JP5232484B2 - 生体インプラント - Google Patents

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Description

本発明は、生体インプラントに関し、特に骨又は歯に近い力学的特性を有し、かつ、生体インプラントを体内に埋設した際に、骨と結合し、かつ、生体に対する安全性の高い生体インプラントに関する。
骨が大きく欠損した場合の治療方法として、患者自身の正常な骨を一部切り取って患部に移植する自家骨移植、又は人工材料から成る人工骨を移植する人工骨移植が行われている。しかし、自家骨移植は、採取できる骨量に制限があり、さらに正常な細胞を傷つけることになるので、患者の身体的負担は大きいうえ、自家骨移植に用いる自家骨移植用骨を患者自身の正常な骨から切り取ることによって新たな欠損部が生じるから、骨が大きく欠損した場合の本質的な治療方法とはいえない。また、人工骨移植では、工業的に生産される人工骨を使用するから自家骨移植の様な問題はないが、人工骨の力学的及び生物学的特性は本来の骨と異なるから、人工骨の前記特性に応じて用途が限定されるという問題を有する。例えば、人工骨の材料としてチタン合金等の金属材料を選択すると、金属材料は、通常、高強度である反面、弾性率が高く靭性に欠けるので、大きな荷重が連続的にかかるような部位に埋設すると、周りの骨との力学的特性の差によりストレスシールディングが生じるといった問題や、骨と直接に結合しないといった問題がある。また、人工骨の材料として水酸アパタイト等のバイオセラミックスを選択すると、バイオセラミックスは、通常、生体適合性が良いうえに、生体活性が高くて、骨との結合性に優れている反面、外部衝撃に弱いので、大きな荷重が瞬間的にかかるような部位には用いることができないという問題がある。人工骨の材料として超高分子量ポリエチレン等のポリマーを選択すると、金属材料及びバイオセラミックスが有する問題を解決することができ、特に、ポリマーの中でもポリエーテルエーテルケトン(PEEK)は、その力学的特性が本来の骨と近く、また生体適合性も優れていることから、高強度が要求される部位での整形外科材料としての応用が期待されている。さらに、ポリマーと生体活性を有するバイオセラミックスとを組み合わせることにより、骨と直接に結合する人工骨の開発も行われている。
特許文献1の請求項1には、「生体適合性ポリマー及び約500nmの平均粒子寸法を有する、生体活性微粒子セラミックの均質な混合体を備える、整形外科用組成物。」が記載されており、「粒子の表面積が増大すること及び粒子が色々なポリマーと相互作用することは、好ましい生物学的及び機械的性質を有する組成物を提供することになる。」(引用文献1の段落番号0009参照)と記載されている。しかし、近年ナノスケール粒子の生体に対する毒性についての研究がなされており、その中でナノスケール粒子は、それが生体適合性物質であったとしても、炎症等の原因になる可能性が示唆されている。特許文献1の実施例に示されている整形外科用組成物は、生体活性微粒子と化学的に結合しないPEEKなどの生体適合性ポリマーと平均粒子寸法が500nm以下のハイドロキシアパタイトナノ粒子とにより形成される整形外科用組成物であり、この整形外科用組成物により形成されたペレットを生体に埋入した際に、ペレット表面部にある生体活性微粒子の脱離が容易に推測され、脱離したナノスケール粒子が生体に悪影響を与えることが懸念される。また、特許文献1に提示されている整形外科用組成物において、生体活性微粒子が単独では脱離せず、生体の骨との化学的な結合に寄与した場合であっても、生体活性微粒子自体が基材である生体適合性ポリマーとの期待していた固定力が発現されない可能性がある。
特許文献2の請求項1には、「多孔質セラミックマトリクスであって、該セラミックマトリクスの内部表面および外部表面に適用された生分解性ポリマーを有し、該生分解性ポリマーが該多孔質セラミックマトリクス全体にわたって各種薬剤の通過および/または送達を可能にし、インプラントの機械的特性を改良する多孔質セラミックマトリクスを含む、多孔質セラミック複合体インプラント。」が記載されている。特許文献2に記載されている多孔質セラミック複合体インプラントにおいては、生分解性ポリマーが使用されているので、継続的な強度維持は見込めない。
特表2004−521685号公報 特表2005−512614号公報
本発明の課題は、骨又は歯に近い力学的特性を有し、生体インプラントを体内に埋設した際に、骨と結合し、かつ、生体に対する安全性の高い生体インプラントを提供することである。
前記課題を解決するための手段として、
請求項1は、
生体骨に近い強度特性を有し、かつ、生体内非吸収非分解性であるプラスチック部材と生体活性を有する多孔体とにより形成されて成る生体インプラントであって、前記多孔体における表面開口気孔が前記プラスチック部材で充たされており、前記多孔体が表面に露出していることを特徴とする生体インプラントであり、
請求項2は、
前記プラスチック部材が多孔体の表面に露出しており、前記プラスチック部材の露出表面に多孔質層が形成されて成ることを特徴とする請求項1に記載の生体インプラントであり、
請求項3は、
前記多孔質層は、小径気孔と大径気孔とを有し、前記小径気孔及び大径気孔の一部は前記多孔質層の表面に開口する開気孔を形成し、前記開気孔は平均開気孔径が5μm以下の小径開気孔と平均開気孔径が10〜200μmの大径開気孔とを有し、前記多孔質層の表面に開口する大径開気孔は、その内壁面に小径気孔及び大径気孔と連通する連通孔が形成されてなることを特徴とする請求項1又は2に記載の生体インプラントであり、
請求項4は、
前記プラスチック部材が、ポリエーテルエーテルケトンにより形成されて成ることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の生体インプラントであり、
請求項5は、
前記多孔体が、リン酸カルシウム化合物により形成されて成ることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の生体インプラントであり、
請求項6は、
前記リン酸カルシウム化合物が、水酸アパタイト又はリン酸三カルシウム又はこれらの混合物であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の生体インプラントである。
本発明に係る生体インプラントは、生体骨に近い強度特性を有し、かつ、生体内非吸収非分解性であるプラスチック部材と生体活性を有する多孔体とにより形成されて成る生体インプラントであって、前記多孔体における表面開口気孔が前記プラスチック部材で充たされており、前記多孔体が生体インプラントの表面に露出している。したがって、本発明に係る生体インプラントは、多孔体における表面開口気孔が、生体骨に近い強度特性を有し、かつ、生体内非吸収非分解性であるプラスチック部材により充たされているので、この生体インプラントを生体内に長期間埋設した場合でも、適用部位の骨の強度特性に相当する強度を維持しつづけることができる。また、本発明に係る生体インプラントにおいては、生体インプラントの表面に生体活性を有する多孔体の一部が露出しているので、生体インプラントと生体骨とが結合する機能を有する。また、生体活性を有する物質は、多孔体を形成しているので、本発明に係る生体インプラントを生体内に埋設した後に、生体インプラントの表面から生体活性を有する物質が脱離するおそれがなく、ナノスケールの微粒子が生体へ及ぼすような悪影響を防止することができる。したがって、骨又は歯に近い力学的特性を有し、生体インプラントを体内に埋設した際に、骨と結合し、かつ、生体に対する安全性の高い生体インプラントを提供することができる。
また、この生体インプラントは、プラスチック部材の露出表面に多孔質層が形成されているので、生体活性を有する物質がきっかけとなって生成された新たな骨及び生体骨を由来とする骨組織がプラスチック部材における多孔質層の内部に入り込み、さらに新たな骨が形成されるので、生体インプラントと生体骨との結合をより強固にすることができる。
プラスチック部材を形成する物質がエンジニアリングプラスチック、好ましくはポリエーテルエーテルケトンである場合には、力学的特性が骨又は歯に近いので、骨との結合が必要で、かつ大きな荷重が連続的に長期間かかるような部位に人工骨として適用する場合に、ストレスシールディング、すなわち骨に加わる応力の遮へいによって起こる可能性のある骨減少及び骨密度の低下などを生じることのない、高強度生体インプラントを提供することができる。
この多孔体を形成する物質がリン酸カルシウム化合物である場合には、特に生体活性に優れているので、生体インプラントを生体内に埋設した後に骨を形成させるのに有利であり、さらに水酸アパタイトは実際の骨の無機成分であり、リン酸三カルシウムは生体吸収性に優れており、経時的に吸収されながら自家骨に置換される特徴を有していることから、生体インプラントの表面に水酸アパタイト又はリン酸三カルシウムが露出していれば、この水酸アパタイト又はリン酸三カルシウムと生体の骨組織との化学的な反応が始まり、新たな骨の形成が速やかに行われるので、骨と生体インプラントとを早期に結合させることができる。
まず、図1を参照しつつ本発明の一実施例である生体インプラントの構成について説明する。図1に示すように、本発明に係る生体インプラント1は、生体骨に近い強度特性を有し、かつ、生体内非吸収非分解性であるプラスチック部材2と生体活性を有する多孔体3とにより形成されて成る生体インプラント1であって、前記多孔体3における表面開口気孔4が前記プラスチック部材2で充たされており、前記多孔体3が生体インプラント1の表面に露出していることを特徴とする。
本発明に係る生体インプラント1は、生体骨に近い強度特性を有し、かつ、生体内非吸収非分解性であるプラスチック部材2と生体活性を有する多孔体3とにより形成されている。このプラスチック部材2における、生体骨に近い強度特性を有するか否かの評価項目として、例えば、弾性率、曲げ強度、圧縮強さ、引張強さ等を挙げることがでる。生体骨に近い強度特性という意味は、前記評価項目の値が骨又は歯の値と同じか、実質的に問題ないほどに近い値を有することである。例えば、強度特性が骨又は歯に近いとする評価項目としては、弾性率が10〜50GPa、曲げ強度が100MPa以上を挙げることができる。
生体内非吸収非分解性であるプラスチック部材2は、プラスチック部材2を生体内に埋設した場合に、生体内で吸収又は分解されることの少ないプラスチック部材2であり、本発明の目的に支障のない範囲内であれば生体内に吸収又は分解されることのあるプラスチック部材2も含む。生体内において非吸収非分解性であるプラスチック部材2を採用することにより、この生体インプラント1を生体内に長期間埋設した場合においても、所望の強度を維持しつづけることができる。
本発明に係る生体インプラント1を長期間連続的に大きな荷重のかかる部位の代替骨として適用する場合には、プラスチック部材2を形成する物質として弾性率及び曲げ強度の高いプラスチックが好ましく、そのようなプラスチックとしてエンジニアリングプラスチックが挙げられ、例えば、ポリアミド、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリフェニレンエーテル、ポリエステル、ポリフェニリンオキサイド、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリレート、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアミドイミド、ポリイミド、フッ素樹脂、エチレンビニルアルコール共重合体、ポリメチルペンテン、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ポリオキシメチレン、ポリ四フッ化エチレン等が挙げられる。
プラスチック部材2を形成する物質としては、前記エンジニアリングプラスチックに加えて、例えば、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、EVA樹脂、EEA樹脂、4−メチルペンテン−1樹脂、ABS樹脂、AS樹脂、ACS樹脂、メタクリル酸メチル樹脂、エチレン塩化ビニル共重合体、プロピレン塩化ビニル共重合体、塩化ビニリデン樹脂、ポリビニルアルコール、ポリビニルホルマール、ポリビニルアセトアセタール、ポリフッ化エチレンプロピレン、ポリ三フッ化塩化エチレン、メタクリル樹脂、リノル樹脂、ポリアリルエーテルケトン、ポリケトンスルフィド、ポリスチレン、ポリアミノビスマレイミド、ユリア樹脂、メラミン樹脂、キシレン樹脂、イソフタル酸系樹脂、アニリン樹脂、フラン樹脂、ポリウレタン、アルキルベンゼン樹脂、グアナミン樹脂、ポリジフェニルエーテル樹脂等が挙げられる。
プラスチック部材2を形成する物質としては、これらの中でもポリエーテルエーテルケトン(PEEK)が特に好ましい。PEEKは、生体適合性を有し、生体骨に近い強度特性を有し、かつ、生体内非吸収非分解性のプラスチックであるので、PEEKをプラスチック部材2を形成する物質として採用すると、大きな荷重が連続的に長期間かかるような部位にこの生体インプラントを埋設した場合に、ストレスシールディング、すなわち骨に加わる応力の遮へいによって起こる可能性のある骨減少及び骨密度の低下などを生じることのない高強度生体インプラントを提供することができる。
またプラスチック部材2を形成する物質中に、必要に応じて帯電防止剤、酸化防止剤、ヒンダードアミン系化合物などの光安定剤、滑剤、ブロッキング防止剤、紫外線吸収剤、無機充填剤、顔料などの着色料、等の各種添加剤が含有されていても良い。
この生体インプラント1における多孔体3は、生体活性を有する物質により形成されている。多孔体3を形成する物質としては、生体との親和性が高く、歯を含む骨組織と化学的に反応する性質を有する物質であれば特に限定されず、例えば、リン酸カルシウム化合物、バイオガラス、結晶化ガラス(ガラスセラミックスとも称する。)、炭酸カルシウム等が挙げられる。リン酸カルシウム化合物としては、例えば、リン酸水素カルシウム、リン酸水素カルシウム水和物、リン酸二水素カルシウム、リン酸二水素カルシウム水和物、α型リン酸三カルシウム、β型リン酸三カルシウム、ドロマイト、リン酸四カルシウム、リン酸八カルシウム、水酸アパタイト、フッ素アパタイト、炭酸アパタイト及び塩素アパタイト等が挙げられる。バイオガラスとしては、例えば、SiO−CaO−NaO−P系ガラス、SiO−CaO−NaO−P−KO−MgO系ガラス、及び、SiO−CaO−Al−P系ガラス等が挙げられる。結晶化ガラスとしては、例えば、SiO−CaO−MgO−P系ガラス(アパタイトウォラストナイト結晶化ガラスとも称する。)、及び、CaO−Al−P系ガラス等が挙げられる。これらのリン酸カルシウム化合物、バイオガラス及び結晶化ガラスは、例えば、「化学便覧 応用化学編 第6版」(日本化学会、平成15年1月30日発行、丸善株式会社)、「バイオセラミックスの開発と臨床」(青木秀希ら編著、1987年4月10日発行、クインテッセンス出版株式会社)等に詳述されている。
多孔体3を形成する物質としては、リン酸カルシウム化合物は、特に生体活性に優れているので、生体インプラントを生体内に埋設した後に骨形成させるのに有利である。リン酸カルシウム化合物の中でも水酸アパタイト及びリン酸三カルシウムはいずれも、特に生体活性及び生体親和性に優れており、骨補填材の材料として臨床使用においても多くの実績があるために好適である。
水酸アパタイトは、実際の骨の無機成分であるので、生体インプラントが、その表面に水酸アパタイトを備えていれば、骨と結合し易くなる。リン酸三カルシウムは、生体吸収性に優れており、経時的に吸収されながら自家骨に置換される特徴を有していることから、近年数多くの症例に対して骨補填材として用いられている。したがって、このような水酸アパタイト及びリン酸三カルシウムは、生体インプラントに好適に使用される。
本発明に係る生体インプラント1において、生体活性を有する多孔体3は、表面開口気孔4を有し、この表面開口気孔4がプラスチック部材2で充たされている。この表面開口気孔4は、多孔体3の表面に少なくとも1つの開口部5を有する気孔であり、この開口部5から表面開口気孔4の内部にプラスチック部材2を導入することにより、表面開口気孔4をプラスチック部材2で充たすことができる。この表面開口気孔4は、少なくとも1つの気孔と連通し、さらにこの表面開口気孔4に連通して成る気孔が少なくとも1つの他の気孔と連通し、表面開口気孔4に繋がるこのような気孔が多数形成されていることにより、表面開口気孔4の形成する空隙が多孔体3の内部に三次元網目状に形成されているのが好ましい。また、この表面開口気孔4は、この表面開口気孔4と少なくとも1つの他の表面開口気孔4とが連通されることにより、多孔体3の表面に2つ以上の開口部5を有する貫通気孔として形成されることもある。表面開口気孔4の形成する空隙が多孔体3の内部に三次元網目状に形成されていると、表面開口気孔4はプラスチック部材2によって充たされているので、多孔体3の内部にプラスチック部材2が三次元網目状に広がり、プラスチック部材2の強度特性が生体インプラント1の強度特性に反映され易くなるので好ましい。その結果、所望の強度特性を有し、かつ、生体骨と結合する機能を有する生体インプラント1を提供することができる。この多孔体3は、多孔体の表面に開口部5のない独立気孔を有している場合もある。この独立気孔にはプラスチック部材は充たされていないので、生体インプラント1の強度特性に支障のない範囲内でこの多孔体3は独立気孔を有していても良い。
表面開口気孔4の平均気孔径は、100〜5000μmであるのが好ましく、かつ、表面開口気孔4が形成する空隙は多孔体3に均一に分布しているのが好ましい。前記範囲内にある平均気孔径を有する表面開口気孔4が多孔体3の内部に均一に分布していると、この表面開口気孔4にはプラスチック部材2が充たされているので、生体インプラント1におけるいずれの部分においても均一な強度を有する生体インプラント1を得ることができる。
前記表面開口気孔4の平均気孔径は、走査型電子顕微鏡を用いて撮影した生体インプラント1の断面写真により、プラスチック部材2で充たされている表面開口気孔4の長径及び短径を測定し、この2つの測定値の平均値を算出することにより求めることができる。なお、表面開口気孔4が、複数の気孔が連通して形成されていると推定される場合には、個々の気孔の形状を想定し、この想定された形状を有する個々の気孔の長径及び短径を測定し、この2つの測定値の平均値を算出することにより求めることができる。
生体インプラント1の全体積に対する前記多孔体3の表面開口気孔4を充たしているプラスチック部材2の体積割合は、50〜95%が好ましく、60〜80%がより好ましい。プラスチック部材2の体積割合が前記範囲内であると、この生体インプラント1を適用する部位の骨又は歯に応じた所望の強度特性を有する生体インプラント1を提供することができる。
生体インプラント1の全体積に対するプラスチック部材2の体積割合は、走査型電子顕微鏡により撮影した生体インプラント1の断面写真を画像解析ソフト(Scion Image)を使用して、表面開口気孔4に充たされているプラスチック部材2とそれ以外の部分とに2値化することにより、写真全体の面積に対するプラスチック部材2の面積割合を算出し、この算出値から推定することができる。
この生体インプラント1の表面における少なくとも一部には、生体活性を有する多孔体3が露出している。生体インプラント1の表面に生体活性を有する多孔体3が露出している場合には、この生体活性を有する物質がきっかけとなって新たな骨が形成されるので、生体インプラント1と生体骨とを早期に結合させることができる。生体インプラント1の多孔体3が表面に露出している部分の表面積に対する多孔体3の面積割合は、5〜50%が好ましく、20〜40%がより好ましい。生体活性を有する多孔体3が前記範囲内で生体インプラント1の表面に露出していると、この生体活性を有する物質がきっかけとなって新たな骨が形成される。その結果、生体骨と生体インプラント1とを結合させることのできる生体インプラント1を提供することができる。生体インプラント1の多孔体3が表面に露出している部分の表面積に対する多孔体3の面積割合は、前述のプラスチック部材2の体積割合を算出する方法と同様にして、走査型電子顕微鏡を用いて求めることができる。なお、生体活性を有する多孔体3は生体インプラント1の表面全体に露出されていても良いし、生体骨との結合が必要な部分のみに多孔体3が露出されていても良い。
本発明に係る生体インプラント1を形成している多孔体3は、表面開口気孔4を多数有する多孔質構造である。この表面開口気孔4がプラスチック部材2により充たされて生体インプラント1を形成している。この生体活性を有する多孔体3は、一体となって形成されており、多孔体3の骨格部分が生体インプラント1の表面に露出しているので、生体活性を有する微粒子をプラスチックに分散させて成る生体インプラントとは異なり、この生体インプラント1が体内に埋設された後も、生体インプラント1の表面から生体活性を有する物質が脱落するおそれがなく、生体に対して安全な生体インプラント1を提供することができる。
この生体インプラント1は、プラスチック部材2と生体活性を有する多孔体3とにより形成されており、生体インプラント1におけるいずれの断面で切断されたとしても、プラスチック部材2と多孔体3との面積比が、ほぼ等しくなるように形成されているのが好ましい。生体インプラント1におけるいずれの断面においてもプラスチック部材2と多孔体3との面積比がほぼ等しくなるように、生体インプラント1が形成されていると、一定の形状を有する生体インプラント原体を製造しておき、必要なときに必要な大きさ及び形状を有する生体インプラント1を切り出して使用することができる。このような使用方法によっても、切り出した生体インプラント1には一定割合のプラスチック部材2が含まれているので、所望の強度が維持される。また、生体インプラント1の表面には一定の面積比を有する生体活性を有する多孔体3が露出されているので、この生体活性を有する物質がきっかけとなって新たな骨が形成される。その結果、生体インプラント1におけるいずれの部分から切り出しても、所望の強度特性を有し、かつ、生体骨と生体インプラント1とを結合させることのできる生体インプラント1を提供することができる。
図2に示すように、この生体インプラント1は、プラスチック部材2が生体インプラント1の表面に露出し、プラスチック部材2の露出表面が多孔質層6を形成しているのが好ましい。プラスチック部材2の表面が多孔質層6を形成していると、生体活性を有する物質がきっかけとなって生成された新たな骨及び生体骨を由来とする骨組織がプラスチック部材2における多孔質層6の内部に入り込み、さらに新たな骨が形成されるので、生体インプラント1と生体骨との結合をより強固にすることができる。
図3は、多孔質層6の拡大模式図である。図3に示すように、プラスチック部材1の表面に形成された多孔質層6は、大きさの異なる小径気孔7及び大径気孔8を多数有しており、これらの気孔は、独立して形成されている独立気孔9及び2つ以上の独立気孔が連通して形成されている連通気孔10を形成している。一部の小径気孔7及び大径気孔8は多孔質層6の表面に開口する開気孔11を形成しており、この開気孔11は平均開気孔径Aが5μm以下、好ましくは3μm以下の小径開気孔17と平均開気孔径Bが10〜200μm、好ましくは30〜150μmの大径開気孔18とを有している。この大径開気孔18の内壁面には、小径気孔7及び大径気孔8と連通して形成される連通孔12が形成されている。この連通孔12は、一つの開気孔11に対して複数の連通孔12が形成されているのが好ましく、小径気孔7と連通して形成される連通孔径Cが5μm以下、好ましくは3μm以下の連通孔12と大径気孔8と連通して形成される連通孔径Dが10〜200μm、好ましくは30〜150μmの連通孔12とにより形成されている。小径気孔7及び大径気孔8は、球状及び/又は扁球状及び/又は長球状及び/又はこれらの形状が組み合わせてなる形状を有する。このような気孔を有する多孔質層6とすることにより、この生体インプラント1を体内に埋設すると、多孔質層6の表面に開口している多数の開気孔11及びこの開気孔11と多孔質層6の内部に形成されている小径気孔7及び大径気孔8とが連通することにより形成される連通孔12とを介して、生体活性を有する物質がきっかけとなって生成された新たな骨及び生体骨を由来とする骨組織を多孔質層6の内部に侵入させることができる。その結果、多孔質層6の内部に存在する空間を充填するように新たな骨が形成されるので、生体骨と生体インプラント1とを強固に結合させることのできる生体インプラント1を提供することができる。さらに、大径気孔8により形成されている大径開気孔18の内壁面に連通孔12が多数形成されている程、骨組織を多孔質層6の表面から深部まで到達させることができ、多孔質層6の深部において新たな骨を形成させることができるので、骨と生体インプラント1とをより一層強固に結合させることができる。
多孔質層の表面に開口する開気孔の平均開気孔径は、多孔質層の表面を走査型電子顕微鏡で観察し、多孔質層の表面の写真を使用して、個々の開気孔の長径及び短径を測定し、この2つの測定値の平均値を算出することにより、平均開気孔径を求めることができる。
多孔質層の表面に開口する開気孔に小径気孔及び大径気孔が連通して形成されている連通孔の孔径は、水銀ポロシメーターを使用して、求めることができる。
多孔質層6の表面積に対する大径気孔8により形成される大径開気孔18の面積割合は、特に限定されないが、10〜95%であるのが好ましく、20〜85%であるのが特に好ましい。大径開気孔18の面積割合が、前記範囲内にあると、骨組織を多孔質層6の内部に浸入させることができるので、多孔質層6の内部に新たな骨が形成され、その結果、骨と強固に結合させることのできる生体インプラントを提供することができる。
多孔質層の表面積に対する大径気孔により形成される大径開気孔の面積割合は、プラスチック部材の表面に形成されている多孔質層の表面を走査型電子顕微鏡により撮影した写真を画像解析ソフト(Scion Image)を使用して、大径気孔により形成される大径開気孔とそれ以外の部分とに2値化することにより、多孔質層の表面積に対する大径気孔により形成される大径開気孔の面積割合を算出することにより、求めることができる。
多孔質層6における小径気孔7及び大径気孔8の気孔率は、特に限定されないが、小径気孔3と大径気孔4とを合算した気孔率が99%以下になる範囲で、小径気孔7の気孔率は5〜50%であるのが好ましく、10〜40%であるのが特に好ましく、大径気孔8の気孔率は20〜90%であるのが好ましく、30〜80%であるのが特に好ましい。小径気孔7の気孔率が、前記範囲内にあると、骨形成に関与するタンパク質や細胞等が付着する足場を多く確保できるため、新たな骨が表面層の内部に形成されやすく、表面発泡体と骨とを強固に結合することができる。大径気孔8の気孔率が、前記範囲にあると、骨組織が多孔質層6の内部に侵入した後保持されやすくなると共に、新たな骨が形成される空間が十分に確保され、この空間を埋めるように新たな骨が形成されるので、より一層強固に骨と生体インプラントとを結合させることができる。
前記多孔質層の小径気孔の気孔率及び大径気孔の気孔率は、多孔質層の断面を走査型電子顕微鏡により撮影した写真を画像解析ソフト(Scion Image)を使用して、大径気孔と小径気孔の面積を算出し、写真全体のうちのプラスチック部材により形成されている多孔質層の面積に対する大径気孔及び小径気孔の面積割合を算出することにより求めることができる。
多孔質層6の厚さは、10〜1000μmであるのが好ましく、20〜200μmであるのが特に好ましい。上記範囲内であれば、生体インプラント1を体内に埋設した後に、多孔質層6の表面に開口している多数の開気孔11及びこの開気孔11と多孔質層6の内部に形成されている小径気孔7及び大径気孔8とが連通することにより形成される連通孔12を介して、骨組織が多孔質層6の内部に侵入することにより、多孔質層6の内部に新たな骨が形成され、その結果、生体骨と生体インプラント1とを強固に結合させることのできる生体インプラント1を提供することができる。
次に、本発明に係る生体インプラントの製造方法の一実施例を説明する。
まず、工程1として、生体活性を有する多孔体を得る。生体活性を有し、かつ、表面に開口部を有する表面開口気孔を有する多孔体を得ることができる限り、公知の方法により多孔体を製造することができる。多孔体を製造する方法として、例えば、生体活性を有するセラミックス粉体と有機ビーズ、例えばPMMAなどを混合してプレス成型し、次いで、プレス成型した成型体を焼成することで、有機ビーズを消失させ、有機ビーズが存在していた部分が空隙となる多孔体を得る有機ビーズ使用法、生体活性を有するセラミックス粉体と界面活性剤とゲル状物質とを混合したスラリーを調製し、このスラリーを攪拌することで泡立て、次いで、泡立てたスラリーにゲル状物質を固化することのできる物質を添加することにより、泡立てた状態でスラリーを固化し、この固化したスラリーを焼成することで多孔体を得る発泡法、及び、生体活性を有するセラミックス粉体とバインダーとを混合したスラリーを、ポリウレタン等で作製されたスポンジに含浸させ、これを適度に絞って乾燥させることにより、スポンジの骨格部分にセラミックス粉体を付着させ、次いで、セラミック粉体を付着させたスポンジを焼成することにより、スポンジ形状をした多孔体を得るスポンジ含浸法等を挙げることができる。また、生体活性を有するセラミックス粉体をプレス成形し、次いでプレス成形した成形体を焼成したものを、例えばドリル加工などにより加工して貫通孔を形成することにより、生体活性を有するセラミックスからなる多孔体を製造する方法も挙げられる。なお、生体活性を有するセラミック粉末としては、前述した生体活性を有する物質のうちのいずれか1つ又は2つ以上の物質の混合物を適宜選択することができる。
次いで、工程2として、前記工程1で得られた多孔体の表面開口気孔に、生体骨に近い強度特性を有し、かつ、生体内非吸収非分解性であるプラスチックを充填することにより複合部材を得る。前記工程1で得られた多孔体の表面開口気孔にプラスチックを充填させることができる限り、公知の方法により複合部材を製造することができる。生体骨に近い強度特性を有し、かつ、生体内非吸収非分解性であるプラスチックとしては、前述したプラスチックから適宜選択することができる。複合部材を製造する方法としては、例えば、プラスチックと多孔体とを同一の容器に入れ、次にプラスチックが溶融する温度まで容器を加熱することにより、溶融したプラスチックを多孔体の空隙部に充填させ、これをプラスチックの融点以下まで冷却することにより、多孔体の空隙部にプラスチックが充填された複合部材を得ることができる。また複合部材を製造する他の方法としては、プラスチックを、プラスチックの良溶媒であり、かつ、多孔体の貧溶媒である溶媒に溶解し、この溶解プラスチックに多孔体を含浸することにより、溶解プラスチックを多孔体の空隙部に浸入させ、次いで溶解プラスチックが空隙部に侵入した多孔体をプラスチックの貧溶媒に接触させて溶媒置換を行うことで、多孔体の空隙部に浸入した溶解プラスチックを再度固化させることにより、多孔体の空隙部にプラスチックが充填された複合部材を得ることができる。上記いずれの方法においても、必要に応じてプラスチックと多孔体の入った容器を減圧することにより、空隙部のより細部にまで溶融又は溶解したプラスチックを充たすことができる。また、得られた複合部材を加熱してアニール処理することで、プラスチックの結晶化度の調整や、溶媒を用いた場合は残留溶媒の除去を行うこともある。複合部材の製造方法は採用したプラスチックの種類及び複合部材の形状等により適宜選択すれば良い。
前記工程2で得られた複合部材が、所望の形状を有し、生体活性を有する多孔体が所望の部位に露出している場合には、工程2で得られた複合部材はそのまま生体インプラントとして使用されても良い。また、前記工程2で得られた複合部材を、適用部位に応じた形状に切り出し、生体活性を有する多孔体が所望の部位に露出するように調製した後に、生体インプラントとして使用されても良い。
この生体インプラントは、プラスチック部材の露出表面が、さらに多孔質層を形成していると、生体骨と生体インプラントとをより強固に結合することができる。前記複合部材を調製し、又は調製せずに得られた生体インプラントにおけるプラスチック部材の表面に多孔質層を形成する方法の一実施例を以下に説明する。
まず、工程3として、前記工程2で得られた複合部材を所望の形状に調製し、又は調製せずに得られた複合部材におけるプラスチック部材の露出表面に多数の微小気孔を有する微小気孔基材を作製する。プラスチック部材の露出表面に微小気孔を形成させる方法としては、公知の方法を採用することができ、例えば、複合部材を濃硫酸、濃硝酸、又はクロム酸等の腐食性溶液に所定時間浸漬し、次いで、この基材をプラスチックの非溶媒からなる洗浄用溶液、例えば純水に浸漬させることにより行うことができる。プラスチック部材を形成する物質として、例えばポリエーテルエーテルケトン(PEEK)を採用した場合には、濃硫酸にPEEKを所定時間浸漬させ、次いで、純水に浸漬させることにより、PEEKの表面に多数の微小気孔を形成させることができる。次いで、腐食性溶液に浸漬した複合部材を洗浄用溶液、例えば純水に浸漬させることにより微小気孔の形成進行を止めるのが好ましい。
プラスチック部材の露出表面に形成される微小気孔の気孔径は、工程4において使用される発泡剤をプラスチック部材の中に浸入させることのできる気孔径を有していれば良く、発泡剤の種類により適宜選択することができる。発泡剤として、例えば炭酸ナトリウムを採用した場合には、微小気孔の気孔径は、0.1〜200μmであるのが好ましい。プラスチック部材の表面に形成されている微小気孔の気孔率は、工程4において使用される発泡剤を十分に保持することができれば良く、例えば、発泡剤として炭酸ナトリウムを採用した場合には、プラスチック部材における多孔質層の体積に対する気孔の体積(気孔率)は、10〜90%であるのが好ましい。前記気孔率の範囲の内、気孔率が低い範囲にある場合には、例えばプラスチック部材の表面から内部方向に気孔が連通して形成されているか又はプラスチック部材の露出表面から内部方向に垂直に柱状の孔が形成されているなど、発泡剤がプラスチック部材の露出表面から所望の深さに保持されるように孔が形成されているのが好ましい。多数の微小気孔が形成される層の厚さは、最終的に生成される多孔質層と同等の厚さがあれば良く、10〜1000μmであるのが好ましい。この多数の微小気孔を有する層の厚さ、気孔径及び気孔率は、例えばPEEKを濃硫酸に浸漬させる場合には、PEEKを濃硫酸に浸漬する時間及び/又は温度により層の厚さを調整することができ、また、濃硫酸浸漬に続いて浸漬する洗浄用溶液の種類及び/又は温度によって気孔径や気孔率を調整することができる。
次いで、工程4として、工程3で得られた微小気孔基材を、発泡剤を含有する溶液に所定時間浸漬させて、多数の微小気孔を有する微小気孔基材の表面に発泡剤が保持されて成る発泡剤保持基材を作製する。発泡剤としては、プラスチック部材の露出表面に所望の多孔質構造を形成させることのできる物質であれば良く、そのような発泡剤として、炭酸塩、アルミニウム粉末などの無機系発泡剤や、アゾ化合物、イソシアネート化合物などの有機系発泡剤を挙げることができる。発泡剤は生体に悪影響を与えない物質であるのが好ましく、そのような発泡剤としては炭酸塩が好ましく、例えば、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムを挙げることができる。
次いで、工程5として、工程4で得られた発泡剤保持基材を、プラスチックを膨潤させ、かつ、発泡剤を発泡させる溶液、例えば、濃硫酸、塩酸及び硝酸などの酸性液に所定時間浸漬させて、プラスチックの膨潤と発泡剤の発泡とを同時に進行させることにより形成されて成る発泡基材を作製する。プラスチック部材を形成する物質がPEEKであり、発泡剤が炭酸塩である場合には、PEEKを膨潤させ、かつ、発泡剤を発泡させる溶液としては、濃硫酸が好ましい。
次いで、工程6として、工程5で得られた発泡基材を、プラスチックが溶出しない溶液、例えば、プラスチックの非溶媒として、水、アセトン、エタノールなどに浸漬させることにより、膨潤したプラスチック表面を凝固させて形成されて成る多孔質層をプラスチック部材の露出表面に有する生体インプラントを作製する。プラスチック部材を形成する物質がPEEKである場合には、PEEKが溶出しない溶液としては、上記に挙げた他、濃度が85%以下の硫酸、硝酸、リン酸、塩酸等の無機物、水溶性有機溶剤がある。水溶性有機溶剤としては、例えばN−メチル−2−ピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキサイド、テトラヒドロフラン、エチレングリコ−ル、ジエチレングリコ−ル、トリエトレングリコ−ル、プロピレングリコ−ル、ジプロピレングリコ−ル、グリセリンエタノ−ル、プロパノ−ル、ブタノ−ル、ペンタノ−ル、ヘキサノ−ル等のアルコ−ル及びこれらの水溶液、ポリエチレングリコ−ル、ポリプロピレングリコ−ル、ポリビニルピロリドン等液状高分子またはそれらの水溶液及びこれらの混合物を挙げることができる。
プラスチック部材の露出表面に形成される多孔質構造を規定する開気孔径、連通孔径、気孔率などは、炭酸塩の濃度、プラスチックの膨潤及び発泡時間、プラスチックの非溶媒の種類、各工程における温度などを適宜選択することにより調整することができる。
本発明に係る生体インプラントは、プラスチック部材と多孔体とにより形成されているので、プラスチック部材及び多孔体の強度特性、並びにプラスチック部材と多孔体との体積割合及び構造等によって、生体インプラントの力学的特性は変化する。したがって、プラスチック及び多孔体を形成する物質の種類及びプラスチック部材と多孔体との体積割合及び構造等を適宜選択及び調整することにより、適用部位の骨又は歯に応じた所望の力学的特性を有する生体インプラントを得ることができる。
本発明に係る生体インプラントは、生体内の使用部位に合わせて様々な形状、例えば、ブロック状、フィルム状等で用いられる。好ましくは、この生体インプラントが補填される骨欠損部又は歯欠損部等の形状と同様の形状、又は骨欠損部又は歯欠損部等の形状に相当する形状、例えば、相似形等に、成形、整形及び/又は調製されて用いられる。
本発明に係る生体インプラントは、予め所望の形状に成形、整形及び/又は調製しておくこともできるし、生体インプラントにおけるいずれの断面においてもプラスチック部材と多孔体との面積比がほぼ等しくなるように、生体インプラントが形成されている場合には、一定の形状を有する生体インプラント原体を製造しておき、必要なときに必要な大きさ及び形状を有する生体インプラントを切り出して使用することもできる。
プラスチック部材における多孔質層は、必要に応じて形成させることができ、プラスチック部材の全露出表面に形成させても良いし、また骨又は歯との強固な結合が必要な部分のみに形成させても良い。
この生体インプラントは、骨補填材、人工関節、骨接合材、人工椎体、椎体間スペーサ、椎体ケージ及び人工歯根などに適用することができる。
図1は、本発明に係る生体インプラントの一実施例を示す模式図である。 図2は、本発明に係る生体インプラントの他の実施例を示す模式図である。 図3は、本発明に係る生体インプラントの一実施例であるプラスチック部材における多孔質層の拡大模式図である。
符号の説明
1 生体インプラント
2 プラスチック部材
3 多孔体
4 表面開口気孔
5 開口部
6 多孔質層
7 小径気孔
8 大径気孔
9 独立気孔
10 連通気孔
11 開気孔
12 連通孔
17 小径開気孔
18 大径開気孔
A 小径気孔の平均開気孔径
B 大径気孔の平均開気孔径
C 小径気孔の連通孔径
D 大径気孔の連通孔径

Claims (6)

  1. 生体骨に近い強度特性を有し、かつ、生体内非吸収非分解性であるプラスチック部材と生体活性を有する多孔体とにより形成されて成る生体インプラントであって、前記多孔体における表面開口気孔が前記プラスチック部材で充たされており、前記多孔体が表面に露出していることを特徴とする生体インプラント。
  2. 前記プラスチック部材が多孔体の表面に露出しており、前記プラスチック部材の露出表面に多孔質層が形成されて成ることを特徴とする請求項1に記載の生体インプラント。
  3. 前記多孔質層は、小径気孔と大径気孔とを有し、前記小径気孔及び大径気孔の一部は前記多孔質層の表面に開口する開気孔を形成し、前記開気孔は平均開気孔径が5μm以下の小径開気孔と平均開気孔径が10〜200μmの大径開気孔とを有し、前記多孔質層の表面に開口する大径開気孔は、その内壁面に小径気孔及び大径気孔と連通する連通孔が形成されてなることを特徴とする請求項1又は2に記載の生体インプラント。
  4. 前記プラスチック部材が、ポリエーテルエーテルケトンにより形成されて成ることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の生体インプラント。
  5. 前記多孔体が、リン酸カルシウム化合物により形成されて成ることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の生体インプラント。
  6. 前記リン酸カルシウム化合物が、水酸アパタイト又はリン酸三カルシウム又はこれらの混合物であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の生体インプラント。
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