JP3704576B2 - 極細繊維からなるスライバーを用いた綿棒 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、カード工程を経由した繊維長30mm以下の合成繊維ステープルから形成されたスライバーを用いる微細部分の清掃用綿棒に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、多くの化学繊維・合成繊維が生産され、天然繊維と共に夫々の繊維特性に合わせて種々の分野に使用されてきたが、生産技術の進歩により、天然繊維を超える合成繊維特有の技術が開発され、これに基づく独特の製品が実用化されている。その一つが、極細繊維(通常1.1dt以下を呼称)あるいは超極細繊維(通常0.33dt以下を呼称)と呼ばれる細繊化技術である。天然繊維中、最も細いものは綿繊維の1.3〜1.7dtであるが、合成繊維では近時0.00011dtという太さの超極細繊維が実現している。
【0003】
このような極細繊維を製造する技術としては既に種々の方法が実用化されている。主流であるポリエステル繊維を対象としてその代表的な原糸形態を説明すると、特公昭44−13208号公報等に記載する海島型(図1)、特公昭49−29129号公報等に記載する中実放射型(図2)、特公昭53−10169号公報等に記載する中空放射型(図3)、特公昭53−22169号公報等に記載するブレンド型(図4)等があげられる。
【0004】
超極細繊維を含むかかる極細繊維により形成された繊維構造物は、▲1▼柔らかいこと、▲2▼その表面積が大きいこと、▲3▼繊維集合体の空間が大きいこと、▲4▼起毛性が高いこと等の特徴があり、このような機能を利用して織編物、不織布、合皮等各方面で多用されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、従来公知の超極細繊維を含むかかる極細繊維(以下これらを単に極細繊維と総称する)は、安定した品質を保つためにそのほどんどが連続長繊維のフィラメントの形状で使用されており、紡績用のステープルの形では多用されず、この点汎用性に著しく欠けるものであった。
【0006】
このように極細繊維が紡績用として多用されない理由としては、細繊度で形成された極細繊維素材が紡績上必要とするカード工程において、良好な品質の生産が難しいことに基因している。
即ち、既存繊度と大きく異なる極細繊度の素材は、単なるカード仕様の変更のみでは均斉度の高い繊維束をつくることができず、ネップ、フック等が増加する上、単繊維の平行度が悪いため、精紡機等、スライバー形成以後の工程で糸切れ、糸斑等が多発し、品質の良好な最終製品が得られないという問題点があった。
【0007】
本発明は叙上の極細繊維を用いた製品を実用化するものであって、きわめてクリーンでワイピング性能の高い綿棒を提供することを課題としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を達成するために本発明は次の構成を備えている。即ち請求項1に記載の本発明に係る微細部分の清掃用綿棒は、カード工程を経由した繊維長30mm以下の合成繊維からなり、単糸繊度0.7デシテックス以下、単糸内のセグメント数2以上で、ポリエステルとポリアミドからなるフィブリル化型複合繊維である極細繊維からなるスライバーをカットし、軸体に巻き付けて綿球を形成し、これに加熱処理を施して繊維を収縮させることにより、繊維相互のからみを発生させたことを特徴としている。また、請求項2に記載の微細部分の清掃用綿棒は、上記請求項1に記載の微細部分の清掃用綿棒であって、前記スライバーが、単繊維を5000デシテックス以上集束せしめたスライバー状態において、U%10.0%以下で、ネップ数(ケ/g)8.0以下であるものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。先ず最初に、本実施の形態に用いる極細繊維の原糸形態について説明する。先に図1〜4により説明した各原糸形態はポリエステル繊維を含めた極細繊維の基本的な形態であり、周知の通り、図1に示す海島型は海成分の溶解により、図2に示す中実放射型は膨潤あるいは一成分の溶解により、図3に示す中空放射型は剥離により、図4に示すブレンド型は図1と同様に海成分の溶解により、夫々極細繊維の単糸を形成する各セグメント毎に開繊し、極細化が実施される。
【0010】
上記各原糸はいずれも、極細化状態で合成繊維のステープルを形成しており、スライバーの構成繊維として使用することができるが、製造の容易性、得られる繊維の平行度及び紡績上の可紡性の点から、図1に示す海島型と図4に示すブレンド型よりも図2に示す中実放射型と図3に示す中空放射型が好適である。特に原糸としてポリアミド及びポリエステルからなる複合繊維を用い、これをフイブリル化(分割)して得られたものが最も好ましい。かかる複合繊維から得られた極細繊維はポリエステルの寸法安定性とポリアミドの親水性を同時に保持しているので、本発明スライバーの素材として最適である。
【0011】
かかる複合繊維の構成を更に説明すると、該複合繊維の一例としては互いに親和性のない重合体、例えばポリアミドとポリエステル等とが複合紡糸によって長手方向に沿って接合されているものであり、具体的には、その横断面において、両成分A、B(いずれがポリアミド成分であっても可)から形成したセグメントが図5(A)に示すようにサイドバイサイド型になったもの、同(B)(C)に示すようにサイドバイサイド繰り返し型になったもの、同(D)〜(H)に示すように放射状の形状を有する成分Aとこの放射部を補完する形状を有する他の成分Bからなるもの、同(I)(J)に示すように放射型の形状を有する成分Aとこの放射部を補完する他の成分Bからなり―方の放射形状が中心側において途切れているもの、図5(K)に示すようにサイドバイサイド繰り返し型であって中空部があるもの等があげられる。
【0012】
上記複合繊維の一成分であるポリアミドとしては、例えばナイロン4,ナイロン6,ナイロン7,ナイロン11,ナイロン12,ナイロン66,ナイロン6・10,ポリメタキシレンアジパミド,ポリパラキシリレンデカンアミド,ポリビスシクロヘキシルメタンデカンアミドおよびこれらを成分とするコポリアミド等があげられる。
【0013】
また、上記ポリアミドとともに複合繊維を形成するポリアミドと親和性のない重合体としては、ポリエステル,ポリオレフイン,ポリアクリロニトリル等があげられるが、上記ポリアミドとの溶融複合紡糸を容易に行うという観点からポリエステルおよびポリオレフインが好ましく、なかでもポリエステルが最適である。すなわち、ポリアミドとポリエステルの組み合わせを用いると、得られる繊維の光沢,風合等が最も好ましいものとなる。上記ポリエステルとしては、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリテトラメチレンテレフタレート、ポリエチレンオキシべンゾエート、ポリ1,4―ジメチルシクロへキサンテレフタレート、ポリピバロラクトンおよびこれらを成分とするコポリエステル等があげられ、上記ポリオレフインとしては、ポリエチレン, ポリプロピレンおよびこれらを成分とするコポリオレフイン等があげられる。
【0014】
更に、該複合繊維の他の例としては繊維形成性ポリマーと易溶解性ポリマーの2つのポリマーを放射状あるいは並列状に張り合わせたものがあげられる。
繊維形成性ポリマーとしては、ポリアミド、ポリエステル、ポリオレフイン等が用いられるが、撚の固定のし易さ及び風合の点でポリエステルが好ましく、特にポリエチレンテレフタレートが最も好ましい。
易溶解ポリマーは繊維形成性ポリマーとの組合せを考慮して容易に選ぶことができるが、アルカリ加水分解性の大きい共重合ポリエステル、例えばポリアルキレングリコールや金属スルホネート基を有するジカルボン酸の1種又は2種を共重合したポリエチレンテレフタレートが有用である。
【0015】
上記二成分の組み合わせからなる本実施態様の複合繊維は、連続長繊維のフィラメント形状で溶融紡糸した後、これを集束し、機械的に所定長の30mm以下に切断し、ステープル・ファイバーの形にしたものを用いる。
【0016】
次いで、かかるステープル・ファイバーの極細繊維に対して単糸を構成するセグメントの開繊を実施する。上記二成分を組み合わせてなる本実施態様の1つである互いの重合体が相互に親和性を有しない複合繊維の場合は、通常機械的屈曲や摩擦等の物理的な衝撃によって、あるいは上記ポリアミドを薬液によって膨潤させる化学的方法によって、細いフイブリルの束に割繊することができる。このような薬液( 以下「フイブリル化剤」という) としては、例えばべンジルアルコール,β−フエニルエチルアルコール,フェノール,m−クレゾール,ギ酸,酢酸等があげられる。これらは、単品を直援用いるよりも、その水溶液もしくはその水性エマルジョンとして用いるのが適している。特に、べンジルアルコールの水性エマルジョンを用いると、フイブリル化効果の点で、また取り扱いが比較的容易な点で好適である。そして、その濃度は、1〜50重量%、なかでも3〜30重量%に設定することが好適である。1重量%未満ではフイブリル化の効果が弱く、逆に50重量%を超えると水性エマルジョンの場合には不安定となり、のちのフイブリル化剤の除去が非常に困難となるだけでなく、ポリアミド成分以外の繊維成分に悪影響を及ぼす傾向がみられるからである。
又、繊維形成性ポリマーと易溶解性ポリマーからなる複合繊維の場合は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ水溶液によって易溶解ポリマーを溶解し割繊することができる。
【0017】
上記実施の態様においては、極細繊維の原糸形態が中実放射型又は中空放射型である場合について説明したが、海島型についても本発明は使用し得る。
【0018】
そして本発明では上記複合繊維を短繊維化し、セグメント毎の開繊・細繊化が実施された後、カード工程へ供給する。
【0019】
通常、綿紡方式に使用される合成繊維のステープルは繊度1.1〜1.6dt、繊維長38mm前後の繊維が多様される。梳綿機の一般的な紡出要項はこれに合わせて、図6上、シリンダー1〜ドッファー2間のゲージを4〜5/1,000インチに、シリンダー1〜フラット3間のゲージを10〜12/1,000インチに、シリンダー1〜テーカーイン4間のゲージを7/1,000インチとし、又シリンダー1を170〜180r・p・mに、テーカーイン4を350〜400r・p・mに、ドッファー2を7〜8r・p・mに設定し、かかる要件により良好な操業を維持している。
【0020】
ところが、極細繊維であり、しかもフイブリル化された繊維を紡出対象とする本発明にあっては、従来のステープル素材とその性質が大きく異なっており、紡績上の可紡性に関連する原綿特性の吸湿性、電気抵抗性、嵩高性、摩擦抵抗性、集団疑集性、強伸度、圧縮弾性を十分吟味する必要がある。特に吸湿性、帯電性、嵩高性、強伸度及び繊維に付与する油剤の適否が操業の良否に大きく関連する。
【0021】
極細繊維の強伸度及び繊度の細繊化に対応する梳綿機仕様の一例としては、シリンダー1〜ドッファー2間のゲージを4/1,000インチに、シリンダー1〜フラット3間のゲージを12/1,000インチに、シリンダー1〜テーカーイン4間のゲージを7/1,000インチに、シリンダー1を180r・p・mに、テーカーイン4を350r・p・mに、ドッファー2を5r・p・mに設定した例があげられる。尚、針布はMccで特に合繊用として製作されたものが必要である。
【0022】
上記一連の過程において、極細繊維の各セグメントは繊維の軸線に沿って個々にフイブリル化するが、そのフイブリル化の度合は繊維の嵩高性にも大きく関連しており、フィラメント全体がフイブリル化しているよりも部分的にフイブリル化している方がへたりが少なく嵩高性が保持される。又カード工程でのネップの発生が少なくて済み均一なスライバーが得ることができてむしろ好ましい。その度合いは拡大した横断面の状態を目視によって判断して定められる。
【0023】
カード工程を経由した上記スライバーは、更に、単数又は複数本併合状態で練条機へ供給され、所定のドラフト作用を受けて規定重量の本発明スライバーに仕上げられる。
本発明においては、カード工程終了直後のスライバーのU%を5.0%以下に、ネップ数(ケ/g)を8.0以下にすることにより、練条工程終了後のスライバーのU%を10.0%以下に、ネップ数(ケ/g)を8.0以下にし得る。
この用にして形成した本発明スライバーは、極細繊維の特長を十分備えながらしかも通常使用される合成繊維のスライバーと同等の品質と高生産性を有するのである。以下、実施例をあげて本発明を更に説明する。
【0024】
【実施例1】
横断面を図5(H)に示す形状となし、放射状形状を有する8個のセグメントをナイロン6からなるポリアミドにより形成し、一方、該放射部を補完する形状の8個のセグメントをポリエチレンテレフタレートからなるポリエステルにより形成せしめた複合繊維を、通常工程により複合比1:2で溶融紡糸して111dt/50fの延伸糸を得た。
前記延伸糸を機械的に切断して繊維長20mmのステープルとなし、次いでこれを特公昭53−35633号公報に記載するベンジルアルコールを用いたフイブリル化方法により繊度約0.22dtの極細繊維束に細繊化し、これをカード工程の原繊として用いた。
【0025】
梳綿機としてはリカバリーフィダー付きの綿用フラットカードを使用し、シリンダー180r・p・m、ドッファー5r・p・m,トップとシリンダー間のゲージを12/1,000インチに設定し、4g/mのカードスライバーとして紡出した。先に説明した取り、従来、紡績糸生産用の繊維は紡績各工程でのドラフト機構上38mm程度の繊維長が必要とされる。ところが本発明が対象とする極細繊維にあってはカーデングの際38mmではシリンダー針間でのカード作用が強く働きすぎ繊維の絡みすなわちネップを多発し、品位が低下して製品化が困難となる。
本実施例においては、繊維長を20mmにすることにより、カードでの極細繊維の絡みを回避し、更に、ドラファ回転の低速化とスライバー単位重量を押えることによりネップの発生を防止し、所期の高品位カードスライバーを得ている。
【0026】
上記過程により製造したカードスライバーを練条機へ3本同時に供給し、紡速50m/分で12倍のドラフトを施して1g/mの斑の少ない均整なスライバーを得た。同スライバーはU%が8.0%、ネップ数が6.0(ケ/g)であり、通常使用される合成繊維製スライバーと同程度の品質であって衣料、人工皮革等多方面で使用できる汎用性に富むものであった。
特に繊維の極細性を活用したワイピング用途には好適であり、眼鏡拭き、工業用ワイピングクロス等に有効である。更に本発明のスライバーで綿棒を製造した場合、従来の綿製品に比較して格段にワイピング性能が向上し、IC回路基盤や光ファイバーのコネクタ,オーディオ、ビデオ等のOA機器磁気ヘッド等の微細部分の清掃用として極めて優れていた。
【0027】
【実施例2】
一般的に綿、脱脂綿等からなる天然繊維製の綿棒においては、綿棒形成時に生ずる毛羽立ちや使用中に生ずる表面繊維の脱落を防止するため、ポリビニルアルコールに代表される水溶性高分子化合物の水溶液を綿棒中にバインダーとして含浸させた後、これを乾燥させ、繊維表面を固めることが行われている。
【0028】
ところが、かかる従来法では、ワイピング性能を向上させるために極細繊維からなる合成繊維を採用するとしても、綿棒の使用時に繊維表面に付着しているバインダーが被清掃物との摩擦によって削り取られたり、又溶剤として水、アルコール、アセトン、ヘキサン等の溶媒を含浸させた場合は、バインダーが溶媒中に溶出する等のトラブルを生じ、却って被清掃物を汚染させることとなり、極細繊維を使用した本来の目的であるより高い清浄度が得られず、IC回路基板や光ファイバーのコネクター、オーディオビデオ等のOA機器、磁気ヘッド等の微細部分の清掃用として好ましくないことがあった。
【0029】
実施例2に示す綿棒は、バインダーによるかかる被清掃物の汚染をさけるために、バインダー類を一切使用しないで綿棒の綿球形成時の毛羽立ちをおさえ、使用時の繊維の脱落を防ぐ方法を鋭意検討した結果得られたものであって、綿棒を構成している合成繊維の特徴である熱可塑性を最大限に活用し、これの綿球形成後に、所定の温度、所定の時間、加熱成形することにより極めてクリーンでワイピング性能の高い綿棒が得られるようにしたものである。
【0030】
実施例2に示す形態においては、極細繊維からなる本発明の合成繊維スライバーを適宜な捲き付け装置により適宜長にカットし、しかる後、プラスチック、紙、木管等の軸体に捲き付けることにより所望の大きさの綿球を形成し、更にこの綿球を加熱処理可能な成型機の中で熱処理することにより綿球表面の繊維を収縮させ、毛羽立ちを整えると共に繊維相互のからみを発生させる様にしたものである。
【0031】
実施例2の形態においては、極細繊維を使用しているため、繊維相互間の熱伝達が良好で加熱処理の効率が上がると共に、繊維密度が高いので、強固な繊維絡みが可能となり、精密機器等の清掃に際して綿球の表面から繊維がほつれて使いにくくなる事が略解消し得る。
前記加熱処理の温度は、綿球を構成する素材によって適宜選択されるが、素材の融点を基準としてその20℃〜100℃低い温度で処理するのが好ましい。処理温度が高過ぎると繊維表面の一部が融着したり綿球の内部まで収縮が起こり、綿球が過度に固化する弊害を生じ又熱劣化による黄変等の問題を引き起こす。一方、処理温度が低いと、繊維の収縮が弱くて繊維の絡みが十分でなく、清掃時に繊維のほぐれが生じて繊維の脱落を引き起こすこととなる。尚、前記加熱処理時間は通常10秒以内であれば十分である。いずれにしても、この様な加熱処理は適宜綿棒の使用目的や用途に応じて調整するのが良い。
【0032】
以下、実施例2の具体的実施形態を説明する。横断面を図5(H)に示す形状となし、放射状形状を有する8個のセグメントをナイロン6からなるポリアミドにより形成し、該放射部を補完する形状の8個のセグメントをポリエチレンテレフタレートからなるポリエステルにより形成せしめた複合繊維を、通常工程により複合比1:2で溶融紡糸して110dt/50fの延伸糸を得た。
前記延伸糸を機械的に切断して繊維長20mmのステープルとなし、これを液梳染色機で48ボーメNaOH、27cc/1浴比1:12で95℃×30分処理して繊度約0.2dtの極細繊維綿を製造し、これをカード工程及び練条工程に通して1g/mのスライバーを形成した。
前記スライバーを通常の捲き付け装置を使用して1mmφの紙軸の両端部に捲き付け綿球体を形成させ、次いで190℃に加熱せしめた成形機中で3秒間処理することにより、表面に毛羽がなく、綿球を構成する表層部の繊維が絡み合ったワイピング性能の高い綿棒を得た。
【0033】
【実施例3】
横断面を図5(H)に示す形状となし、放射状形状を有する8個のセグメントをアルカリ易溶性ポリエステルにより、又該放射部を補完する形状の8個のセグメントをレギュラーポリエステルにより形成せしめた複合繊維を、通常工程により複合比25:75で溶融紡糸して111dt/50fの延伸糸を得た。
前記複合繊維のマルチフィラメントを集束して約22万dtの繊維束を形成した後、18個/インチのクリンプを付与し、しかる後サーキュラーカッターで切断してカット長20mmの原綿を得た。カットした繊度約2.2dt、繊維長さ20mmの原綿を液流染色機で48ボーメNaOH、27cc/l、浴比1:12で95℃×30分間処理し、繊度約0.2dtの極細繊維を形成してこれをカード工程の原繊として用いた。
【0034】
次いで前記原繊を実施例1と同一のカード過程及び練条過程に通して、U%8.0%、ネップ数6.0(ケ/g)のスライバーを形成した。得られた本発明スライバーは実施例1のものと同様、綿棒等、多方面に使用できる汎用性に富むものであった。
【0035】
【発明の効果】
本発明に係る綿棒は、極細繊維使いの繊維構造物が備える柔軟性、広い表面積、高い嵩高性等の特徴を総べて具備すると共に、従来の短繊維紡揚りの合繊綿スライバーと略同等のスライバー品質を保有しているスライバーを用い、加熱処理によって繊維相互のからみつきを発生させているので、クリーンでワイピング性能に優れた綿棒となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】海島型極細繊維の単糸横断面図である。
【図2】中実放射型極細繊維の単糸横断面図である。
【図3】中空放射型極細繊維の単糸横断面図である。
【図4】ブレンド型極細繊維の単糸横断面図である。
【図5】本発明の実施例に用いる極細繊維の単糸横断面図である。
【図6】本発明の実施例に用いる梳綿機の説明図である。
【符号の説明】
1 シリンダー
2 ドッファー
3 フラット
4 テーカーイン
Claims (2)
- カード工程を経由した繊維長30mm以下の合成繊維からなり、単糸繊度0.7デシテックス以下、単糸内のセグメント数2以上で、ポリエステルとポリアミドからなるフィブリル化型複合繊維である極細繊維からなるスライバーをカットし、軸体に巻き付けて綿球を形成し、これに加熱処理を施して繊維を収縮させることにより、繊維相互のからみを発生させたことを特徴とする微細部分の清掃用綿棒。
- スライバーが、単繊維を5000デシテックス以上集束せしめたスライバー状態において、U%10.0%以下で、ネップ数(ケ/g)8.0以下である請求項1に記載の微細部分の清掃用綿棒。
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