JP5223747B2 - 摺動部材及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、摺動面を有する摺動部材及びその製造方法に関する。
摩擦係数(μ)の低い特性(低μ特性)を有する材料については、せん断抵抗の小さい層状結晶構造を有するグラファイト、二硫化モリブデンなどの粉末やその成形体などの固体潤滑材が知られている。具体的には、人工黒鉛や天然黒鉛等の粉末を成形、焼結したグラファイト成形体(機械用カーボン製品など)や、強度及び耐摩耗性を高めるために、それらの成形体に樹脂もしくは金属を含浸させたもの、また、固体潤滑成分として鱗片状黒鉛又は鱗状黒鉛を配合し、ポリアミドイミド等の結合剤により所定量の二硫化モリブデン、鱗片状黒鉛又は鱗状黒鉛、及びポリテトラフルオロエチレンからなる固体潤滑剤を結合してなる皮膜を基材に被着した樹脂複合材が知られている(例えば、非特許文献1、特許文献1〜2参照)。
近年、燃費向上を図る等の点から、エンジンや変速機、減速機等の駆動系ユニットなどの自動車用ユニットでは、摩擦損失の低減が求められており、また、これらに用いられる摺動部材として、より低摩擦な材料(低μ材)が求められている。
上記に関連する技術として、せん断力の小さい(001)面が平行に積み重なった層状結晶構造を持つ固体潤滑剤板状結晶粒子を用い、摺動表面での固体潤滑剤板状結晶粒子の(001)面の配向指数を90%以上とした摺動部材が提示されている(例えば、特許文献3参照)。この摺動部材は、低摩擦係数で、しかも耐摩耗性に優れるとされている。
また、例えばエンジン等の機械部品では、摩擦損失を低減するためには摩擦係数が小さいことが望まれる一方、例えば2つの円筒が組み合わされるすべりローラーやすべり軸受等においては、組付け時や運転時に2つの円筒が互いに傾斜して接触した場合にエッジロードが発生し、ローラー端部で大きな摩擦を生じることがある。このようなエッジロードの発生を防止する技術として開示されているものがある(例えば、特許文献4〜5参照)。
特開2000−136397号公報 特開2005−89514号公報 特開2007−270894号公報 特開平11−247845号公報 特開2005−256656号公報
カタログ「機械用カーボン製品」,東洋炭素株式会社
しかしながら、上記従来の摺動部材は、粒子状の材料を用いるために摺動面には、摺動面に対して、低摩擦化に有効である(001)面等のc面以外にも、a面〔(101)面や(100)面等〕などのc面以外の結晶面が存在し、理想的な低せん断配向面が得られず、従来の低摩擦材を著しく越えるほどの低μ特性を得ることは困難であり、摩擦損失の低減効果はそれ程期待できない。
また、低摩擦化に有効である(001)面等が摺動面の全体に形成されている場合、黒鉛の結晶層の層間の相互作用力が小さいときには、過大な面圧が加わった状態でせん断を受けると、層間剥離が生じやすく、著しい摩耗を引き起こすことが指摘されている。例えば、自動車におけるエンジン摺動部や駆動系ユニットの摺動部材には、車両寿命に至るまでの長期にわたって著しい摩耗が生じないことが求められる。
例えば高配向性のグラファイトは、層間の相互作用力が比較的小さいため、高配向性グラファイトで覆われた摺動面において、層間剥離が生じやすくなる懸念があり、耐摩耗性を向上させる技術の確立が求められている。
また、高配向性グラファイトを用いて摺動部材を製造する場合、従来から用いられている樹脂や金属を含浸もしくは混合する方法では、摺動面となる部材表面にグラファイトの配向性を高く維持することは困難であり、低摩擦特性が安定に得られない課題がある。グラファイトとそれ以外の材料とを複合した複合材とする場合にも、グラファイトの高配向性を高度に維持するためには、成形時に生じる力によって配置されたグラファイトの配向、すなわちグラファイトの移動、切断あるいは変形が生じないように複合化できる技術が必要とされる。
本発明は、上記に鑑みなされたものであり、従来の等方性グラファイト等の低摩擦材料に比べて、油中条件並びに無潤滑条件ないし油膜の少ない摩擦環境条件において摺動面での摩擦損失がより低減(小さい摩擦係数(μ)が発現)され、しかも摺動面全体に高配向性グラファイトを用いた場合に比べて、良好な耐摩耗性を有する摺動部材、及び摺動面となる部材表面に高配向性グラファイトの配向が維持され、低摩擦特性と耐摩耗性とが安定的に得られる摺動部材の製造方法を提供することを目的とし、該目的を達成することを課題とする。
本発明は、従来の粒子材料では、例えば熱圧着を施しても摩擦損失の低減効果が低く、必ずしも高度の低μ特性は望めず、また、高配向性グラファイトによると、摺動方向に対するグラファイトの結晶配向の状態及びその程度が摺動摩擦による損失の低減に効果があり、低摩擦化が可能であるがこれを摺動面の全面に設けると耐摩耗性が低下する場合があるとの知見、並びに摺動に対して高い耐摩耗性を持つ材料と組み合わせた複合材構造は、低摩擦化及び高耐摩耗性の両立に効果的であるとの知見を得、かかる知見に基づいて達成されたものである。
上記目的を達成するために、第1の発明に係る摺動部材は、内燃機関に用いられる摺動部材であり、摺動面の少なくとも一部に、X線回折測定によるグラファイト−2H 002回折位置でのロッキングカーブにおける半値幅が7°以下である高配向性グラファイトを含む(好ましくは表面に沿って配向した)A面と、前記高配向性グラファイトより耐摩耗性に優れる(例えば摺動摩耗の少ない)材料を含むB面と、を含み、前記A面及び前記B面がA面からB面への方向を摺動方向と平行にして設けて構成したものである。
第1の発明に係る摺動部材においては、その摺動面に、002回折線のロッキングカーブにおける半値幅(Full Width at Half Maximum (FWHM), この場合具体的には、横軸試料回転角ω、縦軸回折強度で描いた回折ピークにおいて、縦軸が最大ピーク値の半分の回折強度を持つ位置における回折ピークの持つ横軸ωの幅)が、7°以下のシャープな回折ピークを持つ高配向性グラファイト、すなわち結晶性がよく、摺動面と平行方向に良好な結晶配向を有する高配向性グラファイトからなるA面と、高配向性グラファイトより摺動時に生じる耐摩耗性に優れる(例えば摺動摩耗の少ない)材料を含むB面と、の両領域を摺動方向において摺動方向と平行に存在(好ましくは摺動方向に交互に存在)させて、B面の領域に摺動面に加わった荷重の一部を分担させる構成とすることで、油中条件並びに無潤滑条件ないし油膜の少ない摩擦環境とした場合において、グラファイトc面(001面)を摺動方向に配向させた高配向性グラファイトが、相手材の表面に移着し、あるいはその摩耗分が相手材の摺動面に存在することにより、真実接触部での摩擦状態はグラファイトc面同士でのせん断になる。このとき、c面同士の相互作用力は小さな分子間力が支配的になると考えられ、そのせん断抵抗は極めて小さい。これにより、摺動面の摩擦係数(μ値)を低く(好ましくは0.05以下に)抑え、摺動時に生じる摩擦損失を飛躍的に低減しつつも、高配向性グラファイトに加わる過大な荷重が抑制され、耐摩耗性をも確保することができる。
A面では、層状構造を有するグラファイト(黒鉛)の積層方向と直交する方向と平行関係にあるc面が、層間の相互作用力が弱くせん断抵抗が小さいため、c面と平行方向の摺動に対する摩擦の低減が可能である。また、グラファイトのうち、特に結晶性が高く単結晶に近い構造を持つ高配向性グラファイトが用いられ、摺動面におけるc面の占める割合が高められるので、摺動時における摩擦損失は大幅に低減される。
また、静摩擦係数そのものを小さく押さえ得るので、潤滑油が用いられかつ流体摩擦と境界摩擦とが混在する混合潤滑状態における摺動条件において、境界摩擦成分の占める割合が増大する低すべり速度領域でのμの値は小さくなる。すなわち、μ−v特性の負勾配性に起因して生じるスティック・スリップ現象を抑制し、自励振動の発生を防止することが可能である。
第1の発明に係る摺動部材の摺動面は、摺動面に加わった荷重の一部を分担するB面を形成する材料として、樹脂、金属、セラミック、炭素材、非晶質炭素材、ゴム、金属の窒化物、及び金属の炭化物から選択される1種又は2種以上を用いることができる。これらの材料は、高配向性グラファイトよりも摺動時に生じる摺動摩耗が少ないので、B面に荷重を分担させても摩耗劣化のおそれが少ない。これにより、摺動時に生じる摩擦損失の低減効果と耐摩耗性の向上効果とを効果的に両立することができる。
第1の発明に係る摺動部材の摺動面において、高配向性グラファイトを用いたA面と、高配向性グラファイトより耐摩耗性に優れる材料を用いて荷重の一部を分担できるB面とは、A面及びB面がA面からB面への方向を摺動方向と平行にして交互に設けられた複合形態が好ましい。複合形態にするに際し、高配向性グラファイトを相手材への移着材もしくは固体潤滑剤の供給源として機能させることができる。これにより、A面及びB面を有する摺動面と相手材に高配向性グラファイトが移着した表面とにおいて、グラファイトc面同士での摩擦状態を形成することができるので、摩擦係数を低く維持することができる。
高配向性グラファイトを用いたA面の摺動面中に占める面積割合は、摺動面における摩擦係数を低く維持しながら耐摩耗性をも確保する観点から、20%〜91%の範囲とすることが好適である。摺動面における摩擦係数を低く維持しながら、耐摩耗性をも確保するという性能の両立が可能である。
摺動面におけるA面は、摺動時の摺動方向において、0.4〜8.0mmの間隔をあけて設けられていると、摺動面における摩擦係数を低く維持しながら、耐摩耗性をも確保するという性能両立の点で望ましい。
摺動面におけるB面は、熱可塑性樹脂及び/又は熱硬化性樹脂を用いて形成することができ、B面はフェノール樹脂を用いて形成されるのが好ましい。例えば、熱可塑性樹脂を用いる場合には、プレス金型や成形機等に所望形状の高配向性グラファイトを配置した後、熱可塑性樹脂の粉末、ペレット、ペースト、成形体もしくはシート等を加熱プレスすることによって、一体化する同時に高配向性グラファイトの間隔部に樹脂部が入り込んだ樹脂成形体もしくはシートを作製することができる。また、フェノール樹脂などの熱硬化性樹脂を用いる場合には、例えば、所望の形状とした高配向性グラファイトを配置した後、熱硬化性樹脂の粉末、ペースト、液体等を加熱プレスさせることによって、樹脂を基材として、その表面に高配向性グラファイトと樹脂とが交互に設けられた複合材の成形体もしくはシートを作製することができる。また、例えば、予め溝を設けた樹脂成形体の溝部に高配向性グラファイトを接着してもよい。樹脂に関して、フェノール樹脂は、他の樹脂に対して、高耐熱性、高耐摩耗性並びに所望の複合材形状が比較的安価に得ることができる。
摺動部材の摺動面では、高配向性グラファイトを用いたA面(表面高さa)と、高配向性グラファイトより耐摩耗性に優れる材料を用いたB面(表面高さb)とは、摺動面の法線方向における高さが、表面高さa≧表面高さbの関係を満たしていることが好ましい。A面とB面とを摺動方向に交互に設けると共にあるいは交互に設けずに、表面高さa≧表面高さbの関係を満たすことで、高配向性グラファイトを相手材への移着材もしくは固体潤滑剤の供給源として機能させることができ、A面及びB面を有する摺動面と相手材に高配向性グラファイトが移着した表面とにおいて、グラファイトc面同士での摩擦状態を形成することができる。これにより、摩擦係数をより低く保つことができる。
また、A面とB面の配置に関しては、摺動面の見掛けの接触形態が線接触あるいは面接触となる場合、その見掛けの接触面内に高配向性グラファイトを用いたA面とB面とが同時に混在するように設けられていることが、荷重の一部を常時B面によって分担させ、A面の過大な摩耗を防ぐことが可能となる点で好ましい。更に、見掛けの接触面内にB面を少なくとも2箇所以上に分離して設けることが、均一な荷重分担によって良好な耐摩耗性を確保する点でより好ましい。
摺動面におけるB面は、高配向性グラファイトより耐摩耗性に優れる(例えば摺動摩耗の少ない)材料として、ビッカース硬さHV300以上の金属鋼材を用いることができる。ビッカース硬さHV300以上の金属鋼材は、摩耗劣化が起きにくく耐摩耗性を確保できるとともに、A面とB面の比率などの自由度も高められる。
第1の発明に係る摺動部材としては、エンジン等の内燃機関内のピストン、ピストンに設けられるピストンリング、ピストンピン、又は、すべり軸受構造におけるシャフト及び/もしくはブッシュに構成されることが好ましい。具体的には、ピストンのスカート部の少なくとも一部、ピストンリングの少なくとも一部、ピストンピンの少なくとも一部、あるいはすべり軸受構造のシャフト及び/又はブッシュの少なくとも一部に、前記A面と前記B面とが(好ましくは摺動方向に向かって摺動方向に平行にかつ交互に)設けられることにより、摺動面の静摩擦係数を小さく抑え、摺動時の摩擦損失をより効果的に低減すると同時に、耐摩耗性を確保することができる。
更に、第1の発明は、少なくともシャフト及びブッシュを有し、シャフトの外周面及びブッシュの内周面の少なくとも一方に前記A面及び前記B面が設けられたすべり軸受構造に構成することができる。また、第1の発明は、内側ローラーの外周面、及び前記内側ローラーの周囲に前記内側ローラーと同軸的にかつ回転自在に設けられた外側ローラーの内周面の少なくとも一方に高配向性グラファイトが設けられたすべりローラー構造に構成することができる。
すべり軸受け構造におけるシャフト及びブッシュのすべり面(即ち、摺動面であるシャフト外周面及びブッシュ内周面)、あるいはすべりローラー構造における内側ローラー及び外側ローラーのすべり面(摺動面)に、せん断抵抗の小さい前記高配向性グラファイト(X線回折測定によるグラファイト−2H 002回折位置でのロッキングカーブにおける半値幅が7°以下である高配向性グラファイト)を用いたA面と、高配向性グラファイトより耐摩耗性に優れる材料を用いたB面とを設けることで、摺動面の摩擦係数(μ値)が低く(好ましくは0.05以下に)抑えられると同時に、高配向性グラファイトに加わる荷重負荷の一部をB面に分担させるので、摺動時に生じる摩擦損失を飛躍的に低減しながら、摺動面(特に高配向性グラファイト)の耐摩耗性を確保できる。
この点について、層状構造を有するグラファイト(黒鉛)の積層方向と直交する方向と平行関係にあるc面は、層間の相互作用力が弱くせん断抵抗が小さいため、c面と平行方向の摺動に対する摩擦の低減が可能である反面、グラファイト構造は6員環分子層同士が弱い分子間結合で結合された層状構造であり、層間剥離を生じ易く、耐摩耗性が低い。従来のエッジロードの発生防止技術では、形状の適正化が図られているものの、これらは鋼材部品を主な対象としているために、弾性率が鋼材と大きく異なるグラファイトではエッジロードに対する有効な形状が異なるため、鋼材と同様の形状にした場合、定常摺動時でも接触面積が小さくなり、面圧の増加を伴ない、グラファイト自体に摩耗が生じやすくなる。具体的には、2つの円筒が傾斜して接触した場合にエッジロードを生じると、端部でグラファイトに大きな摩耗を生じることがあり、例えば、2つの円筒が組み合わされるすべりローラーやすべり軸受構造などにおいて、組付け時や摺動時にアライメントの誤差を生じ、円筒同士が傾斜して接触する場合がある。このような場合、高配向性グラファイトに加わる荷重負荷が大きくなりやすい。そこで、第1の発明に係る摺動部材においては、上記の高配向性グラファイトで被覆する場合に、摺動面の全体を被覆するのではなく、さらに高配向性グラファイトより耐摩耗性に優れる材料を用いたB面を設け、摺動面に高配向性グラファイトを用いたA面とB面とが摺動方向に平行に(好ましくは交互に)現れる表面構造に構成することにより、グラファイトへの過大な摩耗を防止し、長期にわたって摺動時に生じる摩擦損失を低減することができる。
第2の発明に係る摺動部材の製造方法は、X線回折測定によるグラファイト−2H 002回折位置でのロッキングカーブにおける半値幅が7°以下である高配向性グラファイトを所望の形状に成形し、成形された高配向性グラファイトの一部に樹脂を設け、1.0MPa以下の圧力から増圧して加圧することにより、高配向性グラファイトからなるA面と樹脂からなるB面とを含み、前記A面及び前記B面がA面からB面への方向が摺動方向と平行にして設けられた摺動面を形成する構成としたものである。
第2の発明に係る摺動部材の製造方法においては、上記したように、例えば、所望形状の高配向性グラファイトを配置した後、熱可塑性樹脂の粉末、ペレット、ペースト、成形体もしくはシート等を用いて加熱プレスすることによって一体化する同時に高配向性グラファイトの間隔部に樹脂部が入り込んだ樹脂成形体もしくはシートとし、あるいは熱硬化性樹脂の粉末、ペースト、液体等を用いて加熱プレスすることによって樹脂を基材としてその表面に高配向性グラファイトと樹脂とが交互に設けられた複合材の成形体もしくはシートとすることができる。このように、所望形状を有する高配向性グラファイトの一部に樹脂を設けて成形化し、高配向性グラファイトを用いたA面と樹脂を用いたB面とが設けられた摺動面とする過程において、樹脂の成形化を、はじめ1.0MPa以下の低圧で加圧を開始した後に増圧して行なうことで、加圧成形時に樹脂流れや樹脂変形によって生じる力により既に配置されている高配向性グラファイトの移動、切断、変形を回避できるので、摩擦損失の低い低摩擦特性と耐摩耗性(例えば摺動摩耗の少ない)を両立した摺動部材が得られる。また、上記のように、A面とB面とは摺動方向に向かって摺動方向と平行に交互に摺動面に形成されるのが好ましい。
樹脂成形時の加圧は、1.0MPa以下の圧力で加圧した状態で一時的に保持し、保持後に再び圧力を上昇させることが好ましい。1.0MPa以下の低圧で一旦保つことにより、高配向性グラファイトの移動、切断、変形の回避効果が高くなり、低摩擦特性及び耐摩耗性を有する摺動部材をより安定的に得ることができる。加圧は、0.01〜1.0MPaの面圧で行なうのが好ましく、保持時間は、30〜120秒の範囲が好ましい。また、圧力を上昇させる場合、段階的に圧力を上げていくことが好ましい。これによっても、高配向性グラファイトの移動、切断、変形が回避され、低摩擦特性及び耐摩耗性を有する摺動部材がより安定的に得られる。中でも、4〜10MPaの圧力毎に段階的に加圧する態様が好ましい。
第2の発明における加圧は、少なくとも高配向性グラファイトとの接触面がポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を含む押付部を押付けて好適に行なえる。PTFEが表面に設けられた押付部で加圧すると、成形材を取り出す際に押付部への高配向性グラファイトの凝着を防止することができるので、高配向性グラファイトの配向性を維持することができる。
第3の発明に係る摺動部材の製造方法は、内燃機関に用いられる摺動部材の製造方法であり、ビッカース硬さHV300以上の金属鋼材に溝部を形成し、形成された溝部に、X線回折測定によるグラファイト−2H 002回折位置でのロッキングカーブにおける半値幅が7°以下である高配向性グラファイトを有機系接着剤により接着することにより、高配向性グラファイトからなるA面と金属鋼材からなるB面とを含み、前記A面及び前記B面がA面からB面への方向を摺動方向と平行にして有する摺動面を形成する構成としたものである。
第3の発明に係る摺動部材の製造方法においては、ビッカース硬さHV300以上の金属鋼材に例えば放電加工や切削加工等の加工法により予め形成された溝部に、高配向性グラファイトを埋め込んで有機系接着剤により接着することで、摩擦損失の低い低摩擦特性と(例えば摺動摩耗の少ない)耐摩耗性を両立した摺動部材が得られる。このとき、A面の表面高さaとB面の表面高さbとが表面高さa≧表面高さbの関係を満たすことが好ましい。この摺動部材は、高配向性グラファイトを相手材への移着材もしくは固体潤滑剤の供給源として機能させることができ、A面及びB面を有する摺動面と相手材に高配向性グラファイトが移着した表面とにおいて、グラファイトc面同士での摩擦状態を形成することができる。これにより、摩擦係数がより低く保たれる。
また、上記のように、摺動方向に金属鋼材面(B面)と埋め込まれた高配向性グラファイト面(A面)とが交互に設けられた複合形態に形成することが好ましい。複合形態にするに際し、高配向性グラファイトを相手材への移着材もしくは固体潤滑剤の供給源として機能させることができる。
第1の発明に係る摺動部材、並びに第2の発明及び第3の発明に係る摺動部材の製造方法は、例えば、エンジンや自動変速機、手動変速機、減速機などの駆動系ユニットにおける摩擦損失の低減に好適であり、例えば燃費等を向上させたエンジン、駆動系ユニットの構築に有効である。
本発明によれば、従来の等方性グラファイト等の低摩擦材料に比べて、油中条件並びに無潤滑条件ないし油膜の少ない摩擦環境条件において摺動面での摩擦損失がより低減(小さい摩擦係数(μ)が発現)され、しかも高配向性グラファイトで摺動面の全体が形成された場合に比べて、良好な耐摩耗性を有する摺動部材を提供することができる。また、
本発明によれば、摺動面となる部材表面に高配向性グラファイトの配向が維持され、低摩擦特性と耐摩耗性とが安定的に得られる摺動部材の製造方法を提供することができる。
本発明の第1実施形態に係るピストンを示す概略構成図である。 図1のピストンのスカート部の断面形状を拡大して示す概略断面図である。 (a)は本発明の第2実施形態に係るすべり軸受内を回転するシャフトを示す断面図であり、(b)は(a)のA−A’線断面図である。 (a)は本発明の第3実施形態に係るすべり軸受におけるブッシュを示す断面図であり、(b)は(a)のB−B’線断面図である。 実施例で作製したプレート試験片の形状を示す図である。 高配向性グラファイト/鋼材複合材の形状を示す平面図である。 高配向性グラファイト/フェノール樹脂複合材の形状を示す斜視図である。 スラストカラー摩擦摩耗試験の概略図である。 供試材の回折線の強度を対比して示すX線回折プロファイル(グラファイト−2H 002回折位置でのロッキングカーブの測定例)である。 油中条件における各供試材の摩擦係数(μ)を比較して示すグラフである。 油中条件における各供試材の摩耗量を比較して示すグラフである。 乾燥条件における各供試材の摩擦係数(μ)を比較して示すグラフである。 乾燥条件における各供試材について、(a)は20°/5°高配向性グラファイト/フェノール樹脂複合材の相手材摩擦面の形状であり、(b)は(a)の外観写真であり、(c)は20°/10°の高配向性グラファイト/フェノール樹脂複合材の相手材摩擦面の形状であり、(d)は(c)の外観写真であり、(e)はフェノール樹脂単独(100%)の相手材摩擦面の形状であり、(f)は(e)の外観写真であり、(g)は等方性グラファイト/フェノール樹脂20°/5°複合材の相手材摩擦面の形状であり、(h)は(g)の外観写真である。 乾燥条件における各供試材の摩耗量を比較して示すグラフである。 (a)は摺動面に高配向性グラファイトからなるグラファイト面(A面)と金属面(B面)とを有する構造を示す断面図であり、(b)は摺動時に相手材摺動面に高配向性グラファイトが移着するところを説明する断面図である。
以下、本発明の摺動部材について、図面を参照して、摺動面の一部にX線回折測定によるロッキングカーブにおける半値幅が7°以下である高配向性グラファイト(以下、実施形態において、「特定グラファイト」ということがある。)を用いたグラファイト面と金属面とを設けた実施形態を一例として説明し、該説明を通じて、本発明の摺動部材の製造方法についても詳述することとする。
(第1実施形態)
本発明の摺動部材の第1実施形態を図1を参照して説明する。本実施形態の摺動部材は、エンジンにおいて往復運動するピストンの摺動面であるスカート部に溝部を設け、その溝部に特定グラファイトを設けることにより、ピストン摺動方向に交互に特定グラファイトからなるグラファイト面(A面)とピストン自体の鋼材からなる金属面(B面)とを配して摺動面とし、ピストンが往復運動するときの摩擦損失及び摺動摩耗が小さくなるようにしたものである。
摺動部材である本実施形態のピストンは、図1に示すように、アルミニウム合金製のピストン本体部10の頂面11からリング溝部12を介して下側に位置するスカート部13の表面に、摺動方向に対して直交する周方向に無端の溝部が切削加工により所定の間隔で複数形成されており、この溝部を埋めるようにして、特定グラファイト17が膜状に所定の厚みで設けられている。特定グラファイト17が設けられることにより、摺動面であるスカート部には、特定グラファイトからなるグラファイト面(A面)15と、ピストン自体のアルミニウム合金からなる金属面(B面)16とが、図1のように摺動方向に対して交互に配置されている。また、ピストンスカート部の金属表面部には、樹脂、樹脂複合材、硬質薄膜等のコーティングを施してあってもよい。
スカート部の溝部は、切削加工のほか、放電加工などによって形成してもよい。溝部の形状や、深さ及び長さ、幅などのサイズ等については、適宜選択すればよい。
摺動面であるスカート部13には、図2に示すように、摺動方向において特定グラファイト17が幅pにて間隔qをあけて等間隔に形成された構造になっている。グラファイト17の摺動方向における幅pは、部材のスケールやA面の占有面積、目的等に応じて任意に選択することができる。
特定グラファイト17のグラファイト面(A面)15の間隔qは、摺動方向において、0.4〜8.0mmの範囲とするのが好ましい。摺動面におけるA面−A面間の間隔が前記範囲内であると、摺動時における摩擦低減と耐摩耗性とを両立する上で有効である。中でも、摺動方向におけるA面の間隔は、前記同様の効果の点で、1.0〜4.0mmの範囲がより好ましい。
グラファイト面(A面)のスカート部13の全表面積に占める面積割合(占有面積)は、20〜91%の範囲とするのが好ましい。A面の占有面積が前記範囲内であると、摺動時における摩擦低減と耐摩耗性とを両立する上で有効である。中でも、摺動面におけるA面の占める面積割合は、前記同様の効果の点で、50〜91%の範囲がより好ましい。
また、特定グラファイト17は、図2に示すように、スカート部13の金属表面あるいはコーティングを施した表面(すなわちB面)から突出するように設けられることにより、B面に対してA面が凸に形成された構造になっている。すなわち、A面とB面の表面高さの関係は、A面の表面高さa≧B面の表面高さbを満たしている。このような関係を満たす構造に形成することにより、特定グラファイト17が、摺動に伴なって、相手材であるシリンダボアの孔の内壁面に移着し、さらに固体潤滑剤として供給される。このため、摺動時には、グラファイト面及び金属面を有する摺動面は、シリンダボアの高配向性グラファイトが移着した内壁面との間で摺動し、このとき高配向性グラファイトのc面同士の摩擦状態を形成することができる。これにより、摩擦係数をより低く保ち、摺動時の摩耗を抑えることができる。
A面の表面高さaとB面の表面高さbとの関係は、上記の効果の度合いが高まる点で、表面高さaが表面高さbよりも高いこと、すなわち表面高さa≧表面高さbの関係満たしていることが好ましい。本実施形態では、溝部に厚みがs+sの特定グラファイト17が設けられており、そのうちスカート部13の金属面あるいはコーティングを施した表面(B面)から距離s分が凸状に突出した形態になっている。距離sを0(ゼロ)にして、グラファイト面15と金属面あるいはコーティングを施した表面16とが同一平面上にある構造でもよく、図2に示すようにA面(高さa)がB面(高さb)よりも高い場合に、荷重が負荷された接触状態においてA面の弾性変形を生じること、又はA面が徐々に摩耗することによって、同一平面に位置しても本発明の効果を維持することが可能である。
スカート部は、ピストンが往復運動するときに相手シリンダーボアと摺動しつつ姿勢を保つ役割を担うため、その表面が結晶配向の良好な特定グラファイトで被覆されることで、摺動面がグラファイト結晶面で覆われた構造となり、往復運動時の摩擦が低減され、摩擦損失を抑えることができる。
スカート部の金属面あるいはコーティングを施した表面(B面)16は、荷重が加わった場合にグラファイト面(A面)に力が集中しないように荷重の一部を分担し、グラファイトの層間剥離を回避するものであるため、摺動時に荷重がかかっても摩耗し難い材質が望ましい。
本実施形態の特定グラファイト17は、積層された高分子フィルム(積層フィルム)を炭素化した高配向性グラファイトシート(厚み70μm、パナソニックグラファイトシート PGS、松下電器産業(株)製)を用いたものであり、図1〜図2のように、特定グラファイト17は、図示しないポリアミドイミド樹脂(熱可塑性樹脂)を用いてピストン本体部10のスカート部13の溝部に固定されている。
なお、特定グラファイトの厚みは、目的や用途等に応じて適宜選択することができ、一般には25〜100μm程度である。
特定グラファイト17は、その結晶面がスカート部13の表面(ここではB面)に沿って2次元的に結晶配向されてなるものであり、摺動面となる特定グラファイト17からなるA面は、低摩擦化に良好な配向状態を有している。すなわち、結晶面をなすグラファイトのc面((001)面、c軸を法線方向とする結晶面)が、ピストンの往復運動方向とほぼ平行になっている。
本実施形態における特定グラファイト17のX線回折測定によるロッキングカーブにおける半値幅は5.7°である。
グラファイト−2H 002回折位置におけるロッキングカーブは、検出器の角度(回折角2θ)をグラファイト−2H 002回折位置に固定し、試料の回転角ωを回転させながら回折強度を測定した回折線のカーブであり、試料面に対するグラファイトc面((001)面)の傾きの分布を示すものである。このロッキングカーブは、グラファイトc面が試料面に対して平行に均一に分布しているほどシャープなピークを示し、逆に試料面に対して大小様々な傾斜角を持って分布していればブロードなものになる。このようなロッキングカーブの拡がりは、ロッキングカーブの半値幅(横軸試料回転角ω、縦軸回折強度で描いた回折ピークにおいて、縦軸が最大ピーク値の半分の回折強度を持つ位置における回折ピークの持つ横軸ωの幅)で表すことができる。
測定は、X線回折装置(例えば、理学電機社製のRINT−TTR)を用いて行なえる。より厳密な測定のためには、通常のω及び2θの2軸での測定では不足であり、極点図などを作成できる試料台(例えば、理学電機社製のRINT−TTRに付属の多目的試料台)等を用いてω軸及び2θ軸の駆動方向とは90°異なる駆動方向に対しても予めロッキングカーブを測定しておき、その回折ピークの最大点を横切るような形でω軸に対するロッキングカーブが描けるように設定しておく必要がある。
ロッキングカーブにおける半値幅(以下、単に「半値幅」ともいう。)は、摺動面での摩擦損失のより低減を図る点から小さいほど好ましく、本発明では特に7°以下とし、更には6°以下が好ましく、特に好ましくは2°以下である。
積層フィルムを炭素化したグラファイトは、耐熱性高分子フィルムを複数枚積層した状態で高温加熱、炭化した黒鉛結晶である。このグラファイトは、例えば、複数枚の高分子フィルムや、高分子フィルムから得られた炭素質フィルムを複数枚積層して高温域(例えば2500℃以上)で印加圧力を制御しながら焼成することにより作製できる。焼成時の印加圧力は、例えば、2000℃以下の温度域で0.2〜5MPaの範囲が好ましい。積層フィルムを炭素化して得られるグラファイトの作製方法については、例えば、特開平5−97418号公報、特開2003−92384号公報、特開2004−18281号公報等に記載の方法を参照することができる。
本実施形態では、スカート部13の表面にほぼ平行に炭素六角網面が配向している。
前記耐熱性高分子フィルムとしては、ポリオキサジアゾール、芳香族ポリイミド、ポリベンゾチアゾール、ポリベンゾビスチアゾール、ポリベンゾオキサゾール、ポリベンゾビスオキサゾール、ポリピロメリットイミド、芳香族ポリアミド、ポリフェニレンベンゾイミタゾール、ポリフェニレンベンゾビスイミタゾール、ポリチアゾール、ポリパラフェニレンビニレン等の高分子材料のフィルムを用いることができる。
本発明においては、積層された高分子フィルム(積層フィルム)を炭素化したグラファイトのほか、高配向性熱分解グラファイト(HOPG)、キッシュグラファイト(Kish Graphite)、単結晶グラファイトなどを好適に用いることができる。
前記高配向性熱分解グラファイト(HOPG)は、気相成長黒鉛の1種であり、静置基板発熱体上で炭化水素ガスを気相から熱分解により炭素として析出させた熱分解炭素に高温(例えば3200℃付近)で加熱処理を施して得られた黒鉛結晶である。加熱処理は、大面積の黒鉛材料を得るために2段階の高温加圧処理が施されており、例えば、第1段階は2800〜3000℃程度の温度域でホットプレスを施し、第2段階で3500±100℃の温度域で10kg/cm程度の圧力にて加圧する。
前記キッシュグラファイトは、高温の鉄融体中に固溶し得ない炭素が析出してできた黒鉛結晶である。
また、結晶軸の方向が変わらない単結晶グラファイトも好適である。
上記のうち、摺動面を被覆するために1mm×1mm以上の面積を得る観点からは、HOPG、積層フィルムを炭素化したグラファイトを用いることが好ましい。
特定グラファイトは、スカート部の被固定面と特定グラファイトとの間に有機系接着剤を配置することによりスカート部(ここでは溝部)に固定することができる。有機系接着剤としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、粘着剤や接着剤などを挙げることができる。
前記熱可塑性樹脂としては、公知のものを適宜選択することができ、例えば、ポリアミドイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、アクリル樹脂等を使用できる。中でも、100℃以上の耐熱性を有する熱可塑性樹脂が好ましい。前記熱硬化性樹脂としては、公知の熱硬化性樹脂の中から選択することができ、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、熱硬化アクリル樹脂等を使用できる。中でもフェノール樹脂が好ましい。また、前記粘着剤としては、公知のものを適宜選択することができ、例えば、アクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤等を使用できる。前記接着剤としては、公知のものを適宜選択することができ、例えば、熱硬化性樹脂接着剤、熱可塑性樹脂接着剤、エラストマー系接着剤、セラミックス系接着剤等を使用できる。
これらの中でも、例えばエンジン内部の摺動部位に用いるときには、180℃以上の耐熱性と耐油性を有するものが好ましい。
(第2実施形態)
本発明の摺動部材の第2実施形態を図3を参照して説明する。本実施形態の摺動部材は、すべり軸受構造におけるシャフトの摺動面である外周の曲面に特定グラファイトを設けることにより、シャフトが軸受内を回転する回転方向に交互に特定グラファイトからなるグラファイト面(A面)とシャフト自体の鋼材からなる金属面(B面)とを配して摺動面とし、シャフトが軸受内を回転するときの摩擦損失及び摺動摩耗が小さくなるようにしたものである。
図3−(b)は、摺動部材である本実施形態のシャフトを側面から見た図(図3−(a)のA−A’線断面図)である。摺動部材である本実施形態のシャフト20は、図3−(b)に示すように、断面円形の長軸状のシャフト材21の外周表面に、回転方向に直交する長軸方向と平行に特定グラファイト22が設けられることにより、摺動面であるシャフト外周表面には、特定グラファイトからなるグラファイト面(A面)22と、ピストン自体のアルミニウム合金からなる金属面(B面)21とが、図3−(a)のように摺動方向(矢印方向)に対して交互に配置されている。また、特定グラファイトは、所定の厚みで膜状に設けられている。
シャフト材は、その軸心を中心に回転運動するときにすべり軸受における相手ブッシュと摺動し、その摺動面となる曲面の一部が結晶配向の良好な特定グラファイトで被覆され、シャフト表面にグラファイト結晶面(A面)を有し、他の一部にシャフト自体の金属面(B面)を有する複合材となっているので、回転運動時の摩擦が低減され、摩擦損失を抑えることができる。
本実施形態の特定グラファイト22は、積層された高分子フィルムを炭素化した高配向性グラファイトシート(厚み70μm;パナソニックグラファイトシート PGS、松下電器産業(株)製)を用いて設けられたものであり、図示しないエポキシ樹脂系接着剤を用いてシャフトの曲面に固定されている。固定には、前記接着剤以外に熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、その他の接着剤、粘着剤等を用いてもよい。
本実施形態の特定グラファイト22は、既述の第1実施形態における場合と同様の方法により形成することができる。なお、特定グラファイトの厚みについては、目的や用途等に応じて適宜選択することができ、既述の第1実施形態で記載した通りである。
本実施形態の特定グラファイト22は、その結晶面がシャフトの曲面に沿うように2次元的に結晶配向されており、特定グラファイト22の表面は、摺動方向となるシャフトの回転方向に平行に良好な配向状態を有している。すなわち、結晶面をなすグラファイトのc面((001)面)がシャフトの回転方向とほぼ平行になっている。この特定グラファイト22のX線回折測定によるロッキングカーブにおける半値幅は5.7°である。
X線回折測定によるロッキングカーブ及び半値幅、HOPG及び他のグラファイト、並びに熱可塑性樹脂や粘着剤、等の詳細については、既述の第1実施形態における場合と同様である。
(第3実施形態)
本発明の摺動部材の第3実施形態を図4を参照して説明する。本実施形態の摺動部材は、すべり軸受におけるブッシュの摺動面である曲面に特定グラファイトを設けることにより、シャフトがブッシュ内を回転する回転方向に交互に特定グラファイトからなるグラファイト面(A面)とシャフト自体の鋼材からなる金属面(B面)とを配して摺動面とし、シャフトがブッシュ内を回転するときの摩擦損失及び摺動摩耗が小さくなるようにしたものである。
摺動部材である本実施形態のブッシュ30は、図4−(a)に示すように、ブッシュ材31に開けられた断面円形の貫通孔の内壁面に、回転方向に直交する長軸方向と平行もしくは斜め方向に特定グラファイト32が設けられることにより、摺動面であるブッシュ材の内壁面には、特定グラファイトからなるグラファイト面(A面)32と、ピストン自体のアルミニウム合金からなる金属面(B面)31とが、図3−(a)のように摺動方向に対して交互に配置されている。また、特定グラファイト32は、所定の厚みで膜状に設けられている。図4−(b)は、図4−(a)のB−B’線断面図である。
ブッシュ材は、その孔内をシャフトが回転運動するときにシャフトの表面と摺動し、摺動面となる貫通孔内壁の曲面の一部が結晶配向の良好な特定グラファイトで被覆され、内壁がグラファイト結晶面(A面)を有し、他の一部にシャフト自体の金属面(B面)を有する複合材となっているので、回転運動時の摩擦が低減され、摩擦損失が抑えられる。
本実施形態の特定グラファイト32は、積層された高分子フィルムを炭素化した高配向性グラファイトシート(厚み70μm;パナソニックグラファイトシート PGS、松下電器産業(株)製)を用いて設けられたものであり、図示しないエポキシ樹脂系接着剤を用いて内壁面に固定されている。固定には、接着剤以外に熱可塑性樹脂や粘着剤を用いてもよい。
本実施形態の特定グラファイト32は、既述の第1実施形態における場合と同様の方法により形成することができる。なお、特定グラファイトの厚みについては、目的や用途等に応じて適宜選択することができ、既述の第1実施形態で記載した通りである。
本実施形態の特定グラファイト32は、その結晶面がブッシュ材の曲面に沿うように2次元的に結晶配向されており、特定グラファイト32の表面は、摺動方向となる挿入されたシャフトの回転方向に平行に良好な配向状態を有している。すなわち、結晶面をなすグラファイトのc面がシャフトの回転方向とほぼ平行になっている。この特定グラファイト32のX線回折測定によるロッキングカーブにおける半値幅は5.7°である。
X線回折測定によるロッキングカーブ及び半値幅、HOPG及び他のグラファイト、並びに熱可塑性樹脂や粘着剤、等の詳細については、既述の第1実施形態における場合と同様である。
上記の各実施形態では、金属鋼材に放電加工又は切削加工して形成した溝部に高配向性グラファイトを接着する方法により、摺動部材として高配向性グラファイト/金属複合材を作製する場合を中心に説明したが、本発明にはこれに限らず、高配向性グラファイトと、高配向性グラファイトより耐摩耗性に優れる(例えば摺動摩耗の少ない)材料として、樹脂、セラミック、炭素材、非晶質炭素材(例:ダイヤモンドライクカーボン(DLC)等)、ゴム、金属の窒化物(例:窒化チタン、窒化クロム、窒化アルミニウム、窒化ホウ素等)、及び金属の炭化物(例:炭化チタン、炭化クロム、炭化珪素、炭化コバルト、炭化タングステン等)から選択されるものとの複合材料も好適である。金属以外の例えばセラミック、炭素材、非晶質炭素材、ゴム、金属の窒化物、又は金属の炭化物を用いた場合にも、上記と同様の方法で摺動部材を作製することができる。
また、例えば樹脂との複合材を作製する場合、上記の方法のほか、初めに高配向性グラファイトを所望の形状に成形し、成形された高配向性グラファイトの一部に樹脂を設けて1.0MPa以下の圧力から増圧して加圧する方法により摺動部材を作製することができる。この方法の具体的な態様については、以下の実施例で詳細に説明する。
以下、本発明を実施例における試験を通じて更に具体的に説明する。下記実施例に示す材料、機器、操作等は、本発明の範囲から逸脱しない限り適宜変更することができ、したがって本発明は以下に示す実施例に限定されるものではない。
(グラファイト材料の準備)
(1)高配向性グラファイト
高配向性グラファイト材として、芳香族系高分子フィルムを積層したものを加圧・加熱処理によってグラファイト化する固相−固相法プロセスにより作製した低密度の高配向性グラファイトシート(パナソニックグラファイトシート PGS、厚さ100μm、密度0.85g/cm、パナソニック(株)製)を用意した。
(2)等方性グラファイト
高配向性グラファイト以外のグラファイト材として、機械用カーボン摺動材に従来から用いられている等方性グラファイト成形体(黒鉛質機械用炭素;IG−11、東洋炭素(株)製)を用意した。これは、人造黒鉛粉末とバインダーピッチを混合し、冷間静水圧成形(CIP)及び焼成を施した後、更に約3000℃に加熱して黒鉛化したものである。
(実施例1)
−フェノール樹脂との複合化−
用意した高配向性グラファイトシートを用い、これを図7に示すように、φ10mmの円形領域を中心とし、その円形部から更に放射状に拡がる方向(外側)に向かって角度20°(20deg)の扇形部を2°、5°、10°、40°、及び80°の間隔をあけて設けた5種類の放射扇形状に切り出した。切り出した高配向性グラファイトシートを、表面粗さRzjis(JIS B 601-2001)が0.8μmとなるように仕上げた鋼基板上に置き、φ31.5mm穴があいた金型を用いて、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)からなるシートを敷いた金型下側の台座上に高配向性グラファイトシートを設置し、その上からフェノール樹脂粉末及び粉末プリモールド(BUEHLER社製、フェノキュアー及びフェノリックプリモールド)を充填し、その上から押付け金型で抑える形で、下記表1に示す条件で加熱加圧して成形することにより、本発明の高配向性グラファイト/フェノール樹脂の複合材(φ31.5mm,厚さ12mm;摺動部材)を作製した。
得られた高配向性グラファイト/フェノール樹脂の複合材の一例として、図7に20°(扇形部の角度20°)/10°複合材の外観形状を示す。このように、得られた高配向性グラファイト/フェノール樹脂の複合材は、複合材表面の内周を形成するφ10mmの円形領域から扇の幅が拡がる外周方向と交わる円周方向(摺動方向)において、20°幅の扇形状の高配向性グラファイト部51と、10°幅の扇形状のフェノール樹脂部52とが交互に設けられた構造になっている。
次に、比較用の複合材として、上記で用いた高配向性グラファイトを、厚さ1.5mmの等方性グラファイト成形体(黒鉛質機械用炭素;IG−11、東洋炭素(株)製)に代えて前記複合材の作製と同様にして、複合材表面の内周を形成するφ10mmの円形領域から扇の幅が拡がる外周方向に交わる円主方向において、図7のように、20°幅の扇形状の高配向性グラファイト部51と、5°幅の扇形状のフェノール樹脂部52とが交互に設けられた、20°(扇形部の角度20°)/5°複合材を作製した。
成形は、フェノール樹脂の加熱、成形条件をそれぞれ以下のようにして行なった。
温度と合計の成形時間については、それぞれ180℃、10分間の一定とした。また、成形時の加圧条件については、下記表1に示す5種の条件とした。なお、各加圧条件での成形品の良否を併せて下記表1に示す。
前記表1に示すように、加圧条件を初めの工程1で1.0MPa以下で1分間保持した後に増圧して加圧成形を行なった条件1〜条件3では、成形途中に高配向性グラファイトシートの切断や移動を生じることなく、複合材におけるグラファイト部の形状及び配置を、予め切出したシート形状と一致する所望のものとすることができた。これに対し、初めの工程1で1.0MPa以下とせずに加圧成形を行なった条件4〜条件5では、成形中にシートの切断や移動を生じてしまい、グラファイト部の形状や配置を所望のものとすることができなかった。
前記表1において、6段階加圧条件、3段階加圧条件、及び2段階加圧条件の条件1〜条件3(加圧開始時:1MPa以下)では、図7に示す複合材(6段階加圧条件での成形品)のように、複合材におけるグラファイ卜部の形状と位置を所望のものとすることができた。これは、初期の成形圧力を0MPa狙い(圧力の測定精度から1.0MPa以下と判断)と低くして1分間の保持したことで、フェノール樹脂の硬化が開始するまでの間での急激な樹脂の移動が少なくなり、それにより放射扇形状の高配向性グラファイトシートの切断や移動が生じ難くなったためと考えられる。また、段階的に圧力を上げることにより、高配向性グラファイトの変形や移動を更に少なくすることができた。一方、前記表1中の条件4〜条件5(2段階加圧条件(加圧開始時:5.6MPa)及び1段階加圧条件)では、放射扇形状の高配向性グラファイトシートの切断と移動とを生じていた。なお、比較用の複合材として用意した等方性グラファイト成形体(IG−11)を用いた場合(条件6)も、成形の点に関しては、高配向性グラファイトと同様の結果を示した。
(実施例2)
−鋼材と複合化した複合材−
焼入れ焼き戻しを繰り返し施してビッカース硬さ(HV)を700±50としたSUS440C鋼材を用い、図5に示す形状のプレート試験片を作製した。プレート試験片の表面粗さRzjis(JIS B 601-2001)を0.8μmとした。その表面に、放電加工により幅2mm、深さ100μmの縦溝を2mmの間隔で設けた複合化用鋼基材を作製した。この2mm幅の溝部に、上記の高配向性グラファイトシートを熱可塑性のエポキシ樹脂を用いて接着し、高配向性グラファイト/鋼材=2mm/2mmのストライプ(平行縞形)状に設け、高配向性グラファイトからなるグラファイト面(A面)42と鋼材からなる金属面(B面)41とが交互に配置された複合材を作製し、供試材とした。高配向性グラファイト/鋼材(=2mm/2mm)の複合材の概観形状を図6に示す。
−フェノール樹脂と複合化した複合材−
実施例1と同様にして、角度20°(20deg)の扇形部を2°、5°、10°、40°、及び80°の間隔をあけて設けた5種類の放射扇形状の高配向性グラファイトシートを用い、φ31.5mm,厚さ12mmの本発明の高配向性グラファイト/フェノール樹脂の複合材(摺動部材)を作製した。なお、成形条件は、条件1(6段階加工)とした。得られた複合材を、図5に示す形状のSUS440C鋼材(HV=700±50)のプレート試験片の上にエポキシ樹脂を用いて接着し、供試材とした。
−比較用の摺動材−
(1)厚さ70μmの高配向性グラファイトを、図5に示す形状のSUS440C鋼材(HV=700±50)のプレート試験片の全表面にエポキシ樹脂を用いて接着した高配向性グラファイト(100%)の試験片を作製し、供試材とした。
(2)焼入れ焼き戻しを繰り返し施してビッカース硬さ(HV)を700±50としたSUS440C鋼材を用意し、図5に示す形状に加工すると共に、表面粗さRzjis(JIS B 601-2001)を0.8μmとし、これを供試材とした。
(3)φ31.5mm,厚さ12mmに成形したフェノール樹脂(BUEHLER社製、フェノリックプリモールド)の単独成形体を用意した。得られた成形体を、図5に示す形状のSUS440C鋼材(HV=700±50)のプレート試験片の上にエポキシ樹脂を用いて接着し、供試材とした。
(4)等方性グラファイト(黒鉛質機械用炭素;IG−11、東洋炭素(株)製)をφ31.5mm,厚さ12mmに切り出し、その単独成形体を作製した。得られた成形体を、図5に示す形状のSUS440C鋼材(HV=700±50)のプレート試験片の上にエポキシ樹脂を用いて接着し、供試材とした。
(5)実施例1と同様にして、角度20°(20deg)の扇形部を5°の間隔をあけて設けた放射扇形状の等方性グラファイトシートを用い、φ31.5mm,厚さ12mmの等方性グラファイト/フェノール樹脂の複合材(摺動部材)を作製した。なお、成形条件は、前記条件6(6段階加工)とした。得られた複合材を、図5に示す形状のSUS440C鋼材(HV=700±50)のプレート試験片の上にエポキシ樹脂を用いて接着し、供試材とした。
(6)SUS440C鋼材(生材)を用意し、図5に示す形状に加工すると共に、その表面にピストンスカート用低摩擦樹脂コート材(MoS粒子分散ポリアミド表面処理材)を乾燥厚みが15μmになるようにコーティングし、供試材とした。
−摩擦摩耗特性の評価−
各供試材を用いて、ガソリンエンジン油(トヨタ自動車キャッスルSM 5W−30)を用いた油中摩擦条件(以下、油中条件と略記する。)、及び潤滑油を用いない乾燥摩擦条件(以下、乾燥条件と略記する。)において、図8に示すスラストカラー摩擦摩耗試験を下記条件にて実施した。
<試験条件>
(1)相手材:ビッカース硬さ(HV)が740に焼入れ焼き戻しを繰り返し施したSUJ−2の円筒試験片(表面粗さRzjis(JIS B 601-2001)=0.3μm、摩擦面の見掛けの接触面積=200mm
(2)すべり速度:100mm/s(一定)
(3)試験面圧:0.10MPa、0.25MPa、0.50MPa、0.75MPa、1.0MPa、0.10MPaとなるように荷重を段階的に変化
(4)試験時間:各面圧条件にて3分間保持。但し、油中条件では、面圧1.0MPaのみは試験時間を30分に延長した。
(5)試験温度:油中条件・・・油温80℃
乾燥条件・・・室温〔20℃〜28℃〕
また、面圧1.0MPa条件における試験終了直前30秒間での摩擦係数(μ)の平均値によって、各種供試材の摩擦特性を評価した。また、各種供試材の耐摩耗性を、摩擦試験後でのプレート試験片における各種供試材の摩耗深さによって評価した。摩耗深さに関しては、触針式粗さ計によって測定した摩擦摩耗試験後における非摺動部と摺動部との高低差から評価した。
−評価結果−
(1)摺動面におけるグラファイトの配向性
高配向性グラファイト/フェノール樹脂20°/5°複合材及び等方性グラファイト/フェノール樹脂20°/5°複合材の表面におけるグラファイト部について、X線回折装置(RINT−1500V、理学電機社製)によって、グラファイト(002)回折のロッキングカーブを測定し、その半値幅を求めた。この半値幅は、Full Width Half Maximum(FWHM)、ロッキング特性とも称され、値が小さいほどグラファイトc面が、より高い配向性を有し、かつ試料面に対して平行に存在していることを示している。ロッキングカーブの測定結果を図9に示す。
高配向性グラファイト/フェノール樹脂20°/5°複合材のグラファイト部表面におけるグラファイト(002)回折のロッキングカーブは、等方性グラファイト/フェノール樹脂20°/5°複合材のグラファイト部でのロッキングカーブに比べて、明瞭なピーク形状として現れている。高配向性グラファイト/フェノール樹脂20°/5°複合材のグラファイト部での半値幅は5.7°であり、等方性グラファイト/フェノール樹脂20°/5°複合材のグラファイト部での半値幅は14.9°となっており、高配向性グラファイト/フェノール20°/5°樹脂の複合材の方が、等方性タイプに比べて、グラファイトc面が、高い配向性を有すると共に、表面に対して平行に存在しているといえる。
また、高配向性グラファイト/鋼材の複合材、及び20°/5°タイプ以外の高配向性グラファイト/フェノール樹脂複合材についても、同一の高配向性グラファイトシートを用いていること及び高配向性グラファイトが同様に表面に対して平行に配置するよう複合化しているため、ほぼ同様の半値幅を得ることができる。
−油中条件での摩擦摩耗特性の評価結果−
スラストカラー摩擦摩耗試験によりエンジン油中で面圧1.0MPaで30分間試験を実施した際の各供試材のμ値を図10に示す。
図10に示すように、高配向性グラファイト/鋼材(=2mm/2mm)の複合材では、鋼材のみからなるSUS440C焼入れ鋼材、等方性グラファイトのみ(100%)からなる単独成形体、及びピストンスカート用低摩擦樹脂コート材に比べて、小さな摩擦係数(μ)が得られた。また、高配向性グラファイト/フェノール樹脂複合材(20°/2°〜20°/80°)では、高配向性グラファイト単独(100%)、フェノール樹脂のみ(100%)からなる単独成形体、等方性グラファイトのみ(100%)からなる単独成形体、等方性グラファイト/フェノール樹脂複合材20°/5°、及びピストンスカート用低摩擦樹脂コート材に比べて、小さな摩擦係数(μ)が得られた。すなわち、エンジン油中での摩擦条件では、高配向性グラファイトの面積率を20%〜91%とした鋼材もしくは樹脂材との複合材は、優れた低摩擦特性を示すことがわかる。
また、高配向性グラファイト/フェノール樹脂20°/5°複合材と等方性グラファイト/フェノール樹脂20°/5°複合材との摩擦係数(μ)を比較すると、高配向性グラファイト/フェノール樹脂複合材でのμ値が著しく低下しており、グラファイト複合材において、グラファイトc面を摺動面に対して平行に配向させることで低摩擦化を効果的に向上させることができる。
次に、エンジン油中条件でのスラストカラー摩擦摩耗試験後における各供試材の摩耗深さを図11に示す。
図11に示すように、高配向性グラファイト/鋼材(=2mm/2mm)複合材及び高配向性グラファイト/フェノール樹脂(20°/2°〜20°/80°)の全ての高配向性グラファイト複合材において、高配向性グラファイト単独(100%)に比べて、摩耗深さが著しく低下しており、鋼材もしくは樹脂材との複合材化によって、摩擦係数(μ)を大きく下げながら、耐摩耗性を飛躍的に向上させることができた。高配向性グラファイト単独(100%)は、上記のようにμ値はある程度低いものの、耐摩耗性に点で著しく劣っていた。
特に、高配向性グラファイト/フェノール樹脂複合材に着目すると、20°/2°、20°/5°及び20°/10°、すなわちグラファイトの面積率を67%〜91%とした複合材において、比較材として用いたピストンスカート用低摩擦樹脂コート材に匹敵する優れた耐摩耗特性が得られた。
−乾燥条件での摩擦摩耗特性の評価−
スラストカラー摩擦摩耗試験により乾燥条件下で面圧1.0MPaで測定した各供試材の摩擦係数(μ)を図12に示す。
図12に示すように、高配向性グラファイト/鋼材複合材(=2mm/2mm)及び高配向性グラファイト/フェノール樹脂複合材(20°/2°〜20°/10°)では、鋼材のみからなるSUS440C焼入れ鋼材、フェノール樹脂のみ(100%)からなる単独成形体、等方性グラファイトのみ(100%)からなる単独成形体、等方性グラファイト/フェノール樹脂20°/5°複合材、及びピストンスカート用低摩擦樹脂コート材に比べて、小さな摩擦係数(μ)が得られた。すなわち、潤滑油を用いない乾燥条件では、高配向性グラファイトの面積率を50%〜91%とした鋼材もしくは樹脂材との複合材が、優れた低摩擦特性を示すことがわかる。
また、高配向性グラファイト/フェノール樹脂20°/5°複合材は、等方性グラファイト/フェノール樹脂20°/5°複合材と比較して、摩擦係数(μ)が著しく低下していた。すなわち、グラファイト部がX線回折測定によるグラファイト−2H 002回折位置でのロッキングカーブにおける半値幅が7°以下(5.7°)とし、グラファイトc面が摺動面に対して平行に配向していることで、低摩擦化を図ることができる。
高配向性グラファイト複合材が、等方性グラファイト複合材に対して特に優れた低摩擦特性を示す要因を明らかにするため、摩擦試験後における相手材(SUJ−2の円筒試験片)の摩擦面について、非接触形状測定機(Newview 5200、zygo社製)を用いて3次元表面形状測定及び光学顕微鏡観察を実施した。測定結果を図13に示す。
図13に示すように、相手材の摺動面の形状像は、明るく表示された部位ほど高くなっていることを意味する。相手材の摺動面の形状像と光学写真像を比較すると、供試材として用いた高配向性グラファイト/フェノール樹脂複合材では、光学写真像で暗く写った部位が低くなっており、複合材からのグラファイトが移着したものと考えられる。また、高配向性グラファイト/フェノール樹脂複合材では、20°/5°及び20°/10°の両者とも相手材へのグラファイトの移着が多く生じていた。これに対し、等方性グラファイト/フェノール樹脂20°/5°複合材を用いた場合では、グラファイトの相手材への移着量が少ない。したがって、高配向性グラファイト複合材において低摩擦特性が得られた要因は、高配向性を有するグラファイト部が、せん断抵抗が小さなグラファイトc面を相手材に移着することで、実接触が低せん断移着膜との摩擦状態となっているものと考えられる。
次に、乾燥条件でのスラストカラー摩擦摩耗試験後における各供試材の摩耗深さを図14に示す。
図14に示すように、高配向性グラファイトとの複合材はいずれも、高配向性グラファイト単独(100%)に比べて、摩耗深さが大幅に低下しており、鋼材もしくは樹脂材との複合材化によって、耐摩耗性が向上していることがわかる。
以上に示す結果から、低摩擦特性と高耐摩耗性の両立に有効となる高配向性グラファイト複合材の概略構造を模式的に図15に示す。
図15に示すように、相手材と摺動する摺動面(見掛けの接触面)の一部に、高配向性グラファイト部61のグラファイト面(A面)61Aと共に、加えられた荷重を分担させるための高配向性グラファイトに比べて耐摩耗性の高い金属等の材料62を用いた面(B面)62Bを設けることで、図15−(b)に示すように、摺動する過程でグラファイト面(A面)から相手材70の摺動面に高配向性グラファイト65が移着し、相手材摺動面に高配向性グラファイト65が層状に付与されるので、高配向性グラファイトに過大な荷重が加わるのを防止し、高配向性グラファイトによる低摩擦化を図りつつも、高配向性グラファイトの摩耗を抑制できる。B面をなす材料に関しては、層状構造を有する高配向性グラファイトに比べて高い耐摩耗性を有する範囲の高耐摩耗性材料であれば、特に制限はなく、金属、樹脂のほか、例えば、金属、セラミック、炭素材、非晶質炭素材、ゴム、金属の窒化物、及び金属の炭化物などでもよい。複合化に際しては、グラファイトc面での低せん断抵抗による摩擦低減作用が充分に得られるよう、高配向性グラファイト部のX線回折測定によるグラファイト−2H 002回折位置でのロッキングカーブにおける半値幅が7°以下となるように構成し、かつ相手材への移着を形成できるよう、そのグラファイト部が高耐摩耗性材料と摺動方向に交互に、摺動方向に平行に配置された構造とすることが好ましい。
なお、上記実施例では、低密度の高配向性グラファイトシートを用いた場合を中心に説明したが、このシートのほか、特願2007−242679に示すように、例えば、気相−固相法プロセスで作製した高配向性熱分解グラファイト(HOPG;Highly Oriented Pyrolytic Graphite)のHOPGブロック(HOPG ZYA quality、NT−MDT社製)、芳香族系高分子フィルムを積層したものを加圧・加熱処理によりグラファイト化する固相−固相法プロセスによって作製した高密度の高配向性グラファイトのブロック形状品(パナソニックグラファイト PGCX07、パナソニック(株)製)等の他の高配向性グラファイト(前記半値幅≦7°の高配向性グラファイト)を用いた場合にも同様の結果を得ることができる。
図10〜図12及び図14に示す乾燥条件及び油中条件での摩擦係数(μ)及び耐摩耗性の結果から、複合材の摺動面における高配向性グラファイト部の面積率としては、20%〜91%が好ましく、特に優れた低摩擦特性と耐摩耗性を得る観点から、50%〜91%の範囲であることが好ましい。
10・・・ピストン
11・・・ピストンの頂面
13・・・スカート部
15,22,32,42,51,61A・・・グラファイト面(A面)
16,21,31,41,62B・・・金属面(B面)
17・・・X線回折測定によるロッキングカーブにおける半値幅が7°以下である高配向性グラファイト
20・・・シャフト
30・・・ブッシュ
52・・・フェノール樹脂部

Claims (20)

  1. 摺動面の少なくとも一部に、X線回折測定によるグラファイト−2H 002回折位置でのロッキングカーブにおける半値幅が7°以下である高配向性グラファイトを含むA面と、前記高配向性グラファイトより耐摩耗性に優れる材料を含むB面と、を含み、前記A面及び前記B面がA面からB面への方向を摺動方向と平行にして設けられた、内燃機関に用いられる摺動部材。
  2. 前記B面は、前記材料として、樹脂、金属、セラミック、炭素材、非晶質炭素材、ゴム、金属の窒化物、及び金属の炭化物から選択される少なくとも1種を含むことを特徴とする請求項1に記載の摺動部材。
  3. 前記A面と前記B面とが摺動方向に向かって交互に設けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の摺動部材。
  4. 前記摺動面における前記A面の占める面積割合が、20〜91%であることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の摺動部材。
  5. 前記A面は、摺動方向に0.4〜8.0mmの間隔で設けられていることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の摺動部材。
  6. 前記B面は、熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂の少なくとも1種を用いて形成されたことを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の摺動部材。
  7. 前記B面は、フェノール樹脂を用いて形成されたことを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の摺動部材。
  8. 摺動面における前記A面の表面高さaと前記B面の表面高さbとが、表面高さa≧表面高さbの関係を満たすことを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の摺動部材。
  9. 前記B面が、ビッカース硬さ(HV)が300以上の金属鋼材からなる請求項8に記載の摺動部材。
  10. スカート部の少なくとも一部に前記A面及び前記B面が設けられたピストン、ピストンに設けられ、外周面の少なくとも一部に前記A面及び前記B面が設けられたピストンリング、外周面の少なくとも一部に前記A面及び前記B面が設けられたピストンピン、又は、少なくともシャフト及びブッシュを有し、シャフト及び/もしくはブッシュの少なくとも一部に前記A面及び前記B面が設けられたすべり軸受構造より選択されるいずれか1つであることを特徴とする請求項1〜請求項9のいずれか1項に記載の摺動部材。
  11. 少なくともシャフト及びブッシュを有し、シャフトの外周面及びブッシュの内周面の少なくとも一方に前記A面及び前記B面が設けられたすべり軸受構造を有することを特徴とする請求項1〜請求項10のいずれか1項に記載の摺動部材。
  12. 内側ローラーの外周面、及び前記内側ローラーの周囲に前記内側ローラーと同軸的にかつ回転自在に設けられた外側ローラーの内周面の少なくとも一方に前記A面及び前記B面が設けられたすべりローラー構造を有することを特徴とする請求項1〜請求項11のいずれか1項に記載の摺動部材。
  13. 前記摺動面と摺動する相手材の表面に、前記高配向性グラファイトが前記摺動面から移着されていることを特徴とする請求項1〜請求項12のいずれか1項に記載の摺動部材。
  14. X線回折測定によるグラファイト−2H 002回折位置でのロッキングカーブにおける半値幅が7°以下である高配向性グラファイトを所望の形状に成形し、成形された高配向性グラファイトの一部に樹脂を設け、1.0MPa以下の圧力から増圧して加圧することにより、前記高配向性グラファイトからなるA面と前記樹脂からなるB面とを含み、前記A面及び前記B面がA面からB面への方向を摺動方向と平行にして設けられた摺動面を形成する摺動部材の製造方法。
  15. 1.0MPa以下の圧力で加圧した状態を保持した後に圧力を上昇させることを特徴とする請求項14に記載の摺動部材の製造方法。
  16. 前記圧力は、段階的に所望の圧力まで上昇させることを特徴とする請求項14又は請求項15に記載の摺動部材の製造方法。
  17. 前記加圧は、少なくとも前記高配向性グラファイトとの接触面がポリテトラフルオロエチレンを含む押付部を押付けることにより行なうことを特徴とする請求項14〜請求項16のいずれか1項に記載の摺動部材の製造方法。
  18. ビッカース硬さHV300以上の金属鋼材に溝部を形成し、形成された溝部に、X線回折測定によるグラファイト−2H 002回折位置でのロッキングカーブにおける半値幅が7°以下である高配向性グラファイトを有機系接着剤により接着することにより、前記高配向性グラファイトからなるA面と前記金属鋼材からなるB面とを含み、前記A面及び前記B面がA面からB面への方向を摺動方向と平行にして有する摺動面を形成する、内燃機関に用いられる摺動部材の製造方法。
  19. 前記摺動面は、前記A面の表面高さaと前記B面の表面高さbとが、表面高さa≧表面高さbの関係を満たすことを特徴とする請求項18に記載の摺動部材の製造方法。
  20. 前記A面と前記B面とを摺動方向に向かって交互に前記摺動面に形成することを特徴とする請求項14〜請求項19のいずれか1項に記載の摺動部材の製造方法。
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