JP5699779B2 - 路側通信機、及びこれを用いた無線通信システム、異常検知方法 - Google Patents
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Description
かかる高度道路交通システムは、主として、インフラ側の無線通信装置である複数の路側通信機と、各車両に搭載される無線通信装置である複数の車載通信機とによって構成される。
しかし、例えば、郊外において、互いに隣接する路側通信機間の距離が比較的長く路路間通信が利用できない場合には、路側通信機の異常検知ができないという問題があった。
他の路側通信機に異常が生じれば、当該他の路側通信機のスロット情報の中継回数に変化が生じるからである。
この場合、スロット情報に対応する送信タイムスロットに基づいて、いずれの路側通信機に異常が生じているか否かを容易にかつ確実に特定することができる。
図1は、本発明の一実施形態に係る無線通信システムの構成を示すブロック図である。本発明の実施形態に係る通信システムは、高度道路交通システム(ITS)における無線通信システムとして用いられる。高度道路交通システムは、無線通信システムを構成する複数の路側無線通信装置(以下、「路側通信機」という)2のほか、交通信号機、移動通信機である車載無線通信装置(以下、「車載通信機」という)3、中央装置4、及び、車両感知器や監視カメラ等よりなる路側センサ等を含む。
中央装置4は、ワークステーション(WS)やパーソナルコンピュータ(PC)等よりなる制御部を有しており、この制御部は、路側通信機2や路側センサからの各種の交通情報の収集・処理(演算)・記録、信号制御及び情報提供を統括的に行う。
具体的には、中央装置4の制御部は、自身の管轄下にある交差点の交通信号機に対して、同一道路上の交通信号機群を調整する系統制御や、この系統制御を道路網に拡張した広域制御(面制御)を行うことができる。
信号灯器への信号制御指令は、前記系統制御や広域制御を行う場合の信号制御パラメータの演算周期(例えば、1.0〜2.5分)ごとに送信され、路側通信機2への交通情報S2は、例えば5分ごとに送信される。
中央装置4の制御部は、通信部が取得したそれらの各種情報に基づいて、前記系統制御や広域制御を実行することができる。
高度道路交通システムにおいて、無線通信システムを構成する、複数の交差点それぞれに設置された複数の路側通信機2は、その周囲を走行する車両の車載通信機3との間で無線通信(路車(車路)間通信)が可能である。また、各路側通信機2は、自己の送信波が到達する所定範囲内に位置する他の路側通信機2とも無線通信(路路間通信)が可能である。
また、同じく無線通信システムを構成する車載通信機3は、路側通信機2との間で無線通信を行うとともに、キャリアセンス方式で他の車載通信機3と無線通信(車車間通信)が可能である。
なお、交通管制センターに設けられた中央装置4は、各路側通信機2と有線での双方向通信が可能であるが、これらの間も無線通信であってもよい。
路側通信機2及び車載通信機3は、同一周波数帯を通信に用いるが、上記のように路側通信機2と車載通信機3の送信時間帯が区別されていることで、路側通信機2による送信信号と、車載通信機3による送信信号との衝突を回避できる。
図1に示すように、路側通信機2は、無線通信のためのアンテナ20が接続された無線通信部21と、中央装置4と双方向通信する有線通信部22と、これらの通信制御を行うプロセッサ(CPU:Central Processing Unit)等よりなる制御部23と、制御部23に接続されたROMやRAM等の記憶装置よりなる記憶部24とを備えている。
路側通信機2の制御部23は、上記コンピュータプログラムを実行することで達成される機能部として、通信制御部23aと、他の路側通信機2の異常判定を行う判定部23bとを有している。
また、通信制御部23aは、無線通信部21が受信した車両情報S3を、いったん記憶部24に一時的に記憶させ、有線通信部22を介して中央装置4に転送するとともに、無線通信部21を介してブロードキャスト送信する機能も有している。
図2は、路車間通信のタイムスロットの一例を示す概念図であり、図3は、図2の部分拡大図である。
図2及び図3に示すように、路車間通信においては、時間軸方向に並べて配置される無線フレームが用いられる。
無線フレームは、その時間軸方向の長さが100ミリ秒に設定されており、時間軸方向に10個の単位スロットSL0に分割されている。
各単位スロットSL0は、それぞれ、上述の第1スロットSL1と第2スロットSL2とを一つずつ含んでいる。従って、第1スロットSL1と、第2スロットSL2とは、時間軸方向に交互に配置されている。
無線フレームは、上述のように時間軸方向に複数並べて配置されているので、各スロット番号の第1スロットSL1は、それぞれ、無線フレーム長さを1周期として周期的に配置されている。
図3の例では、スロット番号1の第1スロットSL1には、2つの路側通信機2の送信時間が割り当てられ、スロット番号2の第1スロットSL1には、3つの路側通信機2の送信時間が割り当てられ、スロット番号3の第1スロットSL1には、1つの路側通信機2の送信時間が割り当てられている。
一方、距離的に近い場合には、互いに異なるスロットが割り当てられる。互いの送信信号の干渉が生じるのを防止するためである。
図1に戻り、車載通信機3は、無線通信のためのアンテナ30に接続された通信部31と、この通信部31に対する通信制御を行うプロセッサ等よりなる制御部32と、この制御部32に接続されたROMやRAM等の記憶装置よりなる記憶部33とを備えている。
記憶部33は、制御部32が実行する通信制御のためのコンピュータプログラムや、各通信装置2,3の通信機ID等を記憶している。
従って、車載通信機3の通信部31は、所定の搬送波周波数の受信レベルを常時感知しており、その値がある閾値以上である場合は無線送信を行わず、当該閾値未満になった場合にのみ無線送信を行うようになっている。
送信制御部32aは、後述するように、データ中継部32bによって記憶、更新されるフレーム情報S6に基づいて、車載通信機3の無線送信用の第2スロットに相当する時間帯を特定し、その時間帯で通信部31を介して無線送信を行う。
データ中継部32bは、通信部31が受信した受信データの内、交通情報S2や、他の車両5の車両情報S3について中継処理を行い、これら両情報S2,S3を無線送信する。
次にデータ中継部32bが行うフレーム情報S6の中継処理について説明する。
データ中継部32bは、路側通信機2又は他の車載通信機3から受信した受信データにフレーム情報S6が含まれている場合、そのスロット情報S6を抽出して自装置の記憶部33に記憶しているフレーム情報S6と比較し、必要部分を更新した後に記憶部33に記憶させる。次いで、データ中継部32bは、更新後のフレーム情報S6を通信部31を介して外部にブロードキャストで無線送信する。
また、上記スロット情報は、図4に示すように、第1スロットSL1の期間を特定する情報の他、当該スロット情報が中継されて再利用された再利用回数を含んでいる。
次いで、データ中継部32bは、更新したフレーム情報S6を通信部31を介して外部にブロードキャストで無線送信する。
すなわち、再利用回数が少ないスロット情報は、再利用回数が多く何度も中継されたものと比較して、新しい情報である確率が高い。よってデータ中継部32bは、フレーム情報S6を受信し中継するごとに、可能な限り最新のスロット情報が格納されるように更新する。
そして、データ中継部32bは、更新したフレーム情報S6を通信部31を介して外部にブロードキャストで無線送信する。
また、例えば、再利用回数が不明なスロット情報や、開始時間や再利用回数等を表すデータそのものが壊れて読み取り不能なスロット情報を受信した場合にも、データ中継部32bは、再利用回数を「4」に設定して更新する。
再利用回数が「4」に設定されているスロット情報は、信頼性が低い情報、又は不正なデータといった、有効性の低いデータであるからである。
従って、データ中継部32bは、再利用回数が「4」となったスロット情報に含まれる開始時間等のスロットの期間を特定する情報を破棄してもよい。
路側通信機2Aは、スロット番号1の領域に、再利用回数C(2A)として「0」が格納された自装置のスロット情報を含むフレーム情報S6を生成、送信する。
これを受信した路側通信機2A近傍の車載通信機3Aは、路側通信機2Aのスロット情報の再利用回数C(2A)が「0」と最も小さい値であるため、記憶していたフレーム情報S6の内の対応するスロット情報を、路側通信機2Aから得たスロット情報に更新する。
次に、路側通信機2が行う他の路側通信機2の異常判定について説明する。
図6は、図5中、一の路側通信機2Bが送信不能となっている場合において、各車載通信機3によって中継処理が行われたときの一例を示す図である。
車載通信機3D,3Eのデータ中継部32bは、スロット番号2におけるスロット情報の再利用回数C(2B)の設定を「4」とし、フレーム情報S6を送信する。
仮に、路側通信機2Bが正常な場合、路側通信機2A及び2Cで受信される近傍の車載通信機3からのフレーム情報S6のスロット番号2の再利用回数C(2B)が、通常、「3」であるとすると、路側通信機2A及び2Cは、この再利用回数C(2B)を監視することで、路側通信機2Bの異常の有無を判定することができる。
つまり、路側通信機2A及び2Cで受信されるフレーム情報S6中のスロット情報に含まれる再利用回数Cは、路側通信機2Bの状態を示す情報であるといえる。
そこで、路側通信機2A及び2Cの判定部23bは、フレーム情報S6のスロット情報に含まれる再利用回数Cに基づいて、他の路側通信機2Bが異常であるか否かを判定する異常判定処理を行う。
一方、図7(b)に示すように、路側通信機2Bが送信不能な状態である場合には、スロット番号2の再利用回数C(2B)が「3」である場合の割合が低下し、再利用回数C(2B)が「4」である場合の割合が最も高くなる。
上記のように構成された本実施形態の路側通信機2は、自装置に割り当てられた第1スロットSL1に関するスロット情報を含むフレーム情報S6を送信する。この路側通信機2は、車載通信機3によって中継された自装置以外の他の路側通信機2のスロット情報を含むフレーム情報S6を受信する受信部としての無線通信部21と、受信した他の路側通信機2のスロット情報に基づいて、他の路側通信機2の異常を判定する判定部23bとを備えている。
上述したように、他の路側通信機2に異常が生じれば、当該他の路側通信機2のスロット情報の再利用回数Cに変化が生じるからである。
この結果、路側通信機2A、2Cにおいては、図6の場合と同様、路側通信機2Bの再利用回数C(2B)に基づいて、路側通信機2Bの異常の有無を判定することができる。
この場合、路側通信機2Cは、自装置の判定部23bによって路側通信機2Bに異常が生じているか否かを判定する他、路側通信機2Aの判定結果によっても路側通信機2Bの異常を認識することができる。
なお、本発明は、上記各実施形態に限定されることはない。例えば、上記実施形態では、路側通信機2Aの判定部23bが、1日の間に受信した、自装置近傍の車載通信機3からのフレーム情報S6について、再利用回数C(2B)の値ごとの受信回数をカウントし、1日の間におけるスロット番号2の再利用回数C(2B)が「4」である場合の割合によって、路側通信機2Bに異常が生じているか否かを判定したが、フレーム情報S6の受信期間をより長期又は短期に変更して判定することもできる。
例えば、図9に示すように、1日ごとの再利用回数C(2B)の平均値を経時的に求めて監視し、予め定めた閾値Tよりも前記平均値が大きくなったときに異常と判定する。
閾値Tは、経時的に求めた1日ごとの再利用回数C(2B)の平均値の平均値に所定のマージンを加えることで求めることができる。
3 車載通信機
21 無線通信部
22 有線通信部
23b 判定部
SL1 第1スロット
Claims (5)
- 自装置に割り当てられた送信タイムスロットに関するスロット情報を送信する路側通信機であって、
移動通信機によって中継されて再利用された前記スロット情報であって自装置以外の他の路側通信機の前記スロット情報を受信する受信部と、
受信した前記他の路側通信機の前記スロット情報に基づいて、前記他の路側通信機の異常を判定する判定部と、を備え、
前記移動通信機が、中継するごとに更新される再利用回数を含む前記スロット情報を中継するものであり、
前記判定部が、前記スロット情報に含まれる前記再利用回数に基づいて、前記他の路側通信機の異常を判定する
路側通信機。 - 自装置又は前記他の路側通信機には、それぞれ互いに異なる前記送信タイムスロットが対応付けて割り当てられている請求項1に記載の路側通信機。
- 前記判定部による判定結果を、前記他の路側通信機に送信する送信部をさらに備えている請求項1又は請求項2に記載の路側通信機。
- 自装置に割り当てられた送信タイムスロットに関するスロット情報を送信する複数の路側通信機と、この複数の路側通信機との間で通信を行う複数の移動通信機とを有する無線通信システムであって、
前記複数の移動通信機によって中継されて再利用された前記スロット情報であって前記複数の路側通信機の前記スロット情報を受信する受信部と、
受信した前記複数の路側通信機の前記スロット情報に基づいて、前記複数の路側通信機の異常を判定する判定部と、を備え、
前記複数の移動通信機が、中継するごとに更新される再利用回数を含む前記スロット情報を中継するものであり、
前記判定部が、前記スロット情報に含まれる前記再利用回数に基づいて、前記複数の路側通信機の異常を判定する
無線通信システム。 - 自装置に割り当てられた送信タイムスロットに関するスロット情報を送信する路側通信機に生じる異常を検知する異常検知方法であって、
移動通信機によって中継されて再利用された前記スロット情報であって前記路側通信機の前記スロット情報を受信部が受信する受信ステップと、
受信した前記路側通信機の前記スロット情報に基づいて、前記路側通信機の異常を判定部が判定する判定ステップと、を備え、
前記移動通信機が、中継するごとに更新される再利用回数を含む前記スロット情報を中継するものであり、
前記判定部は、前記判定ステップにおいて、前記スロット情報に含まれる前記再利用回数に基づいて、前記路側通信機の異常を判定する
異常検知方法。
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