JP5224779B2 - 液状油性化粧料 - Google Patents
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このような液体化粧料としては、被膜形成剤としてアクリル−シリコーン系グラフト共重合体を配合することで、耐水性及び耐油性並びに塗膜物性に優れた被膜を形成し、化粧機能性が高く、使用性の良い化粧料が知られている(例えば、特許文献1参照)。
(1) (a)ハイドロフルオロエーテル5〜40重量%と、(b)低沸点シリコーンオイルとしてデカメチルシクロペンタシロキサン20〜60重量%と、(c)シリコーン樹脂としてアクリル−シリコーン系グラフト共重合体から選ばれる1種又は2種以上を2〜10重量%と、(d)架橋型メチルポリシロキサン、ステアリン酸イヌリン、ショ糖脂肪酸エステルからなる群より選ばれる1種又は2種以上の増粘剤2〜10重量%と、(e)粉体の内、感触調整用粉体として、シリカ粉末、並びに、顔料として、雲母チタン、酸化鉄被覆雲母チタン、アルミナフレーク・ガラスフレークを含めたパール剤、及び、銀や酸化チタンをガラスフレークにコートしたラメ状光沢を有する複合顔料から選ばれる顔料を小計10〜40重量%とを少なくとも含有し、かつ、25℃、ずり速度191.5sec−1における粘度が400mPa・s以下であることを特徴とする乳化されていない液状油性化粧料。
(2) 前記(b)低沸点シリコーンオイルとしてオクタメチルトリシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、メチルトリメチコンからなる群より選ばれる1種又は2種以上が更に含有されることを特徴とする上記(1)に記載の乳化されていない液状油性化粧料。
(3) 前記(c)シリコーン樹脂としてトリメチルシロキシケイ酸が更に含有されることを特徴とする上記(1)に記載の乳化されていない液状油性化粧料。
(4) 粉体は、チタン系表面処理剤で処理してなることを特徴とする上記(1)〜(3)の何れか一つに記載の乳化されていない液状油性化粧料。
(5) 25℃、ずり速度191.5sec−1における粘度が50〜400mPa・sであることを特徴とする上記(1)〜(4)の何れか一つに記載の乳化されていない液状油性化粧料。
(6) 25℃、65%RHの条件下において、濾紙法による塗布直後1分間までの平均初期蒸発速度が、0.15〜2.00mg/secであることを特徴とする上記(1)〜(5)の何れか一つに記載の乳化されていない液状油性化粧料。
(7) 前記感触調整用粉体粉体として更にタルク、マイカ、ナイロン末、シルク末、ポリエチレン末、PMMA末から選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする上記(1)に記載の乳化されていない液状油性化粧料。
本発明の液状油性化粧料は、(a)ハイドロフルオロエーテル5〜40重量%と、(b)低沸点シリコーンオイル20〜60重量%と、(c)シリコン樹脂2〜10重量%と、(d)架橋型メチルポリシロキサン、ステアリン酸イヌリン、ショ糖脂肪酸エステルからなる群より選ばれる1種又は2種以上の増粘剤2〜10重量%と、(e)粉体10〜40重量%とを少なくとも含有し、かつ、25℃、ずり速度191.5sec−1における粘度が400mPa・s以下であることを特徴とするものである。
CnF2n+1−O−CxH2x+1 ………(I)
〔式(I)中、nは1〜6、xは1〜6である。〕
具体的には、C4F9OCH3、C4F9OC2H5、C5F11OC2H5、C3F7OC4H9、C4F9OC4H9などが挙げられ、例えば、市販の「Cosmetic Fluid CF−61」(3M社製)の商品名で発売されているメチルパーフルオロブチルエーテルや、「Cosmetic Fluid CF−76」(3M社製)の商品名で発売されているエチルパーフルオロブチルエーテル等を用いることができる。
これらのハイドロフルオロエーテルは、単独で又は2種類以上のものを混合して用いことができる。
これらの低沸点シリコーンオイルは、単独で又は2種類以上のものを混合して用いことができる。
これらの低沸点シリコーンオイルは、単独で又は2種類以上のものを混合して用いることができる。
本発明で用いる(d)成分の増粘剤としては、上記要求特性を有する成分、具体的には架橋型メチルポリシロキサン(例えば、商品名:KSG−15、信越化学工業社製)、ステアリン酸イヌリン(例えば、商品名:レオパールISK、千葉製粉社製)、ショ糖脂肪酸エステル(例えば、商品名:シュガーワックスS−10E、第一工業製薬社製)から選ばれる1種又は2種類以上のものを混合して用いることができる。これ以外にも、ステアリルアンモニウムへクトライト、ジステアリルジモニウムへクトライト等の有機変性粘土鉱物が挙げられるが、揮発性シリコーンオイルを構造中に含み過ぎてしまう傾向があり、化粧料塗布後の塗膜乾燥性が低下し、ベタツキ感が長期間残ってしまうため、目的の液状化粧料が得られないこととなる。
用いることができる顔料としては、例えば、タール色素、酸化鉄、酸化チタン、雲母チタン、酸化鉄被覆雲母チタン、コンジョウ、カルミン、アルミナフレーク・ガラスフレークを含めたパール剤等の着色顔料や、銀や酸化チタンをガラスフレークにコートしたラメ状光沢を有する複合顔料等が挙げられる。
用いることができる感触調整用粉体は、感触や質感を調整することができる粉体であり、例えば、タルク、マイカ、ナイロン末、シリカ粉末、シルク末、ポリエチレン末、PMMA末が挙げられる。
これらの粉体である顔料や感触調整用粉体は、少なくとも1種(各単独で又は2種類以上のものを混合して)用いることができる。
用いることができるチタン系表面処理剤としては、例えば、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリステアロイルチタネート、イソプロピルトリオクタノイルチタネート、イソプロピルジメタクリルイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリドデシルベンゼンスルホニルチタネート、イソプロピルイソステアロイルジアクリルチタネート、イソプロピルトリ(ジオクチルホスフェート)チタネート、イソプロピルトリクミルフェニルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルパイロホスフェート)チタネート、イソプロピルトリ(n−アミノエチル−アミノエチル)チタネート、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、テトラ(2,2−ジアリルオキシメチル−1−ブチル)ビス(ジトリデシル)ホスファイトチタネート、ジクミルフェニルオキシアセテートチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート、ジイソステアロイルエチレンチタネート、ビス(ジオクチルパオロホスフェート)エチレンチタネート、ビス(ジオクチルパオロホスフェート)ジイソプロピルチタネート、テトラメチルオルソチタネート、テトラエチルオルソチタネート、テトラプロピルオルソチタネート、テトライソプロピルテトラエチルオルソチタネート、テトラブチルオルソチタネート、ブチルポリチタネート、テトライソブチルオルソチタネート、2−エチルヘキシルチタネート、ステアリルチタネート、クレシルチタネートモノマー、クレシルチタネートポリマー、ジイソプロポキシ−ビス−(2,4−ペンタジオネート)チタニウム(IV)、ジイソプロピル−ビス−トリエタノールアミノチタネート、オクチレングリコールチタネート、チタニウムラクテート、アセトアセティツクエスチルチタネート、ジイソプロポキシビス8アセチルアセトナト)チタン、ジ−n−ブトキシビス(トリエタノールアルミナト)チタン、ジヒドロキシビス(ラクタト)チタン、チタニウム−イソプロポキシオクチレングリコレート、チトラ−n−ブトキシチタンポリマー、トリ−n−ブトキシチタンモノステアレートポリマー、ブチルチタネートダイマー、チタンアセチルアセトネート、ポリチタンチタンアセチルアセトネート、チタンオクチレングリコレート、チタンラクテートアンモニウム塩、チタンラクテートエチルエステル、チタントリエタノールアミネート、ポリヒドロキシチタンステアレート、下記一般式(I)で示されるトリイソステアリン酸イソプロピルチタンなどで表面処理した少なくとも1種が挙げられる。これらのチタン系表面処理剤の中で、使用性、汎用性、更なる粉体の分散性の向上の点などから、更に好ましくは、トリイソステアリン酸イソプロピルチタンで表面処理したものが望ましい。
このチタン系表面処理剤による粉体(顔料、感触調整用粉体)への処理濃度は、配合する粉体種によって適宜調整する必要があるが、概ね1重量%〜10重量%とすることが好ましい。この処理濃度が1重量%未満では、処理剤の効果が不十分なため、更なる効果の発現が期待することができず、一方、処理濃度が10重量%を越える場合は、粉体のパウダリー感が損なわれるため、好ましくない。
また、この処理剤による粉体の処理は、配合する全ての粉体に処理しても良いし、特定の粉体にのみ処理を行う場合であっても、経時安定性が良好であれば問題はない。
なお、一般的な粉体の表面処理方法として、代表的な表面処理方法としてシリコン処理やフッ素処理等が挙げられるが、本発明に使用するハイドロフルオロエーテルや低沸点シリコーンオイルの影響で、満足な結果は得られなかった。
この粘度が400mPa・sを超えると、化粧料の粘度上昇により、使用感が悪化してしまい、好ましくない。なお、粘度が50mPa・s未満であると、皮膚上で滲みやすくなり、使用上好ましくないものとなる。
なお、上記粘度値以下の場合の調整は、上述の(d)成分の増粘剤の含有及び最適な含有量の調整等により行うことができる。
この初期蒸発速度が2.00mg/secを超えると、蒸発速度が速すぎるため、化粧料の「のび」が極端に悪くなってしまい、使用上好ましくない。また、初期蒸発速度が0.15mg/sec未満の場合、塗布後の化粧料のべたつき感が長時間残ってしまったり、化粧持ちが悪化するため、使用上好ましくない。なお、初期蒸発量の調整は、ハイドロフルオロエーテルと揮発性シリコーンオイルの混合溶液の混合比率や混合溶剤の配合量によって行うことができる。
すなわち、本発明の液状油性化粧料は、塗布前は液状であるが、皮膚上に塗布直後にハイドロフルオロエーテル及び揮発性シリコーンオイルの混合溶剤が揮発して素早くパウダリー感が発現し、その後樹脂分が皮膜を形成することで性能が効果的に発揮されることによるものであり、(a)成分のハイドロフルオロエーテル5〜40重量%と、(b)成分の低沸点シリコーンオイル20〜60重量%と、(c)成分のシリコン樹脂2〜10重量%と、(d)成分の架橋型メチルポリシロキサン、ステアリン酸イヌリン、ショ糖脂肪酸エステルからなる群より選ばれる少なくとも1種の増粘剤2〜10重量%と、(e)成分の粉体10〜40重量%とを少なくとも含有し、かつ、25℃、ずり速度191.5sec−1における粘度が400mPa・s以下とすることにより、初めて、後記実施例に示されるように、水彩絵の具のような良好な塗布性で、使用性に優れるだけでなく、塗布後の乾燥性、経時安定性、耐水性、のび、使用感及び化粧持ちに優れた各性能を発揮でき、かかる性能は、上記(a)〜(e)成分の相互間の配合バランス及び設定した特定の粘度値により達成されるものである。
下記表1及び2に示す処方の試料(アイメイクアップ化粧料)を調製した。
各化粧料の粘度は、TVE−30H粘度計(東機産業株式会社製)1°34′×R24標準コーンプレートを用いて25℃、ずり速度191.5sec−1(50rpm)における粘度を測定した。
これらの結果を下記表1及び2に示す。なお、表1中で用いた表面処理雲母チタン、表面処理ナイロン末は、トリイソステアリン酸イソプロピルチタンをイソプロピルアルコール又はn−ヘキサン中に分散させた後、所定の処理濃度になるように雲母チタン又はナイロン末を添加し、攪拌・乾燥して得られたものである。
試料を蓋付サンプル瓶(内容量20ml)に取り、40℃の条件下で1ヶ月間放置後、粉体(顔料や感触調整用粉体)の沈降状態について下記評価基準で評価した。
評価基準:
◎:顔料や感触調整用粉体の沈降が認められない。
○:顔料や感触調整用粉体の沈降が若干認められるものの、沈降物は柔らかい。
△:顔料や感触調整用粉体の沈降があり、沈降物は若干硬い。
×:顔料や感触調整用粉体顔料の沈降があり、沈降物は完全に固化している。
上腕部に試料を適量塗布し、乾燥後水中において指で擦取して、その後の状態を下記評価基準で官能評価した。
評価基準:
◎:評価前と比較して、塗膜の変化が全く認められない。
○:評価前と比較して、塗膜の変化が殆ど認められない。
△:塗膜の剥がれが認められる。
×:塗膜が完全に落ちている。
各試料について、実際にパネラー(成人女性10名)により、のび、使用感、乾燥性、化粧持ちの使用テストを行い、下記評価基準で官能評価した。
評価基準:
◎:非常に良い。
○:良い。
△:普通。
×:悪い。
25℃、65%RHの環境下において、φ90mmの濾紙上に化粧料約1gを正確に秤量する。秤量直後から1分後の重量を再び測定し、測定前後の重量差から下記式により初期蒸発速度を算出した。
初期蒸発速度(mg/sec)=(W0−W1)÷60×1000
ここで、W0、W1は下記のとおりである。
W0:測定開始直後に濾紙に秤量された化粧料の重量(g)
W1:測定開始1分後の濾紙上の化粧料の重量(g)
比較例を更に具体的にみると、比較例1では、(a)成分のハイドロフルオロエーテルの含有量が多く、(b)成分の低沸点シリコーンオイルの含有量が少ないため、経時安定性、使用感が悪くなることが判り、一方、比較例2では、(a)成分のハイドロフルオロエーテルの含有量が少なく、(b)成分の低沸点シリコーンオイルの含有量が多い場合は使用感及び乾燥性が悪くなることが判った。
比較例3及び4は、(c)成分のシリコン樹脂の含有量が多い場合、少ない場合であり、これらの場合も、耐水性、のびや使用憾、化粧持ちなどが悪くなることが判った。比較例5は、(d)成分の増粘剤の含有量が多く、粘度が高い場合であり、この場合、のびや使用憾などが悪くなり、一方、比較例6は、(d)成分の増粘剤の含有量が少ない場合であり、この場合は、経時安定性や使用憾などが悪くなることが判った。
比較例7は、(c)成分のシリコン樹脂を使用せず、(e)成分の粉体の含有量を多くした場合であり、この場合は、経時安定性、耐水性、のびなどが悪くなり、一方、比較例8は、(e)成分の顔料のみ少なくした場合においても、使用感、化粧持ちが悪くなることが判った。次に、比較例9は、増粘剤が(d)成分に規定する以外の増粘剤を使用した場合であり、粘度値が高く、耐水性、のび、使用感が悪くなることが判った。
本発明の(a)〜(e)成分の各要件及び粘度値を充足しない比較例1〜9の場合は、経時安定性、耐水性、のび、使用感、乾燥性、化粧持ちの全てを満足することができないことが判った。
Claims (7)
- (a)ハイドロフルオロエーテル5〜40重量%と、(b)低沸点シリコーンオイルとしてデカメチルシクロペンタシロキサン20〜60重量%と、(c)シリコーン樹脂としてアクリル−シリコーン系グラフト共重合体から選ばれる1種又は2種以上を2〜10重量%と、(d)架橋型メチルポリシロキサン、ステアリン酸イヌリン、ショ糖脂肪酸エステルからなる群より選ばれる1種又は2種以上の増粘剤2〜10重量%と、(e)粉体の内、感触調整用粉体として、シリカ粉末、並びに、顔料として、雲母チタン、酸化鉄被覆雲母チタン、アルミナフレーク・ガラスフレークを含めたパール剤、及び、銀や酸化チタンをガラスフレークにコートしたラメ状光沢を有する複合顔料から選ばれる顔料を小計10〜40重量%とを少なくとも含有し、かつ、25℃、ずり速度191.5sec−1における粘度が400mPa・s以下であることを特徴とする乳化されていない液状油性化粧料。
- 前記(b)低沸点シリコーンオイルとしてオクタメチルトリシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、メチルトリメチコンからなる群より選ばれる1種又は2種以上が更に含有されることを特徴とする請求項1に記載の乳化されていない液状油性化粧料。
- 前記(c)シリコーン樹脂としてトリメチルシロキシケイ酸が更に含有されることを特徴とする請求項1に記載の乳化されていない液状油性化粧料。
- 粉体は、チタン系表面処理剤で処理してなることを特徴とする請求項1〜3の何れか一つに記載の乳化されていない液状油性化粧料。
- 25℃、ずり速度191.5sec−1における粘度が50〜400mPa・sであることを特徴とする請求項1〜4の何れか一つに記載の乳化されていない液状油性化粧料。
- 25℃、65%RHの条件下において、濾紙法による塗布直後1分間までの平均初期蒸発速度が、0.15〜2.00mg/secであることを特徴とする請求項1〜5の何れか一つに記載の乳化されていない液状油性化粧料。
- 前記感触調整用粉体粉体として更にタルク、マイカ、ナイロン末、シルク末、ポリエチレン末、PMMA末から選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする請求項1に記載の乳化されていない液状油性化粧料。
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