JP2005255623A - 油中水型ファンデーション - Google Patents

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昭彦 高津
Sanae Mizumura
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Abstract

【課題】塗布後の乾きが速く、優れたラスティング効果を有していながら滑らかな塗布感を有した油中水型ファンデーションを提供する。
【解決手段】(a)一般式(1):
2n+1−O−C2x+1 (1)
[式中、nは1〜6、xは1〜6である。]
で示されるハイドロフルオロエーテル 10〜60質量%と、
(b)シリコーン系樹脂 3〜30質量%と、
(c)顔料 5〜30質量%と、
(d)非イオン系界面活性剤と、
(e)水
とを必須成分として含有する油中水型ファンデーション。
【選択図】なし

Description

本発明は、ラスティング効果の高く、色移りの生じない油中水型ファンデーションに関する。
従来より、にじみにくい、よれにくい等のラスティング効果が高く、また色移りしにくいファンデーションはワックスや不揮発性の油剤と共に揮発性シリコーンや軽質イソパラフィン等揮発性油剤を配合し、揮発性油剤が揮発した後に肌表面に顔料を残存させるものであった。さらにはシリコーン樹脂を配合して揮発性シリコーンが揮発した後に肌表面に皮膜を形成させることにより、さらに落ちにくさを強化したものであった。しかし、従来の技術では揮発性シリコーンや軽質イソパラフィンの揮発性が弱いために、揮発性油剤が揮発するまでの時間が長く、さらには揮発性シリコーンや軽質イソパラフィンを揮発性油剤として使用した場合、シリコーン樹脂の配合量を増加させると塗布時の滑り性が悪く、塗布時に色むらが生じてしまうという欠点があった。またこのような油性剤型であるため、固形タイプでは発汗、液状タイプでは揮発性シリコーンや軽質イソパラフィン等の揮発性油剤が内容物表面に遊離してくるという問題があった。このような問題点を解決するために、油中水型のメイクアップ化粧料にシリコーン系樹脂を配合し、揮発性シリコーンや軽質イソパラフィン等の揮発性油剤の遊離を防止して安定化させている例もある(特許文献1参照)が、この系では塗布時の滑らかさを維持したまま皮膜を形成可能なシリコーン系樹脂の配合量を増加させることが困難であり、そのため著しいラスティング効果を期待できるものではなく、またさらには揮発性シリコーンを使用しているため塗布後の乾きも遅いものであった。
また、ハイドロフルオロエーテルとフッ素系油剤とを配合して皮脂等に強く使用感が滑らかな化粧料が報告されている(特許文献2参照)が、物理的な動きが激しい故に、塗布したファンデーションの化粧くずれが生じ、また衣服等への色移りが生じて好ましいものではなかった。また、ハイドロフルオロエーテルとフッ素ロウを配合することにより持ちの良さを改良したものがあるが(特許文献3参照)、やはりファンデーションの化粧くずれや衣服等への色移りが生じ、好ましいものではなかった。
特開平7−309714号公報 特許第3211740号公報 特開平11−322529号公報
そこで、本発明の目的は、塗布後の乾きが速く、さらに化粧くずれしにくい、よれにくい、色移りしにくい等の優れたラスティング効果を有していながら滑らかな塗布感を有した油中水型ファンデーションを提供することにある。
上記目的を達成する本発明は、
(a)一般式(1):
2n+1−O−C2x+1 (1)
[式中、nは1〜6、xは1〜6である。]
で示されるハイドロフルオロエーテル 10〜60質量%と、
(b)シリコーン系樹脂 3〜30質量%と、
(c)顔料 5〜30質量%と、
(d)非イオン系界面活性剤と、
(e)水
とを必須成分として含有する油中水型ファンデーションにある。
本発明により、使用特性(なめらかなのびの良さ)、乾きの速さ(皮膜形成の速さ)、経時持続性(化粧持ちの良さ)、移りにくさ(ティッシュペーパーで軽く擦ったときのティッシュペーパーへの付着の無さ)に極めて優れた油中水型ファンデーションであり、しかるに塗布後の乾きが速く、優れたラスティング効果を有していながら滑らかな塗布感を有した油中水型ファンデーションを提供することができる。
以下、本発明の構成を説明する。
本発明に用いるハイドロフルオロエーテルは一般式(1):
2n+1−O−C2x+1 (1)
[式中、nは1〜6、xは1〜6である。]
で示される構造を有する化合物であり、具体的にはC49OCH3、C49OC25、C511OC25、C37OC49、C49OC49などが挙げられ、3M社から「Cosmetic Fluid CF−61」の名称で発売されているメチルパーフルオロブチルエーテルや「Cosmetic Fluid CF−76」の名称で発売されているエチルパーフルオロブチルエーテル等がある。これらのハイドロフルオロエーテルは単独で配合するだけでなく、2種類以上のものを混合して用いてもよい。ハイドロフルオロエーテルの配合量は、化粧料全量に対して10〜60質量%であり、好ましくは15〜50質量%、さらに好ましくは20〜40質量%である。10質量%未満では乾きの速さに優位性がみられず、また、60質量%を超えると乳化安定性が好ましくない。
本発明に用いるシリコーン系樹脂は、メチルシリコーン、メチルフェニルシリコーンの高重合物、トリメチルシロキシケイ酸、さらに変性されたシリコーン樹脂としてはアクリルシリコーン、フッ素変性シリコーン等が挙げられ、変性された部分がブロック状態に結合していてもグラフト状態やペンダント状態に結合していてもよく、高分子内にポリシロキサン構造を有し、かつ皮膜形成可能な樹脂は全て含まれる。中でもシリコーン系樹脂としてパーフルオロアルキルジメチル・トリメチルシロキシケイ酸またはトリメチルシロキシケイ酸を使用するのが皮膜の形成性および皮膜の強靭性の点で好ましい。シリコーン系樹脂の配合量は化粧料全量に対して3〜30質量%であり、好ましくは5〜20質量%、さらに好ましくは8〜15質量%である。3質量%未満ではラスティング効果に優位性がみられず、また、30質量%を超えると塗布時の滑らかさが減少し、好ましくない。
本発明に用いる顔料は、メイクアップ化粧料に使用される顔料であれば何でもよく、タール色素、天然色素、ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄、グンジョウ、コンジョウ、酸化チタン、マンガンバイオレット、酸化クロム、パール剤等の着色顔料、感触及び質感を調整することを目的としたタルク、マイカ、カオリン、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、ナイロン末、樹脂ビーズ、シリカ粉末、シルク末、ナイロンパウダー、シリコーンパウダー、ウレタンパウダーなどの体質顔料、ポリエチレンテレフタレートメタクリル酸メチル積層末、銀や酸化チタンをガラスフレークにコートしたラメ状光沢を有する複合顔料などのラメ剤等、メイクアップ化粧品に配合可能な色素や顔料は全て含まれる。またこれらの
顔料は、表面をシリコーン、ラウロイルリジン、ステアロイルグルタミン酸塩、パーフルオロアルキルリン酸エステルジエタノールアミン塩、ポリエチレンその他油剤等で被覆処理されていても良い。本発明に用いる顔料の配合量は化粧料全量に対して5〜30質量%であり、好みの色調に応じてこの範囲で増減される。5質量%未満ではファンデーションとしての化粧効果が得られず、また30質量%を超えると塗布時の滑らかさが減少すると共に、乳化安定性が好ましくない。
本発明に用いる非イオン系界面活性剤は、POE(2〜20)オレイルエーテル、POE(2〜35)ステアリルエーテル、POE(2〜20)ラウリルエーテル、POE(1〜20)アルキルフェニルエーテル、POE(6〜18)ベヘニルエーテル、POE(5〜25)2−デシルペンタデシルエーテル、POE(3〜20)2−デシルテトラデシルエーテル、POE(8〜16)2−オクチルデシルエーテル等のエーテル型活性剤、およびPOE(4〜60)硬化ヒマシ油、POE(3〜14)脂肪酸モノエステル、POE(6〜30)脂肪酸ジエステル、POE(5〜20)ソルビタン脂肪酸エステル等のエステル型活性剤、更に、POE(2〜30)グリセリルモノイソステアレート、POE(10〜60)グリセリルトリイソステアレート、POE(7〜50)硬化ヒマシ油モノイソステアレート、POE(12〜60)硬化ヒマシ油トリイソステアレート等のエーテルエステル型活性剤等のエチレンオキシド付加型界面活性剤、およびデカグリセリルテトラオレート、ヘキサグリセリルトリイソステアレート、テトラグリセリルジイソステアレート、ジグリセリルモノイソステアレート、ジグリセリルジイソステアレート等のポリグリセリン脂肪酸エステル、グリセリルモノステアレート、グリセリルモノオレート等のグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノイソステアレート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンセスキオレエート、ソルビタントリオレエート、ソルビタンモノイソステアレート等のソルビタン脂肪酸エステル、等の多価アルコール脂肪酸エステル型界面活性剤が挙げられる。またシリコーン系界面活性剤として下記一般式(2)等に代表されるポリエーテル変性シリコーン等が挙げられる。
Figure 2005255623
(式中R1は水素原子もしくは炭素数1〜16のアルキル基またはアルコキシル基またはアシル基であり、R2は炭素数8〜22のアルキル基またはアルコキシル基、kは1〜500、lは1〜40、mは0〜100、aは10〜50、bは10〜50である)
本発明の実施にあたっては、これら非イオン性界面活性剤の中から一種または二種以上が任意に選択されて用いられる。
これらの中で、ソルビタンモノイソステアレートおよびジグリセリルモノイソステアレートおよび一般式(2)で表されるポリエーテル変性シリコーンの一種または二種以上を使用することが乳化安定性並びに化粧料の原料臭のなさの点で最も好ましい。
また、これら非イオン性界面活性剤の化粧料中への配合量は化粧料の伸びの重さや乳化安定性を考慮して調整が可能であるが、0.5〜6.0質量%が好ましく、さらに好ましくは1.0〜4.0質量%がさらに好ましい。
また、本発明に用いる有機変性粘土鉱物は、例えば、ベントナイト、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、ラポナイト、ヘクトライト等の水膨潤性粘土鉱物を第四級アンモニウム塩型カチオン界面活性剤で処理して得られるものである。ここで用いられる第四級アンモニウム塩型カチオン界面活性剤は、下記一般式(3)で表されるものである。
[R3456N] (3)
(式中、R3は炭素数10〜22のアルキル基またはベンジル基、R4はメチル基または炭素数10〜22のアルキル基、R5とR6は炭素数1〜3のアルキル基またはヒドロキシアルキル基、Xはハロゲン原子またはメチルサルフェート残基を表す。)
処理剤である第四級アンモニウム塩型カチオンとしては、例えば、ドデシルトリメチルアンモニウムクロリド、ミリスチルトリメチルアンモニウムクロリド、セチルトリメチルアンモニウムクロリド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロリド、ベヘニルトリメチルアンモニウムクロリド、ミリスチルジメチルエチルアンモニウムクロリド、セチルジメチルエチルアンモニウムクロリド、ステアリルジメチルエチルアンモニウムクロリド、ベヘニルジメチルエチルアンモニウムクロリド、ミリスチルジエチルメチルアンモニウムクロリド、セチルジエチルメチルアンモニウムクロリド、ステアリルジエチルメチルアンモニウムクロリド、ベヘニルジエチルメチルアンモニウムクロリド、ジメチルジベヘニルアンモニウムクロリド、ジメチルジミリスチルアンモニウムクロリド、ジメチルジセチルアンモニウムクロリド、ジメチルジステアリルアンモニウムクロリド、ベンジルジメチルミリスチルアンモニウムクロリド、ベンジルジメチルセチルアンモニウムクロリド、ベンジルジメチルステアリルアンモニウムクロリド、ベンジルジメチルベヘニルアンモニウムクロリド、ベンジルメチルエチルセチルアンモニウムクロリド、ベンジルメチルエチルステアリルアンモニウムクロリド等が挙げられる。
これらで処理された有機変性粘土鉱物の代表的なものとしては、市販品としては、ベントン27(ベンジルジメチルステアリルアンモニウムクロライド処理ヘクトライト:ナショナルレッド社製)およびベントン38(ジステアリルジメチルアンモニウムクロライド処理ヘクトライト:ナショナルレッド社製)およびこの植物性脂肪酸を使用したベントン38V(ナショナルレッド社製)等が挙げられる。
また、本発明に用いられる有機変性粘土鉱物の配合量は特に限定されないが、乳化化粧料の設計粘度に応じた量を配合することができ、好ましくは化粧料全量に対して0.1〜10.0質量%配合することが好ましく、さらに好ましくは0.1〜5.0質量%である。
本発明の油中水型ファンデーションには、上記の必須成分に加えて必要に応じてパラフィンワックス、セレシンワックス、マイクロクリスタリンワックス、カルナウバワックス、キャンデリラワックス、ミツロウ、モクロウ、ゲイロウ、ポリエチレンワックス、エチレンプロピレンコポリマー、硬化ヒマシ油、ロジン酸ペンタエリトリット、ステアリン酸、ベヘニン酸、セチルアルコール、ステアリルアルコール等の固形油分、ジメチルポリシロキサン、環状シリコーン4〜6量体、メチルフェニルポリシロキサン、スクワラン、流動パラフィン、軽質流動パラフィン、軽質イソパラフィン、α−オレフィンオリゴマー、流動ポリイソブチレン、水素添加ポリブテン、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、オレイン酸デシル、パルミチン酸イソプロピル
、イソステアリン酸ヘキシルデシル、リンゴ酸ジイソステアリル、ホホバ油、液状ラノリン、液状ジグリセリド、オリーブ油、アボカド油、ホホバ油、マカデミア油、ヒマシ油、イソステアリルアルコール等の液状油剤、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、グリセリン等の保湿剤、パラベン、デヒドロ酢酸及びその塩、エデト酸塩、フェノキシエタノール等の防腐剤、トコフェロール等の酸化防止剤、その他香料、紫外線吸収剤等を適宜配合することができる。
次に、実施例によって本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。尚、表中の数値は含有量(質量%)を表わす。実施例に先立ち、各実施例で採用した評価方法を説明する。
(1)保存安定性評価試験方法
所定の方法で調製した油中水型ファンデーションを5〜35℃の1サイクル/日の往復恒温槽内に放置して、3週間後の保存安定性を下記の評価基準に従って評価した。
分離、凝集なし ;○
分離、凝集あり ;×
(2)使用特性評価試験方法
女性パネラー20名によって、塗布したときの使用特性(なめらかなのびの良さ)、乾きの速さ(皮膜形成の速さ)、および塗布後10分間放置したときの経時持続性(化粧持ちの良さ)、および移りにくさ(ティッシュペーパーで軽く擦ったときのティッシュペーパーへの付着の無さ)について下記の評価基準に従って評価した。
良いと答えた人数が18人以上 ;◎
〃 14〜17人;○
〃 7〜13人;△
〃 6人以下 ;×
・調製方法
ハイドロフルオロエーテルを除く油溶性成分およびシリコーン系樹脂を70℃以上に加熱して均一に溶解し、これに顔料、有機変性粘土鉱物を分散させる。これを50℃以下まで冷却した後、常温のハイドロフルオロエーテルを徐々に加え、良く混合する。ここで、シリコーン系樹脂の一部または全部は予めハイドロフルオロエーテルに溶解させた後に混合する場合もある。次に50℃以下にて水相成分を添加し、ホモミキサーで乳化後、所定の気密容器に装てんして目的の油中水型ファンデーションを得る。
ファンデーションの成分組成及び評価試験結果を表1に示す。
Figure 2005255623
表1に示すように、本発明の実施例1〜7のものは、保存安定性及び使用特性、乾きの
速さ、経時持続性、移りにくさの全ての点において比較例1〜4のものより明らかに優れていた。
本発明により、使用特性(なめらかなのびの良さ)、乾きの速さ(皮膜形成の速さ)、経時持続性(化粧持ちの良さ)、移りにくさ(ティッシュペーパーで軽く擦ったときのティッシュペーパーへの付着の無さ)及び保存安定性(乳化安定性、顔料分散安定性)に極めて優れた油中水型ファンデーションであり、しかも塗布後の乾きが速く、優れたラスティング効果を有していながら滑らかな塗布感を有した油中水型ファンデーションを提供することができる。

Claims (4)

  1. (a)一般式(1):
    2n+1−O−C2x+1 (1)
    [式中、nは1〜6、xは1〜6である。]
    で示されるハイドロフルオロエーテル 10〜60質量%と、
    (b)シリコーン系樹脂 3〜30質量%と、
    (c)顔料 5〜30質量%と、
    (d)非イオン系界面活性剤と、
    (e)水
    を必須成分として含有する油中水型ファンデーション。
  2. 非イオン系界面活性剤が、ポリエーテル変性シリコーン、ソルビタンモノイソステアレート及びジグリセリルモノイソステアレートからなる群より選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項1記載の油中水型ファンデーション。
  3. シリコーン系樹脂がパーフルオロアルキルジメチル・トリメチルシロキシケイ酸及び/またはトリメチルシロキシケイ酸である請求項1または2記載の油中水型ファンデーション。
  4. 有機変性粘土鉱物により増粘、または固形化された、請求項1〜3いずれか記載の油中水型ファンデーション。
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