JP5219063B2 - ゴミ焼却灰の無害化、人工ゼオライトの製造システム - Google Patents

ゴミ焼却灰の無害化、人工ゼオライトの製造システム Download PDF

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Description

本発明は、ゴミ焼却灰の無害化、人工ゼオライトの製造システムに関し、より具体的にはゴミ焼却灰を無害化するとともに、ゴミ焼却灰を主原料として人工ゼオライトを製造するためのシステムに関するものである。
家庭やビル等から排出される都市ゴミは、処分施設や埋立地に集積される。処分施設では焼却等により処理される。都市ゴミを焼却により処理すると、未燃成分はゴミ焼却灰として残るが、ゴミ焼却灰には、鉄類、非鉄金属類等の重金属、酸化珪素、アルミナ、非晶質の珪酸アルミニウム塩などの成分が含まれている。
近年、ゴミ焼却灰の有効利用法として、その中の酸化珪素、アルミナ、非晶質の珪酸アルミニウム塩を原料として人工ゼオライトを製造することが考えられており、本発明者ら(一部)は、人工ゼオライトを製造する方法について一連の開発を続けている(特開平10−324518号公報、特開平11−199225号公報、特開2001−220132号公報、特開2003−238146号公報)。
例えば、特開2001−220132号公報では、珪酸およびアルミニウムを含む物質に0.1〜0.5Nのアルカリ水溶液を加え、60〜80℃の温度で加熱した後、溶液部分を濃縮し、100〜300℃の温度で加熱処理することにより人工ゼオライトを製造し、特開2003−238146号公報では、都市ゴミ焼却灰を水およびアルカリの存在下で120乃至230℃の温度で加熱処理することにより人工ゼオライトを製造するものである。
特開平10−324518号公報、 特開平11−199225号公報 特開2001−220132号公報 特開2003−238146号公報
その際、ゴミ焼却灰に含まれる鉄類、非鉄金属類等の重金属の粗大分は予め分離されるが、分離後のゴミ焼却灰に含まれる非鉄金属類のうち特に鉛は、有害成分であることから予め除去して無害化しておく必要がある。
本発明は、ゴミ焼却灰からそのような有害成分、特に鉛を除去してゴミ焼却灰を無害化し、且つ、有害成分を除去したゴミ焼却灰を主原料として、超音波の利用、加熱を含む一連の工程により低コスト、高効率で人工ゼオライトを製造するためのシステムを提供することを目的とするものである。
本発明は、ゴミ焼却灰を無害化し、人工ゼオライトを製造するためのシステムであって、(a)ゴミ焼却灰から重金属を抽出分離する工程と、(b)重金属分離後のゴミ焼却灰に水およびアルカリを混合してスラリーを生成する工程と、(c)該スラリーを固形分とろ液とに分離する工程と、(d)該固形分に水およびアルカリを混合して水性スラリーにする工程と、(e)該水性スラリーに対して超音波を照射する工程と、(f)該水性スラリーを加熱する工程を備えてなることを特徴とするゴミ焼却灰からの人工ゼオライトの製
造システムである。
より詳しくは、本発明は、ゴミ焼却灰を無害化し、人工ゼオライトを製造するためのシステムであって、(A)ゴミ焼却灰に水およびアルカリを加えて撹拌、混合して重金属を溶液中へ抽出し、スラリーとする工程と、(B)該スラリーをろ過して固形分であるゴミ焼却灰と抽出した重金属を含むろ液とに分離する工程と、(C)前記固形分であるゴミ焼却灰に水およびアルカリを混合して水性スラリーにする工程と、(D)該水性スラリーに対して超音波を照射する工程と、(E)該水性スラリーを加熱してゼオライト合成反応を行う工程を備えてなることを特徴とするゴミ焼却灰からの人工ゼオライトの製造システムである。
本発明によれば、ゴミ焼却灰から重金属類、特に鉛を除去して無害化するとともに、重金属類を除去したゴミ焼却灰を主原料として、低エネルギー、低コストで人工ゼオライトを製造することができる。本発明で製造した人工ゼオライトには有害金属を含まないので各種用途に使用することができる。
本発明は、ゴミ焼却灰を無害化し、人工ゼオライトを製造するためのシステムである。そして、(a)ゴミ焼却灰から重金属を抽出分離する工程と、(b)重金属分離後のゴミ焼却灰に水およびアルカリを混合してスラリーを生成する工程と、(c)該スラリーを固形分とろ液とに分離する工程と、(d)該固形分に水およびアルカリを混合して水性スラリーにする工程と、(e)該水性スラリーに対して超音波を照射する工程と、(f)該水性スラリーを加熱する工程を備えてなることを特徴とする。
より詳しくは、本発明は、ゴミ焼却灰を無害化し、人工ゼオライトを製造するためのシステムである。そして、(A)ゴミ焼却灰に水およびアルカリを加えて撹拌、混合して重金属を溶液中へ抽出し、スラリーとする工程と、(B)該スラリーをろ過して固形分であるゴミ焼却灰と抽出した重金属を含むろ液とに分離する工程と、(C)前記固形分であるゴミ焼却灰に水およびアルカリを混合して水性スラリーにする工程と、(D)該水性スラリーに対して超音波を照射する工程と、(E)該水性スラリーを加熱してゼオライト合成反応を行う工程を備えてなることを特徴とする。
また、本発明においては、前記(a)ゴミ焼却灰から重金属を抽出分離する工程の前に、ゴミ焼却灰に対して順次、磁力選別、非鉄選別、風力選別を行うことにより、SUS等の鉄類や鉛等の非鉄金属類、陶磁器類を分離する。そして、それらを分離したゴミ焼却灰から重金属を抽出分離した後、重金属の抽出分離後のゴミ焼却灰に含まれるシリカ、アルミニウム、非晶質の珪酸アルミニウム塩を主原料とし、これに水およびアルカリを加えて人工ゼオライトを製造する。アルカリとしては特に苛性ソーダが有効である。
このように、事前に磁力選別、非鉄選別、風力選別により鉄類や非鉄金属類、陶磁器類等を分離した後のゴミ焼却灰について、苛性ソーダにより重金属、特に有害成分である鉛を抽出分離することにより、製品人工ゼオライト中に金属類、特に鉛が混入するのを防止する。抽出分離工程では鉛のほか、亜鉛、マンガン、クロム、銅等の重金属も分離され、分離した重金属は、鉛を含めて資源化し、有効に利用することができる。
また、本発明においては、上記(a)ゴミ焼却灰から重金属を抽出分離する工程の前に、ゴミ焼却灰を乾式微粉砕機を用いて微粉砕することによりゼオライト化反応を促進することができる。すなわち、上記磁力選別、非鉄選別、風力選別を行い、鉄類や非鉄金属類、陶磁器類等を分離した後のゴミ焼却灰を乾式微粉砕機を用いて微粉砕することによりゼオライト化反応を促進することができる。
そして、有害成分を分離した固形分にアルカリを加えて人工ゼオライトを製造する。その際必要に応じて、ゼオライト生成成分としてアルカリのほか、水ガラス、アルミニウム等を添加してもよい。アルカリとしては特に苛性ソーダが有効である。
本発明においては、フィリップサイト、ホージャサイト、ゼオライトA、ヒドロキシソーダライトなどの形で人工ゼオライトが得られる。本発明によれば、予め重金属類、特に鉛を予め分離していることから、製品人工ゼオライトには、それら有害成分が含まれていないので、肥料、土壌改良剤、脱臭剤その他の用途に利用できる。
本発明において照射する超音波の周波数には特に限定はないが、好ましくは20〜200kHzの範囲の低周波域超音波を使用する。また、本発明におけるゼオライト合成反応は95℃以上の常圧状態で実施することができる。圧力が常圧であることから、温度は95〜100℃の範囲となる。反応条件を常圧、低温度で行えるので低エネルギー、低コストで人工ゼオライトを製造することができる。
都市ゴミはストーカー(stoker)炉、その他の焼却炉で焼却される。ストーカー炉の場合、主灰は炉下から排出され、飛灰は焼却炉の燃焼ガス流路から捕集される。本発明は、ゴミ焼却灰からの人工ゼオライトの製造システムとして、焼却炉の炉下から排出される主灰を対象とする。ただし、本発明は焼却炉の燃焼ガス流路から捕集される飛灰、流動床炉、直接溶融炉、灰溶融炉等からの排ガスから捕集される飛灰についも適用することができる。
ここで一例として、都市ゴミを焼却したストーカー炉の炉下から排出される主灰は全体の約4/5を占め、飛灰は約1/5である。その主灰について分析した化学組成を表1、表2に示している(平成17年度における7箇月)。表1は主成分、表2は重金属類(表1に記載のZn、Cuを除く)である。
Figure 0005219063
Figure 0005219063
表1のとおり、主灰の主要成分はSiO2、CaO、Al23であり、このうちSiO2、Al23はゼオライトの原料となる成分である。表2(Zn、Cuは表1に記載)のとおり、主灰には各種重金属が含まれており、特にPbについては平均2681mg/kg含まれている。
本発明においては、そのような主灰、また飛灰を無害化し且つ有用物を製造することにより、それらを資源化し且つリサイクル化を図ることができる。またこれにより、埋立地の確保難の問題を解決し、施設の延命化を図ることができる。以下において、主灰を例にして説明するが、飛灰についても同様である。
〈(1)ゴミ焼却灰の前処理工程〉
本発明においてはゴミ焼却灰を前処理する。図1はそのフローを示す図である。図1に従い順次説明する。ゴミ焼却灰すなわち主灰を分級する。先ず粗分級により、一例として30mmアンダー、つまりその篩下分と粗大分に分ける。篩下分をさらに分級し、一例として5mmアンダー、つまりその篩下分を取得する。これら両分級で分離した粗大分はSUS等の鉄類や鉛等の非鉄金属類、陶磁器類等である。
そして、上記篩下分を粗粉砕する。粗粉砕にはハンマーシュレッダー等を使用する。粗粉砕後、SUS等の鉄類を磁力選別により分離した後、鉛等の非鉄金属分を非鉄選別により分離し、さらに風力選別により比重の大きいものを分離する。磁力選別にはマグネットを利用し、非鉄選別には渦電流を利用し、風力選別には比重差を利用する。磁力選別、非鉄選別では分離されなかった鉄類、非鉄金属類、あるいは陶磁器類の砕粉等が風力選別により分離される。
ここで、篩下分の粗粉砕物以降の各選別工程毎の鉛の含有量の実測例を示すと、粗粉砕物=2110mg/kg、磁力選別後=1490mg/kg、非鉄選別後=1090mg/kg、風力選別後=700mg/kgであった。このように鉛分は磁力選別によっても除去されるが、これは鉄との合金等の形で含まれた鉛が鉄と一緒に除去されたことによるものと推定される。
これらの分離工程を経たものをさらに微粉砕する。微粉砕は、鉛の抽出、ゼオライト化反応を促進するための工程であり、好ましくは乱流、衝突形式の乾式粉砕機を使用する。こうして得た微粉砕物をサイクロン、バッグフィルターにかけ、微粉部分を取得する。本発明においては、こうして得た微粉砕物を人工ゼオライト製造用の主原料とするものである。
〈本発明を実施する基本的システムのフロー〉
微粉砕物から重金属類、特に鉛を分離した後、重金属類分離済みの微粉砕物を利用して人工ゼオライトを製造する。図2はそのシステムのフローを示す図である。図2に従い順次説明する。
〈(2)主原料から金属類、特に鉛の分離工程〉
非鉄金属の一種である鉛は電極やパイプの材料として使用され、鉛合金は活字、はんだ、軸受、ケーブル被覆用など各種用途に使用され、鉛酸化物は上絵付用ガラスや光学ガラスなどの成分としても使用されている。これらの広範な用途に起因して、ゴミ焼却灰中には鉛が、鉛そのもののほか、合金や化合物の形で含まれ、これらは微粉砕物中にも含まれている。鉛は有害物で環境汚染物質である。
そこで本発明においては、主原料つまり微粉砕物から先ず残留金属、特に鉛を分離する。この処理には好ましくはアルカリ抽出法を適用するが、特に苛性ソーダによる抽出法が有効である。この抽出法では微粉砕物に水とNaOHを加えて攪拌・混合する。得られたスラリーをろ過して固形分とろ液に分離する。抽出された鉛は、ろ液中に移行し、液中に含まれている。
そこで、ろ液に硫化ソーダを加える。この処理により残留金属、特に鉛の硫化物を生成する。金属類は、前述〈(1)都市ゴミ焼却灰の前処理工程〉により分離しているが、さらに、抽出処理のろ液中に残存する金属類を硫化物に変えて分離するものである。硫化物は固体として生成しているので、この工程で得られたスラリーをろ過し、固形分とろ液に分離する。固形分は金属硫化物、特に鉛硫化物である。一方、ろ液には抽出に用いた苛性ソーダが含まれているので、循環して鉛、その他の金属の抽出用に利用する。
なお、当該〈(2)主原料から金属類、特に鉛の分離工程〉との関連で、特開2006−255501号公報において、廃棄物処理装置から排出される飛灰にアルカリ水溶液を混合し、混合物をろ過し、ろ液に水溶性硫化物を加え、混合物をろ過して、飛灰から重金属類を除去するに際し、飛灰にアルカリ水溶液を混合する工程を加熱して行う飛灰の重金属類除去方法が開示されている。これに対して、本発明においては、ゴミ焼却灰からの人工ゼオライトの製造システムの一環として主灰に対して適用するものである。
特開2006−255501号公報
〈(3)固形分からのゼオライト合成工程〉
主灰から鉛の分離工程を経て得られた固形分の主成分は珪酸アルミニウム塩(アルミノ珪酸塩)であるので、これを人工ゼオライトの主原料として利用する。
その固形分に水およびNaOHを加え、必要に応じて、原料成分調整のため水ガラス、アルミニウム等を加えて攪拌・混合する。その際、混合物に超音波を照射し、さらに加熱してゼオライト合成反応を行う。超音波の照射と加熱は同時に行ってもよいが、先ず超音波を照射して超音波処理をした後、加熱処理をするのが好ましい。
〈(4)生成人工ゼオライトの分離〉
反応完了後ろ過して、固形分とろ液に分離する。そして固形分を中和、水洗する。中和、水洗済みの固形分が人工ゼオライトであるが、これを乾燥することで製品人工ゼオライトが得られる。製品人工ゼオライトには鉛等の有害成分が含まれていないので各種種用途に利用することができる。中和、水洗に使用した洗浄水は水処理施設に送られる。
以下、本発明を実験例を基に発明をさらに詳しく説明する。本発明においては、まず主要工程についてビーカースケールでの実験を行い、その結果を踏まえ、さらに実用化に向けて仮設プラント、すなわちベンチスケールでの一連の実験を行った。
ここではベンチスケールでの実験を基に説明するが、適宜、ビーカースケールでの実験結果についても記載している。図3は本試験のフローである。以下、図3に従い順次説明する。
ビーカースケール(主灰50g)からベンチスケール(主灰5kg)への100倍スケールアップによる差異の確認として、(6)苛性ソーダによる主灰からの鉛の抽出、(7)鉛抽出液からの鉛の回収率、(8)ゼオライトの合成効率を指標として評価を行った。
〈(5)苛性ソーダによる主灰からの鉛の抽出試験〉
ビーカースケールによって設定した諸条件を基に、仮設粉砕プラントにおいて、順次、磁力選別、非鉄選別、風力選別、および微粉砕処理を行った。こうして得た主灰5kgに対して、2N苛性ソーダ水溶液を50L(固液比1:10)を加え、抽出法による脱鉛処理を行った。脱鉛処理を2時間行った後、遠心分離器を用いて固液分離を行い、再度2N苛性ソーダ水溶液を50L(固液比1:10)を用いて抽出法による脱鉛処理・固液分離を行った。図3中(1)〜(5)の工程である。このうち(4)固液分離で分離した固相を人工ゼオライト製造の主原料とする。
遠心分離器による固液分離で得られたそれぞれの液相を混合し、混合液に10%(wt%)硫化ソーダ水溶液を加えて鉛イオンを硫化物とした後、凝集剤を用いてこの硫化物を沈殿させた。これを一晩静置した後、遠心分離器を用いて、固相である凝集した硫化物と液相を分離し、固相である硫化物を乾燥した。図3中(6)〜(9)の工程である。液相は廃水処理する。図3中(15)の工程である。
〈(6)人工ゼオライト合成試験〉
図3中(4)の固液分離で分離した固相を人工ゼオライト製造の主原料とした。3.125N苛性ソーダ水溶液20Lに対して水ガラスを3.5kg加えて十分攪拌した後、前記2回の脱鉛処理を行った主原料を加えて攪拌・混合した後、底面から超音波処理を行い、続いてペンタゴン方式で側面から超音波処理を行った。超音波の照射時間は合わせて15分である。超音波処理後、加熱容器に内容物を移し替え、98℃で2時間加熱し、人工ゼオライトの製造を行った。図3中(10)〜(11)の工程である。
こうして得られたスラリーを遠心分離器により固液分離し、回収した固相について余剰の苛性ソーダを水道水で2回洗浄した。引き続き、ろ過により固液分離し、固相を乾燥した。こうして最終的に主灰から合成したゼオライトを得た。図3中(12)〜(14)の工程である。液相は廃水処理する。図3中(15)の工程である。
〈(7)評価試験1:脱鉛処理による主灰からの鉛の抽出率〉
図3における(1)脱Pb処理工程において、処理開始から30分毎にサンプリングを行い、液中の鉛の濃度をICP(ICP分光分析)によって測定し、処理の時間依存性を調べた。図4はその結果である。なお、初期の主灰中に含まれる鉛は、670mg/kgであり、抽出率(wt%)は下記式により求めた。また、ビーカースケールにおいて行った結果を図5に示している(主灰10g、2N-NaOH 100mL)。
Figure 0005219063
図4、図5を比較して、両者とも2時間の処理によって、最終的に含有量の約60wt%の鉛の抽出がなされ、ベンチスケールでも、ビーカースケールと同等の効果が確認された。ただし、図4のとおり、抽出速度の観点では、ベンチスケールでは反応時間1時間、1.5時間、2時間の3者で大きな違いがなく、時間効率を考慮すると反応時間は1時間程度で十分と言える。この理由は、ビーカースケールで用いた主灰は、磁力選別、非鉄選別、風力選別の処理をしていないため、鉛の初期含有量は3070mg/kgであったことから、これに起因して、鉛の苛性ソーダ溶液への溶解に時間を要した可能性がある。
〈(8)評価試験2:苛性ソーダの濃度とPb抽出率の関係〉
ゴミ焼却灰(主灰)に各種溶媒を加えて抽出操作を行った後、0.8μmのフィルターでろ過して検液を調製した。得られた検液について、ICPによりPbの濃度を測定した。抽出率は上記式により求めた。図6はその結果である。図6りとおり、焼却灰からのPb抽出には苛性ソーダが有効であり、それが3Nの濃度のとき抽出率が最も高い。
〈(9)評価試験3:反応時間とPb抽出率の関係〉
苛性ソーダ濃度1N、2N、3.125N、4N、5Nの各種溶媒を用いて反応時間を変えて、上記〈(8)評価試験2:苛性ソーダの濃度とPb抽出率の関係〉と同様にして反応時間の如何によるPb抽出率を求めた。図7はその結果である。図7のとおり、いずれの濃度の溶媒についても、反応時間2時間までは経時的に抽出率が向上するが、2時間を超えると抽出率は一定乃至ほぼ一定になる。このことから苛性ソーダによる鉛抽出時間は2時間で十分と言える。
〈(10)評価試験4:脱鉛処理による主灰の鉛の濃度〉
主灰(原料)と、図3における(2)の固液分離後の固相の乾燥物と、(4)の固液分離後の固相の乾燥物と、(14)の乾燥物と、(9)の乾燥物の5種類について重金属の含有量を測定した。表3はその結果である。
Figure 0005219063
表3のとおり、原料から生成物(13)までは各処理において鉛の含有量が有効に減少していることが認められる。すなわち、原料(主灰)の鉛含有量は670mg/kgであったのに対して、(2)の固液分離後の固相の乾燥物の鉛含有量は380mg/kg、(4)の固液分離後の固相の乾燥物の鉛含有量は330mg/kg、生成物(13)の鉛含有量は300mg/kgである。
また、表3のとおり、図3における(2)の固液分離後の固相の乾燥物〔表3中“NaOH(2)”の処理物〕から生成物(13)までの各処理物においては、Zn、Mn、Cr、Cuについても有意に減少している。表3中硫化処理物(9)は、Pbの硫化物を含むそれらの金属の硫化物の総量である。このように、それらの金属は硫化処理物(9)として分離されることから、環境汚染を回避し、別途資源化することもできる。
図8はベンチスケールでの硫化ソーダ添加量と残存鉛濃度の関係を調べたものである。鉛濃度はORP法(電位差測定方法)より測定した。図8のとおり、主灰中のPb濃度は18.9mg/Lである。その鉛濃度は、硫化ソーダ添加量9.0g程度までは殆ど変化しないが、硫化ソーダ添加量をそれ以上増加すると急激に減少し、硫化ソーダ添加量12.6gで0.4mg/Lにまで減少している。
〈(11)評価試験5:ゼオライトの生成〉
前記〈(6)人工ゼオライト合成試験〉で製造した生成物、すなわち図3における(2)の固液分離後の固相の乾燥物についてX線回析を行った。図9にそのX線回析パターンを示している。図9のとおり、P型ゼオライトに特有のピーク(5箇所)が観察される。このほか、ゲーレナイト(長石)に特有のピーク(4箇所)が観察され、カルサイト、クオーツのピークも観察される。こうして得られた生成物には、鉛を実質上含有せず、P型ゼオライトが主成分であることから、そのままゼオライトとしての用途に使用することができる。
図10はベンチスケールと同様にして、ビーカースケールで製造した生成物についてのX線回析パターンである。図10のとおり、P型ゼオライトに特有のピークと、ゲーレナイト(長石)に特有のピークが観察される。なお、図10中“(US30min-2hr)”は超音波照射時間30分、加熱時間2時間の意味である。
〈(12)評価試験6:ゼオライトの溶出試験〉
前記〈(6)人工ゼオライト合成試験〉で製造した生成物を乾燥後、環境庁告示第46号に基づく溶出試験を行った。表4はその結果である。表4のとおり、鉛を含む6種類の金属のいずれも基準値をクリアする結果が得られた。
Figure 0005219063
以上のとおり、ベンチスケールでの実験結果はビーカースケールでの実験結果と一致乃至ほぼ一致しており、実機プラントにおいて必要な、人口ゼオライト生成反応時間、主灰中の重金属、特に鉛濃度に対応する硫化ソーダ添加量、その他の条件についても確認することができた。
本発明におけるゴミ焼却灰の前処理フローを示す図 本発明を実施する基本的システムのフローを示す図 本発明におけるベンチスケールでの実験のフローを示す図 ベンチスケールでの脱鉛処理による主灰からの鉛の抽出結果を示す図 ビーカースケールでの脱鉛処理による主灰からの鉛の抽出結果を示す図 ベンチスケールで得られた苛性ソーダの濃度とPb抽出率の関係を示す図 ベンチスケールで得られた反応時間とPb抽出率の関係を示す図 ベンチスケールで得られた硫化ソーダ添加量と残存鉛濃度の関係を示す図 ベンチスケールの人工ゼオライト合成試験で製造した生成物のX線回析パターンを示す図 ビーカースケールの人工ゼオライト合成試験で製造した生成物のX線回析パターンを示す図

Claims (11)

  1. ゴミ焼却灰を無害化し、人工ゼオライトを製造するためのシステムであって、
    (A)ゴミ焼却灰に水およびアルカリを加えて撹拌、混合して重金属を溶液中へ抽出し、スラリーとする工程と、
    (B)該スラリーをろ過して固形分であるゴミ焼却灰と抽出した重金属を含むろ液とに分離する工程と、
    (C)前記固形分であるゴミ焼却灰に水およびアルカリを混合して水性スラリーにする工程と、
    (D)該水性スラリーに対して超音波を照射する工程と、
    (E)該水性スラリーを加熱してゼオライト合成反応を行う工程を備えてなることを特徴とするゴミ焼却灰からの人工ゼオライトの製造システム。
  2. 請求項1において、前記(A)ゴミ焼却灰に水およびアルカリを加えて撹拌、混合して重金属を溶液中へ抽出し、スラリーとする工程の前に、ゴミ焼却灰を磁力選別、非鉄選別、風力選別する前処理工程を備えてなることを特徴とするゴミ焼却灰からの人工ゼオライトの製造システム。
  3. 前記(A)ゴミ焼却灰に水およびアルカリを加えて撹拌、混合して重金属を溶液中へ抽出し、スラリーとする工程の前に、該ゴミ焼却灰を乾式微粉砕機を用いて微粉砕することによりゼオライト化反応を促進することを特徴とする請求項1に記載のゴミ焼却灰からの人工ゼオライトの製造システム。
  4. 前記(A)ゴミ焼却灰から重金属を抽出する工程における前記重金属が鉛を主とする重金属であることを特徴とする請求項1に記載のゴミ焼却灰からの人工ゼオライトの製造システム。
  5. 前記(B)該スラリーをろ過して固形分であるゴミ焼却灰と抽出した重金属を含むろ液とに分離する工程において、該抽出した重金属を含むろ液に硫化ソーダを加えて重金属を硫化物とし、該重金属硫化物をろ過して分離することを特徴とする請求項1に記載のゴミ焼却灰からの人工ゼオライトの製造システム。
  6. 請求項5において、前記重金属硫化物をろ過したろ液を前記(A)ゴミ焼却灰に水およびアルカリを加えて撹拌、混合して重金属を溶液中へ抽出し、スラリーとする工程に循環することを特徴とするゴミ焼却灰からの人工ゼオライトの製造システム。
  7. 前記(C)該固形分であるゴミ焼却灰に水およびアルカリを混合して水性スラリーにする工程において、水性スラリーに水ガラスを添加することを特徴とする請求項1に記載のゴミ焼却灰からの人工ゼオライトの製造システム。
  8. 前記(D)該水性スラリーに対して超音波を照射する工程における超音波として20〜200kHzの範囲の低周波域超音波を照射することを特徴とする請求項1に記載のゴミ焼却灰からの人工ゼオライトの製造システム。
  9. 前記(D)該水性スラリーに対して超音波を照射する工程と、前記(E)該水性スラリーを加熱する工程を、95℃以上の常圧状態で実施することを特徴とする請求項1に記載のゴミ焼却灰からの人工ゼオライトの製造システム。
  10. 前記(D)(E)の工程により得られた人工ゼオライトを含むスラリーをろ過により固形分とろ液に分離し、固形分を乾燥して人工ゼオライトを得ることを特徴とする請求項1に記載のゴミ焼却灰からの人工ゼオライトの製造システム。
  11. 請求項10において、前記固形分をろ過したろ液を前記(C)前記固形分であるゴミ焼却灰に水およびアルカリを混合して水性スラリーにする工程に循環することを特徴とするゴミ焼却灰からの人工ゼオライトの製造システム。
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