JP5360010B2 - 有機el素子の製造方法 - Google Patents

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本発明は、第1有機層の上に第2有機層を積層してなる有機EL(エレクトロルミネッセンス)素子の製造方法に関するものである。
従来より、ガラス等の基板上に、ホール注入電極、有機層、電子注入電極が順に積層されてなる有機EL素子が知られている。具体的には、有機層は、ホールの注入特性や輸送性を向上させると共に電子をブロックする第1有機層としてのホール輸送層と、発光に寄与する第2有機層としての発光層とを有する構成とされており、ホール注入電極上に、ホール輸送層、発光層が順に積層されて構成されている。
このような有機EL素子は、ホール注入電極と電子注入電極との間に電界を印加することで、ホール注入電極からホールが発光層に注入されると共に、電子注入電極から電子が発光層に注入され、発光層にてこれらが再結合することで発光が行われる。
このような有機EL素子は、例えば、ホール輸送層と発光層とを混在させずに積層することができる真空蒸着法により製造されるが、真空蒸着法は、真空蒸着装置(真空蒸着チャンバー)が何台も連なった大型の装置が必要となるため、製造コストが非常に高くなるという問題がある。
このため、最近では、有機EL素子を安価に製造することができる塗布法が注目されている。塗布法は、有機材料を有機溶媒に溶解して塗布液を調製し、スピン塗布法やインクジェット法等で下地膜の上に塗布液を塗布した後に有機溶媒を蒸発させて有機層を形成する手法である。しかしながら、この塗布法では、例えば、発光層を形成する場合、下地膜となるホール輸送層の上に塗布液を塗布したときに、ホール輸送層が有機溶媒に溶解してしまうことがあるという問題がある。
このため、ホール輸送層を、有機溶媒に不溶であるポリエチレンジオキシチオフェン−ポリスチレンスルホネ−ト(以下では、単にPEDOT:PSSという)を用いて形成し、有機溶媒にホール輸送層が溶解することを抑制することが知られている。
しかしながら、このPEDOT:PSSは、強酸性材料であるため、ホール輸送層の下地膜となるホール注入電極の腐食を引き起こしてしまう可能性があり、輝度寿命等の耐久性能が問題となる。
このような問題を解決するため、例えば、特許文献1には、エチレン性不飽和結合を有するトリアリールアミンをホール注入電極表面に塗布した後、これに紫外線を照射してトリアリールアミンをそのエチレン性不飽和結合によって架橋させてホール輸送層を形成し、ホール輸送層が有機溶媒に溶解することを抑制することが開示されている。
また、例えば、特許文献2には、低分子有機材料で構成したホール輸送層を有機酸にて表面処理することで難溶化層を形成し、難溶化層の上に発光層を形成することにより、ホール輸送層が有機溶媒に溶解することを抑制することが開示されている。
特開2005−340042号公報 特開2010−80459号公報
しかしながら、上記特許文献1の有機EL素子の製造方法では、不安定な架橋性官能基を含む材料を用いる必要があるために素子特性が不安定になり易いという問題がある。
また、上記特許文献2の有機EL素子の製造方法では、ホール輸送層を有機酸にて表面処理して難溶化層を形成しているが、ホール輸送層内に有機酸が残存することがあり、素子特性が低下する可能性があるという問題がある。
本発明は上記点に鑑みて、有機溶媒に第1有機層が溶解することを抑制することができると共に、信頼性を向上させることができる有機EL素子の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討を行った。そして、ガラス転移点温度および結晶化温度を有さない低分子有機材料を用いて第1有機層を形成し、当該第1有機層を加熱処理して緻密化することにより、つまり、第1有機層の分子間の相互作用を強くすることにより、第1有機層が有機溶媒に溶解されることを抑制することができることを見出した。
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、基板(1)を用意し、該基板(1)の上に下部電極(2)を形成する工程と、下部電極(2)の上に、ガラス転移点温度および結晶化温度を有さない低分子有機材料にて構成された第1有機層(3)を形成する第1有機層形成工程と、第1有機層(3)を加熱処理して当該第1有機層(3)を緻密化させる加熱工程と、第1有機層(3)上に、第2有機層(4)を塗布法により形成する第2有機層形成工程と、を含み、低分子有機材料として化学式1で示される化合物を用い、加熱工程の前に、第1有機層(3)の蛍光スペクトルを測定する第1蛍光スペクトル測定工程を行い、加熱工程の後に、再び第1有機層(3)の蛍光スペクトルを測定する第2蛍光スペクトル測定工程を行い、第2有機層形成工程は、第2蛍光スペクトル測定工程にて測定した蛍光スペクトルの極大波長が、第1蛍光スペクトル測定工程にて測定した蛍光スペクトルの極大波長より3nm以上長くなったものに対して行うことを特徴としている。
Figure 0005360010
このような有機EL素子の製造方法では、第1有機層(3)を加熱処理して緻密化している。つまり、第1有機層(3)を加熱処理して分子間の相互作用を強くしている。このため、第1有機層(3)の上に第2有機層(4)を塗布法で形成した場合、有機溶媒に第1有機層(3)が溶解することを抑制することができる。また、第1有機層(3)は、不安定な架橋性官能基を含む材料を用いて構成する必要がなく、また、内部に有機酸が残存していることもないため、信頼性を向上させることができる。
そして、第2蛍光スペクトル測定工程で測定された極大波長が第1蛍光スペクトル測定工程で測定された極大波長より3nm以上長いときに、第2有機層形成工程を行っている。つまり、加熱工程にて第1有機層(3)が十分に緻密化されたものに対して第2有機層形成工程を行っている。これにより、第2有機層(4)を形成した際に有機溶媒に第1有機層(3)が溶解されることを確実に抑制することができ、有機EL素子の信頼性を向上させることができると共に不良品が製造されることを抑制することができる。
また、請求項に記載の発明のように、請求項に記載の発明において、第1、第2蛍光スペクトル測定工程を不活性ガス雰囲気下で行い、加熱工程を真空雰囲気下または不活性ガス雰囲気下で行い、第1蛍光スペクトル測定工程と加熱工程との間の基板(1)の搬送を真空雰囲気下または不活性ガス雰囲気下で行い、加熱工程と第2蛍光スペクトル測定工程との間の基板(1)の搬送を真空雰囲気下または不活性ガス雰囲気下で行うことができる。
さらに、請求項3または4に記載の発明では、加熱工程は、第1有機層(3)を130℃以上200℃未満の温度に加熱することを特徴としている
そして、請求項に記載の発明のように、第1有機層形成工程では、第1有機層(3)としてホール輸送層を形成し、第2有機層形成工程では、第2有機層(4)として発光層を形成することができる。
なお、この欄および特許請求の範囲で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
本発明の第1実施形態における有機EL素子の構成を示す概略断面図である。 (a)は、実施例1、2および比較例1、2の加熱温度と、加熱後の加熱前に対する蛍光スペクトルの極大波長の差との関係を示す図であり、(b)は、実施例1、2および比較例1、2の加熱温度と、ホール輸送層の膜厚との関係を示す図である。 (a)は、比較例3〜6の加熱温度と、加熱後の加熱前に対する蛍光スペクトルの極大波長の差との関係を示す図であり、(b)は、比較例3〜6の加熱温度と、ホール輸送層の膜厚との関係を示す図である。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態について説明する。図1は、本実施形態における有機EL素子の構成を示す概略断面図である。この図に示されるように、有機EL素子は、基板1の上に、ホール注入電極2、ホール輸送層3、発光層4および電子注入電極5が順に積層されて構成されている。なお、本実施形態では、ホール注入電極2が本発明の下部電極に相当し、ホール輸送層3が第1有機層に相当し、発光層4が本発明の第2有機層に相当している。
このような構造の有機EL素子は、例えば次のようにして製造される。
まず、透明なガラス、石英ガラス、バリア膜付きの樹脂基板や金属基板よりなる電極基板等で構成された基板1を用意し、基板1の上にホール注入電極2を形成する。
ホール注入電極2は、透明または半透明の電極を形成することのできる任意の導電性物質を用いて構成されている。具体的には、酸化物として酸化インジウム錫(ITO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)、酸化錫、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化亜鉛アルミニウム、酸化亜鉛ガリウム、酸化チタンニオブ等を使用することができる。ただし、これらのうちでも特にITOは、低抵抗であること、透明性に優れていること等の利点を有する好適な材料である。更に、アルミニウム、金、銀等の金属材料を蒸着して半透明の層を成膜する方法や、ポリアニリン等の有機半導体を用いる方法もあり、更に、その他の方法を用いることも可能である。また、ホール注入電極2に対して、必要に応じてエッチング等によりパターニングを行っても良いし、UV処理やプラズマ処理等により表面の活性化を行ってもよい。
続いて、ホール注入電極2の上に、ホール輸送層3を、例えば、真空蒸着法により形成する。このホール輸送層3は、ガラス転移点温度および結晶化温度を有さない低分子有機材料を用いて構成されており、例えば、下記化学式2で示す材料を用いて構成される。
Figure 0005360010
その後、不活性ガス雰囲気下で、ホール輸送層3の蛍光スペクトルを測定する第1蛍光スペクトル測定工程を行う。次に、ホール輸送層3を加熱処理して緻密化させる。つまり、ホール輸送層3を加熱処理して膜密度を高くし、分子間の相互作用を強くする。具体的には、上記化学式2で示す有機材料を用いてホール輸送層3を形成した場合には、後述の考察で詳述するが、130℃以上200℃未満で60分間加熱する。ホール輸送層3を130℃以下で加熱処理した場合には、ホール輸送層3を十分に緻密化させることができず、ホール輸送層3を200℃以上で加熱した場合には、分子間の相互作用が強くなりすぎ、収縮した膜が溶媒に曝されることで応力が緩和されてクラックが発生してしまうことがあるためである。
続いて、不活性ガス雰囲気下で、再びホール輸送層3の蛍光スペクトルを測定する第2蛍光スペクトル測定工程を行う。その後、第1蛍光スペクトル測定工程の測定結果と、第2蛍光スペクトル測定工程の測定結果とを比較し、ホール輸送層3が緻密化されたものに対して、つまり、第2蛍光スペクトル測定工程で測定された極大波長が第1蛍光スペクトル測定工程で測定された極大波長に対して長波長側にシフトしたものに対して、ホール輸送層3の上に発光層4を塗布法にて形成する。具体的には、後述の考察で詳述するが、第2蛍光スペクトル測定工程で測定された極大波長が第1蛍光スペクトル測定工程で測定された極大波長に対して3nm以上長くなったものに対して、ホール輸送層3の上に発光層4を塗布法にて形成する。
発光層4は、本実施形態では、高分子有機材料を用いて構成されている。高分子有機材料としては、例えば、ポリフルオレン(PFO)系高分子、ポリフェニレンビニレン(PPV)系高分子、ポリビニルカルバゾール(PVK)系高分子等を用いることができる。また、これら高分子やポリスチレン系高分子、ポリチオフェン系高分子、ポリメチルメタクリレート系高分子等に蛍光性色素や燐光性色素を分散させたもの等も用いることができる。
そして、これら高分子有機材料を、例えば、メシチレン、トルエン、キシレン、アセトン、アニソール、メチルアニソール、ジメチルアニソール、テトラリン、安息香酸エチル、安息香酸メチル、1-フェニルヘプタン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、酢酸エチル、酢酸ブチル等の単独または混合の有機溶媒に溶解させて塗布液を調製する。なお、これらの有機溶媒のうちでも特に、メシチレン、トルエン、キシレン、アニソール、メチルアニソール、ジメチルアニソール、テトラリン、安息香酸エチル、安息香酸メチル、1-フェニルヘプタン等の芳香族系溶媒は、高分子有機材料の溶解性が良く扱いも容易であることから、より好ましい有機溶媒である。
そして、塗布液をスピンコート法、インクジェット法、印刷法、ディップコート法、スプレー法等により、ホール輸送層3の上に塗布した後、有機溶媒を乾燥させて発光層4を形成する。その後、発光層4の上に、電子注入電極5を真空蒸着法等で形成する。
電子注入電極5は、例えば低仕事関数電極構造で構成される。電子注入電極5としては、アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属、アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属とアルミニウム等の金属電極との積層、アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属のハロゲン化物とアルミニウム等の金属電極との積層等を用いることができ、具体的にはAl/Ca、Al/Ba、Al/Li、Al/LiF、Al/CsF、Al/Ca/LiF、Al/BaO等で構成される。
また、上記で説明した各工程間の搬送方法は、真空雰囲気下または不活性ガス雰囲気下での搬送であることが望ましい。つまり、有機EL素子の製造過程において、大気に曝されないようにすることが好ましい。
以上説明したように、本実施形態の有機EL素子の製造方法では、ホール輸送層3を加熱処理して緻密化している。つまり、ホール輸送層3を加熱処理して分子間の相互作用を強くしている。このため、このホール輸送層3の上に発光層4を塗布法で形成した場合、有機溶媒にホール輸送層3が溶解することを抑制することができる。また、ホール輸送層3は、不安定な架橋性官能基を含む材料を用いて構成する必要がなく、また、内部に有機酸が残存していることもないため、信頼性を向上させることができる。
さらに、本実施形態では、ホール輸送層3を加熱する前にホール輸送層3の蛍光スペクトルを測定する第1蛍光スペクトル測定工程を行うと共にホール輸送層3を加熱処理した後にホール輸送層3の蛍光スペクトルを測定する第2蛍光スペクトル測定工程を行っている。そして、第2蛍光スペクトル測定工程で測定された極大波長が第1蛍光スペクトル測定工程で測定された極大波長より3nm以上長いときに、つまり、ホール輸送層3が十分に緻密化されたときに、発光層4を形成するようにしている。これにより、発光層4を形成する際にホール輸送層3が溶解されることを確実に抑制することができ、有機EL素子の信頼性を向上させることができると共に不良品が製造されることを抑制することができる。
また、このような有機EL素子の製造方法では、真空蒸着法でホール輸送層3および発光層4を形成する場合と比較して、少なくとも発光層4を塗布法により形成するため、製造コストを低減することができる。
以下、上記実施形態に対応した各種実施例について説明する。
(実施例1)
まず、基板1としてガラス基板を用意し、基板1に対して純水洗浄および紫外線オゾン洗浄を行った後、真空蒸着装置へ設置し、1×10−4Paになるまで真空ポンプにて排気した。
その後、基板1上にITOで構成されるホール注入電極2を形成した。続いて、ホール輸送層3として、上述した化学式2で示される低分子有機材料を真空度1×10−4Pa以下、蒸着レート0.08nm/sの条件下で100nm形成した。
次に、ホール輸送層3を形成した基板1を不活性ガス雰囲気下で搬送し、不活性ガス雰囲気下でホール輸送層3に対して第1蛍光スペクトル測定工程を行ったところ、蛍光スペクトルの極大波長が406nmであった。
続いて、真空雰囲気下で、ホール輸送層3が130℃になるように60分間加熱処理してホール輸送層3を緻密化した。そして、この基板1を再び不活性ガス雰囲気下で搬送し、不活性ガス雰囲気下でホール輸送層3に対して第2蛍光スペクトル測定工程を行ったところ、蛍光スペクトルの極大波長が409nmであった。すなわち、第2蛍光スペクトル測定工程で測定された極大波長と、第1蛍光スペクトル測定工程で測定された極大波長との差が3nmであった。言い換えると、ホール輸送層3を加熱処理した後では、蛍光スペクトルの極大波長が3nm長くなった。
続いて、この基板1を不活性ガス雰囲気下で搬送し、ホール輸送層3の上に、不活性ガス雰囲気下で、有機溶媒としてメシチレンをスピンコート法で塗布した後、10秒後に有機溶媒を乾燥させたものを試料として用意した。
そして、この試料において、ホール輸送層3の膜厚を測定したところ、100nm以上となった。すなわち、ホール輸送層3が有機溶媒にほとんど溶解していないことが確認された。なお、ホール輸送層3の膜厚が100nm以上となったのは、測定装置の誤差であると考えられる。
(実施例2)
本実施例2では、上記実施例1と同様の手法によりホール輸送層3を形成した後、ホール輸送層3が180℃になるように60分間加熱処理してホール輸送層3を緻密化した。その後、ホール輸送層3に対して第2蛍光スペクトル測定工程を行ったところ、蛍光スペクトルの極大波長が411nmであった。すなわち、ホール輸送層3を加熱処理した後では、蛍光スペクトルの極大波長が5nm長くなった。
続いて、上記実施例1と同様の手法により、ホール輸送層3の上に有機溶媒を塗布した後に当該有機溶媒を乾燥させたものを試料として用意した。そして、この試料において、ホール輸送層3の膜厚を測定したところ、約100nmとなった。すなわち、ホール輸送層3が有機溶媒にほとんど溶解していないことが確認された。
(比較例1)
本比較例1では、上記実施例1と同様の手法によりホール輸送層3を形成した後、ホール輸送層3が30℃になるように60分間加熱処理した。そして、ホール輸送層3に対して第2蛍光スペクトル測定工程を行ったところ、蛍光スペクトルの極大波長が406nmであった。すなわち、第2蛍光スペクトル測定工程で測定された蛍光スペクトルの極大波長が第1蛍光スペクトル測定工程で測定された蛍光スペクトルの極大波長と同じになり、ホール輸送層3が緻密化されなかった。
続いて、上記実施例1と同様の手法により、ホール輸送層3の上に有機溶媒を塗布した後に当該有機溶媒を乾燥させたものを試料として用意した。そして、この試料において、ホール輸送層3の膜厚を測定したところ、約70nmとなった。すなわち、ホール輸送層3が有機溶媒に溶解していることが確認された。
(比較例2)
本比較例2では、上記実施例1と同様の手法によりホール輸送層3を形成した後、ホール輸送層3が80℃になるように60分間加熱処理した。そして、ホール輸送層3に対して第2蛍光スペクトル測定工程を行ったところ、蛍光スペクトルの極大波長が406nmであった。すなわち、第2蛍光スペクトル測定工程で測定された蛍光スペクトルの極大波長が第1蛍光スペクトル測定工程で測定された蛍光スペクトルの極大波長と同じになり、ホール輸送層3が緻密化されなかった。
続いて、上記実施例1と同様の手法により、ホール輸送層3の上に有機溶媒を塗布した後に当該有機溶媒を乾燥させたものを試料として用意した。そして、この試料において、ホール輸送層3の膜厚を測定したところ、約65nmとなった。すなわち、ホール輸送層3が有機溶媒に溶解していることが確認された。
(比較例3)
本比較例3では、ホール輸送層3として、下記化学式3で示される低分子有機材料を真空度1×10−4Pa以下、蒸着レート0.08nm/sの条件下で100nm形成した。
Figure 0005360010
化学式3は、N,N’−ビス[4−(4’−ジフェニルアミノビフェニル)]−N,N’−ジフェニルベンジジンであり、ガラス転移点温度が142℃である。
次に、ホール輸送層3に対して第1蛍光スペクトル測定工程を行ったところ、蛍光スペクトルの極大波長が421nmであった。その後、ホール輸送層3が30℃になるように60分間加熱処理した。そして、ホール輸送層3に対して第2蛍光スペクトル測定工程を行ったところ、蛍光スペクトルの極大波長が421nmであった。すなわち、第2蛍光スペクトル測定工程で測定された蛍光スペクトルの極大波長が第1蛍光スペクトル測定工程で測定された蛍光スペクトルの極大波長と同じになり、ホール輸送層3が緻密化されなかった。
続いて、上記実施例1と同様の手法により、ホール輸送層3の上に有機溶媒を塗布した後に当該有機溶媒を乾燥させたものを試料として用意した。そして、この試料において、ホール輸送層3の膜厚を測定したところ、約0nmとなった。すなわち、ホール輸送層3が有機溶媒にほとんど溶解したことが確認された。
(比較例4)
本比較例4では、上記比較例3と同じ低分子有機材料を用いてホール輸送層3を形成した後、ホール輸送層3が80℃になるように60分間加熱処理した。そして、ホール輸送層3に対して第2蛍光スペクトル測定工程を行ったところ、蛍光スペクトルの極大波長が421nmであった。すなわち、第2蛍光スペクトル測定工程で測定された蛍光スペクトルの極大波長が第1蛍光スペクトル測定工程で測定された蛍光スペクトルの極大波長と同じになり、ホール輸送層3が緻密化されなかった。
続いて、上記実施例1と同様の手法により、ホール輸送層3の上に有機溶媒を塗布した後に当該有機溶媒を乾燥させたものを試料として用意した。そして、この試料において、ホール輸送層3の膜厚を測定したところ、約0nmとなった。すなわち、ホール輸送層3が有機溶媒にほとんど溶解したことが確認された。
(比較例5)
本比較例5では、上記比較例3と同じ低分子有機材料を用いてホール輸送層3を形成した後、ホール輸送層3が130℃になるように60分間加熱処理した。そして、ホール輸送層3に対して第2蛍光スペクトル測定工程を行ったところ、蛍光スペクトルの極大波長が420.5nmであった。すなわち、ホール輸送層3を加熱処理した後では、蛍光スペクトルの極大波長が0.5nm短くなった。つまり、ホール輸送層3を加熱処理した後では、ホール輸送層3の分子間の相互作用が弱くなった。
続いて、上記実施例1と同様の手法により、ホール輸送層3の上に有機溶媒を塗布した後に当該有機溶媒を乾燥させたものを試料として用意した。そして、この試料において、ホール輸送層3の膜厚を測定したところ、約0nmとなった。すなわち、ホール輸送層3が有機溶媒にほとんど溶解したことが確認された。
(比較例6)
本比較例6では、上記比較例3と同じ低分子有機材料を用いてホール輸送層3を形成した後、ホール輸送層3が180℃になるように60分間加熱処理した。そして、ホール輸送層3に対して第2蛍光スペクトル測定工程を行ったところ、蛍光スペクトルの極大波長が418nmであった。すなわち、ホール輸送層3を加熱処理した後では、蛍光スペクトルの極大波長が3nm短くなった。つまり、ホール輸送層3を加熱処理した後では、ホール輸送層3の分子間の相互作用が弱くなった。
続いて、上記実施例1と同様の手法により、ホール輸送層3の上に有機溶媒を塗布した後に当該有機溶媒を乾燥させたものを試料として用意した。そして、この試料において、ホール輸送層3の膜厚を測定したところ、約0nmとなった。すなわち、ホール輸送層3が有機溶媒にほとんど溶解したことが確認された。
(実施例1、2および比較例1〜6についての考察)
図2(a)は、上記実施例1、2および比較例1、2の加熱温度と、加熱後の加熱前に対する蛍光スペクトルの極大波長の差との関係を示す図であり、図2(b)は、上記実施例1、2および比較例1、2の加熱温度と、ホール輸送層3の膜厚との関係を示す図である。
図2に示されるように、ホール輸送層3を化学式2に示す化合物を用いて構成した場合には、加熱温度が約80℃より高くなると序々に加熱前後の蛍光スペクトルの極大波長の差が大きくなることが確認されると共に、有機溶媒を塗布して乾燥させた後のホール輸送層3の膜厚が序々に厚くなっていることが確認される。そして、加熱温度が130℃より高くなると、ホール輸送層3がほとんど有機溶媒に溶解しないことが確認される。言い換えると、加熱前後の蛍光スペクトルの極大波長の差が3nm以上長くなると、ホール輸送層3がほとんど有機溶媒に溶解しないことが確認される。また、上記のように、化学式2に示す低分子有機材料は、200℃以上に加熱すると分子間の相互作用が強くなりすぎ、収縮した膜が溶媒に曝されることで応力が緩和されてクラックが発生してしまうことがある。
以上より、ホール輸送層3を化学式2に示す低分子有機材料を用いて構成した場合には、80℃より高い温度でホール輸送層3を加熱することにより、ホール輸送層3を有機溶媒に溶解し難くすることができる。そして、130℃以上200℃未満の温度でホール輸送層3を加熱することにより、言い換えると、ホール輸送層3を加熱処理した後の蛍光スペクトルの極大波長が加熱する前の蛍光スペクトルの極大波長より3nm以上長くなるように加熱することにより、ホール輸送層3が有機溶媒に溶解することをさらに抑制することができる。
また、図3(a)は、上記比較例3〜6の加熱温度と、加熱後の加熱前に対する蛍光スペクトルの極大波長の差との関係を示す図であり、図3(b)は、上記比較例3〜6のホール輸送層3の加熱温度と、ホール輸送層3の膜厚との関係を示す図である。
図3に示されるように、ガラス転移点温度を有する低分子有機材料では、加熱温度が約80℃より高くなると、序々に加熱前後の蛍光スペクトルの極大波長の差が大きくなることが確認されるが、ホール輸送層3を加熱処理した後の蛍光スペクトルの極大波長が加熱する前の蛍光スペクトルの極大波長より短くなっている。つまり、ホール輸送層3の膜密度が低下し、分子間の相互作用が弱くなっている。つまり、ガラス転移点を有する材料では、材料毎に若干の差異はあると考えられるが、ガラス転移点に達しない温度で加熱処理したとしても、分子間の相互作用が弱くなり、有機溶媒に溶解してしまうことが確認される。
(他の実施形態)
上記第1実施形態では、ホール輸送層3を真空蒸着法により形成する例について説明したが、例えば、ホール輸送層3をインクジェット法、印刷法、スピンコート法、レーザー転写(LITI)法、気相成長法等に形成することもできる。ただし、形成されるホール輸送層3の純度・密度・平坦性等を考慮すると最も高品質な膜が得られる真空蒸着法により形成することが好ましい。
また、上記第1実施形態では、発光層4を高分子材料で形成した例について説明したが、例えば、3,3’,3”,(ベンゼン−1,3,5−トリイル)トリピレン等の低分子有機材料を上記有機溶媒に溶解して塗布法により形成することもできる。
1 基板
2 ホール注入電極
3 ホール輸送層
4 発光層
5 電子注入電極

Claims (5)

  1. 基板(1)を用意し、該基板(1)の上に下部電極(2)を形成する工程と、
    前記下部電極(2)の上に、ガラス転移点温度および結晶化温度を有さない低分子有機材料にて構成された第1有機層(3)を形成する第1有機層形成工程と、
    前記第1有機層(3)を加熱処理して当該第1有機層(3)を緻密化させる加熱工程と、
    前記第1有機層(3)上に、第2有機層(4)を塗布法により形成する第2有機層形成工程と、を含み、
    前記低分子有機材料が化学式1で示される化合物であり、
    前記加熱工程の前に、前記第1有機層(3)の蛍光スペクトルを測定する第1蛍光スペクトル測定工程を行い、
    前記加熱工程の後に、再び前記第1有機層(3)の蛍光スペクトルを測定する第2蛍光スペクトル測定工程を行い、
    前記第2有機層形成工程は、前記第2蛍光スペクトル測定工程にて測定した蛍光スペクトルの極大波長が、前記第1蛍光スペクトル測定工程にて測定した蛍光スペクトルの極大波長より3nm以上長くなったものに対して行うことを特徴とする有機EL素子の製造方法。
    Figure 0005360010
  2. 前記第1、第2蛍光スペクトル測定工程は、不活性ガス雰囲気下で行い、
    前記加熱工程は、真空雰囲気下または不活性ガス雰囲気下で行い、
    前記第1蛍光スペクトル測定工程と前記加熱工程との間の前記基板(1)の搬送を真空雰囲気下または不活性ガス雰囲気下で行い、前記加熱工程と前記第2蛍光スペクトル測定工程との間の前記基板(1)の搬送を真空雰囲気下または不活性ガス雰囲気下で行うことを特徴とする請求項に記載の有機EL素子の製造方法。
  3. 前記加熱工程は、前記第1有機層(3)を130℃以上200℃未満の温度に加熱することを特徴とする請求項1または2に記載の有機EL素子の製造方法。
  4. 基板(1)を用意し、該基板(1)の上に下部電極(2)を形成する工程と、
    前記下部電極(2)の上に、ガラス転移点温度および結晶化温度を有さない低分子有機材料にて構成された第1有機層(3)を形成する第1有機層形成工程と、
    前記第1有機層(3)を加熱処理して当該第1有機層(3)を緻密化させる加熱工程と、
    前記第1有機層(3)上に、第2有機層(4)を塗布法により形成する第2有機層形成工程と、を含み、
    前記低分子有機材料が化学式1で示される化合物であり、
    前記加熱工程は、前記第1有機層(3)を130℃以上200℃未満の温度に加熱することを特徴とする有機EL素子の製造方法。
    Figure 0005360010
  5. 前記第1有機層形成工程では、前記第1有機層(3)としてホール輸送層を形成し、
    前記第2有機層形成工程では、前記第2有機層(4)として発光層を形成することを特徴とする請求項1ないしのいずれか1つに記載の有機EL素子の製造方法。
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