JP5223219B2 - 有機性排水の処理装置 - Google Patents

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Description

本発明は、溶解性有機物を含有する有機性排水の処理装置に関し、特に、溶解性有機物を含有する排水を2段に設けた生物処理反応槽で生物処理するに当たり、処理水水質を維持した上で、生物処理の負荷を軽減すると共に、装置設置面積の削減を可能とする有機性排水の処理装置に関する。
有機性排水の処理には、一般的には生物処理が行われ、具体的には活性汚泥法や生物膜法が行われている。このような生物処理において、近年、環境負荷の低減や水回収による節水を目的として、より高度に処理された処理水が求められている。
生物処理水の水質の向上を目的として、従来、生物処理反応槽を分割して多段式とした多段式生物処理装置が提案されている(例えば、特許文献1,特許文献2)。多段式の生物処理装置は、1段式のものに比べて高水質な処理水を得ることができる。
しかしながら、単に生物処理反応槽を多段に設けた従来の多段式生物処理装置では、1段式のものよりも高度な処理水が得られるが、依然として広い設置面積と大量の曝気が必要となるという問題があった。しかして、その理由として次のことが明らかとなってきた。
即ち、1段目の生物処理反応槽で生成した微生物体が2段目の生物処理反応槽に流入し、2段目の生物処理反応槽の有機物負荷となるが、BODが低い2段目の生物処理反応槽では、微生物体の自己消化が始まり、死滅微生物体の構成成分が溶出し、水質の悪化を起こす。死滅微生物体の構成成分は、フミン類などの難分解性有機物を含み、微生物的にこれらの有機物を分解するにはHRT(滞留時間)を長くする必要があり、設置面積が広くなる。
また、第2の生物処理反応槽において、微生物体内蓄積物質を酸化し、溶存酸素を消費するため、曝気動力を増大させる。
これに対して、多段式生物処理装置において、1段目の生物処理反応槽からの生物処理水を凝集処理し、固液分離手段で分離した分離水を2段目の生物処理反応槽で生物処理する方式が提案された(特許文献3)。
この方式では、1段目の生物処理反応槽の処理水を凝集処理して固液分離することにより、微生物体を除去することで、2段目の生物処理反応槽の有機物負荷を低減し、上述のような従来の多段式生物処理装置の問題を解決する。
特開昭55−28759号公報 特開2000−42584号公報 特願2005−360619
しかしながら、特許文献3の方式では次のような不具合があった。
即ち、1段目の生物処理反応槽の処理水の凝集処理に、凝集剤として、無機凝集剤を使用した場合、これを固液分離して得られる分離水には溶解金属塩が残存し、これが2段目の生物処理反応槽の汚泥や散気管において析出する。
汚泥中での金属塩の析出は、汚泥の比重を増大させ、曝気など攪拌に必要な動力を増大させる。特に、担体による流動床式の生物処理反応槽においては、担体の比重が重くなることで、担体が反応槽下部に堆積し、充分な流動が得られなくなる。
また、散気管における金属塩の析出は、曝気量の低下による溶存酸素の不足、あるいは差圧の上昇による曝気動力の増大をもたらす。
有機凝集剤もその多くは生物難分解性であり、これが2段目の生物処理反応槽に流入した場合には、担体の表面に付着して、酸素透過の妨げや生物活性の低下の原因となる。
従って、本発明は、このような特許文献3に記載される多段式生物処理装置における凝集処理に起因する問題を解決する有機性排水の処理装置を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、1段目の生物処理反応槽で溶解性有機物の大部分を分解した後、この生物処理反応槽で生成した微生物体を無凝集で固液分離し、この微生物体が分離された分離水を更に2段目の生物処理反応槽で生物処理すること、このように微生物体を無凝集で固液分離しても、浮上分離方式であればこれを十分に分離除去することができ、凝集剤を用いないことにより、2段目の生物処理反応槽における有機物負荷の減少と凝集剤の析出の問題を回避すると共に、装置設置面積と曝気量を削減することが可能であることを見出した。
本発明はこのような知見に基いて達成されたものであり、以下を要旨とする。
[1] 有機性排水を生物処理する、生物膜を有する担体を用いた流動床式の第1の生物処理反応槽と、
該第1の生物処理反応槽から流出する生物処理水を固液分離する無凝集かつ浮上分離方式の第1の固液分離手段と、
該第1の固液分離手段で分離された分離水を生物処理する生物膜を有する担体を用いた流動床式の第2の生物処理反応槽と、
前記第2の生物処理反応槽から流出する生物処理水を固液分離する第2の固液分離手段と、
該第2の固液分離手段で分離された分離水に含まれる溶存物質を除去する高度処理手段と、
前記第2の固液分離手段で固液分離される水に凝集剤を添加する手段とを有することを特徴とする有機性排水の処理装置。
[2] [1]において、前記第1の生物処理反応槽の溶解性BOD除去率が30〜99%であることを特徴とする有機性排水の処理装置。
[3] [1]又は[2]のいずれかにおいて、第1の固液分離手段で固液分離される水に浮上補助剤を添加する手段を有することを特徴とする有機性排水の処理装置。
[4] [1]ないし[3]のいずれかにおいて、前記高度処理手段が、膜分離手段を有することを特徴とする有機性排水の処理装置。
本発明によれば、第1の生物処理反応槽で溶解性有機物質の大部分を分解した後、第1の生物処理反応槽で生成した微生物体を第1の固液分離手段で無凝集にて分離し、この微生物体が除去された分離水を更に第2の生物処理反応槽で生物処理した後、第2の生物処理反応槽で生成した微生物体を第2の固液分離手段で分離する。このように生物処理・固液分離の2段処理を行うことにより、生物代謝物質量を低減して、高度処理手段に流入する有機物質濃度を低減して安定した排水処理を行うことができる。
しかも、第1の固液分離手段において、凝集剤を用いず、無凝集にて浮上分離を行うことにより、第1の生物処理反応槽からの処理水中のSSを効率的に除去し、凝集剤を用いた場合の第2の生物処理反応槽における有機物負荷の増大や凝集剤に起因する金属塩の析出の問題を回避し、また、凝集処理のための薬剤コストや装置設備を削減して、効率的な処理を行える。
本発明の有機性排水の処理装置は、このような2段の生物処理により、有機物質が十分に除去された水を更に高度処理する場合に有効であり、後続の高度処理により、水質の良好な処理水を得ることができる。この高度処理手段の処理水は極めて水質が良好であるため、そのまま再使用水として、あるいは純水、超純水の原水として回収することができる。
また、高度処理手段では、有機物質濃度が十分に低減された水を処理するため、高度処理の負荷が軽減され、高度処理手段が膜分離装置であれば、膜汚染が防止され、経時によるフラックスの低下が少なく、長期にわたり安定した処理を継続することができるようになる。また、イオン交換装置であれば、有機物負荷、有機汚染の低減により、処理水質の向上、樹脂再生頻度の低減、樹脂交換頻度の低減が可能となる。また、酸化装置の場合には、有機物負荷の低減により酸化剤使用量の節減、装置の小型化が可能となる。
以下に本発明の有機性排水の処理装置の処理方法の実施の形態を詳細に説明する。
[有機性排水]
本発明において、処理対象となる有機性排水は、通常生物処理される有機物含有排水であれば良く、特に限定されるものではないが、例えば、電子産業排水、化学工場排水、食品工場排水などが挙げられる。例えば、電子部品製造プロセスでは、現像工程、剥離工程、エッチング工程、洗浄工程などから各種の有機性排水が多量に発生し、しかも排水を回収して純水レベルに浄化して再使用することが望まれているので、これらの排水は本発明の処理対象排水として適している。
このような有機性排水としては例えば、イソプロピルアルコール、エチルアルコールなどを含有する有機性排水、モノエタノールアミン(MEA)、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド(TMAH)などの有機態窒素、アンモニア態窒素を含有する有機性排水、ジメチルスルホキシド(DMSO)などの有機硫黄化合物を含有する有機性排水が挙げられる。
本発明に係る有機性排水の有機物濃度は特に限定されないが、本発明は特に溶解性TOCが100mg/L以上、例えば200〜25000mg/Lの高濃度有機物含有排水の処理に適している。
[生物処理反応槽]
<第1の生物処理反応槽>
排水を生物処理するための生物処理反応槽としては、有機物の分解効率に優れるものであれば良く、既知の好気性又は嫌気性の生物処理反応槽を採用することができるが、本発明においては、第1の生物処理反応槽としては、生物膜方式の流動床式の生物処理反応槽を用いる。好ましくは、第1の生物処理反応槽としては、担体を用いる生物処理反応槽である。
担体としては、活性炭、種々のプラスチック担体、スポンジ担体などがいずれも使用できるが、スポンジ担体が好ましい。スポンジ担体であれば微生物を高濃度に維持することができる。スポンジ素材としても特に限定されないが、エステル系ポリウレタンが好適である。担体の投入量としても特に制限はないが、通常、生物処理反応槽の槽容量に対する担体の見掛け容量で10〜50%程度、特に30〜50%程度とすることが好ましい。
好気性状態で微生物的に有機物を分解する好気性生物処理反応槽としては、槽内に酸素(空気)を供給するための散気管、曝気機などの酸素ガス(空気)供給手段が設けられた曝気槽を用いることができる。
一方、嫌気性状態で微生物的に有機物を分解する嫌気性生物処理反応槽としては、担体を保持した嫌気槽を用いることができる。
第1の生物処理反応槽は、好気性生物処理反応槽又は嫌気性生物処理反応槽の1槽式でも、好気性生物処理反応槽及び/又は嫌気性生物処理反応槽の多槽式でもよく、また、1槽式で槽内に仕切り壁を設けてもよい。即ち、本発明において、第1の生物処理反応槽として、多槽式のものを用いることもできる。
<第2の生物処理反応槽>
本発明において、第2の生物処理反応槽としては、流動床式の生物処理反応槽を用いる。流動床式生物処理反応槽については、上述の第1の生物処理反応槽における流動床式生物処理反応槽と同様であり、担体を有する生物膜式生物処理反応槽であっても良い。この場合、用いる担体の種類及びその投入量についても、上述の第1の生物処理反応槽における場合と同様である
2の生物処理反応槽として担体を用いる流動床式のものを採用することにより、難分解成分分解菌体の槽内保持が可能となり、効率的な処理を行える
この第2の生物処理反応槽も、第1の生物処理反応槽と同様、好気性状態で微生物的に有機物を分解する好気性生物処理反応槽、(槽内に酸素(空気)を供給するための散気管、曝気機などの酸素ガス(空気)供給手段が設けられた曝気槽)であっても良く、嫌気性状態で微生物的に有機物を分解する嫌気性生物処理反応槽であっても良い。
第2の生物処理反応槽は、好気性生物処理反応槽又は嫌気性生物処理反応槽の1槽式でも、好気性生物処理反応槽及び/又は嫌気性生物処理反応槽の多槽式でもよく、また、1槽式で槽内に仕切り壁を設けてもよい。即ち、本発明において、第2の生物処理反応槽として、多槽式のものを用いることもできる。
[第1の固液分離手段]
本発明において、第1の生物処理反応槽からの生物処理水を固液分離する第1の固液分離手段としては、凝集剤を添加しない無凝集処理において、浮上分離方式の固液分離手段を採用する。浮上分離方式としては、特に加圧浮上分離方式が好ましく、浮上分離の安定化のために界面活性剤などの浮上補助剤を添加しても良い。
本発明によれば、無凝集における浮上分離で高効率に第1の生物処理反応槽からの生物処理汚泥を固液分離することができるが、その理由は、以下の通りである。
多段式生物処理装置の第1の生物処理反応槽は、反応槽分割により有機物負荷の高い条件となり、第1の生物処理反応槽で生成する微生物体は対数増殖期にある。対数増殖期の微生物体は、親水基を持つ細胞外多糖類の分泌量が少なく、疎水性が増した状態にある。疎水性の増した微生物体は、疎水的相互作用により気泡を容易に吸着し、無凝集であっても、浮上分離であれば沈降分離と比べて高い通水速度(LV)で固液分離が可能である。
なお、対数増殖期の微生物体はブロックを形成していないため水中では分散状態にあり、無凝集での沈降分離は極めて低LVにしなくてはならず、処理効率が著しく劣る。
浮上分離、好ましくは加圧浮上分離における処理条件としては特に制限はないが、例えば通水LVは5〜25m/hrであることが好ましい。この範囲よりもLVが高いとSSが流出し、低いと経済的に不利である。
また、浮上補助剤を用いる場合、浮上補助剤としては、不飽和脂肪酸塩等の1種又は2種以上を用いることができ、その添加量は、原水に対して0.1〜10mg/L程度とすることが好ましい。なお、浮上補助剤は通常加圧浮上分離前において添加される。
一般に、汚泥の固液分離は、従来法では凝集剤を添加する凝集処理を行うが、本発明においては、ポリ塩化アルミニウム(PAC)や塩化鉄(III)等の無機凝集剤や有機凝集剤を添加した場合に発生する問題を回避するために、以下の理由から無凝集での浮上分離を行う。
即ち、無機凝集剤を添加すると、前述の如く、凝集処理の処理水には無機凝集剤由来の溶解金属塩が残存し、第2の生物処理反応槽において、担体や散気管において析出を起こす。
溶解金属塩の担体における析出は、微生物体の付着部を減少させ、付着微生物量が減少するため、有機物分解速度の低下が起きる。また、担体の比重が重くなることで、担体が第2の生物処理反応槽下部に堆積し、充分な流動が得られず、曝気など、攪拌に必要な動力が増大する。
さらに、散気管における金属塩の析出は、曝気量の低下による溶存酸素の不足、あるいは差圧の上昇による曝気動力の増大をもたらす。
一方で、凝集剤が不足して凝集が不十分である場合、微小フロックが増大し、固液分離手段の分離水へのフロックの流出が増大する。第2の生物処理反応槽がMBR方式の場合は、凝集剤のリーク分が膜面に付着し、膜面が閉塞する。
このように溶解金属塩の存在は、第2の生物処理反応槽の機能を損なう重大な問題を起こす可能性があり、従って、本発明では第1の固液分離手段において、無機凝集剤を使用しない。
また、有機凝集剤もその多くは生物難分解性であり、これが生物処理反応槽に流入した場合には、前述の如く、担体の表面に付着して、酸素透過の妨げや生物活性の低下の原因となるため、本発明においては、第1の固液分離手段においては、無機凝集剤と同様に有機凝集剤も添加しない。
第1の固液分離手段を無凝集で行うことにより、凝集剤とpH調整のための薬品及び凝集反応に必要な反応槽と計器を含む設備を削減することができるという効果も奏される。
また、原水TOC濃度が100mg/L以上の高濃度有機物含有排水を生物処理する場合、懸濁物質濃度が増大し、凝集沈殿分離においては凝集剤を大量に添加するためにスラッジ容積が増大して汚泥界面が高くなり、固液分離が困難となるが、本発明における無凝集の浮上分離ではスラッジ容積は増大せず、容易に固液分離することができる。
[第2の固液分離手段]
第2の生物処理反応槽からの生物処理水の固液分離に際しては、第2の固液分離手段で微生物体と高分子有機物質を確実に除去するために、固液分離に先立ち、凝集処理する。特に後段で高度処理を行う場合は、凝集剤を添加して凝集処理を行うことが好ましい。
生物処理水の凝集処理には、通常の凝集処理装置が用いられる。この凝集処理装置の凝集槽は1槽のみでも良く、2槽以上を多段に設けてもよい。
凝集処理装置は一般に凝集剤を被処理水に十分に接触させるための急速撹拌槽と凝集フロックを成長させる緩速撹拌槽で構成される。従って、2槽以上の凝集槽を多段に設ける場合、前段の凝集槽を急速撹拌槽とし、後段の凝集槽を緩速撹拌槽とすることが好ましい。
凝集処理に用いる無機凝集剤としては、塩化第二鉄、ポリ硫酸鉄などの鉄系凝集剤、硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム等のアルミニウム系凝集剤が例示できるが、凝集効果の面からは鉄系凝集剤が好ましい。これらの無機凝集剤は、1種を単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。
凝集処理時は、必要に応じてpH調整剤を添加して用いた無機凝集剤に好適なpHに調整する。即ち、pH条件としては、例えば、鉄系凝集剤ではpH4〜8で反応させることが効果的であり、アルミニウム系凝集剤ではpH5.0以下で反応させた後、pH6.0以上に調整すると効果的であるため、必要に応じて、塩酸(HCl)、硫酸(HSO)等の酸や、水酸化ナトリウム(NaOH)等のアルカリを添加してpH調整を行うことが好ましい。このようなpH条件における凝集処理により、良好な処理水質が得られる理由の詳細は明らかになっていないが、生物代謝物中のタンパク成分の電荷が中和されることが関係しているものと推定される。
凝集処理により、生物処理水中の溶解性有機物や懸濁物はフロック化する。この凝集フロックを成長させるために、第1凝集槽で無機凝集剤を添加して、第2凝集槽で高分子凝集剤を添加しても良い。
第2の生物処理反応槽の生物処理水を凝集処理して得られる凝集処理水を固液分離する第2の固液分離手段としては、沈殿槽、浮上槽、遠心分離機等特に限定されないが、生物処理水の凝集フロックは浮上分離しやすく、また沈殿槽に比べ、小さい面積の装置で良いことから、特に加圧浮上槽が好ましい。また、特に第2の固液分離手段としては浸漬膜等の膜分離手段を用いても良い。この場合、前述の如く、第2の生物処理反応槽として浸漬型MBRを用いることにより、第2の固液分離手段としての浸漬膜を第2の生物処理反応槽内に配置する形として装置の小型化を図ることができる。
[高度処理手段]
本発明においては、更に、第2の生物処理反応槽の生物処理水を固液分離して得られた分離水に含まれる溶存物質を除去するための高度処理を行っても良い。
高度処理手段は、排水中の有機物を第1、第2の生物処理手段、第1、第2の固液分離手段で除去して得た処理水中に残留する溶存有機物を更に除去するものでも良く、また、処理水中に含まれる溶媒塩類を除去するものでも良く、両者を除去するものでも良い。
高度処理手段としては、次のようなものが挙げられる。
膜分離装置:例えば、有機物除去や脱塩のための、RO膜(逆浸透膜)、NF膜
(ナノ濾過膜)、UF膜(限外濾過膜)分離装置等
イオン交換装置:例えば、脱塩や有機物除去のための、アニオン交換樹脂塔、カチオ
ン交換樹脂塔、カチオン交換樹脂とアニオン交換樹脂とを混合充填
した混床塔、電気脱塩装置等
酸化装置:例えば、有機物除去のための、オゾン酸化装置、過酸化水素酸化装置、塩
素酸化装置、紫外線酸化装置等、或いはこれらを併用した酸化装置。なお
、この酸化装置の後段には、通常、イオン交換、膜分離等の装置が設けら
れることが多い。
これらの高度処理手段は適宜2以上を組み合わせて用いることもできる。また、高度処理手段の一部として、濾過装置や活性炭処理装置等の他の処理装置を更に追加しても良い。
特に、高度処理手段としてRO膜分離装置を用いる場合、RO膜分離装置の前段に濾過装置を設けて、水中のSSを除去することが好ましい。濾過装置としては、砂、アンスラサイト等の濾材を充填した充填層型濾過装置、MF膜(精密濾過膜)、UF膜などの膜を用いた膜濾過装置等を用いることができる。
[有機性排水の処理装置]
以下に図面を参照して本発明の有機性排水の処理装置の一例を説明する。
図1(a)は、本発明の有機性排水の処理装置の実施の形態を示す系統図である。なお、図1(a)は本発明の有機性排水の処理装置の一例であって、本発明の有機性排水の処理装置は何ら図1(a)に示すものに限定されない。例えば、高度処理手段はRO膜分離装置に限らず、イオン交換装置や酸化装置であっても良く、生物処理反応槽は曝気槽に限らず、嫌気性生物処理反応槽であっても良い。
図1(a)の有機性排水の処理装置は、第1の生物処理反応槽としての曝気槽(以下「第1生物処理反応槽」と称す。)1、第1生物処理反応槽1からの生物処理水を無凝集で、即ち、凝集剤を一切添加することなく固液分離する第1の浮上槽(以下「第1浮上槽」と称す。)と、第1浮上槽2からの分離水が導入される第2の生物処理反応槽としての曝気槽(以下「第2生物処理反応槽」と称す。)3、第2生物処理反応槽3からの生物処理水を凝集処理する凝集槽4及び凝集槽4からの凝集処理水を固液分離する第2の固液分離手段としての浮上槽(以下「第2浮上槽」と称す。)5と、第2浮上槽の分離水が導入される濾過装置6と、濾過装置6の濾過水が導入される高度処理手段としてのRO膜分離装置7とで構成される。
なお、図1(a)及び図1(b)において、第1生物処理反応槽1及び第2浮上槽2はそれぞれ2段以上に配置して、生物処理反応槽→浮上槽→生物処理反応槽→浮上槽の順で多段処理しても良い。
原水(有機性排水)は、第1生物処理反応槽1に導入され、散気管1Aからの曝気下、好気性生物処理される。この第1生物処理反応槽1においては、原水中の溶解性有機物質(S−TOC)の大部分を除去することにより、後段の第2生物処理反応槽3に流入する溶解性有機物質濃度を低減する。この第1生物処理反応槽1は、最前段の生物処理槽であるために槽内の微生物量当たりのBOD負荷量が高くなるので、微生物間の食物連鎖による自己分解の進行が抑制される。
第1生物処理反応槽1の好ましい運転形態は、原水中に含まれる有機物質の分解性により若干異なるが、BOD槽負荷1.5〜60Kg−BOD/m/day,TOC槽負荷0.6〜24Kg−C/m/dayで、原水中の溶解性BOD(S−BOD)の30〜99%が除去される負荷量が良い。
また、第1生物処理反応槽1でこうした高負荷運転を行うと、沈降性の良い微生物フロックができにくいため、図示の如く、微生物量を安定して保持できるように、担体10を槽内に投入することが好ましい。担体を添加した場合の保持汚泥量は担体及び充填率によって異なるが、一般的なスポンジ状の担体を見かけ容量で槽容量の30〜50%充填した場合は、槽あたりの汚泥保持量は2500〜6000mg−VSS/L程度となるので、槽負荷として1.5〜60Kg−BOD/m/dayの場合、汚泥負荷としては0.5〜10Kg−BOD/Kg−VSS/dayとなり、分散菌の発生領域となる。
第1生物処理反応槽1からの生物処理水は、次いで第1浮上槽2で無凝集にて浮上補助剤を添加して浮上分離され、第1浮上槽2の分離水は、次いで第2生物処理反応槽3に導入され、散気管3Aからの曝気下、好気性生物処理される。この第2生物処理反応槽3においては、第1生物処理反応槽1での生物処理で残留した溶解性有機物質を分解する。この第2生物処理反応槽3では、後段の高度処理手段であるRO膜分離装置7に流入する有機物濃度をできるだけ低減できるよう、確実な分解が進行することが望ましい。この第2生物処理反応槽3は、特に低負荷でも微生物量を安定して保持できるように、担体10を槽内に保持するものである。この第2生物処理反応槽3の槽負荷は0.03〜2Kg−BOD/m/day、特に0.1〜1.2Kg−BOD/m/dayが好適である。また、担体を使用する生物処理反応槽の場合、担体を見かけ容量で槽容量の30〜50%充填するのが好ましい
第2生物処理反応槽3からの生物処理水は、次いで凝集槽4に導入される。この凝集槽4は、生物処理水が導入される第1凝集部(後掲の表1においては「No.2−1凝集部」と記す。)4Aと第1凝集部4Aからの水が導入される第2凝集部4B(後掲の表1においては「No.2−2凝集部」と記す。)との2槽式のものであり、生物処理水は、まず、第1凝集部4Aで無機凝集剤が添加されて凝集処理された後、更に第2凝集部4BでpH調整剤及び/又は高分子凝集剤が添加されてフロックが粗大化され、凝集処理水は次いで第2浮上槽5に送給され、浮上補助剤を添加して浮上法にて凝集フロックが固液分離される。
第2浮上槽5の分離水は、次いで濾過装置6で残留SSが除去された後RO膜分離装置7でRO膜分離処理され、透過水が処理水として取り出される。
図1(b)の有機性排水の処理装置は、図1(a)において、第2生物処理反応槽3の曝気槽の代りに、第2生物処理反応槽8として、散気管8Aと槽外に膜モジュール20を備える槽外型MBR方式生物処理反応槽を設け、ポンプPにより、第2の生物処理反応槽8の混合液を膜モジュール20に送給して濃縮、循環させ、凝集槽4と第2浮上槽を省略したものであり、その他の構成は図1(a)に示す装置と同様である。図1(b)において、図1(a)に示す部材と同一機能を奏する部材には同一符号を付してある。
図1(b)の有機性排水の処理装置では、第1浮上槽2の分離水は、第2生物処理反応槽8である槽外型MBR方式生物処理反応槽に導入され、同様に処理される。この槽外型MBR方式生物処理反応槽における処理条件については、MLSS濃度5000mg/L、槽負荷1.0Kg−BOD/m/day、フラックス0.4m/m・dayとするのが好ましい。
この槽外型MBR方式生物処理反応槽8からの生物処理水は、生物処理後槽外の膜モジュール20で膜濾過された水であるため、図1(a)のように凝集処理、浮上分離を行うことなく、これを直接RO膜分離装置7に導入して処理することができる。
図1(a),(b)の装置では、RO膜分離装置7の前段で2段の生物処理と固液分離を行うことにより、高水質の処理水を得ることができる上に、FI値の低い水をRO膜分離装置7に給水することができるので、RO膜分離装置7の膜フラックスの低下を抑制して、長期間安定して処理水を得ることができる。
なお、FI値とは、水をRO膜分離装置に通水して脱イオン処理する際のRO膜分離装置への給水の水質がRO膜処理に適しているか否かを判断する指標として用いられるものである。水中の溶存有機物やSSの量は概ね同等であっても、これをRO膜処理すると膜フラックスが早期に低下するときとそうでないときがあり、そのような場合、RO給水のFI値では差が生じている。
FI値は、所定の孔径を有するメンブレンフィルタに試料水を通水して所定量を濾過するに要する時間を計測する操作を行って、初期の所要時間と、所定時間通水後の所要時間とから求めることができ、膜汚染、膜目詰まりを起こし易い又は起こし難い水質かを判定するのに用いられる。一般に、FI値5以下の水質でもRO給水として許容されることがあるが、通常、FI値3以下の水質であることが望まれている。従って、本発明では、高度処理手段としてRO膜分離装置を用いる場合、2段の生物処理と固液分離でFI値3以下の水を得、これをRO膜分離装置の給水とすることが好ましい。
以下に実施例、参考例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明する。
[実施例1]
図1(a)に示す装置で、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド(TMAH)を主成分とする下記水質の工場排水を原水として、2000L/dayの処理水量で処理を行った。なお、この原水の生物処理には、リンの不足が想定されたので、リン酸をTOC:P=100:3となるように原水に添加して処理を行った。なお、浮上補助剤としては、オレイン酸カリウムを用いた。
<原水水質>
S−TOC:328mg/L
Kj−N:76mg/L
PO−P:0.8mg/L
表1に、用いた装置の仕様及び処理条件を示す。
また、表2に各部の水質を、表3に第1,第2生物処理反応槽に添加した担体の比重を示す。
参考例1
図1(b)に示す装置で、実施例1で処理したものと同じ工場排水を原水として、2000L/dayの処理水量で処理を行った。なお、この原水の生物処理には、リンの不足が想定されたので、リン酸をTOC:P=100:3となるように原水に添加して処理を行った。浮上補助剤として、実施例1と同様に、オレイン酸カリウムを用いた。
表1に、用いた装置の仕様及び処理条件を示す。
また、表2に各部の水質を、表3に第1生物処理反応槽に添加した担体の比重を示す。
[比較例1]
実施例1において、第1浮上槽の代りに沈殿槽(以下「第1沈殿槽」と称す。)を設け、第1生物処理反応槽の生物処理水を沈殿槽で固液分離したこと以外は同様に処理を行った。
表1に、用いた装置の仕様及び処理条件を示す。
また、表2に各部の水質を、表3に第1,第2生物処理反応槽に添加した担体の比重を示す。
[比較例2]
実施例1において、第1浮上槽の代りに凝集槽と沈殿槽(第1沈殿槽)を設け、第1生物処理反応槽1の生物処理水を凝集槽(第1の凝集部(後掲の表1においては「No.1−1凝集部」と記す。)と第2の凝集部(後掲の表1においては「No.1−2凝集部」と記す。)を有する2槽式の凝集槽)で凝集処理した後、沈殿槽で固液分離したこと以外は同様に処理を行った。
表1に、用いた装置の仕様及び処理条件を示す。
また、表2に各部の水質を、表3に第1,第2生物処理反応槽に添加した担体の比重を示す。
Figure 0005223219
Figure 0005223219
Figure 0005223219
以上の結果から次のことが明らかである。
実施例1では、第1生物処理反応槽1において、原水中の有機物の大部分を除去するとともに、自己消化が進行する前に微生物体をSSとして無凝集で第1浮上槽2において固液分離して除去することができる。そして、実施例1では、第1生物処理反応槽1の無凝集による分離水をさらに第2生物処理反応槽3で処理することにより、溶解金属塩の析出による担体の比重増加と担体沈降を回避し、残留した有機物をさらに高度に分解するとともに、第2浮上槽5でSSを除去することにより、結果として比較例1及び2よりもS−TOCが低い処理水を得ることができる。
これに対して、比較例1では、浮上槽ではなく沈殿槽を用いたため、SSの分離性が悪く、後段の生物処理の負荷となるため、有機物の除去性や凝集、濾過性が悪化する。比較例2では、浮上槽の代りに凝集槽と沈殿槽とを用いたため、SSの除去性は良いが、後段の担体流動性が著しく悪化するためにS−TOCは劣るものとなる。
なお、第2生物処理反応槽として槽外型MBR方式生物処理反応槽を用いた参考例1ではS−TOCの除去性及びRO膜処理水質は良好であり、またフラックス(透過流束)も安定していた。
図1(a)は、本発明の有機性排水の処理装置の実施の形態を示す系統図であり、図1(b)は参考例に係る有機性排水の処理装置の系統図である。
1 第1生物処理反応槽
1A 散気管
2 第1浮上槽
3 第2生物処理反応槽
3A 散気管
4 凝集槽
5 第2浮上槽
6 濾過装置
7 RO膜分離装置
8 第2生物処理反応槽
8A 散気管
10 担体
20 槽外膜モジュール

Claims (4)

  1. 有機性排水を生物処理する、生物膜を有する担体を用いた流動床式の第1の生物処理反応槽と、
    該第1の生物処理反応槽から流出する生物処理水を固液分離する無凝集かつ浮上分離方式の第1の固液分離手段と、
    該第1の固液分離手段で分離された分離水を生物処理する生物膜を有する担体を用いた流動床式の第2の生物処理反応槽と、
    前記第2の生物処理反応槽から流出する生物処理水を固液分離する第2の固液分離手段と、
    該第2の固液分離手段で分離された分離水に含まれる溶存物質を除去する高度処理手段と、
    前記第2の固液分離手段で固液分離される水に凝集剤を添加する手段とを有することを特徴とする有機性排水の処理装置。
  2. 請求項1において、前記第1の生物処理反応槽の溶解性BOD除去率が30〜99%であることを特徴とする有機性排水の処理装置。
  3. 請求項1又は2において、第1の固液分離手段で固液分離される水に浮上補助剤を添加する手段を有することを特徴とする有機性排水の処理装置。
  4. 請求項1ないし3のいずれか1項において、前記高度処理手段が、膜分離手段を有することを特徴とする有機性排水の処理装置。
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