JP3456575B2

JP3456575B2 - 油中水型乳化化粧料

Info

Publication number: JP3456575B2
Application number: JP32757599A
Authority: JP
Inventors: 広子櫃田
Original assignee: Fancl Corp
Current assignee: Fancl Corp
Priority date: 1999-11-18
Filing date: 1999-11-18
Publication date: 2003-10-14
Anticipated expiration: 2019-11-18
Also published as: JP2001139452A

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明が属する技術分野】本発明は、油中水型乳化化粧
料に関し、さらに詳細には、水分を多量にかつ安定に配
合でき、使用感に優れた油中水型乳化化粧料に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、油中水型乳化化粧料は水中油型乳
化化粧料に比べ、微生物抵抗性が高く、肌表面を油膜で
被覆して水分の蒸散を防ぐこと、又、撥水性に優れ化粧
くずれが少ないことからスキンケア化粧料やメークアッ
プ化粧料に用いられている。しかしながら、油中水型乳
化型化粧料は、外相である連続相が油相であるため、そ
の中に安定に含有できる水分が制限され、その結果、油
っぽさやべたつき感が強いという欠点があった。一方、
シリコーン油は滑沢性、撥水性に優れた油性基剤として
知られ、特に低分子シリコーン油は、さっぱりとしてべ
たつきがなく、優れた使用感を有していることから、近
年、油中水型乳化化粧料の油剤として多く使用されてい
る。しかしながら、シリコーン油を油相中に多量に用い
た場合、安定性が良好な油中水型乳化物を得ることは極
めて難しいという欠点を有している。通常、このような
乳化組成物を得るために、シリコーン油との相溶性が良
い親油型のポリオキシアルキレン変性オルガノポリシロ
キサン系界面活性剤が汎用される。しかし、シリコーン
油を油相中に多量に用いた乳化組成物に、単にポリオキ
シアルキレン変性オルガノポリシロキサン系界面活性剤
を配合するだけでは、経時的に安定なものを得ることは
難しい。そこで、経時安定性を良くするために、油相に
増粘剤またはゲル化剤を配合する事も試みられている
が、効果的な増粘剤、ゲル化剤は少ない。

【０００３】一方、部分架橋型オルガノポリシロキサン
重合物と低粘度シリコーン油からなるシリコーンゲル組
成物は、シリコーン油を多量に安定に配合する事が可能
であり、使用感も優れている事が知られている（特開平
１−２０７３５４号）。さらに前記シリコーンゲル組成
物と、ポリオキシアルキレン変性オルガノポリシロキサ
ン系界面活性剤を含有させることで、経時安定性及び使
用感に優れた油中水型乳化化粧料が得られている（特開
平３−７９６６９号）。しかし、みずみずしい使用感を
得るべく、これに多量の水分を配合すると乳化が困難と
なり、経時安定性が悪くなるという問題点があった。

【０００４】また、油中水型乳化化粧料に水相を多量に
配合していくと、外相に対する内相比が増え、乳化粒子
の密度が高くなるため、構造上、流動性が失われ、粘度
が高くなり、クリーム状、ゲル状を呈し、硬くなる為、
製造時の乳化攪拌が困難になることや肌へ塗布する際、
伸ばしにくいという問題点があった。

【０００５】このように油中水型乳化化粧料は水中油型
乳化化粧料に比較して優れた性能を有しているにもかか
わらず、化粧料としては広く利用されていないのが現状
であり、従って、水分を多量に含有して良好な使用感を
与えるとともに、経時安定性にも優れ、肌に塗布しやす
い油中水型乳化化粧料の開発が望まれていた。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記問題点
を解決し、水分を多量にかつ安定に配合することがで
き、使用感に優れた油中水型乳化化粧料を提供すること
である。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明者は上記課題の解
決のため鋭意検討を重ねた結果、アクリル酸メタクリル
酸アルキル共重合体を配合する事で、油中水型乳化化粧
料に水分を多量に配合でき、粘度が低く、さっぱりして
みずみずしい使用感の化粧料が得られることを見出し、
本発明を完成させた。

【０００８】すなわち、本発明はアクリル酸メタクリル
酸アルキル共重合体を含有する油中水型乳化化粧料を提
供するものである。

【０００９】また、本発明は次の（Ａ）及び（Ｂ）成分（Ａ）（ａ）部分架橋型オルガノポリシロキサン共重合
体及び（ｂ）低粘度シリコーン油からなるシリコーンゲ
ル組成物（Ｂ）ポリオキシアルキレン変性オルガノポリシロキサ
ン系界面活性剤を含有する前記の油中水型乳化化粧料を
提供するものである。

【００１０】さらに、本発明は水を３５〜９０質量％含
有する前記の油中水型乳化化粧料を提供するものであ
る。

【００１１】さらに、本発明は粘度が２０，０００ｍＰ
ａ・ｓ未満である前記の油中水型乳化化粧料を提供する
ものである。

【００１２】

【発明の実施の形態】本発明に用いるアクリル酸メタク
リル酸アルキル共重合体は、市販品を用いることができ
る。市販品として代表的なものとして、ペムレンＴＲ
−１、ペムレンＴＲ−２またはカーボポールＥＴＤ
（共にＢＦＧｏｏｄｒｉｃｈ社製）などが挙げられる。
アクリル酸メタクリル酸アルキル共重合体の配合量は化
粧料全体の０．０５〜１．０質量％であることが好まし
い。０．０５質量％未満では本発明の効果が得られにく
く、１．０質量％をこえると水相の粘度が高くなり、乳
化しにくくなり好ましくない。

【００１３】本発明に用いるシリコーンゲル組成物は、
（ａ）部分架橋型オルガノポリシロキサン共重合体と
（ｂ）低粘度シリコーンとからなるものであり、（ａ）
の重合物中に（ｂ）のシリコーン油を内包せしめたもの
である。シリコーンゲル組成物は市販品を用いることが
できる。市販品として代表的なものとしてＫＳＧ１５、
ＫＳＧ１６、ＫＳＧ１８（共に信越化学工業社製）が挙
げられる。本発明におけるシリコーンゲル組成物は、油
相成分中に１０〜９０質量％含有させることが好まし
い。油相成分はシリコーンゲル組成物以外に、通常の乳
化化粧料に用いる油剤からなり、かかる油剤としては、
動物油、植物油、合成油のいずれをも使用することがで
き、具体的には、スクワランなどの炭化水素類、オリブ
油などの油脂類、ステアリン酸などの高級脂肪酸類、オ
クチルドデカノールなどの高級アルコール類、コレステ
ロールなどのステロール類、イソオクタン酸セチル、ト
リイソオクタン酸グリセリンなどの脂肪酸エステル類、
ポリジメチルシロキサンなどのシリコーン類、パーフル
オロポリエーテルなどのフッ素系油剤などが挙げられ
る。油相成分は化粧料全体の１０〜６５質量％含有させ
ることが好ましい。１０質量％未満では、油中水型乳化
化粧料を製造することが困難であり、６５質量％をこえ
ると本発明の特徴が得られず、好ましくない。

【００１４】本発明に用いるポリオキシアルキレン変性
オルガノポリシロキサン系界面活性剤は、シリコーン油
を多量に含む油相を乳化し、油中水型乳化物を製造する
際、乳化剤として一般的に用いられるものであり、市販
品を用いることができる。本発明に用いるポリオキシア
ルキレン変性オルガノポリシロキサン系界面活性剤は、
常温で液状ないしペースト状のもので、親油性のものが
好ましく、市販品として代表的なものとして信越化学工
業社製のシリコンＫＦ９４５Ａ、東レ・ダウコーニング
シリコーン社製のシリコンＳＨ３７７２Ｃ、ゴールドシ
ュミット社製のアビルＷＥ０９などが挙げられる。本発
明に用いるポリオキシアルキレン変性オルガノポリシロ
キサン系界面活性剤は、化粧料全体の０．１〜５質量
％、好ましくは０．５〜３質量％含有させることが好ま
しい。０．１質量％未満では安定な油中水型乳化化粧料
が得られにくく、５質量％を超えると感触的に重さ、べ
たつき感が生じるため好ましくない。

【００１５】本発明に用いる水分は、化粧料全体の３５
〜９０質量％配合させることが好ましい。３５質量％未
満では本発明の特徴が得られず、９０質量％を超えると
安定な油中水型乳化化粧料が得られにくいため好ましく
ない。

【００１６】本発明の油中水型乳化化粧料には、前記成
分のほか、化粧料に通常用いられる保湿剤、防腐剤、酸
化防止剤、紫外線吸収剤、美容成分、香料、水溶性高分
子、体質顔料、着色顔料、有機紛体、無機紛体、疎水化
処理顔料、タール色素など本発明の効果を損なわない範
囲で配合することができる。

【００１７】本発明の油中水型乳化化粧料は、油相成分
と界面活性剤を均一に混合し、さらに水相成分を攪拌し
ながら徐々に添加するという通常の方法で容易に製造す
ることができる。

【００１８】本発明の油中水型乳化化粧料は、水分を多
量に含有することが可能であり、経時安定性に優れ、べ
たつきや油っぽさがなく、さっぱりしてみずみずしい使
用感であり、肌に塗布しやすいという優れた使用性を有
している。

【００１９】本発明の油中水型乳化化粧料は、例えば乳
液、クリーム、ハンドクリーム、日焼け止め、リキッド
ファンデーションなどの一般の皮膚化粧料に利用するこ
とができる。

【００２０】以下に実施例を挙げて、本発明をさらに詳
細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものでは
ない。

【００２１】

【実施例】実施例１及び比較例１、２（クリーム）表１に示す組成の油中水乳化型クリームを以下に示す方
法により製造した。表中の配合量は質量％である。Ａ：（１）〜（３）を７０℃まで加熱し、攪拌混合し、
均一とする。Ｂ：（４）〜（１０）を７０℃まで加熱し、攪拌混合
し、均一とする。Ｃ：ＡにＢを攪拌しながら添加し、冷却する。

【００２２】

【表１】

【００２３】実施例２、３及び比較例３（ハンドクリー
ム）表２に示す組成の油中水乳化型ハンドクリームを以下に
示す方法により製造した。表中の配合量は質量％であ
る。Ａ：（１）〜（７）を７０℃まで加熱し、攪拌混合し、
均一とする。Ｂ：（８）〜（１４）を７０℃まで加熱し、攪拌混合
し、均一とする。Ｃ：ＡにＢを攪拌しながら添加し、冷却する。

【００２４】

【表２】

【００２５】実施例１、比較例１、２の油中水乳化型ク
リーム及び実施例２、３、比較例３の油中水乳化型ハン
ドクリームについて、粘度、経時安定性（０℃、室温及
び５０℃に１ヶ月保存）及び使用感を下記基準により評
価した。その結果を併せて表１、表２に示す。

【００２６】（粘度評価基準）粘度は製造翌日、２５℃
でＢ型粘度計を用いて測定し、以下の基準により評価し
た。 ◎：２０，０００ｍＰａ・ｓ未満 ○：２０，０００ｍＰａ・ｓ以上３０，０００ｍＰａ・
ｓ未満 △：３０，０００ｍＰａ・ｓ以上５０，０００ｍＰａ・
ｓ未満 ×：５０，０００ｍＰａ・ｓ以上

【００２７】（経時安定性評価基準）経時安定性は０
℃、５０℃の恒温槽及び室温で1ヶ月間保存し、以下の
基準により外観の観察で評価した。 ○：製造直後の状態から変化なし。 △：乳化状態がやや不均一。 ×：明らかに分離している。

【００２８】（使用感評価基準）使用感（さっぱり感、
みずみずしさ及びのばしやすさ）について、専門パネラ
ーによって、下記基準により評価した。 ◎：非常に良い。 ○：良い。 △：悪い。 ×：非常に悪い。

【００２９】表１に示す結果より明らかなように、本発
明品（実施例１）はアクリル酸メタクリル酸アルキル共
重合体をカルボキシビニルポリマーに置き換えた場合
（比較例１）及びアクリル酸メタクリル酸アルキル共重
合体を除去した場合（比較例２）と比較して経時安定性
に格段に優れ、使用感においても格段に優れている。

【００３０】表２に示す結果より明らかなように、本発
明品（実施例２、３）はアクリル酸メタクリル酸アルキ
ル共重合体を除去した場合（比較例３）と比較して経時
安定性に格段に優れ、粘度が低下したためのばしやす
く、さっぱりとしたみずみずしい使用感に優れていた。

【００３１】実施例４（サンスクリーン）（組成）（質量％）（１）シリコーンゲル組成物２０．０（２）ジメチルポリシロキサン（６ｃｓ）５．０（３）デカメチルシクロペンタシロキサン１０．０（４）２−エチルヘキサン酸セチル２．０（５）ポリオキシアルキレン変性オルガノポリシロキサン１．０（６）１，３−ブチレングリコール１０．０（７）グリセリン５．０（８）シリコン処理酸化チタン５．０（９）シリコン処理酸化亜鉛５．０（１０）アクリル酸メタクリル酸アクリル共重合体０．２（１１）水酸化カリウム０．１（１２）精製水３６．７（製法）Ａ：（１）〜（５）を７０℃まで加熱し、攪拌混合し、
均一とする。Ｂ：（６）〜（１２）を７０℃まで加熱し、攪拌混合
し、均一とする。Ｃ：ＡにＢを攪拌しながら添加し、冷却する。

【００３２】実施例４のサンスクリーン剤は、経時安定
性に優れ、さっぱりとしてみずみずしい使用感に優れ、
肌にのばしやすく、使用性に優れていた。

【００３３】

【発明の効果】以上、詳述したごとく、水を多量に配合
した場合においても優れた経時安定性を示し、油っぽさ
やべたつきがなく、さっぱりとしてみずみずしい使用感
に優れ、また、粘度が低く肌に塗布しやすいという使用
性に優れた油中水型乳化化粧料を提供することができ
た。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) A61K 7/00 - 7/50

Claims

(57)【特許請求の範囲】

【請求項１】アクリル酸メタクリル酸アルキル共重合
体、次の（Ａ）及び（Ｂ）成分、（Ａ）（ａ）部分架橋型オルガノポリシロキサン共重合
体及び（ｂ）低粘度シリコーン油からなるシリコーンゲ
ル組成物、（Ｂ）ポリオキシアルキレン変性オルガノポリシロキサ
ン系界面活性剤、及び水を３５〜９０質量％含有する油
中水型乳化化粧料。
【請求項２】粘度が２０，０００ｍＰａ・ｓ未満であ
る、請求項１記載の油中水型乳化化粧料。