JP4839436B2 - 消化管粘膜保護剤、カベオリン遺伝子発現促進剤及び抗ストレス剤 - Google Patents
消化管粘膜保護剤、カベオリン遺伝子発現促進剤及び抗ストレス剤 Download PDFInfo
- Publication number
- JP4839436B2 JP4839436B2 JP2005319349A JP2005319349A JP4839436B2 JP 4839436 B2 JP4839436 B2 JP 4839436B2 JP 2005319349 A JP2005319349 A JP 2005319349A JP 2005319349 A JP2005319349 A JP 2005319349A JP 4839436 B2 JP4839436 B2 JP 4839436B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- caveolin
- gastrointestinal
- glyceroglycolipid
- agent
- gene expression
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Description
また、消化管切除術後の経静脈輸液のみによる栄養補給では、消化管粘膜萎縮が起こり、消化管からの細菌などの侵入による感染の危険性が高まることが問題となっている。
しかしながら、グリセロ糖脂質が奏する、消化管粘膜保護作用、カベオリン遺伝子発現促進作用及び抗ストレス作用については、報告は見当たらず、未だ知られていない。
(1)モノガラクトシルジアシルグリセロール(MGDG)、ジガラクトシルジアシルグリセロール(DGDG)及びスルホキノボシルジアシルグリセロール(SQDG)からなる群より選ばれる少なくとも一種のグリセロ糖脂質を有効成分として薬効を奏する量、含有する消化管粘膜保護剤。
(2)前記グリセロ糖脂質が、海藻及び/又は陸生植物由来である上記(1)に記載の消化粘膜保護剤。
(3)前記陸生植物がほうれん草である上記(2)に記載の消化管粘膜保護剤。
(4)モノガラクトシルジアシルグリセロール(MGDG)、ジガラクトシルジアシルグリセロール(DGDG)及びスルホキノボシルジアシルグリセロール(SQDG)からなる群より選ばれる少なくとも一種のグリセロ糖脂質を有効成分として薬効を奏する量、含有するカベオリン遺伝子発現促進剤。
(5)前記グリセロ糖脂質が、海藻及び/又は陸生植物由来である上記(4)に記載のカベオリン遺伝子発現促進剤。
(6)前記陸生植物がほうれん草である上記(5)に記載のカベオリン遺伝子発現促進剤。
本発明では、消化管粘膜保護剤及びカベオリン発現促進剤の有効成分として、モノガラクトシルジアシルグリセロール(MGDG)、ジガラクトシルジアシルグリセロール(DGDG)及びスルホキノボシルジアシルグリセロール(SQDG)から選択される少なくとも1種を用いる。尚、これらのグリセロ糖脂質は、1種単独で、又は2種以上を適宜組合せて使用することができる。
また、これらのグリセロ糖脂質は、植物、微生物から抽出・精製することもできるし、化学的に合成することもできるが、グリセロ糖脂質を多量に含有する天然材料、例えば、海藻や陸生植物から公知の方法により抽出・分離・精製し、使用することができる。
上記海藻としては、特に限定されないが、例えば、スピルナ等の藍藻類、アオノリ・アオサ・ミル等の緑藻類、ワカメ・ヒジキ・マコンブ・モズク・アカモク等の褐藻類、スサビノリ・マクサ・スギノリ・オゴノリ・テングサ等の紅藻類などを挙げることができる。
上記陸生植物としては、特に限定されないが、例えば、小松菜・ホウレン草・人参・ブロッコリー・タマネギ等の野菜類、大麦・米等の単子葉類などを挙げることができる。好ましくは、ホウレン草を用いる。
また、上述したような海藻や陸生植物からのグリセロ糖脂質を抽出・分離・精製する方法としては、特に限定されないが、例えば、WO2005/027937号に記載の方法が使用できる。この抽出方法によれば、海藻や陸生植物から簡便な操作で効率よく、しかも有用な生理作用を有するグリセロ糖脂質を、モノガラクトシルジアシルグリセロール(MGDG)、ジガラクトシルジアシルグリセロール(DGDG)及びスルホキノボシルジアシルグリセロール(SQDG)の混合物として高純度に含有する抽出物を得ることができる。本発明において、上記抽出物をそのままグリセロ糖脂質として薬剤又は食品に含有させることもできるし、更に抽出物を分離・精製したものをグリセロ糖脂質として医薬品、食品、医薬部外品又は化粧品に含有させることもできる。
本発明の消化管粘膜保護剤は、ストレス・アルコール・薬剤・炎症性疾患などによる消化管粘膜障害、癌治療に代表されるような化学療法や放射線療法の副作用による消化管粘膜障害、消化管切除の手術後の経静脈輸液による栄養補給等で生じる消化管粘膜萎縮等、種々の消化管粘膜疾患の予防剤・抑制剤として使用することができる。例えば、消化管粘膜障害などの副作用の強い抗ガン剤による治療を行う際に、事前に本発明の消化管粘膜保護剤を服用することで薬剤による副作用を予防できる。また、消化管切除の手術後の経静脈輸液による栄養補給等で生じる消化管粘膜萎縮の場合には、本発明の消化管粘膜保護剤を手術前、或いは経静脈輸液と同時に投与することで、消化管粘膜萎縮を予防することができる。
本発明のカベオリン遺伝子発現促進剤は、消化管粘膜においてカベオリンタンパクの発現を促進する。カベオリンタンパクの発現は、上述したような消化管粘膜障害や消化管粘膜萎縮からの保護作用の一端を担っていると考えられる。また、カベオリンは、消化管のみならず、種々の上皮細胞、血管内皮細胞、筋肉細胞、脂肪細胞、神経細胞などに発現し、細胞内の脂質輸送、栄養素の輸送、細胞内シグナル伝達の調節、細胞増殖制御など多彩な生理機能を有するタンパク質である。従って、本発明のカベオリン遺伝子発現促進剤は、カベオリン発現調節物質として、カベオリン機能などの様々な研究に有用な物質として応用できるだけでなく、カベオリンの多彩な生理作用により、神経細胞や血管内皮細胞等のストレス障害をも防御し得る。なお、抗ストレス剤としては、うつ病・心身症・自律神経失調症などのストレス性神経疾患、高血圧・動脈硬化・狭心症などの循環器系疾患、糖尿病などの内分泌疾患など、種々のストレス性疾患の予防・改善に使用可能である。
本発明の消化管粘膜保護剤、カベオリン遺伝子発現促進剤及び抗ストレス剤は、経口、経皮、皮内、皮下、静脈内、筋肉内等、公知のルートによる投与が可能であり、安全かつ効果的に投与できれば、これらに限定されない。
本発明の消化管粘膜保護剤、カベオリン遺伝子発現促進剤及び抗ストレス剤の製剤化あるいは形態に関し、グリセロ糖脂質、例えば植物由来のグリセロ糖脂質をそのまま用いてもよいが、通常、充填剤、結合材、増量剤、崩壊剤、分散剤、賦形剤等の公知の医薬品担体を加え、常法に従い製剤化される。
製剤の物性としては、液状、ペースト状、固形、噴霧(ガス)等を採用できる。経口剤の場合では、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、液剤、丸剤、トローチ剤、チュアブル剤等の固形製剤、シロップ剤、エリキシル剤、乳剤、懸濁剤等の液剤、チューブ入りペースト剤の形態に製剤化することができる。非経口剤の場合では、注射剤、滴下剤、点滴剤、外用剤、塗布剤、座剤等の形態に製剤化することができる。
本発明の消化管粘膜保護剤、カベオリン遺伝子発現促進剤及び抗ストレス剤の投与量は、被投与者の年齢、体重、投与方法、対象疾患、症状等により異なるが、経口投与の場合、通常、小児あるいは成人のドーズ(mgグリセロ糖脂質/kg体重/1日)は、1〜800mg、好ましくは2〜200mg、更に好ましくは5〜100mg/kgである。
非経口投与の場合の上記ドーズは(mgグリセロ糖脂質/kg体重/1日)は、1〜400mg、好ましくは2〜100mg、更に好ましくは5〜50mg/kgである。
尚、上記の各ドーズは一日一回、又は各ドーズを数回に分けて投与することができる。
本発明に係るグリセロ糖脂質は、植物などの天然物より得られ安全性の高いため、消化管粘膜保護作用、カベオリン遺伝子発現促進作用及び抗ストレス作用が生じる食品、例えば、特定保健用食品、機能性食品、栄養補助食品、健康食品等として提供することが可能である。このような食品の形態であれば、日常的に容易に摂取することが可能であり、非常に有用である。
本発明の消化管粘膜保護作用、カベオリン遺伝子発現促進作用及び抗ストレス作用を発揮する食品は、常用食品にグリセロ糖脂質を添加、混合、混在、共存等により含有させることにより製造することができる。添加するグリセロ糖脂質としては、上述したような植物からの抽出物をそのまま、あるいは必要に応じて更に分離・精製したものを使用することができる。グリセロ糖脂質を含有させる常用食品としては、消化管粘膜保護作用、カベオリン遺伝子発現促進作用及び抗ストレス作用を奏する限り特に限定されないが、例えば、米飯類、麺類、パン、豆腐等の豆製品、ハム・ソーセージ等の加工肉製品、カマボコ・チクワ等の水産練り製品、クッキー・チョコレート・キャンディー等の菓子類、ジュース・お茶・コーヒー等の飲料、ヨーグルト・バター等の乳製品、醤油・ソース・ドレッシング等の調味料等を挙げることができる。
本発明の消化管粘膜保護作用、カベオリン遺伝子発現促進作用及び抗ストレス作用を発揮する食品は、グリセロ糖脂質をそのまま、又は、賦形剤、増量剤、結合剤、増粘剤、乳化剤、着色料、香料、食品添加物、調味料等と混合し、サプリメントとして摂取することもできる。その形態としては、粉末剤、顆粒剤、ペレット剤、錠剤、カプセル剤、ドリンク剤、ペースト剤等が挙げられる。
本発明に係る食品により摂取するグリセロ糖脂質の量は、前述した治療薬の経口ドーズと同じであり、摂取者の年齢、体重、疾患、症状によって異なるが、通常、小児あるいは成人の摂取量(mgグリセロ糖脂質/kg体重/1日)は、1〜800mg、好ましくは2〜200mg、更に好ましくは5〜100mg/kgである。上記の摂取量は、1日1回、又は数回に分けて摂取することができる。
本発明に係るグリセロ糖脂質は、植物などの天然物より得られ安全性の高いため、上述した消化管粘膜保護剤、カベオリン遺伝子発現促進剤及び抗ストレス剤を配合させた医薬部外品や化粧品として提供することが可能である。このような医薬部外品や化粧品の形態であれば、日常的に摂取又は使用することが可能であり、非常に有用である。
本発明の消化管粘膜保護剤、カベオリン遺伝子発現促進剤及び抗ストレス剤を医薬部外品として利用する場合、グリセロ糖脂質、例えば植物由来のグリセロ糖脂質をそのまま用いてもよいが、通常賦形剤、増量剤、結合剤、増粘剤、乳化剤、着色料、香料、食品添加物、調味料等と混合され、粉末剤、顆粒剤、ペレット剤、錠剤、ドリンク剤など、経口摂取する形態で提供される。
更に、クリーム、乳液、化粧水、ローション、ジェル、美容液、パックなどの薬用化粧品、ハンドクリーム、レッグクリーム、ボディローション、浴用剤などの薬用ボディ化粧品など非経口の形態で提供することも可能である。このような薬用化粧品や薬用ボディ化粧品には、有効成分であるグリセロ糖脂質の他に、通常薬用化粧品の製造に使用される原料、例えば界面活性剤、油分、水、保湿剤、アルコール類、増粘剤、安定剤、防腐剤、酸化防止剤、キレート剤、pH調整剤、香料、色素、顔料、各種ビタミン類、各種アミノ酸類などを配合することもできる。このような薬用化粧品を製造するには、常法にしたがい、薬用化粧品の製造の任意の段階で、グリセロ糖脂質を適量添加すればよい。
本発明に係る医薬部外品により摂取するグリセロ糖脂質の量は、経口摂取の場合、前述した治療薬の経口ドーズと同じであり、摂取者の年齢、体重、疾患、症状によって異なるが、通常、小児あるいは成人の摂取量(mgグリセロ糖脂質/kg体重/1日)は、1〜800mg、好ましくは2〜200mg、更に好ましくは5〜100mg/kgである。上記の摂取量は、1日1回、又は数回に分けて摂取することができる。
本発明の消化管粘膜保護剤、カベオリン遺伝子発現促進剤及び抗ストレス剤を化粧品として利用する場合、その形態としては、クリーム、乳液、化粧水、ローション、ジェル、美容液、パックなどの基礎化粧品;メイクアップベースクリーム、パウダーファンデーション、リキッドファンデーション、口紅などのメイクアップ化粧料;ハンドクリーム、レッグクリーム、ボディローション、浴用剤などのボディ用化粧品などが挙げられる。
上述したような化粧品には、有効成分であるグリセロ糖脂質の他に、通常化粧品の製造に使用される原料、例えば界面活性剤、油分、水、保湿剤、アルコール類、増粘剤、安定剤、防腐剤、酸化防止剤、キレート剤、pH調整剤、香料、色素、顔料、各種ビタミン類、各種アミノ酸類などを配合することもできる。このような化粧品を製造するには、常法にしたがい、化粧品の製造の任意の段階で、グリセロ糖脂質を適量添加すればよい。
原料には市販のホウレン草を使用し、その乾燥物100gを細断した後、水溶性成分をできるだけ除去するために、60℃の温水1Lで2回洗浄した。次に、濾紙を使用して濾過後、水分を除去し、得られた固形物(残渣)に1Lのエタノールを加え、撹拌しながら60℃で還流抽出を2回行った。得られた抽出液を濾過した後、減圧下で濃縮を行い、ホウレン草のオイル状抽出物20.5gを得た。
次に、得られた抽出物を70%エタノール溶液(エタノールと水の体積比が70:30の溶液。以下同様)に溶解した後、疎水クロマトグラフィー用樹脂500g(ダイヤイオンHP−20、三菱化学社製)に注入し、その後、70%エタノールで未吸着物質を洗浄・溶出した画分I(水溶性画分、13.6g)、90%エタノールで溶出される画分II(糖脂質画分、6.5g)、クロロホルムで溶出される画分III(クロロフィル(葉緑素)を含む色素画分、1.0g)の3つに分画した。
上記画分IIの糖脂質画分の成分を薄層クロマトグラフィーにより分析したところ、糖脂質画分250mgには、MGDGが87.4mg(33.9%)、DGDGが35.0mg(14.0%)、SQDGが92.3mg(36.9%)含まれていた。すなわち、上記画分IIの糖脂質画分(以下、「糖脂質含有組成物」という。)には、少なくとも84.8%のグリセロ糖脂質が含有されていることが分かった。さらに、精製したMGDG、DGDG、SQDGについて1H−NMR及び13C−NMRを使用して構造の確認と純度の検定を行った結果、MGDG、DGDG、SQDGともに化学構造を確認でき、純度はいずれも95%以上であった。
実施例1により得られた糖脂質含有組成物について、腸管粘膜障害予防作用を次のようにして調べた。試験動物としては、SD(Sprague Dawley)ラットを用い、「5−FU投与+糖脂質含有組成物投与群」、「5−FU投与群」、及び「正常群」の三群(各3匹)に分けた。
「5−FU投与+糖脂質含有組成物投与群」;上記糖脂質含有組成物を添加したAIN93G飼料を経口投与した。糖脂質含有組成物の添加量は、1日当たり20mg/kgマウスとなるように調製した。4日間投与後、1日絶食させた後、腸管粘膜障害惹起物質として抗ガン剤である5−FU(5−フルオロウラシル)を200mg/kgマウス単回投与し、3日後に屠殺した。5−FU投与後、屠殺までの期間においても上記同様の糖脂質含有組成物を含む飼料を与えた。
「5−FU投与群」;飼料が糖脂質含有組成物を添加していない通常のAIN93G飼料である以外は、上記「5−FU投与+糖脂質含有組成物投与群」と同様に飼料及び5−FUの投与を行った。
「正常群」;飼料が糖脂質含有組成物を添加していない通常のAIN93G飼料であり、5−FUを投与しない以外は、上記「5−FU投与+糖脂質含有組成物投与群」と同様に飼料の投与を行った。
なお、「5−FU投与+糖脂質含有組成物投与群」、「5−FU投与群」、及び「正常群」において、試験期間中の摂餌量は全群間でほぼ同量であった。
屠殺後、空腸を採取し、3%パラホルムアルデヒドにより固定した。固定した組織は、パラフィン包埋後、定法に従い、組織切片を作製した。得られた組織切片は、ヘマトキシリン・エオジン染色法により染色し、組織標本とした。
(結果)
作製した組織標本を光学顕微鏡により観察を行ったところ、図1に示すように、正常小腸に比べて、「5−FU投与群」では、著しい腸管粘膜の萎縮が見られ、また腸管絨毛の高さが低くなっており、絨毛の萎縮が起こっていることが観察された。一方、「5−FU投与+糖脂質含有組成物投与群」では、絨毛の高さが「正常群」と変わらず、腸管粘膜の萎縮が抑制されていることが観察された。
更に、得られた空腸におけるアルカリフォスファターゼ活性を測定したところ、図2に示すように、「正常群」に比べて「5−FU投与群」ではアルカリフォスファターゼ活性の低下が認められるのに対して、「5−FU投与+糖脂質含有組成物投与群」では、アルカリフォスファターゼ活性の低下が軽度であった。なお、測定結果に基づく群間の有意差検定は、FisherのPLSD法により行った。その結果、「正常群」と「5−FU投与群」との間に有意差が認められ(P<0.01)、その他の群間には有意差が認められなかった。
以上のことから、ホウレン草から抽出された糖脂質含有組成物には、腸管粘膜の萎縮や絨毛萎縮の防止に効果があることが分かった。
実施例1により得られた糖脂質含有組成物について、小腸カベオリン発現促進作用を調べた。SD(Sprague Dawley)ラットを、「5−FU投与+糖脂質含有組成物投与群」、「5−FU投与群」、及び「正常群」の三群に分け、それぞれ実施例2と同様に糖脂質含有組成物及び5−FUを投与し、屠殺した。
屠殺後、空腸粘膜層を採取し、定法に従い、TCA(トリクロロ酢酸)を用いてタンパク質を沈殿させ回収した後、20μgの空腸粘膜タンパクをSDS−PAGEで分離し、抗カベオリンポリクローナル抗体(Transduction Laboratory社製)を用いウエェスタンブロット法によりカベオリンの発現量を測定した。
図3に示すように、「正常群」や「5−FU投与群」では、腸管粘膜におけるカベオリンの発現量は低下傾向を示したが、「5−FU投与+糖脂質含有組成物投与群」は他の二群に比べてカベオリン発現量が著しく増加しているのが分かる。なお、測定結果に基づく群間の有意差検定は、FisherのPLSD法により行った。その結果、「正常群」及び「5−FU投与群」と「5−FU投与+糖脂質含有組成物投与群」との間に有意差が認められた(P<0.01)。
以上の結果から、ホウレン草から抽出された糖脂質含有組成物には、カベオリンの発現を促進させる効果があることが分かった。
実施例1においてホウレン草から抽出した糖脂質含有組成物150mg、精製大豆油125mg、ミツロウ15mgおよびビタミンE10mgを窒素ガス雰囲気下で約40℃に加温し、十分に混合して均質な液状物とした。これをカプセル充填機に供給して、1粒内容量300mgのゼラチン被覆カプセルを試作した。この製剤は、医薬用組成物または食用組成物として利用できるものである。
Claims (6)
- モノガラクトシルジアシルグリセロール(MGDG)、ジガラクトシルジアシルグリセロール(DGDG)及びスルホキノボシルジアシルグリセロール(SQDG)からなる群より選ばれる少なくとも一種のグリセロ糖脂質を有効成分として薬効を奏する量、含有する消化管粘膜保護剤。
- 前記グリセロ糖脂質が、海藻及び/又は陸生植物由来である請求項1に記載の消化粘膜保護剤。
- 前記陸生植物がほうれん草である請求項2に記載の消化管粘膜保護剤。
- モノガラクトシルジアシルグリセロール(MGDG)、ジガラクトシルジアシルグリセロール(DGDG)及びスルホキノボシルジアシルグリセロール(SQDG)からなる群より選ばれる少なくとも一種のグリセロ糖脂質を有効成分として薬効を奏する量、含有するカベオリン遺伝子発現促進剤。
- 前記グリセロ糖脂質が、海藻及び/又は陸生植物由来である請求項4に記載のカベオリン遺伝子発現促進剤。
- 前記陸生植物がほうれん草である請求項5に記載のカベオリン遺伝子発現促進剤。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005319349A JP4839436B2 (ja) | 2005-11-02 | 2005-11-02 | 消化管粘膜保護剤、カベオリン遺伝子発現促進剤及び抗ストレス剤 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005319349A JP4839436B2 (ja) | 2005-11-02 | 2005-11-02 | 消化管粘膜保護剤、カベオリン遺伝子発現促進剤及び抗ストレス剤 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2007126383A JP2007126383A (ja) | 2007-05-24 |
JP4839436B2 true JP4839436B2 (ja) | 2011-12-21 |
Family
ID=38149331
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2005319349A Active JP4839436B2 (ja) | 2005-11-02 | 2005-11-02 | 消化管粘膜保護剤、カベオリン遺伝子発現促進剤及び抗ストレス剤 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP4839436B2 (ja) |
Families Citing this family (8)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
AU2009333538B2 (en) * | 2008-12-08 | 2014-09-11 | Soligenix, Inc. | Topically active steroids for use in radiation and chemotherapeutics injury |
CA2949428A1 (en) * | 2014-06-03 | 2015-12-10 | Drei Lilien Pvg Gmbh & Co. Kg | Method and devices for de-emulsifying and complexing organic compounds in emulsions |
KR101747711B1 (ko) * | 2014-09-16 | 2017-06-20 | 경상대학교산학협력단 | 새로운 항스트레스 또는 항우울 조성물 |
JP6583787B2 (ja) * | 2016-02-29 | 2019-10-02 | 株式会社あじかん | 食品、悪心・嘔吐抑制剤及び医薬部外品 |
JP7078922B2 (ja) * | 2016-12-19 | 2022-06-01 | 丸善製薬株式会社 | 細胞接着因子発現抑制剤 |
WO2020026945A1 (ja) * | 2018-07-31 | 2020-02-06 | 株式会社デンソー | 殺ウイルス剤 |
JPWO2020026953A1 (ja) * | 2018-07-31 | 2021-09-09 | 株式会社デンソー | 抗ヘルペスウイルス剤 |
JP2021091715A (ja) * | 2021-03-01 | 2021-06-17 | 丸善製薬株式会社 | 細胞接着因子発現抑制剤 |
Family Cites Families (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2001213782A (ja) * | 2000-01-28 | 2001-08-07 | Nof Corp | 大腸ガン予防剤及び予防食品 |
JP2003146884A (ja) * | 2001-11-09 | 2003-05-21 | Kikkoman Corp | 医薬及び抗アレルギー剤 |
JP4744297B2 (ja) * | 2003-09-22 | 2011-08-10 | 善之 水品 | 糖脂質含有組成物、その用途およびその製造方法 |
-
2005
- 2005-11-02 JP JP2005319349A patent/JP4839436B2/ja active Active
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2007126383A (ja) | 2007-05-24 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP4839436B2 (ja) | 消化管粘膜保護剤、カベオリン遺伝子発現促進剤及び抗ストレス剤 | |
KR101661793B1 (ko) | 고지혈증 개선제 및 빈혈 개선 조성물, 요산치 저하 조성물 및 음식품 | |
JP2018524398A (ja) | 筋肉疾患の予防、改善または治療用または筋機能改善用組成物 | |
KR101912481B1 (ko) | 조성물, 및 당대사 개선제, 및 당대사 개선방법 | |
WO2006059730A1 (ja) | 体脂肪減少用組成物 | |
US20200360338A1 (en) | Method for activating energy metabolism in muscle cells by administering to human beings at least one active substance comprising methoxyflavone | |
JP6218870B2 (ja) | ジンセノサイドf2を含む非アルコール性肝疾患又はインスリン抵抗性の予防若しくは治療用組成物 | |
EP3326638A1 (en) | Pharmaceutical composition for preventing or treating il-6-mediated diseases comprisingrosa rugosa | |
JP3988168B1 (ja) | イチョウ葉エキスナノ微粒子による脳細胞活性効果を有する組成物 | |
JPWO2003006037A1 (ja) | 治療剤 | |
CN107580496B (zh) | 绞股蓝皂苷75的抗糖尿效果 | |
EP1649854A1 (en) | Processed fat composition for preventing/ameliorating lifestyle-related diseases | |
JP2017193497A (ja) | 筋肉増強剤 | |
JP2009269832A (ja) | カルシトニン遺伝子関連ペプチド及びインスリン様成長因子−1の産生促進組成物 | |
JP2011012005A (ja) | 高脂血症改善剤 | |
JP4672304B2 (ja) | 脂肪分解促進剤 | |
WO2020059745A1 (ja) | 脳腫瘍またはそれに起因する症状の抑制または治療のための組成物 | |
JP6583787B2 (ja) | 食品、悪心・嘔吐抑制剤及び医薬部外品 | |
JP7104193B2 (ja) | 筋肉増強剤 | |
JP6091067B2 (ja) | 細胞賦活剤およびその用途 | |
JP2007084503A (ja) | 穀類由来の成分を有効成分とする血管新生阻害の作用を有する組成物 | |
JP2024000684A (ja) | 細胞多様性と複雑な組織構造を保持したがん組織の治療剤 | |
JP2020079309A (ja) | 筋肉増強剤 | |
JP6434312B2 (ja) | 組成物、飲食品、内臓脂肪低減剤、血糖値低減剤、内臓脂肪低減用の飲食品、及び血糖値低減用の飲食品 | |
WO2006135083A1 (ja) | 内臓脂肪症候群の予防または治療薬 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20080422 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20110725 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20110819 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20110906 |
|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |