JP5221161B2 - 炭素繊維シート及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、複数の炭素繊維シートが繋ぎ合わされている炭素繊維シート及びその製造方法である。本発明の炭素繊維シートは、断熱材、耐熱保護材、燃料電池等の電極材、通電材等の各種用途に好適である。
炭素繊維は耐熱性に優れていることから、断熱材、耐熱保護材として利用されており、また、電気伝導性を有していることから、燃料電池等の電極材や通電材料としての応用開発も進められている。
炭素繊維は、一般に、織物状、不織布状、ペーパー状等の炭素繊維シートに加工された状態で使用されている。炭素繊維シートは、炭素繊維シート前駆体を炭素化することで製造されるが、この炭素繊維シートを上記のような用途に利用するにあたり、再度150〜400℃程度の熱処理を施す場合がある。その再度の熱処理を連続して行うため、炭素繊維シートを長尺化する要望がある。
特許文献1には、炭素繊維シートの端部側同士を重ね合わせ、所定の物性を有するポリアクリロニトリル系酸化繊維よりなる紡績糸又はフィラメント束で端部側同士を繋ぎ合わせることで、炭素繊維シートを長尺化する方法が記載されている。具体的には、織物状の炭素繊維シートを針を用いて縫い繋ぐ方法が記載されている。
特開2004−176233号公報
しかし、不織布状やペーパー状の炭素繊維シートは織物状のものに比べて脆く、針を用いて縫い繋ぐと、針を刺した箇所に亀裂が入ってしまう可能性が高く、その亀裂が進行して繋ぎ合わせ部が分断してしまうおそれがある。
一方、炭素繊維シートを製造する際には、炭素繊維シート前駆体を所定の温度に設定した熱処理炉内に走行させて炭素化する。しかし、炭素繊維シート前駆体はエンドレスではないため、炭素繊維シート前駆体ごとに熱処理炉の温度を一旦下げ、新たな炭素繊維シート前駆体を走行ラインに配置して、再度熱処理炉の温度を上げる必要がある。熱処理炉の温度は非常に高温であることから、これらの工程には長時間かかってしまい、結果として熱処理炉の稼働効率を大きく低下させることになる。したがって、炭素繊維シート前駆体を長尺化する要望もある。
炭素繊維シート前駆体を長尺化する方法として、特許文献1に記載の方法に準じて、炭素繊維シート前駆体の端部同士を針を用いて縫い繋いだ場合、不織布状やペーパー状の炭素繊維シートの場合と同様に、針を刺した箇所に亀裂が入ってしまう可能性が高く、その亀裂が進行して繋ぎ合わせ部が分断してしまうおそれがある。
さらに、長尺化した炭素繊維シートや炭素繊維シート前駆体を熱処理すると、その側端部が反ってしまうことがあり、炭素繊維シートや炭素繊維シート前駆体に割れが生じたり、湾曲して熱処理炉内で引っかかったりすることがあった。
そこで、本発明は、熱処理する際に発生する反りによる影響を低減でき、不織布状やペーパー状であっても品質の良い長尺の炭素繊維シート及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、炭素繊維シート(a)と炭素繊維シート(b)とが繋ぎ合わされている炭素繊維シートであって、
前記炭素繊維シート(a)の終端部と前記炭素繊維シート(b)の始端部とが重なり合っており、
その重なり部の側端部に貫通孔(y)が形成されており、
前記貫通孔(y)には繋ぎ糸(n)が通されていて、
前記繋ぎ糸(n)により前記貫通孔(y)と前記重なり部の側端との間が綴じられている炭素繊維シートである。
また、本発明は、炭素繊維シート前駆体(A)の終端部と炭素繊維シート前駆体(B)の始端部とを重ねる工程;
その重なり部の側端部に貫通孔(Y)を形成する工程;
前記貫通孔(Y)に繋ぎ糸(N)を通して前記貫通孔(Y)と前記重なり部の側端との間を綴じることで、前記炭素繊維シート前駆体(A)及び(B)を繋ぎ合わせる工程;並びに
前記繋ぎ合わされた炭素繊維シート前駆体を炭素化する工程
を有する炭素繊維シートの製造方法及びその製造方法により得られる炭素繊維シートである。
本発明によれば、熱処理する際に発生する反りによる影響を低減でき、不織布状やペーパー状であっても品質の良い長尺の炭素繊維シート及びその製造方法できる。
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
<炭素繊維シート>
図1は、本発明の炭素繊維シートの一実施形態を示す上面図である。この炭素繊維シート10は、炭素繊維シート(a)11の終端部と炭素繊維シート(b)12の始端部とは、両側端部が互いに揃えられた状態で重ねられていて、両シートは長さ方向にまっすぐ繋ぎ合わされている。なお、炭素繊維シートは、用途に応じて、必要枚数だけ繋ぎ合されていてもよく、各繋ぎ合わせ箇所における繋ぎ合わせの形態は独立して設定できる。
炭素繊維シート(a)11及び(b)12は、炭素繊維を含むシートであり、織物状、不織布状、ペーパー状のいずれでもよい。炭素繊維シート(a)11及び(b)12の長さ、厚さ及び目付は、使用目的に応じて適宜設定できるが、例えば、長さは1〜1500m、厚さは0.1〜10mm、目付は10〜200g/m2が好ましい。
炭素繊維シート(a)11及び(b)12に含まれる炭素繊維の種類としては、ポリアクリロニトリル(PAN)系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維、レーヨン系炭素繊維、フェノール系炭素繊維等を用いることができる。得られた炭素繊維シートの曲げ強度及び引張強度が高くなることから、PAN系炭素繊維又はピッチ系炭素繊維を用いることが好ましく、PAN系炭素繊維を用いることがより好ましい。炭素繊維は、長さ1〜100mm、平均直径4〜8μmの短繊維であることが好ましい。
炭素繊維シート(a)11及び(b)12は、炭素繊維が炭素により結着されている炭素繊維シートが好ましい。このような炭素繊維シートは、炭素繊維と炭素前駆体樹脂とを含んでなる炭素繊維シート前駆体を炭素化することで得ることができる。
炭素繊維シート(a)11の終端部と炭素繊維シート(b)12の始端部とが重なり合った重なり部20の長さLは、炭素繊維シート(a)11及び(b)12を繋ぎ糸(n)27により綴じることが可能な範囲で適宜設定できるが、100〜500mmが好ましく、220〜350mmがより好ましい。
炭素繊維シート(a)11の終端部と炭素繊維シート(b)12の始端部との重なり部20の側端部に貫通孔(y)26が形成されている。そして、貫通孔(y)26には繋ぎ糸(n)27が通されていて、繋ぎ糸(n)27により貫通孔(y)26と重なり部20の側端との間が綴じられている。このように、繋ぎ糸(n)27により貫通孔(y)26と重なり部20の側端との間が綴じられていることで、炭素繊維シートの反りによる影響を低減することができる。繋ぎ糸(n)27は、1本でもよく、2本以上でもよい。
繋ぎ糸(n)27としては、その後に行う工程を考慮して適宜選択できる。例えば、炭素繊維、耐炎繊維、アラミド繊維、フェノール繊維等を用いることができる。
繋ぎ糸(n)27の総デニールは、400〜4000texが好ましく、800〜2400texがより好ましい。総デニールが400tex未満の場合、トウ強度が不足する可能性がある。また、後工程での高温処理時に糸強力が低下しやすい。総デニールが4000texを超える場合、糸が太くなってしまうため、繋ぎ部のシート厚さが増大し、後工程中でガイド等に引っかかったり、隙間詰りが生じ易くなる。また、後工程での高温処理時に単繊維が剛直化し、繋ぎ箇所の単繊維切れを生じ、ケバが発生しやすくなる。
繋ぎ糸(n)27のトウ強度は、1kg以上が好ましい。トウ強度が1kg未満の場合、繋ぎ箇所が切断し易くなる。繋ぎ糸(n)27のトウ強度が大きい分には特段問題はないが、通常はトウ強度が4kg以下の繋ぎ糸を使用する。
繋ぎ糸(n)27の伸度は、0.3〜30%が好ましい。伸度が30%を超える場合、繋ぎ糸が張力により伸び易くなるため繋ぎ箇所の固定が不十分となって、繋ぎ箇所に変形(皺、うねり)が生じ易くなる。
繋ぎ糸(n)27の比重は、例えば市販品で入手可能なピッチ系の炭素繊維の比重である1.6〜2.2から選択することができる。
貫通孔(y)26の大きさは、炭素繊維シート(a)11及び(b)12の強度及び繋ぎ糸(n)27の本数及び太さ等を考慮して適宜設定できるが、その直径は2〜10mmが好ましく、4〜7mmがより好ましい。
貫通孔(y)26は、キリ等を用いて形成することができる。ただし、押し込んで孔を開けるタイプのキリを用いた場合には、炭素繊維シートに亀裂が発生する可能性があり、不織布状やペーパー状の炭素繊維シートの場合には、特にその亀裂が発生する可能性が高い。そこで、中心から外周側へえぐるように孔を開けるタイプのキリである、いわゆる波板キリを用いることが好ましい。波板キリを用いることで、不織布状やペーパー状の炭素繊維シートであっても、亀裂が入りにくくなる。
貫通孔(y)26を形成する際には、重なり部20の両側端部で貫通孔(y)26を形成しない位置をクリップ等で仮止することで、炭素繊維シート(a)11及び(b)12のずれを防ぐことができる。
貫通孔(y)26が形成される位置は、重なり部20の側端との間が綴じられることを考慮して適宜設定できる。反りによる影響を効果的に低減できることから、貫通孔(y)26と重なり部20の側端との距離L5は、20〜30mmであることが好ましい。
貫通孔(y)26の数は、例えば1〜10個とすることができる。また、炭素繊維シートの側端部が反る現象は、両側端部で同様に発生する可能性が高いことから、貫通孔(y)26は重なり部20の両側端部に同数形成されていることが好ましい。したがって、形成される貫通孔(y)26の総数は偶数であることが好ましい。例えば、図1に示す炭素繊維シートでは、重なり部20の両側端部に3つずつ貫通孔(y)26が形成されている。
一側端部に複数の貫通孔(y)26が形成されている場合、その複数の貫通孔(y)26の間の距離L6は、その間で反りが発生しないように適宜設定できるが、50〜450mmが好ましく、100〜300mmがより好ましい。一側端部に形成された複数の貫通孔(y)26のうち始端又は終端に最も近い貫通孔(y)とその始端又は終端との距離L7は、始端又は終端が引っかからないように適宜設定できるが、10〜90mmが好ましく、20〜70mmがより好ましい。
貫通孔(y)26への繋ぎ糸(n)27の通し方は、図1に示すように、貫通孔(y)26と重なり部20の側端との間を往復させた状態となる方法が好ましい。この状態となっていることで、繋ぎ糸(n)27により貫通孔(y)26と重なり部20の側端との間が綴じられた状態となる。繋ぎ糸(n)27は、貫通孔(y)26から重なり部20の側端の間において幅方向に平行になっていることが好ましい。
繋ぎ糸(n)27は、貫通孔(y)26から外れない限り結ばれていなくてもよいが、図1に示すように、繋ぎ糸(n)27の端部同士が結ばれている方が好ましい。
図2は、本発明の炭素繊維シートの一実施形態を示す上面図である。この炭素繊維シート10は、図1の状態に加えて、炭素繊維シート(b)12の始端部における2つの角部が切り落とされている。炭素繊維シートの側端部の反りはその角部において発生しやすいので、その角部を切り落とすことで、反りによる影響を低減することができる。
炭素繊維シート(b)12の始端部における2つの角部の代わりに、炭素繊維シート(a)11の終端部における2つの角部が切り落とされていても、反りによる影響を低減することができる。炭素繊維シート(a)11の終端部及び炭素繊維シート(b)12の始端部における各々2つの角部が切り落とされていると、反りによる影響をさらに低減できる。
角部は、例えばカッターで切り落とすことができる。切り落とす範囲は、反りによる影響を効果的に低減できるように適宜設定できるが、頂点からの距離L8及びL9が各々30〜90mmとなる位置で直線的に切り落とすことが好ましい。
なお、繋ぎ糸(n)27により貫通孔(y)26と重なり部20の側端との間が綴じられている実施形態と、炭素繊維シート(a)11の終端部及び炭素繊維シート(b)12の始端部の少なくとも一方における2つの角部が切り落とされている実施形態とは、独立して組み合わせることができる。
図3及び4は、本発明の炭素繊維シートの一実施形態を示す上面図である。これらの炭素繊維シート10は、それぞれ図1及び2の状態に加えて、重なり部20に複数の貫通孔(x)21が形成されている。そして、その複数の貫通孔(x)21には繋ぎ糸(m)22が通されていて、繋ぎ糸(m)22により複数の貫通孔(x)21の間が綴じられている。このように、繋ぎ糸(m)22により複数の貫通孔(x)21の間が綴じられていることで、不織布状やペーパー状であっても品質の良い長尺の炭素繊維シートとなる。繋ぎ糸(m)22は、1本でもよく、2本以上でもよい。
繋ぎ糸(m)22としては、その後に行う工程を考慮して適宜選択でき、繋ぎ糸(n)27と同様のものを用いることができる。
貫通孔(x)21の大きさは、炭素繊維シート(a)11及び(b)12の強度及び繋ぎ糸(m)22の本数及び太さ等を考慮して適宜設定できるが、その直径は2〜10mmが好ましく、4〜7mmがより好ましい。
貫通孔(x)21は、キリ等を用いて形成することができる。前述と同様の理由から、波板キリを用いることが好ましい。
貫通孔(x)21を形成する際には、重なり部20の両側端部をクリップ等で仮止することで、炭素繊維シート(a)11及び(b)12のずれを防ぐことができる。
貫通孔(x)21が形成される位置は、繋ぎ糸(m)22により複数の貫通孔(x)21の間が綴じられることを考慮して適宜設定できる。
貫通孔(x)21の数は複数であればよく、例えば、2つでもよく、4つでもよい。その貫通孔(x)21に繋ぎ糸(m)22を通してその間を綴じていることから、貫通孔(x)21の数は偶数であることが好ましい。複数の貫通孔(x)21への繋ぎ糸(m)22の通し方は、複数の貫通孔(x)21の間が綴じられる方法であればよい。例えば、2つの貫通孔(x)21の間を往復するように繋ぎ糸(m)22が通されている状態が挙げられる。
4つの貫通孔(x)21が形成されている場合、図3及び4に示すように、その4つの貫通孔(x)21にはたすきがけの形態で繋ぎ糸(m)22を通されていることが好ましい。2つの貫通孔(x)21の間の各々を往復するように繋ぎ糸(m)22が通されている状態でも構わないが、たすきがけの形態で繋ぎ糸(m)22が通されていることで広い領域が綴じられるため、炭素繊維シートに亀裂等が生じにくくなり、さらには重なり部20において皺やねじれが生じにくくなる。
4つの貫通孔(x)21として、図3及び4に示すように、幅方向に平行に配置された2つの貫通孔(x)21が2組形成されていることが好ましい。そして、その幅方向に平行に配置された2つの貫通孔(x)21の間の各々において、繋ぎ糸(m)22が幅方向に平行に通されていることが好ましい。さらに、4つの貫通孔(x)21のうち任意の2つの間に通された繋ぎ糸(m)22が、いずれも長さ方向に平行でないことが好ましい。炭素繊維シートは、一般に長さ方向には亀裂が入りやすいのに対し、幅方向や斜め方向には亀裂が入りにくい。また、亀裂の進行についても長さ方向には進みやすく、幅方向や斜め方向には進みにくい。したがって、上記のように繋ぎ糸(m)22が通されていることで、亀裂の発生や進行を抑制することができる。
図5は、図3及び4の実施形態において、繋ぎ糸(m)22により綴じられている部分の大きさ及び位置関係を説明するための図である。図5において、他の部分は省略している。
幅方向に平行に配置された2つの貫通孔(x)21間の距離L1及びL2は、繋ぎ糸(m)22により4つの貫通孔(x)21の間が綴じられることを考慮して適宜設定できるが、炭素繊維シート(a)11及び(b)12の幅の17〜84%が好ましく、30〜70%がより好ましい。また、前述のように、4つの貫通孔(x)21のうち任意の2つの間に通された繋ぎ糸(m)22が、いずれも長さ方向に平行でないことが好ましいことから、L1とL2は異なっていることが好ましい。
幅方向に平行に配置された2つの貫通孔(x)21の2組間の距離L3は、繋ぎ糸(m)22により4つの貫通孔(x)21の間が綴じられることを考慮して適宜設定できるが、L1及びL2の短くない方の20〜150%が好ましく、33〜67%がより好ましい。
幅方向に平行に配置された2つの貫通孔(x)21の2組のうち始端又は終端に近い方とその始端又は終端との距離L4は、始端又は終端が引っかからないように適宜設定できるが、10〜60mmが好ましく、25〜40mmがより好ましい。
図6は、複数の貫通孔(x)21が2セット以上形成されており、それらの間が綴じられている炭素繊維シートの実施形態を示す上面図である。なお、図6において、貫通孔(x)21及び他の部分は省略している。このように複数の貫通孔(x)21が2セット以上形成されており、各セットが繋ぎ糸(m)22により綴じられていてもよい。各セットは、炭素繊維シート(a)11及び(b)12を十分に綴じることができるように配置すればよい。4つの貫通孔(x)21が2セット以上形成されている場合、L1及びL2の合計が上記条件を満たすことが好ましく、L4のうち最も短い距離が上記条件を満たすことが好ましい。
繋ぎ糸(m)22は、貫通孔(x)21から外れない限り結ばれていなくてもよいが、図3及び4に示すように、繋ぎ糸(m)22の端部同士が結ばれている方が好ましい。
なお、繋ぎ糸(n)27により貫通孔(y)26と重なり部20の側端との間が綴じられている実施形態と、炭素繊維シート(a)11の終端部及び炭素繊維シート(b)12の始端部の少なくとも一方における2つの角部が切り落とされている実施形態と、繋ぎ糸(m)22により複数の貫通孔(x)21の間が綴じられている実施形態とは、独立して組み合わせることができる。
本発明の炭素シートは、断熱材、耐熱保護材、燃料電池等の電極材、通電材等の各種用途に好適である。
<炭素繊維シートの製造方法>
本発明の炭素繊維シートは、例えば、炭素繊維シート(a)及び炭素繊維シート(b)を製造した後に、それらを上記の構成になるように繋ぎ糸(n)で繋ぎ合わせることで製造することができる。
また、本発明の炭素繊維シートは、炭素繊維シート前駆体(A)及び炭素繊維シート前駆体(B)を、上記と同様の構成になるように繋ぎ糸(N)で繋ぎ合わせ、その繋ぎ合わされた炭素繊維シート前駆体を炭素化することで製造することもできる。この方法によれば、炭素化を行う熱処理炉の稼働効率を高めることができる。以下、この方法について説明する。
まず、炭素繊維シート前駆体(A)の終端部と炭素繊維シート前駆体(B)の始端部とを重ねる。なお、炭素繊維シート前駆体は、製造された炭素繊維シートの用途に応じて、必要枚数だけ繋ぎ合されていてもよく、各繋ぎ合わせ箇所における繋ぎ合わせの形態は独立して設定できる。
炭素繊維シート前駆体(A)及び(B)は、炭素化することで炭素繊維シートとなるものであり、織物状、不織布状、ペーパー状のいずれでもよい。炭素繊維シート前駆体(A)及び(B)の長さ、厚さ及び目付は、製造された炭素繊維シートの使用目的に応じて適宜設定できるが、例えば、長さは1〜1500m、厚さは0.1〜10mm、目付は10〜200g/m2が好ましい。
炭素繊維シート前駆体(A)及び(B)としては、例えば、炭素繊維と炭素前駆体樹脂とを含んでなる炭素繊維シート前駆体が挙げられる。この炭素繊維シート前駆体を炭素化することで、炭素繊維が炭素により結着されている炭素繊維シートとなる。
炭素繊維の種類としては、ポリアクリロニトリル(PAN)系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維、レーヨン系炭素繊維、フェノール系炭素繊維等を用いることができる。得られた炭素繊維シートの曲げ強度及び引張強度が高くなることから、PAN系炭素繊維又はピッチ系炭素繊維を用いることが好ましく、PAN系炭素繊維を用いることがより好ましい。炭素繊維は、長さ1〜100mm、平均直径4〜8μmの短繊維であることが好ましい。
炭素前駆体樹脂は、炭素繊維間を結着する目的で使用されるものであり、例えば、ポリビニルアルコール(PVA)等の熱可塑性樹脂、フェノール樹脂等の熱硬化性樹脂、ピッチ、澱粉等を用いることができる。このうち、フェノール樹脂やピッチは、炭素化のための熱処理により炭化物となり、炭素繊維シート中の炭素繊維間を結着する機能を発揮する。また、澱粉やPVAは、炭素繊維シート前駆体を得る上での通過性を高める機能を発揮する。
炭素繊維と炭素前駆体樹脂とを含んでなる炭素繊維シート前駆体の場合、炭素繊維の含有比率は10〜90質量%が好ましく、20〜60質量%がより好ましく、30〜50質量%がさらに好ましい。炭素繊維の含有比率が10質量%を下回ると、得られる炭素繊維シートの引張強さが低下したり、脆く折れやすくなる傾向がある。また、炭素繊維の含有比率が90wt%を超えると、得られる炭素繊維シートが嵩高になり、引張強度や圧縮強度が低下する傾向があり、例えば燃料電池の電極用としても適さない場合がある。
炭素繊維と炭素前駆体樹脂とを含んでなる炭素繊維シート前駆体には、炭素繊維及び炭素前駆体樹脂以外に、炭素粉末、金属粉末、無機粉末、金属繊維、無機繊維等を含んでもよい。得られる炭素繊維シートを燃料電池電極基材として用いる場合には、導電性向上、不純物低減のために、炭素粉末を含んでいることが好ましい。
炭素繊維シート前駆体を作製する方法としては、液体の媒体中に炭素繊維を分散させて抄造する湿式法や、空気中に炭素繊維を分散させて降り積もらせる乾式法などの抄紙方法が適用できるが、中でも湿式法が好ましい。炭素繊維が単繊維に分散するのを助け、分散した単繊維が再び収束を防止するのを防ぐためにも、適切な量の炭素前駆体樹脂と共に湿式抄紙することが好ましい。
炭素繊維と炭素前駆体樹脂とを混合する方法としては、水中で攪拌分散させる方法と、直接混ぜ込む方法があるが、均一に分散させるためには水中で攪拌分散させる方法が好ましい。このように炭素繊維に炭素前駆体樹脂を混ぜることにより、炭素繊維シート前駆体の強度を保持し、その製造途中で炭素繊維シート前駆体から炭素繊維が剥離したり、炭素繊維の配向が変化したりするのを防止することができる。
炭素繊維シート前駆体の作製は、連続で行ってもよく、バッチ式で行ってもよい。生産性及び機械的強度の観点からは、連続で行うことが好ましい。
炭素繊維シート前駆体は、炭素繊維が二次元平面内において分散していることが好ましい。ここで、「二次元平面内において分散」とは、炭素繊維がおおむね一つの面を形成するように横たわっているという意味である。これにより炭素繊維の折損を防止することができる。二次元平面内での炭素繊維の配向方向は実質的にランダムであっても、特定方向への配向性が高くなっていても良い。
なお、後述するように、炭素繊維シート前駆体(A)及び(B)を複数の温度で熱処理する場合、途中の段階まで熱処理をしたシートも炭素繊維シート前駆体(A)及び(B)に含まれるものとする。
炭素繊維シート前駆体(A)の終端部と炭素繊維シート前駆体(B)の始端部とを重ねて形成した重なり部の長さは、炭素繊維シート前駆体(A)及び(B)を繋ぎ糸(N)により綴じることが可能な範囲で適宜設定できるが、100〜500mmが好ましく、220〜350mmがより好ましい。
このとき、熱処理炉内での引っかかりを防止する観点から、先行する炭素繊維シート前駆体が下側で、それに続く炭素繊維シート前駆体が上側になるように重ねることが好ましい。
次いで、図1に示す炭素繊維シートの実施形態に準じて、その重なり部の側端部に貫通孔(Y)を形成し、その貫通孔(Y)に繋ぎ糸(N)を通して貫通孔(Y)と重なり部の側端との間を綴じる。このように、繋ぎ糸(N)により貫通孔(Y)と重なり部の側端との間を綴じることで、炭素繊維シート前駆体の反りによる影響を低減することができる。繋ぎ糸(N)は、1本でもよく、2本以上でもよい。
繋ぎ糸(N)としては、その後に行う工程を考慮して適宜選択できる。例えば、炭素繊維、耐炎繊維、アラミド繊維、フェノール繊維等を用いることができる。
繋ぎ糸(N)の総デニールは、400〜4000texが好ましく、800〜2400texがより好ましい。総デニールが400tex未満の場合、トウ強度が不足する可能性がある。また、後工程での高温処理時に糸強力が低下しやすい。総デニールが4000texを超える場合、糸が太くなってしまうため、繋ぎ部のシート厚さが増大し、後工程中でガイド等に引っかかったり、隙間詰りが生じ易くなる。また、後工程での高温処理時に単繊維が剛直化し、繋ぎ箇所の単繊維切れを生じ、ケバが発生しやすくなる。
繋ぎ糸(N)のトウ強度は、1kg以上が好ましい。トウ強度が1kg未満の場合、繋ぎ箇所が切断し易くなる。繋ぎ糸(N)のトウ強度が大きい分には特段問題はないが、通常はトウ強度が4kg以下の繋ぎ糸を使用する。
繋ぎ糸(N)の伸度は、0.3〜30%が好ましい。伸度が30%を超える場合、繋ぎ糸が張力により伸び易くなるため繋ぎ箇所の固定が不十分となって、繋ぎ箇所に変形(皺、うねり)が生じ易くなる。
繋ぎ糸(N)の比重は、例えば市販品で入手可能な炭素繊維のピッチ系の比重である1.6〜2.2から選択することができる。
貫通孔(Y)の大きさは、炭素繊維シート前駆体(A)及び(B)の強度及び繋ぎ糸(N)の本数及び太さ等を考慮して適宜設定できるが、その直径は2〜10mmが好ましく、4〜7mmがより好ましい。
貫通孔(Y)は、キリ等を用いて形成することができる。ただし、押し込んで孔を開けるタイプのキリを用いた場合には、炭素繊維シート前駆体に亀裂が発生する可能性があり、不織布状やペーパー状の炭素繊維シート前駆体の場合には、特にその亀裂が発生する可能性が高い。そこで、中心から外周側へえぐるように孔を開けるタイプのキリである、いわゆる波板キリを用いることが好ましい。波板キリを用いることで、不織布状やペーパー状の炭素繊維シート前駆体であっても、亀裂が入りにくくなる。
貫通孔(Y)を形成する際には、重なり部の両側端部で貫通孔(Y)を形成しない位置をクリップ等で仮止することで、炭素繊維シート前駆体(A)及び(B)のずれを防ぐことができる。
貫通孔(Y)を形成する位置は、重なり部の側端との間を綴じることを考慮して適宜設定できる。反りによる影響を効果的に低減できることから、貫通孔(Y)と重なり部の側端との距離L5(図1に準ずる)は、20〜30mmであることが好ましい。
貫通孔(Y)の数は、例えば1〜10個とすることができる。また、炭素繊維シート前駆体の側端部が反る現象は、両側端部で同様に発生する可能性が高いことから、貫通孔(Y)を重なり部の両側端部に同数形成することが好ましい。したがって、形成する貫通孔(Y)の総数は偶数とすることが好ましい。例えば、図1に示した炭素繊維シートの実施形態に準じて、重なり部の両側端部に3つずつ貫通孔(Y)を形成することができる。
一側端部に複数の貫通孔(Y)が形成されている場合、その複数の貫通孔(Y)の間の距離L6(図1に準ずる)は、その間で反りが発生しないようにすることを考慮して適宜設定できるが、50〜450mmが好ましく、100〜300mmがより好ましい。一側端部に形成された複数の貫通孔(Y)のうち始端又は終端に最も近い貫通孔(Y)とその始端又は終端との距離L7(図1に準ずる)は、始端又は終端が引っかからないように適宜設定できるが、10〜90mmが好ましく、20〜70mmがより好ましい。
貫通孔(Y)への繋ぎ糸(N)の通し方は、図1に示した炭素繊維シートの実施形態に準じて、貫通孔(Y)と重なり部の側端との間を往復させる方法が好ましい。こうすることで、繋ぎ糸(N)により貫通孔(Y)と重なり部の側端との間を綴じることができる。繋ぎ糸(N)を、貫通孔(Y)から重なり部の側端の間を幅方向に平行に通すことが好ましい。
繋ぎ糸(N)は、貫通孔(Y)から外れない限り結ばなくてもよいが、繋ぎ糸(N)の端部同士を結んだ方が好ましい。ただし、熱処理炉内での引っかかりを防止する観点から、結び目が側端部又は上側になる位置で結ぶことが好ましい。
さらに、図2に示す炭素繊維シートの実施形態に準じて、炭素繊維シート前駆体(A)の終端部及び炭素繊維シート前駆体(B)の始端部の少なくとも一方における2つの角部を切り落とすことが好ましい。炭素繊維シート前駆体の側端部の反りはその角部においてより発生しやすいので、その角部を切り落とすことで、反りによる影響を低減することができる。
炭素繊維シート前駆体(A)の終端部における2つの角部を切り落としても、炭素繊維シート前駆体(B)の始端部における2つの角部を切り落としても、反りによる影響を低減することができる。炭素繊維シート前駆体(A)の終端部及び炭素繊維シート前駆体(B)の始端部における各々2つの角部が切り落とされていると、反りによる影響をより低減できる。
角部は、例えばカッターで切り落とすことができる。切り落とす範囲は、反りによる影響を効果的に低減できるように適宜設定できるが、頂点からの距離L8及びL9(図2に準ずる)が各々30〜90mmとなる位置で直線的に切り落とすことが好ましい。
なお、繋ぎ糸(N)により貫通孔(Y)と重なり部の側端との間を綴じる実施形態と、炭素繊維シート前駆体(A)の終端部及び炭素繊維シート前駆体(B)の始端部の少なくとも一方における2つの角部を切り落とす実施形態とは、独立して組み合わせることができる。
さらに、図3及び4に示す炭素繊維シートの実施形態に準じて、重なり部に複数の貫通孔(X)を形成し、その複数の貫通孔(X)に繋ぎ糸(M)を通して複数の貫通孔(X)間を綴じることで、炭素繊維シート前駆体(A)及び(B)を繋ぎ合わせることが好ましい。このように、繋ぎ糸(M)により複数の貫通孔(X)の間を綴じることで、不織布状やペーパー状であっても品質の良い長尺の炭素繊維シート前駆体となる。繋ぎ糸(M)は、1本でもよく、2本以上でもよい。
繋ぎ糸(M)としては、その後に行う工程を考慮して適宜選択でき、繋ぎ糸(N)と同様のものを用いることができる。
貫通孔(X)の大きさは、炭素繊維シート前駆体(A)及び(B)の強度及び繋ぎ糸(M)の本数及び太さ等を考慮して適宜設定できるが、その直径は2〜10mmが好ましく、4〜7mmがより好ましい。
貫通孔(X)はキリ等を用いて形成することができる。前述と同様の理由から、波板キリを用いることが好ましい。
貫通孔(X)を形成する際には、重なり部の両側端部をクリップ等で仮止することで、炭素繊維シート前駆体(A)及び(B)のずれを防ぐことができる。
貫通孔(X)を形成する位置は、繋ぎ糸(M)により複数の貫通孔(X)の間を綴じることを考慮して適宜設定できる。
貫通孔(X)の数は複数であればよく、例えば、2つでもよく、4つでもよい。その貫通孔(X)に繋ぎ糸(M)を通して綴じることから、貫通孔(X)の数は偶数であることが好ましい。複数の貫通孔(X)への繋ぎ糸(M)の通し方は、複数の貫通孔(X)の間が綴じられる方法であればよい。例えば、2つの貫通孔(X)の間を往復するように繋ぎ糸(M)を通す方法が挙げられる。
4つの貫通孔(X)を形成した場合、図3及び4に示した炭素繊維シートの実施形態に準じて、その4つの貫通孔(X)にたすきがけの形態で繋ぎ糸(M)を通すことが好ましい。2つの貫通孔(X)の間の各々を往復するように繋ぎ糸(M)を通すこともできるが、たすきがけの形態で繋ぎ糸(M)を通すことで広い領域を綴じることができ、炭素繊維シート前駆体に亀裂等が生じにくくなり、さらには重なり部において皺やねじれが生じにくくなる。
4つの貫通孔(X)として、図3及び4に示した炭素繊維シートの実施形態に準じて、幅方向に平行に配置された2つの貫通孔(X)を2組形成することが好ましい。そして、その幅方向に平行に配置された2つの貫通孔(X)の間の各々において、繋ぎ糸(M)を幅方向に平行に通すことが好ましい。さらに、4つの貫通孔(X)のうち任意の2つの間に通された繋ぎ糸(M)が、いずれも長さ方向に平行にならないように、4つの貫通孔(X)に繋ぎ糸(M)を通すことが好ましい。炭素繊維シート前駆体は、一般に長さ方向には亀裂が入りやすいのに対し、幅方向や斜め方向には亀裂が入りにくい。また、亀裂の進行についても長さ方向には進みやすく、幅方向や斜め方向には進みにくい。したがって、上記のように繋ぎ糸(M)を通すことで、亀裂の発生や進行を抑制することができる。さらにこの場合、熱処理炉内での引っかかりを防止する観点から、幅方向に平行になる部分が上側になるように通すことが好ましい。
幅方向に平行に配置された2つの貫通孔(X)間の距離L1及びL2(図5に準ずる)は、繋ぎ糸(M)により4つの貫通孔(X)の間が綴じられることを考慮して適宜設定できるが、炭素繊維シート前駆体(A)及び(B)の幅の17〜84%が好ましく、30〜70%がより好ましい。また、前述のように、4つの貫通孔(X)のうち任意の2つの間に通された繋ぎ糸(M)が、いずれも長さ方向に平行でないことが好ましいことから、L1とL2は異なっていることが好ましい。
幅方向に平行に配置された2つの貫通孔(X)の2組間の距離L3(図5に準ずる)は、繋ぎ糸(M)により4つの貫通孔(X)の間が綴じられることを考慮して適宜設定できるが、L1及びL2の短くない方の20〜150%が好ましく、33〜67%がより好ましい。
幅方向に平行に配置された2つの貫通孔(X)の2組のうち始端又は終端に近い方とその始端又は終端との距離L4(図5に準ずる)は、始端又は終端が引っかからないように適宜設定できるが、10〜60mmが好ましく、25〜40mmがより好ましい。
複数の貫通孔(X)を2セット以上形成し、各セットを繋ぎ糸(M)により綴じてもよい。各セットは、炭素繊維シート前駆体(A)及び(B)を十分に綴じることが可能なように配置すればよい。例えば、図6に示した炭素繊維シートの実施形態に準じて、炭素繊維シート前駆体(A)及び(B)を綴じることができる。各セットは、炭素繊維シート前駆体(A)及び(B)を十分に綴じることができるように配置すればよい。4つの貫通孔(X)が2セット以上形成されている場合、L1及びL2の合計が上記条件を満たすことが好ましく、L4のうち最も短い距離が上記条件を満たすことが好ましい。
繋ぎ糸(M)は、貫通孔(X)から外れない限り結ばくてもよいが、繋ぎ糸(M)の端部同士を結んだ方が好ましい。ただし、熱処理炉内での引っかかりを防止する観点から、結び目が上側になる位置で結ぶことが好ましい。
なお、繋ぎ糸(N)により貫通孔(Y)と重なり部の側端との間を綴じる実施形態と、炭素繊維シート前駆体(A)の終端部及び炭素繊維シート前駆体(B)の始端部の少なくとも一方における2つの角部を切り落とす実施形態と、繋ぎ糸(M)により複数の貫通孔(X)の間を綴じる実施形態とは、独立して組み合わせることができる。
上記のようにして、炭素繊維シート前駆体(A)及び(B)を繋ぎ糸(N)で繋ぎ合わせた後、その繋ぎ合わされた炭素繊維シート前駆体を炭素化する。炭素化は、繋ぎ合わされた炭素繊維シート前駆体を熱処理炉内に走行させることで行うことができる。
繋ぎ合わされた炭素繊維シート前駆体の炭素化は、複数の温度で熱処理することにより行うことが好ましい。途中の段階まで熱処理をした炭素繊維シート前駆体(A)及び(B)を繋ぎ合わせた炭素繊維シート前駆体の炭素化は、その後の熱処理を行えばよい。
第一の熱処理として、炭素繊維シート前駆体を200℃以上300℃未満の温度で酸化処理することが好ましい。この酸化処理により、炭素繊維を炭素前駆体樹脂でより融着させ、かつ、炭素前駆体樹脂の炭素化率を向上させることができる。酸化処理の温度は240〜270℃がより好ましい。酸化処理は大気雰囲気下で行うことが好ましい。酸化処理の時間は10分〜2時間が好ましく、10分〜90分がさらに好ましい。
第二の熱処理として、炭素繊維シート前駆体を1000℃以上の温度で炭素化処理する。この炭素化処理により炭素前駆体樹脂が炭素化され、炭素繊維シートを得ることができる。炭素化処理の温度は1000〜3000℃が好ましく、1000〜2200℃がより好ましい。炭素化処理は不活性雰囲気下で行うことが好ましい。炭素化処理の時間は10分〜1時間が好ましい。
上記第二の熱処理(炭素化処理)の前に、炭素繊維シート前駆体を300〜800℃の温度で前炭素化処理することもできる。前炭素化処理は不活性雰囲気下で行うことが好ましい。
上記のように複数の温度で熱処理することが好ましいことから、炭素化を行う熱処理炉は、異なる温度に設定可能な複数の領域を有することが好ましい。複数の領域は、1つの熱処理炉内に設置されていてもよいし、複数の熱処理炉を組み合わせてもよい。
熱処理炉内には屈曲部材が設けられていることが好ましい。そして、炭素繊維シート前駆体を屈曲部材に接触させながら熱処理炉内を走行させることが好ましい。こうすることで、得られる炭素繊維シートにシワや凹凸が発生しにくくなる。
屈曲部材は、例えば、熱処理炉内の炉床、炉天井、又は炉床と炉天井との間に設けることができる。炭素繊維シート前駆体の全幅と屈曲部材を接触させるため、炭素繊維シート前駆体の進行方向と交差する方向に設けることが好ましい。その観点から、棒状の屈曲部材が好ましいが、板状の屈曲部材でもよい。なお、棒状とは、断面の長径と短径の比が4倍以内であることとする。棒状とすることで、屈曲部材の高さを低く、かつ炭素繊維シート前駆体との接触長を短くすることができ、炭素繊維シート前駆体の摩耗を防止することができる。屈曲部材の素材としては、安価で不活性雰囲気中で化学的に安定な炭素製のものを用いることが好ましい。
また、上記第一の熱処理(酸化処理)の前に、炭素繊維シート前駆体を200℃未満の温度で加熱加圧成型すること好ましい。こうすることで、炭素繊維を炭素前駆体樹脂で融着させ、得られる炭素繊維シートの厚みムラを低減できる。加熱加圧成型は、炭素繊維シート前駆体を均等に加熱加圧成型できる技術であればよく、例えば、上下両面から平滑な剛板にて熱プレスする方法でもよく、連続ベルトプレス装置を用いて行う方法でもよい。
繋ぎ合わされた炭素繊維シート前駆体を加熱加圧成型する場合は、連続ベルトプレス装置を用いて行う方法が好ましい。連続ベルト装置におけるプレス方法としては、ロールプレスによりベルトに線圧で圧力を加える方法でもよく、液圧ヘッドプレスにより面圧でプレスでもよいが、後者の方がより平滑な炭素繊維シートが得られるという点で好ましい。
加熱温度は、効果的に表面を平滑にするために、200℃未満が好ましく、120〜190℃がより好ましい。成型圧力に関しては、炭素前駆体樹脂の比率が多い場合は、成型圧力が低くても炭素繊維シート前駆体の表面を平滑にすることが容易である。このとき必要以上にプレス圧を高くすることは、成型時に炭素繊維を破壊する、得られる炭素繊維シートの組織が緻密になりすぎるなどの問題が生じる場合がある。したがって、20kPa〜10MPaの圧力で加圧することが好ましい。加熱加圧成型の時間は、30秒〜10分が好ましい。
剛板に挟んで、又連続ベルト装置で炭素繊維シート前駆体の加熱加圧成型を行う時は、剛板やベルトに炭素前駆体樹脂などが付着しないようにあらかじめ剥離剤を塗っておくか、炭素繊維シート前駆体と剛板やベルトとの間に離型紙を挟んで行うことが好ましい。
本発明の炭素繊維シートの一実施形態を示す上面図である。 本発明の炭素繊維シートの一実施形態を示す上面図である。 本発明の炭素繊維シートの一実施形態を示す上面図である。 本発明の炭素繊維シートの一実施形態を示す上面図である。 図3及び4の実施形態において、繋ぎ糸(m)により綴じられている部分の大きさ及び位置関係を説明するための図である。 2箇所以上が繋ぎ糸(m)により綴じられている炭素繊維シートの実施形態を示す上面図である。
符号の説明
10 繋ぎ合わされた炭素繊維シート
11 炭素繊維シート(a)
12 炭素繊維シート(b)
20 重なり部
21 貫通孔(x)
22 繋ぎ糸(m)
26 貫通孔(y)
27 繋ぎ糸(n)

Claims (13)

  1. 炭素繊維シート(a)と炭素繊維シート(b)とが繋ぎ合わされている炭素繊維シートであって、
    前記炭素繊維シート(a)の終端部と前記炭素繊維シート(b)の始端部とが重なり合っており、
    その重なり部の側端部に貫通孔(y)が形成されており、
    前記貫通孔(y)には繋ぎ糸(n)が通されていて、
    前記繋ぎ糸(n)により前記貫通孔(y)と前記重なり部の側端との間が綴じられている炭素繊維シート。
  2. 前記貫通孔(y)と前記重なり部の側端との距離が20〜30mmである請求項1に記載の炭素繊維シート。
  3. 前記貫通孔(y)が前記重なり部の両側端部に同数形成されており、各貫通孔(y)と前記重なり部の側端との間が綴じられている請求項1又は2に記載の炭素繊維シート。
  4. 前記炭素繊維シート(a)の終端部及び前記炭素繊維シート(b)の始端部の少なくとも一方における2つの角部が切り落とされている請求項1〜3のいずれかに記載の炭素繊維シート。
  5. 前記炭素繊維シート(a)及び(b)が、いずれも炭素繊維が炭素により結着されているものである請求項1〜4のいずれかに記載の炭素繊維シート。
  6. 炭素繊維シート前駆体(A)の終端部と炭素繊維シート前駆体(B)の始端部とを重ねる工程;
    その重なり部の側端部に貫通孔(Y)を形成する工程;
    前記貫通孔(Y)に繋ぎ糸(N)を通して前記貫通孔(Y)と前記重なり部の側端との間を綴じることで、前記炭素繊維シート前駆体(A)及び(B)を繋ぎ合わせる工程;並びに
    前記繋ぎ合わされた炭素繊維シート前駆体を炭素化する工程
    を有する炭素繊維シートの製造方法。
  7. 波板キリを用いて貫通孔(Y)を形成する請求項6に記載の炭素繊維シートの製造方法。
  8. 前記貫通孔(Y)と前記重なり部の側端との距離が20〜30mmである請求項6又は7に記載の炭素繊維シートの製造方法。
  9. 前記貫通孔(Y)を前記重なり部の両側端部に同数形成し、各貫通孔(Y)と前記重なり部の側端との間を綴じる請求項6〜8のいずれかに記載の炭素繊維シートの製造方法。
  10. 前記炭素繊維シート前駆体(A)の終端部及び前記炭素繊維シート前駆体(B)の始端部の少なくとも一方における2つの角部を切り落とす工程
    をさらに有する請求項6〜9のいずれかに記載の炭素繊維シートの製造方法。
  11. 前記繋ぎ合わされた炭素繊維シート前駆体を炭素化する熱処理炉内に屈曲部材を設け、前記繋ぎ合わされた炭素繊維シート前駆体を前記屈曲部材に接触させながら熱処理炉内を走行させる請求項6〜10のいずれかに記載の炭素繊維シートの製造方法。
  12. 前記炭素繊維シート前駆体(A)及び(B)が、いずれも炭素繊維と炭素前駆体樹脂とを含んでなる請求項6〜11のいずれかに記載の炭素繊維シートの製造方法。
  13. 請求項6〜12のいずれかに記載の炭素繊維シートの製造方法により得られる炭素繊維シート。
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