JP5220220B1 - ポリエステル繊維のスライバーの製造方法及び綿棒の製造方法 - Google Patents

ポリエステル繊維のスライバーの製造方法及び綿棒の製造方法 Download PDF

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Abstract

【解決課題】
費用を嵩ませることなく、所定の長さ寸法に切断されたポリエステル繊維によりスライバーを形成させ、綿球を作成して綿棒を構成する。
【解決手段】
捲縮が形成されると共に40mm以下の長さに切断形成されたポリエステル繊維に所定時間に亘り結晶化が起きる温度で加熱処理を施す加熱処理工程と、上記加熱処理工程の後に静電気防止処理を施す静電気防止処理工程と、上記加湿処理が施されたポリエステル繊維にカード処理を施すカード工程とを備えたことを特徴とする。
【選択図】 図1

Description

本発明はポリエステル繊維のスライバー製造方法及びポリエステル繊維のスライバーにより綿球又は綿棒を製造する方法に関する。
現在、医療用綿棒にあっては、ポリエステル製の綿球を備えた綿棒が要請されている。一般に、ポリエステル繊維により糸を形成する場合、50mm〜60mm程度の長さのポリエステル繊維が必要とされている。
これは、ポリエステル繊維をカード加工においてカード機に通し、繊維を一本づつほぐした後に、ロープ状に束ねてスライバーにする必要があるが、繊維長が短いと相互にうまく絡まないためポリエステル繊維が所定の長さ寸法を持たないとロープ状のスライバーにすることができないことによる。
一方、ポリエステル製の綿球を形成する場合、大きな長さ寸法の繊維を使用した場合には、綿球を作成した場合にダンゴ状になってしまい、所定径寸法以下の綿球を形成することができないことから、小さな綿球を形成するためには小さい長さ寸法の繊維を使用する必要がある。
ポリエステル繊維を使用して綿球を形成する場合には、ポリエステル繊維に捲縮を形成させ、捲縮を利用してポリエステル繊維を相互に絡ませて綿球を形成することとなるが、このようなポリエステル繊維に捲縮を形成する技術として以下のような従来技術が存在する。
例えば、特許文献1には、押込み式クリンパー装置にて機械捲縮加工を行い、その後、熱風式乾燥機にて5分間で170℃に昇温して170℃にて熱硬化処理を10分間行うポリエステル繊維に関する技術が開示されている。また、特許文献2には、加熱処理の前に断面方向に非対称に冷却する異方冷却を施し、その後、135℃の弛緩熱処理を施すことにより繊維に捲縮を形成するポリエステル繊維に関する技術が開示されている。
しかしながら、このような機械捲縮加工や、加熱処理の前に何らかの冷却等の処理を施す場合には、機械捲縮や冷却等のための所定規模の設備が必要となると共に費用が嵩むこととなる。
特許3095161号 特許3806320号
そこで、本願発明は、費用を嵩ませることなく、所定の短寸法に切断されたポリエステル繊維によりスライバーを形成させ、当該スライバーにより綿球を作成して綿棒を構成することを課題とする。
このような課題を解決するために、請求項1記載の発明は、捲縮が形成されると共に40mm以下の長さに切断形成されたポリエステル繊維に所定時間に亘り結晶化が起きる温度で加熱処理を施す加熱処理工程と、上記加熱処理工程の後に静電気防止処理を施す静電気防止処理工程と、上記静電気防止処理工程が施されたポリエステル繊維にカード処理を施すカード工程とを備えたことを特徴とする。
従って、請求項1記載の発明にあっては、上記加熱処理工程において加熱されると共に上記冷却処理工程により冷却されることによりポリエステルが結晶化する。その後、結晶化したポリエステル繊維に静電気防止処理を施すことにより、静電気の発生を抑制してカード処理を行ってスライバーを作製する。また、ポリエステル繊維が相互にもつれることがないように、原綿には油分及び静電気防止剤が付加されているが、上記加熱処理を施すことにより、油分及び静電気防止剤は蒸発する。従って、カード処理の前に上記静電気防止処理を施し、静電気発生を抑止しつつカード処理を行うように構成されている。
請求項2記載の発明にあっては、上記ポリエステル繊維はポリエチレンテレフタレートであって、上記加熱処理工程は2時間に亘り160℃で加熱し、上記加熱処理工程の後に冷却することを特徴とする。
ポリエチレンテレフタレートは、加熱した場合120℃付近から結晶化が始まることから、160℃で2時間に亘り加熱することにより結晶化する。
請求項3記載の発明にあっては、上記ポリエステル繊維はポリエチレンテレフタレートであって、上記加熱処理工程は、1時間に亘り120℃で加熱する第一加熱工程と、上記第一加熱工程の後に2時間に亘り180℃で加熱する第二加熱工程とを有し、上記加熱処理工程の後に冷却することを特徴とする。
ポリエチレンテレフタレートは、加熱した場合120℃付近から結晶化が始まることから、まず、第一加熱工程において120℃で1時間に亘り加熱し、その後さらに、第二加熱工程において180℃で2時間に亘り加熱して、原綿の段階で使用されている油分を蒸発させて除去する。
請求項4記載の発明は、上記静電気防止処理工程は加湿処理工程であることを特徴とする。
請求項5記載の発明にあっては、捲縮が形成されると共に40mm以下の長さに切断形成されたポリエステル繊維に所定時間に亘り結晶化が起きる温度で加熱処理を施す加熱処理工程と、上記加熱処理工程の後に静電気防止処理を施す静電気防止処理工程と、上記静電気防止処理が施されたポリエステル繊維にカード処理を施すカード工程とを経て作製されたスライバーを洗浄する洗浄工程と、洗浄したスライバーを乾燥させる乾燥工程と、綿球及び綿球が固定される綿棒の軸部に対して静電気防止処理を施す静電気防止処理工程とを備え、上記スライバーにより綿球を形成すると共に綿棒本体に固定して綿棒を製造することを特徴とする。
従って、請求項5記載の発明にあっては、上記加熱処理工程において加熱されると共に上記冷却処理工程により冷却されることによりポリエステルが結晶化する。その後、結晶化したポリエステル繊維に静電気防止処理を施すことにより、静電気の発生を抑制してカード処理を行い、作成されたスライバーを洗浄することにより、油分及び静電気防止剤を除去して乾燥させた後に、さらに、綿球及び綿球が固定される綿棒の軸部に対して静電気防止処理を施して静電気の発生を抑制した状態で綿球を形成して綿棒を作成する。
請求項6記載の発明にあっては、上記ポリエステル繊維はポリエチレンテレフタレートであって、上記加熱処理工程は2時間に亘り160℃で加熱し、上記加熱処理工程の後に冷却することを特徴とする。
ポリエチレンテレフタレートは、加熱した場合120℃付近から結晶化が始まることから、180℃で2時間に亘り加熱することにより結晶化する。
請求項7記載の発明にあっては、上記ポリエステル繊維はポリエチレンテレフタレートであって、上記加熱処理工程は、1時間に亘り120℃で加熱する第一加熱工程と、上記第一加熱工程の後に2時間に亘り180℃で加熱する第二加熱工程とを有し、上記加熱処理工程の後に冷却することを特徴とする。
ポリエチレンテレフタレートは、加熱した場合120℃付近から結晶化が始まることから、まず、第一加熱工程において120℃で1時間に亘り加熱し、その後さらに、第二加熱工程において180℃で2時間に亘り加熱して、原綿の段階で使用されている油分及び静電気防止剤を蒸発させて除去する。
請求項8記載の発明にあっては、上記静電気防止処理工程は加湿処理工程であることを特徴とする。
請求項9記載の発明にあっては、上記綿球は上記綿棒に対してホットメルト接着剤により固定されることを特徴とする。
「ホットメルト接着剤」とは、熱可塑性樹脂を主成分とした有機溶剤を全く含まない100%固形分の接着剤であって、常温では固形又は半固形状態にあり、加熱した場合には溶融し、冷却により固形化して接着が行われる。
請求項1記載の発明にあっては、捲縮が形成されると共に40mm以下の長さに切断形成されたポリエステル繊維に所定時間に亘り結晶化が起きる温度で加熱処理を施す加熱処理工程と、上記加熱処理工程の後に静電気防止処理を施す静電気防止処理工程と、上記静電気防止処理が施されたポリエステル繊維にカード処理を施すカード工程とを備え、上記加熱処理工程において加熱されると共に上記冷却処理工程により冷却されることによりポリエステルが結晶化する。その後、結晶化したポリエステル繊維に静電気防止処理を施すことにより、静電気の発生を抑制してカード処理を行ってスライバーを作製する。
従って、上記ポリエステル繊維が加熱されて結晶化することにより、分子構造が変化し、硬度が増大することから捲縮弾性率が向上する。その結果、カード工程においてカード処理が施され、互いにポリエステル繊維が相互に絡みやすくなり、容易にスライバーを形成することができる。
従って、従来のように、機械捲縮、冷却設備等の手段を講ずることなく、コストを低減した状態で、容易に、所定の短寸法(40mm以下の短い寸法)のポリエステル繊維のスライバーを形成することができる。
さらに、ポリエステル繊維が加熱された場合には一般に「焼け」が発生し、黄ばみが生ずるが、上記結晶化により耐熱性が大きくなり、「焼け」による黄ばみの発生を抑止することができる
請求項2記載の発明にあっては、上記ポリエステル繊維はポリエチレンテレフタレートであって、上記加熱処理工程は2時間に亘り160℃で加熱し、上記加熱処理工程の後に冷却するように構成され、ポリエチレンテレフタレートの結晶化が始まる120℃以上の160℃で2時間に亘り加熱することにより確実に結晶化し、耐熱性及び硬度が増大することから、ポリエチレンテレフタレート繊維の捲縮弾性率が向上し、ポリエチレンテレフタレート繊維が相互に絡みやすくなり、カード工程において、より容易にスライバーを形成しやすくなる。
請求項3記載の発明にあっては、上記ポリエステル繊維はポリエチレンテレフタレートであって、上記加熱処理工程は、1時間に亘り120℃で加熱する第一加熱工程と、上記第一加熱工程の後に2時間に亘り180℃で加熱する第二加熱工程とを有し、上記加熱処理工程の後に冷却するように構成され、まず、ポリエチレンテレフタレートの結晶化が始まる120℃で1時間に亘り加熱することにより結晶化し、その後、さらに、180℃で2時間に亘り加熱し、2段回に亘って加熱処理が施されることから、請求項2記載の発明に比して、より確実に結晶化が行われ、耐熱性及び硬度が増大し、ポリエチレンテレフタレート繊維の捲縮弾性率がさらに向上する。
従って、ポリエチレンテレフタレート繊維が相互に絡みつきやすくなり、カード工程において、さらに容易にスライバーを作成することが可能となる。
なお、使用される原綿にはカード工程において、繊維を相互に滑りやすくし、切断寸法を安定させるために油分及び静電気防止剤が付着されている。
本請求項に記載の発明にあっては、120℃での加熱処理の後にさらに180℃で再度、加熱処理が施されることから、請求項2記載の発明の場合よりも、原綿に付着している油分及び静電気防止剤をより確実に除去することができるため、油分除去のための洗浄剤の量を低減でき、洗浄作業を大幅に省略することができる。
請求項4記載の発明にあっては、上記静電気防止処理工程は加湿処理工程であることから、例えば、界面活性剤等を主成分とする静電気防止剤を塗布する場合よりも容易に静電防止処理を施すことができる。
請求項5記載の発明にあっては、捲縮が形成されると共に40mm以下の長さに切断形成されたポリエステル繊維に所定時間に亘り結晶化が起きる温度で加熱処理を施す加熱処理工程と、上記加熱処理工程の後に静電気防止処理を施す静電気防止処理工程と、上記加湿処理が施されたポリエステル繊維にカード処理を施すカード工程とを経て作製されたスライバーを洗浄する洗浄工程と、洗浄したスライバーを乾燥させる乾燥工程と、綿球及び綿球が固定される綿棒の軸部に対して静電気防止処理を施す静電気防止処理工程とを備え、上記スライバーにより綿球を形成すると共に綿棒本体に固定して綿棒を製造することを特徴とする綿棒の製造方法として構成されている。
従って、請求項5〜8記載の発明にあっては、上記ポリエステル繊維が加熱されて結晶化することにより、分子構造が変化し、硬度が増大することから捲縮弾性率が向上する。その結果、カード工程においてカード処理が施され、互いにポリエステル繊維が相互に絡みやすくなり、容易にスライバーを形成することができる。
従って、従来のように、機械捲縮、冷却設備等の手段を講ずることなく、コストを低減した状態で、容易に、所定の短寸法(40mm以下の短い寸法)のポリエステル繊維により綿球を作成した綿棒を提供することができる。
また、作成されたスライバーを洗浄することにより、油分及び静電気防止剤を除去して乾燥させた後に、さらに、静電気の発生を抑止するために、綿球及び綿球が固定される綿棒の軸部に対して静電気防止処理を施して静電気の発生を抑制した状態で綿球を形成するように構成されていることから、ポリエチレンテレフタレート繊維を綿球にまとめやすいと共に、まとめた綿球を綿棒に固定しやすい。
請求項8記載の発明にあっては、上記静電気防止処理工程は加湿処理工程であることから、例えば、界面活性剤等を主成分とする静電気防止剤を塗布する場合よりも容易に静電防止処理を施すことができる。
請求項9記載の発明にあっては、上記綿球は上記綿棒に対してホットメルト接着剤により固定されるように構成されていることから、綿球は綿棒に対して瞬時に、かつ確実に接着される。
本発明に係るポリエステル綿のスライバー製造方法の一実施の形態を示すブローチャートである。 本発明に係るポリエステル綿のスライバー製造方法の他の実施の形態を示すフローチャートである。 本発明に係る綿棒の製造方法の一実施の形態を示すフローチャートである。
以下、本発明の実施の形態について説明する。
第一の発明に係るポリエステル繊維のスライバーの製造方法は、図1に示すように、捲縮が形成されると共に40mm以下の長さに切断形成されたポリエステル繊維に所定時間に亘り結晶化が起きる温度で加熱処理を施す加熱処理工程Aと、上記加熱処理工程の後に加湿処理を施す加湿処理工程(静電気防止処理工程)Cと、上記加湿処理が施されたポリエステル繊維にカード処理を施すカード工程Dとを備えおり、第一の発明に係る第一の実施の形態にあっては、上記ポリエステル繊維はポリエチレンテレフタレートであって、上記加熱処理工程は2時間に亘り160℃で加熱し、上記加熱処理工程Aの後に自然冷却により冷却する冷却工程Cを有している。
また、第一の発明に係る第二の実施の形態にあっては、上記ポリエステル繊維はポリエチレンテレフタレートであって、図2に示すように、上記加熱処理工程Aは、1時間に亘り120℃で加熱する第一加熱工程A1と、上記第一加熱工程A1の後に2時間に亘り180℃で加熱する第二加熱工程A2とからなり、さらに、上記加熱処理工程A2の後に自然冷却する冷却工程Bが設けられている。
また、第二の発明に係る綿棒の製造方法にあっては、図3に示すように、捲縮が形成されると共に40mm以下の長さに切断形成されたポリエステル繊維に所定時間に亘り結晶化が起きる温度で加熱処理を施す加熱処理工程Aと、上記加熱処理工程の後に加湿処理を施す加湿処理工程(静電気防止処理工程)Cと、上記加湿処理が施されたポリエステル繊維にカード処理を施すカード工程Dとを経て作製されたスライバーを洗浄する洗浄工程Eと、洗浄したスライバーを乾燥させる乾燥工程Fと、綿球及び綿球が固定される綿棒の軸部に対して加湿処理を施す加湿処理工程(静電気防止処理工程)Gとを備え、上記スライバーにより綿球を形成すると共に綿棒本体に固定して綿棒を製造するように構成されている。
また、第二の発明に係る第一の実施の形態としては、上記ポリエステル繊維はポリエチレンテレフタレートであって、上記加熱処理工程Aは2時間に亘り160℃で加熱し、上記加熱処理工程Aの後に上記加熱処理工程Aの後に自然冷却により冷却する冷却工程Bを有している。
また、第二の発明に係る第二の実施の形態としては、図2に示すように、上記ポリエステル繊維はポリエチレンテレフタレートであって、上記加熱処理工程は、1時間に亘り120℃で加熱する第一加熱工程A1と、上記第一加熱工程の後に2時間に亘り180℃で加熱する第二加熱工程A2とからなり、さらに、上記加熱処理工程A2の後に自然冷却する冷却工程Bが設けられていてもよい。
以下に、本発明に係るポリエステル繊維のスライバーの製造方法及び当該スライバーを使用した綿棒の製造方法の実施例について説明する。

[実施例1]
「ポリエチレンテレフタレート繊維によるスライバーの製造方法」
本実施例で使用されるポリエステル繊維としてはポリエチレンテレフタレート繊維が使用され、原綿は、既に捲縮が形成され、38mmの長さ寸法に切断されたものが使用される。この原綿には、繊維相互の滑りを良好にするために油分が付着され、また、静電気の発生を抑止するために静電気防止剤が付着されている。
このようなポリエチレンテレフタレート繊維を使用してスライバーを形成する場合には、図1に示すように、まず、加熱処理工程Aにおいて、38mmの長さ寸法に切断した上記ポリエチレンテレフタレート繊維の原綿に加熱処理を施す。即ち、160℃の熱風により2時間に亘って加熱処理を施した後に、冷却工程Bにおいて自然冷却を行う。
上記のように、加熱処理工程Aにおいて160℃で2時間に亘り加熱されると共に上記冷却工程Bにより冷却されることによりポリエチレンテレフタレートが結晶化する。このようにポリエチレンテレフタレートが加熱されて結晶化することにより、分子構造が変化し、硬度が増大することから捲縮弾性率が向上する。
その後、加湿処理工程(静電気防止処理工程)Cにおいて、水分を周囲から噴霧することにより結晶化したポリエチレンテレフタレート繊維に加湿処理を施すことにより、静電気の発生を抑制し、この状態でカード工程Dにおいてカード処理を行うことによりスライバーを作製するものである。
〔実験例〕
本願発明に基づき加熱処理を施して作成したポリエステル繊維及び、加熱処理を施していないポリエステル繊維からなるスライバー用原綿を準備し、「栃木県産業技術センター繊維技術支援センター」に依頼し、相互の比較試験を行ったものである。試験の結果を以下の表に示す。
従って、上記表から明らかなように、本願発明に基づく加熱処理及び加湿処理が施されたポリエチレンテレフタレート繊維からなるスライバー用原綿は、本願発明に基づき「加熱処理」が施されたポリエチレンテレフタレート繊維からなるスライバー用原綿に比して、「25mmあたり捲縮数」、「捲縮率」、「残留捲縮率」は低下しているが、「捲縮弾性率」は向上している。従って、捲縮弾性率が向上することにより、ポリエチレンテレフタレート繊維が相互に絡みやすくなっているものと判断される。
この捲縮弾性率の向上は、加熱処理による結晶化の結果、硬度が増大したことが原因と思われる。
さらに、油脂分(ジエチルエーテル)も低下していることから、ポリエステル繊維から油分が除去されることにより、ポリエステル繊維表面の平滑度が低下し、この観点からもポリエステル繊維同士が相互に絡みやすくなるものと判断される。
[実施例2]
「綿棒の製造方法」
上記実施例1に記載されたポリエチレンテレフタレート繊維を用いたスライバーを使用した綿棒を製造する場合には、以下の工程による。
図3に示すように、加熱処理工程A〜カード工程Dまでの処理内容は、実施例1と同様であるので説明を省略する。
加熱処理工程Aからカード工程Dを経て作製されたスライバーを、洗浄工程Eにおいて洗浄する。この洗浄工程Eは、大型の洗浄機を利用することにより行われる。この洗浄工程において、なお残存する油分や静電気防止剤が洗浄により除去される。
次に、洗浄されたスライバーを乾燥工程Fにおいて乾燥機により高温乾燥させる。この高温乾燥により、洗浄されて水分を含んだスライバーは乾燥されると共に、滅菌処理される。
しかしながら、スライバーからは静電気防止剤が除去されていることからスライバーは静電気を帯びることなる。従って、加湿処理工程(静電気防止処理工程)Gにおいて、綿球及び綿球が固定される綿棒の軸部に対して水分を噴霧して加湿処理を施す。この加湿処理により綿球及び綿棒の綿球固定部の静電気の発生が防止され、綿球を綿棒に固定しやすくなる。
この場合、本実施例においては綿棒の素材にはポリプロピレンが採用されており、綿球の綿棒への固定にはホットメルト接着剤が使用される。従って、綿球は綿棒へ瞬時に、かつ、確実に固定される。
上記のように本実施例においても、図1に示すように、加熱処理工程Aに関しては160℃で2時間加熱し、冷却工程Bで自然冷却してもよく、また、図2に示すように、第一加熱工程A1において120℃で1時間加熱し、その後、第二加熱工程A2において180℃で2時間過熱し、冷却工程Bにおいて自然冷却をするように構成してもよい。
また、本実施の形態にあっては、静電防止処理工程が加湿処理工程により形成されている場合を例に説明したが、上記実施の形態に限定されず、例えば、界面活性剤と主成分とする帯電防止剤をスプレー等により塗布してもよい。
本発明は、ポリエステル繊維のスライバーの製造方法、綿球及び綿棒の製造方法に広く適用することができることから、産業上の利用可能性を有している。

Claims (9)

  1. 捲縮が形成されると共に40mm以下の長さに切断形成されたポリエステル繊維に所定時間に亘り結晶化が起きる温度で加熱処理を施す加熱処理工程と、
    上記加熱処理工程の後に静電気防止処理を施す静電気防止処理工程と、
    上記静電気防止処理工程が施されたポリエステル繊維にカード処理を施すカード工程とを備えたことを特徴とするポリエステル繊維のスライバーの製造方法。
  2. 上記ポリエステル繊維はポリエチレンテレフタレートであって、上記加熱処理工程は2時間に亘り160℃で加熱し、上記加熱処理工程の後に冷却することを特徴とする請求項1記載のポリエステル繊維のスライバーの製造方法。
  3. 上記ポリエステル繊維はポリエチレンテレフタレートであって、上記加熱処理工程は、1時間に亘り120℃で加熱する第一加熱工程と、上記第一加熱工程の後に2時間に亘り180℃で加熱する第二加熱工程とを有し、上記加熱処理工程の後に冷却することを特徴とする請求項1記載のポリエステル繊維のスライバーの製造方法。
  4. 上記静電気防止処理工程は加湿処理工程であることを特徴とする請求項1項記載のポリエステル綿のスライバー製造方法。
  5. 捲縮が形成されると共に40mm以下の長さに切断形成されたポリエステル繊維に所定時間に亘り結晶化が起きる温度で加熱処理を施す加熱処理工程と、
    上記加熱処理工程の後に静電気防止処理を施す静電気防止処理工程と、
    上記静電気防止処理が施されたポリエステル繊維にカード処理を施すカード工程とを経て作製されたスライバーを洗浄する洗浄工程と、洗浄したスライバーを乾燥させる乾燥工程と、綿球及び綿球が固定される綿棒の軸部に対して静電気防止処理を施す静電気防止処理工程とを備え、上記スライバーにより綿球を形成すると共に綿棒本体に固定して綿棒を製造することを特徴とする綿棒の製造方法
  6. 上記ポリエステル繊維はポリエチレンテレフタレートであって、上記加熱処理工程は2時間に亘り160℃で加熱し、上記加熱処理工程の後に冷却することを特徴とする請求項記載の綿棒の製造方法。
  7. 上記ポリエステル繊維はポリエチレンテレフタレートであって、上記加熱処理工程は、1時間に亘り120℃で加熱する第一加熱工程と、上記第一加熱工程の後に2時間に亘り180℃で加熱する第二加熱工程とを有し、上記加熱処理工程の後に冷却することを特徴とする請求項記載の綿棒の製造方法。
  8. 上記静電気防止処理工程は加湿処理工程であることを特徴とする請求項記載の綿棒の製造方法。
  9. 上記綿球は上記綿棒に対してホットメルト接着剤により固定されることを特徴とする請求項5、6、7又は8のいずれか1項記載の綿棒の製造方法。
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