JP5222131B2 - キャノロールまたはそのプロドラッグ(pd)を含む抗炎症剤および癌予防剤ならびにこれらを含む医薬、化粧品および食品 - Google Patents

キャノロールまたはそのプロドラッグ(pd)を含む抗炎症剤および癌予防剤ならびにこれらを含む医薬、化粧品および食品 Download PDF

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Description

本発明は、キャノロールまたはそのプロドラッグ(PD)を含む抗炎症剤および癌予防剤ならびにこれらを含む医薬、化粧品および食品に関する。
抗炎症剤とは、炎症性サイトカインや炎症メディエータ(プロスタグランジン類等の生成を抑える物質である。抗炎症剤としては、アスピリンやテプレノン等が知られている。
また、癌予防剤とは、発癌物質の摂取や慢性感染による発癌を予防する物質であり、現在著名なものは知られていない。
一方、本発明者らは、各種種子原油または種子油脂成分中の、生体に障害性(例えば、DNA切断や細胞毒性)を示す過酸化脂質由来の過酸化脂質ラジカル(LOO・と表記)を中和する成分について研究を進めた結果、ナタネ原油中から、芳香族化合物であるキャノロール(4−ビニル−2,6−ジメトキシフェノール。図1)を見出した(T. Sawa et al, Cancer Epidemiology, Biomarkers & Prevention, 7, 1007-1012 (1998)、H. Kuwahara et al, J. Agric. Fd. Chem., 52, 4380-4387 (2004)、D. Wakamatsu et al, Biosci., Biotech., Biochem., 69, 1568-1574 (2005)、A. Kanazawa et al, Eur. J. Lipid Science Tech., 104, 439-447 (2002)、W02003/030888)。
そして、本発明者らは、キャノロールが生体に有害なLOO・に対して、強い消去活性を示すことも確認した。
キャノロールは、上記のとおりLOO・に対する中和活性を有することから、医薬成分、化粧品成分および食品成分としての利用が考えられた。
しかしながら、これまで、キャノロールまたはそのPDがこれらの成分として用いられた場合において、実際に所期の効果を奏することは知られていなかった。また、キャノロールが広く知られていないこと、およびその市販品がない等の問題により、キャノロールまたはそのPDを有効成分とする医薬、化粧品または食品は実現されていなかった。
また、従来の抗炎症剤や癌予防剤は、いずれもその効果と副作用との関係から、必ずしも満足なものとはいえない。そのため、より優れた抗炎症剤、癌予防剤の開発に対する高い要求が存在し続けている。
本発明者らは、上記課題に鑑みキャノロールの利用方法を探索した結果、キャノロールに炎症および癌に対する高い治療効果または予防活性があることを見出し、さらに研究を進めて本発明を完成するに至った。より具体的には、本発明者らは、細菌(ヘリコバクター・ピロリ、ピロリ菌)を感染させたスナネズミを用いた動物における慢性感染モデルの系によって胃癌発生に対する予防効果を検討したところ、キャノロールを含む食餌投与群において、上記感染後のスナネズミにおいて、ピロリ菌が起す胃・十二指腸の炎症に対してキャノロールの投与による強い抑制作用がみられ、さらに研究を進めた結果、本発明を完成するに至ったのである。
すなわち、本発明は、(1)4−ビニル−2,6−ジメトキシフェノール
Figure 0005222131
に関する。
(2)また、本発明は、胃・十二指腸炎、胃・十二指腸潰瘍、胃炎、気管支炎、リウマチ、肝炎、大腸炎、結膜炎、肺炎、膵炎、口内炎、咽頭炎および火傷からの1種または2種以上に対する処置のための、前記抗炎症剤に関する。
(3)さらに、本発明は、8−オキソデオキシグアノシンの生成抑制、COX−2の活性阻害、NO合成酵素(iNOS)の活性阻害、NOの生成抑制の1種または2種によって炎症を抑制する、前記抗炎症剤に関する。
(4)また、本発明は、パーオキシナイトライトによる変異原性抑制によって発癌を予防する、前記癌予防剤に関する。
(5)また、本発明は、さらに医薬用の賦形剤を含む、前記抗炎症剤または癌予防剤(医薬)に関する。
(6)また、本発明は、さらに化粧品成分(化粧品成分)を含む、前記抗炎症剤または癌予防剤(化粧品)に関する。
(7)さらに、本発明は、化粧品成分を含み、皮膚老化、細胞傷害および日焼けからの1種または2種以上に対する処置のための、前記抗炎症剤または癌予防剤に関する。
(8)また、本発明は、クリーム、錠剤、カプセル、油剤化製剤、水溶性薬剤(水可溶化物)またはエマルジョンの形態を有する前記抗炎症剤または癌予防剤(医薬または化粧品)に関する。
(9)そして本発明は、さらに食品成分を含む、前記抗炎症剤または癌予防剤(食品)に関する。
これまで、炎症の処置または癌の予防とLOO・に対する中和活性との関係について、明確な知見はなく、また、キャノロールには上記のとおり実用的な利用方法が確立していなかった。かかる背景があったにもかかわらず、本発明は、キャノロールのLOO・に対する中和活性を用いて、抗炎症剤および癌予防剤を提供することに成功したのである。また、本発明によって、化粧品や癌予防活性を有する食品も提供される。
本発明によって、十分な抗炎症活性および/または癌予防活性を有し、かつ副作用が小さい抗炎症剤および癌予防剤、さらにこれらを含む医薬、化粧品および食品が提供される。
本発明に用いられる有効成分であるキャノロールは、以下のような点において優れている:
(1)油脂に易溶性(脂溶性)であり、高い抗ラジカル活性を有する;
(2)脂溶性であるため生体内で細胞膜への親和性が高く、水溶性抗ラジカル剤が作用し難い脂質の豊富な細胞膜や臓器中でも有効に作用する;
(3)菜種原油の抽出物から得られる天然由来の成分であるため、原料面や安全面で有利であると同時に、比較的簡単な構造のため合成も容易である;
(4)従来の菜種脱脂粕より抽出した抗酸化剤は難脂溶性であるのに対して、菜種原油から抽出したものであり、油脂に溶け易いため、食用油やその他油脂組成物の抗酸化剤として利用し易い。
したがって、本発明の抗炎症剤および癌予防剤、さらにこれらを含む医薬、化粧品および食品は、製造しやすさ、製造コスト、生物活性、安全性、投与・摂取のしやすさにおいても、従来のものを上回る格別な効果を奏する。
また、本発明の抗炎症剤のうち、胃・十二指腸炎、胃・十二指腸潰瘍、胃炎、気管支炎、リウマチ、肝炎、大腸炎、結膜炎、肺炎、膵炎、口内炎、咽頭炎および火傷からの1種または2種以上に対する処置のために用い得るものは、広範な種類の炎症の処置に用いることができるといった効果を奏する。
さらに、本発明の抗炎症剤のうち、8−オキソデオキシグアノシンの生成抑制、COX−2の活性阻害、iNOSの活性阻害(NOの生成抑制)、さらにサイトカインの誘導の抑制の1種または2種によって炎症を抑制するものは、種々の作用機構を有することによって、広範な種類の炎症の処置に用いることができるといった効果を奏する(参考文献:フラボノイド等の植物性成分によるサイトカイン生成の抑制についてJ. K. Kundu, Y. J. Surh, Mutation Res. 591, 123-146(2005))。
また、本発明の癌予防剤のうち、パーオキシナイトライトによる変異原性抑制によって発癌を予防する剤は、癌予防剤としての効果を奏する。
また、本発明の抗炎症剤または癌予防剤のうち、さらに医薬用の賦形剤を含むもの(医薬)は、疾病の処置を容易に行えるといった効果を奏する。
また、本発明の抗炎症剤または癌予防剤のうち、さらに化粧品成分を含むものは、化粧品として用いられて抗炎症作用および/または癌予防効果を奏する。
さらに、本発明の抗炎症剤または癌予防剤であって化粧品成分を含むもののうち、皮膚老化、細胞傷害および日焼けからの1種または2種以上に対する処置のためのものは、広範な種類の炎症に対する処置を、一般の化粧品と同様な処置方法によって行うことができるといった効果を奏する。
また、本発明の抗炎症剤または癌予防剤(医薬または化粧品)のうち、クリーム、錠剤、カプセル、油剤化製剤、水溶性薬剤(水可溶化物)またはエマルジョンの形態を有するものは、疾病等の処置をさらに容易に行えるといった効果を奏する。
そして本発明の抗炎症剤または癌予防剤のうち、さらに食品成分を含むものは、通常の食品と同様に摂取することによって抗炎症作用および/または癌予防効果を奏する。
キャノロールの構造を示す図である。 本発明の抗炎症剤の抗炎症作用を示す図である。 COX−2による免疫染色後の病理所見を示す図である。 iNOSによる免疫染色後の病理所見を示す図である。 本発明の抗炎症剤の、マクロファージからのNO生成の抑制を示す図である。 本発明の抗炎症剤の、マクロファージの生残りに与える影響を示す図である。 本発明の癌予防剤の、ONOOによる遺伝子損傷に対する効果を示す図である。 攪拌下にONOOを持続的に注入した後の株を示す図である。 変異株を示す図である。 本発明の癌予防剤の、変異株の発現に対する抑制効果を示す図である。
本発明の抗炎症剤および癌予防剤ならびにこれらを含む医薬、化粧品および食品は、キャノロールまたはそのPDを含むものであれば、その組成や形態は限定されない。なお、キャノロールまたはそのPDの入手は、例えばW02003/030888に記載の方法に従い、菜種の抽出によって行うことができる。また、キャノロールは、自体公知の方法によって、シナピン酸(3,5−ジメトキシ−4−ヒドロキシ桂皮酸)やフェノールから合成することも可能である。
これらのキャノロールまたはそれらのPDを含む抗炎症剤および癌予防剤ならびにこれらを含む医薬、化粧品および食品に含まれるキャノロールの量は、目的に応じて改変される。例えば、抗炎症剤においては、0.1〜5%を含む各種剤型が好ましく、より好ましくは0.1〜3%を含む各種剤型である。
本発明の抗炎症剤においては、追加の成分としてカンファー、スクラルファート、サリチル酸メチル、テプレノン等を含有してもよい。テプレノンを含有するものが好ましい。
本発明の抗炎症剤は、各種炎症に対して抗炎症作用を有する。炎症の例としては、胃・十二指腸炎、胃・十二指潰瘍、胃炎、気管支炎、リウマチ、肝炎、大腸炎、結膜炎、肺炎、膵炎、口内炎、咽頭炎および火傷からの1種または2種以上が挙げられる。本発明の抗炎症剤は、とくに胃・十二指腸炎に対して優れた作用を示すことから、本発明の抗炎症剤は、これらの炎症に対する使用が好ましい。
本発明の癌予防剤においては、追加の成分としてスクラルファートやテプレノンを含有してもよい。
本発明の癌予防剤は、各種癌に対して予防作用を有する。癌の例としては、胃癌、大腸癌、肝癌、胆嚢癌、胆管癌、食道癌、肺癌からの1種または2種以上が挙げられる。
本発明の癌予防剤は、とくに胃癌の発生予防について優れた作用を示すことから、本発明の癌予防剤は、これらの癌に対する使用が好ましい。
本発明の抗炎症剤または癌予防剤は、一般的な補助成分として、水、有機溶媒、乳化剤及び油類等を含み得る。他の成分は、用途によって適宜改変される。
本発明の抗炎症剤または癌予防剤を含む医療用組成物、すなわち医薬は、キャノロールまたはそのPDを有効成分とする抗炎症剤または癌予防剤であって、ヒト医薬または獣医薬として効果的に用いることができる。本発明の医薬を製剤化する場合に好適な医薬用の賦形剤は、経腸(例えば経口)、非経口または局所投与に好適で、前記化合物と反応しない有機または無機物質、例えば水、植物油、ベンジルアルコール、アルキレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセロールトリアセテート、ゼラチン、乳糖またはデンプンなどの炭水化物、ステアリン酸マグネシウム、タルクまたはワセリンである。
経口投与に好適なのは、特に錠剤、ピル、被覆錠剤、カプセル、粉末、顆粒、シロップ、ジュース、溶液、懸濁液またはドロップであり、直腸投与に好適なのは坐剤であり、非経口投与に好適なのは、溶液、好ましくはオイルベースのまたは水性の溶液、さらにまた懸濁液、エマルションまたは移植片であり、そして局所適用に好適なのは、軟膏、クリームまたはパウダーであり、またはパッチで経皮的になされるものである。
本発明の医薬の投与形態としては、キャノロールが経口投与において活性を発現すること、および投与の簡便さの観点から経口投与が好ましい。かかる経口投与は対象自身によって極めて簡便に行えるため、通院の手間が省けるなどのコンプライアンスの向上の観点からも好適である。
キャノロールおよびそのPDは、凍結乾燥してもよく、精製した凍結乾燥物を、例えば、注射製剤の製造に使用してもよい。示された前記製剤は、滅菌してもよく、および/または、潤滑剤、保存剤、安定剤などの助剤、および/または、湿潤剤、乳化剤、浸透圧を変更するためのPD、緩衝物質、着色剤および風味剤、および/または、多数のさらなる活性成分、例えば1種または2種以上のビタミンを含んでもよい。
エアロゾルまたはスプレーの形態での投与のための好適な製剤は、例えば、薬学的に許容し得る溶媒中の式Iで表される活性成分の溶液、懸濁液またはエマルジョンである。
一般的に、本発明の医薬は、好ましくは用量単位あたり、有効成分の量として1〜500mg、特に好ましくは5〜100mgの用量で投与される。日量は、体重1kgあたり約0.01〜100mgであり、好ましくは体重1kgあたり約0.1〜80mgであり、特に好ましくは体重1kgあたり約1〜70mgである。しかしながら、各患者への具体的な用量は、広範な因子、例えば、用いられる具体的な化合物の有効性、年齢、体重、健康の一般状態、性別、食餌、投与の時間および方法、排泄率、医薬の組合せおよび治療が適用される特定の疾患の重篤度に左右される。経口投与が好ましい。
したがって、本発明はさらにまた、本発明の医薬の製造、特に非化学的方法によるものへの使用に関する。この場合、これらの医薬の有効成分であるキャノロールおよびそのPDは、少なくとも1種の固形、液状および/または半液状賦形剤または助剤と共に、そして、所望ならば1種または2種以上のさらなる活性成分との組合せで好適な用量形態に変換することができる。
本発明の抗炎症剤または癌予防剤に加重して、化粧品成分を含む組成物、すなわち化粧品は、各種炎症に対して抗炎症作用および/または美容作用を有する。炎症の例としては、皮膚老化、細胞傷害および日焼けからの1種または2種以上が挙げられる。本発明の化粧品は、とくに日焼け、紫外線・熱線による炎症予防に対して優れた作用を示すことから、本発明の化粧品は、これらの炎症に対する使用が好ましい。
なお、本発明において「プロドラッグ」(以下「PD」と表記)とは、そのままの形では不活性であるが、生体内で薬物代謝酵素によって化学的変化を受けて初めて活性を示す薬物を意味する。キャノロールのPDとして、本発明に用いられるものは限定されないが、下記式によって表されるプロドラッグが例示される:
Figure 0005222131
(式中、Rは炭素数1〜24のカルボキシル残基を示す。)。
Rは、好ましくは炭素数1〜24の脂肪酸残基、アミノ酸残基、ペプチドスペーサー、糖残基、有機酸残基であり、より好ましくはCHCO−、CCO−、NHCHCO−、NHCH(R’)CO−(R’はアミノ酸側鎖残基を示す)である。
上記ペプチドスペーサーの好ましい例としては、Gly−Phe−Leu−Glyを挙げることができる。
上記糖残基の好ましい例としては、グルクロン酸、ウロン酸、アスコルビン酸、シアル酸、ヒアル酸、ヒアロウロン酸等の糖類の糖残基を挙げることができる。また、上記有機酸残基の好ましい例としては、リンゴ酸、クエン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸等の有機酸類の有機酸残基を挙げることができる。
これらのアシル基とのエステルやアミド結合、およびスペーサーペプチドは、体内のエステラーゼ、アミダーゼ、カテプシン・ペプチダーゼによって加水分解され、元の薬剤キャノロールを放出する。
本発明においては、PDを用いることによって、キャノロールをより効率的にその作用部位に送達せしめ、あるいはより容易に親油性の剤型を作製することができるため好ましい。
本発明の化粧品においては、追加の成分としてベータカロテンのようなカロテン、トコフェロール、ビタミンCおよびその誘導体、メラニン、クロロフィル、リグニン、フチン酸、コウジ酸、BHT(ブチルヒドロキシトルエン)を含有してもよい。ベータカロテンおよび/またはトコフェロールを含有するものが好ましい。
かかる化粧品成分としては、例えば賦形剤、香料、色材、他の有効成分などがあげられる。
前記賦形剤としては、たとえばオリーブ油、ミツロウ、ラノリン、キャンデリラロウ、スクワラン、パラフィン、ステアリン酸、セタノール、ミリスチン酸オクチルドデシル、トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリンなどの油脂類;アルギン酸ナトリウム、デキストリン、カルボンキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシビニルポリマー、ポリビニルアルコールなどの水溶性高分子化合物;プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなどの多価アルコール類;ブドウ糖、ソルビトール、マルチトールなどの糖類;ソルビタンモノステアリン酸エステル、ポリオキシエチレングリセリンモノステアリン酸エステルポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルなどの界面活性剤などがあげられ、これらの成分は単独でまたは2種以上を混合して用いられる。
1つまたは複数の香料がそれらの嗜好性を高めるために本明細書の実施形態として推奨される。いずれかの天然または合成フレーバーを本発明に用い得る。例えば、1つまたは複数の植物および/または果実フレーバーを本発明に用い得る。本発明においては、かかるフレーバーは合成または天然フレーバーであってよい
た、香料は多様なフレーバーの混合物を含むことができる。所望する場合、香料におけるフレーバーを乳化液滴に形成することができ、それはその後飲料組成物または濃縮物に分散させる。典型的に、香料は濃縮物または抽出物として、または合成的に生成されたフレーバーエステル類、アルコール類、アルデヒド類、テルペン類、セスキテルペン類などの形態において簡便に入手可能である。
前記色材としては、たとえば赤色2号、青色1号などのタール系色素、タルク、マイカ、酸化チタンなどの無機色素などがあげられる。
また、前記他の有効成分は、本発明の化粧品の用途に応じて適宜選択されるが、かかる有効成分の具体的としては、たとえばビタミンE、ビタミンC、ビタミンDなどのビタミン類;カンゾウ抽出物、アロエ抽出物、プラセンターなどの動植物抽出成分;ジブチルヒドロキシトルエンなどの抗酸化剤;イプシロンアミノカプロン酸、トラネキサム酸などの抗プラスミン剤;パラメトキシ桂皮酸エチルヘキシルエステル、オキシベンゾンなどの紫外線吸収剤などがあげられる。
これら化粧品成分の各配合量は目的とする化粧品によって異なり、用途に応じて適宜調整されるのが好ましい。
また、本発明の化粧品の形態の例としては、クリーム、錠剤、カプセル、油剤化製剤、水溶性薬剤(水可溶化物)またはエマルジョンが挙げられる。
本発明の抗炎症剤または癌予防剤に加重して、各種食品成分を含む組成物、すなわち食品は、キャノロールを含むことによって、抗癌作用および/または抗炎症作用を有する。また、本発明の食品は、キャノロールとともに、少なくとも1種の食品成分を含む。食品成分の例としては、タンパク質、炭水化物、脂肪、ビタミンおよびミネラルが挙げられる。
ビタミンおよびミネラルの非限定的な例としては、ナイアシン、チアミン、葉酸、パントテン酸、ビオチン、ビタミンA、ビタミンC、ビタミンB2、ビタミンB3、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK、鉄、亜鉛、銅、リン、ヨウ素、クロム、モリブデン、およびフッ化物が挙げられる。好ましくは、さらにビタミンまたはミネラルが利用される場合、ビタミンまたはミネラルは、ナイアシン、チアミン、葉酸、ヨウ素、ビタミンA、ビタミンC、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンD、ビタミンE、鉄、亜鉛およびカルシウムから選択される。好ましくは、少なくとも1つのビタミンが、ビタミンC、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンE、パントテン酸、ナイアシン、およびビオチンの中から選択される。また、好ましくは当該組成物はビタミンC並びにビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンE、パンテトン酸、ナイアシン、およびビオチンから選択される1つまたは複数の他のビタミン類を含む。
本発明の食品は、炭水化物甘味料並びに天然及び/又は人工のノンカロリー/低カロリー甘味料を包含する、1つまたは複数の甘味料の有効量を含有することができる。しかも通常含有する。本発明の飲料に使用される甘味料の量は典型的に、使用される特定の甘味料と望ましい甘味強度によって決まる。ノンカロリー/低カロリー甘味料について、この量は、個々の甘味料の甘味強度によって変化する。
本発明の食品は、いかなる炭水化物甘味料、好ましくは単糖類、及び/又はニ糖類によって甘味付けすることができる。甘味付けられた飲料は典型的に、甘味料約0.1%〜約20%、最も好ましくは約6%〜約14%を含む。これらの糖は、固形、又は液体の形状で含有され得るが、典型的に、好ましくはシロップ剤、最も好ましくは高フルクトースコーンシロップ剤のような濃縮シロップ剤として飲料中に組み込まれる。本発明の飲料を調製するためには、これらの糖甘味料は、ある程度までは例えば、フルーツジュース構成成分及び/又はフレーバ等の飲料のその他の構成成分によって提供することができる。
(実施例)
実施例(1)胃炎抑制作用に関する作用。
6週齢スナネズミに対し、MNU(発癌剤のN−メチルニトロソ・ウレア)を10 ppm含む飲料水を一週間与え、ついでピロリ菌(Helicobacter pylori, ATCC 43504株)を経口感染させる群、あるいは先にピロリ菌1×108 個CFUを感染後、MNU(10 ppmを1週間投与の)系において、マウス用AIN−93G飼料中のキャノロールが重量比0.1%になるようにした群(キャノロール食餌投与群)と同じ飼料組成のキャノロールなしの普通食投与群を作成し、52週にわたり飼育実験した(X. Cao et al, Jpn. J. Cancer Res., 93, 1293−1298 (2002)、N. Shimizu, et al, Cancer Res., 60, 1512−1514 (2000) )。スナネズミは群10匹を供試した。
その結果、12週間キャノロール入り食餌で飼育したスナネズミの摘出胃の病理学検討では、図2に示すとおり(A)のキャノロール食群では(B)の普通食群より、胃上皮の炎症像が著明に抑えられた。このことによりキャノロールに顕著な抗炎症作用があることが明らかになった。
実施例(2)キャノロールによる炎症局所にみられる8−オキソデオキシグアノシン(8−OHdG)の生成抑制
8−OHdGは生体内で炎症性細胞由来の活性酸素を生ぜしめ、該活性酸素がDNAと反応する結果生ずる炎症性障害のマーカーの一つである。実施例(1)と同様な条件で、12週後に各群の胃の摘出標本に対して抗8−OHdG抗体を用いて、8−OHdGの生成量を通常の酵素抗体免疫法で検討したところ、表1に示すとおり、キャノロールが8−OHdGの生成に対して抑制作用を示す一方、抗菌作用は認められなかった。したがって、キャノロールが、8−OHdGの生成に対する抑制作用を有することから、抗炎症作用、すなわち胃炎の抑制作用を有することが明らかになった。
Figure 0005222131
実施例(3)ピロリ菌感染スナネズミ胃組織における好中球の浸潤と過形成の抑制の検討
上記実施例(1)の12週投与後の標本を作成し、通常のヘマトキシリン・エオシンの染色後、胃標本を作成し、顕微鏡下にて評価した。その結果を表2に示した。
Figure 0005222131
表2に示すとおり、前胃、胃体部ともにキャノロール食餌投与群の方が有意(P<0.01)に胃炎を抑えた。
実施例(4)ピロリ菌感染胃病変におけるシクロオキゲナーゼ−2(COX−2)の誘導と誘導型NO合成酵素(iNOS)の酵素活性定量
上記実験例(1)の12週後の標本を用い、実施例(2)に準じ、酵素抗体法により両酵素蛋白の発現量を定量した。なお、炎症時に誘導されるCOX−2およびiNOSは炎症反応を発現するための代表的な酵素である。すなわち、COX−2はプロスタグラジンE2などのプロスタノイド系の炎症メディエーターを、またiNOSは一酸化窒素(NO)を生成するところ、前記炎症メディエーターおよびNOは、いずれも炎症を惹起する本体である。さらに炎症の場に生成する活性酸素O2 とNOの両者は直ちに反応し、より化学反応性の強いパーオキシナイトライト(ONOO)となる(後述)。
図3AがCOX−2、図3BがiNOSの免疫染色後の病理所見である。それら各々の抗体を用いた免疫染色から両酵素を定量すると表3のようになる。
Figure 0005222131
実施例(5)キャノロールのマクロファージからのNO生成の抑制
次に、炎症性に浸出してくる腹腔マクロファージに対し、in vitroで細菌(大腸菌)外膜リポ多糖(LPS)(1 μg/ml)とインターフェロン・ガンマー0.1 μg/ml)を処理し、それによりマクロファージから放出される炎症メディエーターであるNO量をNO とNO として、常法(グリース法)を用い定量した(著者名:Stuehr DJ, et al, J. Exp. Med., 169, 1543-55 (1989)(図4)。即ち、6週齢の雌性BALB/Cマウス(SPF)に対し10%プロテオースペプトン1 mlの腹腔内投与により滲出する腹腔滲出マクロファージを腹腔刺針により採取し、加熱非動化した10%のウシ胎児血清存在下に遠心分離し、洗浄し、プラスチックマイクロプレート(96穴)(住友ベークライト社製、Cat No.MS−8096F) に、腹腔マクロファージ(1×105 cells/well)、LPS(1 μg/ml)とマウスインターフェロンガンマ(IFN−γ)(1 μg/ml)およびキャノロール(5, 12.5, 25, 50, 100 μM)を分注し、24時間, 37℃,5%CO295%空気で培養し、上清中の亜硝酸および硝酸イオンを上述グリース法により定量した。その結果を図4に示した。なお、培地はRPMI−1640に10%の非働化ウシ胎児血清を加えたものを用いた。また、対照として、LPSのみ、あるいはLPSとIFN−γのみで処理し、キャノロール無添加の群を用いた。縦軸は硝酸イオンと亜硫酸イオンの総量である。
またこの時、キャノロールのマクロファージの生存に与える影響をみたところ、概ね100 μM以下では無毒であり、キャノロール有効範囲では10〜100 μMであった(図5)。一方、キャノロールは800 μM以上ではマクロファージに細胞毒性があるが、その有効濃度域の100 μM以下では細胞毒性がなく、薬剤としての使用に適することが明らかになった(図5)。
実施例(6)キャノロールのパーオキシナイトライトの毒力中和能
炎症局所では炎症反応の一環としてパーオキシナイトライト(ONOO)が過剰に生成し、それによる生体の細胞に対する毒性が病因論の一つでもある。この培養細胞に対するONOOの毒性に対して、キャノロールが防御作用を示すことが考えられた。そこでヒト気道(HBE140)およびヒト胚腎臓上皮細胞HEK293を各々に(1×105 cells/well)になるように96穴マイクロプレート調整したパーオキシナイトライト(ONOO)の発生試薬である同仁化学製のSIN‐1[(3−(4−morpholynyl) sydononimine HCl)](100 μM)の存在下にキャノロールがあり(5, 12.5, 25, 50, 100 μM)またはキャノロールなしのコントロール群を用いて、上記による細胞の生存率をMTT法を用い定量した。その結果を図6に示した。このとき、SIN−1の培養液中の略の半減期は6時間であった。
図6に示すとおり、本願発明の抗炎症剤は、12.5〜50μMで有意にONOOの腎上皮細胞293に対する毒力中和作用を見出した。
実施例 (7)ピロリ菌感染と発癌剤メチルニトロソ尿素(MNU)投与したスナネズミにおける胃癌発生抑制作用
実施例(1)〜(4)に準じてスナネズミを20週以上飼育し、57週頃に麻酔下に開腹し、胃を摘出、固定し、そのパラフィン標本を常法により作成し、パラフィンセクションの切片をHE(ヘマトキシリン・エオシン)により染色後検鏡した。その時carcinoma(癌)と判定された例を、各スナネズミごとに計数した結果を表4に示す。キャノロール0.1%含有食において、発癌率は、コントロール(キャノロールなし)群の41%に対し、キャノロール群は15%と、有意に(64%)に抑制していた。これは図6に示したサルモネラのパーオキシナイトライトONOOによる変異原性抑制作用にみられる、ONOOによる遺伝子損傷をキャノロールが抑えることと軌を一にすることを示している。
Figure 0005222131
a)砂ネズミにピロリ菌(Hp)感染後メチルニトロソウレア(MNU)を10ppm飲料水で与え、その1週間後に飼料中0.1%キャノロール入り試験食に切り替え飼育した。表は約57週間後に解剖したマウスの胃の病理所見の数値化データ。
実施例(8)
1×10個(CFU)のサルモネラ菌TA102を無菌的に容器(ビーカー)にとり、それに対し、培地中にONOOを1〜800μMになるようにONOOを持続的に攪拌下に注入した(図7A)。経時的にサルモネラ菌の一定量をとり、平板寒天を含むシャーレで培養した。このとき変異株のみが選択的に生育するAmesの培地を用いた。図7Bが、その時生ずる変異株である。4μM以上で変異株が急速に生ずるが、キャノロールの8μM以上存在下に、これら変異株は出現しなかった(図7C)。つまり、ONOOにより生ずるDNA損傷とそれによる変異株の出現をキャノロールが抑えることを示し、癌予防になると考えられた。
以上はキャノロールが発癌予防剤になることをin vivoおよびin vitroで示す例である。
これらの一連の実験より、キャノロールのONOOによる細胞毒性に対する防御力が明らかとなった。したがって、キャノロールを含む組成物は、抗炎症剤、癌予防剤として用いることができる。
したがって、キャノロールは生体に投与することによって、抗炎症剤、癌予防剤として医薬に用いられるばかりでなく、化粧品、食品の成分としても用いることができる。以下に、キャノロールを含む医薬、化粧品、食品の代表的な処方を示す。
実施例(9)クリーム剤:キャノロール含有抗炎症クリーム(軟膏)
通常の油脂(各種植物性・動物性)、ラノリン、ワセリン、ココナッツオイル、パーム油、ツバキ油、その他水素添加植物油脂、グリセリンなどにあるいはこれらの混合物に対し、通常用いられる抗酸化剤(例、BHT:(2, 6−ジ‐t‐ブチル-4-メチルフェノール:t‐ブチル化ヒドロキシトルエン)、あるいはα-トコフェロール、あるいはビタミンCなどの誘導体などを0.001〜0.1%、好ましくは0.01%入れ、そのものにキャノロールを0.01〜5.0%、好ましくは0.3〜3.0%含有させたものを、皮膚などの患部に塗布し、塗り込み使用する。このとき、各種糖エステルなど乳化剤やレシチンおよび防腐剤等を適量加えることができる。
実施例(10)
キャノロール含有乳化液および溶液製剤、微量の抗酸化剤(例えば、アルコビン酸パルミチール誘導体、あるいはそのPD、BHTなど)を含む水溶液10 mlに、キャノロールをエタノールまたはプロパノール、またイソプロパノール10 mlに対し0.1〜10g溶解し、混和し、薬液とする。適量、加湿、超音波を加えるとよい。このときキャノロールはアルコール、またはその水溶液中に0.1〜50%含有する。
実施例(11)油剤(カプセル化油剤)
キャノロールを大豆油、ごま油、なたね油、オリーブ油、中鎖脂肪酸、リノール酸、ツバキ油、けし油などに0.1〜50%になるように溶解し油剤化できる。そのものをソフトゲルカプセル等に1個あたりキャノロールを0.1〜0.5g充鎖する。そのカプセルを、1日あたり1〜10錠経口的に抗炎症剤として服用することができる。
実施例(12)錠剤
キャノロールを含有する錠剤として服用する。通常の日本薬局法に指定された錠剤用基材、乳糖、マルトース、各種デンプン、セルロース、キチン、キトサン、ヘミセルロース、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、リン酸カルシウムなどに対し、BHTなど上記の一般的抗酸化剤を0.01〜0.1%含むエタノールに対し、キャノロールを1〜50%溶解したもの、あるいはキャノロールそのものを錠剤用基材に添加、均一になるまで攪拌し、そのものを減圧乾燥しエタノールを除き、打錠して作成する。1錠あたり1〜500 mgのものを得る。治療、予防目的にはこの錠剤を1日3回毎食後に3〜5錠服用することができる。
実施例(13)水溶性注射剤
キャノロール100 mlを1 lのアルコール(エタノールなど)に溶解し、その50〜100倍量の蒸留水、生理食水、5%グルコース液、8%重炭酸ソーダ水、マニトール液、乳糖液、あるいはイントラリピッドなど高栄養補液、ビタミン混液、およびアミノ酸混液などの点滴用薬液、補液等に上記のキャノロールを加え、注射剤とすることもできる。また、キャノロール各種ミセル化剤によりミセル、あるいはシクロデキストリン包合体となし、あるいはレシチン、スフィンゴミエリン、ニッコールなど糖エステルを加え乳化懸濁液となし、あるいはイントラリピッドなどの高カロリー補液に添加し、または水溶性注射とする。キャノロールの濃度は1mlあたり、1〜300mg、好ましくは50〜80 mg/mlとして注射剤とすることもできる。
実施例(14)デポ製剤
コレステロール、ラノリン、ワセリン、パーム油、その他上記実施例に示した各種固型油脂で、好ましくは37℃前後で軟化する油脂に対し、上記実施例と同様にキャノロールを含有させ通常の直腸内留置の形状のものを作成し、腸溶型デポ製剤として用いることができる。
実施例(15)
キャノロール溶液に賦形剤、香料、色材、他の有効成分を含有せしめ、適切な剤型に製剤化することによって、化粧品とする。
実施例(16)
各種食品、飲料水、ドリンク剤、ビスケット類にBHTあるいはビタミンCに加えて、キャノロールを前記食品に0.01%〜2.0%含有した食品とする。該食品を摂取することにより発癌を抑制することができる。すなわち、該食品は癌の化学予防剤として用いる。
産業上の利用可能性
本発明の抗炎症剤および癌予防剤、さらにこれらを含む医薬、化粧品および食品は、十分な抗炎症活性および/または癌予防活性を有する上に、製造しやすさ、製造コスト、生物活性、安全性、投与・摂取のしやすさにおいても、従来のものを上回る格別な効果を奏する。したがって、本発明は、医薬産業、化粧品産業および食品産業ならびに関連産業の発展に寄与するところ大である。

Claims (6)

  1. 抗炎症または癌予防のための医薬組成物であって、
    4−ビニル−2,6−ジメトキシフェノール
    Figure 0005222131
    または
    Figure 0005222131
    (式中、Rは炭素数1〜24のカルボキシル残基を示す。)
    を含み、炎症または癌が、ピロリ菌(Helicobacter pylori)感染による、前記医薬組成物。
  2. 胃・十二指腸炎、胃・十二指腸潰瘍、胃炎および大腸炎からの1種または2種以上に対する処置のための、請求項1に記載の医薬組成物。
  3. 8−オキソデオキシグアノシンの生成抑制、COX−2の活性阻害、iNOSの活性阻害、NOの生成抑制およびサイトカインの誘導の抑制の1種または2種によって炎症を抑制する、請求項1または2に記載の医薬組成物。
  4. パーオキシナイトライトによる変異原性抑制によって発癌を予防する、請求項1に記載の医薬組成物。
  5. さらに医薬用の賦形剤を含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の医薬組成物。
  6. クリーム、錠剤、カプセル、油剤化製剤、水溶性薬剤またはエマルジョンの形態を有する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の医薬組成物。
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