JP5228643B2 - ブラシレスモータのセンサレス制御装置 - Google Patents

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Description

この発明は、ブラシレスモータのセンサレス制御装置に関する。
従来、ブラシレスモータの駆動を制御する制御装置として、固定座標系(互いに120°の角度をなして1点で交わるu軸、v軸およびw軸からなる座標系)における3相の電流値を回転座標系(界磁極の磁束方向を示すd軸およびこれと直交するq軸からなる2軸座標系)における2相の電流(d軸電流およびq軸電流)に変換して、この2相の電流を用いて制御するベクトル制御を行うものが知られている。
ベクトル制御を行うに際し、ブラシレスモータのロータの角度を直接検出するためのセンサを使用せずに、ロータの角度および速度を推定するセンサレス制御装置も知られており、このようなブラシレスモータ(1)のセンサレス制御装置(40)として、図5に示すように、2軸座標系における電流指令値を算出する速度制御部(41)と、2軸座標系における電流指令値に基づいて2軸座標系における電圧指令値を算出する電流制御部(42)と、2軸座標系における電圧指令値に基づいて3相の電圧指令値を算出する座標変換部(43)と、3相の電圧指令値に基づいてモータのステータコイルに直流駆動電流を供給するPWMインバータ(44)と、モータのステータコイルに流れる相電流を検出する電流検出部(45)と、電流検出部(45)で検出された相電流に基づいて2軸座標系における電流値を算出する座標変換部(46)と、ロータ角度およびロータ速度を求める位置・速度推定部(47)とを備えているものが知られている。
特開2007−53829号公報
上記従来のブラシレスモータのセンサレス制御装置では、ブラシレスモータのロータの角度および速度を推定するために、モータモデルを用いて、ブラシレスモータを構成するステータコイルのインダクタンスや抵抗からロータの角度を推定するため、ループ処理を行って頻繁に角度を推定することが必要であり、この際の演算負荷が大きく、高性能な演算処理能力を有する高コストのCPUを使用する必要があるという問題があった。
また、ブラシレスモータを構成するコイルのインダクタンスや抵抗等のモータモデルは、ブラシレスモータごとに異なっているため、制御するブラシレスモータによって、角度を推定するための演算処理プログラムを変更する必要があるという問題もあった。
この発明の目的は、高コストのCPUを使用しなくても、演算処理を行うことが可能で、しかも、制御対象のブラシレスモータが変わっても、演算処理プログラムを変更する必要がないブラシレスモータのセンサレス制御装置を提供することにある。
この発明によるブラシレスモータのセンサレス制御装置は、d軸およびq軸からなる2軸座標系における電流指令値を算出する速度制御部と、2軸座標系における電流指令値に基づいて2軸座標系における電圧指令値を算出する電流制御部と、2軸座標系における電圧指令値に基づいて3相の電圧指令値を算出する座標変換部と、3相の電圧指令値に基づいてモータのステータコイルに直流駆動電流を供給するインバータとを備えており、ブラシレスモータに対してセンサレスベクトル制御を行う制御装置において、d軸電流の電流値に基づいてロータの補正角度を算出することによってロータの角度を制御する角度制御部と、所定時間経過する間の角度変化量から現在のロータの速度を算出する速度算出部と、前回サンプリング時に得られたロータの角度、角度制御部で得られた補正角度および速度算出部で得られた速度を使用して現在のロータの角度を算出する角度算出部とを備えており、電流制御部は、q軸およびd軸電圧指令値のうちのq軸電圧指令値だけを求めるものとされていることを特徴とするものである。
角度制御部、速度算出部および角度算出部により、従来では必須であった位置・速度推定部が不要とされている。速度制御部、電流制御部、座標変換部およびインバータは、従来からあるもので、従来の電流制御部では、q軸電流制御部およびd軸電流制御部が必須であるのに対し、これがq軸電流制御部だけとされて、d軸電流制御部およびその周辺処理が省かれている。
従来の座標変換部において、各出力u,v,wを求める式は、以下のようなものである。
u=√2(d・cosθ−q・sinθ)/√3
v=(d・cosθ−q・sinθ)/√6−(d・sinθ+q・cosθ)/√2
u+v+w=0
上記の角度制御部、速度算出部および角度算出部を有している本発明の構成においても、同様の式を使用することができるが、d=0に制御するとともに、u,v,wの各相が互いに120°ずつずれていることを用いて、以下の式で、座標変換部において、各出力u,v,wが求められる。qmaxは、速度制御部が持っている制御量の上限(リミットの値)である。
u=q・sin(θ+π)/qmax
w=q・sin(θ+π+2π/3)/qmax
u+v+w=0
電圧指令値を求めるに際しては、電流制御部(=q軸電流制御部)からの制御量に比例したU相、W相出力を求める。このときの前提として、位相θは0に制御され、そのときのU相電流の正弦波がsin(θ+π)で、W相電流およびV相電流がそれぞれ±2π/3ずれた正弦波であるとする。これにより、d軸電流制御部からの制御量は不要になり、d軸電流制御部を省くことができる。従来の一般的なベクトル制御においては、このような構成の場合は位相が合わなくなり、正常駆動しないが、上記の角度制御部、速度算出部および角度算出部を有している本発明の構成によると、角度制御部において位相が合うようなθを算出しているので、位相が外れることはない。
手順としては、角度算出部においてd軸とU軸の位相θを算出し、角度制御部においてU相電流がsin(θ+π)となるように制御し、速度制御部の制御量(ゲイン)を指令値として、電流制御部(=q軸電流制御部)においてゲイン成分の制御量(q)を算出し、U相出力がsin(θ+π)で推移するので、ゲイン割合を乗じてU相出力量とし、W相出力はU相出力より2π/3進んでいることから求め、V相出力は、各出力の総和が0であることから求める。
これにより、d軸電流制御部およびその周辺処理が省け、キャリア周波数内の処理時間が約10%短縮できる。
d軸電流値は、所定間隔(サンプリング間隔)Tsで3相の相電流の電流値iu,ivおよびiwに基づいて算出(サンプリング)され、これに応じて、ロータの補正角度Δθおよび現在(今回サンプリング時)のロータの角度θが算出される。現在のロータの速度ωは、好ましくは、サンプリング間隔ごとではなく、例えばロータの1回転ごとに算出される。
角度制御部は、d軸電流値idを指令値id*(具体的には例えば0)に収束させるように、ロータの角度θを補正するための補正角度Δθを算出し、これにより、ロータの角度のずれが補正される。
角度算出部では、サンプリング間隔Tsごとに、前回サンプリング時に得られたロータの角度θ’および速度ωを使用してθ=θ’+ω×Ts+Δθによって現在(今回サンプリング時)のロータの角度θが求められる。
速度算出部では、例えば、ロータが1回転するのに要する時間Tを求め、ω=2π/Tとして現在のロータの速度ωを求めることができる。また、Ts×K時間経過後にその間の角度算出部における角度変化量をδとして、ω=δ/(K×Ts)によってωを求めることもできる。
角度制御部で得られた補正角度Δθ、速度算出部で得られた速度ωおよび角度算出部で得られたロータの角度θ’に基づいて、現在のロータの角度θが算出されることにより、ロータの角度θをロータの真の角度に収束させることができ、モータモデルを用いずに演算負荷の小さい簡単な演算でセンサレスベクトル制御を行うことができる。
この発明のブラシレスモータのセンサレス制御装置によると、モータモデルを用いて角度および速度を推定する従来のものに比べて、演算負荷の小さい簡単な演算でセンサレスベクトル制御を行うことができ、また、制御するブラシレスモータに対応させて、演算処理プログラムを変更する必要がなく、コストを低減しかつ汎用性の高いセンサレス制御装置を得ることができる。そして、d軸電流制御部を省くことで、キャリア周波数の周期内の処理時間が短縮でき、低価格化が可能となる。
この発明の実施の形態を、以下図面を参照して説明する。
図1は、この発明によるブラシレスモータのセンサレス制御装置を示している。また、図4は、図5に示した従来技術を改良したもので、本発明の比較例を示している。
以下では、先に、図4に示した比較例を説明する。
ブラシレスモータは、永久磁石界磁同期モータ(1)とセンサレス制御装置(2)とから構成されている。同期モータ(1)は、複数相(この例では3相)のステータコイル(3)を有するステータ(4)と、永久磁石を有するロータ(5)とを備えている。
センサレス制御装置(2)は、センサレスベクトル制御を行うもので、2軸座標系におけるd軸・q軸電流指令値id*,iq*を算出する速度制御部(11)と、2軸座標系におけるd軸・q軸電流指令値id*,iq*に基づいて2軸座標系におけるd軸・q軸電圧指令値Vd*,Vq*を算出するq軸電流制御部(31)およびd軸電流制御部(32)と、2軸座標系におけるd軸・q軸電圧指令値Vd*,Vq*に基づいて3相の電圧指令値Vu*,Vv*,Vw*を算出する3相への座標変換部(13)と、3相の電圧指令値Vu*,Vv*,Vw*に基づいてモータ(1)のステータコイル(3)に直流駆動電流を供給するPWMインバータ(14)と、ステータコイル(3)に流れる相電流Iu,Ivに基づいて各相の電流値iu,iv,iwを求める電流検出部(15)と、相電流値iu,iv,iwに基づいて2軸座標系におけるd軸・q軸電流値id,iqを算出する2相への座標変換部(16)と、補正角度Δθを算出する角度制御部(17)と、速度ωを算出する速度算出部(18)と、角度θを算出する角度算出部(19)と、起動時における角度制御部(17)への指令値として位相が遅れる方向の初期値dnを与える起動指令部(20)とを備えている。
角度制御部(17)、速度算出部(18)、角度算出部(19)および起動指令部(20)は、本発明の特徴部分で、これらの構成によって、従来使用されていた位置・速度推定部(図5参照)が省略されている。
上記各部(11)(13)(14)(15)(16)(17)(18)(19)(20)(31)(32)は、作業用記憶領域を有するRAMを用いて、ROMに記憶された演算処理プログラムおよび制御処理プログラムを実行するCPU(図示略)により動作する。
速度制御部(11)は、外部から入力された指令速度ω*から速度算出部(18)によって算出されたωを減算し、その減算結果(ω*−ω)に基づいて、d軸電流指令値id*とq軸電流指令値iq*を算出してq軸電流制御部(31)およびd軸電流制御部(32)へそれぞれ出力する。なお、一般的には、d軸電流指令値id*は0である。
d軸電流制御部(32)は、d軸電流指令値id*から2相への座標変換部(16)によって算出されたd軸電流値idを減算し、その減算結果(id*−id)に基づいて、d軸電圧指令値Vd*を算出して3相への座標変換部(13)へ出力し、q軸電流制御部(31)は、q軸電流指令値iq*から2相への座標変換部(16)によって算出されたq軸電流値iqを減算し、その減算結果(iq*−iq)に基づいて、q軸電圧指令値Vq*を算出して3相への座標変換部(13)へ出力する。
3相への座標変換部(13)は、角度算出部(19)によって算出された角度θを用いて、d軸電圧指令値vd*とq軸電圧指令値vq*に対して座標変換を施して、3相の電圧指令値Vu*,Vv*,Vw*を作成し、これらの電圧指令値Vu*,Vv*,Vw*をPWMインバータ(14)に出力する。
PWMインバータ(14)は、各電圧指令値Vu*,Vv*,Vw*に対応した電圧が3相のステータコイル(3)に印加されるように、U相電流Iu,V相電流IvおよびW相電流Iwを供給してモータ(1)を駆動する。
電流検出部(15)は、PWMインバータ(14)によってモータ(1)へ供給される電流をサンプリング時間Tsの間隔でサンプリングすることにより、3相(U相、V相およびW相)の相電流の電流値iu,ivおよびiwを求め、これを2相への座標変換部(16)へ出力する。なお、電流検出部(15)は、例えば、2相の電流Iu,Ivを検出して、3相目の電流値ivについては、これらの2相の電流値iu,ivに基づいて算出するものとされるが、これに限定されるものではない。また、サンプリング時間Tsは、ロータ(5)が1回転するための時間よりも短い時間とされる。
2相への座標変換部(16)は、角度算出部(19)によって算出された角度θを用いて、相電流の電流値iu,ivおよびiwに対して座標変換を施すことにより、d軸電流値idおよびq軸電流値iqを算出し、これらをq軸電流制御部(31)およびd軸電流制御部(32)へそれぞれ出力する。ここで、d軸電流値idは、角度制御部(17)へも出力される。
角度制御部(17)は、2相への座標変換部(16)からd軸電流値idが入力されるごとに、このd軸電流値idに基づいて補正角度Δθを算出する。算出された補正角度Δθは、角度算出部(19)に出力されて、ロータ(5)の角度θの制御に使用される。Δθの算出には、PI制御、PID制御またはP制御が使用される。
PI制御(比例・積分)を行う場合、補正角度Δθは、E:d軸電流値idと所定の指令値d*(例えば0)との偏差、Cp:PI制御の比例ゲイン、F:d軸電流値idと所定の指令値d*との偏差であるEの累積値、Ci:PI制御の積分ゲインとして、次の式で算出される。
Δθ=Cp×E+Ci×F
CpおよびCiは、制御装置(2)にモータ(1)を実際に制御させた結果により最適な値が定められる。このため、制御装置(2)は、制御されるモータ(1)を構成するステータコイル(3)のインダクタンスや抵抗に依存せずに、モータ(1)を制御することができ、汎用性の高いものとなる。
速度算出部(18)は、角度算出部(19)で算出されたロータの角度θを用いて、ロータの速度ωを求める。ロータの角度θは、サンプリング間隔Tsごとに角度算出部(19)において算出されているので、サンプリング間隔Tsの間のロータの角度変化をTsで割ることで、ロータの速度ωを求めることができる。この速度算出部(18)では、サンプリング間隔Tsごとにロータの速度を求めるのではなく、ロータ(5)が360°回転したか否かを判断し、360°回転した場合に、これに要した時間Tを求めて、2π(=360°)/Tにより、ロータの速度を求めている。ロータの速度を求めるタイミングは、ロータが360°回転したときに限られるものではなく、より一般的な式として、(θ(k+m)−θk)/(m×Ts)、m:任意の自然数、を使用してサンプリング間隔Tsごとまたはその2倍以上の間隔で求めることもできる。ただし、速度変化は、比較的緩やかであるので、サンプリング間隔Tsで常に求める必要はなく、ω=2π/Tの式を使うことにより、演算処理を簡単なものとすることができる。
角度算出部(19)は、相電流の電流値iu,ivおよびiwがサンプリングされるごとに(サンプリング時間Ts間隔で)、角度制御部(17)で算出された補正角度Δθ、速度算出部(18)で算出された速度ωおよびサンプリング時間Tsを用いて、ロータの角度θを算出する。具体的には、前回のサンプリング時に算出されたロータの角度θkを用いて、今回のサンプリング時(現在)のロータの角度θ(k+1)は、次の式により算出される。
θ(k+1)=θk+ω×Ts+Δθ
ここで、θ(k+1)は、電気角2π分のカウンタ値とされ、θ(k+1)が2π以上の場合には、2πを減算し、0≦θ(k+1)<2πの関係が満たされる。
上記の算出により、図2に示すように、ロータ(5)が図中の矢印Rの方向へ回転する場合、所定時刻nにおけるロータ(5)の角度θnと、これからサンプリング間隔Tsが経過する間にロータ(5)が回転する角度ω×Tsと、角度制御部(17)で算出された補正角度Δθとの和として、現在のロータ(5)の角度θn+1が求められる。この現在のロータ(5)の角度θn+1に補正角度Δθが含まれていることにより、現在のロータ(5)の角度θn+1をロータ(5)の実際の角度へ収束させることができる。算出されたロータ(5)の角度θnは、各座標変換部(13)(16)に出力される。
こうして、制御装置(2)は、演算処理プログラムおよび制御処理プログラムを実行して、モータモデルを用いずにロータの角度θを算出し、d軸電流を0に収束させるように、ロータの角度のずれが補正される。この制御装置(2)では、ロータの角度および速度を求めるに際してモータモデルを用いないことから、制御するブラシレスモータに対応させて、演算処理プログラムを変更する必要がなく、しかも、演算負荷の小さい簡単な演算でセンサレスベクトル制御を行うことができる。
上記において、比較例のセンサレスベクトル制御では、速度制御部(11)の出力値をq軸電流制御部(31)の指令値とし、位相量としてはd軸電流指令値=0でd軸電流制御部(32)が使用されている。iu、ivおよびiwを使用して、Iu、IvおよびIwを求める一連の処理は、通常、キャリア周波数の周期内で行われ、比較例のものでは、高キャリア周波数が要求される場合には、CPUとして高性能なもの(例えば32ビットCPU)が必要となる。
比較例において、d軸電流で制御する制御部として、d軸電流を制御するd軸電流制御部(32)と位相角θを制御する角度制御部(17)との2つがある。すなわち、d軸電流制御部(32)を省いても位相の制御が可能である。本願発明は、この点に着目してなされたものであり、これが図1に示されている。以下では、図4と同じ構成には、同じ符号を付してその説明を省略し、相違点についてのみ説明する。
本発明のブラシレスモータのセンサレス制御装置では、比較例ではq軸電流制御部(31)およびd軸電流制御部(32)の2つの電流制御部があったのに対し、d軸電流制御部(32)が省略されて、q軸電圧指令値Vq*を算出するq軸電流制御用電流制御部(12)だけとされている。そして、座標変換部(13)においては、この電流制御部(12)から入力されたVq*および角度算出部(19)から入力されたθを使用して、PWMインバータ(14)に入力するための各電圧指令値Vu*,Vv*,Vw*が次の式で求められている。
Vu*=q・sin(θ+π)/qmax
Vw*=q・sin(θ+π+2π/3)/qmax
Vu*+Vv*+Vw*=0
上記において、qmaxは、速度制御部(11)が持っている制御量の上限(リミットの値)であり、これを指令値として、電流制御部(12)において、ゲイン成分の制御量qが算出されることで、図4におけるd軸電流制御部(32)が不要とされている。
こうして、d軸電流制御部(32)およびその周辺処理が省かれることにより、上記比較例の利点である演算負荷の軽減がより一層図られている。
図3に、起動時および定常運転時の制御装置の動作を示すフローチャートを示す。
起動指令が出されると(ステップS11)、まず、d=dn≠0が初期の指令値として角度制御部(17)に与えられる(ステップS12)。これにより、速度算出部(18)において初期速度ωoが求められ、角度算出部(19)において初期位相θoが求められる(ステップS13)。この結果、ロータの速度がこの初期速度に対応する値に増加し、確実に起動が行われる(ステップS14)。角度制御部(17)に与えられる指令値は、時間とともに減少して、d=0すなわち定常時の指令値となり(ステップS15)、この後は、定常運転(d軸電流値idを使用したセンサレスベクトル制御)に移行する(ステップS16)。
センサレスベクトル制御では、電流検出部(15)によって、各相の電流値iu,ivおよびiwが求められ(ステップS17)、これに基づいて、2相への座標変換部(16)によって、d軸電流値およびq軸電流値が算出される(ステップS18)。次いで、d軸電流値を用いて、角度制御部(17)によって補正角度Δθが算出される(ステップS19)。次いで、角度算出部(19)によって、サンプリング間隔Ts後のロータの角度θが算出される(ステップS20)。ステップ17からステップ20までは、サンプリング間隔Tsごとに繰り返され、この繰り返し途中に、ロータが360°回転したか否かを判定して(ステップS21)、ロータが360°回転した場合には、速度算出部(18)によって、ロータの速度ωが算出されて、角度算出部(19)で使用されるロータの速度ωの値が更新される(ステップS22)。定常運転時には、ステップ17からステップ22までが繰り返され、この途中にモータの電源がオフとされた場合(ステップS23)、運転が終了する。
上記ブラシレスモータのセンサレス制御装置は、例えば、電動ポンプに適用されるほか、その他の全てのブラシレスモータの正弦波センサレス駆動に適用することができる。
図1は、この発明によるブラシレスモータのセンサレス制御装置を示すブロック図である。 図2は、角度算出部が算出する角度を説明する図である。 図3は、この発明によるブラシレスモータのセンサレス制御装置の要部の動作ステップを示すフローチャートである。 図4は、この発明によるブラシレスモータのセンサレス制御装置の比較例を示す図1に対応するブロック図である。 図5は、従来のブラシレスモータのセンサレス制御装置を示すブロック図である。
符号の説明
(1) モータ
(2) センサレス制御装置
(3) ステータコイル
(4) ステータ
(5) ロータ
(11) 速度制御部
(12) 電流制御部
(13) 座標変換部
(14) PWMインバータ
(17) 角度制御部
(18) 速度算出部
(19) 角度算出部

Claims (1)

  1. d軸およびq軸からなる2軸座標系における電流指令値を算出する速度制御部と、2軸座標系における電流指令値に基づいて2軸座標系における電圧指令値を算出する電流制御部と、2軸座標系における電圧指令値に基づいて3相の電圧指令値を算出する座標変換部と、3相の電圧指令値に基づいてモータのステータコイルに直流駆動電流を供給するインバータとを備えており、ブラシレスモータに対してセンサレスベクトル制御を行う制御装置において、
    d軸電流の電流値に基づいてロータの補正角度を算出することによってロータの角度を制御する角度制御部と、所定時間経過する間の角度変化量から現在のロータの速度を算出する速度算出部と、前回サンプリング時に得られたロータの角度、角度制御部で得られた補正角度および速度算出部で得られた速度を使用して現在のロータの角度を算出する角度算出部とを備えており、
    電流制御部は、q軸およびd軸電圧指令値のうちのq軸電圧指令値だけを求めるものとされていることを特徴とするブラシレスモータのセンサレス制御装置。
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