JP5228666B2 - 偽造防止構造体、偽造防止ステッカー、偽造防止転写箔、偽造防止インキ、偽造防止媒体、偽造防止用紙、及び真偽判定方法 - Google Patents

偽造防止構造体、偽造防止ステッカー、偽造防止転写箔、偽造防止インキ、偽造防止媒体、偽造防止用紙、及び真偽判定方法 Download PDF

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Description

本発明は、偽造、改ざん、貼り替え、又は、秘密にされるべき情報の盗み読み、等の不正の防止対策や、万一そのような不正が心配されても不正の有無の判別を容易とする対策、これらの対策(以後、偽造防止対策と総称する)を実施する技術分野に関係する。
より詳しくは、例えば、商品券やクレジットカード等の有価証券類の偽造防止対策とか、ブランド品や高級品等の一般に高価なものへ適用希望が多い真正品であることを証明する為の偽造防止対策に好適な技術である。
特に、既存の偽造防止技術との組み合わせが可能であり、デザインや材料構成によっては装飾性にも優れた視覚効果を得られる技術であって、簡単な光源を使用する、又は簡単な観察方法により検証可能な、偽造防止構造体、偽造防止ステッカー、偽造防止転写箔、偽造防止インキ、偽造防止媒体、偽造防止用紙、及びその真偽判定方法に関する。
近年、商品券やクレジットカード等の有価証券類の偽造防止対策とか、ブランド品や高級品等の一般に高価な物へ適用希望が多い真正品であることを証明する為の偽造防止対策としては、大きく分けて2種類の技術がある。
1つは、一般ユーザがその外観を確認しただけで偽造防止技術と認知でき真偽判定できるオバート技術である。
もう1つは、特定のユーザのみが偽造防止技術の存在を知り、某かの特殊な検証を行うことで初めてその偽造防止技術が確認でき、真偽判定できる、コバート技術である。
オバート技術の例としては、反射光同士の干渉やこの反射光の分散を用いて立体画像や特殊な装飾画像とかあるいは特殊な色の変化などを表現し得るホログラムや回折格子、また、光学特性の異なる薄膜を光学的に適当な多層に重ねることによって見る角度により色の変化(カラーシフト)を生じる多層薄膜、等々の技術を利用した、いわゆるOVDが利用されている。ここでOVDは、“Optical(ly) Variable Device”の略である。尚、OVDの同義語にDOVIDもあり、これは、“Diffractive Optical(ly) Variable Imaging Device”の略である。
このOVDは、高度な製造技術を要するが、光源の種類に対して多種のカラーバリエーションの検証光を得る事や、鮮やかなカラーチェンジの検証光を得る事が出来、一瞥で真偽が判定できることから有効な偽造防止手段としてクレジットカード、有価証券、証明書類等の一部にあるいは全面に形成され使用されている。最近では、有価証券以外にもスポーツ用品やコンピュータ部品をはじめとする電気製品ソフトウエアー等に貼り付けられ、その製品の真正さを証明する認証ステッカーや、それら商品のパッケージに貼りつけられる封印ステッカーとしても広く使われるようになってきた。
OVDは、一般に精巧な偽造が難しく確認が容易な偽造防止手段であり、商品券や紙幣、パスポート、若しくは株券等の紙媒体に添付する場合には張り替えが容易でない熱転写方式が多くの場合採用されている。これは、熱転写されたOVDを張り替えようとすると、このOVDに利用されている光学薄膜が物理的に破壊されてしまい、本来の視覚効果が損なわれるためであり、薄膜にすることにより貼り替え防止、及び改竄防止効果を付与している。
しかしながら、近年のエンボス技術の発達により、レリーフ型回折構造を用いたOVDが以前より低難易度化していること、及び多層薄膜フィルムが一般の包装用フィルムとして販売され始めたことなどから、偽造防止効果が低化してきた。このため、近年のレリーフ型回折構造では、更に微細な構造による複雑なデザインの提案や、光の波長以下の微細な周期的凹凸パターンからなる素子(サブ波長構造素子)による、反射防止機能、偏光分離機能、位相差機能等を有する物品や、計算機ホログラム等の提案がなされている。(例えば特許文献1〜3参照)。
通常のレリーフ型回折格子は、約1.0μmの幅で0.2μm程度の深さの凹凸が刻まれているが、これに比べ前述のサブ波長構造素子、及び計算機ホログラムの場合は、光の波長以下(例えばサブ波長構造素子の場合は、100nm〜800nm)の微細な凹凸である為に、偽造が困難である。
ところが、上記微細な凹凸形状を成形する為には、熱エンボス法やフォトポリマー法、それらの複合法等の公知の技術が利用されており、何れの方法においても成型工程におけるレリーフ型への樹脂取られが発生し良品率の低下を招く。加えて、高速での加工が困難であるため生産性が悪い。特に、より微細な構造やアスペクト比の高い構造では、型取りによる偽造防止効果が高い反面、成形工程におけるレリーフ型への樹脂取られが顕著であり、生産性が悪いという問題点があった。また、単に回折格子の周期を狭くしただけでは、光学効果に進歩性が無いばかりか、型取りによる偽造のリスクも拭いきれないという問題があった。
OVD以外のオバート技術の例を挙げれば、紙幣や商品券等の偽造防止策として、透過光で像が現れる透かしが用いられることが多い。これは、媒体の一部にインキを含浸させて透過率を部分的に変えたり、微妙な凹凸を設けたりして画像として視認できるようにする技術である。例えば、部分的に電子線硬化型のインキを印刷しておく方法(特許文献4参照)や、定着時の熱圧で透明化するトナーを部分的に設ける方法が提案されている。
また、他の効果との組み合わせとして、透かし内に蛍光インキや赤外線吸収剤による模様を設け、さらにセキュリティ性を向上させる技術も開示されている(特許文献5、6参照)。
しかしながら、インキやトナーの含浸では濃淡によるモノクロの画像が見られるだけであり、蛍光や赤外線吸収剤を併用する方法は比較的材料が高価であり、セキュリティシステム全体として高価になってしまうという問題点があった。
一方、コバート技術の例としては、蛍光印刷、万線潜像、偏光潜像、特定波長吸収印刷等が挙げられ、ともに、現在でも重要な地位を占めている。
蛍光印刷の代表的な例としては、紫外線で励起され可視蛍光を発する蛍光体を利用した印刷インキを使用し印刷した蛍光印刷が挙げられる。これらの印刷に含まれる蛍光体は、通常の可視光光源下では視認しにくく、紫外線照射により可視領域の蛍光を発する。
照射する紫外線の波長としては、使用する蛍光体の種類により種々の光源を選択することが可能である。一般には、365nm波長の紫外線を発光するブラックライトが使用されることが多い。
これら蛍光印刷に関する近年の技術としては、2種以上の蛍光体を混合することで発色再現性を困難にして偽造防止効果を向上させている(例えば特許文献7〜9参照)。
しかしながら、上記の蛍光体は、一般にブラックライトと呼ばれる比較的波長の長い365nm付近と、254nm付近の波長の紫外線で励起される蛍光体との2種類に大別される。この2種類の組み合わせでは、共に、254nmの紫外線短波で発光する為、上記2種の蛍光体の混合した色となり、鮮やかな蛍光色が得られない。又、蛍光の発光が混色で有るため、どちらの蛍光体が発光しているかの判別がし難く、光源の種類に対して多種のカラーバリエーションの検証光を得ることや、鮮やかなカラーチェンジの検証光を得ることは難しい。
尚、本明細書では、「光源の種類」とは、光源の波長領域、光源の入射角、光源の方向性を意味する。また本明細書では、「検証光」とは、偽造防止構造体から観測点に向かって発せられる光を意味し、この光によって真偽判定を行う。また本明細書では、「多種のカラーバリエーションの検証光」とは、異なる波長領域を持つ複数の検証光を意味し、必ずしも可視光のみの波長領域では無く、紫外領域、及び近赤外領域の検証光をも含む。
万線潜像の代表的な例としては、凹版印刷による万線潜像印刷が挙げられる。万線潜像印刷では、2種以上の方向性のある、線幅数十ミクロンの線画パターンによって構成され、見る角度や方向によって異なるパターンを発現させることが特徴である。
また、線画の幅や濃度を複写機の解像度以上に精細に調節し、パターン印刷することで、複写機による複写によって任意のパターンを発現させることも可能である。
これら万線潜像における近年の技術としては、インキ自体に前記の蛍光顔料を混合させることによる機能付加や、更に精密、精細な印刷を行うことによる、更なるコピー牽制を行うことで偽造防止効果を向上させている(例えば、特許文献10〜12参照)。
しかしながら、近年のインクジェットプリンターでは、1plの液滴を制御するまでに向上しており、線画の印刷精度だけでは、偽造防止効果は低いと言える。
また、基本的には通常の印刷インキを使用する為、光源の種類に対して多種のカラーバリエーションの検証光を得ることや、鮮やかなカラーチェンジの検証光を得ることは難しい。
偏光潜像の代表的な例としては、液晶を利用した物が挙げられる。液晶材料は近年の液晶ディスプレーの需要拡大に伴い、高度な偏光技術が種々開発されているが、これらの偏光技術が偽造防止用デバイスにもコバート技術としていろいろな形態で応用されはじめている。例えば、ネマチック液晶の複屈折性を用いた潜像媒体や、複屈折性を有するプラスチックフィルムを利用した潜像体等があり、これら潜像体は偏光素子を用いたときに所望の潜像情報が可視化出来るようにした技術である(例えば特許文献13〜16参照)。
これら液晶技術は、その偏光特性の向上や、パターンの精密性、精細性向上によって更に偽造防止効果を向上させている。
しかしながら、近年では、偏光材料、偏光フィルムが入手し易くなっており、これらのフィルムを貼り付けることで同様の光学効果を偽造することが可能である。
また、発現される隠し文字、及び隠しパターンは、光源の種類に対して多種のカラーバリエーションの検証光を得ることや、鮮やかなカラーチェンジの検証光を得ることは難し
い。
特定波長吸収印刷の代表的な例としては、赤外吸収インキを使用した印刷が挙げられる。
これらの印刷に使用される赤外吸収インキは、赤外線の特定波長域(例えば波長700〜1500nmの赤外光を吸収する等)に吸収をもつ顔料とインキバインダーで構成され、人間が認識できない印刷パターンであり、検証の際には、赤外線領域に感度を持つCCDカメラを使用し可視光カットフィルタを付けた赤外スコープ等により確認することができる。
これら特定波長吸収印刷に関する近年の技術としては、吸収波長の異なる2種以上の吸収体を混合することで、波長領域の再現を困難にし、偽造防止効果を向上させることや、特殊で入手困難な特定波長吸収体を利用することで偽造防止効果を向上させている(例えば特許文献17〜18参照)。
しかしながら、これらの特定波長吸収印刷により得られる赤外吸収波長は、その顔料に起因する吸収波長の特性そのままである為、発現される隠し文字、及び隠しパターンを、光源の種類に対して多種のカラーバリエーションの検証光を得ることや、鮮やかなカラーチェンジの検証光を得ることは難しい。
上記の通り、代表的な既存のコバート技術は、検証時において、発現される隠し文字、及び隠しパターンを、光源の種類に対して多種のカラーバリエーションの検証光を得ることや、鮮やかなカラーチェンジの検証光を得ることは難しい。
特開2002−40219号公報 特開2004−205990号公報 特開2005−10231号公報 特開昭62−259900号公報 特開平2−245399号公報 特開平8−183280号公報 特開平10−250214号公報 WO2004/085166号公報 特開2004−122690号公報 実開平6−68051号公報 特開平11−291609号公報 特開2004−90381号公報 特開平8−43804号公報 特開平9−68926号公報 特開平9−68927号公報 特開2000−221898号公報 特開2005−103980号公報 特開2004−181791号公報
本発明は斯かる背景技術の欠点に鑑みてなされたもので、通常の可視光源下では判りにくく、特定の検証法において、光源の種類に対する多種のカラーバリエーションの検証光や、鮮やかなカラーチェンジの検証光が得られ、更には、固有パターンを利用した高い偽造防止効果を有する、安価で、生産性が良く、型取りによる偽造が困難な偽造防止対策を提供することを課題とする。
本発明において上記課題を解決するために、まず請求項1の発明では、
球状微粒子と、前記球状微粒子を保持し固定するための微粒子固定樹脂とを有する微粒子固定層を具備し、
前記微粒子固定樹脂は、1種類以上の樹脂を含み、前記球状微粒子の高さの半分以上が埋没しないように配置され、
前記球状微粒子は、一重の平面状に、30%以上の面積充填率で全面に、又は任意の形状に配置され、平均粒径が2.5μm以下で、且つ平均粒径の0.8倍以上、1.2倍以下の範囲に、70%以上の粒子個数を有することを特徴とした偽造防止構造体としたものである。
このような一重平面状の構造であるため、3次元のコロイド結晶と比べ単位面積当たりに使用する微粒子の量が少なくて済み、薄膜化が可能となる。また、コロイド結晶構造を作るための煩雑で生産性の悪い製造方法を必要としない。また、通常のレリーフ型回折格子に比べ高いアスペクト比である事から、型取りによる偽造が更に困難となる。
また請求項2の発明では、
前記球状微粒子の、前記微粒子固定樹脂によって埋没されていない部分の少なくとも一部分を覆うように配置された光学薄膜からなり、前記微粒子固定層を通過した光を反射させる、反射層を具備することを特徴とした請求項1に記載の偽造防止構造体としたものである。
また請求項3の発明では、
前記反射層の少なくとも一部分、又は全てが、前記微粒子固定樹脂及び前記球状微粒子との屈折率差が、0.2以上であり、400nm〜700nmの波長領域での光透過率が、20%以上である透明な反射層であることを特徴とした請求項2に記載の偽造防止構造体としたものである。
また請求項4の発明では、
前記球状微粒子が、2種以上の平均粒径の球状微粒子で構成され、それぞれの球状微粒子は、前記微粒子固定層にて固有の領域を有しており、該領域内にて球状微粒子が一重の
平面状に、30%以上の面積充填率で配置されていることを特徴とした請求項1〜3の何れか1項に記載の偽造防止構造体としたものである。
また請求項5の発明では、
少なくとも、シート状の支持体と、前記シート状の支持体上に、請求項1〜4の何れか1項に記載の偽造防止構造体とを具備する積層体であって、
前記偽造防止構造体が有る側で、前記支持体から最も遠い位置にある層が、少なくとも、熱、又は圧力によって接着性を呈することを特徴とする偽造防止ステッカーとしたものである。
また請求項6の発明では、
少なくとも、シート状の支持体と、前記シート状の支持体上に、転写の際に前記支持体から剥離し被転写体に移行可能な転写層とを具備し、
前記転写層は、少なくとも、請求項1〜4の何れか1項に記載の偽造防止構造体を有することを特徴とする偽造防止転写箔としたものである。
また請求項7の発明では、
請求項1〜4の何れか1項に記載の偽造防止構造体から少なくとも1つ以上選ばれたものを、鱗片状の粉末にし、バインダー樹脂と混合したことを特徴とする偽造防止インキとしたものである。
また請求項8の発明では、
請求項1〜4の何れか1項に記載の偽造防止構造体から少なくとも1つ以上選ばれたものそれ自体であるか、又は、基材に対し、請求項1〜7の何れか1項に記載の、偽造防止構造体、偽造防止ステッカー、偽造防止転写箔、偽造防止インキの少なくとも1つ以上を貼付、又は塗工により積層したことを特徴とする偽造防止媒体としたものである。
また請求項9の発明では、
請求項1〜4の何れか1項に記載の偽造防止構造体に、少なくとも一部を透かして観察可能なように不透明シート或いは不透明印刷を片面若しくは両面に設けたことを特徴とする偽装防止媒体としたものである。
また請求項10の発明では、
請求項1〜9の何れか1項に記載の、偽造防止構造体、偽造防止ステッカー、偽造防止転写箔、偽造防止インキ、偽造防止媒体の少なくとも1つ以上を紙に漉き込んだことを特徴とする偽造防止用紙としたものである。
また請求項11の発明では、
請求項1〜4の何れか1項に記載の偽造防止構造体、該偽造防止構造体を有する、請求項5〜10の何れか1項に記載の、偽造防止ステッカー、偽造防止転写箔、偽造防止インキ、偽造防止媒体、又は偽造防止用紙の真偽判定方法であって、
該偽造防止構造体が形成されている平面上に検証ポイントを任意に設定し、
前記検証ポイントを含み、該偽造防止構造体が形成されている平面上で、該偽造防止構造体が形成されている平面に垂直な平面によって区分される2つの空間のうち、どちらか1つの空間中に、光源及び観測点の両方を配置し、
前記光源から前記検証ポイントに向かって光を照射することで、該偽造防止構造体の前記検証ポイント部分によって、前記観測点に向かって発せられる光である検証光について、前記光源又は前記観測点の位置により変化する波長又は波長領域の変化を確認するか、
或いは、
該偽造防止構造体が形成されている平面上に検証ポイントを任意に設定し、
前記検証ポイントを含み、該偽造防止構造体が形成されている平面上で、該偽造防止構造体が形成されている平面に垂直な平面によって区分される2つの空間のうち、どちらか1つの空間に光源を配置し、もう一方の空間に観測点を配置し、
前記光源から前記検証ポイントに向かって光を照射することで、該偽造防止構造体の前記検証ポイント部分によって、前記観測点に向かって発せられる光である検証光について、前記光源又は前記観測点の位置により変化する波長又は波長領域の変化を確認するか、
或いは、
該偽造防止構造体が具備する微粒子固定層の反射層の無い部分で、透過光源からの透過光が回折されて得られる検証光を観測点にて確認することを特徴とする真偽判定方法としたものである。
また請求項12の発明では、
請求項1〜4の何れか1項に記載の偽造防止構造体、該偽造防止構造体を有する、請求項5〜10の何れか1項に記載の、偽造防止ステッカー、偽造防止転写箔、偽造防止インキ、偽造防止媒体、又は偽造防止用紙の真偽判定方法であって、
該偽造防止構造体について、微粒子固定層の全面、又は一部分における、位置情報と球状微粒子の配置パターンを予め登録保管しておき、
登録保管された位置情報が示す位置における、現物の配置パターンと登録保管された配置パターンとを照合することを特徴とする真偽判定方法としたものである。
また請求項13の発明では、
請求項1〜4の何れか1項に記載の偽造防止構造体、該偽造防止構造体を有する、請求項5〜10の何れか1項に記載の、偽造防止ステッカー、偽造防止転写箔、偽造防止インキ、偽造防止媒体、又は偽造防止用紙の真偽判定方法であって、
該偽造防止構造体の表面の一部若しくは全面に液体を滴下して色調変化を確認することにより真偽判定を行うことを特徴とする真偽判定方法としたものである。
本発明は、通常の可視光源下では判りにくく、特定の検証法において、光源の種類に対する多種のカラーバリエーションの検証光や、鮮やかなカラーチェンジの検証光が得られ、更には、固有パターンを利用した高い偽造防止効果を有する、安価で、生産性が良く、型取りによる偽造が困難な偽造防止対策を提供できるという効果がある。
以下、本発明に係る、偽造防止構造体、偽造防止転写箔、偽造防止ステッカー、偽造防止インキ及、偽造防止媒体、偽造防止用紙、及び真偽判定方法の最良の実施形態を、図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明に係る第1の偽造防止構造体の断面図である。この偽造防止構造体(1)は、少なくとも、微粒子固定層(2)を有し、微粒子固定層(2)は、微粒子固定樹脂(3)と、球状微粒子(4)とを有し、微粒子固定樹脂(3)が、球状微粒子(4)の高さの半分以上が埋没しないように配置され、且つ球状微粒子(4)が、一重の平面状に、30%以上の面積充填率で任意の形状に配置されている偽造防止構造体である。
このような一重平面状の構造であるため、3次元のコロイド結晶と比べ単位面積当たりに使用する微粒子の量が少なくて済み、薄膜化が可能となる。また、コロイド結晶構造を作るための煩雑で生産性の悪い製造方法を必要としない。
図2は、本発明に係る第2の偽造防止構造体の断面図である。この偽造防止構造体(1)は、少なくとも、微粒子固定層(2)を有し、微粒子固定層(2)は、微粒子固定樹脂(3)と、球状微粒子(4)とによって構成され、さらに、球状微粒子(4)の、微粒子固定樹脂(3)とによって埋没されていない部分の少なくとも一部分を覆うように配置された光学薄膜からなり、微粒子固定層(2)を通過した光を反射させる、反射層(5)を有する偽造防止構造体である。
図3は、本発明に係る第3の偽造防止構造体の断面図である。この偽造防止構造体(1)は、少なくとも、微粒子固定層(2)を有し、微粒子固定層(2)は、微粒子固定樹脂(3)と、球状微粒子(4)とによって構成され、さらに、球状微粒子(4)の、微粒子固定樹脂(3)によって埋没されていない部分の少なくとも一部分を覆うように配置された光学薄膜からなり、微粒子固定層(2)を通過した光を反射させる、透明な反射層(10)を有する偽造防止構造体である。
図4は、本発明に係る第4の偽造防止構造体の断面図である。この偽造防止媒体(1)は、少なくとも、微粒子固定層(2)を有し、微粒子固定層(2)は、微粒子固定樹脂(3)と、2種以上の平均粒径の球状微粒子(4−A,4−B,4−C)によって構成され、それぞれの球状微粒子(4−A,4−B,4−C)は、微粒子固定層(2)において固有の領域を有しており、微粒子固定層(2)を部分的に覆うようにして設けられた光学薄膜からなる偽造防止構媒体である。
図5は、本発明に係る第5の偽造防止構造体の断面図である。この偽造防止構造体(1)は、少なくとも、微粒子固定層(2)を有し、微粒子固定層(2)は、微粒子固定樹脂(3)と、2種以上の平均粒径の球状微粒子(4−A,4−B, 4−C)によって構成され、それぞれの球状微粒子(4−A,4−B, 4−C)は、微粒子固定層(2)において固有の領域を有しており、さらに微粒子固定層(2)を部分的に覆うようにして設けられた光学薄膜からなり、微粒子固定層(2)を透過した光を部分的に反射させる、反射層(5)又は透明な反射層(10)を有する偽造防止構造体である。
図6は、本発明に係る偽造防止ステッカーの断面図である。この偽造防止ステッカー(21)は、少なくとも、シート状の支持体(22)、偽造防止構造体(23)、接着剤(24)を順次積層した構造を有する。接着剤(24)は、少なくとも、熱、又は圧力によって接着性を呈するものである。この偽造防止ステッカー(21)には、カッティングノッチや切り込みを入れ、脆性化することにより貼付後の再剥離を防止し、貼替え不正を困難にすることができ、セキュリティ性を向上させることができる。
図7は、本発明に係る偽造防止転写箔の断面図である。この偽造防止転写箔(25)は、少なくとも、シート状の支持体(26)、偽造防止構造体(27)を順次積層した構造を有しており、少なくとも、偽造防止構造体(27)によって構成される転写層(28)は、支持体(26)より剥離し被転写体に移行可能である。
図8は、本発明に係わる偽造防止インキの概念図である。この偽造防止インキ(29)は、偽造防止構造体(30)を鱗片上粉末に加工し、バインダー樹脂(31)に分散、混合されている。
図9は、本発明に係る第1の偽造防止媒体の断面図である。この偽造防止媒体(32)は、基材(33)に対し、偽造防止構造体(34)を積層した構造を有する。
図10は、本発明に係るの第2の偽造防止媒体の断面図である。この偽造防止媒体(35)は、部分的に設けたり、一部を切り欠いたり、あるいは穿孔部を設けたりした基材(36)に対し、偽造防止構造体(37)を積層した構造を有する。この基材は片面でもよく、図10のように裏面に第二の基材(38)を設けてもよい。さらに、この基材(36)、第二の基材(38)の一方又は両方を不透明な印刷に置き換えても差し支えない。また、これらの基材(36)、第二の基材(38)もしくはこれに置き換えられる印刷部に、他の異なるセキュリティ要素を配設したり、これらの基材(36)、第二の基材(38)もしくはこれに置き換えられる印刷部自体がそのような効果を有するセキュリティ要素そのものであってもよい。
図11は、本発明に係る偽造防止用紙の断面図である。この偽造防止用紙(45)は、偽造防止構造体(46)と支持フィルム(47)で構成される、偽造防止媒体(48)をマイクロスリットし、部分的に窓の開いた紙(49)の間に漉き込まれた構造を有する。
図12は、(a)〜(c)それぞれに、本発明に係る偽造防止構造体、偽造防止ステッカー、偽造防止転写箔、偽造防止媒体、偽造防止用紙、偽造防止インキ塗工物の真偽判定方法の例を表す図である。
図12の(a)は、偽造防止構造体が形成されている平面である、平面(50)と、前記平面(50)上に存在する、任意の検証ポイントである、検証ポイント(51)を設定した場合に、前記検証ポイント(51)を含み、前記平面(50)上でそれに垂直な平面である、平面(53)によって区分される2つの空間のうち、どちらか1つの空間中に、光源(54)及び観測点(55)の両方が配置され、少なくとも光源(54)から、検証ポイント(51)に向かって光を照射することで、検証ポイント(51)部分の偽造防止構造体によって、観測点(55)に向かって発せられる光である検証光(56)が得られ、少なくとも光源(54)、又は観測点(55)の位置により変化する検証光(56)の波長、波長領域の変化を確認する真偽判定方法を表す。
図12の(b)は、偽造防止構造体が形成されている平面である、平面(57)と、前記平面(57)上に存在する、任意の検証ポイントである、検証ポイント(58)を設定した場合に、前記検証ポイント(58)を含み、前記平面(57)上で垂直な平面である、平面(59)によって区分される2つの空間のうち、どちらか1つの空間に光源(60)が配置され、もう一方の空間に観測点(61)が配置され、少なくとも光源(60)から、検証ポイント(58)に向かって平行光を照射することで、検証ポイント(58)部分の偽造防止構造体より観測点(61)に向かって発せられる光である、検証光(62)が得られ、少なくとも光源(60)、又は観測点(61)の位置により変化する検証光(62)の波長、波長領域の変化を確認する真偽判定方法を表す。
図12の(c)は、微粒子固定層(2)の反射層の無い部分(63)において、透過光源(64)からの透過光が回折されて得られる検証光(66)を観測点(65)にて確認する真偽判定方法を表す。
図13は、本発明に係る偽造防止構造体、偽造防止ステッカー、偽造防止転写箔、偽造防止媒体、偽造防止用紙、偽造防止インキ塗工物の真偽判定方法のもう1つの例を表す図である。図1で説明した偽造防止構造体(1)の反射層(5)上に液体(6)を滴下すると観察者(7)は液体(6)がある場所とない場所で色が変わって見えることから、真偽判定をすることができる。
以下、本発明の偽造防止構造体、偽造防止転写箔、偽造防止ステッカー、偽造防止インキ、偽造防止媒体、及び偽造防止用紙を構成する各部材についてより詳細に説明する。
本発明の偽造防止構造体(1)に使用される、球状微粒子(4)は平均粒径が2.5μm以下で、且つ平均粒径の0.8倍以上、1.2倍以下の範囲に、70%以上の粒子個数を有する、球状微粒子である。
球状微粒子は(4)は、入射された光を回折する効果を有する(以下に示す参考文献1〜3参照)。光が微粒子によって回折されると、見る角度によって色調が変化する発色を示す。微粒子による回折は、微粒子の輪郭に沿って光が回折を受けると考えることができ、図14にて微粒子による回折を説明出来る。図14において、光の波長をλ、微粒子の粒径をaとしたときに、入射光に対して角度θを持つ、微粒子の粒径の両端部における散乱光X,Yが互いに同位相であるとき、散乱光X,Yの距離dは、波長の整数倍に等しい。

すなわち、

式1 d=nλ (nは整数)

また、

式2 d=a(sinθ)

であることから、入射光の散乱角と干渉する散乱光の波長には、

式3 a(sinθ)=nλ

の関係式が成り立つ。

[参考文献1]
「真珠箔の光学的性質について」,応用物理,1957年,第22巻,p.15
[参考文献2]
A.R.West著,遠藤忠、管野了次ほか訳「ウエスト固体化学入門」.講談社,1996年,p.104
[参考文献3]
「微粒子工学大系1」,フジテクノシステム,2001年,p.93

式3により、波長の長い光線ほど回折されることが判る。また、粒子の径によって、波長と回折角の関係が変化することが判る。
本発明の偽造防止構造体では、均一な球状微粒子(4)を集積することによって、微粒子による光の回折を効率よく得ることを特徴としている。
特に、高い発色性、及び観察角度による鮮やかな色調変化を得る為に必要な、球状微粒子(4)の形状、粒度分布、集積形状について以下に説明する。
球状微粒子(4)の形状は、より真球状が好ましい。これは、より真球状にすることで、粒径の方向依存性が低減され、回折角のバラツキが低減されることにより、鮮やかな色調変化を得ることが出来るためである。本発明における球状微粒子とは、1個の粒子の最大径と最少径の比が1.0以上1.2以内である球状粒子を指し、本発明では、この様な球状微粒子を使用することを特徴とする。
球状微粒子(4)の粒度分布は、より狭い範囲にあることが好ましい。粒度分布を狭くすることで、回折角のバラツキが低減されることにより、鮮やかな色調変化を得ることが出来るためである。本発明での球状微粒子(4)は、平均粒径の0.8倍以上、1.2倍以下の範囲に、70%以上の粒子個数を有する、粒度分布の狭い球状微粒子であることを
特徴としているが、より好ましくは、平均粒径の0.9倍以上、1.1倍以下の範囲に、90%以上の粒子個数を有する球状微粒子であり、この様なシャープな粒度分布の球状粒子を使用することで更に鮮やかな色調変化を得ることが出来る。
球状微粒子(4)の集積形状は、1重の平面状に、より多く集積し、配置されることが好ましい。2重以上にランダムに粒子を積層した場合、1重目で回折された各波長の光が、2重目以降でランダムな方向へ散乱され、結果として、発色強度が低下し、また、観察角度による鮮やかな色調変化も得られない。また、平面形状でなく、凹凸のある面に配置された場合、凹凸面上の微粒子に対し、入射光、又は観察角度が浅い状況において発色強度が低下し、また、観察角度による鮮やかな色調変化が得られない。
ここで、平均粒径の確認方法、及び平均粒径の0.8倍以上、1.2倍以下の範囲に、70%以上の粒子個数を有することの確認方法としては、SEM(走査型電子顕微鏡)、又はTEM(透過型電子顕微鏡)による観察写真により確認することが好ましい。また、本発明における球状微粒とは、SEM(走査型電子顕微鏡)、又はTEM(透過型電子顕微鏡)における観察写真にて、1個の粒子の最大径と最小径の比が1.0以上1.2以内である粒子を指す。この為、粒子径の測定では、1個の粒子の最大径、又は最少径のどちらかに統一してデータ採取をする必要がある。なお、本発明での粒径測定では最大径に統一して、データ採取することとしている。
本発明では、球状微粒子(4)の集積の程度を面積充填率によって規定している。ここでの面積充填率とは、偽造防止構造体の平面に対して垂直上方方向から、SEM(走査型電子顕微鏡)、又はTEM(透過型電子顕微鏡)により観察し、単位面積当たりの粒子面積(粒子1つの粒子面積を粒径の円の面積とする)によって算出され、測定する面積範囲としては、100μm2以上が好ましく、400μm2以上がより好ましい。なお本発明では、100μm2の範囲を任意に3カ所選定し、該範囲内の粒子数を計数し、粒子の充填具合の粗密を平均化した値である、「粒子の面積充填率」を算出することとした。この面積充填率が30%未満になると、発色強度が低下し、また、観察角度による鮮やかな色調変化も得られないことから、30%以上の面積充填率で粒子が集積されていることが好ましく、より好ましくは80%以上である。或いは本発明では、2500μm2の範囲を任意に5カ所選定し、該範囲内の粒子数を計数し、粒子の面積充填率を算出する事とした。この面積充填率が30%未満になると、発色強度が低下し、また、観察角度による鮮やかな色調変化も得られない事から、30%以上の面積充填率で粒子が集積されている事が好ましく、より好ましくは60%以上である。
球状微粒子(4)は一重の平面状に集積、充填する必要があるため、有機材料系、又は無機材料系の単分散性球状微粒子が好ましい。
有機系材料の単分散性球状微粒子としては、必ずしも限定されるわけではないが、アクリル、ポリスチレン、ポリエステル、ポリイミド、ポリオレフィン、ポリ(メタ)アクリル酸メチル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエーテルスルフォン、ポリアミド、ナイロン、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、アクリルアミド等の樹脂や上記樹脂の2種以上の樹脂からなる共重合樹脂等を挙げることができる。
また、同様に無機系材料の単分散性球状微粒子としては、必ずしも限定されるものではないが、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、炭酸マグネウム、珪酸カルシウム、珪酸バリウム、珪酸マグネシウム、燐酸カルシウム、燐酸バリウム、燐酸マグネシウム、シリカ、酸化チタン、酸化鉄、酸化コバルト、酸化亜鉛、酸化ニッケル、酸化マンガン、酸化アルミニウム、水酸化鉄、水酸化ニッケル、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化ク
ロム、珪酸亜鉛、珪酸アルミニウム、炭酸亜鉛、塩基性炭酸銅、硫化亜鉛、ガラス、各種金属粒子などが挙げられる。
上記の有機材料、無機材料の2種以上を使った、表面修飾型の微粒子、コアシェル型粒子、積層球状型粒子、数珠状の球状粒子等も挙げられる。また、上記の有機材料、及び無機材料を使用した中空球状粒子、微粒子の球状凝集体、ポーラス球状粒子、熱膨張性球状粒子等も例として挙げられるが、これに限定されず、上記平均粒径、上記粒度分布、上記集積形状に該当する粒子であれば良い。
球状微粒子(4)の粒径は、式3の通り、偽造防止構造体の光学特性に深く関連する。以下では光源、及び観測位置の違いによる、微粒子の回折について更に詳細に説明する。
図15は、球状微粒子面に対し反射する方向の場合で且つ、球状微粒子面に対する垂線に対し、光源と、観測点がそれぞれ異なる側にある場合の、観察方法を示す側面模式図である。この場合、式4が成立する。

式4 a(sinθa−sinθb)=mλ

図16は、球状微粒子面に対し反射する方向の場合で且つ、球状微粒子面に対する垂線に対し、光源と、観測点が同じ側にある場合の、観察方法を示す側面模式図である。この場合、式5が成立する。

式5 a(sinθa+sinθc)=mλ

図17は、球状微粒子面に対し透過する方向の場合で且つ、球状微粒子面に対する垂線に対し、光源と、観測点がそれぞれ異なる側にある場合の、観察方法を示す側面模式図である。この場合、式6が成立する。

式6 a(sinθa−sinθd)=mλ

図18は、球状微粒子面に対し透過する方向の場合で且つ、球状微粒子面に対する垂線に対し、光源と、観測点が同じ側にある場合の、観察方法を示す側面模式図である。この場合、式7が成立する。

式7 a(sinθa+sinθe)=mλ

図15〜18、および式4〜7における、aは球状微粒子の径、θaは光源の入射角、θb、θc、θd、θeは回折角、mは回折次数、λは回折光の波長である。
本発明の偽造防止技術は、式4〜7を利用し、又は組み合わせることを特徴する。例えば、式4と式5の違いを利用したコバート技術の例としては、下記の条件1〜3を全て満たす、粒径aの粒子を使用することで可能となる。

条件1:条件2,3を同時に満たす、粒径a
条件2:式4にて、
90°>θa>0°、90°>θb>0°の範囲で、
λ>1200nm、λ<1000nm を満たす粒径a
条件3:式5にて、
90°>θa>60°、90°>θc>0°の範囲で、
1200nm>λ>1000nm を満たす粒径a

この例において、図15のように光源と、観測点がそれぞれ異なる側にある場合では、光源や観察点を変化させても1000nm〜1200nmの波長領域の赤外線が観察できず、一方、図16のように光源と、観測点が同じ側にある場合では、平面に対して30°以下の浅い角度での入射、及び回折角の組み合わせでのみ、1000nm〜1200nmの赤外線を観察し得るコバートとなる。
なお、光源の波長領域は少なくとも1000nm〜1200nmの範囲を含むことが必要となり、得られる赤外領域の回折光の観察方法としては、赤外線領域に感度を持つCCDカメラを使用し可視光カットフィルタや、特定赤外領域のバンドパスフィルターを付けた赤外スコープ等により確認することが、例として挙げられる。
このような赤外光領域の回折光を利用する場合の球状微粒子の平均粒径は2.5μm以下の範囲から所望の回折波長に応じて選択すればよい。特に、光源にて可視光を含む場合には、可視光の回折によるオバート効果を同時に得ることも可能である。
同様に、例えば式4と式5の違いを利用した、可視光領域におけるオバート技術の例としては、下記の条件4〜6を全て満たす、粒径aの粒子を使用することで可能となる。

条件4:条件5,6を同時に満たす、粒径a
条件5:式4にて、
90°>θa>0°、90°>θb>0°の範囲で、
λ>700nm、λ<400(又は300)nm を満たす粒径a
条件6:式5にて、
90°>θa>60°、90°>θc>0°の範囲で、
700nm>λ>400nm を満たす粒径a

この例において、図15のように光源と、観測点がそれぞれ異なる側にある場合では、光源や観察点を変化させても400(又は300)nm〜700nmの可視光領域の光が観察できず、一方、図16のように光源と、観測点が同じ側にある場合では、平面に対して30°以下の浅い角度での入射、及び回折角の組み合わせでのみ、400nm〜700nmの範囲の少なくとも一部の可視光を観察し得るオバートとなる。
なお、光源の波長領域は少なくとも400(又は300)nm〜700nmの範囲を含むことが必要となり、得られる可視光領域の回折光は目視でも色調確認が可能である。当然、所望する回折光の波長λを可視光領域以外に設定することも可能である。
一般に、平面に対して30°以上における回折光と入射光の組み合わせにおいて、得られる回折光が可視光領域を含まないか、または、狭い可視光領域しか含まない場合には、通常の可視光源下で色調が無い(黒色又はダーク色)、または、特定の狭い範囲の波長領域の色しか確認できない。この様に入射角、及び回折角と波長領域を設定することによって、通常光源下では色調、又はカラーチェンジが判り難く、一方、図16の様な光源と、観測点が同じ側にある場合において、平面に対して30°以下の浅い角度での入射、及び回折角の組み合わせでのみ、可視光領域の波長、カラーチェンジを観察し得るオバートとなる。
このような可視光領域の回折光を利用する場合の球状微粒子の平均粒径は、0.2〜0.8μmの範囲から所望の回折波長に応じて選択することが好ましい。0.8μm以上の粒径になると、式4において2次以上の可視光領域の回折光が発生する為、また、狭い角度範囲にて可視光全領域でカラーチェンジする為に、通常光源下や図15のような観測条件で所望の色調が無い(黒色又はダーク色)、または、特定の狭い範囲の波長領域の色調を得ることが困難となる。又、平均粒径が0.2μm以下では、式4,5のどちらにおいても可視の回折光が得られ無い為である。
更に、このような球状微粒子の可視光源下で得られる黒色、ダーク色、又は特定の狭い範囲の波長領域の構造色を、印刷インキで再現させたダミーインキを作成し、球状粒子によるオバートと併せて印刷することで偽造防止効果、オバート効果を向上させることが可能である。
この場合、既存の偽造防止印刷で用いられる公知の印刷法(凹版印刷法)等にてダミー印刷することも可能である。
また、上記とは異なるオバート技術としては、例えば、図17〜18、及び式6〜7で想定している、球状微粒子面に対して、透過する方向での回折を利用する方法があり、例えば、下記の条件7、又は条件8の少なくともどちらかを満たせばよい。

条件7:式6にて、
90°>θa>0°、90°>θd>0°の範囲で、
700nm>λ>400nm を満たす粒径a

条件8:式7にて、
90°>θa>0°、90°>θe>0°の範囲で、
700nm>λ>400nm を満たす粒径a

この例の場合、光源からの光が球状微粒子面を透過することによって初めて回折が生じるため、反射光では回折が確認できないが、透過光で球状微粒子面を透かすことで回折を確認し得るオバートとなる。この場合では、観察される回折光は、光源や観察点によって異なる色調を得ることが出来る。
なお、光源の波長領域は少なくとも400nm〜700nmの範囲を含むことが必要となる。当然、所望する回折光の波長λを可視領域以外に設定することも可能である。
上記の例のような球状微粒子(4)による回折効果を複数組み合わせる、粒径の異なる球状微粒子をそれぞれの領域で集積する、球状微粒子固定層(2)を復層化する、さらには、複数の波長、波長領域の回折を検証光として利用することによって複雑な光学効果を得ることが出来る。
なお、上記に示したオバート、又はコバートの例は、本発明の一部であり、これに限られる物ではない。
また、既存の偽造防止技術との組み合わによって、更に偽造防止効果を高めることも可能である。
本発明では、球状微粒子(4)により回折される波長領域は、紫外光領域、可視光領域、赤外光領域の全て(波長2500nm以下)にわたるため、使用する球状微粒子(4)の粒径は2.5μm以下が望ましい。2.5μm以下であれば、式4〜7の全ての式において、いずれかの入射角(0°〜90°)と回折角(0°〜90°)の組み合わせで、2500nm以下の全ての波長の一次回折光を得ることが出来る為である。
次に、本発明の偽造防止構造体(1)に使用される、微粒子固定樹脂(3)について説
明する。微粒子固定樹脂(3)は、球状微粒子(4)を固定するための樹脂であれば良く、例えば、塗工によって微粒子固定樹脂(3)を設ける場合は、公知の塗工用(印刷用)樹脂、粘着性樹脂、ホットタック樹脂、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂、電離放射線硬化性樹脂等の樹脂等であって、球状微粒子(4)と密着性が良く、固定可能な樹脂の中から、要求される物性に応じて適宜選択すれば良く、また、微粒子固定樹脂(3)、及び球状微粒子(4)に適した溶媒であれば、水系でも溶剤系でも良い。
さらに、微粒子固定樹脂(3)は、架橋剤それ自体、又は上記樹脂に架橋剤添加した物でもよい。架橋剤としては、イソシアネート基含有化合物、チタン有機化合物、ジルコニウム有機化合物、アルミニウム有機化合物、エポキシ基含有化合物、カルボジイミド基含有化合物、オキサゾリン基含有化合物、シラノール基含有化合物等が挙げられ、これらの架橋剤によって、微粒子固定樹脂(3)内架橋や、球状微粒子(4)間架橋や、微粒子固定樹脂(3)と球状微粒子(4)を架橋させても良い。また、架橋の為に微粒子固定樹脂(3)、及び球状微粒子(4)に架橋に必要な反応基を付加したり、架橋密度を上げるための触媒を添加して良い。更には、上記架橋に必要な官能基をポリマー中に有する自己架橋型の樹脂であっても良い。
これらの樹脂を用いて微粒子固定樹脂(3)の層を形成する際には、平滑なフィルム状支持体上に、グラビア印刷法、マイクログラビア印刷法、リバースグラビア印刷法、ロールコート法、バーコート印刷法、フレキソ印刷法、スクリーン印刷法、スピンコート印刷法、スプレーコート印刷法、インクジェット印刷法など公知の印刷法により形成できる。このような印刷方法により微粒子固定樹脂(3)の層を設ける場合には、乾燥後の膜厚が、使用する球状微粒子の径の1/2程度の膜厚になるように調整すればよい。
一方、微粒子固定樹脂(3)が、熱可塑性、又は熱粘着性を有するシート状の支持体の場合は、該支持体の軟化温度、又は粘着性を発現させるための温度に対し、球状微粒子(4)が熱変形、又は熱分解せずに安定である必要がある。
なお、微粒子固定樹脂(3)と球状微粒子(4)との屈折率差は、0.1以上となる組み合わせにすることがより好ましい。偽造防止構造体(1)が反射層を有する場合は、微粒子固定樹脂(3)と球状微粒子(4)の屈折率差が無い場合でも、球状粒子の半分以上が球体に密着している為、所望の回折効果を得られるが、偽造防止構造体(1)に反射層が無い場合は、屈折率差がないと回折効果を得ることは困難となるためである。
微粒子固定樹脂(3)、と球状微粒子(4)とによって形成される、微粒子固定層(2)の製造方法としては、例えば、
シート状の支持体上に、液状の微粒子固定樹脂(3)、又は微粒子固定樹脂(3)を構成する成分を溶媒によって希釈したものを公知の印刷法で塗布し、該微粒子固定樹脂(3)の上に球状微粒子(4)を散布した後に、微粒子固定樹脂の架橋反応、熱硬化反応、光重合反応などの化学反応により、又は溶媒乾燥させることにより、微粒子固定樹脂(3)上に、球状微粒子(4)を固定させ、微粒子固定樹脂(3)によって固定されていない過剰な球状微粒子(4)を、吸引、送風、溶媒洗浄などの工程により、物理的に除去することで成形可能である。
又、別の製造方法の例としては、熱可塑性、又は熱粘着性を有するシート状の支持体である、微粒子固定樹脂(3)の片側を加熱し、軟化、又は粘着性を発現させ、該微粒子固定樹脂の軟化、又は粘着性が発現した側に対して、球状微粒子(4)を散布した後、微粒子固定樹脂の架橋反応、熱硬化反応、光重合反応などの化学反応により、又は冷却し、球状微粒子(4)を微粒子固定樹脂(3)に固定させ、微粒子固定樹脂(3)によって固定されていない過剰な球状微粒子(4)を、吸引、送風、溶媒洗浄などの工程により、物理
的に除去することで成形可能である。
又、更に別の製造方法としては、液状の微粒子固定樹脂(3)、又は液状の微粒子固定樹脂(3)を構成する成分と球状微粒子(4)とを混合、希釈し、公知の印刷法で塗工した後、該微粒子固定樹脂(3)の上に球状微粒子(4)を散布し、溶媒乾燥、及び微粒子固定樹脂の架橋反応、熱硬化反応、光重合反応などの化学反応により、微粒子固定樹脂(3)上に、球状微粒子(4)を固定させることで成形可能である。
上記の製造方法では、例えば、熱エンボス成形や光硬化樹脂等を利用したフォトポリマー法に依らず微細構造が成型可能な為、生産性が良い。また、粒子を利用した回折構造としては、3次元に規則正しく粒子を積み上げて作成する微粒子結晶膜を利用したものが知られているが、本発明の偽造防止構造体では、粒子を一重に配置することから、微粒子結晶の様な立体構造に比べ、使用する微粒子の数が少ないため安価に製造可能である。
次に、本発明の偽造防止構造体(1)に使用される、反射層(5)について説明する。本発明の反射層(5)は、微粒子固定層(2)を覆うようにして設けられた光学薄膜からなり、微粒子固定層(2)を透過した光を反射させることを特徴とする。この為、レリーフ構造形成層よりも屈折率が高い高屈折率材料を使用することによって光学効果を得ることもできる。この場合、両層の屈折率の差は、0.2以上であることが好ましい。屈折率の差を0.2以上にすることによって、微粒子固定層(2)と反射層(5)との界面で屈折および反射が起こり、微粒子固定層(2)の構造による光学効果を得ることができる。
反射層(5)の材料としては、Al、Sn、Cr、Ni、Cu、Au、Ag、Ptなどの金属材料の単体、またはこれらの化合物などが挙げられる。
また、透明な反射層(10)として使用できる高屈折率材料の例を以下に挙げる。以下に示す化学式または化合物名の後に続くカッコ内の数値は屈折率nを示す。
セラミックスとしては、Sb23(3.0)、Fe23(2.7)、TiO2(2.6)、CdS(2.6)、CeO2(2.3)、ZnS(2.3)、PbCl2(2.3)、CdO(2.2)、Sb23(5)、WO3(5)、SiO(5)、Si23(2.5)、In23(2.0)、PbO(2.6)、Ta23(2.4)、ZnO(2.1)、ZrO2(5)、MgO(1)、Si22(10)、MgF2(4)、CeF3(1)、CaF2(1.3〜1.4)、AlF3(1)、Al23(1)、GaO(2)などが挙げられる。
有機ポリマーとしては、ポリエチレン(1.51)、ポリプロピレン(1.49)、ポリテトラフルオロエチレン(1.35)、ポリメチルメタクリレート(1.49)、ポリスチレン(1.60)などが挙げられる。
これらの材料は、屈折率、反射率、透過率などの光学特性や、耐候性、層間密着性などに基づいて適宜選択され、薄膜の形態で形成される。
形成方法としては、膜厚、成膜速度、積層数、光学膜厚などの制御が可能な、真空蒸着法、スパッタリング法、CVD法など公知の方法を適宜使用することができる。また、その膜厚は光を反射する最低限の膜厚以上であって球状微粒子(4)による光回折効果を妨げない範囲で設けることができ、10〜1000nm、好ましくは30〜200nmで設けることができる。また、斜方蒸着法、斜方スパッタリング法等によって、球状微粒子に対して方向性のある部分的な反射層を設けても良い。このような方向性のある反射層を設けることで、回折光の方向や角度を制御した複雑な光学効果を得ることも出来る。更には
、斜方蒸着法、斜方スパッタリング法等によって、反射層の厚みを特定の方向で変化させる事や、前述の反射材料を複数使用し、それぞれ異なる方向性の反射層を設ける事や、反射層を多層にする事も可能であり、この様な反射層を設置する事で、より高度で複雑な光学効果を得る事も可能となる。
また、これらの材料の微粒子を各種溶媒に分散した高輝性インキや、上記の金属、セラミックス、又は有機ポリマーの微細な粉末やゾルまたは金属ナノ粒子などを有機高分子樹脂に分散して得られる高輝性光反射インキ、有機ポリマーや有機ポリマーの微粒子を使用することもできる。この場合、微粒子固定層(2)を溶剤によりアタックさせないようにする注意が必要であるが、グラビア印刷法、フレキソ印刷法、スクリーン印刷法など公知の印刷法により形成できる。このような印刷方により反射層(5)を設ける場合には、乾燥後の膜厚が0.001〜10μm程度になるように調整すればよい。
また、反射層(5)又は透明な反射層(10)は部分的に設けてもよい。この場合、パスタ加工、水洗シーライト加工、オイルアブレーション加工、レーザー加工などが例として挙げられるほか、例えば錫等を真空蒸着することで微細な海島状の反射層を設けることも可能である。
透明な反射層(10)の透過率は400nm〜700nmの波長領域での透過率が20%以上であり、この範囲であれば、反射層の下に配置された情報、例えば顔写真、文字、パターン等の印刷情報が確認可能となる為である。
なお、偽造防止構造体(1)は、少なくとも反射層(5)側から検証するか、又は微粒子固定層(2)側からかのどちらかで検証すればよい。どちら側から検証したとしても同様に微粒子固定層(2)の形状に起因する回折現象が得られるためである。
そして表面の微細な凹凸から生じる散乱光により観察者が観察する色は、本来観察される回折光による色と合成された色となる。
ところが、表面の散乱光は、図13に示すように、液体(6)を滴下することによって消失もしくは著しく減少するから、このときに観察される色は回折光そのものとなるため、観察者にとっては色が変化したように認識される。このような色の変化は非常に特徴的なものであり、他の方法では実現が困難であることから真偽判定の根拠となり得る。
上記の特性を妨げない範囲で、反射層(5)の上に保護膜を設けても差し支えない。更に、このような球状微粒子(4)の可視光源下で得られる散乱色を、印刷インキで再現させたダミーインキを作成し、球状微粒子(4)による偽造防止構造体と併せて使用することで偽造防止効果を向上させる事が可能である。
また、透明な反射層(10)が配置された部分では、該反射層(10)の下部に視認可能な情報を設けることが出来、必要な情報と偽造防止構造体とを積層することが可能となる。これらの技術により、例えば、IDカードやパスポート等で使用可能な、偽造防止用オーバーシート等に応用することが可能である。
本発明の偽造防止ステッカー(21)において、支持体(22)および接着剤(24)は、例えば、公知のステッカー製造に用いられる材料および手法を適宜用いて、製造できる。
また、貼り付けられたステッカーを、もし剥すと、ステッカーが破壊してしまうように、層間に剥離する部分を設けたり、ステッカーに切れ込みを入れることも可能である。
これによると、ステッカーが破壊されるので、もしステッカーを別の基材に貼り替えて利用しようとする不正が図られても再利用を阻止することに有効である。また、これによると、ステッカーが破壊されるので、(もしステッカーの下方に秘密の情報が設けてある場合に)秘密の情報の盗み読みした後に元の箇所にこの本物のステッカーを貼りつけたり、秘密の情報を改ざんした後に元の箇所にこの本物のステッカーを貼りつけたり、といった不正を阻止することにも有効である。
本発明の偽造防止転写箔(25)における、支持体(26)は、厚みが安定しており、かつ耐熱性の高いポリエチレンテレフタレート樹脂フィルムを用いるのが一般的であるが、その材料は特に限定されない。その他のフィルム材料として、高い耐熱性を示すポリエチレンナフタレート樹脂フィルム、ポリイミド樹脂フィルムなどを同様の目的で使用することができる。また、真空転写法のような、加熱条件下での3次元形状への追従転写を行う場合には、加熱により軟化するフィルム材料、たとえばポリエチレン、ポリプロピレン、塩化ビニル、A−PETなども使用することが出来る。
本発明の偽造防止転写箔(25)において、偽造防止構造体(27)は支持体(26)から剥離可能であってもよい。なお、支持体(26)と偽造防止構造体(27)との間に、支持体から剥離可能な剥離保護層、又は、支持体から剥離しない離型層と呼ばれる層が設けられる場合があるが、これらの層はいずれも必須ではない。すなわち、これらの層は、転写された偽造防止構造体(27)の表面を保護する意図で、又は安定した剥離強度を得ることで、転写する際の転写性能を高める意図で、設計により適宜設けてもよいオプションである。
剥離保護層としては、ポリメチルメタクリレート樹脂と他の熱可塑性樹脂、例えば塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体もしくはニトロセルロース樹脂との混合物、またはポリメチルメタクリレート樹脂とポリエチレンワックスとの混合物などが挙げられる。また、酢酸セルロース樹脂と熱硬化性樹脂、例えばエポキシ樹脂、フェノール樹脂、熱硬化型アクリル樹脂またはメラミン樹脂との混合物を塗工した後、熱により硬化させたものも好ましい例として挙げられる。又、離型層としては、シリコン樹脂、フッ素樹脂等の離型性のある樹脂が挙げられ、特に離型紙用の材料が用いられる。これらの樹脂を支持体(26)に塗工することで、積層体(14)の離型性、剥離性を制御することが可能である。
本発明の偽造防止転写箔(25)において、接着剤層は必ずしも必須でない。転写時に密着させるための接着剤は、転写箔の偽造防止構造体(27)に対し、支持体と異なる側の最表層に設けるか、又は非転写物の最表層に設けてれば良い。該接着層は任意のパターンで形成することも可能である。一般に、接着剤としては、様々な被転写材(例えば、紙・プラスチック)に接した状態で熱および圧力を与えられることにより、被転写材に接着する機能を有する公知の感熱樹脂(感熱性接着材料)が使用される。
本発明の偽造防止インキ(29)において、偽造防止構造体(30)は、鱗片上粉末に加工される。印刷インキの顔料として使用される場合は、その印刷方法、塗布量によって粒径を調節すればよい、バインダー樹脂(31)は公知の印刷用バインダーが使用できる。
本発明の偽造防止媒体(32)において、基材(33)としては、例えば、紙幣、ポリマー紙幣、商品券やクレジットカード等の有価証券類や、ブランド品や高級品等の一般に高価なものそれ自体やパッケージ等が挙げられるがこの限りでない。これら基材に対し積層する為に、接着剤を介して偽造防止構造体(34)、偽造防止ステッカー(21)、偽造防止転写箔(25)、偽造防止インキ(29)を貼付、または塗工することが可能であ
る。なお、偽造防止媒体(32)の基材(33)が部分的に窓や、マイクロパーフォレーションの様な任意パターンの微細孔等の穴を有する場合は、該穴部分に偽造防止構造体を配置することで、偽造防止構造体を透過検証することが可能となる。
本発明の偽造防止媒体(35)おいて、基材(36,38)は、図10に示すように、偽造防止構造体(37)の片面もしくは両面に設けられるものであり、その目的は、偽造防止構造体(37)を透かしとして有効に機能させるための遮蔽層であり、また保持層でもある。従って、検証する光の波長において不透明な材料であれば特に材質は問わず、一般的な紙、プラスチックフィルムのほか、不透明な印刷層であってもよい。
本発明の偽造防止用紙(45)において、支持フィルム(47)としては、厚みが安定しており、かつ耐熱性の高いポリエチレンテレフタレート樹脂フィルム、ポリエチレンナフタレート樹脂フィルム、ポリイミド樹脂フィルムなどの他に、ポリエチレン、ポリプロピレン、塩化ビニル等が使用できるが、用紙の耐性、寸法安定性等の要求品質に見合うものであればこれに限定されない。
また、偽造防止用紙(45)は、必ずしも支持フィルム(47)を必要としない。通常、紙への漉き込みの場合、偽造防止構造体(46)、偽造防止ステッカー(21)、偽造防止転写箔(25)、偽造防止インキ(29)、偽造防止媒体(32)のいずれか一つ以上を任意の形状にした後に、紙(49)中に漉き込めばよい。例えば、細長いスリット形状の物を連続直線状に漉き込む、又は微細紛を漉き込むこと等が例としてあげられる。
なお、偽造防止用紙(45)の紙(49)が部分的に窓を有する場合には、透過光にて検証光を確認することが可能となる。
以上、本発明の各実施形態を元に各部材の詳細な説明をしてきたが、意匠性を向上すべく各層、又は球状微粒子を着色することや、表面もしくは層間に印刷を施すことや、パターン状に設置した任意の層の段差を目立たなくさせるオーバーコートを施すことなど、使用の目的により適宜利用可能である。また、各層の接着性を鑑み、各層間に接着アンカー層を設けることや、コロナ放電処理・プラズマ処理・フレーム処理等の各種易接着処理を施すことも可能である。
更には、球状微粒子(4)の回折光以外の光を除去する目的で、この偽造防止構造体(1)の下に、黒色層(光吸収層)、や着色層(特定波長吸収層)を全面、又は任意のパターンで設置する、又は、球状微粒子の回折光以外の光を正反射方向へ反射、散乱させる為の反射層や散乱層を追加で設けることも可能である。
次に、本発明の真偽判定方法について説明する。本発明の偽造防止構造体(1)、偽造防止ステッカー(21)、偽造防止転写箔(25)、偽造防止インキ(29)、偽造防止媒体(32)、偽造防止媒体(35)、及び偽造防止用紙(45)の真偽判定方法としては、
図15、16のような観察条件において、それぞれ式4、5で表される回折光が得られることを利用し、図12の(a)、(b)に示すように、光源と観測点の位置によって変化する、検証光(56)、検証光(62)それぞれの波長、波長領域の変化を確認するか、又は検証光(56)、検証光(62)の波長、波長領域の差を確認する真偽判定方法や、
図17、18のような観察条件において、それぞれ式6、7で表される透過光による回折光が得られることを利用し、図12の(c)に示すように、光源と観測点の位置によって変化する、検証光(66)の波長、波長領域を確認する真偽判定方法がある。
なお、通常の生活環境の中で、簡便に図10の(a)の様な観察環境を得る為には、平面(53)部分に衝立を設けることや、偽造防止構造体が形成されている平面(50)を傾け、再帰反射方向から観察することによって、正反射方向の回折光を出来るだけ遮り、再帰反射方向の回折光のみを観察することが出来る。このような方法であれば、最適な粒径を選択することにより、色鮮やかな回折光を目視で確認することも可能である。
上記真偽判定において利用される光源は、所望する回折光の領域を含む光であることが好ましく、更に好ましくは平行光である。なお、本明細書での平行光とは、ある程度に進行方向の揃った光を意味し、例えば、太陽光や、一般に使用されている反射鏡付きの懐中電灯やペンライト等が使用出来る。また、可視光以外の光源としては、反射鏡付きの紫外発光LED懐中電灯、赤外発光LED懐中電灯等も使用出来る。
上記真偽判定において、光の波長、波長領域を確認する方法としては、目視による色調確認や分光測定等が例として挙げられる。
また、別の真偽判定方法としては、微粒子固定層(2)の全面、又は一部分における、位置情報と球状微粒子(4)の配置パターンを予め登録保管しておき、真偽判定時において、、登録保管された位置情報が示す位置における、現物の微粒子の配置パターンと、登録保管された微粒子の配置パターンとを照合する方法がある。
本発明の偽造防止構造体は、2.5μm以下の微粒子を一重平面状にランダムに配置することを特徴としており、この真偽判定方法では、このランダムな微粒子の配置パターンを、識別用の固有パターンとして利用することを特徴としている。
例えば2.5μmの粒子を70%の充填率で集積させた偽造防止構造体では、1m2あたり、11万2千個もの粒子が平面状にランダムに配置しており、その配置パターンは唯一無二である。この粒子の全面配置図、又は部分配置図を事前に登録しておき、真偽判定時にパターン認証を行えばよい。
このような膨大な数の粒子を配列し、偽造することは困難である。
また、微粒子のサイズが小さく、また球形粒子は高いアスペクト比であることから、微粒子の集積構造体の表面形状を、欠損無く型取りすることは非常に困難であり、仮にも形状が型取り出来たとしても、球状微粒子と同一の材質を使用しなければ、前述の微粒子による回折光を再現することは出来ない。このため、偽造が非常に困難である。
なお、より判別し易い位置情報、パターン情報を得る為、又は偽造を困難とする為に、別の粒子を添加しても良い。添加する粒子の例としては、サイズの異なる粒子や、散乱、蛍光、燐光、蓄光、発光等の特有の光学効果を有する粒子や、着色粒子、異形粒子、特殊形状粒子等が挙げられるが、この限りではない。この場合、添加した粒子によって回折効率が低下する為、必要な回折効率に応じ、添加粒子の量を適宜調節すればよい。
更に偽造を困難とする為に、偽造防止構造体を欠損し易い形状や材質にすることや、ダミーの微粒子構造を近接して設けても良い。
また、もう一つ別の真偽判定方法としては、球状微粒子(4)の形状から生じる散乱光を部分的に、或いは全面的に失わせるものがある。その一例としては図14に示すように液体(6)を滴下する方法がある。例えばスポイトや注射器から液体(6)を滴下する。使用する液体(6)は特に選ばないが、反射層(5)や保護膜を設けた場合にはその膜を侵さず、容易に入手可能な液体として、水やアルコール類が使用可能である。
液体(6)を滴下すると、前述のように散乱光が消失又は減り、本来の回折光が主となるため、目視上の色が変化する。液体(6)がない部分は色変化がないので、元の散乱光を主体として認識することになり、この両者のコントラストによって真偽判定をすることができる。
この場合、回折光を直接観察する方法であれば光の入射角と観察する角度が比較的制限されるが、本発明の場合にはどの角度から見ても色変化があることには変わりないので、非常に簡便に真偽判定可能である。
上述した方法は液体を部分的に滴下するものだが、全体を液体に浸漬する方法でももちろん差し支えない。この場合は、浸漬した部分全体の色変化としてとらえられ、浸漬していない部分とのコントラスト、あるいは全体を浸漬してしまえば、完全に全体の色変化として認識される。どちらの方法をとるかは、適宜選択することができる。
以下に実施例を記す。
なお実施例1〜9で使用される、(株)モリテックス製スチレン粒子は、平均粒径の0.8〜1.2倍の範囲に、90%以上の粒子個数を有する。
<実施例1>
微粒子固定樹脂として、BPW6110(東洋インキ製造(株) アクリル粘着剤)を使用し、25μmPETフィルムに、バーコート印刷法にて、乾燥膜厚0.2μmで印刷し、80℃オーブンで1分乾燥させた後、球状微粒子として、3500B((株)モリテック スチレン粒径500nm)をスプレーコート印刷法にて散布し、80℃オーブンで1分乾燥させた後、吸引機にて、固定されていない微粒子を吸引除去することにより実施例1の偽造防止構造体を形成し、粒子が一重平面状に50%以上の面積充填率で配置されていることを確認した。
得られた実施例1の偽造防止構造体は、通常の光源下では白濁透明であるが、白色LEDの懐中電灯の透過光で検証した場合、図17の観察方法では、光源と観察点のどの組み合わせにおいても、カラーチェンジは確認出来ず白濁透明であるが、図18の観察方法における、θa=45°の時に、45°>θe >0°の範囲で青から赤の鮮やかなカラーチェンジが確認出来た。
<実施例2>
実施例1の偽造防止構造体を使用し、球状微粒子の表面に対し、真空蒸着法によってアルミニウムを80nmの厚みで蒸着し、実施例2の偽造防止構造体を得た。
得られた実施例2の偽造防止構造体は、通常の光源下や、図15の観察方法で白色LEDの懐中電灯を光源とした場合、光源位置と観測点位置のどの組み合わせにおいても、明瞭なカラーチェンジは確認出来ず暗い青緑色だが、図16の観察方法において、光源と観測点が同じ角度(θa=θc)である場合には、90°>θc >30°の範囲で青から赤の鮮やかなカラーチェンジが確認出来た。
<実施例3>
微粒子固定樹脂である、PVAHC((株)クラレ ポバール)と、球状微粒子である、3500B((株)モリテック スチレン粒径500nm)を、固形重量比1/20で混合し、25μmPETフィルムに、バーコート印刷法にて印刷し、80℃オーブンで1分乾燥させ、実施例3の偽造防止構造体を得た。得られた実施例3の偽造防止構造体は、粒子が一重平面状に50%以上の面積充填率で配置されていることを確認した。
得られた実施例3の偽造防止構造体は、通常の光源下では白濁透明であるが、白色LEDの懐中電灯の透過光で検証した場合、図17の観察方法では、光源と観察点のどの組み合わせにおいても、カラーチェンジは確認出来ず白濁透明であるが、図18の観察方法における、θa=45°の時に、45°>θe >0°の範囲で青から赤の鮮やかなカラーチェンジが確認出来た。
<実施例4>
実施例3の偽造防止構造体を使用し、球状微粒子の表面に対し、真空蒸着法によってアルミニウムを80nmの厚みで蒸着し、実施例4の偽造防止構造体を得た。
得られた実施例4の偽造防止構造体は、通常の光源下や、図15の観察方法で白色LEDの懐中電灯を光源とした場合、光源位置と観測点位置とのどの組み合わせにおいても、明瞭なカラーチェンジは確認出来ず暗い青緑色だが、図16の観察方法において、光源と観測点が同じ角度(θa=θc)である場合には、90°>θc >30°の範囲で青から赤の鮮やかなカラーチェンジが確認出来た。
<実施例5>
微粒子固定樹脂である、PVAHC((株)クラレ ポバール)と、球状微粒子である、3300B((株)モリテック スチレン粒径300nm)を、固形重量比1/20で混合し、25μmPETフィルムに、バーコート印刷法にて印刷し、80℃オーブンで1分乾燥させ、偽造防止構造体を得た。得られた偽造防止構造体は、粒子が一重平面状に50%以上の面積充填率で配置されていることを確認した。その後、球状微粒子の表面に対し、真空蒸着法によってアルミニウムを80nmの厚みで蒸着し、実施例5の偽造防止構造体を得た。
得られた実施例5の偽造防止構造体は、通常の光源下や、図15の観察方法で白色LEDの懐中電灯を光源とした場合、光源位置と観測点位置とのどの組み合わせにおいても、明瞭なカラーチェンジは確認出来ず暗い紫青色だが、図16の観察方法において、光源と観測点が同じ角度(θa=θc)である場合には、90°>θc >45°の範囲で青から緑の鮮やかなカラーチェンジが確認出来た。
<実施例6>
微粒子固定樹脂である、PVAHC((株)クラレ ポバール)と、球状微粒子である、3500B((株)モリテック スチレン粒径500nm)を、固形重量比1/20で混合し、25μmPETフィルムに、バーコート印刷法にて印刷し、80℃オーブンで1分乾燥させ、偽造防止構造体を得た。得られた偽造防止構造体は、粒子が一重平面状に50%以上の面積充填率で配置されていることを確認した後、球状微粒子の表面に対し、真空蒸着法によって酸化チタンを50nmの厚みで蒸着し、実施例6の偽造防止構造体を得た。この実施例6の偽造防止構造体を透過型分光計にて測定し、400nm〜700nmの波長領域での透過率が20%以上有ることを確認した後、透明なアクリル粘着剤を使用して印刷物上に貼り合わせた。
得られた実施例6の偽造防止構造体は、通常の光源下や、図15の観察方法で白色LEDの懐中電灯を光源とした場合、光源位置と観測点位置とのどの組み合わせにおいても、明瞭なカラーチェンジは確認出来ず暗い青緑色だが、図16の観察方法において、光源と観測点が同じ角度(θa=θc)である場合には、90°>θc >30°の範囲で青から赤の鮮やかなカラーチェンジが確認出来、さらに、反射層越しに反射層の下に有る印刷
が明瞭に確認出来た。
<実施例7>
微粒子固定樹脂として、BPW6110(東洋インキ製造(株) アクリル粘着剤)を使用し、25μmPETフィルムに、バーコート印刷法にて、乾燥膜厚0.2μmで印刷し、120℃オーブンにて3分乾燥させた後、球状微粒子として、3500B((株)モリテック スチレン粒径500nm)を塗工面に散布し、120℃オーブンにて3分乾燥させた後、吸引機にて、固定されていない微粒子を吸引除去することにより偽造防止構造体を形成し、粒子が一重平面状に70%以上の面積充填率で配置されていることを確認した。
得られた偽造防止構造体は、通常の光源下では白濁透明であるが、白色LEDの懐中電灯の透過光で検証した場合、図17の観察方法では、光源と観察点のどの組み合わせにおいても、カラーチェンジは確認出来ず白濁透明であるが、図18の観察方法における、θa=45°の時に、45°>θe>0°の範囲で青から赤の鮮やかなカラーチェンジが確認出来た。
この上に、反射層として、真空蒸着法にてAlを50nmの厚みで設け、実施例7の偽造防止媒体を得た。
得られた実施例7の偽造防止媒体の目視上の色相は、散乱光が強くグレーがかったシルバーであった。この上に水道水をスポイトで滴下すると、水道水が滴下された部分は淡い青色に変化した。
<実施例8>
微粒子固定樹脂として、BPW6110(東洋インキ製造(株) アクリル粘着剤)を使用し、25μmPETフィルムに、バーコート印刷法にて、乾燥膜厚0.2μmで印刷し、120℃オーブンにて3分乾燥させた後、球状微粒子として、3500B((株)モリテック スチレン粒径500nm)を塗工面に散布し、120℃オーブンにて3分乾燥させた後、吸引機にて、固定されていない微粒子を吸引除去することにより偽造防止構造体を形成し、粒子が一重平面状に70%以上の面積充填率で配置されていることを確認した。この上下から、粘着層を塗布し、中央に直径3cmの円形の穴をあけた上質紙(連量64g/cm2)を基材として表裏から貼り付けて、実施例8の偽造防止媒体を得た。
得られた偽造防止媒体は、通常の光源下では白濁透明であるが、白色LEDの懐中電灯の透過光で検証した場合、図17の観察方法では、光源と観察点のどの組み合わせにおいても、カラーチェンジは確認出来ず白濁透明であるが、図18の観察方法における、θa=45°の時に、45°>θe>0°の範囲で青から赤の鮮やかなカラーチェンジが確認出来た。
<実施例9>
微粒子固定樹脂として、BPW6110(東洋インキ製造(株) アクリル粘着剤)を使用し、25μmPETフィルムに、バーコート印刷法にて、乾燥膜厚0.2μmで印刷し、120℃オーブンにて3分乾燥させた後、球状微粒子として、3500B((株)モリテック スチレン粒径500nm)を塗工面に散布し、120℃オーブンにて3分乾燥させた後、吸引機にて、固定されていない微粒子を吸引除去することにより偽造防止構造体を形成し、粒子が一重平面状に70%以上の面積充填率で配置されていることを確認した。
得られた偽造防止構造体において、直径3cmの円形を残す形で、表裏に墨スクリーン
インキにて4μmの厚みで印刷層を設けて実施例9の偽造防止媒体を得た。
得られた偽造防止媒体は、通常の光源下では白濁透明であるが、白色LEDの懐中電灯の透過光で検証した場合、図17の観察方法では、光源と観察点のどの組み合わせにおいても、カラーチェンジは確認出来ず白濁透明であるが、図18の観察方法における、θa=45°の時に、45°>θe>0°の範囲で青から赤の鮮やかなカラーチェンジが確認出来た。
<比較例1>
微粒子固定樹脂である、PVAHC((株)クラレ ポバール)と、球状微粒子である、3200B((株)モリテック スチレン粒径200nm)と、球状微粒子である、3300B((株)モリテック スチレン粒径300nm)と、球状微粒子である、3400B((株)モリテック ススチレン粒径400nm)とを、固形重量比1/5/10/5で混合した。この混合粒子の粒度分布は、平均粒径300nmで、平均粒径の0.8〜1.2倍の範囲に、50%の粒子個数を有する。この塗液を25μmPETフィルムに、バーコート印刷法にて印刷し、80℃オーブンで1分乾燥させ、偽造防止構造体を得た。得られた偽造防止構造体は、粒子が一重平面状に50%以上の面積充填率で配置されていることを確認した。その後、球状微粒子の表面に対し、真空蒸着法によってアルミニウムを80nmの厚みで蒸着し、比較例1の偽造防止構造体を得た。
得られた比較例1の偽造防止構造体は、通常の光源下や、図15の観察方法で白色LEDの懐中電灯を光源とした場合、光源位置と観測点位置とのどの組み合わせにおいても、明瞭なカラーチェンジは確認出来ず灰色であり、図16の観察方法において、光源と観測点が同じ角度(θa=θc)である場合でも、明瞭なカラーチェンジが確認出来なかった
<比較例2>
微粒子固定樹脂である、PVAHC((株)クラレ ポバール)と、球状微粒子である、3300B((株)モリテック スチレン粒径300nm)を、固形重量比1/20で混合し、その後、蒸留水で4倍に希釈した。この混合液を25μmPETフィルムに、バーコート印刷法にて印刷し、80℃オーブンで1分乾燥させ、偽造防止構造体を得た。得られた偽造防止構造体は、粒子が一重平面状に25%の面積充填率で配置されていることを確認した。その後、球状微粒子の表面に対し、真空蒸着法によってアルミニウムを80nmの厚みで蒸着し、比較例2の偽造防止構造体を得た。
得られた比較例2の偽造防止構造体は、通常の光源下や、図15の観察方法で白色LEDの懐中電灯を光源とした場合、光源位置と観測点位置とのどの組み合わせにおいても、明瞭なカラーチェンジは確認出来ず灰色であり、図16の観察方法において、光源と観測点が同じ角度(θa=θc)である場合でも、明瞭なカラーチェンジが確認出来なかった
<比較例3>
微粒子固定樹脂である、PVAHC((株)クラレ ポバール)と、球状微粒子である、3500B((株)モリテック スチレン粒径500nm)を、固形重量比1/20で混合し、25μmPETフィルムに、バーコート印刷法にて印刷し、80℃オーブンで1分乾燥させ、偽造防止構造体を得た。得られた偽造防止構造体は、粒子が一重平面状に50%以上の面積充填率で配置されていることを確認した後、球状微粒子の表面に対し、真空蒸着法によってアルミニウムを50nmの厚みで蒸着し、比較例3の偽造防止構造体を得た。この偽造防止構造体を透過型分光計にて測定し、400nm〜700nmの波長領域での透過率が15%で有ることを確認した後、アクリル粘着剤を使用して印刷物上に貼り合わせた。
得られた比較例3の偽造防止構造体は、通常の光源下や、図15の観察方法で白色LEDの懐中電灯を光源とした場合、光源位置と観測点位置のどの組み合わせにおいても、明
瞭なカラーチェンジは確認出来ず暗い青緑色だが、図16の観察方法において、光源と観測点が同じ角度(θa=θc)である場合には、90°>θc >30°の範囲で青から赤の鮮やかなカラーチェンジが確認出来たが、反射層越しに反射層の下に有る印刷は、確認出来なかった。
第1の偽造防止構造体の断面図。 第2の偽造防止構造体の断面図。 第3の偽造防止構造体の断面図。 第4の偽造防止構造体の断面図。 第5の偽造防止構造体の断面図。 偽造防止ステッカーの断面図。 偽造防止転写箔の断面図。 偽造防止インキの概念図。 第1の偽造防止媒体の断面図。 第2の偽造防止媒体の断面図。 偽造防止用紙の断面図。 真偽判定方法の概念図。 もう1つの真偽判定方法の概念図。 微粒子による回折の概念図。 球状微粒子面に対し反射する方向の場合で且つ、球状微粒子面に対する垂線に対し、光源と、観測点がそれぞれ異なる側にある場合の、観察方法を示す側面模式図。 球状微粒子面に対し反射する方向の場合で且つ、球状微粒子面に対する垂線に対し、光源と、観測点が同じ側にある場合の、観察方法を示す側面模式図。 球状微粒子面に対し透過する方向の場合で且つ、球状微粒子面に対する垂線に対し、光源と、観測点がそれぞれ異なる側にある場合の、観察方法を示す側面模式図。 球状微粒子面に対し透過する方向の場合で且つ、球状微粒子面に対する垂線に対し、光源と、観測点が同じ側にある場合の、観察方法を示す側面模式図。
符号の説明
1…偽造防止構造体
2…微粒子固定層
3…微粒子固定樹脂
4…球状微粒子
5…反射層
6…液体
7…観察者
10…透明な反射層
21…偽造防止ステッカー
22…シート状の支持体
23…偽造防止構造体
24…接着剤
25…偽造防止転写箔
26…シート状の支持体
27…偽造防止構造体
28…転写層
29…偽造防止インキ
30…偽造防止構造体
31…バインダー樹脂
32…偽造防止媒体
33…基材
34…偽造防止構造体
35…偽造防止媒体
36…基材
37…偽造防止構造体
38…第二の基材
45…偽造防止用紙
46…偽造防止構造体
47…支持フィルム
48…偽造防止媒体
49…紙
50…偽造防止構造体が形成されている平面
51…検証ポイント
53…平面(50)上でそれに垂直である平面
54…光源
55…観測点
56…検証光
57…偽造防止構造体が形成されている平面
58…検証ポイント
59…平面(57)上でそれに垂直な平面
60…光源
61…観測点
62…検証光
63…微粒子固定層(2)の反射層の無い部分
64…透過光源
65…観測点
66…検証光

Claims (13)

  1. 球状微粒子と、前記球状微粒子を保持し固定するための微粒子固定樹脂とを有する微粒子固定層を具備し、
    前記微粒子固定樹脂は、1種類以上の樹脂を含み、前記球状微粒子の高さの半分以上が埋没しないように配置され、
    前記球状微粒子は、一重の平面状に、30%以上の面積充填率で全面に、又は任意の形状に配置され、平均粒径が2.5μm以下で、且つ平均粒径の0.8倍以上、1.2倍以下の範囲に、70%以上の粒子個数を有することを特徴とした偽造防止構造体。
  2. 前記球状微粒子の、前記微粒子固定樹脂によって埋没されていない部分の少なくとも一部分を覆うように配置された光学薄膜からなり、前記微粒子固定層を通過した光を反射させる、反射層を具備することを特徴とした請求項1に記載の偽造防止構造体。
  3. 前記反射層の少なくとも一部分、又は全てが、前記微粒子固定樹脂及び前記球状微粒子との屈折率差が、0.2以上であり、400nm〜700nmの波長領域での光透過率が、20%以上である透明な反射層であることを特徴とした請求項2に記載の偽造防止構造体。
  4. 前記球状微粒子が、2種以上の平均粒径の球状微粒子で構成され、それぞれの球状微粒子は、前記微粒子固定層にて固有の領域を有しており、該領域内にて球状微粒子が一重の平面状に、30%以上の面積充填率で配置されていることを特徴とした請求項1〜3の何れか1項に記載の偽造防止構造体。
  5. 少なくとも、シート状の支持体と、前記シート状の支持体上に、請求項1〜4の何れか1項に記載の偽造防止構造体とを具備する積層体であって、
    前記偽造防止構造体が有る側で、前記支持体から最も遠い位置にある層が、少なくとも、熱、又は圧力によって接着性を呈することを特徴とする偽造防止ステッカー。
  6. 少なくとも、シート状の支持体と、前記シート状の支持体上に、転写の際に前記支持体から剥離し被転写体に移行可能な転写層とを具備し、
    前記転写層は、少なくとも、請求項1〜4の何れか1項に記載の偽造防止構造体を有することを特徴とする偽造防止転写箔。
  7. 請求項1〜4の何れか1項に記載の偽造防止構造体から少なくとも1つ以上選ばれたものを、鱗片状の粉末にし、バインダー樹脂と混合したことを特徴とする偽造防止インキ。
  8. 請求項1〜4の何れか1項に記載の偽造防止構造体から少なくとも1つ以上選ばれたものそれ自体であるか、又は、基材に対し、請求項1〜7の何れか1項に記載の、偽造防止構造体、偽造防止ステッカー、偽造防止転写箔、偽造防止インキの少なくとも1つ以上を貼付、又は塗工により積層したことを特徴とする偽造防止媒体。
  9. 請求項1〜4の何れか1項に記載の偽造防止構造体に、少なくとも一部を透かして観察可能なように不透明シート或いは不透明印刷を片面若しくは両面に設けたことを特徴とする偽装防止媒体。
  10. 請求項1〜9の何れか1項に記載の、偽造防止構造体、偽造防止ステッカー、偽造防止転写箔、偽造防止インキ、偽造防止媒体の少なくとも1つ以上を紙に漉き込んだことを特徴とする偽造防止用紙。
  11. 請求項1〜4の何れか1項に記載の偽造防止構造体、該偽造防止構造体を有する、請求項5〜10の何れか1項に記載の、偽造防止ステッカー、偽造防止転写箔、偽造防止インキ、偽造防止媒体、又は偽造防止用紙の真偽判定方法であって、
    該偽造防止構造体が形成されている平面上に検証ポイントを任意に設定し、
    前記検証ポイントを含み、該偽造防止構造体が形成されている平面上で、該偽造防止構造体が形成されている平面に垂直な平面によって区分される2つの空間のうち、どちらか1つの空間中に、光源及び観測点の両方を配置し、
    前記光源から前記検証ポイントに向かって光を照射することで、該偽造防止構造体の前記検証ポイント部分によって、前記観測点に向かって発せられる光である検証光について、前記光源又は前記観測点の位置により変化する波長又は波長領域の変化を確認するか、
    或いは、
    該偽造防止構造体が形成されている平面上に検証ポイントを任意に設定し、
    前記検証ポイントを含み、該偽造防止構造体が形成されている平面上で、該偽造防止構造体が形成されている平面に垂直な平面によって区分される2つの空間のうち、どちらか1つの空間に光源を配置し、もう一方の空間に観測点を配置し、
    前記光源から前記検証ポイントに向かって光を照射することで、該偽造防止構造体の前記検証ポイント部分によって、前記観測点に向かって発せられる光である検証光について、前記光源又は前記観測点の位置により変化する波長又は波長領域の変化を確認するか、
    或いは、
    該偽造防止構造体が具備する微粒子固定層の反射層の無い部分で、透過光源からの透過光が回折されて得られる検証光を観測点にて確認することを特徴とする真偽判定方法。
  12. 請求項1〜4の何れか1項に記載の偽造防止構造体、該偽造防止構造体を有する、請求項5〜10の何れか1項に記載の、偽造防止ステッカー、偽造防止転写箔、偽造防止インキ、偽造防止媒体、又は偽造防止用紙の真偽判定方法であって、
    該偽造防止構造体について、微粒子固定層の全面、又は一部分における、位置情報と球状微粒子の配置パターンを予め登録保管しておき、
    登録保管された位置情報が示す位置における、現物の配置パターンと登録保管された配置パターンとを照合することを特徴とする真偽判定方法。
  13. 請求項1〜4の何れか1項に記載の偽造防止構造体、該偽造防止構造体を有する、請求項5〜10の何れか1項に記載の、偽造防止ステッカー、偽造防止転写箔、偽造防止インキ、偽造防止媒体、又は偽造防止用紙の真偽判定方法であって、
    該偽造防止構造体の表面の一部若しくは全面に液体を滴下して色調変化を確認することにより真偽判定を行うことを特徴とする真偽判定方法。
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