JP5217835B2 - 有機el素子およびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、低分子ホール輸送材料と高分子発光層を用いた有機EL(エレクトロルミネッセンス)素子およびその製造方法に関し、特に、車載用表示素子として好適に用いることができる。
従来より、低分子型有機EL素子と高分子型有機EL素子がある。低分子型有機EL素子とする場合、高温耐久性が高く長寿命な有機EL素子の形成が可能である反面、真空蒸着装置(真空蒸着チャンバー)が何台も連なった大型の装置が必要となるため、製造コストが非常に高くなるという問題がある。一方、高分子型有機EL素子とする場合、製造プロセス中必要となる真空蒸着工程は陰極形成工程のみであり、それ以外は非真空プロセスを用いることができるので製造コストを低くすることが可能になる。しかしながら、その反面、PEDOT:PSSなどの高分子ホール輸送層の不安定さに起因した高温耐久性の低さ、短寿命、駆動に伴う電圧上昇といった問題が存在する。
車載表示素子、特にセグメント表示素子として用いるには低コストで高温耐久性が高く長寿命な有機EL素子が必要であるため、このままでは双方共に用いることは困難である。
このため、真空蒸着法で形成される低分子ホール輸送層と塗布法で形成される高分子発光層との積層構造を採用することにより、上記したそれぞれの問題を解決した有機EL素子が考えられている。ところが、低分子ホール輸送層と高分子発光層とが接触した状態になっていると、高分子塗布液の溶媒に低分子ホール輸送層を構成する低分子材料が溶けてしまう。
そこで、特許文献1において、高分子塗布液の溶媒に低分子ホール輸送層を構成する低分子材料が溶け難くなる構造の有機EL素子が提案されている。具体的には、低分子ホール輸送材料にシロキサン骨格を有する架橋性有機化合物、シランカップリング化合物を含む架橋性有機化合物、もしくは二重結合基、エポキシ基及び環状エーテル基のうち少なくとも1種類を含む架橋性有機化合物を混合させて蒸着し、蒸着後に熱重合、光重合、電子線重合させることで難溶化して、高分子塗布液の溶媒に低分子材料が溶け難くなるようにしている。
また、有機塗布膜の溶媒への難溶化技術としては、フォトリソグラフィー法で用いられている感光性塗布液を用いた光重合による難溶化も知られている。
特開2008−16336号公報
しかしながら、特許文献1に示されるように蒸着後に熱重合、光重合、電子線重合させることによる難溶化や、感光性塗布液を用いた光重合による難溶化の手法では、不安定な架橋性官能基を含む材料を用いる必要があるために素子特性が不安定になり易い。また、重合し切れなかったラジカルが膜中に残存してしまうために短寿命化し易い。さらに、例えば、難溶化したとしても、上記方法では、溶け出しが完全に抑制される訳ではないため、改善されるとはいえ低分子ホール輸送層の構成材料が高分子塗布液の溶媒に溶け出すという問題は依然として残存している。
本発明は上記点に鑑みて、低分子ホール輸送層と高分子発光層とを積層する構造を採用しつつ、低分子ホール輸送層が高分子発光層に溶けることを抑制すると共に、素子特性の安定化および寿命向上を図ることができる有機EL素子およびその製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、電極基板(1)と、電極基板(1)の上に形成されたホール注入電極(2)と、ホール注入電極(2)の上に形成され、低分子材料にて構成された低分子ホール輸送層(3)と、低分子ホール輸送層(3)を有機酸にて表面処理することで形成された難溶化層(4)と、難溶化層(4)の表面に形成され、高分子材料にて構成された高分子発光層(5)と、高分子発光層(5)の上に形成された電子注入電極(6)と、を有し、有機酸がスルホン酸化合物、カルボン酸化合物、もしくは有機リン酸化合物であることを特徴としている。
このように、低分子ホール輸送層(3)を有機酸にて表面処理することで難溶化層(4)を形成することができる。この難溶化層(4)により、低分子ホール輸送層(3)の構成材料が高分子発光層(5)に溶け出すことを防止できる。したがって、低分子ホール輸送層(3)と高分子発光層(5)とを積層する構造を採用しつつ、低分子ホール輸送層(3)が高分子発光層(5)に溶けることを抑制すると共に、素子特性の安定化および寿命向上を図ることができる。
例えば、低分子材料からなる低分子ホール輸送層(3)を真空蒸着法で形成することができ、高分子発光層(5)を塗布法で形成することができる。
また、低分子ホール輸送層(3)の構成材料としては、請求項に記載したように、有機酸との酸−塩基反応効果が得られ、ホール輸送性の高いトリフェニルアミン誘導体材料を用いると好ましい。
また、請求項に記載したように、低分子ホール輸送層(3)の構成材料のガラス転移点、もしくはガラス転移点がない場合は融点が120℃以上であるのが望ましい。すなわち、高分子発光層(5)を形成するための高分子材料塗布後に溶媒乾燥工程を行うとき、通常は120℃程度の加熱が行われるが、この加熱工程が低分子材料のガラス転移点を超えると低分子材料の凝集による界面荒さの増大や両者の混合などが起こって特性が悪化してしまう。このため、低分子ホール輸送層(3)の構成材料として、ガラス転移点が高分子材料塗布後の溶媒乾燥温度以上、すなわち120℃以上の材料を用いるのが好ましい。
また、請求項に記載したように、低分子ホール輸送層(3)の構成材料の真空度1Pa時の昇華温度が300℃以上であると好ましい。昇華温度が300℃より低いと、10−5Pa以下の高真空下で蒸着膜を形成する場合に蒸着温度が200℃以下になり、蒸着速度を制御することが困難になって、均一な膜密度の蒸着膜を形成することができない。したがって、低分子ホール輸送層(3)の構成材料として、真空度1Pa時の昇華温度が300℃以上のものを用いると良い。
また、請求項に記載のしたように、難溶化層(4)の膜厚が10nm以下であるのが好ましい。難溶化層(4)は低分子ホール輸送層(3)と比べてのホール移動度が低くなる。このため、難溶化層(4)の膜厚が10nmよりも厚いと駆動電圧を増加させなければならない。したがって、難溶化層(4)の膜厚を10nm以下にすると良い。
請求項ないし15に記載の発明は、上記請求項1ないしに記載の発明の製造方法に関するものである。
具体的には、請求項に記載したように、電極基板(1)を用意し、該電極基板(1)の上にホール注入電極(2)を形成する工程と、ホール注入電極(2)の上に、低分子材料にて構成された低分子ホール輸送層(3)を形成する工程と、低分子ホール輸送層(3)を有機酸にて表面処理することで難溶化層(4)を形成する工程と、難溶化層(4)の表面に、高分子材料にて構成された高分子発光層(5)を形成する工程と、高分子発光層(5)の上に電子注入電極(6)を形成する工程と、を有する製造方法により、請求項1に記載の有機EL素子を製造することができる。
このように、低分子ホール輸送層(3)を有機酸にて表面処理することで難溶化層(4)を形成することができる。表面処理によって構成される難溶化層4の詳細構造に関しては定かではないが、低分子ホール輸送層3の表面に有機酸がフィルム状にコーティングされた状態、低分子ホール輸送層3内に有機酸を構成する分子が取り込まれて低分子材料との混合物となっている状態、もしくは、低分子ホール輸送層3を構成する低分子材料と化学反応して有機酸化合物となった状態のいずれかと想定される。このような製造方法により、請求項1に記載の有機EL素子を製造することができる。
例えば、請求項に記載したように、難溶化層(4)を形成する工程では、低分子ホール輸送層(3)に対して有機酸を含む溶液を塗布することで難溶化層(4)を形成することができる。また、請求項に記載したように、難溶化層(4)を形成する工程では、低分子ホール輸送層(3)の表面を、有機酸を含む蒸気中に曝すことで難溶化層(4)を形成することもできる。
また、請求項15に記載したように、高分子発光層(5)を形成したのち、加熱処理を行うことにより、有機酸を揮発除去することもできる。
このように、加熱処理によって有機酸を揮発除去することで、加熱処理を行っていない同様構成の有機EL素子と比較して、更に発光効率を向上させることが可能になる。
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。
(第1実施形態)
図1は、本発明の実施形態に係る有機EL素子100の構成を示す概略断面図である。この図に示されるように、基板1の上に、ホール注入電極2、低分子ホール輸送層3、難溶化層4、高分子発光層5および電子注入電極6が順に積層された構造により、本実施形態にかかる有機EL素子100が構成されている。
このような構造の有機EL素子100は、例えば次のようにして製造される。まず、基板1の上にホール注入電極2を形成したのち、低分子ホール輸送層3を真空蒸着法により形成する。続いて、低分子ホール輸送層3の表面に有機酸による表面処理を行うことにより、低分子ホール輸送層3と高分子発光層5の界面に難溶化層4を形成する。そして、高分子発光層5を塗布法にて形成したのち、電子注入電極6を真空蒸着法にて形成する。最後に、乾燥窒素雰囲気中にて図示しない金属缶の貼り合わせによる封止を行うことにより、図1に示す有機EL素子100が製造される。各工程間の搬送方法は特に限定されるものではないが、乾燥雰囲気中での搬送であることが望ましい。
なお、有機酸による表面処理、高分子発光層の形成及び封止工程は限定されるものではないがグローブボックス等の乾燥不活性ガス雰囲気中で行われることが望ましい。また、封止方法は金属缶による封止以外にも、ガラスもしくはバリア付きフィルムの貼り合わせによる封止やシリコン窒化膜などの薄膜を直接形成する薄膜封止手法など様々な封止手法が適用可能である。
基板1は、例えば、透明なガラス、石英ガラス、バリア膜付きの樹脂基板や金属基板等よりなる電極基板で構成されている。
ホール注入電極2は、透明または半透明の電極を形成することのできる任意の導電性物質にて形成されている。具体的には、酸化物として酸化インジウム錫(ITO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)、酸化錫、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化亜鉛アルミニウム、酸化亜鉛ガリウム、酸化チタンニオブ等を使用することができる。ただし、それらのうちでも特にITOは、低抵抗であること、耐溶剤性があること、透明性に優れていることなどの利点を有する好適な材料である。更に、アルミニウム、金、銀等の金属材料を蒸着して半透明の層を成膜しても良いし、ポリアニリン等の有機半導体を用いても良く、更に、その他の方法を用いることも可能である。ホール注入電極に対しては、必要に応じてエッチングによりパターニングを行っても良いし、UV処理やプラズマ処理などにより表面の活性化を行ってもよい。
低分子ホール輸送層3は、有機酸との酸−塩基反応効果が得られ、ホール輸送性の高いトリフェニルアミン誘導体材料であることが望ましい。高分子発光層5を形成するための高分子材料塗布後に行われる溶媒乾燥工程において通常は120℃程度の加熱が行われるが、この加熱工程が低分子材料のガラス転移点を超えると低分子材料の凝集による界面荒さの増大や両者の混合などが起こって特性が悪化してしまうので、低分子材料のガラス転移点が高分子材料塗布後の溶媒乾燥温度以上、すなわち120℃以上の材料を低分子ホール輸送層3として用いるのが好ましい。これら条件を満たすものとして、具体的には、化学式1〜6に示す材料があげられる。
Figure 0005217835
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化学式1は、N, N, N', N', N'', N''-Hexakis(4'-methyl-biphenyl-4-yl)-benzene-1,3,5-triamine(分子量1119、ガラス転移点観測されず、融点402℃)、化学式2は、TPT(N, N'-bis(4-diphenylamino-4'-biphenyl)-N,N'-diphenyl-4,4'-diaminobiphenyl)(分子量975、ガラス転移点143℃)、化学式3は、TBPB(N, N, N', N'-tetrakis(4-biphenyl)-4,4'-diaminobiphenyl)(分子量793、ガラス転移点131.8℃)、化学式4は、Spiro-1-TAD(2,2',7,7'-tetrakis(diphenylamino)spiro-9,9'-bifluorene)(分子量973、ガラス転移点133℃)、化学式5は、t-Bu-TBATA(N, N, N', N', N'', N''-Hexakis(4'-tert-butylbiphenyl-4-yl)-tris(4-aminophenyl)amine)(分子量1540、ガラス転移点203℃)、化学式6は、N, N, N', N',-Tetrakis(4'-methylbiphenyl-4-yl)- N'', N''-bis(4'-methylphenyl-4-yl)-1,3,5-triaminobenzene(分子量967、ガラス転移点 180℃)を表している。なお、ここでは化学式1〜6に示されたトリフェニルアミン誘導体材料の具体例に挙げたが、これら具体例に限定されるものではない。このような低分子ホール輸送層3に関しては、例えば、真空中にて低分子材料を加熱蒸発させて薄膜を形成する真空蒸着法により形成することができる。
また、低分子ホール輸送層3の構成材料の昇華温度は、真空度1Pa時において300℃以上であることが望ましい。これは、昇華温度が300℃より低いと、10−5Pa以下の高真空下で蒸着膜を形成する場合に蒸着温度が200℃以下になり、蒸着速度を制御することが困難になって、均一な膜密度の蒸着膜を形成することができないためである。
低分子ホール輸送層3の形成手法として真空蒸着法を例に挙げたが、真空蒸着法以外にも、インクジェットや印刷やスピンコート等の塗布法、レーザー転写(LITI)法、気相成長法などを用いても構わない。ただし、有機EL素子の車載化のためには低分子ホール輸送層3の品質が重要であり、形成された膜の純度・密度・平坦性などを考えると最も高品質な膜が得られる真空蒸着法での形成が最も望ましい。さらに、形成された低分子ホール輸送層をさらに高品質化するために熱処理を行っても良い。
なお、ここでは、低分子ホール輸送層3を単層ホール注入電極2の上に形成した場合について説明したが、必ずしも単層構造にする必要はない。例えば、最も高分子発光層5側に有機酸処理効果の高い低分子ホール輸送層を配置すると共に、この下に、より低コストもしくはホール移動度のより高い低分子ホール輸送層を配置したり、ホール注入効率のより高いホール注入層を積層した構造としても良い。このような構造にすることで有機EL素子のさらなる低コスト化や駆動電圧低減が可能となる。
難溶化層4は、上述したように、低分子ホール輸送層3の表面に有機酸による表面処理を行うことにより形成される。表面処理によって構成される難溶化層4の詳細構造に関しては定かではないが、低分子ホール輸送層3の表面に有機酸がフィルム状にコーティングされた状態、低分子ホール輸送層3内に有機酸を構成する分子が取り込まれて低分子材料との混合物となっている状態、もしくは、低分子ホール輸送層3を構成する低分子材料と化学反応して有機酸化合物となった状態のいずれかと想定される。
難溶化層4を形成するための表面処理に用いられる有機酸としては、スルホン酸化合物、カルボン酸化合物、ヒドロキシ化合物、チオール化合物、エノール化合物、もしくは有機リン酸化合物が挙げられる。特に、酸性の強いスルホン酸化合物が望ましく、次にカルボン酸化合物、有機リン酸化合物が望ましい。具体的には、スルホン酸化合物としては、ベンゼンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、エタンスルホン酸が挙げられる。カルボン酸化合物としては、4−メチル安息香酸、酢酸、蟻酸、シュウ酸、フタル酸、マロン酸が挙げられる。ヒドロキシ化合物としては、フェノール、ピクリン酸が挙げられる。チオール化合物としては、1−プロパンチオール、エノール化合物としてはペンタンジオン、有機リン酸化合物としてはビス(2−エチルヘキシル)フォスフェイトなどが挙げられる。
難溶化層4を形成するための有機酸による低分子ホール輸送層3の表面処理方法としては、有機酸を含む溶液をスピンコート法、ディップ法、スプレー法等で塗布する手法や有機酸を含む蒸気中に曝す手法などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。ただし、量産性などを考慮すると前述の二つの手法が望ましい。また、表面処理を行った後、余剰有機酸を除去するために、アルコールや炭化水素系溶媒等の有機溶媒や水溶液によるリンスを行ったり、低分子ホール輸送層3を加熱しても良い。このように、余剰有機酸を後で除去することも可能であるため、有機酸を含む溶液の濃度や有機酸の蒸気濃度は、低分子ホール輸送層の材料の分子構造を変質させない限り、特に限定されない。また、加熱処理を行うことにより有機酸を揮発除去しても良い。加熱処理温度は低分子ホール輸送層3の構成材料のガラス転移点以下、ガラス転移点がない場合は融点以下にすることが望ましい。これにより界面に異種化合物である有機酸を低下させられるために、駆動電圧のさらなる低減や長寿命化が可能となる。但し、有機酸を揮発させる場合に、低分子ホール輸送材料と有機酸との酸−塩基反応による結合の一部が分解し難溶性が低下する場合があるため、効果を発現させるためには発光層塗布液溶媒への溶解度の低い低分子ホール輸送材料との組み合わせが望ましい。
さらに、難溶化効果をさらに強固なものにするために、熱処理を行っても良い。ただし、熱処理温度は低分子ホール輸送層3を構成する低分子材料のガラス転移点以下、ガラス転移点がない場合は融点以下にすることが望ましい。
また、難溶化層4の膜厚は10nm以下が好ましい。これは、難溶化層4は低分子ホール輸送層3と比べてのホール移動度が低くなるためであり、難溶化層4の膜厚が10nmよりも厚いと駆動電圧を増加させるためである。
高分子発光層5は、高分子有機発光材料により構成されている。高分子有機発光材料としては、ポリフルオレン(PFO)系高分子、ポリフェニレンビニレン(PPV)系高分子、ポリビニルカルバゾール(PVK)系高分子などを用いることができ、蛍光性色素や燐光性色素を前記高分子やポリスチレン系高分子、ポリチオフェン系高分子、ポリメチルメタクリレート系高分子等に分散させたもの等も用いることができる。これら高分子有機発光材料を、例えば、トルエン、キシレン、アセトン、アニソール、メチルアニソール、ジメチルアニソール、テトラリン、安息香酸エチル、安息香酸メチル、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、酢酸エチル、酢酸ブチル、水などの単独または混合溶媒に溶解させて塗布液を調製し、その塗布液を使用した塗布法により高分子発光層を形成することができる。それら溶媒のうちでも特に、トルエン、キシレン、アニソール、メチルアニソール、ジメチルアニソール、テトラリン、安息香酸エチル、安息香酸メチル等の芳香族系溶媒は、高分子有機発光材料の溶解性が良く扱いも容易であることから、より好ましい溶媒である。
高分子発光層5を形成する際の塗布法としては、スピンコート法、インクジェット法、印刷法、ディップコート法、スプレー法等の手法を用いることができる。また、高分子発光層を塗布法で形成する際に溶媒を揮発させるために高温乾燥処理を行うが、この処理温度が低分子ホール輸送層材料のガラス転移点を超えると界面での両者の混合による特性の悪化などが起こってしまうため、低分子ホール輸送層材料のガラス転移点は一般的に用いられている乾燥温度である120℃以上であることが望ましい。
電子注入電極6は、例えば低仕事関数電極構造で構成される。電子注入電極6としては、アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属、アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属とアルミニウム等の金属電極との積層、アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属のハロゲン化物とアルミニウム等の金属電極との積層などを用いることができ、具体的にはAl/Ca、Al/Ba、Al/Li、Al/LiF、Al/CsF、Al/Ca/LiFなどで構成される。
このようにして、本実施形態にかかる有機EL素子100が構成、製造される。次に、このような有機EL素子100の作用および効果について説明する。
本実施形態にかかる有機EL素子100では、真空蒸着法で形成される低分子ホール輸送層3と塗布法で形成される高分子発光層5との積層構造を採用することにより、低分子型有機EL素子や高分子型有機EL素子それぞれの問題を解決することが可能となる。
すなわち、高分子型有機EL素子において問題となっている高分子ホール輸送層を、高温耐久性が高く安定した特性を有する真空蒸着法で形成された低分子ホール輸送層3に置き換えた高分子/低分子積層型有機EL素子とすることで、高温耐久性、寿命、駆動に伴う電圧上昇を改善することが可能となる。また、真空蒸着工程が2工程に増えるために高分子型有機EL素子よりは若干製造コストが高くなるものの、全工程真空蒸着が必要な低分子型有機EL素子と比較すれば、製造コストを低くすることが可能となる。
このため、本実施形態の有機EL素子100を例えば車載表示素子、特にセグメント表示素子として用いることが可能となる。
このような高分子/低分子積層型有機EL素子とする場合、低分子ホール輸送層3の上に高分子発光層5を塗布法で形成することになるため、低分子ホール輸送層3の構成材料が高分子発光層5の塗布液の溶媒に溶け出し、界面混合層が形成されるため発光効率が低下してしまう可能性がある。
しかしながら、本実施形態では、低分子ホール輸送層3を有機酸で表面処理している。これにより、詳細構造に関しては定かではないが、表面処理によって低分子ホール輸送層3と高分子発光層5との界面において難溶化層4を形成することができる。この難溶化層4を形成した状態で実験を行ったところ、難溶化層4の表面に高分子発光層5を塗布法で形成しても、低分子ホール輸送材料の高分子発光層塗布液の溶媒への溶け出しはほとんど無いことが確認された。例えば、難溶化層4が低分子ホール輸送層3の構成材料と有機酸との化学反応物によって構成されているのであれば、酸−塩基反応による強固な結合を持った有機酸化合物が表面近傍の薄い領域に形成された状態となり、この有機酸化合物が塗布液の溶媒に対して極めて難溶であるために、上記のような結果となったと考えられる。同様に、低分子ホール輸送層3の表面に有機酸がフィルム状にコーティングされた状態、もしくは、低分子ホール輸送層3内に有機酸を構成する分子が取り込まれて低分子材料との混合物となっている状態であっても、塗布液の溶媒に対して極めて難溶であるために、上記のような結果になると考えられる。
したがって、本実施形態のように、低分子ホール輸送層3を有機酸で表面処理することにより、発光効率の低下を抑制することができ、有機EL素子100を高効率な高分子/低分子積層型有機EL素子とすることが可能となる。また、高効率化はさらなる素子の長寿命化に繋がる。さらに、有機酸による難溶化手法は、架橋性有機化合物を重合させて難溶化する手法に比べて、不安定な架橋性官能基を含まないために特性が長期にわたって安定であり、重合しきれなかったラジカルによる短寿命化現象も起こらないために素子の長寿命化も可能となる。このため、有機EL素子100を低コストで高温耐久性が高く長寿命が要求される車載用表示素子、特にセグメント表示素子として用いることが可能となる。
以下、上記実施形態に対応した各種実施例について説明する。
(実施例1)
まず、基板1としてガラス基板を用い、このガラス基板上にホール注入電極2となるITO電極を150nm形成した。次に、低分子ホール輸送層3として、上述した化学式1で示されるN, N, N', N', N'', N''-Hexakis(4'-methyl-biphenyl-4-yl)-benzene-1,3,5-triamine(分子量1119、ガラス転移点観測されず、融点402℃)を真空蒸着法で60nm形成し、この上に2−プロパノールに有機酸としてドデシルベンゼンスルホン酸を0.7重量%溶解させた溶液をスピンコート法で塗布することで難溶化層4を形成し、さらに2−プロパノールでリンスした後120℃で熱処理を行った。
続いて、この難溶化層4の上に、アメリカンダイソース社製Poly[(9,9-dioctylfluorenyl-2,7-diyl)-co-(1,4-benzo-[2,1',3]-thiadiazole)] (ADS233YE)を精製して重量平均分子量40000とした高分子発光材料をキシレン溶媒に溶解させた塗布液を用いてスピンコート法で塗布したのち、120℃で乾燥させることにより高分子発光層5を100nm形成した。
さらに、電子注入電極6として、Al/Ca電極を真空蒸着法で形成したのち、最後にグローブボックス中で金属缶と素子が形成されたガラス基板とを光硬化樹脂で貼り合わせて作製素子を封止した試料を用意した。
また、比較例1として、有機酸による表面処理を行わなかった以外は本実施例1と同様の構成の試料を用意した。
そして、実施例1の試料の単位電流密度あたりの最大発光効率をI(cd/A)、比較例1の試料の最大発光効率をI0(cd/A)とした時のI/IOの値は、2.9となった。この結果より、有機酸による表面処理を行わず、難溶化層4が形成されていない場合と比べて、大きな発光効率が得られており、高効率化が可能であることが確認された。
なお、ここではドデシルベンゼンスルホン酸溶液の濃度を0.7重量%としたが、この濃度については特に限定されるものではなく、濃度30重量%のものを用いても上記とほぼ同様の結果が得られることを確認している。
(実施例2)
本実施例では、実施例1とは異なる有機酸を用い、実施例1と同様の手法により有機EL素子100の試料を製造した。具体的には、有機酸としてパラトルエンスルホン酸を用いた。
そして、本実施例の試料の単位電流密度あたりの最大発光効率をI(cd/A)、比較例1の試料の最大発光効率をI0(cd/A)とした時のI/IOの値は、1.3となった。この結果から、有機酸として有機酸の種類を変更しても、大きな発光効率が得られ、高効率化が可能であることが確認された。
(実施例3)
本実施例でも、実施例1とは異なる有機酸を用い、実施例1と同様の手法により有機EL素子100の試料を製造した。具体的には、有機酸として有機酸をエタンスルホン酸を用いた。
そして、本実施例の試料の単位電流密度あたりの最大発光効率をI(cd/A)、比較例1の試料の最大発光効率をI0(cd/A)とした時のI/IOの値は、3.1となった。この結果から、有機酸として有機酸の種類を変更しても、大きな発光効率が得られ、高効率化が可能であることが確認された。
(実施例4)
本実施例でも、実施例1とは異なる有機酸を用い、実施例1と同様の手法により有機EL素子100の試料を製造した。具体的には、有機酸として有機酸を酢酸を用いた。
そして、本実施例の試料の単位電流密度あたりの最大発光効率をI(cd/A)、比較例1の試料の最大発光効率をI0(cd/A)とした時のI/IOの値は、1.5となった。この結果から、有機酸として有機酸の種類を変更しても、大きな発光効率が得られ、高効率化が可能であることが確認された。
(実施例5)
本実施例でも、実施例1とは異なる有機酸を用い、実施例1と同様の手法により有機EL素子100の試料を製造した。具体的には、有機酸として有機酸をビス(2−エチルヘキシル)フォスフェイトを用いた。
そして、本実施例の試料の単位電流密度あたりの最大発光効率をI(cd/A)、比較例1の試料の最大発光効率をI0(cd/A)とした時のI/IOの値は、2.0となった。この結果から、有機酸として有機酸の種類を変更しても、大きな発光効率が得られ、高効率化が可能であることが確認された。
(実施例6)
本実施例では、有機酸を含む蒸気中に低分子ホール輸送層3の表面を曝す手法により難溶化層4を形成し、それ以外に関しては実施例1と同様の手法により有機EL素子100の試料を製造した。具体的には、有機酸としてエタンスルホン酸を用い、処理法として窒素ガス中でエタンスルホン酸を80℃に熱することで飽和蒸気圧状態にした雰囲気中に低分子ホール輸送層3の表面を2時間暴露させる手法を行った。
そして、本実施例の試料の単位電流密度あたりの最大発光効率をI(cd/A)、比較例1の試料の最大発光効率をI0(cd/A)とした時のI/IOの値は、3.4となった。この結果から、有機酸として有機酸の種類を変更しても、大きな発光効率が得られ、高効率化が可能であることが確認された。
(実施例7)
本実施例でも、有機酸を含む蒸気中に低分子ホール輸送層3の表面を曝す手法により難溶化層4を形成し、それ以外に関しては実施例1と同様の手法により有機EL素子100の試料を製造した。具体的には、有機酸として酢酸を用い、処理法として窒素ガス中で酢酸を50℃に熱することで飽和蒸気圧状態にした雰囲気中に低分子ホール輸送層表面を2時間暴露させる手法を行った。
そして、本実施例の試料の単位電流密度あたりの最大発光効率をI(cd/A)、比較例1の試料の最大発光効率をI0(cd/A)とした時のI/IOの値は、3.0となった。この結果から、有機酸として有機酸の種類を変更しても、大きな発光効率が得られ、高効率化が可能であることが確認された。
(実施例8)
本実施例では、有機酸による表面処理を行い高分子層を形成した後、加熱処理を行うことで有機酸を揮発除去する工程を行ったが、それ以外に関しては実施例1と同様の手法により有機EL素子100の試料を製造した。具体的には、有機酸を酢酸とし、高分子発光層5を形成後150℃10分の加熱処理を行った。
そして、本実施例の試料の単位電流密度あたりの最大発光効率をI(cd/A)、比較例1の試料の最大発光効率をI0(cd/A)とした時のI/IOの値は、2.3となった。この結果から、有機酸として有機酸の種類を変更しても、大きな発光効率が得られ、高効率化が可能であることが確認された。
(実施例1〜8についての考察)
図2は、上記各実施例の単位電流密度あたりの最大発光効率I(cd/A)と比較例1の最大発光効率I0(cd/A)との比較結果I/I0をまとめた図表である。
この図から分かるように、いずれの実施例も比較例1に比べて大きな発光効率が得られていることから、上記実施形態に示した有機EL素子100にて、高効率化が可能であることが分かる。
また、実施例8では加熱処理により酢酸を揮発除去しているため、同様構成の実施例4と比較して更に発光効率を向上させることが可能になっている。このことから、加熱処理などを行って有機酸を揮発除去することが有効であることが分かる。
また、各実施例で使用したいずれの有機酸でも発光効率の向上が見られたが、その中でも実施例3及び6のエタンスルホン酸が特に高い発光効率が得られた。これは、エタンスルホン酸は揮発性が高く、難溶化層4の形成において過剰であったエタンスルホン酸が素子形成中に揮発したためと思われる。
また、実施例7の酢酸の蒸気を用いた場合も同様に、過剰の酢酸が素子形成中に揮発したため、高い発光効率が得られたものと思われる。このように、揮発性の高い有機酸を用いると、低分子ホール輸送材料の難溶化処理をより最適に行うことができ、有機EL素子100を低コストで高温耐久性が高く高効率で長寿命なものにすることが可能となる。
また、図3は、実施例6及び比較例1を初期輝度600cd/m2にて25℃環境下で定電流駆動した場合の各輝度の時間変化を示した図である。この図から、実施例6は比較例1と比べて輝度の低下が少なく、安定で長寿命な素子であることが分かる。ここでは、実施例6を例に挙げたが、他の実施例においても同様の結果となる。このことからも、上記実施形態に示した有機EL素子100は長寿命化が図れていることが判る。
(実施例9)
本実施例では、実施例1とは異なる構成材料によって低分子ホール輸送層3を構成したもおのであり、その他関しては、実施例1と同様の手法により有機EL素子100の試料を製造した。具体的には、上述した化学式2で示されたTPTを低分子ホール輸送層3の構成材料として用いた。
また、比較例2として、有機酸による表面処理を行わなかった以外は本実施例9と同様の構成の試料を用意した。
そして、本実施例の試料の単位電流密度あたりの最大発光効率をI(cd/A)、比較例2の試料の最大発光効率をI0(cd/A)とした時のI/IOの値は、1.4となった。この結果から、低分子ホール輸送層3の構成材料を変更しても、大きな発光効率が得られ、高効率化が可能であることが確認された。
(実施例10)
本実施例でも、実施例1とは異なる構成材料によって低分子ホール輸送層3を構成したもおのであり、その他関しては、実施例1と同様の手法により有機EL素子100の試料を製造した。具体的には、上述した化学式3で示されたTBPBを低分子ホール輸送層3の構成材料として用いた。
また、比較例3として、有機酸による表面処理を行わなかった以外は本実施例10と同様の構成の試料を用意した。
そして、本実施例の試料の単位電流密度あたりの最大発光効率をI(cd/A)、比較例3の試料の最大発光効率をI0(cd/A)とした時のI/IOの値は、1.8となった。この結果から、低分子ホール輸送層3の構成材料を変更しても、大きな発光効率が得られ、高効率化が可能であることが確認された。
以上の結果より、上記実施形態に示した有機EL素子100の低分子ホール輸送層3の構成材料として複数のトリフェニルアミン誘導体材料が有効であると言える。
本発明の一実施形態で説明する有機EL素子100の断面図である。 各実施例で示した試料と比較例の試料それぞれの最大発光効率の比を示した図表である。 実施例6及び比較例1を初期輝度600cd/m2にて25℃環境下で定電流駆動した場合の輝度の時間変化を示した図である。
符号の説明
1 基板
2 ホール注入電極
3 低分子ホール輸送層
4 難溶化層
5 高分子発光層
6 電子注入層

Claims (15)

  1. 電極基板(1)と、
    前記電極基板(1)の上に形成されたホール注入電極(2)と、
    前記ホール注入電極(2)の上に形成され、低分子材料にて構成された低分子ホール輸送層(3)と、
    前記低分子ホール輸送層(3)を有機酸にて表面処理することで形成された難溶化層(4)と、
    前記難溶化層(4)の表面に形成され、高分子材料にて構成された高分子発光層(5)と、
    前記高分子発光層(5)の上に形成された電子注入電極(6)と、を有し、
    前記有機酸がスルホン酸化合物、カルボン酸化合物、もしくは有機リン酸化合物であることを特徴とする有機EL素子。
  2. 前記低分子ホール輸送層(3)がトリフェニルアミン誘導体材料で構成されていることを特徴とする請求項に記載の有機EL素子。
  3. 前記前記低分子ホール輸送層(3)の構成材料のガラス転移点、もしくはガラス転移点がない場合は融点が120℃以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の有機EL素子。
  4. 前記低分子ホール輸送層(3)の構成材料の真空度1Pa時の昇華温度が300℃以上であることを特徴とする請求項1ないしのいずれか1つに記載の有機EL素子。
  5. 前記難溶化層(4)の膜厚が10nm以下であることを特徴とする請求項1ないしのいずれか1つに記載の有機EL素子。
  6. 電極基板(1)を用意し、該電極基板(1)の上にホール注入電極(2)を形成する工程と、
    前記ホール注入電極(2)の上に、低分子材料にて構成された低分子ホール輸送層(3)を形成する工程と、
    前記低分子ホール輸送層(3)を有機酸にて表面処理することで難溶化層(4)を形成する工程と、
    前記難溶化層(4)の表面に、高分子材料にて構成された高分子発光層(5)を形成する工程と、
    前記高分子発光層(5)の上に電子注入電極(6)を形成する工程と、を有することを特徴とする有機EL素子の製造方法。
  7. 前記難溶化層(4)を形成する工程では、前記低分子ホール輸送層(3)に対して有機酸を含む溶液を塗布することで前記難溶化層(4)を形成することを特徴とする請求項に記載の有機EL素子の製造方法。
  8. 前記難溶化層(4)を形成する工程では、前記低分子ホール輸送層(3)の表面を、有機酸を含む蒸気中に曝すことで前記難溶化層(4)を形成することを特徴とする請求項に記載の有機EL素子の製造方法。
  9. 前記難溶化層(4)を形成する工程では、有機酸としてスルホン酸化合物、カルボン酸化合物、ヒドロキシ化合物、チオール化合物、エノール化合物、もしくは有機リン酸化合物を用いることを特徴とする請求項6ないし8のいずれか1つに記載の有機EL素子の製造方法。
  10. 前記低分子ホール輸送層(3)を形成する工程では、前記低分子ホール輸送層(3)を真空蒸着法にて形成し、
    前記高分子発光層(5)を形成する工程では、前記高分子発光層(5)を塗布法で形成することを特徴とする請求項6ないし9のいずれか1つに記載の有機EL素子の製造方法。
  11. 前記低分子ホール輸送層(3)を形成する工程では、前記低分子ホール輸送層(3)の構成材料としてトリフェニルアミン誘導体材料を用いることを特徴とする請求項6ないし10のいずれか1つに記載の有機EL素子の製造方法。
  12. 前記低分子ホール輸送層(3)を形成する工程では、前記低分子ホール輸送層(3)の構成材料としてガラス転移点、もしくはガラス転移点がない場合は融点が120℃以上の材料を用いることを特徴とする請求項6ないし11のいずれか1つに記載の有機EL素子の製造方法。
  13. 前記低分子ホール輸送層(3)を形成する工程では、前記低分子ホール輸送層(3)の構成材料として真空度1Pa時の昇華温度が300℃以上の材料を用いることを特徴とする請求項6ないし12のいずれか1つに記載の有機EL素子の製造方法。
  14. 前記難溶化層(4)を形成する工程では、前記難溶化層(4)の膜厚を10nm以下となるようにすることを特徴とする請求項6ないし13のいずれか1つに記載の有機EL素子の製造方法。
  15. 前記高分子発光層(5)を形成したのち、加熱処理を行うことにより、前記有機酸を揮発除去することを特徴とする請求項6ないし14のいずれか1つに記載の有機EL素子の製造方法。
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