JP3257267B2 - 画像形成装置 - Google Patents

画像形成装置

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えば電子写真複写
機、レーザプリンタ等、電子写真方式の画像形成装置に
関し、特に感光体に接触して感光体を帯電する方式の帯
電装置を備えた画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より電子写真方式の画像形成装置が
広く普及している。この電子写真方式の画像形成装置
は、通常ドラム状に構成された感光体(感光体ドラム)
を一様に帯電し、原稿に記録された画像の情報を担持し
た光をその感光体ドラムに照射することによりその感光
体ドラム上に静電潜像を形成し、その静電潜像をトナー
で現像してそのトナー像を直接にもしくは転写ドラム
を、介して用紙に転写することによりプリント(コピ
ー)画像を得る装置である。
【0003】上記電子写真方式の画像形成装置におけ
る、感光体ドラムを一様に帯電させる帯電装置として
は、従来コロトロンが広く利用されている。このコロト
ロンは、例えば直径50〜100μmのタングステンワ
イヤを、感光体ドラム表面から1cm程度離して配置
し、そのワイヤをアルミニウム等の金属でシールドした
構成を有している。
【0004】このコロトロンは均一帯電する手段として
有効な装置であるが、感光体ドラムを所定の表面電位に
帯電するためにこのコロトロンに数kVという高圧を印
加する必要があり、コロナ放電によりオゾンが発生し、
ゴム部品や感光体ドラムの劣化を引き起こすという問題
がある。このため、オゾンに冒されないように、材料や
形状の検討や、排気ファンの設置が必要となる。また空
気中のゴミやフューザーオイルによりコロトロンのワイ
ヤが汚れて画像にムラが発生しやすいため、ワイヤ清掃
装置を配設している画像形成装置もある。
【0005】そこで、コロトロンに代わる帯電装置とし
て、感光体に接触して感光体を帯電する方式の帯電装置
が注目されている。この接触帯電方式の帯電装置には、
感光体に直接接触する接触帯電部材、例えば帯電ロール
が備えられており、その接触帯電部材に、直流電圧VDC
に所定のピーク間電圧を有する交流電圧VACが重畳され
た電圧VDC+VACが印加され、この電圧VDC+VACが印
加された接触帯電部材が感光体に接触してその感光体が
帯電される。
【0006】図1は、接触帯電方式の帯電装置を備えた
画像形成装置の一例を示す概略構成図である。感光体ド
ラム11が図示の矢印Aの方向に回動しており、この感
光体ドラム11が帯電装置12により一様に接触帯電さ
れる。この帯電装置12には、感光体ドラム11の軸と
平行の軸を中心に回転自在に軸支された帯電ロール12
1が備えられており、この帯電ロール121は、図示し
ない加圧バネにより感光体ドラム11に押圧付勢されて
感光体ドラム11に直線状に接触し、感光体ドラム11
の回動に従動して矢印Bの方向に回転する。この帯電ロ
ール121には、板バネ状の電極122を経由して図示
しない電圧印加電源からの所定の電圧(直流電圧+交流
電圧)が印加されており、これにより、感光体ドラム1
1の表面が必要な電位に帯電処理される。また、この帯
電装置12には、帯電ロール121の表面を常にクリー
ニングされた状態に保つためにクリーニングパッド12
3が備えられている。
【0007】感光体ドラム11の、帯電装置12により
帯電された領域には、レーザ光13により画像が記録さ
れて静電潜像が形成され、その静電潜像が現像装置14
の、矢印C方向に回転する現像ロール141により運ば
れたトナーにより現像され、そのトナー像が転写装置1
5を構成する転写ロール151に転写され、その後、そ
の転写ロール151に転写されたトナー像が、図示しな
い用紙上に転写される。
【0008】一方、感光体ロール11は転写装置15よ
りもさらに下流側に配置されたクリーナ16により、次
の画像形成のためにクリーニングされる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】上記のように接触帯電
部材、例えば帯電ロールを感光体ドラムに直接接触さ
せ、交流電圧を印加して感光体ドラムを帯電させる方式
の帯電装置の問題点のひとつとして、帯電の際に帯電音
と呼ばれる騒音が発生することが挙げられる。この帯電
音は、帯電ロール121に印加された交流電圧が誘因と
なって帯電ロール121と感光体ドラム11の接触点に
プラス電荷とマイナス電荷が発生して互いに引き合い、
これが繰り返されることにより帯電ロール121と感光
体ドラム11が振動して互いに叩きあうことにより発生
するものである。この振動の発生メカニズムについて
は、特開平4−86682号公報に示されている。
【0010】従来この帯電音を減少させるために、いろ
いろな施策がなされてきたが、感光体ドラムの内部に錘
を配置したものが実用化されており、帯電音を減少させ
る点については効果も大きいことが確認されている(特
開平5−35167号公報、特開平5−35048号公
報参照)。しかし、帯電音を十分低減させるほど重量の
ある錘を感光体ドラムの内部に配置するとその感光体ド
ラムの重量が増し、その取扱いや操作が大変であるとい
う問題がある。また、内部に配置する錘として、感光体
ドラムの温度膨張係数と同じ温度膨張係数を有する材質
の錘を用いる必要があり、安い材料を選択することが難
しく、また、感光体ドラムの内壁に錘を接着剤で固定す
るためにその感光体ドラムの内径と錘の外径との公差が
厳しいなどの製造上の問題もある。
【0011】特開平5−35166号公報には、周囲を
ゴム層で囲んだ錘部材を感光体内部に配置することが提
案されており、周囲をゴムで囲うことから錘そのものの
材料はかなり自由に選択することができるものの、感光
体内部で錘が振動したりせずに感光体と一体的であるた
めにはある程度硬いゴムを用いる必要があり、その場
合、やはりそのゴムの外径と感光体ドラムの内径との交
差が厳しく、ゴムの外径が僅かに大きくてもその錘を感
光体内部に挿入することが困難であり、一方感光体内壁
との間に隙間があると帯電音を減少させる効果が少な
い。また感光体内部に錘を挿入することから感光体が重
く操作が大変であるとい問題もそのまま残っている。
【0012】上述のように、従来の帯電音対策は感光体
の重量を増すことであり、従来の提案は、その感光体の
重量を増す手段や感光体内部に錘を配置する方法の工夫
である。また特開平3−45981号公報には感光体ド
ラムの長さ方向の共振を防ぐために複数の振動阻害物を
接着剤で接着することが提案されているが、帯電音は共
振とは別のメカニズムで生じるものであって、共振を防
止したからといってかならずしも帯電音自体は減少しな
い。
【0013】本発明は、上記事情に鑑み、接触帯電部材
を備えた画像形成装置において、感光体ドラムの重量
を、その重量によって帯電音の十分な低減化が図られる
ほど増すことなく、帯電音の十分な低減化が図られた画
像形成装置を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成する本発
明の画像形成装置は、円筒状の感光体ドラムと、感光体
ドラムに接触して感光体ドラムを帯電させる接触帯電部
材とを備えた画像形成装置において、感光体ドラムの内
部に、その感光体ドラムの内壁面に所定の摩擦力で押
する、前記感光体ドラムの長手方向に延びるスリット及
びくびれ部が形成された摺接部材を備えたことを特徴と
する。
【0015】ここで、上記本発明の画像形成装置におい
て、上記摺接部材が、感光体ドラムの長手方向に延びる
スリット及びくびれ部が形成された円筒形状の樹脂であ
ることが好ましい。また、上記本発明の画像形成装置に
おいて、上記摺接部材は、例えば、感光体ドラムと摺接
部材を相対的に移動させるに要する力が0.5kg・f
以上かつ12.5kg・f以下である摩擦力で、感光体
ドラムの内壁面に押接するように構成される。
【0016】
【作用】接触帯電部材と感光体が互いに振動しあって発
生する帯電時の騒音は、通常金属で構成される感光体ド
ラムの振動が支配的であるので、その感光体ドラムの振
動を抑制するのが効果的である。前述したように、従来
は振動を抑制するために感光体ドラムの質量を増加させ
ていた。
【0017】これに対し、本発明は、摺接部材を、感光
体ドラムの内壁に所定の摩擦力を持って押接するように
感光体ドラム内部に配設したことを特徴とするものであ
る。この摺接部材は、感光体ドラムの重量を増すことで
帯電音を減少させるほど重量のあるものである必要はな
く、感光体ドラムの重量を実質的に増加させないよう
な、例えば円筒状の軽い樹脂製のものであってもよい。
この摺接部材がその重量により帯電音を減少させている
ものでないことは、感光体ドラムの内壁との間で摺動し
ないようにその摺接部材を感光体ドラムにさらに強く押
圧したり、あるいはその摺接部材を感光体ドラムに接着
すると、その摺接部材を感光体ドラム内部に配置しない
場合と同程度の帯電音が発生することによって確認され
る。
【0018】本発明は、上記摺接部材を感光体ドラム内
部に配置することによって帯電音の減少を図るものであ
り、感光体ドラムの重量を大幅に増す必要がなく、取扱
いや操作の容易な感光体ドラムを備えた画像形成装置が
構成される。本発明の画像形成装置は、上記摺接部材の
材料や形状が特に問われるものではないが、上記摺接部
材として、感光体ドラムの長手方向に延びるスリット
びくびれ部が形成された円筒形状の樹脂を備えることが
好ましい。その樹脂の外径を感光体ドラムの内径よりも
やや大きく形成しておき、スリット及びくびれ部が形成
されていることからその樹脂の径を縮める方向に撓ませ
てその摺接部材を感光体ドラムに簡単に挿入することが
でき、組立ての作業性が向上する。感光体ドラムに挿入
された摺接部材はその径が広がろうとして感光体ドラム
の内壁を所期の摩擦力が生じるように押圧する。
【0019】摺接部材は感光体ドラムの内壁を所定の摩
擦力で押圧する必要はあるが、どの程度の摩擦力が適当
であるかは、感光体ドラムの材質や形状等を考慮して適
応的に定められる。その一例として、本発明者の実験に
よると、その所定の摩擦力を、感光体ドラムと摺接部材
を相対的に移動させるに要する力で規定したとき、その
力が0.5kg・f以上12.5kg・f以下である
と、帯電音を5dBないしそれ以上低減させることがで
きた。
【0020】その力が0.5kg・fより小さいと摺接
部材が容易に動きすぎるため、また、その力が12.5
kg・fを越えると、摺接部材が感光体ドラム内壁と摺
動しにくく感光体ドラムとほぼ一体化されてしまうた
め、いずれの場合も帯電音の減少効果は5dBに満たな
かった。尚、0.5kg・f〜12.5kg・fの範囲
内のうち、1.0kg・f以上8.5kg・f以下の範
囲内では帯電音の減少効果は約9dBにも達するとい
う、さらに好ましい結果が得られた。
【0021】
【実施例】以下、本発明の実施例について説明する。図
2は、本発明の画像形成装置の一実施例における、感光
体ドラムの長手方向の断面図である。円筒状の感光体ド
ラム11の内部に摺接部材111が装入されており、ま
た、その感光体ドラム11の両端はフランジ112で閉
じられている。
【0022】図3は、図2に示す矢印X−X方向に見た
摺接部材の形状の各例を示した図である。図3(A)〜
(C)に示す各摺接部材111いずれにもその長手方向
に延びるスリット111aが形成されている。図3
(A)と図3(B)との相違は肉厚の相違であり、図3
(C)には、スリット111aの反対側に、やはりその
長手方向に延びるくびれ部111bが形成されており、
径方向に撓みやすく形成されている。
【0023】これらの摺接部材111は、例えばアクリ
ル,ABS,ガラス入りポリカーボネート等の樹脂で形
成することができる。その他、ステンレス等の金属、硬
質ゴム等で摺接部材111を形成してもよい。摺接部材
111は、感光体ドラム11の内部に配置したときに、
その感光体ドラム11の内壁との間で所定の摩擦力を持
って接するよう、その外径寸法や表面粗さ等が予め定め
られている。
【0024】図4は、摺接部材の、感光体ドラムの内壁
との摩擦力と帯電音の減音効果との関係の一例を示すグ
ラフである。以下に実験条件を記す。 ・感光体ドラム:外径30mmφ,内径28.5mm
φ,長さ350mmの有機感光体 ・感光体ドラムの表面速度:136mm/sec ・帯電ロール:外径14mmφ,長さ330mmの弾性
体(8mmφのステンレス製芯金入り) ・印加電圧:520V(DC)+800Hz・1.0m
A(AC) ・摺接部材:内径26.5mmφ,長さ100mm,ア
クリル製 種々の外径のものを製作して実験を行った。
【0025】・摩擦力の測定:感光体ドラム内部に配置
した摺接部材を図1の矢印D方向に押して摺接部材を感
光体ドラムに対し相対的に移動させるに要する動摩擦力
を測定 ・帯電音の測定:騒音計を感光体ドラムに相対するよう
に固定して測定 以上の実験条件で摩擦力と帯電音を測定し、図3に示す
結果が得られた。
【0026】この図3のグラフから、摩擦力には適切な
範囲が存在し、摩擦力が小さ過ぎても減音効果は小さい
が、摩擦力が大き過ぎても減音効果が減殺されることが
わかる。この点からこの摺接部材111は、その重さで
帯電音を減音しているのではないことがわかる。減音効
果として十分効果があると判定される基準を5dBとす
ると、上記の実験例では0.5kg・f〜12.5kg
・fの範囲内の摩擦力が適切であり、さらに、1.0k
g・f〜8.5kg・fの範囲内の摩擦力では約9dB
もの減音効果が確認された。
【0027】上記の実施例はアクリル製の、略C型のパ
イプ状(図3参照)の摺接部材の外径寸法を変更するこ
とにより摩擦力を変化させたときの例であるが、同一の
外径寸法であってその肉厚を変更することにより摩擦力
を変化させた場合も図4に示すグラフとほぼ同一の結果
が得られた。さらに摺接部材の材質を、ABS、ガラス
入りポリカーボネート、ステンレス、硬質ゴム等に変更
しても近似した結果が得られた。ただし、全体的な傾向
として樹脂の方が金属よりも減音効果が多少大きいよう
であり、摺接部材の材質も多少は関係がありそうではあ
る。
【0028】図5は、本発明の画像形成装置の感光体ド
ラムの他の例を示す模式図である。この例に示す感光体
ドラムでは、フランジ112の、感光体ドラム11の内
部に挿入された部分が摺接部材の役割りを成している。
図5(A)のように構成するとフランジ112を感光体
ドラム11に取り付けるときに、その摩擦力に抗して、
フランジ112の摺接部材の部分を感光体ドラム11に
挿入する必要があるが、図5(B)に示すように構成す
ると、フランジ112が感光体ドラム11に挿入された
後にその径が広げられ、フランジ112を感光体ドラム
11に取り付ける作業が、より容易となる。
【0029】この図5(A),(B)に示すように、本
発明にいう摺接部材は、それのみ単独に独立した部材と
して備えられている必要はない。また、本発明にいう摺
接部材は、感光体ドラムの内壁を所定の摩擦力をもって
押圧すればよく、図3示すような断面が略C字状のもの
に限定されるものではなく、その材質も特に限定される
ものではなく、軽く、加工しやすく、しかも組立性の良
い材料を選定することができる。
【0030】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
感光体ドラムの重量を大きく増すことなく、帯電を有
効に減少させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】接触帯電方式の帯電装置を備えた画像形成装置
の一例を示す概略構成図である。
【図2】本発明の画像形成装置の一実施例の、感光体ド
ラムの長手方向の断面図である。
【図3】図2に示す矢印X−X方向に見た摺接部材の形
状の各例を示した図である。
【図4】摺接部材の、感光体ドラムの内壁との摩擦力と
帯電音の減音効果との関係の一例を示すグラフである。
【図5】本発明の画像形成装置の感光体ドラムの他の例
を示す模式図である。
【符号の説明】
11 感光体ドラム 111 摺接部材 112 フランジ 12 帯電装置 121 帯電ロール
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 勝野 龍司 神奈川県海老名市本郷2274番地 富士ゼ ロックス株式会社 海老名事業所内 (72)発明者 新井 明雄 神奈川県海老名市本郷2274番地 富士ゼ ロックス株式会社 海老名事業所内 (56)参考文献 特開 昭64−7089(JP,A) 特開 昭63−271388(JP,A) 特開 平6−19377(JP,A) 特開 平5−35167(JP,A) 特開 平5−35166(JP,A) 特開 平5−188839(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G03G 21/00 350

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 円筒状の感光体ドラムと、該感光体ドラ
    ムに接触して該感光体ドラムを帯電させる接触帯電部材
    とを備えた画像形成装置において、 前記感光体ドラムの内部に、該感光体ドラムの内壁面に
    所定の摩擦力で押接する、前記感光体ドラムの長手方向
    に延びるスリット及びくびれ部が形成された摺接部材を
    備えたことを特徴とする画像形成装置。
  2. 【請求項2】 前記摺接部材が、前記感光体ドラムの長
    手方向に延びるスリット及びくびれ部が形成された円筒
    形状の樹脂であることを特徴とする請求項1記載の画像
    形成装置。
  3. 【請求項3】 前記摺接部材が、前記感光体ドラムと前
    記摺接部材を相対的に移動させるに要する力が0.5k
    g・f以上かつ12.5kg・f以下である摩擦力で、
    前記感光体ドラムの内壁面に押接するものであることを
    特徴とする請求項1又は2記載の画像形成装置。
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