている車載通信機107とが、建物102の存在によって隠れ端末の関係となる場合がある。
例えば、両車載通信機106,107から同じ期間に無線信号が送信され、かつ、車載通信機106からの無線信号を受信アンテナ102では−50dBmで受信され、車載通信機107からの無線信号を受信アンテナ106では−55dBmで受信されていたとすると、受信機におけるDU比(Desired to Undesired signal ratio)が5dBとなり、両車載通信機104,105のいずれの無線信号も正常に受信できなくなるおそれがある。
この場合、前置信号が配置されている期間の範囲で判定が行われるように、所定の単位期間を設定することで、受信信号の内のデータ信号の部分を好適に取得することができる。
この場合、不要な雑音信号を継続的に受信してしまうのを防止することができる。
この場合、所定時間の経過を待つことによって、突発的に生じる雑音信号の受信が解消されるので、適切に前記一の受信レベルに対応するアンテナによる受信信号の取得の中止を解除することができる。
この場合、受信信号の受信レベルが前記所定の閾値より小さいと判定されれば、雑音信号の受信レベルが低下したと判断することができ、適切に前記一の受信レベルに対応するアンテナによる受信信号の取得の中止を解除することができる。
この場合、いわゆる隠れ端末の関係となる複数の車載通信機が存在したとしても、干渉を生じさせることなく、複数のアンテナによってその受信範囲を好適に確保することができる。
図1は、本発明の一実施形態に係る路側通信機を含む高度道路交通システム(ITS)の全体構成を示す概略斜視図である。なお、本実施形態では、道路構造の一例として、南北方向と東西方向の複数の道路が互いに交差した碁盤目構造を想定している。
図1に示すように、本実施形態の高度道路交通システムは、交通信号機1、路側通信機2、車載通信機3(図2及び図3参照)、中央装置4、車載通信機3を搭載した車両5、及び、車両感知器や監視カメラ等よりなる路側センサ6を含む。
中央装置4は、自身が管轄するエリアに含まれる各交差点Jiの交通信号機1及び路側通信機2とLAN(Local Area Network)を構成している。従って、中央装置4は、各交通信号機1及び各路側通信機2との間で双方向通信が可能である。なお、中央装置4は、交通管制センターではなく道路上に設置してもよい。
なお、図1及び図2では、図示を簡略化するために、各交差点Jiに信号灯器が1つだけ描写されているが、実際の各交差点Jiには、互いに交差する道路の上り下り用として少なくとも4つの信号灯器が設置されている。
中央装置4は、ワークステーション(WS)やパーソナルコンピュータ(PC)等よりなる制御部を有しており、この制御部は、路側通信機2、路側センサ6からの各種の交通情報の収集・処理(演算)・記録、信号制御及び情報提供を統括的に行う。
具体的には、中央装置4の制御部は、自身のネットワークに属する交差点Jiの交通信号機1に対して、同一道路上の交通信号機1群を調整する系統制御や、この系統制御を道路網に拡張した広域制御(面制御)を行うことができる。
信号制御指令S1は、前記系統制御や広域制御を行う場合の信号制御パラメータの演算周期(例えば、1.0〜2.5分)ごとに送信され、交通情報S2は、例えば5分ごとに送信される。
図2は、上記高度道路交通システムの管轄エリアの一部を示す道路平面図である。
図2では、互いに交差する2つの道路の各々が上りと下りで片側1車線のものとして例示されているが、道路構造はこれに限られるものではない。
図2にも示すように、本実施形態の高度道路交通システムは、車載通信機3との間で無線通信が可能な複数の路側通信機2と、キャリアセンス方式(CSMA方式)で他の通信機2,3と無線通信を行う移動無線送受信機の一種である車載通信機3と備えている。
各路側通信機2は、その周囲に広がる基準エリアA(路側通信機2の送信信号が十分に届く範囲)をそれぞれ有し、自身の基準エリアAを走行する車両5の車載通信機3に対して無線信号を送信することができる。
また、各路側通信機2は、基準エリアAが重複(一部重複でも全部重複でもよい。)する他の路側通信機2とも無線通信が可能である。
なお、前記した通り、交通管制センターに設けられた中央装置4は、各路側通信機2と有線での双方向通信が可能となっているが、これらの間も無線通信であってもよい。
また、路側通信機2は、自身の送信タイミングを制御するために他の路側通信機2との時刻同期機能を有している。この路側通信機2の時刻同期は、例えば、自身の時計をGPS時刻に合わせるGPS同期や、自身の時計を他の路側通信機2からの送信信号に合わせるエア同期等によって行われる。
図3は、路側通信機2、及び、車載通信機3の内部構成を示すブロック図である。
路側通信機2は、無線受信部(無線受信機)20と、無線送信部21と、中央装置4と双方向通信する有線通信部22と、これらの通信制御を行うCPU等よりなる制御部23と、制御部23に接続されたROMやRAM等の記憶装置よりなる記憶部24とを備えている。記憶部24は、制御部23が実行する通信制御のためのプログラムや、各通信機2,3の通信機ID等を記憶している。
図4は、無線受信部20の構成を示すブロック図である。無線受信部20は、両受信アンテナ20a,20bと、これら両受信アンテナ20a,20bそれぞれが接続された受信処理系列R1,R2を備えている。
各受信処理系列R1,R2は、それぞれ、RF部25a,25b、検波回路26a,26b、切替スイッチ27a,27bを備えている。また、無線受信部20は、各受信処理系列R1,R2の制御や、受信信号の復調を行うための受信制御部28を備えている。
検波回路26a,26bは、それぞれRF部25a,25bから与えられる受信信号に基づいて、包絡線検波を行いその検波電圧値を、両受信アンテナ20a,20bそれぞれの受信信号強度(Received Signal Strength Indication、以下、RSSIともいう)として受信制御部28に出力する。
切替スイッチ27a,27bは、RF部25a,25bからの受信信号の出力先を受信制御部28側、または、接地側のいずれかに切り替える機能を有している。この切替スイッチ27a,27bは、受信制御部28によって制御される。
これら各モード、及び、受信制御部28が行う各受信処理系列R1,R2の受信処理に係る制御については後に詳述する。
図5は、上記割当情報S6に含まれるタイムスロットの一例を示す概念図である。
図5に示すように、タイムスロットは、第1スロットT1と第2スロットT2とを含み、これらの合計期間が一定の周期Cで繰り返すようになっている。
第1スロットT1は、路側通信機2用のタイムスロットであり、この時間帯においては路側通信機2による無線送信が許容される。第1スロットT1にはスロット番号iが付されており、このスロット番号iは周期的にインクリメント又はデクリメントされる。
図5に示すタイムスロットにおいて、各スロット番号i=1〜3の第1スロットT1に記したドット●は、当該第1スロットT1に複数の路側通信機2の送信時間が割り当てられていることを示している。
かかるスロット割当は、中央装置4が総括的に行うこともできるし、他装置から取得した設置位置やスロット情報を利用して各路側通信機2が自律的に行うこともできる。また、複数の路側通信機2の中から1つの親機を予め選定しておき、この親機が、自身が管理する他の路側通信機2である子機同士で電波干渉が生じない送信タイミングとなるように、スロット割当を行うようにすることもできる。
図3に戻って、車載通信機3は、無線通信のためのアンテナ30に接続された通信部(送受信部)31と、この通信部31に対する通信制御を行うCPU等よりなる制御部32と、この制御部32に接続されたROMやRAM等の記憶装置よりなる記憶部33とを備えている。記憶部33は、制御部32が実行する通信制御のためのプログラムや、各通信機2,3の通信機ID等を記憶している。
従って、車載通信機3の通信部31は、所定の搬送波周波数の受信レベルを常時感知しており、その値がある閾値以上である場合は無線送信を行わず、当該閾値未満になった場合にのみ無線送信を行うようになっている。
また、車載通信機3の制御部32は、他の車両5から直接受信した車両情報S3や、路側通信機2から受信した他の車両5の車両情報S3に含まれる、位置、速度及び方向に基づいて、右直衝突や出合い頭衝突等を回避するための安全運転支援制御を行うことができる。
図6に示すように、車載通信機3の送信信号の通信フレームには、プリアンブル(前置信号)、ヘッダ、データ、CRC(Cyclic Redundancy Check)が含まれている。
図に示すように、上記各データの内、プリアンブルは、フレームの先頭に配置されており、受信側にフレームの先頭を認識させるための信号である。
ヘッダには、フレーム内に格納されているデータの内容や、通信に必要な情報が格納されている。
データには、車両5の位置、方向(進行方向)、速度が含まれるが、路側通信機2からの送信信号を受信した場合の受信レベルを含めることもできる。車両5の位置や方向の情報は、通常は、GPS等の車両5側のセンサ類が自律的に測定した情報であるが、光ビーコン等のインフラ側から取得可能な場合もある。また、速度は、車両5に搭載された速度センサ等に基づいた情報である。
次に、受信制御部28(図4)が行う、各受信アンテナ20a,20bの受信処理に係る制御の態様について説明する。
受信制御部28は、上述のように、各受信アンテナ20a,20bが接続された各受信処理系列R1,R2の受信処理について、待受モード、取得モード、及び、中止モードのいずれかのモードを選択して制御する。
待受モードとは、切替スイッチ27a,27bを接地側に切り替えた状態で、検波回路26a,26bのRSSIに基づいて、各受信アンテナ20a,20bが信号を受信するのを待ち受けるモードである。この待受モードでは、判定部28aによっていずれかの受信アンテナが信号を受信していると判定されたときに当該受信アンテナが接続された受信処理系列を取得モードへ変更することが許容される。この待受モードに設定された受信処理系列では、当該受信処理系列が接続される受信アンテナは、接地側に接続されるので、受信信号の取得は行われない。
中止モードとは、切替スイッチ27a(27b)を接地側に切り替えた状態で維持し、仮に検波回路26a(26b)のRSSIが所定の閾値を超えた場合にも、その状態を維持するモードである。この中止モードに設定された受信処理系列も、その受信アンテナが接地側に接続されるので、受信信号の取得は行われない。
まず、受信制御部28は、各受信処理系列(以下、受信処理系列のことを単に系列ともいう)を待受モードに設定し(ステップS101)、自己が内部的に備えるクロックカウンタの値Kを0に設定する(ステップS102)。
次いで、受信制御部28は、ステップS103,S104と進むが、これら処理は、後述するステップS111において中止モードに設定された系列についての処理であり、後に詳述する。
ステップS105において、クロックカウンタの値Kが予め定めた所定値k1以上でないと判定すると、受信制御部28は、再度ステップS103に戻り、ステップS104を経て、ステップS105に進む。その一方、ステップS105において、クロックカウンタの値Kが前記所定値k1以上であると判定すると、受信制御部28は、ステップS106に進む。
従って、クロックカウンタの値Kが前記所定値k1以上に達するまで、受信制御部28は、ステップS103〜S105の間の処理を繰り返す。つまり、受信制御部28は、ステップS102から、前記クロックカウンタの値Kが前記所定値k1以上となることで定まる期間を置いて、ステップS106に進む。
ここで、この閾値Thは、対応する受信アンテナが車載通信機3からの無線信号を受信していると判断できるRSSIの値に設定されており、判定部28aは、RSSIが当該閾値Thよりも大きいと判定することで、そのRSSIに対応する受信アンテナが車載通信機3からの無線信号を受信していると判定する。
ここで、ステップS102からステップS106までには、上述のように、前記クロックカウンタの値Kが前記所定値k1以上となることで定まる期間が置かれる。すなわち、ステップS106において行われる判定は、前記期間ごとに周期的に行われる。本実施形態において、前記所定値k1は、前記期間が、車載通信機3の送信信号に含まれるプリアンブルの時間長さの1/2以下となるように設定されている。
これにより、取得部28bは、最初にRSSIの値が閾値Thを超えたことによって車載通信機3からの無線信号を受信していると判定された系列からの受信信号を取得し、取得した受信信号の復調等を行う。なお、無線信号を受信していると判定された系列以外の系列は、中止モードに設定されるので、これら系列に接続された受信アンテナが車載通信機3からの無線信号を受信したとしても、その受信信号が受信制御部28に取得されることはない。
次いで、取得部28bは、ステップS108において行われる判定の判定結果が、ノイズであるか否かを判断する(ステップS109)。前記判定結果がノイズではない場合、取得部28bは、ステップS110に進み、受信信号の取得が完了しているか否かを確認する(ステップS110)。受信信号の取得が完了していない場合、取得部28bは、無線信号を受信していると判定された系列について取得モードを継続し、受信信号を継続して取得する。復調した受信信号がノイズであるか否かの判定は、取得モードの間で随時行われ(ステップS108)、受信制御部28の取得部28bは、その判定結果の判断(ステップS109)を繰り返す。
ステップS110において、受信信号の取得が完了したと確認された場合、受信制御部28は、ステップS101に戻り、再度、上述の処理を繰り返す。
ステップS103において、前記RSSIが閾値Thよりも小さいと判定された場合、受信制御部28は、このRSSIに対応する系列(受信信号がノイズと判定された系列)を待受モードに設定する(ステップS104)。この場合、少なくとも現状においては、信号を受信していると判定されないことから、ノイズ等の信号も受信していないとみなすことができる。このため、受信制御部28は、当該系列を待受モードに設定し、車載通信機3からの無線信号を受信可能な状態にする。
このように、受信制御部28は、ステップS106の判定の周期を定めているステップS102〜S105の間に、取得モードから中止モードに設定された系列についてのモードを設定するための判定を行う。
次に、無線受信部20の各受信アンテナ20a,20bの交差点における設置態様について説明する。
図8は、路側通信機2が設置された交差点における各受信アンテナ20a,20bの設置位置の一例を模式的に示した平面図である。なお、図8では、理解容易のため、互いに交差する道路の各方路ごとに設置される信号灯器を省略して示している。
また、第二受信アンテナ20bは、方路H2側の建物B側方であって、当該方路H2を挟んだ位置に配置されている。
このため、図8においては、建物Bによって無線信号の伝搬路が遮断されることで、第一受信アンテナ20aによってはその領域から送信される無線信号を受信できない領域である受信不能エリアX1が方路H2上に生じている。
また、同様に、建物Bによって無線信号の伝搬路が遮断されることで、第二アンテナ20bによってはその領域から送信される無線信号を受信できない領域である受信不能エリアX2が方路H1上に生じている。
従って、第一受信アンテナ20aと、第二受信アンテナ20bとは、互いにその受信エリアが異なり、かつ、相互に受信不能エリアが生じている関係で配置されている。
このように、本実施形態の無線受信部20は、交差点に受信アンテナを一つ設置しただけでは生じる、受信不能エリアX1,X2を解消するために、第一及び第二受信アンテナ20a,20b(複数の受信アンテナ)を備える構成とされている。
図8において、方路H1に位置する車載通信機3aは、受信不能エリアX2に位置しており、方路H2に位置する車載通信機3bは、受信不能エリアX1に位置している。さらに、これら車載通信機3a及び3bは、建物Bによって互いの無線伝搬路が遮断されており、隠れ端末の関係にある。このため、車載通信機3a及び3bは、交差点Jに進入しようとするとき、互いに同じ期間内で共に無線信号を送信するおそれがある。
第二受信アンテナ20bがその無線信号の受信を開始するタイミングu2の直前であるタイミングu1で実行される判定では、両受信アンテナ20a,20bは信号を受信しておらず、RSSIの値が閾値Thよりも小さいので、受信制御部28は、両系列R1,R2のモードを待受モードで継続し、タイミングu1から期間Wを置いたタイミングであるタイミングu3で再度判定を行う。
すると、受信制御部28の取得部28bは、第二受信アンテナ20bが接続された受信処理系列R2を、取得モードに設定し、第二受信アンテナ20bにより受信される受信信号の取得を開始する。一方、第一受信アンテナ20aが接続された受信処理系列R1については、中止モードに設定する(図7中、ステップS107)。なお、取得モードを実行している間、判定部28aは、判定を実行しない。
従って、受信制御部28の取得部28bは、タイミングu4以降、同じ期間内で両車載通信機3a,3bそれぞれから無線信号が送信されたとしても、受信処理系列R2からの受信信号のみを取得するので、第一受信アンテナ20aにより受信される受信信号が干渉を生じさせることがない。
このように、受信信号には、先頭にプリアンブルが配置されその後に車両の位置や速度等のデータを構成する信号が配置されているので、少なくともデータの全てを取得するには、判定部28aは、プリアンブルの時間長さに応じて設定された期間ごとに判定を行うことが好ましく、これによって、受信信号の内のデータを構成する部分を好適に取得することができる。
タイミングu5において、車載通信機3bが無線信号の送信を終えたとすると、第二受信アンテナ20bのRSSIの値は、このタイミングu5の時点で閾値Thよりも低くなる。このとき、取得部28bは、取得した受信信号に含まれる信号の長さを示す情報、又は、RSSIの値から、受信信号の取得が完了したことを認識する(図7中、ステップS110)。
すると、受信制御部28は、両系列R1,R2双方のモードを待受モードに設定し(図7中、ステップS101)、再度、各受信アンテナ20a,20bのRSSIの値が閾値Thを超えているか否かの判定を開始する。
そこで、取得部28bは、ある程度受信信号を取得し、取得した受信信号が必要なデータの全てを取得できない受信信号であると(例えば、タイミングu7の時点で)判断すると、取得した受信信号をノイズとみなす(図7中、ステップS108,S109)。そして、取得モードに設定されていた受信処理系列R1を中止モードに設定し、中止モードに設定されていた受信処理系列R2を待受モードに設定する(図7中、ステップS111)。
受信処理系列R2を待受モードに設定してから最初の判定が、タイミングu8で行われたとすると、この時点では、第二受信アンテナ20bのRSSIの値は閾値Thより小さいので、受信制御部28の取得部28bは、受信処理系列R2のモードを待受モードで継続する。一方、受信処理系列R1は中止モードなので、RSSIの値に関わらず中止モードが継続される。
ここで、受信制御部28は、連続する二つの判定のタイミングの間で、第一受信アンテナ20aのRSSIが閾値Thよりも小さいか否かを随時判定する(図7中、ステップS103)。
図に示すように、タイミングu9で第一受信アンテナ20aのRSSIの値が閾値Thよりも小さくなったとすると、次の判定が行われるタイミングu10で、受信制御部28の取得部28bは、第一受信アンテナ20aがノイズとみなした受信信号を受信していない状態であることを認識し、受信処理系列R1のモードを中止モードから待受モードに設定を変更する(図7中、ステップS104)。
また、この場合、受信信号のRSSIの値が閾値Thより小さいと判定されれば、ノイズの受信レベルが低下したと判断することができ、上記と同様、対応する系列のモードが待受モードに変更されるので、適切に当該系列の中止モードを解除することができる。
この結果、図8に示すように、互いに隠れ端末の関係にある車載通信機が、同じ期間内でそれぞれ無線信号を送信し、各アンテナそれぞれがこれらを受信信号として受信した場合にも、これら受信信号の内、少なくとも、一の受信信号については取得することができ、干渉が生じるのを好適に回避することができる。
また、上記実施形態では、無線受信部20が、第一受信アンテナ20a及び第二受信アンテナ20bの二つの受信アンテナを備えた場合を示したが、より多数の受信アンテナを備えた構成とすることもできる。
3a,3b 車載通信機
20 無線受信部
20a 第一受信アンテナ
20b 第二受信アンテナ
26a,26b 検波回路(検出部)
28a 判定部
28b 取得部
Claims (8)
- 複数のアンテナにより受信される、CSMA方式で通信を行う複数の車載通信機からの受信信号を取得する無線受信機であって、
前記複数のアンテナそれぞれによる受信信号の受信レベルを検出する検出部と、
前記検出部が検出した受信レベルが所定の閾値よりも大きいか否かを前記複数のアンテナごとに判定する判定部と、
前記複数のアンテナそれぞれの受信レベルの内、いずれか一の受信レベルが前記所定の閾値よりも大きいと判定された場合、前記一の受信レベルに対応するアンテナによる受信信号のみを取得する取得部と、を備え、
前記複数のアンテナの内、少なくとも、一のアンテナと、前記一のアンテナと異なる他のアンテナとは、互いにその受信エリアが異なるように配置され、
前記一のアンテナの受信エリアに位置する車載通信機から送信された信号を、前記他のアンテナの受信エリアに位置する車載通信機が検知できない場合が生じる位置に、前記一のアンテナの受信エリアと、前記他のアンテナの受信エリアとが形成されており、
前記取得部は、前記一の受信レベルに対応するアンテナによる受信信号のみを取得することで、一の車載通信機からの受信信号のみを取得する無線受信機。 - 前記判定部は、所定の単位期間ごとに判定を行う請求項1に記載の無線受信機。
- 前記所定の単位期間は、前記受信信号に含まれている前置信号の時間長さに応じて設定される請求項2に記載の無線受信機。
- 前記所定の単位期間は、前記前置信号の時間長さの1/2以下である請求項3に記載の無線受信機。
- 前記取得部は、前記取得した受信信号がノイズであると判定された場合、前記一の受信レベルに対応するアンテナによる受信信号の取得を中止する請求項1〜4のいずれか一項に記載の無線受信機。
- 前記取得部は、前記一の受信レベルに対応するアンテナによる受信信号の取得を中止したとき、所定時間経過後に、前記一の受信レベルに対応するアンテナによる受信信号の取得の中止を解除する請求項5に記載の無線受信機。
- 前記取得部は、前記一の受信レベルに対応するアンテナによる受信信号の取得を中止した後、前記一の受信レベルに対応するアンテナによる受信信号の受信レベルが前記所定の閾値より小さいと判定された場合、前記一の受信レベルに対応するアンテナによる受信信号の取得の中止を解除する請求項5に記載の無線受信機。
- CSMA方式で通信を行う複数の車載通信機と、複数のアンテナにより受信される、前記複数の車載通信機からの受信信号を取得する無線受信機と、を備えた路車間通信システムであって、
前記無線受信機は、
前記複数のアンテナそれぞれによる受信信号の受信レベルを検出する検出部と、
前記検出部が検出した受信レベルが所定の閾値よりも大きいか否かを前記複数のアンテナごとに判定する判定部と、
前記複数のアンテナそれぞれの受信レベルの内、いずれか一の受信レベルが前記所定の閾値よりも大きいと判定された場合、前記一の受信レベルに対応するアンテナによる受信信号のみを取得する取得部と、を備え、
前記複数のアンテナの内、少なくとも、一のアンテナと、前記一のアンテナと異なる他のアンテナとは、互いにその受信エリアが異なるように配置され、
前記一のアンテナの受信エリアに位置する車載通信機から送信された信号を、前記他のアンテナの受信エリアに位置する車載通信機が検知できない場合が生じる位置に、前記一のアンテナの受信エリアと、前記他のアンテナの受信エリアとが形成されており、
前記取得部は、前記一の受信レベルに対応するアンテナによる受信信号のみを取得することで、一の車載通信機からの受信信号のみを取得する
路車間通信システム。
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