JP5221163B2 - 音響減衰材付イメージングドラム - Google Patents

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Description

本発明は静電写真イメージング部材に関し、特にその静電写真イメージング部材における音響振動を減衰させ各種モードの音響共振を防止乃至抑制する音響的減衰手段に関する。本発明は、例えば、静電写真印刷機内に設けられたドラム状の静電写真イメージング部材、即ちフォトレセプタドラムや誘電レセプタドラムといった静電写真イメージングドラムに音響減衰材を被着させ、それによりそのドラムにおける音響雑音の発生をほぼ食い止めるという形態で、実施することができる。
更に、本願では「静電写真」(electrostatography)なる語を電子写真(electrophotography)の分野やイオノグラフィ(ionography又はelectrography:電気写真)の分野を何れもカバーする広い意味で使用している。従って、例えば「静電写真イメージングドラム」或いは単に「イメージングドラム」「ドラム」等と称する場合、電子写真用のフォトレセプタ(photoreceptor)ドラムもイオノグラフィ用の誘電レセプタ(dielectric receptor)ドラムも含まれる。また、本件技術分野で周知の通り、静電写真イメージング部材は可撓ウェブ、円筒ドラム等様々な形態にすることができる。例えば、中空円筒基体上に静電写真イメージング用の被覆即ちイメージング層を少なくとも一種類設けることで、ドラム状のイメージング部材を形成することができる。形成したイメージングドラムを支えるには例えばフランジ及び中央孔を有するエンドハブを使用する。エンドハブはそのフランジがドラム内に入り込むようドラム各端に嵌め込み、そのフランジを締まり嵌めや接着剤によってドラム内に固定する。その上で、エンドハブの中央孔にアクスルシャフトを通すことで、エンドハブを含めたドラムのアセンブリ全体を支えることができる。更に、静電写真イメージング部材に設けるイメージング層の性質は、その静電写真イメージング部材が電子写真用かそれともイオノグラフィ用かによって異なる。即ち、周知の通り、電子写真用の場合はイメージング層を感光層とし、イオノグラフィ用の場合は誘電体層とする。感光層に画像を形成するにはその表面に画像状活化輻射を照射すればよく、誘電体層に画像を形成するにはその表面に画像状電極、画像状イオン流、画像状配置スタイラス群等でその画像を直に書き込めばよい。
通常の静電写真イメージングプロセスでは、まずイメージング層の表面上即ちイメージング面上に静電潜像を形成し、その潜像を現像することによりトナー像を形成し、そしてそのトナー像を転写先媒体に転写する。転写後には、例えば弾性のある鑿型の清掃ブレードをイメージング部材にこすりつけることによってイメージング面を清掃する。
イメージング面を清掃するのは、転写先媒体へのトナー像転写後にイメージング面上に残ったトナー粒子を除去するためである。しかしながら、鑿型の清掃ブレードを静電写真イメージング部材にこすりつけると、ときとしてハイピッチ音、例えばリンギング音、スキーリング音、スキーキング音、ハウリング音等といった耳障りな音が発生し、ひどい場合は静電写真印刷機のオペレータが我慢できなくなることもある。とりわけドラム状のイメージング部材では、その基体が中空円筒であるので音が響きやすい。イメージングドラムにおける音の発生は周期性がた滑り現象(スティックスリップ現象)によるものであることがわかっている。がた滑り現象とは、フォトレセプタ等のイメージング面に吸着した清掃ブレードがイメージング面の移動に引きずられて下流方向に撓み、弾性上の限界点に達するとイメージング面を上流に向かいなぞりつつ原形に跳ね戻る、という現象である。跳ね戻った清掃ブレードはイメージング面に再吸着されるので、この現象は周期的に繰り返し発生する。しかも、原形に跳ね戻るとき、その清掃ブレードはイメージング面上の残留トナー粒子を上流方向に跳ね飛ばす。このがた滑り現象にはフロアブラシ(押し箒)による床の清掃に似た点がある。例えば、フロアブラシで床を清掃する際には、そのフロアブラシを床に押しつけて少し前方に滑らし、次いでそのフロアブラシを床の上に軽く叩きつける、という作業を繰り返すのが最も効果的である。このことからもわかる通り、転写されずに残ったトナー粒子を清掃によってイメージング面上から効果的に除去するには、またそうしたトナー粒子による不要な膜乃至コメットがイメージング面上に形成されるのを防ぐには、がた滑り現象は重要である。
ハウリング音の発生に関わるファクタとしては、まずイメージング面に対する清掃ブレードの吸着度がある。即ち、清掃ブレードがイメージング面に強く吸着しているとがた滑り現象が発生しやすく、がた滑り現象が発生しているとドラムが音響振動しやすいので、音響共振によるハウリング音が発生しやすくなる。ハウリング音やスクリーミング音の発生に関わるファクタとしては、この他、イメージング部材の構成、そのイメージング部材に接触する清掃ブレードの構成、その清掃ブレードを支える清掃ブレードホルダの構成形態等がある。例えば、細めのイメージングドラム、薄く短くずんぐりした清掃ブレード、薄めの清掃ブレードホルダ等を使用するとハウリング音が発生しやすくなる。使用する素材(トナーやそのキャリア)の潤滑性や周囲温度等のファクタも、がた滑り現象ひいてはハウリング音の発生に関連している。そして、音響共振が始まるのはイメージング部材に対する清掃ブレードの接触点であり、スクリーミング音やハウリング音はワイングラスの縁に指先をこすりつけたときに音が発生する仕組みと似た仕組みで発生するので、金属又は樹脂製の中空円筒基体を有するフォトレセプタドラムをイメージング部材として使用する場合に、その発生がとみに顕著になる。また、ハウリング音が発生しやすいイメージング部材は、軽く叩くだけでもリンギング音を発するものである。
こうした雑音を低減する手法としては、まずトナーに潤滑剤を添加することによって摩擦を抑え、ひいてはがたつきや滑りによる励振エネルギを減らして音響共振を抑える手法が知られている。更に、適当な素材を用いて形成した適当な形状の静音器をイメージング部材例えばフォトレセプタドラムの内部空洞に挿入し、その静音器で音響エネルギを吸収することにより振動を減衰させて音響共振を抑える手法も知られている。そして、イメージング部材例えばフォトレセプタドラムの肉厚を増すことによりそのスティフネスを高め、それにより共振周波数を高めると共に各種励振振動を減衰させる手法も知られている。しかしながら、これらの既知手法には、ドラム内にうまくフィットしない、音響吸収の度合いが不十分である、やや割高になる等といった問題点がある。
米国特許第4415639号明細書 米国特許第5686215号明細書 米国特許第5153618号明細書 米国特許第6907657号明細書(B2) 米国特許第5722016号明細書 米国特許第7155143号明細書(B2) 米国特許第6438338号明細書(B1) 米国特許第5669045号明細書 米国特許第5960236号明細書
そのため、イメージング部材例えば電子写真印刷機内フォトレセプタドラムにてほとんど音響共振が発生せず、従って音響雑音がほとんど生じない優れたシステム及び装置が、今なお求められている。
ここに、本発明の一実施形態に係る静電写真イメージングドラムは、中空円筒基体と、中空円筒気体上に位置する少なくとも1個のイメージング層と、中空円筒基体の内面に少なくとも部分的に被着させ更にその面に密接触させた音響減衰材と、を備える。
また、本発明の一実施形態に係る静電写真イメージング部材アセンブリは、中空円筒基体、その上に位置する少なくとも1個のイメージング層、並びに中空円筒基体の内面に少なくとも部分的に被着させ更にその面に密接触させた音響減衰材を有する静電写真イメージングドラムと、清掃ブレード及びそれを支える清掃ブレードホルダを有する清掃ブレードアセンブリと、を備える。
そして、本発明の一実施形態に係る方法においては、中空円筒基体の内面に少なくとも部分的に音響減衰材を被着させるステップと、中空円筒基体の内面に密接触した状態になるよう音響減衰材を硬化させるステップと、を実行することにより、中空円筒基体及び少なくとも1個のイメージング層を有する静電写真イメージングドラムにおける音響共振を抑える。
以下、本発明の実施形態に係る静電写真イメージングドラムについて説明する。本実施形態においては、静電写真イメージングドラムの内面に少なくとも部分的に音響減衰材を被着させ、更にそれを硬化させる。被着させる音響減衰材としては、音響振動を好適に減衰させて様々なモードの音響共振を防止乃至抑制すること、更には電子写真印刷機内で発生する耳障りな雑音をほぼ解消することができるものを、使用する。使用できる音響減衰材としては、例えばLatex(登録商標;以下省略)コークや室温硬化型(RTV)シリコーンゴムがある。音響減衰材は静電写真イメージングドラムの内面上に層又はビーズの形態で設けるとよい。また、音響減衰材としては、硬化後にドラム内面と密接触状態になり、しかも引き続き柔軟性を維持する素材を使用するとよい。なお、本願では、被着先の面の微視的凹凸に倣ってその面に接触し、その面の総面積のうち少なくとも90%と接触することをさして、「密接触」と呼んでいる。音響減衰材を密接触させることで、音響振動を好適に減衰させて各種モードの音響共振を抑えること、ひいては電子写真印刷機内を効果的に静音化することができ、しかもこれは簡便に実施することができる。
まず、電子写真印刷機にて使用される静電写真イメージングドラムのなかにはややリジッドであるため音響雑音が生じやすいものがある。この雑音は、清掃ブレードのがた滑りでそのドラムが音響的に励振され、その結果そのドラムがある種のモードで音響共振することにより生じるものである。発生する雑音には幾つかの種類があり、それらの音にはその音の響きを模した名称、例えばムーイング音、グランティング音、スキーリング音等といった名称が付けられている。これらに対して従来手法で対処するのでは、ドラム内にうまくフィットしない、音響吸収の度合いが不十分である、やや割高になる等、手法毎に様々な問題が発生してしまう。
そこで、本実施形態では、静電写真イメージングドラムの内面に音響減衰材を被着させるという手法を使用する。これは、RTVシリコーンゴムやLatexコークといった音響減衰材からなる層又はビーズをドラム内面に少なくとも部分的に形成し又は被着させ硬化させるという手法である。音響減衰材としては、RTVシリコーンゴムやLatexコークに限らずそれに類する様々な素材を使用することができる。とりわけ、硬化するとドラム内面に密接触しその後も柔軟性を維持する素材を使用するとよい。そうした素材を用いることにより、音響振動を好適に減衰させ各種モードの音響共振を防止乃至抑制することができる。即ち、ドラム内面にうまくフィットした(微視的な窪みにまで入り込んだ)密接触音響減衰材によって、共振時発音面全体を隅々まで覆うことができる。
従来同様の目的で用いられていた静音器、例えばその長さが約4インチの「C」字断面樹脂スラグ(1インチ=約2.54×10−2m)にさほど効果がなかった原因としては、静電写真イメージングドラムに対し本実施形態ほどうまくは密接触させられなかったことの他に、割合にリジッドで音響減衰率がさほど高くなかったことも挙げられる。音が伝わりやすいのは硬質リジッド素材例えばアルミニウムや低粘度液体例えば水であるので、本実施形態では高柔軟度素材や高粘度高吸着性液体を音響減衰材として使用する。なかでもピーナッツバター、JELL−O(登録商標)、マヨネーズ、RTVシリコーンゴム、Latexコーク等の素材は音響減衰率が高い。更に、従来の静音器は、RTVシリコーンゴムやLatexコークから形成された薄い層やビーズに比べかなり高価であった。即ち、従来の静音器は例えば1個あたり0.20米ドルオーダの価格であり、しかもそれをドラム1個あたり複数個使用する必要があったのに対して、本実施形態にて使用する音響減衰材例えばRTVシリコーンゴムは、十分な減衰機能を実現するのに約20g以下の量で足り、従ってドラム1個あたり約0.10米ドル程で調達することができる。このように、本実施形態によれば、従来の手法に比べ、ドラムにおける種々のモードの音響共振をより効果的に防止乃至抑制することができ、またそれをより低コストで実現することができる。
本実施形態では、更に、音波がその内部に浸透・伝搬するよう、音響減衰材としてその密接触性が十分に高い素材を使用する。RTVシリコーンゴム、Latexコーク、(フューザローラで使用される)高温硬化型(HTV)シリコーンゴム等の素材は、静電写真イメージングドラムの内面に好適に密接触し化学結合にまで至るので、これを音響減衰材として使用した場合、ドラムの基体と音響減衰材とを好適に音響結合させることができる。加えて、イメージング部材の被覆と相性がよい素材を音響減衰材として使用することによって、イメージング部材からのガッシングやイメージング部材の特性劣化を防ぐ(抑える)ことができる。
図1に、本実施形態に係る静電写真イメージングドラム、即ち電子写真印刷機内でしばしば発生する煩わしい作動時雑音が生じないドラムを示す。この図に示す中空の静電写真イメージングドラム10は、清掃ブレードアセンブリ15と共に静電写真イメージング部材アセンブリ5を構成しており、中空円筒基体20及び1個又は複数個の静電写真イメージング層25を有している。基体20は様々な金属素材や樹脂素材によって好適に形成できる。使用できる金属素材としてはアルミニウム、ニッケル、非磁性ステンレス鋼、銅、それらの合金等があり、使用できる樹脂素材としては熱硬化性又は熱可塑性の樹脂素材やそれらを強化した素材等がある。樹脂素材の強化には炭素繊維(グラファイト)、ガラス繊維、ガラスビーズ、それらの混合物等の素材を使用できる。また、同図で静電写真イメージング層25の外面即ちイメージング面に接触している清掃ブレードアセンブリ15は、弾性エラストマ製の清掃ブレード30及びそれを支えるよりリジッドな清掃ブレードホルダ40から構成されている。ホルダ40を支える手段としては様々な手段を使用できる。例えばドラム10を支える図示しないマシンハウジングによってホルダ40を支えるとよい。そして、ドラム10の内面に沿い、基体20の内面と密接触するよう形成されているのは、音響減衰材35からなる層(ビーズでもよい)である。音響減衰材35としてはRTVシリコーンゴム、Latexコーク、HTVシリコーンゴム若しくはそれに類する柔軟素材又はその混合物を使用できる。
図示の通り音響減衰材35による層を形成する場合、その厚みは例えば約0.1〜6.0mmの範囲内或いは約0.5〜3.0mmの範囲内にするとよい。その層の長さは例えば最短約10mm、最長中空円筒基体20の内面の略全長の範囲内にするとよく、例えば静電写真イメージングドラム10の両端から約5mm以上奥に入った部分の内法を占めるよう層を形成するとよい。また、音響減衰材35からなるビーズを1個又は複数個用いて音響減衰機能を提供することもできる。例えば音響減衰材35のビーズを複数個形成しておき、それらを基体20の内面上に被着させる場合は、基体20の各端から約100mm奥まった場所に1個ずつ、また基体20のほぼ中央部(最奥部)にもう1個、ビーズを配置するとよい。
また、清掃ブレード30としては本件技術分野にて従来から周知のものを使用することができる。即ち、ブレード30及びそのホルダ40としては、本実施形態に係る静電写真イメージング部材アセンブリ5に相応しいものである限り、どのようなものでも使用できる。アセンブリ5は稼働時に矢印方向に回転するので、清掃ブレードアセンブリ15は静電写真イメージング層25の外表面即ちイメージング面に対しちょうど鑿又は鏨の様な姿勢でこすりつけられることとなる。もし音響減衰材35からなる層又はビーズが静電写真イメージングドラム10の内面上に存在していなければ、ブレード30のこすりつけによってイメージング面に対するブレード30のがた滑り現象、ひいてはハウリング音が発生しかねないところである。しかしながら、図示例においては、音響減衰層が形成されるよう音響減衰材35を中空円筒基体20の内面上の所要部分全体に被着及び硬化させてあり、その層を形成する音響減衰材35が基体20の内面と密接触しているので、ドラム10のイメージング面にブレード30が接触することによる雑音、例えばスキーリング音やハウリング音は、発生しないか或いは低減されることとなる。更に、基体20の内面に密接触している音響減衰材35は基体20に対して動くこともない。
本発明は、更に、静電写真イメージングドラムに音響減衰材を被着させることによりそのドラムにおける音響振動を減衰させその共振を防ぐ方法としても表現できる。そのドラムとしては中空円筒基体及び少なくとも1個のイメージング層を有するものを使用し、ドラム内面(のうち少なくとも一部)に音響減衰材を被着させる。音響減衰材を被着させたら、その音響減衰材を硬化させることで基体内面に対してその音響減衰材を密接触させる。音響減衰材は層になるよう被着させてもよいし1個又は複数個のビーズの形態で被着させてもよい。通常、音響減衰材の使用量が20g以下でもドラムを支障なく使用できるが、音響減衰材の使用量を例えば約5〜400gの範囲内にするとなおよかろう。音響減衰材としては、例えばRTVシリコーンゴム、HTVシリコーンゴム、Latexコーク、それらの混合物等を使用できる。
静電写真イメージングドラムは被覆前に機械加工する必要があるので、音響減衰材を被着させるタイミング及び場所は、端ぐりによるエンドハブ形成(必要な場合)の後工程にするのが望ましい。また、ドラムの表面をダイアモンド研削するときそのドラムの内側に音響減衰材があると好都合であるので、音響減衰材被着はダイアモンド研削より先に実施するのが望ましい。
例えば2個目の端部における端ぐり即ち最後の端ぐりが済んだ後そのドラム半製品がまだ旋盤から外されていない時点なら、その先端が直角に曲がった吐出プローブをドラム半製品内に差し込みそのプローブの先端から音響減衰材を吐出させるだけでよいので、音響減衰材を容易に被着させることができる。即ち、その長軸が旋盤の円筒軸に対して平行になるよう但し一致はしないようプローブを装着すると、プローブ長軸がぶれないようにそのプローブを回転させることや旋盤のベッド長軸(Z軸)に沿ってそのプローブを平行移動することができるので、その内面にふれないようにプローブ先端をドラム半製品内に差し込んで吐出ポジションに回付し、更にその先端から音響減衰材を吐出させればよい。これはフューザローラを被覆する手順とよく似た手順である。被覆が済んだらプローブ先端を回収ポジションまで回動させ、最後にプローブをドラム半製品内から引き出せばよい。
また、一般に静電写真イメージング部材は電子写真用やイオノグラフィ用のイメージング部材として構成することができる。それらは本件技術分野で周知の通り適宜可撓ベルト、中空円筒等といった形状にすることができるので、それらに対して本発明を適用することができる。静電写真イメージング部材で使用する支持用の基体は通常は導電面を有するものであり、電子写真用のイメージング部材ではその基体に更に光導電層を1個又は複数個設ける。基体と光導電層の間には必要に応じ遮蔽層を設け、その遮蔽層と光導電層の間には同じく必要に応じ接着層を設ける。多層構造を採る場合は、遮蔽層の上に電荷発生層を被着させ、更にその電荷発生層の上に電荷輸送層を形成するのが普通である。また、イオノグラフィ用のイメージング部材では、電気絶縁性の誘電体層を導電面の上に直に被着させる。誘電体層形成素材としては従来公知の電気絶縁性誘電体ポリマのなかで適当なものを使用すればよい。
本願出願人は、中空の静電写真イメージングドラム、それに被着している音響減衰材の層、並びに清掃ブレードアセンブリからなる静電写真イメージング部材アセンブリを試作した(実施例1)。この実施例では、そのドラムとしてXEROX(登録商標;以下省略) Workcentre(登録商標;以下省略) 55シリーズ用静電写真イメージングドラム(直径:84mm)を使用し、ドラム内面中央部付近に約25〜75mmの帯乃至領域をなすよう音響減衰材の層を被着させた。その結果、音響減衰材の層厚が約1mmと薄くても、十分にドラムの音響的共振を防止乃至抑制できることを確認した。XEROX Workcentre Pro 55シリーズであれば、これは約7〜20gのRTVシリコーンゴムを被着させることに相当する。また、ドラムに被着させる音響減衰材を増やせば音響振動をより好適に減衰させうることも、実験的に確認した。即ち、音響減衰材の層厚を約0.1〜6.0mmの範囲内で変化させて得たデータからは、層厚が増す程減衰能力が高まることを確認できた。
本願出願人は、中空の静電写真イメージングドラム、それに被着している音響減衰材のビーズ、並びに清掃ブレードアセンブリからなる別の静電写真イメージング部材アセンブリを試作した(実施例2)。この実施例では音響減衰材としてRTVシリコーンゴムを使用し、それぞれ約10gのRTVシリコーンゴムからなるビーズ2個をフランジなしのドラムの内面上に被着させた。被着させた場所は、ドラムの各端から約100mm奥に入った場所(合計2個所)である。次いで、音響的共振を抑制しないよう設計したクランプにドラムを装着して木の棒で叩く実験を行った。音響減衰措置が施されていないドラムを同様の装着状態下で同様に叩くとチャイムのようによく響く音が発生するが、RTVシリコーンゴムビーズを被着させた本実施例のドラムでは、装着状態が同じでも鈍い音が発生するだけであった。また、発生した音を記録して調べたが、やはり、音響減衰材製のビーズを被着させた本実施例のドラムの方が音響振動減衰が迅速であった。なお、先立って行った実験の結果から、音響振動をよく減衰させるドラムは適切なマシン環境で稼働させる限りどのような不要音も発生させないことが、既にわかっている。
本発明の一実施形態に係る静電写真イメージングドラムの斜視図である。
符号の説明
5 静電写真イメージング部材アセンブリ、10 静電写真イメージングドラム、15 清掃ブレードアセンブリ、20 中空円筒基体、25 静電写真イメージング層、30 清掃ブレード、35 音響減衰材、40 清掃ブレードホルダ。

Claims (2)

  1. 中空円筒基体と、
    中空円筒体上に位置する少なくとも1個のイメージング層と、
    中空円筒基体の内面に少なくとも部分的に被着させ更にその面に密接触させた、層を形成する音響減衰材と、
    を備え、
    音響減衰材の材料は、Latex(登録商標)コークまたは室温硬化型シリコーンゴムまたは高温硬化型シリコーンゴムであり、
    音響減衰材の層は、厚さが1〜6mmであり、中空円筒基体の中央部に25〜75mmの帯をなすように被着された、
    静電写真イメージングドラム。
  2. 中空円筒基体と、
    中空円筒体上に位置する少なくとも1個のイメージング層と、
    中空円筒基体の内面に少なくとも部分的に被着させ更にその面に密接触させた、ビーズを形成する音響減衰材と、
    を備え、
    音響減衰材の材料は、室温硬化型シリコーンゴムであり、
    中空円筒基体の各端から100mm奥に入った箇所に、それぞれ1個の10gの音響減衰材のビーズを被着させた、
    静電写真イメージングドラム。
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