JP2023097510A - ガス拡散電極基材の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、燃料電池に用いられるガス拡散電極基材の製造方法に関するものである。
炭素繊維は耐熱性に優れ、織物状、不織布状、ペーパー状等の炭素繊維シートに加工され、断熱材、耐熱保護材、更に電気伝導性を有することにより、燃料電池等の電極基材としての応用開発が進められている。
これらの炭素繊維シートは、炭素繊維シート前駆体を炭素化することで製造されるが、この炭素繊維シートを上記のようなガス拡散電極基材として加工するにあたり、炭素化処理のあと、再度150℃~400℃での熱処理を施す場合がある。その再処理にともない発生するロスを低減することや生産効率の向上はコスト競争力強化のための重要な要素である。
炭素繊維シートは生産性の観点から一般的に、ロール状の炭素繊維シート前駆体を巻き出し、熱処理などの加工処理した後にロール状に巻き取る連続式で生産されるため、加工するロールごとに熱処理を行う高温炉の温度を一旦下げ、新たなロールから巻き出された炭素繊維シートを走行ラインに配置して、再度高温炉の温度を上げる工程が必要となる。この温度昇降の工程には長時間を費やすため、高温炉の稼働効率を大きく低下させるといった課題がある。
特許文献1には、シリコンを含む層を有するポリイミドテープを使用して炭素繊維シートの端部を耐熱性リードと接着させ、走行させることで、炭化処理した炭素繊維シートを高温炉に通す再熱処理の場合でも生産ロスを低減できる方法が開示されている。
しかしながら、この方法では高温炉におけるポリイミドテープの接着部分の耐熱性が考慮されていない。このため、高温炉内で接着強度が保てず剥離するといった問題がある。
特許文献2には、耐熱性リードと炭素繊維シートの端部をポリイミド系の熱硬化性樹脂により構成される接着剤を塗布し、炭素繊維シートが耐熱性リードの上に位置する状態で加熱・乾燥し硬化させることで接合する方法が開示されている。しかしながら、この方法ではポリイミド系の熱硬化樹脂を加熱・乾燥させる工程が追加工程となり新規設備の導入が必要のため、設備投資額の面で不利である。
特許文献3には、炭素繊維シート前駆体の端部側同士を重ね合わせ、所定の物性を有するポリアクリロニトリル系酸化繊維よりなる紡績糸又はフィラメント束で端部側同士を繋ぎ合わせることで、炭素繊維シート前駆体を長尺化する方法が記載されている。具体的には、織物状の炭素繊維シート前駆体を針を用いて縫い繋ぐ方法が記載されている。
特許文献4には、特許文献3に記載の方法に準じた炭素繊維シート前駆体の縫い繋ぎにて、縫い繋ぎ部の炭素繊維シートの角部を切り落とすことで炭素繊維シート前駆体の熱処理の際の縫い繋ぎ部分の反りを抑制し、より品質が良い炭素繊維シートの製造方法が提示されている。
特許文献5には、特許文献3に記載の方法に準じた炭素繊維シート前駆体の縫い繋ぎにて、針を刺す箇所に事前に貫通孔を形成することで縫い繋ぎ時の針による炭素繊維シートへの亀裂発生を防ぎ、より品質が良い炭素繊維シートの製造方法が提示されている。
特許文献3、特許文献4、特許文献5に記載の方法をガス拡散電極基材に適用しようとした場合、縫い繋ぎ部の強度不足による炭素繊維シートの再熱処理中の縫い繋ぎ部からの破断のリスクや、事前に貫通孔を形成することにより作業時間が増加することが考慮されていない。したがって、これらは生産効率低下の一因となる。
本発明の目的は、複数の炭素繊維シートを連続して、ガス拡散電極基材に加工するときに必要であった、加工する炭素繊維シートごとに高温炉の温度を一旦下げ、新たな炭素繊維シートを走行ラインに配置して、再度高温炉の温度を上げる工程を行わず、炭素繊維シート間を耐熱繊維フィラメントで縫合、接続して搬送することで生産効率を向上させることである。
上記課題を解決するための本発明は、以下の通りである。
(1)ロールから巻き出した炭素繊維シートを、耐熱繊維フィラメントにより先行する炭素繊維シートと幅方向に対して平行に縫合接続した状態で、高温炉内を搬送することを特徴とする、ガス拡散電極基材の製造方法。
(2)縫合接続部の炭素繊維シートの重ね合わせ長が、炭素繊維シートの搬送方向に80~500mmである、(1)に記載のガス拡散電極基材の製造方法。
(3)炭素繊維シートの幅方向に平行な1本の縫合線を縫合段数1段とすると、縫合接続部の縫合段数が2段以上である、(1)または(2)に記載のガス拡散電極基材の製造方法。
(4)炭素繊維シートの幅方向に平行な1本の縫合線を縫合段数1段とすると、縫合点数を、縫合段数1段あたり、前記炭素繊維シートの幅に対して少なくとも22個/m以上とする、(1)~(3)のいずれかに記載のガス拡散電極基材の製造方法。
(5)炭素繊維シートの幅方向における縫合点の存在領域が、炭素繊維シートの幅に対して50~95%を占めている、(1)~(4)のいずれかに記載のガス拡散電極基材の製造方法。
(6)炭素繊維シートの搬送時の張力が0.05~0.4N/mmである、(1)~(5)のいずれかに記載のガス拡散電極基材の製造方法。
(7)炭素繊維シートの搬送時の速度が0.1~20.0m/minである、(1)~(6)のいずれかに記載のガス拡散電極基材の製造方法。
(1)ロールから巻き出した炭素繊維シートを、耐熱繊維フィラメントにより先行する炭素繊維シートと幅方向に対して平行に縫合接続した状態で、高温炉内を搬送することを特徴とする、ガス拡散電極基材の製造方法。
(2)縫合接続部の炭素繊維シートの重ね合わせ長が、炭素繊維シートの搬送方向に80~500mmである、(1)に記載のガス拡散電極基材の製造方法。
(3)炭素繊維シートの幅方向に平行な1本の縫合線を縫合段数1段とすると、縫合接続部の縫合段数が2段以上である、(1)または(2)に記載のガス拡散電極基材の製造方法。
(4)炭素繊維シートの幅方向に平行な1本の縫合線を縫合段数1段とすると、縫合点数を、縫合段数1段あたり、前記炭素繊維シートの幅に対して少なくとも22個/m以上とする、(1)~(3)のいずれかに記載のガス拡散電極基材の製造方法。
(5)炭素繊維シートの幅方向における縫合点の存在領域が、炭素繊維シートの幅に対して50~95%を占めている、(1)~(4)のいずれかに記載のガス拡散電極基材の製造方法。
(6)炭素繊維シートの搬送時の張力が0.05~0.4N/mmである、(1)~(5)のいずれかに記載のガス拡散電極基材の製造方法。
(7)炭素繊維シートの搬送時の速度が0.1~20.0m/minである、(1)~(6)のいずれかに記載のガス拡散電極基材の製造方法。
本発明によれば、複数の炭素繊維シートの再熱処理を継続して実施する際も高温炉の温度昇降を必要とせず、また、縫合接続部が破断するリスクも小さく、接続作業の時間が短縮できるため、ガス拡散電極基材の生産効率を向上させることができる。
本発明に係る炭素繊維シートの搬送方法は、ロールから巻き出した炭素繊維シートを、耐熱繊維フィラメントにより先行する炭素繊維シートと幅方向に対して平行に縫合接続した状態で、高温炉内を搬送することを特徴とする、炭素繊維シートの製造方法である。ここに記す「平行」とは、炭素繊維シートの幅方向を0°、長手方向を-90°または+90°としたときの-5°~+5°の範囲を指す。
以下、本発明の実施の形態について図面を用いながら説明する。なお、本実施形態は本発明の一例であって、本発明は本実施形態に限定されるものではない。
図1に本発明に係るガス拡散電極基材の製造フローの一例を示す。抄紙工程Aでは、炭素短繊維を水中に分散させ、連続的に抄紙して炭素繊維紙が得られる。
炭素繊維紙の形態保持性、ハンドリング性を向上する目的で、バインダとして有機高分子を含むことができる。有機高分子としては、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリロニトリル、セルロース等を用いることができる。
炭素繊維としては、ポリアクリロニトリル(PAN)系、ピッチ系、レーヨン系等の炭素繊維が挙げられる。なかでも、機械強度に優れるPAN系炭素繊維が好ましく用いられる。また、炭素繊維は、単糸の平均直径が3~20μmの範囲内であることが好ましく、5~10μmの範囲内であることがより好ましい。平均直径が3μm以上であると、炭素繊維シートが柔軟性に富んだものとなり好ましい。一方、平均直径が20μm以下であると、炭素繊維シートが機械強度の優れたものとなり好ましい。また、異なる平均直径を有する2種類以上の炭素繊維を用いると、炭素繊維シートの表面平滑性を向上できるために好ましい。
炭素短繊維の平均長さは、3~20mmが好ましく、さらに好ましくは5~15mmである。炭素短繊維の繊維長を3~20mmとすることにより、炭素短繊維を分散させ抄紙して炭素繊維シートを得る際に、炭素短繊維の分散性を向上させ、目付のばらつきを抑制することができる。平均長さが3mm以上であると、炭素繊維シートが機械強度の優れたものとなり好ましい。一方、繊維長の平均長さが20mm以下であると、抄紙の際の炭素繊維の分散性が優れ、均質な炭素繊維シートが得られるために好ましい。
次に、樹脂含浸、乾燥・脱溶媒工程Bでは、抄紙した炭素繊維紙に樹脂溶液を含浸し、乾燥して溶媒を除去することでプリプレグを得ることができる。樹脂としては、フェノール樹脂、フラン樹脂等の熱硬化性樹脂が用いられる。なかでも、炭化収率が高いことから、フェノール樹脂が好ましく用いられる。また、必要に応じて樹脂成分への添加物として、炭素繊維シートの機械特性、導電性、熱伝導性を向上する目的で、炭素系フィラーを含むことができる。炭素系フィラーとしては、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、黒鉛粉等を用いることができる。また、溶媒としては、メタノール、エタノール等を用いることができる。
次に、樹脂硬化工程Cでは、含浸・乾燥したプリプレグを間欠的または連続的に搬送しながら、加熱加圧して樹脂を硬化して炭素繊維シート前駆体を成型することができる。
次に、炭化・黒鉛化工程Dでは、硬化させた炭素繊維シート前駆体を連続的に搬送しながら炭化・黒鉛化炉で不活性雰囲気中、高温で加熱することにより熱硬化性樹脂が炭化した炭素繊維シートを得ることができる。なお、炭素繊維シート前駆体中の熱硬化性樹脂が黒鉛化したものを、単に炭素繊維シートという。
焼成の最高温度は1500~3000℃の範囲内であることが好ましく、1900~2600℃の範囲内であることがより好ましい。最高温度が1500℃以上であると、樹脂成分の炭素化が進み、炭素繊維シートが導電性、熱伝導性の優れたものとなり好ましい。一方、最高温度が3000℃以下であると、加熱炉の運転コストが低くなるために好ましい。また、焼成にあたっては、昇温速度が80~5000℃/分の範囲内であることが好ましい。昇温速度が80℃以上であると、生産性が優れるために好ましい。一方、5000℃以下であると、樹脂成分の炭素化が緩やかに進み緻密な構造が形成されるため、炭素繊維シートが導電性、熱伝導性の優れたものとなり好ましい。
次に、含浸・乾燥工程Eでは、燃料電池の排水性を向上する目的で、炭素繊維シートに撥水加工を施すことが好ましい。撥水加工は、炭素繊維シートを疎水性樹脂を含んだ分散液に浸漬し、その後、分散媒を乾燥除去する。かかる疎水性樹脂としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレンとヘキサフルオロプロピレンの共重合体(FEP)等のフッ素樹脂が挙げられる。
次に、表面塗布・乾燥工程Fでは、撥水処理した炭素繊維シートの少なくとも片面に、導電性を有する微多孔層を形成することが好ましい。微多孔層を設けると、炭素繊維シートの表面凹凸が覆われ平滑となるため、膜-電極接合体を構成し、燃料電池を構成した際に、触媒層との間の電気抵抗を低減することができる。微多孔層は、炭素繊維シートの表面に、上記撥水処理と同様の疎水性樹脂と、後述する炭素フィラーを含む混合液を塗布、乾燥することによって形成することができる。つまり微多孔層形成用塗液は、疎水性樹脂と炭素フィラーを含む混合物であることが好ましい。炭素フィラーとしては、黒鉛粉、カーボンブラック、グラフェン、カーボンナノファイバーなどが挙げられ、なかでもカーボンブラックであることが好ましい。カーボンブラックとしては、ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラックなどが挙げられる。なかでも導電性が高く、不純物の含有が少ないアセチレンブラックを用いることが好ましい。
次に、焼結工程Gでは、塗液に含まれていた界面活性剤等を熱分解するとともに、疎水性樹脂を溶融させて融着するため、高温炉を通して加熱し巻出、巻取設備を用いて巻き取られる。高温炉における炉内の温度は150℃以上であることが好ましい。高温炉における炉内の温度が150℃未満であると、疎水性樹脂の溶融融着が十分に行えない。高温炉における炉内の温度は、好ましくは250~400℃以下、より好ましくは280~380℃以下である。400℃を越えると、疎水性樹脂の熱分解が生じる場合がある。
また、本発明において炭素繊維シート加工時の搬送張力は0.05~0.4N/mmであることが好ましい。搬送時の張力が0.05N/mm以下であると、炭素繊維シートを巻き取った際に巻姿が崩れることがある。また搬送が不安定となり蛇行の原因となることがある。搬送張力が0.4N/mmを超えると炭素繊維シートを巻き取る際に変形や破断が起こることがある。
また、本発明において、搬送時の速度は0.1~20.0m/minであることが好ましい。搬送時の速度が0.1m/min未満であると、高温炉内で縫合接続部の強度が低下し、搬送中に破断の危険性が生じる可能性がある。搬送時の速度が20.0m/minを超えると、疎水性樹脂の溶融結着が不十分になりやすい。搬送時の速度は、好ましくは
0.5~15.0m/min、より好ましくは1.0~12.0m/min、さらに好ま
しくは1.5~10.0m/minである。
0.5~15.0m/min、より好ましくは1.0~12.0m/min、さらに好ま
しくは1.5~10.0m/minである。
図2に、含浸・乾燥工程E、表面塗布・乾燥工程F、及び焼結工程Gの製造工程図例を示す。炭化工程Dで熱硬化性樹脂を炭化して得られた炭素繊維シート2が巻き取られたロールをこの工程で巻き出しロール3として使用し、このロール3から炭素繊維シート2が巻き出されて、炭素フィラーと疎水性樹脂の分散液が貯められた含浸槽4に炭素繊維シート2を浸漬し、その後、乾燥機5で一定温度の下で乾燥され、この乾燥された炭素繊維シート2は表面塗布・乾燥工程Fに進む。表面塗布・乾燥工程Fでは、炭素フィラーと疎水性樹脂との分散液を表面塗工機6であるスリットダイコータ等を用いて炭素繊維シート2の片面に炭素フィラーと疎水性樹脂を塗布した後、乾燥機7で乾燥され、炭素繊維シート2は焼結工程Gに進む。焼結工程では、高温炉8で加熱し、疎水性樹脂を溶融させて融着させた後、巻き取りロール9に巻き取られる。なお、表面塗布・乾燥工程Fにおいて、表面塗工機6であるスリットダイコータ等を用いて炭素繊維シート2の片面に炭素フィラーと疎水性樹脂を塗工することを、微多孔層形成用塗液を塗布する工程といい、この微多孔層形成用塗液を塗布する工程は、本発明の搬送方法において高温炉8の前に有する。
図3において、ロール状の炭素繊維シート2の後端部2Aを巻き出しロール3から巻き出し、高温炉8を通す前に、次の炭素繊維シートを巻き出し軸へ取り付け、巻き出しロール10として巻き出し、図4に示すとおり、巻き出された炭素繊維シート11の先端部11Aと重ねて耐熱性フィラメントで縫合、接続して搬送し、高温炉9の温度を変更することなく縫合部を通過させ、次の炭素繊維シートの先端部2Aを巻取りロール9に取り付けた紙管、樹脂管等に巻き取るようセットすることを特徴とするものである。利用できる耐熱繊維フィラメントとしては、炭素繊維、ポリオアラフェニレンベンゾビスオキサゾール繊維(PBO)、ポリベンゾイミダゾール繊維(PBI)、ポリイミド繊維(PI)、ガラス繊維、セラミック繊維がある。なかでも、炭素繊維を用いるのが好ましい。
耐熱繊維フィラメントで縫合接続する際には、炭素繊維シート2の後端部2Aと次の炭素繊維シート11の先端部11Aを、重ね合わせ長80~500mmで重ね合わせる。重ね合わせ長が80mm未満の場合は、耐熱繊維フィラメントでの縫合が十分に施せず縫合接続部の強度が不足し搬送中に炭素繊維シートが破断する危険性がある。重ね合わせ長が500mm超の場合は、炭素繊維シート上で耐熱繊維フィラメントによる縫合が施されていない部分が多くなるためロス量が増加してしまう。重ね合わせ部は好ましくは、200~300mmである。
また、炭素繊維シートの幅方向に平行な1本の縫合線を縫合段数1段とすると縫合段数は2段以上とするのがよい。2段未満とすると縫合接続部の強度が不足し搬送中に炭素繊維シートが破断する危険性がある。好ましくは、縫合段数は3段以上である。
また、縫合点数を、縫合段数1段あたり、前記炭素繊維シートの幅に対して少なくとも22個/m以上とするのがよい。22個/m未満の場合は、個々の縫合点にかかる力が大きくなり、縫合接続部の強度が不足し搬送中に炭素繊維シートが破断する危険性がある。
また、炭素繊維シートの幅方向における縫合点の存在領域が炭素繊維シートの幅に対して50~95%を占めるようにするのがよい。縫合点の存在領域が50%未満だと縫合点の存在しない領域の炭素繊維シートが搬送中にバタつき、破断する危険性がある。縫合点の存在領域が95%超の場合は、炭素繊維シート幅方向端部と縫合開始あるいは終了位置が近くなるため、縫合の作業性が悪くなる。
縫合に使用した耐熱繊維フィラメントの端部は、玉止め処理をしてもよいが、しない方が凹凸を形成しないため好ましい。また、耐熱繊維フィラメントの端部が縫合点から抜けないように、炭素繊維シートの幅方向端部から最も近い縫合点からそれ以外の縫合点に耐熱繊維フィラメントの端部を通す処理をするのが好ましい。別の視点からは、耐熱繊維フィラメントが縫合点の始点から終点まで、一筆書きの態様で縫合、接続されていると縫合の作業性を高めることができるため、最も好ましい。
以下、実施例によって、本発明について具体的に説明するが、下記の実施例は本発明を何ら制限するものではない。
[実施例1]
<抄紙工程A>
炭素繊維(PAN系炭素繊維“トレカ(登録商標)”T300-3K(東レ(株)製、単糸の平均直径:7μm、単繊維数:3000本)を水中に分散させ、ポリビニルアルコールを抄造用のバインダとして用いて、連続的に抄紙して炭素繊維紙を得た。
<抄紙工程A>
炭素繊維(PAN系炭素繊維“トレカ(登録商標)”T300-3K(東レ(株)製、単糸の平均直径:7μm、単繊維数:3000本)を水中に分散させ、ポリビニルアルコールを抄造用のバインダとして用いて、連続的に抄紙して炭素繊維紙を得た。
<樹脂含浸、乾燥・脱溶媒工程B>
抄紙工程Aによって得た炭素繊維紙を、ノボラック型フェノール樹脂とレゾール型フェノール樹脂とのメタノール溶液に連続的に浸漬し、炭素繊維紙にフェノール樹脂を含浸させた後、引き上げて約150℃で約2分間連続的に乾燥してメタノールを除去したプリプレグを得た。
抄紙工程Aによって得た炭素繊維紙を、ノボラック型フェノール樹脂とレゾール型フェノール樹脂とのメタノール溶液に連続的に浸漬し、炭素繊維紙にフェノール樹脂を含浸させた後、引き上げて約150℃で約2分間連続的に乾燥してメタノールを除去したプリプレグを得た。
<樹脂硬化工程C>
樹脂含浸、乾燥・脱溶媒工程Bによって得たプリプレグを、間欠的に搬送しながら、平行な熱板で連続的に加熱加圧してフェノール樹脂を硬化、炭素繊維シート前駆体を成型した。
樹脂含浸、乾燥・脱溶媒工程Bによって得たプリプレグを、間欠的に搬送しながら、平行な熱板で連続的に加熱加圧してフェノール樹脂を硬化、炭素繊維シート前駆体を成型した。
<炭化工程D>
樹脂硬化工程Cによって得た炭素繊維シート前駆体を連続的に搬送しながら窒素雰囲気、約2000℃の高温炉を通過させ、加熱することにより熱硬化性樹脂を炭化させて炭素繊維シートとした。
樹脂硬化工程Cによって得た炭素繊維シート前駆体を連続的に搬送しながら窒素雰囲気、約2000℃の高温炉を通過させ、加熱することにより熱硬化性樹脂を炭化させて炭素繊維シートとした。
<含浸・乾燥工程E、表面塗布・乾燥工程F、焼結工程G>
炭化工程Dによって得た炭素繊維シートを、図4に示すように炭素繊維シート2の後端部2Aと炭素繊維シート11の先端部11Aを、長さ方向に300mm重ね合わせ、耐熱繊維フィラメントとして炭素繊維フィラメントを用いて縫合接続した。
炭化工程Dによって得た炭素繊維シートを、図4に示すように炭素繊維シート2の後端部2Aと炭素繊維シート11の先端部11Aを、長さ方向に300mm重ね合わせ、耐熱繊維フィラメントとして炭素繊維フィラメントを用いて縫合接続した。
縫合接続部は基材幅方向に平行になるように炭素繊維シートの重ね合わせ部上の基材幅方向の端部から約50mmの位置12Aからもう片側の端部の約50mmまでの位置12Bの範囲上に、炭素繊維フィラメントを用いて縫合した。縫合を始める位置は12A、または12Bでいずれでもよく、12Bから始めた場合は12Aが縫合終了位置とする。縫合の基材幅方向ピッチ13Aおよび13Bはそれぞれ約40mmとし、縫合1段あたりの縫合点を10個とした。縫合に用いた炭素繊維フィラメントの端部は、炭素繊維シートの幅方向端部から最も近い縫合点からそれ以外の縫合点に炭素繊維フィラメントの端部を通す処理を施した。この1回の縫合を1段目14Aとし、基材長手方向に約50mm離れた位置に2段目14Bの縫合を施し、2段目の縫合の基材幅方向の範囲は1回目の縫合と同等とし、これを繰り返し5段目まで縫合した。なお、炭素繊維シート2及び炭素繊維シート11の基材幅は450mmとした。
炭素繊維シート11に炭素繊維フィラメントにより縫合接続した炭素繊維シート2を搬送時の張力0.07N/mm、12m/minで搬送し、接続部分を400℃の高温炉を通過させ、炭素繊維シート11を巻取りロール9にセットした。その後、炭素繊維シート11を含浸槽にてPTFE粒子の分散液に浸漬し、150℃で乾燥させた。その後、アセチレンブラックとPTFE粒子の分散液(微多孔層形成用塗液)を、スリットダイコータを用いて、炭素繊維シートの表面に塗布し、150℃で乾燥した。その後、400℃に加熱した高温炉を通過させた。炭素繊維シート11を巻取りロール9にセットする前の搬送において、炭素繊維シート2と炭素繊維シート11の縫合接続は高温炉内においても破断することがなかったため、高温炉の温度昇降を伴わず、炭素繊維シートを搬送し、ガス拡散電極基材を得ることができた。
[実施例2]
炭素繊維シートの重ね合わせ部を500mmとし、縫合段数を9段とし、炭素繊維フィラメントは縫合点の始点から終点まで一筆書きの態様で縫合接続した以外は実施例1と同様とした結果、炭素繊維シート2と炭素繊維シート11の縫合接続は高温炉内においても破断することがなかったため、高温炉の温度昇降を伴わず、炭素繊維シートを搬送し、ガス拡散電極基材を得ることができた。
炭素繊維シートの重ね合わせ部を500mmとし、縫合段数を9段とし、炭素繊維フィラメントは縫合点の始点から終点まで一筆書きの態様で縫合接続した以外は実施例1と同様とした結果、炭素繊維シート2と炭素繊維シート11の縫合接続は高温炉内においても破断することがなかったため、高温炉の温度昇降を伴わず、炭素繊維シートを搬送し、ガス拡散電極基材を得ることができた。
2 炭素繊維シート
2A 炭素繊維シート2の後端部
3 巻き出しロール
4 含浸槽
5 乾燥機
6 表面塗工機
7 乾燥機
8 高温炉
9 巻き取りロール
10 巻き出しロール
11 炭素繊維シート2の次に加工する炭素繊維シート
11A 炭素繊維シート11の先端部
12A、12B 炭素繊維シートの縫合開始、または縫合終了位置
13A、13B 縫合の基材幅方向ピッチ
14 耐熱繊維フィラメント
2A 炭素繊維シート2の後端部
3 巻き出しロール
4 含浸槽
5 乾燥機
6 表面塗工機
7 乾燥機
8 高温炉
9 巻き取りロール
10 巻き出しロール
11 炭素繊維シート2の次に加工する炭素繊維シート
11A 炭素繊維シート11の先端部
12A、12B 炭素繊維シートの縫合開始、または縫合終了位置
13A、13B 縫合の基材幅方向ピッチ
14 耐熱繊維フィラメント
Claims (7)
- ロールから巻き出した炭素繊維シートを、耐熱繊維フィラメントにより先行する炭素繊維シートと幅方向に対して平行に縫合接続した状態で、高温炉内を搬送することを特徴とする、ガス拡散電極基材の製造方法。
- 縫合接続部の炭素繊維シートの重ね合わせ長が、炭素繊維シートの搬送方向に80~500mmである、請求項1に記載のガス拡散電極基材の製造方法。
- 炭素繊維シートの幅方向に平行な1本の縫合線を縫合段数1段とすると、縫合接続部の縫合段数が2段以上である、請求項1または2に記載のガス拡散電極基材の製造方法。
- 炭素繊維シートの幅方向に平行な1本の縫合線を縫合段数1段とすると、縫合点数を、縫合段数1段あたり、前記炭素繊維シートの幅に対して少なくとも22個/m以上とする、請求項1~3のいずれかに記載のガス拡散電極基材の製造方法。
- 炭素繊維シートの幅方向における縫合点の存在領域が、炭素繊維シートの幅に対して50~95%を占めている、請求項1~4のいずれかに記載のガス拡散電極基材の製造方法。
- 炭素繊維シートの搬送時の張力が0.05~0.4N/mmである、請求項1~5のいずれかに記載のガス拡散電極基材の製造方法。
- 炭素繊維シートの搬送時の速度が0.1~20.0m/minである、請求項1~6のいずれかに記載のガス拡散電極基材の製造方法。
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