JP2005289745A - 高機能ゼオライトの連続合成方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 環境基準で定められた値以上の重金属が含まれず、所望の型(A,X,Y型)の高機能ゼオライトを連続的に合成する方法を提供する。
【解決手段】 シリカ及び/又はアルミナを含む固体原料からアルカリ水熱反応によりゼオライトを合成する方法において、ゼオライト化反応前に、前記原料をアルカリ水溶液と混合し、加熱工程において溶解を促進するために必要な温度に加熱し、溶解工程においてシリカ及び/又はアルミナ成分の溶解を進めた後、当該溶解液をA型、X型、Y型など所望の型のゼオライトを合成するために適した温度に調節し、この温度調節の後、当該ゼオライトを合成するに適した組成を得るために必要なSiO2源とAl2O3源を添加することによって、副反応を抑えつつ高い合成率で所望のゼオライトを得ること。
【選択図】図2
【解決手段】 シリカ及び/又はアルミナを含む固体原料からアルカリ水熱反応によりゼオライトを合成する方法において、ゼオライト化反応前に、前記原料をアルカリ水溶液と混合し、加熱工程において溶解を促進するために必要な温度に加熱し、溶解工程においてシリカ及び/又はアルミナ成分の溶解を進めた後、当該溶解液をA型、X型、Y型など所望の型のゼオライトを合成するために適した温度に調節し、この温度調節の後、当該ゼオライトを合成するに適した組成を得るために必要なSiO2源とAl2O3源を添加することによって、副反応を抑えつつ高い合成率で所望のゼオライトを得ること。
【選択図】図2
Description
本発明は、シリカ及び/又はアルミナを含む固体原料からゼオライトを合成する方法に関し、固体原料のアルカリ水溶液との混合,加熱,溶解,温度調節,副原料の添加を経て連続的に反応させ、環境基準を満足するレベルまで重金属が除去された所望の型(A型,X型,Y型)のゼオライトを連続合成する方法に関するものである。
ゼオライトは、シリカとアルミナが規則的な立体構造をもち、結晶水を含んだアルミノケイ酸塩に属するケイ酸塩鉱物で、イオン交換性の陽イオンを含み、可逆脱水されやすい弱く保持された水と結合し、三次元網目状構造をもつなどの特徴がある。ゼオライトはその強い吸着性から乾燥材や脱臭剤として使用され、また水溶液中で陽イオン交換性をもつため土壌改良材,廃水処理,養魚池の浄化などに使用されている。また、固体酸としての触媒作用もあることから、例えば、ガソリン製造用の触媒として使用されることもあり、更に、分子ふるいとして、潤滑油の精製などにも使用されている。
ゼオライトは大きく天然ゼオライトと合成ゼオライトに分けられるが、特に石炭灰から合成されたゼオライトは人工ゼオライトと呼ばれることが多い。天然ゼオライトは、鉱物資源として2〜3種類のゼオライトが主に産出されているが、天然鉱物のため、廉価であるものの、不純物が多く、また不純物の含有量が不定であることから、ゼオライトの機能が低く、更に不純物の含有量により品質に大きなばらつきが出るという使用上の問題がある。廉価であることから一部農業土壌改良,排水水質浄化分野で使用され年々需要が増えてきているが、天然鉱物のため、産出量に限度があり、今後増大する需要に対応できないおそれがある。
合成ゼオライトは、主に工業原料から製造され、従来からアルミン酸ソーダ、水ガラス及び苛性ソーダを主原料として回分式(バッチ式)装置により多種類の純度の高い単結晶ゼオライトが合成されている。この合成ゼオライトは不純物のない純度の高い単結晶であるため、高機能を発揮するが、原料が工業原料であること、及び、回分式装置による少量生産のため製造コストが高いという問題がある。従って、利用分野は特殊な分野に限られ、農業土壌改良、一般土壌改良、排水水質浄化等の大規模消費分野には利用されていない。
次に、人工ゼオライトは、一部のメーカーによって石炭灰からの合成が行われ、人工ゼオライトと呼称して製造販売されている。このような人工ゼオライトは、例えば、特許文献1〜特許文献3に開示されているような回分式或は半回分式装置により製造されている。
上記の人工ゼオライトは、多種類あるゼオライトのうちP型のものを主成分としたもので、ときには1種類から数種類のゼオライト及び/又はゼオライトではないソーダライトを少量含む混結晶のゼオライトを含むものもあり、回分式装置により製造されている。廃棄物である石炭灰から単結晶のゼオライトを合成するには、合成するゼオライト毎に違った一定の狭い合成条件を作る必要があるが、回分式装置では合成条件を狭い範囲で一定に保つことができないため、P型ゼオライトを主成分とした混結晶のゼオライトが製造されることになる。一般にP型ゼオライトはその細孔径が2.6Åと多数種あるゼオライトの中で一番小さく、仮に、陽イオン交換容量が他のゼオライトと同等としても、用途先が限られてくるという問題があった。
更に、人工ゼオライトは、上述したように回分式装置により製造されているため、現在までA型、X型又はY型の単結晶高機能ゼオライトの合成に至らず、各製造バッチ毎に混結晶の上に、主成分のP型ゼオライトの純度がばらつくと共に、混結晶の割合もばらつくので、品質が均一でないという問題があり、このような問題ゆえに、その利用先があまり広がっていない。なお、上記において単結晶高機能ゼオライトとは、A型、X型又はY型のいずれかの結晶タイプのものを単独で含有するという意味で、例えば、A型の場合は、他のX型,Y型,P型のものは含有しないという意味であるが、ゼオライト結晶以外のものが全く含有されないという意味ではない。この点は、以下も同じである。
回分式装置には上記のような問題があったことから、最近、ゼオライトの連続製造方法や装置が、例えば、特許文献4や特許文献5に提案されている。
特許文献4の例は、循環流動槽により人工ゼオライトを連続的に製造する方法とそのための装置に関するもので、この装置によれば攪拌は比較的よく行われるが、循環により反応生成物と原料が混ざるバックミキシングが起こるため、P型を主成分とする混結晶ゼオライトが合成され、A型、X型又はY型のいずれかの単結晶高機能ゼオライトを選択的に合成できないという問題があった。
特許文献5の例は、特許文献4の例における問題点を解決するために提案されたもので、反応工程を、管接触反応工程と回転ディスク接触反応工程の二工程に分け、管接触反応工程においてゼオライト原料を接触反応管内に連続的に通過させてゼオライト中間組成物を生成し、その中間組成物を回転ディスク接触反応工程において多段回転ディスクにより順次攪拌して所望のゼオライトを生成する方法である。
しかし乍ら、特許文献5の方法では、第一工程の管接触反応工程における石炭灰及び副原料の溶解温度に比べ、溶解後の初期反応のための反応温度が低いため、適正初期反応温度より高温の溶解温度で初期反応が起こるとA型、X型又はY型ゼオライト前躯体の他にP型ゼオライトの前躯体もでき、A型、X型又はY型の単結晶高機能ゼオライトを合成できず、P型ゼオライトが混結晶する問題が生じる。
更に、特許文献5の発明では、ゼオライト原料又はゼオライト中間組成物に特定のSi/Al比を有する一種又は二種以上の結晶鉱物を添加してゼオライト化反応をさせることによって、多種多様な廃棄物等を原料として使用した場合であっても、添加した結晶鉱物に対応した特定の種類のゼオライトを誘導するようにしているので、その結果、予めSi/Al比を所定の値に調整することなく、任意のSi/Al比を有する廃棄物等をゼオライト原料として容易に採用することができるとしているが、これはP型ゼオライトを主成分に混結晶のゼオライトを合成する場合であり、これでは単結晶の高機能ゼオライト(A型,X型,Y型)を選択的に製造することはできない。加えて、循環工程も設けられていることから、バックミキシングが起こるため、P型を主成分とする混結晶ゼオライトが合成され、A型、X型又はY型の単結晶高機能ゼオライトを合成できないという問題があった。
次に、特許文献6には、石炭灰を主原料としたA型ゼオライトの製造方法についての発明が記載されているが、特許文献6の発明には、A型、X型又はY型のいずれかの単結晶高機能ゼオライトを選択的に合成する構成はなく、また、特許文献6にはこれらのゼオライトを連続的に製造する方法や装置については開示されていない。また、特許文献6の発明では、主原料となる石炭灰をアルカリ溶液中で所定の温度,時間において撹拌した後、副原料となるアルミニウム源,ナトリウム源及び水を添加して加熱撹拌し反応させているが、加熱しながら反応させるため、反応温度の調整が難しく、所望の型のゼオライトを効率良く製造することは勿論、連続して製造することができないという問題があった。
また、石炭灰や下水道汚泥焼却灰などには重金属が濃縮されたかたちで残っているため、現在はこれらはセメント原料に利用されるか、不要な分は重金属が流出しない保全対策を講じたうえで埋立処分される場合が多い。石炭灰、下水汚泥焼却灰、都市ゴミ焼却灰などのSiO2,Al2O3を含む産業廃棄物を原料として水熱合成によってゼオライトを製造することができるが、製造されたゼオライト中にも重金属が一部含まれることが確認されており、用途拡大の制限となっている。石炭灰などに濃縮された重金属を資源化に必要な成分を溶出させずに、資源化の前処理として環境基準を満足するレベルまで除去できれば、製品のゼオライトなどを土壌改良材などに幅広く使う用途が開ける。しかしながら、特許文献1〜6の発明では、ゼオライトの製造において重金属を除去することやそのための技術についての検討はなされていない。
なお、一般的な従来の重金属除去方法として酸を利用した含有重金属を溶解して除去する方法は既に良く知られている。しかしながら、この方法によれば、石炭灰等の産業廃棄物に含有されている重金属類は除去できるが、石炭灰等に含まれているゼオライト合成に重要なアルミナ成分が溶出してしまうため、従来の酸を利用した重金属除去方法をそのまま適用できないという問題があった。
また、焼却灰は粒状又は不定形の粒子で構成されており、石炭灰の場合はフライアッシュで1μmから200μmの粒子で構成されている。例えば、石炭灰等の焼却灰を主原料にしてゼオライト合成を行った時、ゼオライト合成の原料となるシリカ、アルミナは焼却灰の各粒子の表面から溶出し、各粒子の表面でゼオライト合成が行われる。従って、合成されたゼオライトは石炭灰の粒子に合成されたゼオライト分の粒径が追加されるため、合成されたゼオライト粒径は主原料の焼却灰の粒径以下にはならなという問題もあった。
因みに、苛性ソーダ、アルミン酸ソーダ、水ガラス等の工業原料から合成されたゼオライトは粒径が10μm以下のため、一例として細粒ゼオライトをコンクリートに混合したとき、流動性が向上するためコンクリートの水分を減少できることが確認されているが、現在のところは工業原料から回分式装置により製造されているため、ゼオライトゼオライト製造コストが高くなってしまい、用途の普及がなされていない。
特開平6−321524号公報
特開平6−321525号公報
特開平6−321526号公報
特開平10−324518号公報
特開2002−187715号公報
特開平6−100314号公報
因みに、苛性ソーダ、アルミン酸ソーダ、水ガラス等の工業原料から合成されたゼオライトは粒径が10μm以下のため、一例として細粒ゼオライトをコンクリートに混合したとき、流動性が向上するためコンクリートの水分を減少できることが確認されているが、現在のところは工業原料から回分式装置により製造されているため、ゼオライトゼオライト製造コストが高くなってしまい、用途の普及がなされていない。
従って、本発明は、従来の回分式装置による製造方法に代え提案されている人工ゼオライトの連続製造方法や装置には上記のような問題があり、また、加熱撹拌しながら反応させる方法では所望の型のゼオライトの連続合成は難しいという問題があり、更に、合成されたゼオライトには環境基準で定められた値以上の重金属が含まれているという問題があったことに鑑み、これらの問題を解決すると共に、所望の型(A,X,Y型)の高機能ゼオライトを合成率を下げることなく連続的に合成することができ、併せて、同じ技術でこれらの細粒ゼオライトも合成できる新たな方法を提供することを、その課題とするものである。
上記課題を解決することを目的としてなされた本発明の構成は、シリカ及び/又はアルミナを含む固体原料からアルカリ水熱反応によりゼオライトを合成する方法において、ゼオライト化反応前に、前記原料をアルカリ水溶液と混合し、加熱工程において溶解を促進するために必要な温度に加熱し、溶解工程においてシリカ及び/又はアルミナ成分の溶解を進めた後、当該溶解液をA型、X型、Y型など所望の型のゼオライトを合成するために適した温度に調節し、この温度調節の後、当該ゼオライトを合成するに適した組成を得るために必要なSiO2源とAl2O3源を添加することによって、副反応を抑えつつ高い合成率で所望のゼオライトを得ることを特徴とするものである。
本発明は、上記構成において、合成するゼオライトの型の固定は、反応生成物の冷却により行う。
また、本発明は、上記構成において、固体原料をアルカリ水溶液と混合する前に、酸の水溶液と撹拌混合し、前記原料に含まれる重金属を、当該原料中の有効成分であるシリカ及び/又はアルミナ成分を失うことなく酸の水溶液に溶出させた後、重金属溶出液を分離する重金属除去工程を設けることもある。
上記の重金属除去工程は、固体原料を酸の水溶液と混合し、流動回転円盤式溶解器に連続投入して当該溶解器内の多段回転円盤により攪拌混合しながら重金属を酸の水溶液中に溶出させ、濾過器に連続供給して重金属溶出液を分離し、分離した重金属溶出液が所定の溶解濃度以下の場合、再度、前記溶解器に投入する工程にすることもできる。
更に、本発明は、上記構成において、ゼオライト合成後の反応回収液をアルカリ水溶液の一部として使用し、細粒ゼオライトを合成することもでき、また、この反応回収液にSiO2源とAl2O3源及びNa2O源を添加することもある。
更には、本発明は、上記構成において、溶解工程における溶解を、内部に多段回転円盤を具備する流動円盤式溶解器に固体原料とアルカリ水溶液の混合液を連続投入し、当該溶解器内の多段回転円盤により順次撹拌しながら行うことができる。なお、ゼオライト合成反応を、内部に多段回転円盤を具備する流動回転円盤式反応器に溶解液を連続投入し、当該反応器内の多段回転円盤により順次撹拌しながら行うこともできる。
本発明は以上の通りであって、本発明によれば、固体原料をアルカリ水溶液と混合し、加熱した後にこの原料中に含まれるシリカ及び/又はアルミナ成分を十分溶解させてから反応に適した温度に調節し、副原料を添加するので、従来、原料中のシリカ及び/又はアルミナ成分がアルカリ水溶液に十分溶解しない状態で副原料を添加したのと比較し、ゼオライトの合成効率をより高くすることができるという効果が得られる。また、固体原料から所望の型(A型,X型,Y型)の高機能ゼオライトを連続的に合成することができるので、製造コストが安く、その性能も従来の工業原料から合成されたゼオライトに匹敵し、極めて利用価値が高い。
更に、本発明では、重金属をアルカリ水溶液と混合する前の原料の段階で除去してしまうので、ゼオライト製品の利用分野も農業土壌改良、排水水質浄化等の大規模分野に大量かつ安心して使用することができ、循環型環境社会の達成に貢献できるという優れた効果が得られる。
更には、本発明では、流動回転円盤式反応器内における回転円盤の回転速度を調節することによって、原料成分溶解液の攪拌混合をバックミキシングを伴わずに行うことができ十分な接触反応を行わせることができるので、高純度のものが得られるという効果がある。
加えて、本発明ではゼオライト合成反応後に回収される反応回収液を再度アルカリ水溶液の一部として使用し、適宜、SiO2源,Al2O3源,Na2O源を添加して不足する成分を補い、A型,X型,Y型の細粒ゼオライトを連続合成することができるので、これら細粒ゼオライトをコンクリートに混合し流動性を向上させてコンクリートの水分を減少させたり、塗装原料に添加し、家屋内の防臭、シックハウス対策、調湿効果を持つ塗装原料の製造に用いることができるという効果が得られる。更には、紙、布の折込、防臭、調湿効果を持つ原料の製造にも用いることもできる。
次に、本発明の実施の形態例を図に拠り説明する。図1は本発明の一例の合成工程のフロー図、図2は本発明の連続合成方法を実施する装置の一例のブロック図、図3は図2に示した装置における流動回転円盤式反応器の内部構造を示す断面図、図4は図3の流動回転円盤式反応器の回転円盤の拡大図で、(a)は鳥瞰図、(b)は断面で示す側面図、図5は石炭灰からのA型単結晶合成X線解析図、図6は石炭灰からのX型単結晶合成X線解析図、図7は石炭灰からのY型単結晶合成X線解析図である。
図1は本発明の一例の合成工程を示すフロー図で、固体原料からの重金属除去工程、重金属が除去された固体原料とアルカリ水溶液との混合工程,加熱工程を経て、溶解工程において固体原料に含まれるシリカ,アルミナ成分をアルカリ水溶液中に十分溶解させた後、反応温度に適した温度に調節し、副原料となるSiO2源とAl2O3源を添加し、連続反応工程、冷却工程、固液分離工程を経て合成されたゼオライトを回収する。
上記の溶解工程を設けたことによって、ゼオライトの合成率が、A型についていえば、従来21%程度だったものが51%に上昇させることができた。なお、残った反応回収液はアルカリ水溶液の一部として再使用されるが、反応回収液は、反応工程に戻すことも、溶解工程に戻すことも、原料混合工程に戻すこともできる。また、反応回収液を戻すとき、不足するSiO2源,Al2O3源及びNa2O源を適宜添加して補充する。
上記の溶解工程を設けたことによって、ゼオライトの合成率が、A型についていえば、従来21%程度だったものが51%に上昇させることができた。なお、残った反応回収液はアルカリ水溶液の一部として再使用されるが、反応回収液は、反応工程に戻すことも、溶解工程に戻すことも、原料混合工程に戻すこともできる。また、反応回収液を戻すとき、不足するSiO2源,Al2O3源及びNa2O源を適宜添加して補充する。
図2は本発明の連続合成方法を実施する装置の一例を示す。この図2には重金属除去工程は示していないが、この装置では予め重金属が除去された固体原料を使用している。
而して、図において、1は主原料である固体原料をアルカリ水溶液と混合するための原料調合槽、1aはこの原料調合槽1内に設けた攪拌翼、1bはこの攪拌翼1aを回転させるためのモータ、2は原料調合槽1で混合した原料混合液を加熱装置Qで加熱した後、固体原料に含まれるシリカ及び/又はアルミナ成分を溶解させるための流動回転円盤式溶解器である。2aはこの溶解器2内に上下適宜間隔を開けて水平に多段に設けられている回転円盤、2bはこれらの回転円盤2aをそれらの中心部において支持する回転軸で、モータ2cによって回転駆動され、回転円盤2aを回転させるようになっている。これら回転円盤2aの回転速度は、モータ2cにより所定速度に調節することができる。なお、図2において、符号Pは原料調合槽1から加熱装置Qに混合液を送るためのポンプや副原料槽S1,S2から副原料を送るためのポンプその他のポンプを示している。また、図2において、符号Mは、原料や副原料、製品を槽内で撹拌するときの撹拌翼Cを回転させるためのモータを示している。更に、溶解器には上記の流動回転円盤式溶解器2の他、図示しないが、連続接触管式溶解器などを用いることもできる。
而して、図において、1は主原料である固体原料をアルカリ水溶液と混合するための原料調合槽、1aはこの原料調合槽1内に設けた攪拌翼、1bはこの攪拌翼1aを回転させるためのモータ、2は原料調合槽1で混合した原料混合液を加熱装置Qで加熱した後、固体原料に含まれるシリカ及び/又はアルミナ成分を溶解させるための流動回転円盤式溶解器である。2aはこの溶解器2内に上下適宜間隔を開けて水平に多段に設けられている回転円盤、2bはこれらの回転円盤2aをそれらの中心部において支持する回転軸で、モータ2cによって回転駆動され、回転円盤2aを回転させるようになっている。これら回転円盤2aの回転速度は、モータ2cにより所定速度に調節することができる。なお、図2において、符号Pは原料調合槽1から加熱装置Qに混合液を送るためのポンプや副原料槽S1,S2から副原料を送るためのポンプその他のポンプを示している。また、図2において、符号Mは、原料や副原料、製品を槽内で撹拌するときの撹拌翼Cを回転させるためのモータを示している。更に、溶解器には上記の流動回転円盤式溶解器2の他、図示しないが、連続接触管式溶解器などを用いることもできる。
3は流動回転円盤式溶解器2においてシリカ及び/又はアルミナ成分が十分溶解したスラリー状の原料混合液を、熱交換器4において反応に適した温度に調節した後、副原料であるSiO2源,Al2O3源を添加した原料成分溶解液を連続投入し、反応させるための流動回転円盤式反応器である。この流動回転円盤式反応器3の構造は、流動回転円盤式溶解器2と略同様のもので、3aはこの反応器3内に上下適宜間隔を開けて水平に多段に設けられている回転円盤、3bはこれらの回転円盤3aをそれらの中心部において支持する回転軸で、モータ3cによって回転駆動され、回転円盤3aを回転させるようになっている。これら回転円盤3aの回転速度は、モータ3cにより所定速度に調節することができる。この回転円盤3aの回転速度の調節、回転円盤3a及びインナートレイ3dの寸法、形状及び段数によってバックミキシングの防止、反応時間を制御し、各型に対応したゼオライトの合成、また各型に対応したゼオライトの合成率を変化させることができる。なお、流動回転円盤式溶解器2及び流動回転円盤式反応器3の内部構造については後に詳述する。
上記の流動回転円盤式溶解器2と流動回転円盤式反応器3との間に設けられている反応温度調節用の熱交換器4は、流動回転円盤式溶解器2からの原料混合液を、反応に適した温度に下げるためのもので、ここでは流動回転円盤式反応器3の合成されたゼオライトの取出口ZTに接続して設けた冷却器5において冷却され、固液分離装置6において分離された反応回収液との間で熱交換することによって温度を下げるようにしている。その温度の調節は、合成するゼオライトの型によって異なって来る。熱交換器4において反応回収液の温度が上がることにより熱が回収されるので、熱資源の有効利用を図ることができる。また、合成するゼオライトの型は、後述するように、原料成分溶解液中におけるSiO2/Al2O3の構成比も関連する。因みに、温度の調節は、熱交換器4を通過するときの原料混合液の流量,流速を調節することによって行うことができ、また、原料混合液をバイパス路により迂回させることによっても行うことができる。なお、合成するゼオライトの型の固定は、冷却器5における冷却、例えば常温に冷却することによって行われる。
上記の冷却器5は、流動回転円盤式反応器3内における反応により合成されたゼオライトを冷却し、速やかに合成の進まない温度以下にするためのものである。また、図示しないが、上述した合成装置における反応システム系の圧力を一定に保つため圧力調節弁が設けられており、この圧力調節弁の操作により、反応システム系内の圧力を一定に保ち、反応液が沸騰による蒸気化さらに蒸気化によるベーパーロック(流動固着)を防ぐようにしている。
次に、流動回転円盤式溶解器2と流動回転円盤式反応器3の内部構造は略同一であるので、流動回転円盤式反応器3の内部構造について図3により説明する。図3において、流動回転円盤式反応器3は、多段の回転円盤3aと、これらの回転円盤3aを上下適宜間隔で水平に支持する回転軸3bと、この回転軸3bを回転させるモータ3cと、各回転円盤3a間に設けられ、流動回転円盤式反応器3の内側面からリング状に突出したインナートレイ3dと等から構成され、A型,X型又はY型の高機能ゼオライトの合成要素であるバックミキシングの防止、反応時間を制御している。また、図3において、RTはゼオライトの原料成分溶解液の連続投入口、ZTは合成されたゼオライトの取出口である。なお、回転円盤3aには、図4に示したように、邪魔板jや突起物tを必要に応じて任意の個所に複数個設けることが好ましく、またインナートレー3dは流動回転円盤式反応器3への取付部をR形状にすることが好ましい。これらの回転円盤3aの邪魔板jや突起物t及びインナートレー3dの取付部のR形状はバックミキシング防止作用をさらに向上させることができる。図示しないが、流動回転円盤式溶解器2にも取付部をR形状にしたインナートレー2dが設けられ、また、回転円盤2aには邪魔板j,突起物tが設けられており、これらが相俟って、原料中のSiO2,Al2O3成分がアルカリ水溶液中に溶解するのを促進することができる。
而して、ゼオライトは、原料中のSiO2源及びAl2O3源がアルカリ水溶液中に溶解する溶解工程と、ゼオライト結晶化の前の前駆体の生成とゼオライトの結晶化・結晶成長工程が混合せずに順次行われて合成される。因みに、上記各工程が混合されるとバックミキシングが発生してゼオライトの合成が止まり、所定のゼオライトが合成されず、P型ゼオライトや最後にソーダライト又はアナルサイム結晶物が合成されてしまう。本発明は、流動回転円盤式溶解器2、流動回転円盤式反応器3によりバックミキシングの発生を好適に防止するとともに、予め調節された反応温度,時間,組成,撹拌速度を制御し、所望のA型,X型,Y型のゼオライトを合成することができる。
本発明の固体原料からの高機能ゼオライトの連続合成方法は、上述した合成装置の一例において実施されるが、この装置の運転開始時はアルカリ水溶液を導入し、装置内を循環させ装置系内が合成運転に必要な温度になるようにする。装置系内が所定の温度になったら、原料混合液を加熱した後、溶解工程に導入し、ゼオライト合成運転を開始する。
以下、合成工程の流れを順を追って説明すると、原料調合槽1において、所定の濃度のアルカリ水溶液に、ここでは固体原料として産業廃棄物である石炭灰を使用し、十分攪拌して混合させる。なお、このとき合成するゼオライトの型に応じて対応するA型、X型、Y型のいずれかの種結晶を添加する。次に、加熱装置Qにおいて、原料混合液を85℃〜140℃、好ましくは85℃〜120℃に加熱した後、流動回転円盤式溶解器2内に連続投入し、回転円盤2aにより撹拌しながら石炭灰に含まれるSiO2,Al2O3成分をアルカリ水溶液に十分溶解させる。
その後、流動回転円盤式溶解器2からの原料混合液を熱交換器4において反応に適した温度(80℃〜120℃)に調節した後、流動円盤式反応器3の直前の原料供給ラインに接続した副原料槽Sからの副原料供給ラインLから供給される副原料と一緒に流動回転円盤式反応器3に連続投入する。なお、副原料は流動円盤式反応器3に直接添加することもできる。ここでは副原料として副原料槽Sには水ガラス、アルミン酸ソーダまたはアルミニウム及び/又はシリカを含む排液などが入れられている。
流動円盤式反応器3内において、連続投入された原料成分溶解液は、回転する上段の回転円盤3aによりその中心部からこの反応器3の内周壁側に移動させられると共にインナートレイ3dにより下段の回転円盤3aの中心部側に移動させられ、回転円盤3aの上段から下段に至るまで、このような移動が繰り返しなされるので、その移動中において原料成分溶解液は十分反応し、ゼオライト前駆体の形成及び単結晶成長を高効率で生成することができる。なお、回転円盤3aの回転速度を調節することによって、ゼオライト原料成分溶解液の攪拌混合をバックミキシングを伴わずに行うことができ、十分な接触反応を行わせることができるので、原料成分溶解液の供給と反応を連続して行うことができる。
上記の流動円盤式反応器3において生成したゼオライトは、取出されて冷却器5に送られ、速やかに合成が進まない温度以下にして所望型のゼオライトを合成する。なお、合成装置の停止時に装置系内の固化を防ぐために、ソーダにて一挙に入替える。
次に、本発明において使用される原料成分について説明すると、本発明の実施の形態例では、上述のように固体原料として石炭灰を使用しているので、ゼオライトの合成率をより向上させ、また合成時間をより短縮させるには、石炭灰を前処理、具体的には粉砕又は分級する。粉砕は石炭灰の粒径を平均粒径10μm以下で、30μm以上のものが全体の1%以下にするのが好ましい。分級は45μm、好ましくは25μmで分級し、粒子の小さい方で合成するのが好ましい。
而して、ゼオライト合成には、SiO2,Al2O3,Na2O,H2Oの4種類の化合物が必要である。石炭灰にはSiO2とAl2O3が含まれているが、その成分量はA型,X型,Y型の各ゼオライト合成に必要な割合に合っておらず、合成するゼオライトの型により、SiO2又はAl2O3のいずれかが不足し、いずれか一方が未反応分として余剰となる。この未反応分をもゼオライト合成に使用するために、不足分の補充に副原料を添加する。副原料は固体又は液体のいずれでもよい。石炭灰を基準として各型のゼオライトを製造するときに不足する成分は、A型の場合はAl2O3が不足成分となり、X型の場合はAl2O3又はSiO2(石炭灰中のSiO2の含有量による)が不足成分となり、Y型の場合はSiO2が不足成分となる。
使用する副原料としては、SiO2源として、例えば、水ガラス等のSiO2を含む工業原料、珪砂等のようなSiO2を含む天然原料、製紙スラッジ焼却灰,籾殻焼却灰,廃ガラス等のようなSiO2を含む産業廃棄物などの固体原料が挙げられる。
また、Al2O3源として、例えば、アルミン酸ソーダ,水酸化アルミニウム等のようなAl2O3を含む工業原料、アルミニウムドロス,赤泥,アルミニウム缶,アルミニウム加工廃液、アルミニウム加工スラッジ等のようなAl2O3を含む産業廃棄物などの固体原料が挙げられる。
上記の主原料及び副原料を規定の濃度のアルカリ水溶液に混合,反応させてゼオライトを合成するが、アルカリ水溶液の原料としては、例えば、水酸化ナトリウム,炭酸ナトリウム等のNa2Oを含む工業原料や、各種廃ソーダ等のNa2Oを含む産業廃棄物が挙げられる。なお、上記装置においてゼオライトの連続合成は開始され、合成後に固液分離装置6において分離された反応回収液は、アルカリ水溶液の一部として再使用することができる。なお、回収液にはシリカ、アルミナ成分が含まれているので、この回収液を再度反応させると粒の細かい細粒のゼオライトを合成することができる。固液分離した反応回収液を再使用するとき、図1に示したように、直接反応工程(流動回転円盤式反応器3)に戻すことができ、また、溶解工程(流動回転円盤式溶解器2)に戻すこともできる。また、主原料の混合工程(原料調合槽1)に戻すこともできる。更に、細粒ゼオライトの回収は、目の細かい固液分離機で分離するのが好ましい。
次に、本発明は、固体原料をアルカリ水溶液と混合する前に、酸の水溶液と撹拌混合し、前記原料に含まれる重金属を、当該原料中の有効成分であるシリカ及び/又はアルミナ成分を失うことなく酸の水溶液に溶出させた後、重金属溶出液を分離する重金属除去工程を設けることができる。この工程は、図2に示した装置において原料調合槽1に投入する前の固体原料の前処理として設けられるもので、具体的には、一例として、固体原料を酸の水溶液と混合し、重金属除去用の流動回転円盤式溶解器に連続投入し、この溶解器内の多段回転円盤により攪拌混合しながら重金属を酸の水溶液中に溶出させ、濾過器に連続供給して重金属溶出液を分離し、分離した重金属溶出液が所定の溶解濃度以下の場合、再度、前記溶解器に投入する構成の装置により行うのが好ましい。この重金属除去装置における流動回転円盤式溶解器は、図示しないが、上述した流動回転円盤式溶解器2と同様の構成のものである。また、濾過器は通常の固液分離機を使用できる。分離した固形物を、ゼオライト合成装置の原料調合槽1に投入する。
ここで、本発明において重金属を除去する意義について再度説明すると、石炭灰などの資源化の一方法としてゼオライト化の技術は既に確立している。固体中に含まれる重金属を溶出させるために、塩酸などの水溶液が有効であることはよく知られているが、石炭灰を原料にゼオライトを製造するには、石炭灰中の有効成分であるSiO2及びAl2O3などを固体中にとどめ、重金属類をできるだけ溶出させ良質のゼオライトを経済的に製造する条件を求めることが重要である。上述したように従来も酸により重金属の除去が行われていたが、従来の方法では石炭灰等に含まれているゼオライト合成に重要なアルミナ成分が溶出してしまうため、使用する酸の濃度の調整が極めて重要である。
本発明では、混合槽内で0.1mol/l以上の塩酸に石炭灰などを加え固液比3~30w/v%に調整して、スラリーを流動回転円盤式溶解器に送り、常温ないしそれ以上の温度範囲で0.5~3時間で重金属類を溶出させる。流動回転円盤式溶解器を使用することにより、はげしい攪拌を避けて、粒子の極端な破壊を防止しつつ、有効に重金属の溶出を行なわせることができる。処理後の石炭灰などは、濾過器で脱液してケーク状態にして原料調合槽1に回収し、ゼオライト原料として使用することができる。酸処理した石炭灰などから合成したゼオライトの重金属の溶出はその製品自身が土壌汚染対策法に係わる溶出基準(=環境基準)をクリアしており、環境汚染を引き起こすことがないため、農業・土木関係での土壌改良など幅広く用途が開ける可能性をもっている。
本発明では、混合槽内で0.1mol/l以上の塩酸に石炭灰などを加え固液比3~30w/v%に調整して、スラリーを流動回転円盤式溶解器に送り、常温ないしそれ以上の温度範囲で0.5~3時間で重金属類を溶出させる。流動回転円盤式溶解器を使用することにより、はげしい攪拌を避けて、粒子の極端な破壊を防止しつつ、有効に重金属の溶出を行なわせることができる。処理後の石炭灰などは、濾過器で脱液してケーク状態にして原料調合槽1に回収し、ゼオライト原料として使用することができる。酸処理した石炭灰などから合成したゼオライトの重金属の溶出はその製品自身が土壌汚染対策法に係わる溶出基準(=環境基準)をクリアしており、環境汚染を引き起こすことがないため、農業・土木関係での土壌改良など幅広く用途が開ける可能性をもっている。
本発明において除去する重金属類は、カドミウム,鉛,6価クロム,ヒ素,水銀,セレン,フッ素,ホウ素などである。ここで、石炭灰として中部炭灰を使用し、洗浄液として1molの塩酸で5%の固液比において重金属の溶出試験を行った結果を下記の表1に示す。
次に、主原料、副原料、アルカリ成分、水との構成比を、各ゼオライトの型毎に次の表2に示したようにモル比で調合する。なお、合成時間の短縮のために、調合された主原料、副原料、アルカリ水溶液を80℃以下で6時間以上熟成させるのが好ましい。
また、合成時間の短縮のために、調合された主原料、副原料及びアルカリ水溶液に、種結晶として合成されたゼオライトを下記の表3に示す比率で添加するのがより好ましい。なお、種結晶として使用するゼオライトは市販の工業原料からのゼオライト又は本発明で合成されたゼオライトを使用することができる。本発明で合成されたゼオライトを使用するときの添加量はゼオライトだけの重量ベースで添加量が3%以上になるようにする。また、添加するゼオライトを予め調合されるアルカリ水溶液中に常温若しくは80℃以下で熟成させた後、添加するのがより好ましい。
次に、本発明を実施するための合成装置におけるゼオライトの合成条件について説明する。
(1)合成時の調合された主原料、副原料、アルカリ水溶液の装置内の流速
装置内で石炭灰が沈降しないように流速を0.3m/秒以上に保つ。なお、石炭灰を粉砕したときは、流速を0.2m/秒以上にすることができる。
(2)加熱装置における加熱温度
シリカ、アルミナ両成分を含む固形原料の場合は70℃から120℃好ましく80℃から105℃であり、シリカ、アルミナの一方しか含まない場合は上限の温度を更に150℃程度まで上げてもよい。アルカリに溶解しやすい固体原料では温度を50℃から60℃程度に下げてもよい。
(3)流動回転円盤式溶解器における溶解時間
シリカ、アルミナ両成分を含む場合は、安定型の低品位ゼオライトの生成を防ぐために温度が高い場合には短い時間、温度が低い場合には長い時間で溶解する。
温度が80℃から105℃の場合は溶解時間は105℃の場合で、20分から1時間、80℃の場合で1時間から5時間程度行なうのがよい。
(4)流動回転円盤式反応器内における回転円盤の回転数
流動回転円盤式反応器内で調合された原料の流動がレイノルズ数で10の5乗から10の6乗になるように回転円盤を回転させる。好ましくは、レイノルズ数が50,000〜150,000になる回転数がよい。
(5)合成に適した温度(温度調節)
ゼオライトの型で、A型の場合は90℃〜105℃、好ましくは98℃〜102℃、X型の場合は85℃〜100℃、好ましくは85℃〜90℃、Y型の場合は、85℃〜105℃である。
(6)合成時間
ゼオライトの型で、A型の場合は、1時間〜3時間、好ましくは2時間〜3時間、X型の場合は、2時間〜6時間、好ましくは3時間〜4時間、Y型の場合は、2時間〜6時間、好ましくは3時間〜4時間である。
(7)冷却温度
冷却器5における冷却温度は、A型、X型、Y型いずれの場合でも80℃以下であり、冷却は生成したゼオライトの型を固定するために行われる。
(1)合成時の調合された主原料、副原料、アルカリ水溶液の装置内の流速
装置内で石炭灰が沈降しないように流速を0.3m/秒以上に保つ。なお、石炭灰を粉砕したときは、流速を0.2m/秒以上にすることができる。
(2)加熱装置における加熱温度
シリカ、アルミナ両成分を含む固形原料の場合は70℃から120℃好ましく80℃から105℃であり、シリカ、アルミナの一方しか含まない場合は上限の温度を更に150℃程度まで上げてもよい。アルカリに溶解しやすい固体原料では温度を50℃から60℃程度に下げてもよい。
(3)流動回転円盤式溶解器における溶解時間
シリカ、アルミナ両成分を含む場合は、安定型の低品位ゼオライトの生成を防ぐために温度が高い場合には短い時間、温度が低い場合には長い時間で溶解する。
温度が80℃から105℃の場合は溶解時間は105℃の場合で、20分から1時間、80℃の場合で1時間から5時間程度行なうのがよい。
(4)流動回転円盤式反応器内における回転円盤の回転数
流動回転円盤式反応器内で調合された原料の流動がレイノルズ数で10の5乗から10の6乗になるように回転円盤を回転させる。好ましくは、レイノルズ数が50,000〜150,000になる回転数がよい。
(5)合成に適した温度(温度調節)
ゼオライトの型で、A型の場合は90℃〜105℃、好ましくは98℃〜102℃、X型の場合は85℃〜100℃、好ましくは85℃〜90℃、Y型の場合は、85℃〜105℃である。
(6)合成時間
ゼオライトの型で、A型の場合は、1時間〜3時間、好ましくは2時間〜3時間、X型の場合は、2時間〜6時間、好ましくは3時間〜4時間、Y型の場合は、2時間〜6時間、好ましくは3時間〜4時間である。
(7)冷却温度
冷却器5における冷却温度は、A型、X型、Y型いずれの場合でも80℃以下であり、冷却は生成したゼオライトの型を固定するために行われる。
次に、本発明の実施例について説明する。ゼオライト製造原料の各型における調合割合を下記の表4に示す。
次に、ゼオライト合成原料の各型における合成条件を次に表5に示す。
上記の実施例において合成されたゼオライトをX線解析の結果、A,X,Y型の合成が確認された。これらの解析結果は、図5に石炭灰からのA型単結晶合成X線解析図として、図6に石炭灰からのX型単結晶合成X線解析図として、図7に石炭灰からのY型単結晶合成X線解析図としてそれぞれ示してある。
上記実施の形態例では、固体原料として石炭灰を使用したが、その中でも粒子径が小さいフライアッシュが好ましく、また、成分としてシリカ及び/又はアルミナが含有されているものなら石炭灰以外の下水道汚泥焼却灰,珪藻土,籾殻灰,ごみ焼却灰等を使用することができる。汚泥焼却灰等はシリカ、アルミナ成分を多く含んでおり好ましい。珪藻土、火山灰、モミ殻焼却灰等はシリカ成分を多く含んでおり、アルミ精錬工程から排出されるアルミ廃残渣等はアルミナ成分を多く含んでいる。これらの固体原料は一部セメント等に混入、使用している例があるが大部分のものは固体原料として管理型埋め立て処分されておりこれらの固形原料から産業上有効な高性能ゼオライトが得られれば環境問題の上からも大変好ましい。なお、石炭灰以外の固体原料として使用するときは、含有するシリカ成分とアルミナ成分の割合が石炭灰とは異なっているので、副原料(SiO2源,Al2O3源)の添加割合も、固体原料により異なってくる。
本発明は、固体原料により、重金属が環境基準を満足するレベルまで除去された高機能ゼオライト(A型,X型,Y型)を連続的に且つ廉価に製造することができ、利用分野も農業土壌改良、排水水質浄化等の大規模分野に大量使用することができることになり、循環型環境社会の達成に貢献できる。
1 原料調合槽
1a 攪拌翼
1b モータ
2 流動回転円盤式溶解器
2a 回転円盤
2b 回転軸
2c モータ
3 流動回転円盤式反応器
3a 回転円盤
3b 回転軸
3c モータ
3d インナートレイ
4 反応温度調節用の熱交換器
5 冷却器
6 固液分離装置
Q 加熱器
j 邪魔板
t 突起物
1a 攪拌翼
1b モータ
2 流動回転円盤式溶解器
2a 回転円盤
2b 回転軸
2c モータ
3 流動回転円盤式反応器
3a 回転円盤
3b 回転軸
3c モータ
3d インナートレイ
4 反応温度調節用の熱交換器
5 冷却器
6 固液分離装置
Q 加熱器
j 邪魔板
t 突起物
Claims (8)
- シリカ及び/又はアルミナを含む固体原料からアルカリ水熱反応によりゼオライトを合成する方法において、ゼオライト化反応前に、前記原料をアルカリ水溶液と混合し、加熱工程において溶解を促進するために必要な温度に加熱し、溶解工程においてシリカ及び/又はアルミナ成分の溶解を進めた後、当該溶解液をA型、X型、Y型など所望の型のゼオライトを合成するために適した温度に調節し、この温度調節の後、当該ゼオライトを合成するに適した組成を得るために必要なSiO2源とAl2O3源を添加することによって、副反応を抑えつつ高い合成率で所望のゼオライトを得ることを特徴とする高機能ゼオライトの連続合成方法。
- 合成するゼオライトの型の固定は、反応生成物の冷却により行う請求項1の高機能ゼオライトの連続合成方法。
- 固体原料をアルカリ水溶液と混合する前に、酸の水溶液と撹拌混合し、前記原料に含まれる重金属を、当該原料中の有効成分であるシリカ及び/又はアルミナ成分を失うことなく酸の水溶液に溶出させた後、重金属溶出液を分離する重金属除去工程を設けた請求項1又は2の高機能ゼオライトの連続合成方法。
- 重金属除去工程は、固体原料を酸の水溶液と混合し、流動回転円盤式溶解器に連続投入して当該溶解器内の多段回転円盤により攪拌混合しながら重金属を酸の水溶液中に溶出させ、濾過器に連続供給して重金属溶出液を分離し、分離した重金属溶出液が所定の溶解濃度以下の場合、再度、前記溶解器に投入する工程である請求項3の高機能ゼオライトの連続合成方法。
- ゼオライト合成後の反応回収液をアルカリ水溶液の一部として使用し、細粒ゼオライトを合成する請求項1〜4のいずれかの高機能ゼオライトの連続合成方法。
- 反応回収液にSiO2源とAl2O3源及びNa2O源を添加する請求項5の高機能ゼオライトの連続合成方法。
- 溶解工程における溶解は、内部に多段回転円盤を具備する流動円盤式溶解器に固体原料とアルカリ水溶液の混合液を連続投入し、当該溶解器内の多段回転円盤により順次撹拌しながら行う請求項1〜6のいずれかの高機能ゼオライトの連続合成方法。
- ゼオライト合成反応は、内部に多段回転円盤を具備する流動回転円盤式反応器に溶解液を連続投入し、当該反応器内の多段回転円盤により順次撹拌しながら行う請求項1〜7のいずれかの高機能ゼオライトの連続合成方法。
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---|---|---|---|
JP2004108407A JP2005289745A (ja) | 2004-03-31 | 2004-03-31 | 高機能ゼオライトの連続合成方法 |
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Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008150241A (ja) * | 2006-12-15 | 2008-07-03 | Yui Kogyo:Kk | ゴミ焼却灰の無害化、人工ゼオライトの製造システム |
CN106362659A (zh) * | 2016-10-01 | 2017-02-01 | 华南理工大学 | 一种可加磁场的水热反应釜 |
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CN113716583A (zh) * | 2021-09-22 | 2021-11-30 | 西安交通大学 | 一种利用mswi飞灰和赤泥水热法制备4a沸石的方法 |
-
2004
- 2004-03-31 JP JP2004108407A patent/JP2005289745A/ja not_active Withdrawn
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---|---|---|---|---|
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WO2021198899A1 (en) * | 2020-04-03 | 2021-10-07 | Università degli Studi di Roma “La Sapienza” | Process for the synthesis and production of nano- or micro-zeolites using a rotating disc reactor |
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