JP2004269418A - 化粧料 - Google Patents
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Abstract
【課題】環境破壊の懸念がなく身体に安全な特定のHFEを配合した化粧料において、化粧料組成物に通常用いる他の成分を安定に配合することが出来る化粧料を提供すること。
【解決手段】25℃における粘度が5mPa・s未満である一般式(1)で表されるハイドロフルオロエーテルと、環状シリコーンとを含むことを特徴とする化粧料。
CnHmFl−O−CxHyFz (1)
[式中、nは1〜12の数、mは0〜25の数、lは0〜11の数、m+l=2n+1であり、xは1〜12の数、yは0〜25の数、zは0〜11の数、y+z=2x+1である(ただし、mとnは同時に0とはならない。また、lとzは同時に0とはならない)。]
【選択図】 なし
【解決手段】25℃における粘度が5mPa・s未満である一般式(1)で表されるハイドロフルオロエーテルと、環状シリコーンとを含むことを特徴とする化粧料。
CnHmFl−O−CxHyFz (1)
[式中、nは1〜12の数、mは0〜25の数、lは0〜11の数、m+l=2n+1であり、xは1〜12の数、yは0〜25の数、zは0〜11の数、y+z=2x+1である(ただし、mとnは同時に0とはならない。また、lとzは同時に0とはならない)。]
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、環境を破壊せず、皮膚に対して安全性の高いフッ素系溶剤と環状シリコーンとを配合した化粧料に関する。さらに詳しくは、25℃における粘度が5mPa・s未満のハイドロフルオロエーテル(以下、HFEと略す)と環状シリコーンを配合した化粧料及びこれらを配合した乳化化粧料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
化粧料には従来から使用性を改善させる目的で揮発性油分が用いられている。しかしながら、近年においては環境破壊の懸念から、使用できる揮発性油分は限定されているのが現状である。
【0003】
特許文献1には、環境を破壊せずに皮膚に対して安全性の高い新規な揮発性油分として、25℃における粘度が5mPa・s未満のハイドロフルオロエーテルが開示されている。しかしながら、この揮発性油分は、フッ素系界面活性剤やフッ素処理粉末を用いる場合にのみ使用することができ、その応用範囲は極めて限られていた。したがって、医薬用組成物や化粧料組成物に、この揮発性油分と通常用いる他の配合成分と共に配合することは全くできなかった。
【0004】
一方、乳化剤に界面活性剤を使用して油中水型乳化化粧料を製造する技術は多く知られている。一般的な界面活性剤によらない乳化方法として、有機変性粘土鉱物により乳化する技術が広く知られている(例えば、特許文献2、特許文献3、特許文献4などを参照)。また、特定のシリコーン油と、水溶性高分子、無機塩又はアミノ酸とを配合して、水相成分が50質量%以上の高内水相油中水型乳化化粧料を製造する技術が開発されている(例えば、特許文献5参照)。
さらに、エチルセルロース及びエチルセルロースを膨潤可能な溶剤を含む油相と、カチオン化セルロースとヒアルロン酸ナトリウムとからなるポリイオンコンプレックスを含む水相とからなる油中水型乳化化粧料を製造する技術が開発されている(例えば、特許文献6参照)。
また、本出願人による特許出願中の乳化技術として、特定の構造を有する架橋型ポリエーテル変性シリコーンとシリコーン・ポリアミド共重合体を用いた油中水型乳化化粧料が開発されている(特願2002−379102号)。
【0005】
【特許文献1】
特開平11−71222号
【特許文献2】
特開平10−194924号
【特許文献3】
特開平11−116433号
【特許文献4】
特開2001−097815号
【特許文献5】
特開2001−2520号
【特許文献6】
特開平9−301824号
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、HFEと環状シリコーンとに相溶性があることを見出した。また、HFEと環状シリコーンを配合する組成物は非常にさっぱりした使用感触を有し、高分子皮膜剤などのべたつきを低減させることができることを見出した。さらに紫外線吸収剤由来の匂いも低減させることを見出した。そして、配合成分をフッ素系界面活性剤やフッ素処理した粉末に限定することなく、化粧料組成物に通常用いる他の成分を安定に配合可能な化粧料が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。また、本発明の化粧料は油中水型乳化化粧料に好ましく応用できることを見出して本発明を完成するに至った。
【0007】
本発明の第一の目的は、環境破壊の懸念がなく身体に安全な特定のHFEを配合した化粧料において、化粧料組成物に通常用いる他の成分を安定に配合することが出来る化粧料を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は、25℃における粘度が5mPa・s未満である一般式(1)で表されるハイドロフルオロエーテルと、環状シリコーンとを含むことを特徴とする化粧料を提供するものである。
【化5】
CnHmFl−O−CxHyFz (1)
[式中、nは1〜12の数、mは0〜25の数、lは0〜11の数、m+l=2n+1であり、xは1〜12の数、yは0〜25の数、zは0〜11の数、y+z=2x+1である(ただし、mとnは同時に0とはならない。また、lとzは同時に0とはならない)。]
【0009】
また、本発明は、さらに高分子皮膜剤を含むことを特徴とする上記の化粧料を提供するものである。
【0010】
さらに、本発明は、さらに疎水化処理粉末または球状粉末を含むことを特徴とする上記の化粧料を提供するものである。
【0011】
また、本発明は、前記化粧料が油中水型乳化化粧料であることを特徴とする上記の化粧料を提供するものである。
【0012】
さらに、本発明は、0.1〜5.0質量%の有機変性粘土鉱物を配合して乳化することを特徴とする上記の油中水型乳化粧料を提供するものである。
【0013】
また、本発明は、0.1〜10.0質量%の下記成分(A)と、下記成分(B)とを配合して乳化し、水相成分の含有量が50質量%以上であることを特徴とする上記の油中水型乳化粧料を提供するものである。
(A)下記構造式(I)の架橋型ポリエーテル変性シリコーンの1種又は2種以上。
【化6】
(ただし、上記構造式(I)において、lは3〜20、mは10〜200、nは1.0〜10.0である)
(B)分子量2000〜300000である水溶性高分子、無機塩及びアミノ酸塩からなる群から選ばれる1種又は2種以上。
【0014】
また、本発明は、エチルセルロース及びエチルセルロースを膨潤可能な溶剤を含む油相と、カチオン化セルロースとヒアルロン酸ナトリウムとからなるポリイオンコンプレックスを含む水相とが、油中水型(W/O型)に乳化されていることを特徴とする上記の油中水型乳化粧料を提供するものである。
【0015】
さらに、本発明は、下記成分(C)と成分(D)とを配合して乳化することを特徴とする上記の油中水型乳化化粧料を提供するものである。
(C)下記構造式(II)で表される架橋型ポリエーテル変性シリコーン
【化7】
(II)
(式中、pは3〜30、qは1〜10、rは1〜50、sは10〜200の値を有する整数であり、Rは炭素数1〜22までの値を有するアルキル基である。)
(D)下記構造式(III)で表されるシリコーン・ポリアミド共重合体
【化8】
(III)
(式中、aは1〜40、bは1〜40、cは1〜700、dは1〜500の値を有する整数である。)
【0016】
本発明に用いるHFEは、下記一般式(1)で表されるハイドロフルオロエーテルであり、先に説明した特許文献1(特開平11−71222号公報)に詳細に記載されている公知化合物である。本発明に用いるHFEの粘度は25℃において5mPa・s未満である。この粘度は、B型粘度計(ローターNo1 12rpm 30℃測定)で測定される粘度である。
【化9】
CnHmFl−O−CxHyFz (1)
[式中、nは1〜12の数、mは0〜25の数、lは0〜11の数、m+l=2n+1であり、xは1〜12の数、yは0〜25の数、zは0〜11の数、y+z=2x+1である(ただし、mとnは同時に0とはならない。また、lとzは同時に0とはならない)。]
nは1〜10が好ましく、さらに好ましくは1〜6である。xは1〜10が好ましく、さらに好ましくは1〜6である。
【0017】
本発明においては、特に、下記一般式(2)で表されるハイドロフルオロエーテルが好ましい。
【化10】
CnF2n+1−O−CxH2x+1 (2)
[式中、nは1〜12の数、xは1〜12の数である]
nは1〜10が好ましく、さらに好ましくは1〜6である。xは1〜10が好ましく、さらに好ましくは1〜6である。
【0018】
具体的に好ましいHFEは、C4F9−O−CH3 、C4F9−O−C2H5 、C5F11−O−C2H5 、C3F7−O−C4H9 、C4F9−O−C4H9等が挙げられる。これらは、常法により合成することも可能であるし、市販品(Cosmetic Flaid CF−61、CF−76 3M社製)を使用することもできる。
【0019】
HFEの化粧料全量に対する配合量は特に限定されないが、通常、0.1〜60質量%、好ましくは、1.0〜30質量%配合される。目的とする化粧料に応じて配合量は適宜決定される。
【0020】
本発明に用いる環状シリコーン油としては、オクタメチルシクロシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン等が挙げられる。
【0021】
環状シリコーンの化粧料全量に対する配合量は、HFEの配合量との関係及び目的とする化粧料に応じて適宜決定される。通常0.1〜60質量%、好ましくは1.0〜30質量%配合される。
HFEと環状シリコーンとの配合比は、質量比で、1:9〜9:1、好ましくは1:5〜5:1である。この配合比によって、他の化粧料配合成分を安定に配合して目的の各種化粧料を製造することが出来る。得られる化粧料は、非常にさっぱりした使用感触を発揮する。高分子皮膜剤を配合した化粧料においては、高分子皮膜剤由来のべたつきを低減させることができる。
【0022】
なお、紫外線吸収剤を配合する場合は、紫外線吸収剤由来の匂いも低減させる効果が期待できる。特に、オクチルメトキシシンナメート(MCX)を配合した場合にその効果が大きい。
【0023】
本発明に配合可能な高分子皮膜剤としては、これにより形成される皮膜が水溶性の皮膜でなく、かつ人体に接触させた際の安全性に優れる高分子皮膜剤であれば特に限定されない。例えば、ニトロセルロース等の有機溶剤溶解性高分子皮膜剤;エチルセルロース(EC),エチルヒドロキシエチルセルロース(EHEC),セラック等のアルコール溶解性高分子皮膜剤;シリコーン樹脂(MQレジン,MDQレジン等),シリコーン化プルラン等の揮発性シリコーン溶解性高分子皮膜剤等を挙げることができる。
特に揮発性シリコーン溶解性高分子皮膜剤としては、トリメチルシロキシケイ酸、アクリル酸アルキル共重合体メチルポリシロキサン、3−[トリス(トリメチルシロキサン)シリル]プロピルカルバミド酸プルラン、高重合ジメチルシロキサン・メチル(アミノプロピル)シロキサン共重合体等が好ましく、安定性や使用性等の点からトリメチルシロキシケイ酸がより好ましく用いられる。
本発明の化粧料は、高分子皮膜剤を配合した場合であっても高分子皮膜剤由来のべたつきを低減させることができる。
【0024】
高分子皮膜剤の化粧料全量に対する配合量は目的とする化粧料に応じて適宜決定される。通常0.1〜10質量%である。
揮発性シリコーン溶解性高分子皮膜剤を用いる場合、その配合量は、化粧料全量に対して0.1〜10質量%が好ましく、さらに好ましくは1.0〜5.0%である。0.1質量%未満では、皮膜剤の機能が発揮できず、また10%を超えると、皮膜剤由来の顕著なべたつきが生じてしまう。
【0025】
本発明に配合可能な疎水化処理粉末としては、通常化粧料に用いられる粉末、例えば、無機粉末(例えば、タルク、カオリン、雲母、絹雲母(セリサイト)、白雲母、金雲母、合成雲母、紅雲母、黒雲母、パーミキュライト、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸バリウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸ストロンチウム、タングステン酸金属塩、マグネシウム、シリカ、ゼオライト、硫酸バリウム、焼成硫酸カルシウム(焼セッコウ)、リン酸カルシウム、弗素アパタイト、ヒドロキシアパタイト、セラミックパウダー、金属石鹸(例えば、ミリスチン酸亜鉛、パルミチン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム)、窒化ホウ素等);有機粉末(例えば、ポリアミド樹脂粉末(ナイロン粉末)、ポリエチレン粉末、ポリメタクリル酸メチル粉末、ポリスチレン粉末、スチレンとアクリル酸の共重合体樹脂粉末、ベンゾグアナミン樹脂粉末、ポリ四弗化エチレン粉末、セルロース粉末等);無機白色顔料(例えば、二酸化チタン、酸化亜鉛等);無機赤色系顔料(例えば、酸化鉄(ベンガラ)、チタン酸鉄等);無機褐色系顔料(例えば、γ−酸化鉄等);無機黄色系顔料(例えば、黄酸化鉄、黄土等);無機黒色系顔料(例えば、黒酸化鉄、低次酸化チタン等);無機紫色系顔料(例えば、マンガンバイオレット、コバルトバイオレット等);無機緑色系顔料(例えば、酸化クロム、水酸化クロム、チタン酸コバルト等);無機青色系顔料(例えば、群青、紺青等);パール顔料(例えば、酸化チタンコーテッドマイカ、酸化チタンコーテッドオキシ塩化ビスマス、酸化チタンコーテッドタルク、着色酸化チタンコーテッドマイカ、オキシ塩化ビスマス、魚鱗箔等);金属粉末顔料(例えば、アルミニウムパウダー、カッパーパウダー等);ジルコニウム、バリウム又はアルミニウムレーキ等の有機顔料(例えば、赤色201号、赤色202号、橙色203号、橙色204号、黄色205号、黄色401号、及び青色404号などの有機顔料);天然色素(例えば、クロロフィル、β−カロチン等)等を、高級脂肪酸や油脂、ロウ、シリコーン化合物、炭化水素、界面活性剤、デキストリン脂肪酸エステル等の物質によって粉末表面を処理した疎水化処理粉末である。
疎水化処理粉末を配合する目的は、主に化粧料に紫外線散乱効果を付与するためであり、本発明の化粧料には、この粉末を安定に分散して配合させることが可能である。
【0026】
疎水化処理粉末の配合量は、化粧料全量に対して1.0〜30質量%であり、好ましくは5.0〜20質量%である。1質量%未満では、紫外線散乱効果が低く、30質量%を超えると粉末由来のきしみ感が生じてしまう。
【0027】
本発明に配合可能な球状粉末としては、オルガノポリシロキサンエラストマー球状粉末またはこれを母粉末とする複合球状粉末、ポリウレタン球状粉末またはこれを母粉末とする複合球状粉末からなる群から選ばれるものである。市販品として、トレフィルE−505C、トレフィルE−506C、トレフィルE−506S(東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社)や、シリコーンパウダーKSP−100(信越化学工業株式会社)、プラスティックパウダーD−400、プラスティックパウダーD−800(東色ピグメント株式会社)が挙げられる。球状粉末を配合する目的は、主に化粧料の使用性を改善するためであり、本発明の化粧料には、この粉末を安定に分散して配合させることが可能である。
【0028】
球状粉末の配合量は、化粧料全量に対して0.1〜10質量%であり、好ましくは0.5〜5.0質量%である。0.1質量%未満では使用性改善効果がなく、10%を超えると肌上に粉末が白く残ってしまう。
【0029】
本発明の化粧料は、乳化剤を使用して乳化安定性に優れた油中水型乳化化粧料を製造することが出来る。乳化剤は通常油中水型乳化化粧料に使用する界面活性剤を使用でき、油分及び水を目的とする油中水型乳化化粧料に応じて適宜選択し、適する配合量、例えば、水を1〜80質量%の範囲、油分を1〜90質量%の範囲で配合して常法により製造することが可能である。特に下記(1)〜(4)の油中水型乳化化粧料が好ましい。
【0030】
(1)0.1〜5.0質量%の有機変性粘土鉱物を配合して乳化することを特徴とする油中水型乳化化粧料。
有機変性粘土鉱物を乳化剤として配合して乳化する油中水型乳化化粧料は公知であり、本発明の必須成分と油分と水とを配合して常法により製造することが出来る。例えば、特許文献2(特開平10−194924号公報)、特許文献3(特開平11−116433号公報)、特許文献4(特開2001−097815号)等に記載された乳化方法により製造出来る。油相を構成する油分の種類は限定されず、その配合量も通常油中水型乳化化粧料に対して1〜80質量%の範囲で適宜決定される。また、水相を構成する水や水性成分の配合量も、通常1〜40質量%の範囲で適宜決定される。
【0031】
有機変性粘土鉱物は、三層構造を有するコロイド性含水ケイ酸アルミニウムの一種で、一般に下記一般式(3)で表される粘土鉱物を第四級アンモニウム塩型カチオン界面活性剤で変性したものが挙げられる。具体的には、モンモリロナイト、サポナイト、ヘクトライト等の天然または合成(この場合、式中の(OH)基がフッ素で置換されたもの)のモンモリロナイト群(市販品ではビーガム、クニピア、ラポナイト等がある。)およびナトリウムシリシックマイカやナトリウムまたはリチウムテニオライトの名で知られる合成雲母(市販品ではダイモナイト:トピー工業(株)等がある。)等の粘土鉱物を第四級アンモニウム塩型カチオン界面活性剤で処理して得られる。
【化11】
(X,Y)2−3(Si,Al)4O10(OH)2Z1/3・nH2O (3)
(但し、X=Al,Fe(III),Mn(III),Cr(III)、Y=Mg,Fe(II),Ni,Zn,Li、Z=K,Na,Ca、nは自然数を表す。)
【0032】
ここで用いる第四級アンモニウム塩型カチオン界面活性剤は、下記一般式(4)で表されるものである。
【化12】
(式中、R1は炭素数10〜22のアルキル基またはベンジル基、R2はメチル基または炭素数10〜22のアルキル基、R3およびR4は炭素数1〜3のアルキル基またはヒドロキシアルキル基、Xはハロゲン原子またはメチルサルフェート残基を表す。)
第四級アンモニウム塩型カチオン界面活性剤の具体例としては、例えば、ドデシルトリメチルアンモニウムクロリド、ミリスチルトリメチルアンモニウムクロリド、セチルトリメチルアンモニウムクロリド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロリド、アラキルトリメチルアンモニウムクロリド、ベヘニルトリメチルアンモニウムクロリド、ミリスチルジメチルエチルアンモニウムクロリド、セチルジメチルエチルアンモニウムクロリド、ステアリルジメチルエチルアンモニウムクロリド、アラキルジメチルエチルアンモニウムクロリド、ベヘニルジメチルエチルアンモニウムクロリド、ミリスチルジエチルメチルアンモニウムクロリド、セチルジエチルメチルアンモニウムクロリド、ステアリルジエチルメチルアンモニウムクロリド、アラキルジエチルメチルアンモニウムクロリド、ベヘニルジエチルメチルアンモニウムクロリド、ベンジルジメチルミリスチルアンモニウムクロリド、ベンジルジメチルセチルアンモニウムクロリド、ベンジルジメチルステアリルアンモニウムクロリド、ベンジルジメチルベヘニルアンモニウムクロリド、ベジルメチルエチルセチルアンモニウムクロリド、ベンジルメチルエチルステアリルアンモニウムクロリド、ジベヘニルジヒドロキシエチルアンモニウムクロリド、および相当するブロミド等、更にはジパルミチルプロピルエチルアンモニウムメチルサルフェート等が挙げられる。本発明の実施にあたっては、これらのうち一種または二種以上が任意に選択される。
【0033】
本発明に好ましい有機変性粘土鉱物としては、ジメチルアルキルアンモニウムヘクトライト、ベンジルジメチルステアリルアンモニウムヘクトライト、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム処理ケイ酸アルミニウムマグネシウム等が挙げられる。市販品としては、ベントン27(ベンジルジメチルステアリルアンモニウムクロライド処理ヘクトライト:ナショナルレッド社製)およびベントン38(ジステアリルジメチルアンモニウムクロライド処理ヘクトライト:ナショナルレッド社製)が好ましい。
【0034】
有機変性粘土鉱物の配合量は、油中水型乳化化粧料全量に対して0.1〜5.0質量%、好ましくは、0.2〜3.0質量%である。0.1質量%未満では十分な安定性は得にくく、5.0質量%までの配合で十分な安定性、みずみずしい使用感触が得られる。5.0質量%を超えて配合すると安定性が低下したり、指への取れが悪くなったり肌上での伸びが重くなるなどの使用性の点で好ましくない。
【0035】
(2)0.1〜10.0質量%の下記成分(A)と、下記成分(B)とを配合して乳化し、水相成分の含有量が50質量%以上であることを特徴とする油中水型乳化化粧料。
(A)下記構造式(I)の架橋型ポリエーテル変性シリコーンの1種又は2種以上。
【化13】
(ただし、上記構造式(I)において、lは3〜20、mは10〜200、nは1.0〜10.0である)
(B)分子量2000〜300000である水溶性高分子、無機塩及びアミノ酸塩からなる群から選ばれる1種又は2種以上。
上記必須成分(A)を乳化剤として用いる油中水型乳化化粧料は公知であり、上述の必須成分と油分と水とを配合して常法により製造することが出来る。例えば、特許文献5(特開2001−2520号公報)に記載されている方法にて、水相成分の含有量が50質量%以上である高内水相油中水型乳化化粧料が製造出来る。
【0036】
上記成分(A)の架橋型ポリエーテル変性シリコーンは、メチルハイドロジェンポリシロキサンを両末端のジアリルポリエーテルで架橋した高分子である。その製造は、例えば、特開平4−272932号公報あるいは特開平5−140320号公報等に記載されている方法で行うことができる。本発明においては、これらの公報に従って製造したものを使用してもよいし、また、市販品を使用してもよい。
【0037】
架橋型ポリエーテル変性シリコーンは、予めシリコーン油と剪断力下で混練処理されたペースト状ポリエーテル変性シリコーン組成物とされたものを使用するのが好ましいが、ポリエーテル変性シリコーンとシリコーン油等を化粧料成分として配合しても構わない。また、ポリエーテル変性シリコーンとシリコーン油とを、場合によっては更にその他の化粧料成分等と配合した後に混練処理することも可能である。
【0038】
架橋型ポリエーテル変性シリコーンの配合量については、油中水型乳化化粧料全量に対して、0.1〜10.0質量%で配合することが好ましい。0.1質量%未満では、内相50.0質量%以上の水相成分を乳化できない場合がある。また、10.0質量%を越えて配合すると、伸びが悪く、使用感も重くなり、好ましくない。
【0039】
上記必須成分(B)は、使用性改善剤として配合する成分である。使用性改善剤として配合する成分(B)は、分子量2000〜300000である水溶性高分子、無機塩及びアミノ酸塩からなる群から選ばれる1種又は2種以上である。使用性改善剤としては、水溶性高分子、無機塩又はアミノ酸塩の少なくとも1種を用いれば十分であるが、2種以上の複数の無機塩もしくはアミノ酸塩を混合使用してもかまわない。また、その配合量は使用性改善の性能を発現する範囲内にすることが必要であり、各改善剤化合物の配合量は以下にそれぞれ記載するとおりである。
【0040】
水溶性高分子としては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリビニールアルコール、ポリアクリル酸、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシメチルセルロース及びメチルセルロース等の水溶性合成高分子、並びにデキストリン、ペプチン、アルギン酸、コンドロイチン硫酸等の天然水溶性高分子などである。
【0041】
その水溶性高分子の分子量は前記したとおり2000〜300000であり、好ましくは3000〜100000がよい。分子量が2000未満のものは使用性改善に寄与しない。また、分子量が300000を越えると、使用性改善の寄与が少なく、乳化化粧料の使用感にべたつきを生じるという欠点が出てくる。その配合量は、油中水型乳化化粧料全量の0.1〜20.0質量%、好ましくは0.2〜10.0質量%である。0.1質量%未満では使用性を向上させることができず、20.0質量%を越えると、乳化化粧料として用いる際に、べたつきの原因となり好ましくない。
【0042】
水溶性高分子の中で特に好ましいものは、ポリエチレングリコールであり、他のものより乳化化粧料の使用性向上に特に有効であり、かつ乳化化粧料としては使用する際の使用感が好まれるという長所を有する。ポリエチレングリコールにおける特に好ましい分子量は3000〜20000であり、配合量は、乳化化粧料全量に対して1〜10.0質量%が好ましい。
【0043】
無機塩としては、塩酸、硫酸、硝酸、炭酸、リン酸等のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アルミニウム塩、亜鉛塩、又はアンモニウム塩等が挙げられる。好ましい無機塩としては塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、塩化アルミニウム、塩化亜鉛、塩化アンモニウム等の塩化物、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸マグネシウム、硫酸アルミニウム、硫酸亜鉛、硫酸アンモニウム等の硫酸塩、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、硝酸マグネシウム、硝酸カルシウム、硝酸アルミニウム、硝酸亜鉛、硝酸アンモニウム等の硝酸塩、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム等の炭酸塩、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム等のリン酸塩が挙げられる。
【0044】
これらの中でも無機塩としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、塩化アルミニウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸マグネシウム、硫酸アルミニウムが特に好ましい。本発明で使用性改善剤として無機塩を用いる場合の配合量は、油中水型乳化化粧料全量に対して0.1〜8.0質量%、好ましくは0.2〜5.0質量%である。0.1質量%未満では乳化物の使用性を向上させることができず、また、8.0質量%を越えて配合しても効果を増強するものではない。
【0045】
アミノ酸塩は、アミノ酸中のカルボキシル基又はアミノ基が塩を形成したものであり、水溶性のアミノ酸塩が特に制限されることなく使用できる。例えば、アスパラギン酸ナトリウム、アスパラギン酸カリウム、アスパラギン酸マグネシウム、アスパラギン酸カルシウム、グルタミン酸ナトリウム、グルタミン酸カリウム、グルタミン酸マグネシウム、グルタミン酸カルシウム、グルタミン酸塩酸塩、システイン塩酸塩、ヒシチジン塩酸塩、リジン塩酸塩、オルニチン塩酸塩、オルニチン酢酸塩、トリプトファン塩酸塩、アルギニン−グルタミン酸塩、オルチニン−グルタミン酸塩、リジン−グルタミン酸塩、リジン−アスパラギン酸塩、オルニチン−アスパラギン酸塩等がある。
【0046】
これらの中でもアミノ酸塩としては、グルタミン酸ナトリウムが好ましい。本発明で安定化剤としてアミノ酸塩を用いる場合の配合量としては、油中水型乳化化粧料全量に対して、0.1〜8.0質量%、好ましくは0.2〜5.0質量%である。0.1質量%未満では使用性を向上させることができず、また、8.0質量%を越えて配合しても効果を増強するものではない。
【0047】
本発明によって、水相成分の含有量が、50質量%以上の高内水相油中水型乳化化粧料が製造出来る。水相成分とは、水、エタノール、増粘剤等の水溶性化合物が該当するものであり、使用性改善剤として配合される水溶性高分子、無機塩及びアミノ酸塩も水相成分である。この水相成分の配合量については、本発明では化粧料全量に対して50〜90質量%未満の範囲で配合するものである。その配合量は水そのもので60質量%以上がよく、このようにすることにより潤い感を付与でき好ましい。水相成分が50質量%未満の配合量では、水を入れた特徴が出にくく、潤い感に欠ける。逆に90質量%以上配合すると油中水型にすることが困難となる。
【0048】
なお、本発明の高内水相油中水型乳化化粧料に配合される油相成分としては、油中水型(W/O型)の乳化化粧料に通常使用される油分を特に制限されることなく使用できる。それには、天然動・植物油、合成油のいずれも使用可能である。この油相成分としては、具体的には、流動パラフィン、スクワラン等の液状、ペースト状もしくは固形状の炭化水素、ワックス、高級脂肪酸、高級アルコール、エステル、グリセライド、又はジメチルポリシロキサン、もしくはポリエーテル変性、フッ素変性等の各種変性シリコーン等のシリコーン系油剤等が挙げられる。
【0049】
本発明の乳化化粧料においては、前記油相成分は化粧料中に化粧料全量に対して10〜50質量%未満の範囲で配合される。10質量%未満では、化粧料を油中水型にすることが困難であり、50質量%以上配合すると内相の水が少なくなり過ぎ使用感の面で潤い感に欠け好ましくない。なお、油相には、化粧料中に含有される天然動・植物油、合成油等のすべての油性成分が該当するものであり、乳化剤である架橋型ポリエーテル変性シリコーン及びその好ましい形態であるペースト状ポリエーテル変性シリコーン組成物等も油性成分である。
【0050】
(3)エチルセルロース及びエチルセルロースを膨潤可能な溶剤を含む油相と、カチオン化セルロースとヒアルロン酸ナトリウムとからなるポリイオンコンプレックスを含む水相とが油中水型(W/O型)に乳化されていることを特徴とする油中水型乳化化粧料。
この油中水型乳化化粧料は、従来の界面活性剤を使用せず、エチルセルロース、エチルセルロースを膨潤可能な溶剤及び水溶性高分子又は特定のポリイオンコンプレックスを用い、安定性、安全性および使用性の良好なW/O型乳化組成物を提供するものである。その詳細は、特許文献6(特開平9−157130号公報)に記載されている。本発明の油中水型乳化化粧料は、上述の必須成分を配合して、特許文献6に記載された方法により製造することが出来る。
【0051】
本発明において用いる油溶性高分子であるエチルセルロース(以下ECと略す)はセルロースの3個の水酸基中いくつかのものがエトキシル置換されているもので、エトキシル含有率が40〜50%のものを使用するのが好ましい。ECはエチルセルロースを膨潤可能な溶剤中で膨潤させた後、通常、化粧品で使用される油分に溶解または膨潤させて使用する。また、油分にECを分散させた後に、エチルセルロースを膨潤可能な溶剤を添加して油相を調製してもよい。とくに、相溶性の良好な油としてメチルフェニルポリシロキサンおよび常温液状の脂肪酸や高級アルコールが好ましい。ECの配合量は、油中水型乳化化粧料全量に対して0.01〜10質量%が好ましく、より好ましくは0.5〜5質量%である。0.01質量%未満とすると、連続相の粘弾性が低く乳化安定性が悪くなり、10質量%を超えると、連続相の粘弾性が高く乳化が難しくなることがある。
【0052】
エチルセルロースを膨潤可能な溶剤は特に限定されないが、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、イソブチルアルコール等の通常、化粧料等の分野で使用される膨潤剤が好ましい。エチルセルロースを膨潤可能な溶剤の配合量は、油中水型乳化化粧料全量に対して0.01〜20質量%が好ましく、ECの配合量に対して等倍量以上配合されることが好ましい。
【0053】
本発明の油相に用いられる油分は、液体油脂、固体油脂、ロウ、炭化水素、高級脂肪酸、高級アルコール、合成エステル、シリコーン等の通常、化粧料に配合される油分を使用することが出来る。
【0054】
本発明に用いる水溶性高分子は従来より増粘剤、乳化安定剤として利用されている水溶性高分子であればよい。
天然の水溶性高分子としては、例えば、アラアビアガム、トラガカントガム、ガラクタン、グアガム、キャロブガム、カラヤガム、カラギーナン、ペクチン、カンテン、クインスシード、アルゲコロイド、デンプン、グリチルリチン酸等の植物系高分子、キサンタンガム、デキストラン、サクシノグルカン、プルラン等の微生物系高分子、コラーゲン、カゼイン、アルブミン、ゼラチン等の動物系高分子が挙げられる。
半合成の水溶性高分子としては、例えば、カルボキシメチルデンプン、メチルヒドロキシプロピルデンプン等のデンプン系高分子、メチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、セルロース硫酸ナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC)、カチオン化セルロース等のセルロース系高分子、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル等のアルギン酸系高分子が挙げられる。
合成の水溶性高分子としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー等のビニル系高分子、ポリエチレングリコール20,000、40,000 、60,000 等のポリオキシエチレン系高分子、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合体共重合系高分子、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチルアクリレート、ポリアクリルアミド等のアクリル系高分子、ポリエチレンイミン、カチオンポリマー等が挙げられる。
無機の水溶性高分子としては例えば、ベントナイト、ケイ酸A1Mg( ビーガム) 、ラポナイト、ヘクトライト、無水ケイ酸等が挙げられる。
特には、カルボキシメチルセルロースナトリウム(以下CMCと略す)のような塩による影響を受けにくい水溶性高分子が好ましい。
【0055】
水溶性高分子の配合量は油中水型乳化化粧料全量に対して0.1〜10質量%が好ましく、より好ましくは0.5〜5質量%である。0.1質量%未満とすると、非連続相の合一を抑制できず乳化組成物は不安定となり、10質量%を超えると、乳化が難しくなることがある。
【0056】
本発明において用いるポリイオンコンプレックス(以下PICと略す)は、カチオン化セルロース(例えば、Polyquaternium−4, Polyquaternium−10,Polyquaternium−24が挙げられ、以下CCと略す)とヒアルロン酸ナトリウム(以下HA−Naと略す)という互いに反対の電化を有する高分子電解質同志の錯体であり、カチオン化セルロース及びヒアルロン酸ナトリウムとを水相中に添加することにより形成される。CCとHA−Naの組成比は重量比でCC:HA−Na=9.9:0.1〜8:2が好ましく、9:1〜8:2がより好ましい。
【0057】
PICの配合量は油中水型乳化化粧料全量に対して0.1〜10質量%が好ましく、より好ましくは0.5〜5質量%である。本発明においては、カチオン化セルロース及びヒアルロン酸ナトリウムを直接水相に添加するか、それぞれの水溶液を水相に添加すればよい。その場合に、カチオン化セルロース及びヒアルロン酸ナトリウムの合計量が、乳化組成物全量に対して、好ましくは0.1〜10重量、より好ましくは0.5〜5質量%になるようにそれぞれ配合されればよい。また、その配合比が、質量比で、CC:HA−Na=9.1:0.1〜8:2が好ましい。この配合比からはずれると乳化安定性が低くなる場合がある。
【0058】
本発明においては、油中水型乳化化粧料を構成する油相と水相の比率は広範囲に選択できるが、好ましくは、質量比で、水相:油相=40〜90:60〜10である。
【0059】
本発明の油中水型乳化化粧料の製造方法は、例えば、ECを膨潤可能な溶剤中にECを膨潤させた後、油分を加え70℃程度に加温して油相を調製するか、または、ECを油分に分散させた後70℃程度に加温し、ECを膨潤可能な溶剤を添加して油相を調製し、この油相に撹拌しながら、70℃程度に調製した上記必須成分を配合した水相を添加することにより製造出来る。この場合、ホモミキサー、ディスパーで強撹拌処理を行うことが望ましい。なお、ECを膨潤可能な溶剤を使用してECを含む油相を調整した後、該油相からECを膨潤可能な溶剤を揮発により留去して、水相と撹拌し、最終的にECを膨潤可能な溶剤は含まない油中水型乳化化粧料を製造することが可能な場合もあり、本発明の油中水型乳化化粧料のポイントは、ECを膨潤可能な溶剤を使用する点である。
【0060】
(4)下記成分(C)と成分(D)とを配合して乳化することを特徴とする油中水型乳化化粧料。
(C)下記構造式(II)で表される架橋型ポリエーテル変性シリコーン
【化14】
(II)
(式中、pは3〜30、qは1〜10、rは1〜50、sは10〜200の値を有する整数であり、Rは炭素数1〜22までの値を有するアルキル基である。)
(D)下記構造式(III)で表されるシリコーン・ポリアミド共重合体
【化15】
(III)
(式中、aは1〜40、bは1〜40、cは1〜700、dは1〜500の値を有する整数である。)
【0061】
この油中水型乳化化粧料は、皮膚や毛髪にうるおいを与え、しっとりし、べたつきがなく、かつのびが軽く、しかも経時安定性にも優れた油中水型乳化化粧料であり、本願出願人により出願されたものではあるが(特願2002−379102)、出願公開されていない技術である。以下に詳述する。
【0062】
油中水型の乳化化粧料は外相が油分であることから皮膚の保護や柔軟性付与等の利点を有する。しかしながら、使用時のべたつき、のびの重さ、硬さなどの使用性は満足できるものではなかった。
【0063】
近年、べたつきを低減し、さっぱりさを得るために、油中水型の連続相となる油分に極性油を用いる場合が多くみられる。そして、極性油を用いて安定な油中水型の乳化化粧料を得るためには、乳化剤として、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル等の多価アルコール脂肪酸エステル系活性剤、あるいはポリオキシアルキレン変性オルガノシロキサン系活性剤が用いられている。
【0064】
しかしながら、これらの活性剤を乳化剤として用いた場合には、低温においては、水滴の凝集によって連続相である油相の分離が生じやすい。また、高温においては、水滴の合一により粒子が増大して沈降し、上層部が油分のみとなる油相分離が生じやすい。
【0065】
また最近では、極性油を油分とする油中水型の乳化化粧料において、乳化剤としてジポリヒドロキシステアリン酸ポリエチレングリコール、ジポリヒドロキシステアリン酸ポリグリセリルなどが用いられる場合がある。しかしながら、これらの活性剤を乳化剤として用いた場合、乳化安定性には優れているが、使用性の面ではべたつきが生じて、望ましい化粧料は得られない。
【0066】
一方、本発明で使用する(C)成分の架橋型ポリエーテル変性シリコーンについては、シリコーン油あるいは炭化水素油と共に剪断力下で混練処理されたペースト状ポリエーテル変性シリコーン組成物が最近開発され、その組成物を使用して経時安定性および使用感に優れた油中水型乳化組成物を製造する技術が提案されている(例えば、特開平6−40847号公報、特開平9−136813号公報)。
【0067】
また、本発明で使用する(D)成分のシリコーン・ポリアミド共重合体については、増粘剤として化粧料に配合されている(例えば、特表2001−512164号公報参照)。
【0068】
本発明者等は上述の観点に鑑みて、さっぱり感があり、べたつかず、安定性に優れた油中水型の乳化化粧料を得るための鋭意研究を行った結果、驚くべきことに、架橋型ポリエーテル変性シリコーンを乳化剤として使用し、系の安定化剤としてシリコーン・ポリアミド共重合体を用いて油中水型の乳化化粧料を調製すると、極性油から非極性油までの幅広い油分を安定に配合でき、皮膚や毛髪に潤いを与え、しっとりとし、べたつきがなく、かつのびが軽いという使用性が得られることを発見し、本発明の油中水型乳化化粧料を完成するに至った。
【0069】
本発明の油中水型乳化化粧料は、皮膚や毛髪に潤いを与え、しっとりとし、べたつきがなく、かつのびが軽く、しかも経時安定性にも優れた油中水型乳化化粧料を提供することを目的とするものであり、これに、環境を破壊せず、皮膚に対して安全性の高いフッ素系溶剤と環状シリコーンとを配合したものである。
【0070】
また、本発明は、さらに成分(E)として、無機性/有機性値(IOB値)が0.2〜0.6のエステル油を含有することを特徴とする上記の油中水型乳化化粧料を提供するものである。
【0071】
さらに、本発明は、前記成分(E)の無機性/有機性値(IOB値)が0.2〜0.6のエステル油が、ジネオペンタン酸トリプロピレングリコール(IOB=0.52)、イソデシルベンゾエート(IOB=0.23)、ジカプリル酸プロピレングリコール(IOB=0.32)、イソノナン酸イソノニル(IOB=0.2)、2−エチルヘキサン酸セチル(IOB=0.52)、トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル(IOB=0.36)、テトラ2−エチルヘキサン酸ペンタエリスリト(IOB=0.35)、コハク酸ジ2−エチルヘキシル(IOB=0.32)からなる群から選ばれた一種または二種以上であることを特徴とする上記の油中水型乳化化粧料を提供するものである。
【0072】
また、本発明は、前記成分(C)の架橋型ポリエーテル変性シリコーンが、シリコーン油または炭化水素油と共に剪断力下で混練処理されたペースト状ポリエーテル変性シリコーン組成物とされたものであり、かつその組成物において、架橋型ポリエーテル変性シリコーンと、シリコーン油または炭化水素油の質量比が、100:10〜1000であることを特徴とする上記の油中水型乳化化粧料を提供するものである。
【0073】
さらに、本発明は、前記成分(D)のシリコーン・ポリアミド共重合体が、高級アルコールのポリプロピレングリコールエーテルとの混合物として配合されることを特徴とする上記の油中水型乳化化粧料を提供するものである。
【0074】
また、本発明は、前記成分(D)のシリコーン・ポリアミド共重合体が、高級アルコールのポリプロピレングリコールエーテルとの混合物として配合され、該混合物において、成分(D)のシリコーン・ポリアミド共重合体と、高級アルコールのポリプロピレングリコールエーテルの質量比が、80〜90:20〜10であることを特徴とする油中水型乳化化粧料を提供するものである。
【0075】
さらに、本発明は、油中水型乳化化粧料全量に対して、成分(C)の含有量が0.1〜10.0質量%、成分(E)の含有量が0.01〜10.0質量%であることを特徴とする上記の油中水型乳化化粧料を提供するものである。
【0076】
また、本発明は、油中水型乳化化粧料全量に対して、成分(C)のエステル油の含有量が、0.01〜50.0質量%であることを特徴とする上記の油中水型乳化化粧料を提供するものである。
【0077】
さらに、本発明は、油中水型乳化化粧料の水相成分の含有量が50.0〜90.0質量%であることを特徴とする上記の油中水型乳化化粧料を提供するものである。
【0078】
また、本発明は、さらに塩型薬剤を含有することを特徴とする上記の油中水型乳化化粧料を提供するものである。
【0079】
本発明において、乳化剤として使用する成分(C)の架橋型ポリエーテル変性シリコーンは、メチルハイドロジェンポリシロキサンを両末端のジアリルポリエーテルで架橋した高分子である。その製造は、例えば、特開平4−272932号公報あるいは特開平5−140320号公報等に記載されている方法で行うことができる。本発明においてはこれらの文献により製造したものを使用してもよく、また、市販品を使用してもよい。
【0080】
上記構造式(I)中のRに長鎖アルキル基を導入する際には、メチルハイドロジェンポリシロキサンと高級アルコールとをまず反応させて形成したアルキル基を導入したポリシロキサンと、メチルハイドロジェンポリシロキサンを用いて、両末端ジアリルポリエーテルにて架橋することにより得られる。
【0081】
成分(C)の架橋型ポリエーテル変性シリコーンは、予めシリコーン油または炭化水素油とともに剪断力下で混練処理されたペースト状ポリエーテル変性シリコーン組成物とされたものを配合することが好ましい。シリコーン油または炭化水素油と場合によっては更にその他の化粧料成分等と配合した後に、ポリエーテル変性シリコーンは、剪断力下で混練処理されたペースト状ポリエーテル変性シリコーン組成物を配合することも可能である。ただし、ポリエーテル変性シリコーンと、シリコーン油または炭化水素油等を化粧料成分として別々に配合しても構わない。
【0082】
本発明において、構造式(I)の架橋型ポリエーテル変性シリコーンは、pが3〜30であることが好ましい。pが3未満では、架橋型ポリエーテル変性シリコーンと、選択したシリコーン油または炭化水素油とを剪断力下で混練処理して得られたペースト状組成物が水相の乳化性に乏しい。また、pが30を越えるとシリコーン油または炭化水素油への膨潤性が十分でなくなり、好ましくない。
また、rは1〜50であることが好ましい。rが1より小さいと極性油に対しての乳化性に乏しく、50を越えると非極性油に対しての乳化性に乏しくなる。さらに、sは10〜200であることが好ましい。sが10未満では、シリコーン油または炭化水素油に対して十分に膨潤せず、200を越えると、シリコーン油または炭化水素油と混練処理して得られたペースト状組成物が水相の乳化性に乏しくなる。
また、qは1〜10であることが好ましい。qが1より小さいと、3次元構造体の形成ができず、シリコーン油または炭化水素油と混練処理してもペースト状物とならず、水相の乳化性に劣るものとなる。逆にqが10を越えると、3次元構造体の架橋密度が高くなり過ぎるためシリコーン油または炭化水素油と混練処理してもシリコーン油または炭化水素油を保持できず、安定なペースト状物とならず好ましくない。
【0083】
本発明において、架橋型ポリエーテル変性シリコーンと混練処理する溶剤は、構造式(I)中のRがメチル基の場合にはシリコーン油を、エチル基以上の炭素鎖を用いる場合には炭化水素油を用いることが望ましい。これは、Rのアルキル基の鎖長により、シリコーン油あるいは炭化水素油への膨潤性が変わるからである。
【0084】
混練処理するシリコーン油については、特に制限されるものではなく、直鎖状あるいは分岐状のいずれであってもよく、各種のシリコーン油が使用可能である。使用可能な具体的なシリコーン油としては、メチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、エチルポリシロキサン、エチルメチルポリシロキサン、エチルフェニルシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン等の環状のジメチルポリシロキサン等が挙げられる。
【0085】
一方、混練処理する炭化水素油についても特に制限されるものではない。本発明に言う炭化水素油とは炭素骨格を有する油分を意味する。使用可能な具体的な炭化水素油としては、ビバリン酸イソデシル、イソノナン酸2−エチルヘキシル、イソノナン酸イソノニル、ミリスチン酸イソプロピル、イソノナン酸イソデシル、ジオクタン酸エチレングリコール、ジ−2−エチルヘキサン酸ネオペンチルグリコール、ビバリン酸イソステアリル、パルミチン酸イソプロピル、ラウリン酸ヘキシル、イソパルミチン酸オクチル、オクタン酸イソセチル、イソノナン酸イソトリデシル、イソステアリン酸イソプロピル、イソステアリン酸エチル、コハク酸ジ−2−エチルヘキシル、2−エチルヘキサン酸イソステアリル、アジピン酸ジイソブチル、トリ−2−エチルヘキサン酸グリセリル、パルミチン酸オクチル、2−エチルヘキサン酸セチル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、イソステアリン酸、イソパラフィン、ジメチルオクタン酸オクチルドデシル、流動パラフィン、イソステアリン酸2−ヘキシルデシル、イソステアリルアルコール、オクチルドデカノール、2−エチルヘキサン酸ステアリル、ヘキシルデカノール、乳酸オクチルドデシル、ミリスチン酸イソセチル、ヒドロキシステアリン酸2−エチルヘキシル、スクワラン、デシルテトラデカノール、イソステアリン酸オクチルドデシル、イソステアリン酸イソステアリル、ホホバ油、オレイルアルコール、ミリスチン酸オクチルドデシル、ミンク油等が挙げられる。
【0086】
架橋型ポリエーテル変性シリコーンの構造により、これらシリコーン油または炭化水素油の群の中から、最適なシリコーン油または炭化水素油を選択して混練処理してペースト状組成物を得ればよい。また、これらのシリコーン油または炭化水素油を単独あるいは2種以上を混合して使用してもよい。
このようにして得られた架橋型ポリエーテル変性シリコーンのペースト状組成物は単独あるいは2種以上を混合して配合してもよい。
【0087】
ペースト状組成物において、架橋型ポリエーテル変性シリコーンとシリコーン油または炭化水素油との配合比率は、架橋型ポリエーテル変性シリコーン100重量部に対してシリコーン油または炭化水素油が10〜1000重量部であることが好ましい。さらに好ましくは20〜500重量部である。架橋型ポリエーテル変性シリコーンの量が前記範囲より少ないと安定で良好なゲル構造を維持できない場合があり、逆に、前記範囲を越えると、肌上で重さを感じ、使用性、使用感が悪化する場合があり、好ましくない。
【0088】
混練処理を剪断力下で行う装置は特に制限されない。通常使用されるものが使用できる。例えば、3本ロールミル、コロイドミル、ガウリンホモジナイザー等が挙げられる。特に3本ロールミルが好ましく使用できる。
【0089】
本発明において、成分(C)の架橋型ポリエーテル変性シリコーンの配合量は、油中水型乳化化粧料全量に対して0.1〜10.0質量%が好ましい。0.1質量%未満では、内相50.0重量%以上の水相成分を乳化できず、また、10.0重量%を越えて配合すると、のびが悪く、使用感も重くなり、好ましくない。
架橋型ポリエーテル変性シリコーンをペースト状組成物として配合する場合には、油中水型乳化化粧料における架橋型ポリエーテル変性シリコーンの配合量が前記範囲になるように、ペースト状組成物の配合量を決定するのがよい。
【0090】
本発明においては、成分(C)は市販品を配合できる。市販品としては、架橋型ポリエーテル変性シリコーン/メチルポリシロキサン(商品名:KSG−210、信越化学工業(株)社製)、架橋型アルキルポリエーテル変性シリコーン/流動パラフィン(商品名:KSG−310、信越化学工業(株)社製)、架橋型アルキルポリエーテル変性シリコーン/イソドデカン(商品名:KSG−320、信越化学工業(株)社製)、架橋型アルキルポリエーテル変性シリコーン/トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル(商品名:KSG−330、信越化学工業(株)社製)、架橋型アルキルポリエーテル変性シリコーン/スクワラン(商品名:KSG−340、信越化学工業(株)社製)、架橋型ポリエーテル変性シリコーン/シクロメチコン(商品名:DC9011、東レ・ダウ・コーニング(株)社製)等が挙げられる。
なお、アルキル基含有架橋型ポリエーテル変性シリコーンのINCI名としては、PEG−10/LAURYL DIMETHICONECROSSPOLYMER、PEG−15/LAURYL DIMETHICONECROSSPOLYMER等があり、表示名称としてはPEG−10ラウリルジメチコンクロスポリマー、PEG−15ラウリルジメチコンクロスポリマー等がある。
【0091】
次に、必須成分の成分(D)のシリコーン・ポリアミド共重合体について説明する。
成分(D)のシリコーン・ポリアミド共重合体は、上記構造式(II)にて示されるものであり、化粧料配合成分としては公知の増粘剤である。特表2001−512164号公報に記載されている方法により得られる共重合体である。
反応スキームとしては、二酸をジアミンと反応させ、水を除去する縮合反応により製造することができる。この場合、二酸はシロキサン基を含む。例えば、カルボキシデシル−末端基化ポリジメチルシロキサンを二酸として使用することができる。他の有機二酸、ジアミン及び一官能性薬剤を二酸及びジアミンと組み合わせて使用して特性を改質することができる。二酸の代わりに、二酸クロリド、二酸無水物及びジエステル類を使用することができる。一つの方法としては、ほぼ等モル量のジアミンと二酸とを使用することが挙げられる。
共重合体の末端は任意の末端構造にすることができる。本発明において、好ましい末端構造は、H、OH、メチル、COOH、フェニルなどである。
【0092】
構造式(II)において、aは1〜40、bは1〜40が好ましい。1より小さいと、成分(E)のエステル油に対する安定化剤としての効果に劣り、また、40より大きいと、本発明の油中水型乳化化粧料において安定化剤というよりむしろ固化剤として機能するようになり、好ましくない。
また、cは1〜700が好ましい。1より小さいと、シリコーン油を配合した場合にシリコーン油に対して安定化剤としての効果に劣り、700を超えると成分(E)のエステル油に対して安定化剤としての効果に劣る。
dは1〜500が好ましい。1より小さいと、上記エステル油及びシリコーン油に対して安定化剤としての効果に劣り、また、500を超えると、本発明の油中水型乳化化粧料において安定化剤というよりむしろ固化剤として機能するようになるからである。
【0093】
本発明に用いるシリコーン・ポリアミド共重合体は、融点が100℃以上であり、その取り扱いに難がある場合がある。
この融点を下げる目的で、高級アルコールのポリエチレングリコールエーテルあるいはポリプロピレングリコールエーテルを加えることもできる。例えば、ラウリルアルコールのポリエチレングリコールエーテル、ミリスチルアルコールのポリプロピレングリコールエーテル等である。
シリコーン・ポリアミド共重合体と高級アルコールのポリエチレングリコールエーテル又はポリプロピレングリコールエーテルの質量比は、シリコーン・ポリアミド共重合体:高級アルコールのポリエチレングリコールエーテル又はポリプロピレングリコールエーテル=80〜90:20〜10であることが望ましい。
【0094】
シリコーン・ポリアミド共重合体の配合量は、油中水型乳化化粧料全量に対して0.01〜10.0質量%である。0.01質量%未満では、本発明の効果を発揮しない場合がある。10.0質量%を超えて配合すると、組成物全体が固化してしまい本発明の乳化化粧料として好ましくなく、また、本発明の効果も増強されるものではない。
【0095】
本発明に用いるシリコーン・ポリアミド共重合体は、市販品を使用できる。例えば、DC2−8178Gellant(東レ・ダウ・コーニング(株)社製)等が挙げられる。これは、シリコーン・ポリアミド共重合体88%、PPG−3
ミリスチルエーテル12%の組成物である。
なお、シリコーン・ポリアミド共重合体のINCI名は、Nylon−611/Dimethicone Copolymerである。
【0096】
本発明には、成分(E)のエステル油をさらに配合することにより、さらに組成物の使用感は良好なものとなる。好ましくは、無機性/有機性値(IOB値)が0.2〜0.6のエステル油である。0.2未満のエステル油では、敏感な肌に対して刺激が生じる場合があり、また、使用感の面でもさっぱりせず、べたつく感触を生じる場合がある。また、0.6を越えると、水に溶解しやすくなり、油分としての機能を発揮しなくなるからである。
【0097】
本発明に好適なエステル油としては、例えば、ジネオペンタン酸トリプロピレングリコール(IOB=0.52)、イソデシルベンゾエート(IOB=0.23)、ジカプリル酸プロピレングリコール(IOB=0.32)、イソノナン酸イソノニル(IOB=0.2)、2−エチルヘキサン酸セチル(IOB=0.52)、トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル(IOB=0.36)、テトラ2−エチルヘキサン酸ペンタエリスリト(IOB=0.35)、コハク酸ジ2−エチルヘキシル(IOB=0.32)等が挙げられる。
【0098】
成分(E)のエステル油の配合量は、油中水型乳化化粧料全量に対して0.01〜50.0質量%が好ましい。0.01質量%未満では、本発明の効果であるしっとりとしながらもさっぱりして、べたつきのない感触を感じることができない。また、50.0質量%を超えて配合しても本発明の効果を増強せず、逆にしっとりするが、さっぱりしない感触となってしまうからである。
【0099】
本発明の油中水型乳化化粧料では、前記油相成分と共に水相成分が配合される。水相成分は、水もしくは水を主成分とする水相に、これに各種水溶性成分を含むものである。水相成分が、油中水型乳化化粧料全量に対して、50.0〜90.0質量%配合された場合、本発明の効果はさらに効果的に発揮され、高内水相油中水型乳化化粧料を得ることができる。高内水相とは水相成分の含有量が多い油中水型乳化化粧料を意味し、本発明においては、水相成分の含有量が50.0質量%以上である油中水型乳化化粧料を意味する。本発明の高内水相油中水型乳化化粧料は、特にうるおい感付与の効果が優れている。水相成分は50.0質量%未満であると、うるおい感に欠ける場合がある。また、90.0質量%を超えると油中水型乳化組成物とすることが困難である。
【0100】
本発明の油中水型乳化化粧料は、安定して高配合の水相成分を含有させることができるので、希望する配合量の塩型薬剤を安定に配合できるという利点を有する。さらに、塩型薬剤による粘度低下を起こすことがなく、安定した油中水型乳化化粧料が得られる。
塩型薬剤とは塩を形成可能な水溶性の薬剤を意味し、本発明においては水溶性薬剤であれば特に制限がなく希望する薬剤を配合することが出来る。例えば、
水溶性の塩型薬剤としては、L−アスコルビン酸およびその誘導体、アルブチン、グルタチオン、トラネキサム酸およびその誘導体、アルコキシサリチル酸及びその塩などが好ましいものとして挙げられる。
L−アスコルビン酸は、一般にビタミンCといわれ、その強い還元作用により、細胞呼吸作用、酵素賦活作用、膠原形成作用を有し、かつメラニン還元作用を有する。L−アルコルビン酸誘導体としては、例えば、L−アスコルビン酸モノステアレート、L−アスコルビン酸モノパルミテート、L−アスコルビン酸モノオレート等のL−アスコルビン酸モノアルキルエステル類、L−アスコルビン酸モノリン酸エステル、L−アスコルビン酸−2−硫酸エステルなどのL−アスコルビン酸モノエステル類;L−アスコルビン酸ジステアレート、L−アスコルビン酸ジパルミテート、L−アスコルビン酸ジオレートなどのL−アスコルビン酸ジアルキルエステル類;L−アスコルビン酸トリステアレート、L−アスコルビン酸トリパルミテート、L−アスコルビン酸トリオレートなどのL−アスコルビン酸トリアルキルエステル類;L−アスコルビン酸トリリン酸エステルなどのL−アスコルビン酸トリエステル類;L−アスコルビン酸2−グルコシドなどのL−アスコルビン酸グルコシド類などが挙げられる。L−アスコルビン酸およびその誘導体としてはL−アスコルビン酸、L−アスコルビン酸リン酸エステル、L−アスコルビン酸−2−硫酸エステル、L−アスコルビン酸2−グルコシドまたはそれらの塩が好ましく用いられる。L−アスコルビン酸およびその誘導体は、1種または2種以上を用いることができる。
トラネキサム酸誘導体としては、トラネキサム酸の二量体(例えば、塩酸トランス−4−(トランス−アミノメチルシクロヘキサンカルボニル)アミノメチルシクロヘキサンカルボン酸、等)、トラネキサム酸とハイドロキノンのエステル体(例えば、トランス−4−アミノメチルシクロヘキサンカルボン酸4’−ヒドロキシフェニルエステル、等)、トラネキサム酸とゲンチシン酸のエステル体(例えば、2−(トランス−4−アミノメチルシクロヘキシルカルボニルオキシ)−5−ヒドロキシ安息香酸およびその塩、等)、トラネキサム酸のアミド体(例えば、トランス−4−アミノメチルシコロヘキサンカルボン酸メチルアミドおよびその塩、トランス−4−(P−メトキシビンゾイル)アミノメチルシクロヘキサンカルボン酸およびその塩、トランス−4−グアニジノメチルシクロヘキサンカルボン酸およびその塩、等)などが挙げられる。
アルコキシサリチル酸は、サリチル酸の3位、4位または5位のいずれかの水素原子がアルコキシ基にて置換されたものであり、置換基であるアルコキシ基は、好ましくはメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基のいずれかであり、さらに好ましくはメトキシ基またはエトキシ基である。具体的に化合物名を例示すれば、3−メトキシサリチル酸、3−エトキシサリチル酸、4−メトキシサリチル酸、4−エトキシサリチル酸、4−プロポキシサリチル酸、4−イソプロポキシサリチル酸、4−ブトキシサリチル酸、5−メトキシサリチル酸、5−エトキシサリチル酸、5−プロポキシサリチル酸、及びその塩などが挙げられる。
上記薬剤の塩としては、特に限定はされないが、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩のようなアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩のほか、アンモニウム塩、アミノ酸塩等の塩が挙げられる。
これら塩型薬剤は1種または2種以上を用いることができ、その配合量は任意である。製品設計において希望する塩型薬剤の配合量を水相成分の配合量と調整しながら適宜決定する。例えば、水相成分全量に対して、0.1〜30質量%配合される。
【0101】
本発明の油中水型乳化化粧料においては、前記した必須成分のほかに、通常乳化化粧料に配合される水性成分(水相成分)及び油性成分(油相成分)を含有することができる。例えば、保湿剤、防腐剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、美容成分、香料、保香剤、増粘剤、着色顔料、光輝性顔料、有機粉体、疏水化処理顔料、タール色素等があり、これらを本発明の効果を損なわない範囲で配合して、常法により製造することができる。
【0102】
本発明の油中水型乳化化粧料の具体的な化粧料としては、乳液、スキンクリーム、ヘアクリーム、リキッドファンデーション、アイライナー、マスカラ、アイシャドウ等の乳液状あるいはクリーム状の製品がある。これら製品の製造は前記した必須成分及びこれらの化粧料に通常配合される成分を配合して常法により製造することができる。
【0103】
本発明のHFEと環状シリコーンを配合した化粧料は特に限定されず、例えば、化粧水、乳液、クリーム、日焼け止め乳液などの基礎化粧品、ファンデーション、おしろい、チークカラー、アイカラー、口紅などのメークアップ化粧品、整髪料、リンス、トリートメントなどのヘアケア製品などである。また、具体的な油中水型乳化化粧料としては、乳液、スキンクリーム、ヘアクリーム、リキッドファンデーション、アイライナー、マスカラ、アイシャドウ等の乳液状あるいはクリーム状の製品がある。本発明の化粧料の製造は、前記した必須成分及びそれら化粧料に通常配合される成分を混合し、常法により行うことができる。
【0104】
【実施例】
以下に本発明の複数の実施例を示すが、本発明はこれら実施例により限定されるものではない。配合量は特に断りのない限り、全量に対する質量%である。
【0105】
評価基準
実施例に従い調製した化粧料を用いて各種の評価を行った。評価基準は、以下の通りである。
[乳化安定性の評価基準]
乳化組成物を50℃の恒温槽中に静置し、1か月後の状態を観察した。
○:油分離が全く認められない。
△:油分離がわずかに認められる。
×:油分離が明確に認められる。
[使用性の評価基準]
女性専門パネル(10名)の皮膚に塗布する実使用試験を行い、使用性(べたつき、さっぱりさ)を評価した。
<べたつき>
◎:10名全員が、べたつきがなく、しっとりした使用性を有すると判定。
○:7名以上9名以下が、べたつきがなく、しっとりした使用性を有すると判定。
△:3名以上7名未満が、べたつきがなく、しっとりした使用性を有すると判定。
×:3名未満が、べたつきがなく、しっとりした使用性を有すると判定。
<さっぱりさ>
◎:10名全員が、さっぱりさがある使用性を有すると判定。
○:7名以上9名以下が、さっぱりさがある使用性を有すると判定。
△:3名以上7名未満が、さっぱりさがある使用性を有すると判定。
×:3名未満が、さっぱりさがある使用性を有すると判定。
<耐水性の評価基準>
ガラス板に塗布し、水道水に30分間浸漬後の塗膜の状態を目視判定する。
○:白化も剥れも全く見られない
△:若干の白化、剥れが見られる
×:著しい白化、剥れが見られる
<匂いの評価基準>
作成したサンプルの匂いを、香りの専門パネラー2名により、香りの変化を官能評価した。
◎:臭い(特に紫外線吸収剤の臭い)は認められない。
○:臭い(特に紫外線吸収剤の臭い)がやや認められるが、使用上不快感を感じない。
△:臭い(特に紫外線吸収剤の臭い)が認められる。
×:強い臭い(特に紫外線吸収剤の臭い)が認められる。
【0106】
「実施例1、比較例1〜4」
表1に示す配合組成及び量で配合して油相と水相を調製し、ディスパーで攪拌して、W/O型サンスクリーンクリームを調製した。このクリームは請求項5記載の油中水型乳化化粧料である。使用したハイドロフルオロエーテルはC4F9−O−CH3である。なお、C4F9−O−C2H5を使用した場合も、同様の効果が得られる。実施例1は乳化安定性に優れている。
【0107】
【表1】HFEと各種油分との乳化安定性
【0108】
「実施例2、比較例5〜7」
表2に示す配合組成及び量で配合して油相と水相を調製し、ディスパーで攪拌して、W/O型サンスクリーンクリームを調製した。このクリームは請求項5記載の油中水型乳化化粧料である。使用したハイドロフルオロエーテルはC4F9−O−CH3である。なお、C4F9−O−C2H5を使用した場合も、同様の効果が得られる。
【0109】
【表2】高分子皮膜剤配合の効果
【0110】
[使用性結果]
実施例2及び比較例5〜7の使用性結果は表2に示す通りである。それによれば、ハイドロフルオロエーテル及び環状シリコーンを配合した実施例2は、10名のパネル全員がいずれも、べたつきがなく、さっぱりさがある使用性を有すると判定した。これに対して、ハイドロフルオロエーテル、環状シリコーンのいずれか一方を含有しない比較例5、6は、実施例2と比較して劣っていた。すなわち、本発明の実施例2では、高分子被膜剤由来のべたつきが低減されている。また、紫外線吸収剤のオクチルメトキシシンナメート由来の匂いも低減されている。
【0111】
「実施例3、比較例8、9」
表3に示す配合組成及び量で配合して油相と水相を調製し、ディスパーで攪拌して、W/O型スキンクリームを調製した。このクリームは請求項6記載の油中水型乳化化粧料である。使用したハイドロフルオロエーテルはC4F9−O−CH3である。なお、C4F9−O−C2H5を使用した場合も、同様の効果が得られる。
【0112】
【表3】
【0113】
[使用性結果]
実施例3及び比較例8、9の使用性結果は表3に示す通りである。それによれば、ハイドロフルオロエーテル及び環状シリコーンを配合した実施例3は、10名のパネル全員がいずれも、べたつきがなく、さっぱりさがある使用感を有すると判定した。
これに対して、ハイドロフルオロエーテル、環状シリコーンのいずれか一方を含有しない比較例8、9は、実施例3と比較して劣っていた。
【0114】
「実施例4、比較例10、11」
表4に示す配合組成及び量で配合して油相と水相を調製し、これらを70℃に加温し、ディスパーで攪拌して、W/O型スキンクリームを調製した。このクリームは請求項7記載の油中水型乳化化粧料である。使用したハイドロフルオロエーテルはC4F9−O−CH3である。なお、C4F9−O−C2H5を使用した場合も、同様の効果が得られる。
【0115】
【表4】
【0116】
[使用性結果]
実施例4及び比較例10、11の使用性結果は表1に示す通りである。それによれば、ハイドロフルオロエーテル及び環状シリコーンを配合した実施例4は、10名のパネル全員がいずれも、べたつきがなく、さっぱりさがある使用性を有すると判定した。
これに対して、ハイドロフルオロエーテル、環状シリコーンのいずれか一方を含有しない比較例10、11は、実施例4と比較して劣っていた。
【0117】
「実施例5、比較例12、13」
実施例5、比較例12、13を表4に示す配合組成及び量で配合して油相と水相を調製し、これらを80℃に加温し、ディスパーで攪拌して、W/O型クリームを調製した。このクリームは請求項8記載の油中水型乳化化粧料である。使用したハイドロフルオロエーテルはC4F9−O−CH3である。なお、C4F9−O−C2H5を使用した場合も、同様の効果が得られる。
【0118】
【表5】
*1:構造式(II)で、p=5〜15、q=1.2〜5、r+s=20〜90の範囲にあり、R=CH3の架橋型ポリエーテル変性シリコーン(商品名:KSG−210、信越化学工業(株)社製)100重量部を400重量部の粘度6mPa・sのメチルポリシロキサンと剪断力下で混練処理したペースト状組成物(ペースト状組成物中、架橋型ポリエーテル変性シリコーンは24質量%となる)。
*2:構造式(I)で、p=10〜20、q=2〜6、r=5〜25、s=20〜90の範囲にあり、R=C12H25のアルキル基含有ポリエーテル変性シリコーン(商品名:KSG−330、信越化学工業(株)社製)100重量部を粘度30mPa・sのトリ2−エチルヘキサン酸グリセリルと剪断力下で混練処理したペースト状組成物(ペースト状組成物中、アルキル基含有ポリエーテル変性シリコーンは20質量%となる)。
*3:構造式(III)で、aは10〜30、bは5〜200、cは250〜500、dは100〜400の範囲にあるシリコーン・ポリアミド共重合体(DC2−8178Gellant(東レ・ダウ・コーニング(株)社製)とポリプロピレングリコールのセチルエーテルを88:12で混合したもの)
【0119】
[使用性結果]
実施例5及び比較例11、12の使用性結果は表5に示す通りである。それによれば、ハイドロフルオロエーテル及び環状シリコーンを配合した実施例5は、10名のパネル全員がいずれも、べたつきがなく、さっぱりさがある使用性を有すると判定した。
これに対して、ハイドロフルオロエーテル、環状シリコーンのいずれか一方を含有しない比較例11、12は、実施例5と比較して劣っていた。
【0120】
「実施例6」
表6に示す配合組成及び量で配合して油相と水相を調製し、ディスパーで攪拌して、W/O型サンスクリーン乳液を調製した。この油中水型乳化化粧料は、請求項5記載の(1)0.1〜5.0質量%の有機変性粘土鉱物を配合して乳化することを特徴とする油中水型乳化化粧料である。使用したハイドロフルオロエーテルはC4F9−O−CH3である。なお、C4F9−O−C2H5を使用した場合も、同様の効果が得られる。
【0121】
【表6】
【0122】
[使用性結果]
実施例6は、10名のパネル全員がいずれも、べたつきがなく、さっぱりさがある使用性を有すると判定した。
【0123】
「実施例7」
表7に示す配合組成及び量で配合して油相と水相を調製し、ディスパーで攪拌して、W/O乳化型ファンデーションを調製した。このファンデーションは請求項5記載の油中水型乳化化粧料である。使用したハイドロフルオロエーテルはC4F9−O−CH3である。なお、C4F9−O−C2H5を使用した場合も、同様の効果が得られる。
【0124】
【表7】
【0125】
[使用性結果]
実施例7は、10名のパネル全員がいずれも、べたつきがなく、さっぱりさがある使用性を有すると判定していた。
【0126】
以下に、本発明のその他の実施例を挙げる。
【0127】
実施例8(ボディークリーム)
常法により得られる上記の処方のクリームは、肌への馴染みがよくてべたつきのない、使用性に優れている。
【0128】
実施例9(日焼け止めクリーム)
デカメチルシクロペンタシロキサン 10
HFE(C4F9−O−C1H3) 10
エタノール 5
イソステアリルアルコール 2
ジプロピレングリコール 3
イソステアリン酸 2
トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル 5
2−エチルヘキサン酸セチル 2
デキストリン脂肪酸エステル被覆微粒子酸化チタン(40nm) 2
塩化ナトリウム 2
エデト酸3ナトリウム 適量
ユビナールT−150(BASF社製) 1
4−t−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン 1
パラメトキシ桂皮酸2−エチルヘキシル 7.5
カルボキシメチルセルロースNa 0.5
エチルセルロ−ス 1
球状アクリル樹脂粉末 5
精製水 残余
香料 適量
常法により得られる上記の処方のクリームは、べたつきがなく、さっぱりとした使用性で、ジパラメトキシ桂皮酸由来の匂いを感じないものである。
【0129】
実施例10(油性日焼け止め化粧料)
ジメチルポリシロキサン 5
デカメチルシクロペンタシロキサン 残余
HFE(C4F9−O−C2H5) 30
トリメチルシロキシケイ酸 5
ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体 1.0
パルミチン酸デキストリン被覆微粒子酸化亜鉛(60nm) 15
パラメトキシ桂皮酸2−エチルヘキシル 7.5
ジメチルジステアリルアンモニウムヘクトライト 0.5
イソステアリン酸 0.5
球状ポリアクリル酸アルキル粉末 5
香料 適量
常法により得られる上記の処方の化粧料は、べたつきがなく、さっぱりとした使用性で、ジパラメトキシ桂皮酸由来の匂いを感じないものである。
【0130】
実施例11(油中水型乳化ファンデーション)
常法により得られる上記の処方のファンデーションは、塗布時に滑らかで、塗布後はべたつかず、化粧持ちに優れたものである。
【0131】
実施例12(油中水型乳化ファンデーション)
常法により得られる上記の処方のファンデーションは、塗布時に滑らかで、塗布後はべたつかず、化粧持ちに優れたものである。
【0132】
実施例14(油中水型マスカラ)
(水相)
着色顔料 酸化鉄ブラック 5.0
精製水 31.0
酢酸ビニルエマルジョン 10.0
防腐剤 適量
モンモリロナイト 1.0
プロピレングリコール 3.0
(油相)
デカメチルシクロペンタシロキサン 残量
HFE(C4F9−O−C1H3) 1.0
ベントン38 3.0
トリメチルシロキシケイ酸 5.0
ソルビタンモノパルミテート 1.0
モノラウリン酸プロピレングリコール 1.0
イソステアリルアルコール 0.5
常法により得られる上記の処方のマスカラは、滑らかに塗布時でき、塗布後は耐水性・耐湿性に優れたものである。
【0133】
【発明の効果】
本発明によれば、環境破壊の心配がなく身体に安全な特定のHFEを配合した化粧料において、化粧料組成物に通常用いる他の成分を安定に配合することが出来る化粧料を提供することが出来る。したがって、希望する成分を配合した目的の化粧料が製造可能となり、特に油中水型乳化化粧料に好ましく応用できる。
また、本発明の化粧料は、非常にさっぱりした使用感触を有する。高分子皮膜剤乳化組成物由などのべたつきを低減させることができる。さらには、紫外線吸収剤由来の匂いも低減させることが出来る。
【発明の属する技術分野】
本発明は、環境を破壊せず、皮膚に対して安全性の高いフッ素系溶剤と環状シリコーンとを配合した化粧料に関する。さらに詳しくは、25℃における粘度が5mPa・s未満のハイドロフルオロエーテル(以下、HFEと略す)と環状シリコーンを配合した化粧料及びこれらを配合した乳化化粧料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
化粧料には従来から使用性を改善させる目的で揮発性油分が用いられている。しかしながら、近年においては環境破壊の懸念から、使用できる揮発性油分は限定されているのが現状である。
【0003】
特許文献1には、環境を破壊せずに皮膚に対して安全性の高い新規な揮発性油分として、25℃における粘度が5mPa・s未満のハイドロフルオロエーテルが開示されている。しかしながら、この揮発性油分は、フッ素系界面活性剤やフッ素処理粉末を用いる場合にのみ使用することができ、その応用範囲は極めて限られていた。したがって、医薬用組成物や化粧料組成物に、この揮発性油分と通常用いる他の配合成分と共に配合することは全くできなかった。
【0004】
一方、乳化剤に界面活性剤を使用して油中水型乳化化粧料を製造する技術は多く知られている。一般的な界面活性剤によらない乳化方法として、有機変性粘土鉱物により乳化する技術が広く知られている(例えば、特許文献2、特許文献3、特許文献4などを参照)。また、特定のシリコーン油と、水溶性高分子、無機塩又はアミノ酸とを配合して、水相成分が50質量%以上の高内水相油中水型乳化化粧料を製造する技術が開発されている(例えば、特許文献5参照)。
さらに、エチルセルロース及びエチルセルロースを膨潤可能な溶剤を含む油相と、カチオン化セルロースとヒアルロン酸ナトリウムとからなるポリイオンコンプレックスを含む水相とからなる油中水型乳化化粧料を製造する技術が開発されている(例えば、特許文献6参照)。
また、本出願人による特許出願中の乳化技術として、特定の構造を有する架橋型ポリエーテル変性シリコーンとシリコーン・ポリアミド共重合体を用いた油中水型乳化化粧料が開発されている(特願2002−379102号)。
【0005】
【特許文献1】
特開平11−71222号
【特許文献2】
特開平10−194924号
【特許文献3】
特開平11−116433号
【特許文献4】
特開2001−097815号
【特許文献5】
特開2001−2520号
【特許文献6】
特開平9−301824号
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、HFEと環状シリコーンとに相溶性があることを見出した。また、HFEと環状シリコーンを配合する組成物は非常にさっぱりした使用感触を有し、高分子皮膜剤などのべたつきを低減させることができることを見出した。さらに紫外線吸収剤由来の匂いも低減させることを見出した。そして、配合成分をフッ素系界面活性剤やフッ素処理した粉末に限定することなく、化粧料組成物に通常用いる他の成分を安定に配合可能な化粧料が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。また、本発明の化粧料は油中水型乳化化粧料に好ましく応用できることを見出して本発明を完成するに至った。
【0007】
本発明の第一の目的は、環境破壊の懸念がなく身体に安全な特定のHFEを配合した化粧料において、化粧料組成物に通常用いる他の成分を安定に配合することが出来る化粧料を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は、25℃における粘度が5mPa・s未満である一般式(1)で表されるハイドロフルオロエーテルと、環状シリコーンとを含むことを特徴とする化粧料を提供するものである。
【化5】
CnHmFl−O−CxHyFz (1)
[式中、nは1〜12の数、mは0〜25の数、lは0〜11の数、m+l=2n+1であり、xは1〜12の数、yは0〜25の数、zは0〜11の数、y+z=2x+1である(ただし、mとnは同時に0とはならない。また、lとzは同時に0とはならない)。]
【0009】
また、本発明は、さらに高分子皮膜剤を含むことを特徴とする上記の化粧料を提供するものである。
【0010】
さらに、本発明は、さらに疎水化処理粉末または球状粉末を含むことを特徴とする上記の化粧料を提供するものである。
【0011】
また、本発明は、前記化粧料が油中水型乳化化粧料であることを特徴とする上記の化粧料を提供するものである。
【0012】
さらに、本発明は、0.1〜5.0質量%の有機変性粘土鉱物を配合して乳化することを特徴とする上記の油中水型乳化粧料を提供するものである。
【0013】
また、本発明は、0.1〜10.0質量%の下記成分(A)と、下記成分(B)とを配合して乳化し、水相成分の含有量が50質量%以上であることを特徴とする上記の油中水型乳化粧料を提供するものである。
(A)下記構造式(I)の架橋型ポリエーテル変性シリコーンの1種又は2種以上。
【化6】
(ただし、上記構造式(I)において、lは3〜20、mは10〜200、nは1.0〜10.0である)
(B)分子量2000〜300000である水溶性高分子、無機塩及びアミノ酸塩からなる群から選ばれる1種又は2種以上。
【0014】
また、本発明は、エチルセルロース及びエチルセルロースを膨潤可能な溶剤を含む油相と、カチオン化セルロースとヒアルロン酸ナトリウムとからなるポリイオンコンプレックスを含む水相とが、油中水型(W/O型)に乳化されていることを特徴とする上記の油中水型乳化粧料を提供するものである。
【0015】
さらに、本発明は、下記成分(C)と成分(D)とを配合して乳化することを特徴とする上記の油中水型乳化化粧料を提供するものである。
(C)下記構造式(II)で表される架橋型ポリエーテル変性シリコーン
【化7】
(II)
(式中、pは3〜30、qは1〜10、rは1〜50、sは10〜200の値を有する整数であり、Rは炭素数1〜22までの値を有するアルキル基である。)
(D)下記構造式(III)で表されるシリコーン・ポリアミド共重合体
【化8】
(III)
(式中、aは1〜40、bは1〜40、cは1〜700、dは1〜500の値を有する整数である。)
【0016】
本発明に用いるHFEは、下記一般式(1)で表されるハイドロフルオロエーテルであり、先に説明した特許文献1(特開平11−71222号公報)に詳細に記載されている公知化合物である。本発明に用いるHFEの粘度は25℃において5mPa・s未満である。この粘度は、B型粘度計(ローターNo1 12rpm 30℃測定)で測定される粘度である。
【化9】
CnHmFl−O−CxHyFz (1)
[式中、nは1〜12の数、mは0〜25の数、lは0〜11の数、m+l=2n+1であり、xは1〜12の数、yは0〜25の数、zは0〜11の数、y+z=2x+1である(ただし、mとnは同時に0とはならない。また、lとzは同時に0とはならない)。]
nは1〜10が好ましく、さらに好ましくは1〜6である。xは1〜10が好ましく、さらに好ましくは1〜6である。
【0017】
本発明においては、特に、下記一般式(2)で表されるハイドロフルオロエーテルが好ましい。
【化10】
CnF2n+1−O−CxH2x+1 (2)
[式中、nは1〜12の数、xは1〜12の数である]
nは1〜10が好ましく、さらに好ましくは1〜6である。xは1〜10が好ましく、さらに好ましくは1〜6である。
【0018】
具体的に好ましいHFEは、C4F9−O−CH3 、C4F9−O−C2H5 、C5F11−O−C2H5 、C3F7−O−C4H9 、C4F9−O−C4H9等が挙げられる。これらは、常法により合成することも可能であるし、市販品(Cosmetic Flaid CF−61、CF−76 3M社製)を使用することもできる。
【0019】
HFEの化粧料全量に対する配合量は特に限定されないが、通常、0.1〜60質量%、好ましくは、1.0〜30質量%配合される。目的とする化粧料に応じて配合量は適宜決定される。
【0020】
本発明に用いる環状シリコーン油としては、オクタメチルシクロシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン等が挙げられる。
【0021】
環状シリコーンの化粧料全量に対する配合量は、HFEの配合量との関係及び目的とする化粧料に応じて適宜決定される。通常0.1〜60質量%、好ましくは1.0〜30質量%配合される。
HFEと環状シリコーンとの配合比は、質量比で、1:9〜9:1、好ましくは1:5〜5:1である。この配合比によって、他の化粧料配合成分を安定に配合して目的の各種化粧料を製造することが出来る。得られる化粧料は、非常にさっぱりした使用感触を発揮する。高分子皮膜剤を配合した化粧料においては、高分子皮膜剤由来のべたつきを低減させることができる。
【0022】
なお、紫外線吸収剤を配合する場合は、紫外線吸収剤由来の匂いも低減させる効果が期待できる。特に、オクチルメトキシシンナメート(MCX)を配合した場合にその効果が大きい。
【0023】
本発明に配合可能な高分子皮膜剤としては、これにより形成される皮膜が水溶性の皮膜でなく、かつ人体に接触させた際の安全性に優れる高分子皮膜剤であれば特に限定されない。例えば、ニトロセルロース等の有機溶剤溶解性高分子皮膜剤;エチルセルロース(EC),エチルヒドロキシエチルセルロース(EHEC),セラック等のアルコール溶解性高分子皮膜剤;シリコーン樹脂(MQレジン,MDQレジン等),シリコーン化プルラン等の揮発性シリコーン溶解性高分子皮膜剤等を挙げることができる。
特に揮発性シリコーン溶解性高分子皮膜剤としては、トリメチルシロキシケイ酸、アクリル酸アルキル共重合体メチルポリシロキサン、3−[トリス(トリメチルシロキサン)シリル]プロピルカルバミド酸プルラン、高重合ジメチルシロキサン・メチル(アミノプロピル)シロキサン共重合体等が好ましく、安定性や使用性等の点からトリメチルシロキシケイ酸がより好ましく用いられる。
本発明の化粧料は、高分子皮膜剤を配合した場合であっても高分子皮膜剤由来のべたつきを低減させることができる。
【0024】
高分子皮膜剤の化粧料全量に対する配合量は目的とする化粧料に応じて適宜決定される。通常0.1〜10質量%である。
揮発性シリコーン溶解性高分子皮膜剤を用いる場合、その配合量は、化粧料全量に対して0.1〜10質量%が好ましく、さらに好ましくは1.0〜5.0%である。0.1質量%未満では、皮膜剤の機能が発揮できず、また10%を超えると、皮膜剤由来の顕著なべたつきが生じてしまう。
【0025】
本発明に配合可能な疎水化処理粉末としては、通常化粧料に用いられる粉末、例えば、無機粉末(例えば、タルク、カオリン、雲母、絹雲母(セリサイト)、白雲母、金雲母、合成雲母、紅雲母、黒雲母、パーミキュライト、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸バリウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸ストロンチウム、タングステン酸金属塩、マグネシウム、シリカ、ゼオライト、硫酸バリウム、焼成硫酸カルシウム(焼セッコウ)、リン酸カルシウム、弗素アパタイト、ヒドロキシアパタイト、セラミックパウダー、金属石鹸(例えば、ミリスチン酸亜鉛、パルミチン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム)、窒化ホウ素等);有機粉末(例えば、ポリアミド樹脂粉末(ナイロン粉末)、ポリエチレン粉末、ポリメタクリル酸メチル粉末、ポリスチレン粉末、スチレンとアクリル酸の共重合体樹脂粉末、ベンゾグアナミン樹脂粉末、ポリ四弗化エチレン粉末、セルロース粉末等);無機白色顔料(例えば、二酸化チタン、酸化亜鉛等);無機赤色系顔料(例えば、酸化鉄(ベンガラ)、チタン酸鉄等);無機褐色系顔料(例えば、γ−酸化鉄等);無機黄色系顔料(例えば、黄酸化鉄、黄土等);無機黒色系顔料(例えば、黒酸化鉄、低次酸化チタン等);無機紫色系顔料(例えば、マンガンバイオレット、コバルトバイオレット等);無機緑色系顔料(例えば、酸化クロム、水酸化クロム、チタン酸コバルト等);無機青色系顔料(例えば、群青、紺青等);パール顔料(例えば、酸化チタンコーテッドマイカ、酸化チタンコーテッドオキシ塩化ビスマス、酸化チタンコーテッドタルク、着色酸化チタンコーテッドマイカ、オキシ塩化ビスマス、魚鱗箔等);金属粉末顔料(例えば、アルミニウムパウダー、カッパーパウダー等);ジルコニウム、バリウム又はアルミニウムレーキ等の有機顔料(例えば、赤色201号、赤色202号、橙色203号、橙色204号、黄色205号、黄色401号、及び青色404号などの有機顔料);天然色素(例えば、クロロフィル、β−カロチン等)等を、高級脂肪酸や油脂、ロウ、シリコーン化合物、炭化水素、界面活性剤、デキストリン脂肪酸エステル等の物質によって粉末表面を処理した疎水化処理粉末である。
疎水化処理粉末を配合する目的は、主に化粧料に紫外線散乱効果を付与するためであり、本発明の化粧料には、この粉末を安定に分散して配合させることが可能である。
【0026】
疎水化処理粉末の配合量は、化粧料全量に対して1.0〜30質量%であり、好ましくは5.0〜20質量%である。1質量%未満では、紫外線散乱効果が低く、30質量%を超えると粉末由来のきしみ感が生じてしまう。
【0027】
本発明に配合可能な球状粉末としては、オルガノポリシロキサンエラストマー球状粉末またはこれを母粉末とする複合球状粉末、ポリウレタン球状粉末またはこれを母粉末とする複合球状粉末からなる群から選ばれるものである。市販品として、トレフィルE−505C、トレフィルE−506C、トレフィルE−506S(東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社)や、シリコーンパウダーKSP−100(信越化学工業株式会社)、プラスティックパウダーD−400、プラスティックパウダーD−800(東色ピグメント株式会社)が挙げられる。球状粉末を配合する目的は、主に化粧料の使用性を改善するためであり、本発明の化粧料には、この粉末を安定に分散して配合させることが可能である。
【0028】
球状粉末の配合量は、化粧料全量に対して0.1〜10質量%であり、好ましくは0.5〜5.0質量%である。0.1質量%未満では使用性改善効果がなく、10%を超えると肌上に粉末が白く残ってしまう。
【0029】
本発明の化粧料は、乳化剤を使用して乳化安定性に優れた油中水型乳化化粧料を製造することが出来る。乳化剤は通常油中水型乳化化粧料に使用する界面活性剤を使用でき、油分及び水を目的とする油中水型乳化化粧料に応じて適宜選択し、適する配合量、例えば、水を1〜80質量%の範囲、油分を1〜90質量%の範囲で配合して常法により製造することが可能である。特に下記(1)〜(4)の油中水型乳化化粧料が好ましい。
【0030】
(1)0.1〜5.0質量%の有機変性粘土鉱物を配合して乳化することを特徴とする油中水型乳化化粧料。
有機変性粘土鉱物を乳化剤として配合して乳化する油中水型乳化化粧料は公知であり、本発明の必須成分と油分と水とを配合して常法により製造することが出来る。例えば、特許文献2(特開平10−194924号公報)、特許文献3(特開平11−116433号公報)、特許文献4(特開2001−097815号)等に記載された乳化方法により製造出来る。油相を構成する油分の種類は限定されず、その配合量も通常油中水型乳化化粧料に対して1〜80質量%の範囲で適宜決定される。また、水相を構成する水や水性成分の配合量も、通常1〜40質量%の範囲で適宜決定される。
【0031】
有機変性粘土鉱物は、三層構造を有するコロイド性含水ケイ酸アルミニウムの一種で、一般に下記一般式(3)で表される粘土鉱物を第四級アンモニウム塩型カチオン界面活性剤で変性したものが挙げられる。具体的には、モンモリロナイト、サポナイト、ヘクトライト等の天然または合成(この場合、式中の(OH)基がフッ素で置換されたもの)のモンモリロナイト群(市販品ではビーガム、クニピア、ラポナイト等がある。)およびナトリウムシリシックマイカやナトリウムまたはリチウムテニオライトの名で知られる合成雲母(市販品ではダイモナイト:トピー工業(株)等がある。)等の粘土鉱物を第四級アンモニウム塩型カチオン界面活性剤で処理して得られる。
【化11】
(X,Y)2−3(Si,Al)4O10(OH)2Z1/3・nH2O (3)
(但し、X=Al,Fe(III),Mn(III),Cr(III)、Y=Mg,Fe(II),Ni,Zn,Li、Z=K,Na,Ca、nは自然数を表す。)
【0032】
ここで用いる第四級アンモニウム塩型カチオン界面活性剤は、下記一般式(4)で表されるものである。
【化12】
(式中、R1は炭素数10〜22のアルキル基またはベンジル基、R2はメチル基または炭素数10〜22のアルキル基、R3およびR4は炭素数1〜3のアルキル基またはヒドロキシアルキル基、Xはハロゲン原子またはメチルサルフェート残基を表す。)
第四級アンモニウム塩型カチオン界面活性剤の具体例としては、例えば、ドデシルトリメチルアンモニウムクロリド、ミリスチルトリメチルアンモニウムクロリド、セチルトリメチルアンモニウムクロリド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロリド、アラキルトリメチルアンモニウムクロリド、ベヘニルトリメチルアンモニウムクロリド、ミリスチルジメチルエチルアンモニウムクロリド、セチルジメチルエチルアンモニウムクロリド、ステアリルジメチルエチルアンモニウムクロリド、アラキルジメチルエチルアンモニウムクロリド、ベヘニルジメチルエチルアンモニウムクロリド、ミリスチルジエチルメチルアンモニウムクロリド、セチルジエチルメチルアンモニウムクロリド、ステアリルジエチルメチルアンモニウムクロリド、アラキルジエチルメチルアンモニウムクロリド、ベヘニルジエチルメチルアンモニウムクロリド、ベンジルジメチルミリスチルアンモニウムクロリド、ベンジルジメチルセチルアンモニウムクロリド、ベンジルジメチルステアリルアンモニウムクロリド、ベンジルジメチルベヘニルアンモニウムクロリド、ベジルメチルエチルセチルアンモニウムクロリド、ベンジルメチルエチルステアリルアンモニウムクロリド、ジベヘニルジヒドロキシエチルアンモニウムクロリド、および相当するブロミド等、更にはジパルミチルプロピルエチルアンモニウムメチルサルフェート等が挙げられる。本発明の実施にあたっては、これらのうち一種または二種以上が任意に選択される。
【0033】
本発明に好ましい有機変性粘土鉱物としては、ジメチルアルキルアンモニウムヘクトライト、ベンジルジメチルステアリルアンモニウムヘクトライト、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム処理ケイ酸アルミニウムマグネシウム等が挙げられる。市販品としては、ベントン27(ベンジルジメチルステアリルアンモニウムクロライド処理ヘクトライト:ナショナルレッド社製)およびベントン38(ジステアリルジメチルアンモニウムクロライド処理ヘクトライト:ナショナルレッド社製)が好ましい。
【0034】
有機変性粘土鉱物の配合量は、油中水型乳化化粧料全量に対して0.1〜5.0質量%、好ましくは、0.2〜3.0質量%である。0.1質量%未満では十分な安定性は得にくく、5.0質量%までの配合で十分な安定性、みずみずしい使用感触が得られる。5.0質量%を超えて配合すると安定性が低下したり、指への取れが悪くなったり肌上での伸びが重くなるなどの使用性の点で好ましくない。
【0035】
(2)0.1〜10.0質量%の下記成分(A)と、下記成分(B)とを配合して乳化し、水相成分の含有量が50質量%以上であることを特徴とする油中水型乳化化粧料。
(A)下記構造式(I)の架橋型ポリエーテル変性シリコーンの1種又は2種以上。
【化13】
(ただし、上記構造式(I)において、lは3〜20、mは10〜200、nは1.0〜10.0である)
(B)分子量2000〜300000である水溶性高分子、無機塩及びアミノ酸塩からなる群から選ばれる1種又は2種以上。
上記必須成分(A)を乳化剤として用いる油中水型乳化化粧料は公知であり、上述の必須成分と油分と水とを配合して常法により製造することが出来る。例えば、特許文献5(特開2001−2520号公報)に記載されている方法にて、水相成分の含有量が50質量%以上である高内水相油中水型乳化化粧料が製造出来る。
【0036】
上記成分(A)の架橋型ポリエーテル変性シリコーンは、メチルハイドロジェンポリシロキサンを両末端のジアリルポリエーテルで架橋した高分子である。その製造は、例えば、特開平4−272932号公報あるいは特開平5−140320号公報等に記載されている方法で行うことができる。本発明においては、これらの公報に従って製造したものを使用してもよいし、また、市販品を使用してもよい。
【0037】
架橋型ポリエーテル変性シリコーンは、予めシリコーン油と剪断力下で混練処理されたペースト状ポリエーテル変性シリコーン組成物とされたものを使用するのが好ましいが、ポリエーテル変性シリコーンとシリコーン油等を化粧料成分として配合しても構わない。また、ポリエーテル変性シリコーンとシリコーン油とを、場合によっては更にその他の化粧料成分等と配合した後に混練処理することも可能である。
【0038】
架橋型ポリエーテル変性シリコーンの配合量については、油中水型乳化化粧料全量に対して、0.1〜10.0質量%で配合することが好ましい。0.1質量%未満では、内相50.0質量%以上の水相成分を乳化できない場合がある。また、10.0質量%を越えて配合すると、伸びが悪く、使用感も重くなり、好ましくない。
【0039】
上記必須成分(B)は、使用性改善剤として配合する成分である。使用性改善剤として配合する成分(B)は、分子量2000〜300000である水溶性高分子、無機塩及びアミノ酸塩からなる群から選ばれる1種又は2種以上である。使用性改善剤としては、水溶性高分子、無機塩又はアミノ酸塩の少なくとも1種を用いれば十分であるが、2種以上の複数の無機塩もしくはアミノ酸塩を混合使用してもかまわない。また、その配合量は使用性改善の性能を発現する範囲内にすることが必要であり、各改善剤化合物の配合量は以下にそれぞれ記載するとおりである。
【0040】
水溶性高分子としては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリビニールアルコール、ポリアクリル酸、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシメチルセルロース及びメチルセルロース等の水溶性合成高分子、並びにデキストリン、ペプチン、アルギン酸、コンドロイチン硫酸等の天然水溶性高分子などである。
【0041】
その水溶性高分子の分子量は前記したとおり2000〜300000であり、好ましくは3000〜100000がよい。分子量が2000未満のものは使用性改善に寄与しない。また、分子量が300000を越えると、使用性改善の寄与が少なく、乳化化粧料の使用感にべたつきを生じるという欠点が出てくる。その配合量は、油中水型乳化化粧料全量の0.1〜20.0質量%、好ましくは0.2〜10.0質量%である。0.1質量%未満では使用性を向上させることができず、20.0質量%を越えると、乳化化粧料として用いる際に、べたつきの原因となり好ましくない。
【0042】
水溶性高分子の中で特に好ましいものは、ポリエチレングリコールであり、他のものより乳化化粧料の使用性向上に特に有効であり、かつ乳化化粧料としては使用する際の使用感が好まれるという長所を有する。ポリエチレングリコールにおける特に好ましい分子量は3000〜20000であり、配合量は、乳化化粧料全量に対して1〜10.0質量%が好ましい。
【0043】
無機塩としては、塩酸、硫酸、硝酸、炭酸、リン酸等のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アルミニウム塩、亜鉛塩、又はアンモニウム塩等が挙げられる。好ましい無機塩としては塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、塩化アルミニウム、塩化亜鉛、塩化アンモニウム等の塩化物、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸マグネシウム、硫酸アルミニウム、硫酸亜鉛、硫酸アンモニウム等の硫酸塩、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、硝酸マグネシウム、硝酸カルシウム、硝酸アルミニウム、硝酸亜鉛、硝酸アンモニウム等の硝酸塩、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム等の炭酸塩、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム等のリン酸塩が挙げられる。
【0044】
これらの中でも無機塩としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、塩化アルミニウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸マグネシウム、硫酸アルミニウムが特に好ましい。本発明で使用性改善剤として無機塩を用いる場合の配合量は、油中水型乳化化粧料全量に対して0.1〜8.0質量%、好ましくは0.2〜5.0質量%である。0.1質量%未満では乳化物の使用性を向上させることができず、また、8.0質量%を越えて配合しても効果を増強するものではない。
【0045】
アミノ酸塩は、アミノ酸中のカルボキシル基又はアミノ基が塩を形成したものであり、水溶性のアミノ酸塩が特に制限されることなく使用できる。例えば、アスパラギン酸ナトリウム、アスパラギン酸カリウム、アスパラギン酸マグネシウム、アスパラギン酸カルシウム、グルタミン酸ナトリウム、グルタミン酸カリウム、グルタミン酸マグネシウム、グルタミン酸カルシウム、グルタミン酸塩酸塩、システイン塩酸塩、ヒシチジン塩酸塩、リジン塩酸塩、オルニチン塩酸塩、オルニチン酢酸塩、トリプトファン塩酸塩、アルギニン−グルタミン酸塩、オルチニン−グルタミン酸塩、リジン−グルタミン酸塩、リジン−アスパラギン酸塩、オルニチン−アスパラギン酸塩等がある。
【0046】
これらの中でもアミノ酸塩としては、グルタミン酸ナトリウムが好ましい。本発明で安定化剤としてアミノ酸塩を用いる場合の配合量としては、油中水型乳化化粧料全量に対して、0.1〜8.0質量%、好ましくは0.2〜5.0質量%である。0.1質量%未満では使用性を向上させることができず、また、8.0質量%を越えて配合しても効果を増強するものではない。
【0047】
本発明によって、水相成分の含有量が、50質量%以上の高内水相油中水型乳化化粧料が製造出来る。水相成分とは、水、エタノール、増粘剤等の水溶性化合物が該当するものであり、使用性改善剤として配合される水溶性高分子、無機塩及びアミノ酸塩も水相成分である。この水相成分の配合量については、本発明では化粧料全量に対して50〜90質量%未満の範囲で配合するものである。その配合量は水そのもので60質量%以上がよく、このようにすることにより潤い感を付与でき好ましい。水相成分が50質量%未満の配合量では、水を入れた特徴が出にくく、潤い感に欠ける。逆に90質量%以上配合すると油中水型にすることが困難となる。
【0048】
なお、本発明の高内水相油中水型乳化化粧料に配合される油相成分としては、油中水型(W/O型)の乳化化粧料に通常使用される油分を特に制限されることなく使用できる。それには、天然動・植物油、合成油のいずれも使用可能である。この油相成分としては、具体的には、流動パラフィン、スクワラン等の液状、ペースト状もしくは固形状の炭化水素、ワックス、高級脂肪酸、高級アルコール、エステル、グリセライド、又はジメチルポリシロキサン、もしくはポリエーテル変性、フッ素変性等の各種変性シリコーン等のシリコーン系油剤等が挙げられる。
【0049】
本発明の乳化化粧料においては、前記油相成分は化粧料中に化粧料全量に対して10〜50質量%未満の範囲で配合される。10質量%未満では、化粧料を油中水型にすることが困難であり、50質量%以上配合すると内相の水が少なくなり過ぎ使用感の面で潤い感に欠け好ましくない。なお、油相には、化粧料中に含有される天然動・植物油、合成油等のすべての油性成分が該当するものであり、乳化剤である架橋型ポリエーテル変性シリコーン及びその好ましい形態であるペースト状ポリエーテル変性シリコーン組成物等も油性成分である。
【0050】
(3)エチルセルロース及びエチルセルロースを膨潤可能な溶剤を含む油相と、カチオン化セルロースとヒアルロン酸ナトリウムとからなるポリイオンコンプレックスを含む水相とが油中水型(W/O型)に乳化されていることを特徴とする油中水型乳化化粧料。
この油中水型乳化化粧料は、従来の界面活性剤を使用せず、エチルセルロース、エチルセルロースを膨潤可能な溶剤及び水溶性高分子又は特定のポリイオンコンプレックスを用い、安定性、安全性および使用性の良好なW/O型乳化組成物を提供するものである。その詳細は、特許文献6(特開平9−157130号公報)に記載されている。本発明の油中水型乳化化粧料は、上述の必須成分を配合して、特許文献6に記載された方法により製造することが出来る。
【0051】
本発明において用いる油溶性高分子であるエチルセルロース(以下ECと略す)はセルロースの3個の水酸基中いくつかのものがエトキシル置換されているもので、エトキシル含有率が40〜50%のものを使用するのが好ましい。ECはエチルセルロースを膨潤可能な溶剤中で膨潤させた後、通常、化粧品で使用される油分に溶解または膨潤させて使用する。また、油分にECを分散させた後に、エチルセルロースを膨潤可能な溶剤を添加して油相を調製してもよい。とくに、相溶性の良好な油としてメチルフェニルポリシロキサンおよび常温液状の脂肪酸や高級アルコールが好ましい。ECの配合量は、油中水型乳化化粧料全量に対して0.01〜10質量%が好ましく、より好ましくは0.5〜5質量%である。0.01質量%未満とすると、連続相の粘弾性が低く乳化安定性が悪くなり、10質量%を超えると、連続相の粘弾性が高く乳化が難しくなることがある。
【0052】
エチルセルロースを膨潤可能な溶剤は特に限定されないが、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、イソブチルアルコール等の通常、化粧料等の分野で使用される膨潤剤が好ましい。エチルセルロースを膨潤可能な溶剤の配合量は、油中水型乳化化粧料全量に対して0.01〜20質量%が好ましく、ECの配合量に対して等倍量以上配合されることが好ましい。
【0053】
本発明の油相に用いられる油分は、液体油脂、固体油脂、ロウ、炭化水素、高級脂肪酸、高級アルコール、合成エステル、シリコーン等の通常、化粧料に配合される油分を使用することが出来る。
【0054】
本発明に用いる水溶性高分子は従来より増粘剤、乳化安定剤として利用されている水溶性高分子であればよい。
天然の水溶性高分子としては、例えば、アラアビアガム、トラガカントガム、ガラクタン、グアガム、キャロブガム、カラヤガム、カラギーナン、ペクチン、カンテン、クインスシード、アルゲコロイド、デンプン、グリチルリチン酸等の植物系高分子、キサンタンガム、デキストラン、サクシノグルカン、プルラン等の微生物系高分子、コラーゲン、カゼイン、アルブミン、ゼラチン等の動物系高分子が挙げられる。
半合成の水溶性高分子としては、例えば、カルボキシメチルデンプン、メチルヒドロキシプロピルデンプン等のデンプン系高分子、メチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、セルロース硫酸ナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC)、カチオン化セルロース等のセルロース系高分子、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル等のアルギン酸系高分子が挙げられる。
合成の水溶性高分子としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー等のビニル系高分子、ポリエチレングリコール20,000、40,000 、60,000 等のポリオキシエチレン系高分子、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合体共重合系高分子、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチルアクリレート、ポリアクリルアミド等のアクリル系高分子、ポリエチレンイミン、カチオンポリマー等が挙げられる。
無機の水溶性高分子としては例えば、ベントナイト、ケイ酸A1Mg( ビーガム) 、ラポナイト、ヘクトライト、無水ケイ酸等が挙げられる。
特には、カルボキシメチルセルロースナトリウム(以下CMCと略す)のような塩による影響を受けにくい水溶性高分子が好ましい。
【0055】
水溶性高分子の配合量は油中水型乳化化粧料全量に対して0.1〜10質量%が好ましく、より好ましくは0.5〜5質量%である。0.1質量%未満とすると、非連続相の合一を抑制できず乳化組成物は不安定となり、10質量%を超えると、乳化が難しくなることがある。
【0056】
本発明において用いるポリイオンコンプレックス(以下PICと略す)は、カチオン化セルロース(例えば、Polyquaternium−4, Polyquaternium−10,Polyquaternium−24が挙げられ、以下CCと略す)とヒアルロン酸ナトリウム(以下HA−Naと略す)という互いに反対の電化を有する高分子電解質同志の錯体であり、カチオン化セルロース及びヒアルロン酸ナトリウムとを水相中に添加することにより形成される。CCとHA−Naの組成比は重量比でCC:HA−Na=9.9:0.1〜8:2が好ましく、9:1〜8:2がより好ましい。
【0057】
PICの配合量は油中水型乳化化粧料全量に対して0.1〜10質量%が好ましく、より好ましくは0.5〜5質量%である。本発明においては、カチオン化セルロース及びヒアルロン酸ナトリウムを直接水相に添加するか、それぞれの水溶液を水相に添加すればよい。その場合に、カチオン化セルロース及びヒアルロン酸ナトリウムの合計量が、乳化組成物全量に対して、好ましくは0.1〜10重量、より好ましくは0.5〜5質量%になるようにそれぞれ配合されればよい。また、その配合比が、質量比で、CC:HA−Na=9.1:0.1〜8:2が好ましい。この配合比からはずれると乳化安定性が低くなる場合がある。
【0058】
本発明においては、油中水型乳化化粧料を構成する油相と水相の比率は広範囲に選択できるが、好ましくは、質量比で、水相:油相=40〜90:60〜10である。
【0059】
本発明の油中水型乳化化粧料の製造方法は、例えば、ECを膨潤可能な溶剤中にECを膨潤させた後、油分を加え70℃程度に加温して油相を調製するか、または、ECを油分に分散させた後70℃程度に加温し、ECを膨潤可能な溶剤を添加して油相を調製し、この油相に撹拌しながら、70℃程度に調製した上記必須成分を配合した水相を添加することにより製造出来る。この場合、ホモミキサー、ディスパーで強撹拌処理を行うことが望ましい。なお、ECを膨潤可能な溶剤を使用してECを含む油相を調整した後、該油相からECを膨潤可能な溶剤を揮発により留去して、水相と撹拌し、最終的にECを膨潤可能な溶剤は含まない油中水型乳化化粧料を製造することが可能な場合もあり、本発明の油中水型乳化化粧料のポイントは、ECを膨潤可能な溶剤を使用する点である。
【0060】
(4)下記成分(C)と成分(D)とを配合して乳化することを特徴とする油中水型乳化化粧料。
(C)下記構造式(II)で表される架橋型ポリエーテル変性シリコーン
【化14】
(II)
(式中、pは3〜30、qは1〜10、rは1〜50、sは10〜200の値を有する整数であり、Rは炭素数1〜22までの値を有するアルキル基である。)
(D)下記構造式(III)で表されるシリコーン・ポリアミド共重合体
【化15】
(III)
(式中、aは1〜40、bは1〜40、cは1〜700、dは1〜500の値を有する整数である。)
【0061】
この油中水型乳化化粧料は、皮膚や毛髪にうるおいを与え、しっとりし、べたつきがなく、かつのびが軽く、しかも経時安定性にも優れた油中水型乳化化粧料であり、本願出願人により出願されたものではあるが(特願2002−379102)、出願公開されていない技術である。以下に詳述する。
【0062】
油中水型の乳化化粧料は外相が油分であることから皮膚の保護や柔軟性付与等の利点を有する。しかしながら、使用時のべたつき、のびの重さ、硬さなどの使用性は満足できるものではなかった。
【0063】
近年、べたつきを低減し、さっぱりさを得るために、油中水型の連続相となる油分に極性油を用いる場合が多くみられる。そして、極性油を用いて安定な油中水型の乳化化粧料を得るためには、乳化剤として、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル等の多価アルコール脂肪酸エステル系活性剤、あるいはポリオキシアルキレン変性オルガノシロキサン系活性剤が用いられている。
【0064】
しかしながら、これらの活性剤を乳化剤として用いた場合には、低温においては、水滴の凝集によって連続相である油相の分離が生じやすい。また、高温においては、水滴の合一により粒子が増大して沈降し、上層部が油分のみとなる油相分離が生じやすい。
【0065】
また最近では、極性油を油分とする油中水型の乳化化粧料において、乳化剤としてジポリヒドロキシステアリン酸ポリエチレングリコール、ジポリヒドロキシステアリン酸ポリグリセリルなどが用いられる場合がある。しかしながら、これらの活性剤を乳化剤として用いた場合、乳化安定性には優れているが、使用性の面ではべたつきが生じて、望ましい化粧料は得られない。
【0066】
一方、本発明で使用する(C)成分の架橋型ポリエーテル変性シリコーンについては、シリコーン油あるいは炭化水素油と共に剪断力下で混練処理されたペースト状ポリエーテル変性シリコーン組成物が最近開発され、その組成物を使用して経時安定性および使用感に優れた油中水型乳化組成物を製造する技術が提案されている(例えば、特開平6−40847号公報、特開平9−136813号公報)。
【0067】
また、本発明で使用する(D)成分のシリコーン・ポリアミド共重合体については、増粘剤として化粧料に配合されている(例えば、特表2001−512164号公報参照)。
【0068】
本発明者等は上述の観点に鑑みて、さっぱり感があり、べたつかず、安定性に優れた油中水型の乳化化粧料を得るための鋭意研究を行った結果、驚くべきことに、架橋型ポリエーテル変性シリコーンを乳化剤として使用し、系の安定化剤としてシリコーン・ポリアミド共重合体を用いて油中水型の乳化化粧料を調製すると、極性油から非極性油までの幅広い油分を安定に配合でき、皮膚や毛髪に潤いを与え、しっとりとし、べたつきがなく、かつのびが軽いという使用性が得られることを発見し、本発明の油中水型乳化化粧料を完成するに至った。
【0069】
本発明の油中水型乳化化粧料は、皮膚や毛髪に潤いを与え、しっとりとし、べたつきがなく、かつのびが軽く、しかも経時安定性にも優れた油中水型乳化化粧料を提供することを目的とするものであり、これに、環境を破壊せず、皮膚に対して安全性の高いフッ素系溶剤と環状シリコーンとを配合したものである。
【0070】
また、本発明は、さらに成分(E)として、無機性/有機性値(IOB値)が0.2〜0.6のエステル油を含有することを特徴とする上記の油中水型乳化化粧料を提供するものである。
【0071】
さらに、本発明は、前記成分(E)の無機性/有機性値(IOB値)が0.2〜0.6のエステル油が、ジネオペンタン酸トリプロピレングリコール(IOB=0.52)、イソデシルベンゾエート(IOB=0.23)、ジカプリル酸プロピレングリコール(IOB=0.32)、イソノナン酸イソノニル(IOB=0.2)、2−エチルヘキサン酸セチル(IOB=0.52)、トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル(IOB=0.36)、テトラ2−エチルヘキサン酸ペンタエリスリト(IOB=0.35)、コハク酸ジ2−エチルヘキシル(IOB=0.32)からなる群から選ばれた一種または二種以上であることを特徴とする上記の油中水型乳化化粧料を提供するものである。
【0072】
また、本発明は、前記成分(C)の架橋型ポリエーテル変性シリコーンが、シリコーン油または炭化水素油と共に剪断力下で混練処理されたペースト状ポリエーテル変性シリコーン組成物とされたものであり、かつその組成物において、架橋型ポリエーテル変性シリコーンと、シリコーン油または炭化水素油の質量比が、100:10〜1000であることを特徴とする上記の油中水型乳化化粧料を提供するものである。
【0073】
さらに、本発明は、前記成分(D)のシリコーン・ポリアミド共重合体が、高級アルコールのポリプロピレングリコールエーテルとの混合物として配合されることを特徴とする上記の油中水型乳化化粧料を提供するものである。
【0074】
また、本発明は、前記成分(D)のシリコーン・ポリアミド共重合体が、高級アルコールのポリプロピレングリコールエーテルとの混合物として配合され、該混合物において、成分(D)のシリコーン・ポリアミド共重合体と、高級アルコールのポリプロピレングリコールエーテルの質量比が、80〜90:20〜10であることを特徴とする油中水型乳化化粧料を提供するものである。
【0075】
さらに、本発明は、油中水型乳化化粧料全量に対して、成分(C)の含有量が0.1〜10.0質量%、成分(E)の含有量が0.01〜10.0質量%であることを特徴とする上記の油中水型乳化化粧料を提供するものである。
【0076】
また、本発明は、油中水型乳化化粧料全量に対して、成分(C)のエステル油の含有量が、0.01〜50.0質量%であることを特徴とする上記の油中水型乳化化粧料を提供するものである。
【0077】
さらに、本発明は、油中水型乳化化粧料の水相成分の含有量が50.0〜90.0質量%であることを特徴とする上記の油中水型乳化化粧料を提供するものである。
【0078】
また、本発明は、さらに塩型薬剤を含有することを特徴とする上記の油中水型乳化化粧料を提供するものである。
【0079】
本発明において、乳化剤として使用する成分(C)の架橋型ポリエーテル変性シリコーンは、メチルハイドロジェンポリシロキサンを両末端のジアリルポリエーテルで架橋した高分子である。その製造は、例えば、特開平4−272932号公報あるいは特開平5−140320号公報等に記載されている方法で行うことができる。本発明においてはこれらの文献により製造したものを使用してもよく、また、市販品を使用してもよい。
【0080】
上記構造式(I)中のRに長鎖アルキル基を導入する際には、メチルハイドロジェンポリシロキサンと高級アルコールとをまず反応させて形成したアルキル基を導入したポリシロキサンと、メチルハイドロジェンポリシロキサンを用いて、両末端ジアリルポリエーテルにて架橋することにより得られる。
【0081】
成分(C)の架橋型ポリエーテル変性シリコーンは、予めシリコーン油または炭化水素油とともに剪断力下で混練処理されたペースト状ポリエーテル変性シリコーン組成物とされたものを配合することが好ましい。シリコーン油または炭化水素油と場合によっては更にその他の化粧料成分等と配合した後に、ポリエーテル変性シリコーンは、剪断力下で混練処理されたペースト状ポリエーテル変性シリコーン組成物を配合することも可能である。ただし、ポリエーテル変性シリコーンと、シリコーン油または炭化水素油等を化粧料成分として別々に配合しても構わない。
【0082】
本発明において、構造式(I)の架橋型ポリエーテル変性シリコーンは、pが3〜30であることが好ましい。pが3未満では、架橋型ポリエーテル変性シリコーンと、選択したシリコーン油または炭化水素油とを剪断力下で混練処理して得られたペースト状組成物が水相の乳化性に乏しい。また、pが30を越えるとシリコーン油または炭化水素油への膨潤性が十分でなくなり、好ましくない。
また、rは1〜50であることが好ましい。rが1より小さいと極性油に対しての乳化性に乏しく、50を越えると非極性油に対しての乳化性に乏しくなる。さらに、sは10〜200であることが好ましい。sが10未満では、シリコーン油または炭化水素油に対して十分に膨潤せず、200を越えると、シリコーン油または炭化水素油と混練処理して得られたペースト状組成物が水相の乳化性に乏しくなる。
また、qは1〜10であることが好ましい。qが1より小さいと、3次元構造体の形成ができず、シリコーン油または炭化水素油と混練処理してもペースト状物とならず、水相の乳化性に劣るものとなる。逆にqが10を越えると、3次元構造体の架橋密度が高くなり過ぎるためシリコーン油または炭化水素油と混練処理してもシリコーン油または炭化水素油を保持できず、安定なペースト状物とならず好ましくない。
【0083】
本発明において、架橋型ポリエーテル変性シリコーンと混練処理する溶剤は、構造式(I)中のRがメチル基の場合にはシリコーン油を、エチル基以上の炭素鎖を用いる場合には炭化水素油を用いることが望ましい。これは、Rのアルキル基の鎖長により、シリコーン油あるいは炭化水素油への膨潤性が変わるからである。
【0084】
混練処理するシリコーン油については、特に制限されるものではなく、直鎖状あるいは分岐状のいずれであってもよく、各種のシリコーン油が使用可能である。使用可能な具体的なシリコーン油としては、メチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、エチルポリシロキサン、エチルメチルポリシロキサン、エチルフェニルシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン等の環状のジメチルポリシロキサン等が挙げられる。
【0085】
一方、混練処理する炭化水素油についても特に制限されるものではない。本発明に言う炭化水素油とは炭素骨格を有する油分を意味する。使用可能な具体的な炭化水素油としては、ビバリン酸イソデシル、イソノナン酸2−エチルヘキシル、イソノナン酸イソノニル、ミリスチン酸イソプロピル、イソノナン酸イソデシル、ジオクタン酸エチレングリコール、ジ−2−エチルヘキサン酸ネオペンチルグリコール、ビバリン酸イソステアリル、パルミチン酸イソプロピル、ラウリン酸ヘキシル、イソパルミチン酸オクチル、オクタン酸イソセチル、イソノナン酸イソトリデシル、イソステアリン酸イソプロピル、イソステアリン酸エチル、コハク酸ジ−2−エチルヘキシル、2−エチルヘキサン酸イソステアリル、アジピン酸ジイソブチル、トリ−2−エチルヘキサン酸グリセリル、パルミチン酸オクチル、2−エチルヘキサン酸セチル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、イソステアリン酸、イソパラフィン、ジメチルオクタン酸オクチルドデシル、流動パラフィン、イソステアリン酸2−ヘキシルデシル、イソステアリルアルコール、オクチルドデカノール、2−エチルヘキサン酸ステアリル、ヘキシルデカノール、乳酸オクチルドデシル、ミリスチン酸イソセチル、ヒドロキシステアリン酸2−エチルヘキシル、スクワラン、デシルテトラデカノール、イソステアリン酸オクチルドデシル、イソステアリン酸イソステアリル、ホホバ油、オレイルアルコール、ミリスチン酸オクチルドデシル、ミンク油等が挙げられる。
【0086】
架橋型ポリエーテル変性シリコーンの構造により、これらシリコーン油または炭化水素油の群の中から、最適なシリコーン油または炭化水素油を選択して混練処理してペースト状組成物を得ればよい。また、これらのシリコーン油または炭化水素油を単独あるいは2種以上を混合して使用してもよい。
このようにして得られた架橋型ポリエーテル変性シリコーンのペースト状組成物は単独あるいは2種以上を混合して配合してもよい。
【0087】
ペースト状組成物において、架橋型ポリエーテル変性シリコーンとシリコーン油または炭化水素油との配合比率は、架橋型ポリエーテル変性シリコーン100重量部に対してシリコーン油または炭化水素油が10〜1000重量部であることが好ましい。さらに好ましくは20〜500重量部である。架橋型ポリエーテル変性シリコーンの量が前記範囲より少ないと安定で良好なゲル構造を維持できない場合があり、逆に、前記範囲を越えると、肌上で重さを感じ、使用性、使用感が悪化する場合があり、好ましくない。
【0088】
混練処理を剪断力下で行う装置は特に制限されない。通常使用されるものが使用できる。例えば、3本ロールミル、コロイドミル、ガウリンホモジナイザー等が挙げられる。特に3本ロールミルが好ましく使用できる。
【0089】
本発明において、成分(C)の架橋型ポリエーテル変性シリコーンの配合量は、油中水型乳化化粧料全量に対して0.1〜10.0質量%が好ましい。0.1質量%未満では、内相50.0重量%以上の水相成分を乳化できず、また、10.0重量%を越えて配合すると、のびが悪く、使用感も重くなり、好ましくない。
架橋型ポリエーテル変性シリコーンをペースト状組成物として配合する場合には、油中水型乳化化粧料における架橋型ポリエーテル変性シリコーンの配合量が前記範囲になるように、ペースト状組成物の配合量を決定するのがよい。
【0090】
本発明においては、成分(C)は市販品を配合できる。市販品としては、架橋型ポリエーテル変性シリコーン/メチルポリシロキサン(商品名:KSG−210、信越化学工業(株)社製)、架橋型アルキルポリエーテル変性シリコーン/流動パラフィン(商品名:KSG−310、信越化学工業(株)社製)、架橋型アルキルポリエーテル変性シリコーン/イソドデカン(商品名:KSG−320、信越化学工業(株)社製)、架橋型アルキルポリエーテル変性シリコーン/トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル(商品名:KSG−330、信越化学工業(株)社製)、架橋型アルキルポリエーテル変性シリコーン/スクワラン(商品名:KSG−340、信越化学工業(株)社製)、架橋型ポリエーテル変性シリコーン/シクロメチコン(商品名:DC9011、東レ・ダウ・コーニング(株)社製)等が挙げられる。
なお、アルキル基含有架橋型ポリエーテル変性シリコーンのINCI名としては、PEG−10/LAURYL DIMETHICONECROSSPOLYMER、PEG−15/LAURYL DIMETHICONECROSSPOLYMER等があり、表示名称としてはPEG−10ラウリルジメチコンクロスポリマー、PEG−15ラウリルジメチコンクロスポリマー等がある。
【0091】
次に、必須成分の成分(D)のシリコーン・ポリアミド共重合体について説明する。
成分(D)のシリコーン・ポリアミド共重合体は、上記構造式(II)にて示されるものであり、化粧料配合成分としては公知の増粘剤である。特表2001−512164号公報に記載されている方法により得られる共重合体である。
反応スキームとしては、二酸をジアミンと反応させ、水を除去する縮合反応により製造することができる。この場合、二酸はシロキサン基を含む。例えば、カルボキシデシル−末端基化ポリジメチルシロキサンを二酸として使用することができる。他の有機二酸、ジアミン及び一官能性薬剤を二酸及びジアミンと組み合わせて使用して特性を改質することができる。二酸の代わりに、二酸クロリド、二酸無水物及びジエステル類を使用することができる。一つの方法としては、ほぼ等モル量のジアミンと二酸とを使用することが挙げられる。
共重合体の末端は任意の末端構造にすることができる。本発明において、好ましい末端構造は、H、OH、メチル、COOH、フェニルなどである。
【0092】
構造式(II)において、aは1〜40、bは1〜40が好ましい。1より小さいと、成分(E)のエステル油に対する安定化剤としての効果に劣り、また、40より大きいと、本発明の油中水型乳化化粧料において安定化剤というよりむしろ固化剤として機能するようになり、好ましくない。
また、cは1〜700が好ましい。1より小さいと、シリコーン油を配合した場合にシリコーン油に対して安定化剤としての効果に劣り、700を超えると成分(E)のエステル油に対して安定化剤としての効果に劣る。
dは1〜500が好ましい。1より小さいと、上記エステル油及びシリコーン油に対して安定化剤としての効果に劣り、また、500を超えると、本発明の油中水型乳化化粧料において安定化剤というよりむしろ固化剤として機能するようになるからである。
【0093】
本発明に用いるシリコーン・ポリアミド共重合体は、融点が100℃以上であり、その取り扱いに難がある場合がある。
この融点を下げる目的で、高級アルコールのポリエチレングリコールエーテルあるいはポリプロピレングリコールエーテルを加えることもできる。例えば、ラウリルアルコールのポリエチレングリコールエーテル、ミリスチルアルコールのポリプロピレングリコールエーテル等である。
シリコーン・ポリアミド共重合体と高級アルコールのポリエチレングリコールエーテル又はポリプロピレングリコールエーテルの質量比は、シリコーン・ポリアミド共重合体:高級アルコールのポリエチレングリコールエーテル又はポリプロピレングリコールエーテル=80〜90:20〜10であることが望ましい。
【0094】
シリコーン・ポリアミド共重合体の配合量は、油中水型乳化化粧料全量に対して0.01〜10.0質量%である。0.01質量%未満では、本発明の効果を発揮しない場合がある。10.0質量%を超えて配合すると、組成物全体が固化してしまい本発明の乳化化粧料として好ましくなく、また、本発明の効果も増強されるものではない。
【0095】
本発明に用いるシリコーン・ポリアミド共重合体は、市販品を使用できる。例えば、DC2−8178Gellant(東レ・ダウ・コーニング(株)社製)等が挙げられる。これは、シリコーン・ポリアミド共重合体88%、PPG−3
ミリスチルエーテル12%の組成物である。
なお、シリコーン・ポリアミド共重合体のINCI名は、Nylon−611/Dimethicone Copolymerである。
【0096】
本発明には、成分(E)のエステル油をさらに配合することにより、さらに組成物の使用感は良好なものとなる。好ましくは、無機性/有機性値(IOB値)が0.2〜0.6のエステル油である。0.2未満のエステル油では、敏感な肌に対して刺激が生じる場合があり、また、使用感の面でもさっぱりせず、べたつく感触を生じる場合がある。また、0.6を越えると、水に溶解しやすくなり、油分としての機能を発揮しなくなるからである。
【0097】
本発明に好適なエステル油としては、例えば、ジネオペンタン酸トリプロピレングリコール(IOB=0.52)、イソデシルベンゾエート(IOB=0.23)、ジカプリル酸プロピレングリコール(IOB=0.32)、イソノナン酸イソノニル(IOB=0.2)、2−エチルヘキサン酸セチル(IOB=0.52)、トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル(IOB=0.36)、テトラ2−エチルヘキサン酸ペンタエリスリト(IOB=0.35)、コハク酸ジ2−エチルヘキシル(IOB=0.32)等が挙げられる。
【0098】
成分(E)のエステル油の配合量は、油中水型乳化化粧料全量に対して0.01〜50.0質量%が好ましい。0.01質量%未満では、本発明の効果であるしっとりとしながらもさっぱりして、べたつきのない感触を感じることができない。また、50.0質量%を超えて配合しても本発明の効果を増強せず、逆にしっとりするが、さっぱりしない感触となってしまうからである。
【0099】
本発明の油中水型乳化化粧料では、前記油相成分と共に水相成分が配合される。水相成分は、水もしくは水を主成分とする水相に、これに各種水溶性成分を含むものである。水相成分が、油中水型乳化化粧料全量に対して、50.0〜90.0質量%配合された場合、本発明の効果はさらに効果的に発揮され、高内水相油中水型乳化化粧料を得ることができる。高内水相とは水相成分の含有量が多い油中水型乳化化粧料を意味し、本発明においては、水相成分の含有量が50.0質量%以上である油中水型乳化化粧料を意味する。本発明の高内水相油中水型乳化化粧料は、特にうるおい感付与の効果が優れている。水相成分は50.0質量%未満であると、うるおい感に欠ける場合がある。また、90.0質量%を超えると油中水型乳化組成物とすることが困難である。
【0100】
本発明の油中水型乳化化粧料は、安定して高配合の水相成分を含有させることができるので、希望する配合量の塩型薬剤を安定に配合できるという利点を有する。さらに、塩型薬剤による粘度低下を起こすことがなく、安定した油中水型乳化化粧料が得られる。
塩型薬剤とは塩を形成可能な水溶性の薬剤を意味し、本発明においては水溶性薬剤であれば特に制限がなく希望する薬剤を配合することが出来る。例えば、
水溶性の塩型薬剤としては、L−アスコルビン酸およびその誘導体、アルブチン、グルタチオン、トラネキサム酸およびその誘導体、アルコキシサリチル酸及びその塩などが好ましいものとして挙げられる。
L−アスコルビン酸は、一般にビタミンCといわれ、その強い還元作用により、細胞呼吸作用、酵素賦活作用、膠原形成作用を有し、かつメラニン還元作用を有する。L−アルコルビン酸誘導体としては、例えば、L−アスコルビン酸モノステアレート、L−アスコルビン酸モノパルミテート、L−アスコルビン酸モノオレート等のL−アスコルビン酸モノアルキルエステル類、L−アスコルビン酸モノリン酸エステル、L−アスコルビン酸−2−硫酸エステルなどのL−アスコルビン酸モノエステル類;L−アスコルビン酸ジステアレート、L−アスコルビン酸ジパルミテート、L−アスコルビン酸ジオレートなどのL−アスコルビン酸ジアルキルエステル類;L−アスコルビン酸トリステアレート、L−アスコルビン酸トリパルミテート、L−アスコルビン酸トリオレートなどのL−アスコルビン酸トリアルキルエステル類;L−アスコルビン酸トリリン酸エステルなどのL−アスコルビン酸トリエステル類;L−アスコルビン酸2−グルコシドなどのL−アスコルビン酸グルコシド類などが挙げられる。L−アスコルビン酸およびその誘導体としてはL−アスコルビン酸、L−アスコルビン酸リン酸エステル、L−アスコルビン酸−2−硫酸エステル、L−アスコルビン酸2−グルコシドまたはそれらの塩が好ましく用いられる。L−アスコルビン酸およびその誘導体は、1種または2種以上を用いることができる。
トラネキサム酸誘導体としては、トラネキサム酸の二量体(例えば、塩酸トランス−4−(トランス−アミノメチルシクロヘキサンカルボニル)アミノメチルシクロヘキサンカルボン酸、等)、トラネキサム酸とハイドロキノンのエステル体(例えば、トランス−4−アミノメチルシクロヘキサンカルボン酸4’−ヒドロキシフェニルエステル、等)、トラネキサム酸とゲンチシン酸のエステル体(例えば、2−(トランス−4−アミノメチルシクロヘキシルカルボニルオキシ)−5−ヒドロキシ安息香酸およびその塩、等)、トラネキサム酸のアミド体(例えば、トランス−4−アミノメチルシコロヘキサンカルボン酸メチルアミドおよびその塩、トランス−4−(P−メトキシビンゾイル)アミノメチルシクロヘキサンカルボン酸およびその塩、トランス−4−グアニジノメチルシクロヘキサンカルボン酸およびその塩、等)などが挙げられる。
アルコキシサリチル酸は、サリチル酸の3位、4位または5位のいずれかの水素原子がアルコキシ基にて置換されたものであり、置換基であるアルコキシ基は、好ましくはメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基のいずれかであり、さらに好ましくはメトキシ基またはエトキシ基である。具体的に化合物名を例示すれば、3−メトキシサリチル酸、3−エトキシサリチル酸、4−メトキシサリチル酸、4−エトキシサリチル酸、4−プロポキシサリチル酸、4−イソプロポキシサリチル酸、4−ブトキシサリチル酸、5−メトキシサリチル酸、5−エトキシサリチル酸、5−プロポキシサリチル酸、及びその塩などが挙げられる。
上記薬剤の塩としては、特に限定はされないが、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩のようなアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩のほか、アンモニウム塩、アミノ酸塩等の塩が挙げられる。
これら塩型薬剤は1種または2種以上を用いることができ、その配合量は任意である。製品設計において希望する塩型薬剤の配合量を水相成分の配合量と調整しながら適宜決定する。例えば、水相成分全量に対して、0.1〜30質量%配合される。
【0101】
本発明の油中水型乳化化粧料においては、前記した必須成分のほかに、通常乳化化粧料に配合される水性成分(水相成分)及び油性成分(油相成分)を含有することができる。例えば、保湿剤、防腐剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、美容成分、香料、保香剤、増粘剤、着色顔料、光輝性顔料、有機粉体、疏水化処理顔料、タール色素等があり、これらを本発明の効果を損なわない範囲で配合して、常法により製造することができる。
【0102】
本発明の油中水型乳化化粧料の具体的な化粧料としては、乳液、スキンクリーム、ヘアクリーム、リキッドファンデーション、アイライナー、マスカラ、アイシャドウ等の乳液状あるいはクリーム状の製品がある。これら製品の製造は前記した必須成分及びこれらの化粧料に通常配合される成分を配合して常法により製造することができる。
【0103】
本発明のHFEと環状シリコーンを配合した化粧料は特に限定されず、例えば、化粧水、乳液、クリーム、日焼け止め乳液などの基礎化粧品、ファンデーション、おしろい、チークカラー、アイカラー、口紅などのメークアップ化粧品、整髪料、リンス、トリートメントなどのヘアケア製品などである。また、具体的な油中水型乳化化粧料としては、乳液、スキンクリーム、ヘアクリーム、リキッドファンデーション、アイライナー、マスカラ、アイシャドウ等の乳液状あるいはクリーム状の製品がある。本発明の化粧料の製造は、前記した必須成分及びそれら化粧料に通常配合される成分を混合し、常法により行うことができる。
【0104】
【実施例】
以下に本発明の複数の実施例を示すが、本発明はこれら実施例により限定されるものではない。配合量は特に断りのない限り、全量に対する質量%である。
【0105】
評価基準
実施例に従い調製した化粧料を用いて各種の評価を行った。評価基準は、以下の通りである。
[乳化安定性の評価基準]
乳化組成物を50℃の恒温槽中に静置し、1か月後の状態を観察した。
○:油分離が全く認められない。
△:油分離がわずかに認められる。
×:油分離が明確に認められる。
[使用性の評価基準]
女性専門パネル(10名)の皮膚に塗布する実使用試験を行い、使用性(べたつき、さっぱりさ)を評価した。
<べたつき>
◎:10名全員が、べたつきがなく、しっとりした使用性を有すると判定。
○:7名以上9名以下が、べたつきがなく、しっとりした使用性を有すると判定。
△:3名以上7名未満が、べたつきがなく、しっとりした使用性を有すると判定。
×:3名未満が、べたつきがなく、しっとりした使用性を有すると判定。
<さっぱりさ>
◎:10名全員が、さっぱりさがある使用性を有すると判定。
○:7名以上9名以下が、さっぱりさがある使用性を有すると判定。
△:3名以上7名未満が、さっぱりさがある使用性を有すると判定。
×:3名未満が、さっぱりさがある使用性を有すると判定。
<耐水性の評価基準>
ガラス板に塗布し、水道水に30分間浸漬後の塗膜の状態を目視判定する。
○:白化も剥れも全く見られない
△:若干の白化、剥れが見られる
×:著しい白化、剥れが見られる
<匂いの評価基準>
作成したサンプルの匂いを、香りの専門パネラー2名により、香りの変化を官能評価した。
◎:臭い(特に紫外線吸収剤の臭い)は認められない。
○:臭い(特に紫外線吸収剤の臭い)がやや認められるが、使用上不快感を感じない。
△:臭い(特に紫外線吸収剤の臭い)が認められる。
×:強い臭い(特に紫外線吸収剤の臭い)が認められる。
【0106】
「実施例1、比較例1〜4」
表1に示す配合組成及び量で配合して油相と水相を調製し、ディスパーで攪拌して、W/O型サンスクリーンクリームを調製した。このクリームは請求項5記載の油中水型乳化化粧料である。使用したハイドロフルオロエーテルはC4F9−O−CH3である。なお、C4F9−O−C2H5を使用した場合も、同様の効果が得られる。実施例1は乳化安定性に優れている。
【0107】
【表1】HFEと各種油分との乳化安定性
【0108】
「実施例2、比較例5〜7」
表2に示す配合組成及び量で配合して油相と水相を調製し、ディスパーで攪拌して、W/O型サンスクリーンクリームを調製した。このクリームは請求項5記載の油中水型乳化化粧料である。使用したハイドロフルオロエーテルはC4F9−O−CH3である。なお、C4F9−O−C2H5を使用した場合も、同様の効果が得られる。
【0109】
【表2】高分子皮膜剤配合の効果
【0110】
[使用性結果]
実施例2及び比較例5〜7の使用性結果は表2に示す通りである。それによれば、ハイドロフルオロエーテル及び環状シリコーンを配合した実施例2は、10名のパネル全員がいずれも、べたつきがなく、さっぱりさがある使用性を有すると判定した。これに対して、ハイドロフルオロエーテル、環状シリコーンのいずれか一方を含有しない比較例5、6は、実施例2と比較して劣っていた。すなわち、本発明の実施例2では、高分子被膜剤由来のべたつきが低減されている。また、紫外線吸収剤のオクチルメトキシシンナメート由来の匂いも低減されている。
【0111】
「実施例3、比較例8、9」
表3に示す配合組成及び量で配合して油相と水相を調製し、ディスパーで攪拌して、W/O型スキンクリームを調製した。このクリームは請求項6記載の油中水型乳化化粧料である。使用したハイドロフルオロエーテルはC4F9−O−CH3である。なお、C4F9−O−C2H5を使用した場合も、同様の効果が得られる。
【0112】
【表3】
【0113】
[使用性結果]
実施例3及び比較例8、9の使用性結果は表3に示す通りである。それによれば、ハイドロフルオロエーテル及び環状シリコーンを配合した実施例3は、10名のパネル全員がいずれも、べたつきがなく、さっぱりさがある使用感を有すると判定した。
これに対して、ハイドロフルオロエーテル、環状シリコーンのいずれか一方を含有しない比較例8、9は、実施例3と比較して劣っていた。
【0114】
「実施例4、比較例10、11」
表4に示す配合組成及び量で配合して油相と水相を調製し、これらを70℃に加温し、ディスパーで攪拌して、W/O型スキンクリームを調製した。このクリームは請求項7記載の油中水型乳化化粧料である。使用したハイドロフルオロエーテルはC4F9−O−CH3である。なお、C4F9−O−C2H5を使用した場合も、同様の効果が得られる。
【0115】
【表4】
【0116】
[使用性結果]
実施例4及び比較例10、11の使用性結果は表1に示す通りである。それによれば、ハイドロフルオロエーテル及び環状シリコーンを配合した実施例4は、10名のパネル全員がいずれも、べたつきがなく、さっぱりさがある使用性を有すると判定した。
これに対して、ハイドロフルオロエーテル、環状シリコーンのいずれか一方を含有しない比較例10、11は、実施例4と比較して劣っていた。
【0117】
「実施例5、比較例12、13」
実施例5、比較例12、13を表4に示す配合組成及び量で配合して油相と水相を調製し、これらを80℃に加温し、ディスパーで攪拌して、W/O型クリームを調製した。このクリームは請求項8記載の油中水型乳化化粧料である。使用したハイドロフルオロエーテルはC4F9−O−CH3である。なお、C4F9−O−C2H5を使用した場合も、同様の効果が得られる。
【0118】
【表5】
*1:構造式(II)で、p=5〜15、q=1.2〜5、r+s=20〜90の範囲にあり、R=CH3の架橋型ポリエーテル変性シリコーン(商品名:KSG−210、信越化学工業(株)社製)100重量部を400重量部の粘度6mPa・sのメチルポリシロキサンと剪断力下で混練処理したペースト状組成物(ペースト状組成物中、架橋型ポリエーテル変性シリコーンは24質量%となる)。
*2:構造式(I)で、p=10〜20、q=2〜6、r=5〜25、s=20〜90の範囲にあり、R=C12H25のアルキル基含有ポリエーテル変性シリコーン(商品名:KSG−330、信越化学工業(株)社製)100重量部を粘度30mPa・sのトリ2−エチルヘキサン酸グリセリルと剪断力下で混練処理したペースト状組成物(ペースト状組成物中、アルキル基含有ポリエーテル変性シリコーンは20質量%となる)。
*3:構造式(III)で、aは10〜30、bは5〜200、cは250〜500、dは100〜400の範囲にあるシリコーン・ポリアミド共重合体(DC2−8178Gellant(東レ・ダウ・コーニング(株)社製)とポリプロピレングリコールのセチルエーテルを88:12で混合したもの)
【0119】
[使用性結果]
実施例5及び比較例11、12の使用性結果は表5に示す通りである。それによれば、ハイドロフルオロエーテル及び環状シリコーンを配合した実施例5は、10名のパネル全員がいずれも、べたつきがなく、さっぱりさがある使用性を有すると判定した。
これに対して、ハイドロフルオロエーテル、環状シリコーンのいずれか一方を含有しない比較例11、12は、実施例5と比較して劣っていた。
【0120】
「実施例6」
表6に示す配合組成及び量で配合して油相と水相を調製し、ディスパーで攪拌して、W/O型サンスクリーン乳液を調製した。この油中水型乳化化粧料は、請求項5記載の(1)0.1〜5.0質量%の有機変性粘土鉱物を配合して乳化することを特徴とする油中水型乳化化粧料である。使用したハイドロフルオロエーテルはC4F9−O−CH3である。なお、C4F9−O−C2H5を使用した場合も、同様の効果が得られる。
【0121】
【表6】
【0122】
[使用性結果]
実施例6は、10名のパネル全員がいずれも、べたつきがなく、さっぱりさがある使用性を有すると判定した。
【0123】
「実施例7」
表7に示す配合組成及び量で配合して油相と水相を調製し、ディスパーで攪拌して、W/O乳化型ファンデーションを調製した。このファンデーションは請求項5記載の油中水型乳化化粧料である。使用したハイドロフルオロエーテルはC4F9−O−CH3である。なお、C4F9−O−C2H5を使用した場合も、同様の効果が得られる。
【0124】
【表7】
【0125】
[使用性結果]
実施例7は、10名のパネル全員がいずれも、べたつきがなく、さっぱりさがある使用性を有すると判定していた。
【0126】
以下に、本発明のその他の実施例を挙げる。
【0127】
実施例8(ボディークリーム)
常法により得られる上記の処方のクリームは、肌への馴染みがよくてべたつきのない、使用性に優れている。
【0128】
実施例9(日焼け止めクリーム)
デカメチルシクロペンタシロキサン 10
HFE(C4F9−O−C1H3) 10
エタノール 5
イソステアリルアルコール 2
ジプロピレングリコール 3
イソステアリン酸 2
トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル 5
2−エチルヘキサン酸セチル 2
デキストリン脂肪酸エステル被覆微粒子酸化チタン(40nm) 2
塩化ナトリウム 2
エデト酸3ナトリウム 適量
ユビナールT−150(BASF社製) 1
4−t−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン 1
パラメトキシ桂皮酸2−エチルヘキシル 7.5
カルボキシメチルセルロースNa 0.5
エチルセルロ−ス 1
球状アクリル樹脂粉末 5
精製水 残余
香料 適量
常法により得られる上記の処方のクリームは、べたつきがなく、さっぱりとした使用性で、ジパラメトキシ桂皮酸由来の匂いを感じないものである。
【0129】
実施例10(油性日焼け止め化粧料)
ジメチルポリシロキサン 5
デカメチルシクロペンタシロキサン 残余
HFE(C4F9−O−C2H5) 30
トリメチルシロキシケイ酸 5
ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体 1.0
パルミチン酸デキストリン被覆微粒子酸化亜鉛(60nm) 15
パラメトキシ桂皮酸2−エチルヘキシル 7.5
ジメチルジステアリルアンモニウムヘクトライト 0.5
イソステアリン酸 0.5
球状ポリアクリル酸アルキル粉末 5
香料 適量
常法により得られる上記の処方の化粧料は、べたつきがなく、さっぱりとした使用性で、ジパラメトキシ桂皮酸由来の匂いを感じないものである。
【0130】
実施例11(油中水型乳化ファンデーション)
常法により得られる上記の処方のファンデーションは、塗布時に滑らかで、塗布後はべたつかず、化粧持ちに優れたものである。
【0131】
実施例12(油中水型乳化ファンデーション)
常法により得られる上記の処方のファンデーションは、塗布時に滑らかで、塗布後はべたつかず、化粧持ちに優れたものである。
【0132】
実施例14(油中水型マスカラ)
(水相)
着色顔料 酸化鉄ブラック 5.0
精製水 31.0
酢酸ビニルエマルジョン 10.0
防腐剤 適量
モンモリロナイト 1.0
プロピレングリコール 3.0
(油相)
デカメチルシクロペンタシロキサン 残量
HFE(C4F9−O−C1H3) 1.0
ベントン38 3.0
トリメチルシロキシケイ酸 5.0
ソルビタンモノパルミテート 1.0
モノラウリン酸プロピレングリコール 1.0
イソステアリルアルコール 0.5
常法により得られる上記の処方のマスカラは、滑らかに塗布時でき、塗布後は耐水性・耐湿性に優れたものである。
【0133】
【発明の効果】
本発明によれば、環境破壊の心配がなく身体に安全な特定のHFEを配合した化粧料において、化粧料組成物に通常用いる他の成分を安定に配合することが出来る化粧料を提供することが出来る。したがって、希望する成分を配合した目的の化粧料が製造可能となり、特に油中水型乳化化粧料に好ましく応用できる。
また、本発明の化粧料は、非常にさっぱりした使用感触を有する。高分子皮膜剤乳化組成物由などのべたつきを低減させることができる。さらには、紫外線吸収剤由来の匂いも低減させることが出来る。
Claims (8)
- 25℃における粘度が5mPa・s未満である一般式(1)で表されるハイドロフルオロエーテルと、環状シリコーンとを含むことを特徴とする化粧料。
【化1】
CnHmFl−O−CxHyFz (1)
[式中、nは1〜12の数、mは0〜25の数、lは0〜11の数、m+l=2n+1であり、xは1〜12の数、yは0〜25の数、zは0〜11の数、y+z=2x+1である(ただし、mとnは同時に0とはならない。また、lとzは同時に0とはならない)。] - さらに高分子皮膜剤を含むことを特徴とする請求項1記載の化粧料。
- さらに疎水化処理粉末または球状粉末を含むことを特徴とする請求項1または2記載の化粧料。
- 前記化粧料が油中水型乳化化粧料であることを特徴とする請求項1、2または3記載の化粧料。
- 0.1〜5.0質量%の有機変性粘土鉱物を配合して乳化することを特徴とする請求項4記載の化粧料。
- エチルセルロース及びエチルセルロースを膨潤可能な溶剤を含む油相と、カチオン化セルロースとヒアルロン酸ナトリウムとからなるポリイオンコンプレックスを含む水相とが、油中水型(W/O型)に乳化されていることを特徴とする請求項4記載の化粧料。
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