JP5227205B2 - 内燃機関の冷却装置 - Google Patents
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Description
冷却媒体循環装置は、冷却媒体(例えば、冷却水)を循環するための装置であり、内燃機関、ヒータおよびラジエターを接続している。具体的には、冷却媒体循環装置は、ヒータ流路と、ラジエター流路と、バイパス流路と、ウォーターポンプと、サーモバルブと、バイパスバルブと、ヒータバルブと、を有している。
ヒータ流路はヒータを流れる冷却水が通る流路である。ラジエター流路はラジエターを流れる冷却水が通る流路である。バイパス流路はヒータおよびラジエターを介さずに冷却水を内燃機関に戻す流路である。
サーモバルブは、温度に応じて開閉状態が自動的に切り換わるバルブであり、ヒータ流路およびラジエター流路の接続部に設けられている。ヒータバルブは、ヒータ流路に設けられており、サーモバルブとヒータとの間に配置されている。バイパスバルブはバイパス流路に設けられている。
冷却水の温度が低い場合、サーモバルブおよびヒータバルブは閉状態であり、バイパスバルブは開状態である。この状態では、冷却水はバイパス流路を介して内燃機関に戻るため、内燃機関で発生する熱が冷却水を介してヒータに伝達されない。このため、内燃機関および冷却水の温度が上昇しやすくなり、内燃機関の暖機時間の短縮を図ることができる(例えば、特許文献1を参照)。
本発明の課題は、製造コストの低減が可能な内燃機関の冷却装置を提供することにある。
この冷却装置では、バイパスバルブが第1流体室および第2流体室内に配置されているため、バイパスバルブ前後に配管などの部品を設ける必要がなくなり、部品点数を減らすことができる。すなわち、製造コストの低減が可能となる。
<冷却装置の構成>
図1〜図4を用いて内燃機関10を冷却するための冷却装置1の構成について説明する。図1は内燃機関10の概略斜視図である。図1では内燃機関10のシリンダヘッド11およびシリンダブロック12のみが描かれている。図2は冷却装置1の概略構成図である。図1では右側を吸気側、左側を排気側とする。
図1に示すように、内燃機関10は主に、シリンダブロック12と、シリンダヘッド11と、を有している。シリンダブロック12には複数のシリンダ(図示せず)が設けられている。複数のシリンダでは燃焼により熱が発生するため、冷却装置1が設けられている。
図2に示すように、シリンダブロック12およびシリンダヘッド11には冷却水(冷却媒体の一例)を流すウォータージャケット16が設けられている。ウォータージャケット16はシリンダ(図示せず)の周辺に配置された空間であり、ウォータージャケット16により冷却水が流れる冷却流路Pが形成されている。冷却水を循環させるために、冷却水循環装置2が内燃機関10、ヒータ4およびラジエター5に接続されている。
<冷却水循環装置の構成>
ここで、図1〜図4を用いて冷却水循環装置2の詳細について説明する。図3は外側から見たアウトレットカバー8の斜視図である。図4は内側から見たアウトレットカバー8の平面図である。
(1)ウォーターポンプ
ウォーターポンプ13は、内燃機関10で発生する動力で駆動されるポンプであり、ウォータージャケット16の入口に接続されている。ウォーターポンプ13はウォータージャケット16により形成された冷却流路Pに冷却水を圧送する。
(2)第1サーモバルブ
第1サーモバルブ14は、冷却水の温度に応じて自動的に開閉するバルブであり、図2に示すように、第1流路P11と、第2流路P12と、を有している。本実施形態では、第1サーモバルブ14は所定温度(例えば、80℃)で開閉状態が自動的に切り換わる。第1流路P11は、第2流体室C2(後述)からウォーターポンプ13までの流路の一部を形成しており、常に開状態である。第2流路P12は、ラジエター5からウォーターポンプ13までの流路の一部を形成しており、冷却水の温度に応じて自動的に開閉が切り換えられる。冷却水の温度が80℃以上の場合、第1サーモバルブ14は開状態となるため、第2流路P12から第1流路P11への流路が開通する。一方、冷却水の温度が80℃未満の場合、第1サーモバルブ14が閉状態となるため、第2流路P12から第1流路P11への流路は閉ざされる。
このように、第1サーモバルブ14によりラジエター5に冷却水を流すか否かを冷却水の温度に応じて自動的に切り換えることができる。
(3)アウトレットカバー
図2に示すように、アウトレットカバー8は、ヒータ4側やラジエター5側、ヒータ4およびラジエター5を介さずにウォーターポンプ13側に、冷却流路Pから流れ出る冷却水を分配するための部品であり、図1に示すようにシリンダヘッド11の側方に固定されている。アウトレットカバー8はウォータージャケット16の出口としての冷却流路Pの出口を覆うように配置されている。
フランジ80は内燃機関10に固定される部分である。流体室形成部87は、フランジ80から突出した部分であり、本体部87aと、本体部87aと一体形成された仕切壁87bと、を有している。
図4に示すように、本体部87aは第1流体室C1および第2流体室C2の基本的な空間を形成する部分である。図4に示すように、仕切壁87bは、本体部87aの内部に配置された板状の部分であり、第1流体室C1と第2流体室C2とを仕切っている。つまり、本体部87a、仕切壁87bおよび内燃機関10により第1流体室C1および第2流体室C2が形成されている。
第1流体室C1は、内燃機関10からヒータ4へ流れる冷却水が通過する空間であり、ウォータージャケット16の出口16aと連通している。第1流体室C1は、第1コネクタ83を介してラジエター5の冷却水入口に接続されており、第2コネクタ84を介してヒータ4の冷却水入口に接続されている。これにより、第1流体室C1に流れ込んだ冷却水はヒータ4およびラジエター5に流れ込む。
図4に示すように、ウォータージャケット16の出口16aは第1流体室C1の概ね中央付近に配置されている。アウトレットカバー8には冷却水の温度を検出する水温センサ88が設けられている。図4に示すように、水温センサ88の先端は、ウォータージャケット16の出口16a周辺に配置されている。
第2流体室C2は、ヒータ4から内燃機関10へ流れる冷却水が通過する空間であり、第1流体室C1と隣接して配置されている。本実施形態では、第2流体室C2は第1流体室C1の下側に配置されている。第2流体室C2は、第3コネクタ85を介してヒータ4の冷却水出口に接続されており、シリンダヘッド11に形成されたサクション通路17の入口17aと連通している。これにより、ヒータ4から流れ出た冷却水は第2流体室C2に流れ込み、第2流体室C2に流れ込んだ冷却水はサクション通路17を流れてウォーターポンプ13に流れ込む。
また、第2流体室C2は、第4コネクタ86を介して変速機(図示せず)などの装置に接続されている。ウォーターポンプ13から送り出された冷却水の一部は、変速機などに冷却水として送られており、第4コネクタ86を介して第2流体室C2に戻る。
さらに、図4に示すように、アウトレットカバー8には、第3流体室C3が形成されている。第3流体室C3は、冷却水に混じる気泡を集めるための空間であり、第1流体室C1と連通している。第3流体室C3に流れ込んだ冷却水は、第5コネクタ90を介して内燃機関10のスロットルチャンバ(図示せず)の外部を流れ、第6コネクタ91を介して第2流体室C2に戻る。これにより、冷却水によりスロットルチャンバが暖められ、凍結によるスロットルバルブの作動不良を防止できる。
図2に示すように、第2サーモバルブ89は、冷却水の温度に応じて自動的に開閉するバルブであり、第1流体室C1および第2流体室C2内に配置されている。本実施形態では、第2サーモバルブ89は所定温度(第1設定温度の一例、例えば、80℃)で開閉が自動的に切り換わる。第2サーモバルブ89は第1流体室C1と第2流体室C2とを接続するバイパス流路BPを形成している。冷却水の温度が80℃以上の場合に、第2サーモバルブ89は、閉状態となり、バイパス流路BPを自動的に遮断する。
第2サーモバルブ89は仕切壁87bに取り付けられている。第2サーモバルブ89は第1部分81と第1コネクタ83との接続部分周辺に配置されている。言い換えると、第2サーモバルブ89は第1流体室C1において第2コネクタ84から最も遠い位置に配置されている。
冷却水の温度が80℃未満の場合、第2サーモバルブ89は開状態であるため、第1流体室C1と第2流体室C2とが連通する。この結果、内燃機関10から第1流体室C1に流れ込んだ冷却水の一部が第2サーモバルブ89を通って第2流体室C2に流れ込む。つまり、冷却水の温度が低い状態では、冷却水がヒータ4を通り難く、そのほとんどが第1流体室C1から第2流体室C2へ流れる。
このように、アウトレットカバー8が第2サーモバルブ89を有しているため、冷却水の温度が低い場合は、ヒータ4に流れる冷却水の量を少なくして内燃機関10の暖機時間の短縮を図ることができる。
<冷却装置の動作>
図2を用いて冷却装置1の動作について説明する。
内燃機関10が始動すると、ウォーターポンプ13により冷却水の循環が開始される。図2に示すように、ウォーターポンプ13から冷却水が排出されると、シリンダブロック12およびシリンダヘッド11のウォータージャケット16を通って冷却水がアウトレットカバー8の第1流体室C1に流れ込む。内燃機関10の始動直後は内燃機関10および冷却水の温度が低い(例えば、常温)ため、第1サーモバルブ14は閉状態となっており、第2サーモバルブ89は開状態となっている。
一方、第2サーモバルブ89が開状態であれば、第1流体室C1に流れ込んだ冷却水の一部は、第2サーモバルブ89を通って第2流体室C2に流れ込み、残りの冷却水はヒータ4に流れ込む。ヒータ4に流れ込んだ冷却水は、ヒータ4から第2流体室C2に流れる。
第2サーモバルブ89を流れる際の冷却水の流動抵抗がヒータ4を介して第1流体室C1から第2流体室C2まで冷却水が流れる際の流動抵抗よりも小さくなるように、第2サーモバルブ89の仕様が決定されているため、ヒータ4を介して第2流体室C2に冷却水が流れるよりも、第2サーモバルブ89を介して第1流体室C1に冷却水が流れやすくなる。
このように、冷却水の温度が低い場合は、冷却水のほとんどが第1流体室C1、第2サーモバルブ89、第2流体室C2および第1サーモバルブ14を順次流れてウォーターポンプ13に戻る。これにより、内燃機関10で発生する熱のほとんどを内燃機関10および冷却水の温度上昇のために利用することができ、内燃機関10の暖機時間を短縮することができる。
冷却水の温度が所定温度(80℃)に達すると、第1サーモバルブ14の状態が閉から開に自動的に切り換わり、第2サーモバルブ89の状態が開から閉に自動的に切り換わる。このため、第1流体室C1に流れ込んだ冷却水は、第2流体室C2に直接流れ込まずに、ヒータ4を通って第2流体室C2に流れ込むか、あるいは、ラジエター5を通って第1サーモバルブ14に流れ込む。このため、冷却水により運ばれた熱がヒータ4で利用されたり、ラジエター5により系外に放出されて、必要以上に冷却水の温度が上昇するのを防止する。
以上に説明した冷却装置1の特徴は以下の通りである。
(1)
この冷却装置1では、第2サーモバルブ89が第1流体室C1および第2流体室C2内に配置されているため、第2サーモバルブ89の前後に配管などの部品を設ける必要がなくなり、部品点数を減らすことができる。すなわち、製造コストの低減が可能となる。
(2)
この冷却装置1では、第2サーモバルブ89を介して第1流体室C1から第2流体室C2まで冷却水が流れる際の流動抵抗(圧力損失)が、ヒータ4を介して第1流体室C1から第2流体室C2まで冷却水が流れる際の流動抵抗(圧力損失)よりも小さいため、第2サーモバルブ89が開状態の場合に、ヒータ4よりも第2サーモバルブ89に冷却水が流れやすい。このため、冷却水の温度が低い状態でヒータ4を流れずに第2サーモバルブ89を通って内燃機関10に戻る冷却水の量が多くなり、暖機時間をさらに短縮することができる。
この冷却装置1では、第2サーモバルブ89が仕切壁81aに設けられているため、バイパス流路BPを簡素な構成により実現することができる。
(4)
この冷却装置1では、第2サーモバルブ89が冷却水の温度に応じて自動的に開閉するサーモスタット付きバルブであるため、バルブと別でセンサを設ける必要がなく、構成の簡素化が可能となる。
<他の実施形態>
本発明の具体的な構成は、前述の実施形態に限られるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更および修正が可能である。
(A)
内燃機関10から排出される排ガスの熱を利用して、暖機時間をさらに短縮することも考えられる。具体的には図5に示すように、アウトレットカバー108は、第1流体室C1および第2流体室C2に加えて、さらにガス流路C4を有している。ガス流路C4は、第1流体室C1と隣接して配置されており、第3部分183により形成されている。第1流体室C1とガス流路C4との間は、第2仕切壁181bにより仕切られている。
ガス流路C4の入口および出口は内燃機関10の排気マニホールド19に接続されている。ガス流路C4の入口にはガス制御バルブ187が設けられている。ガス制御バルブ187は、冷却水の温度が所定温度(第2設定温度の一例、例えば、70℃)以上で閉状態に自動的に切り換わり、ガス流路C4を自動的に遮断する。
内燃機関10の暖機が概ね完了するとき、例えば冷却水の温度が70℃以上になるため、ガス制御バルブ187は閉状態に自動的に切り換わる。この結果、排気マニホールド19からガス流路C4に排気ガスが流れなくなり、冷却水温度が必要以上に上昇するのを防止できる。
アウトレットカバー8の形状は前述の実施形態に限定されない。例えば、第1流体室C1から第2流体室C2へ第2サーモバルブ89を介して冷却水が流れる場合を考えると、第2流体室C2が第1流体室C1の下側に配置されているのが好ましいが、冷却水の流れに問題がなければ、第2流体室C2が第1流体室C1の上側に配置されていてもよい。
また、各接続部分の配置(第1コネクタ83〜第4コネクタ86の配置)は前述の実施形態に限定されない。
(C)
前述の第1サーモバルブ14、第2サーモバルブ89およびガス制御バルブ187の設定温度は、単なる一例であり、他の温度であってもよい。
2 冷却水循環装置
4 ヒータ
5 ラジエター
8 アウトレットカバー
81 第1部分
81a 仕切壁
82 第2部分
89 第2サーモバルブ(バイパスバルブの一例)
9 ファン
10 内燃機関
11 シリンダヘッド
12 シリンダブロック
13 ウォーターポンプ
14 第1サーモバルブ
16 ウォータージャケット
19 排気マニホールド
108 アウトレットカバー
183 第3部分
187 ガス制御バルブ
C1 第1流体室
C2 第2流体室
C3 ガス流路
P 冷却流路
P11 第1流路
P12 第2流路
BP バイパス流路
Claims (4)
- 内燃機関を冷却するための冷却装置であって、
前記内燃機関で発生する動力で駆動し、前記内燃機関を冷却するための冷却媒体を圧送するウォーターポンプと、
前記内燃機関を冷却した前記冷却媒体の熱を放熱可能なラジエータと、
前記内燃機関で発生した熱を有効利用するためのヒータと、
前記内燃機関から前記ヒータおよび前記ラジエータへ流れる前記冷却媒体が通過する第1流体室を形成する第1部分と、
前記ヒータから前記ラジエータを介さずに前記ウォーターポンプへ流れる前記冷却媒体が通過する空間であって前記第1流体室と隣接して配置された第2流体室を形成する第2部分と、
前記第1流体室および前記第2流体室内に配置されたバルブであって、前記内燃機関から前記冷却媒体が流入する部分に対し、前記ヒータに前記冷却媒体が流出する部分の反対側に配置され、前記第1流体室と前記第2流体室とを接続するバイパス流路を形成し、前記冷却媒体の温度が第1設定温度以上の場合に前記バイパス流路を自動的に遮断するバイパスバルブと、
前記冷却媒体の温度が第2設定温度以上の場合には前記ラジエータからの前記冷却媒体を前記ウォーターポンプまで流すよう自動的に開状態となり、前記冷却媒体の温度が前記第2設定温度未満の場合には前記ラジエータからの前記冷却媒体を前記ウォーターポンプに流さないよう自動的に閉状態となるサーモバルブと、
を備え、
前記バイパスバルブを介して前記第1流体室から前記第2流体室に前記冷却媒体が流れる際の流動抵抗が、前記ヒータを介して前記第1流体室から前記第2流体室に前記冷却媒体が流れる際の流動抵抗よりも小さくなるよう設定されてなり、
前記第1部分は、前記第1流体室と前記第2流体室とを仕切る仕切壁を有しており、
前記バイパスバルブは、前記仕切壁に設けられている、
内燃機関の冷却装置。 - 前記第1流体室に隣接して配置された流路であって前記内燃機関から排出される排気ガスが通過可能なガス流路を形成する第3部分をさらに備え、
前記ガス流路は、前記内燃機関の排気マニホールドに接続されている、
請求項1に記載の内燃機関の冷却装置。 - 前記ガス流路に設けられ、前記排気ガスの温度が第2設定温度以上である場合に前記ガス流路を自動的に遮断するガス制御バルブをさらに備えた、
請求項2に記載の内燃機関の冷却装置。 - 前記バイパスバルブは、前記冷却媒体の温度に応じて自動的に開閉するサーモバルブである、
請求項1から3のいずれかに記載の内燃機関の冷却装置。
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