JP5214974B2 - アスコルビン酸と2−ケト酸サッカライド類のエステル誘導体 - Google Patents

アスコルビン酸と2−ケト酸サッカライド類のエステル誘導体 Download PDF

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Description

本発明は、アルコルビン酸と2−ケト酸サッカライド類のエステル誘導体、その立体異性体を含めたエステル誘導体を含む化合物、それらの製造方法、及び使用方法に関する。このエステル官能基は、少なくとも1つのカルボキシル官能末端基もしくはヒドロキシ官能末端基、又はそれらの組み合わせを含有するオルガノシロキサン類を含む。このオルガノシロキサン類は、エステル結合の形成を介して糖に共有結合される。得られた糖官能性シロキサン化合物は、様々なシリコーン系物質に混合可能であり、その糖残基の抗酸化性及びその他の有利な特性を保持し、望ましい界面活性特性を示し、かつ、トリートメント用途、化粧品用途、及びパーソナルケア用途において好ましい有用性を有する。
アスコルビン酸は、サッカライド酸の環状ラクトンからなる還元性糖である。L−アスコルビン酸とD−エリソルビン酸(アスコルビン酸のジアステレオマー、イソアスコルビン酸としても知られる)は、食品安全、薬理学、及び化粧品技術分野で有用性を有する周知の薬剤である。例えば、ケト酸糖類は、乾燥肌、ニキビ、ふけ、角化症、しみ、しわ、及び角質化障害を含めた様々な美容状態の局所的処置及び皮膚疾患の局所的治療に対して治療上有効であり、特に、アスコルビン酸及び関連化合物は、皮膚の美白及び高色素沈着に関連するその他の技術において有用性が知られている。アスコルビン酸、並びにその他の糖製剤は、しかしながら、酸化を受けやすく、容易に不安定化される。さらに、これらの酸類を含む化粧品組成物又は薬理学的組成物は、その製剤の低いpHのために、繰り返しの局所適用において組織に障害を与え又はヒトの皮膚を刺激するおそれがある。
アスコルビン酸のエステル誘導体は公知であり、抗酸化特性を有する脂溶性物質としてそれらを活かす用途に数十年間使用されてきた。アスコルビルパルミテート(構造2)及びアスコルビルオレエート(構造3)は、食用油保存、パン粉柔軟化、果汁褐色化防止、及びパーソナルケアにおける商業用途をもつこの群の化合物の代表である。最近、アスコルビン酸エステル類は、それらの潜在的抗腫瘍特性が研究されてもいる。しかし、これらの化合物は、シリコーン系物質とは低い混和性しか示さず、特定用途においては、シリコーン系賦形剤の利点をもたらさない。さらに、これらの化合物は、シリコーン系物質と比較した場合に、低レベルの皮膚及びその他のケラチン組織への浸透性及び透過性しか示さない。
それゆえ、アスコルビン酸及びその他のケト酸類は、それらの安定性及び性能を改善するために、その他の疎水性物質と伝統的に混合されてきた。例えば、アスコルビン酸とシリコーンの組み合わせは周知である。Mukhtarの米国特許第6,146,664号公報は、ポリオルガノシロキサン賦形剤中に懸濁された粒子状アスコルビン酸を含み、しわを低減し且つコラーゲンの成長及び弾性を増大させるための局所用途に有用な製剤を開示している。これらの製剤中では、アスコルビン酸はシリコーン賦形剤中に可溶化されてはいない。好ましいシリコーンオイルは、オルガノシロキサンであり、ゲル及び固体形態が好ましく、一方で乳化形態は除外されている。Znaidenらの米国特許第5,750,123号明細書は、医薬として許容可能な担体中のジメチルイソソルビドによって安定化されたアスコルビン酸を含有する化粧品組成物を開示している。Znaidenは、審美的特性が、架橋した非乳化性シリコーンエラストマー及び揮発性シリコーンの存在によって改善されることを教示している。
複合化された混合物中にアスコルビン酸及びシリコーンポリマーを含む、スキンケアを目的とした様々な市販製品もまた入手可能である。例えば、Calvin Labsによって販売されている840 Citrix Antioxidant Serumは、とりわけ、シクロメチコーン、L−アスコルビン酸、シリコーンポリマー、ジメチコーン、及びジメチコーンコポリオールを含有している。Stableact(登録商標)システム製品は、シリコーンエマルション中にアスコルビン酸を含んでいる。Stableact(登録商標)C Plus中には、例えば、親水性活性剤、アスコルビン酸、及び緑茶がプロピレングリコール相中に含まれ、これが次にシリコーン基剤中に分散される。
Herveらの国際公開WO0130784号パンフレットは、エーテル結合したアスコルビン酸−シロキサン化合物を開示し、かつ保護されたアスコルビン酸誘導体とオルガノシラン類からのいくつかの例示化合物の合成を詳述している。Akimoto, T., Kawahara, K., 及びNagase, Y., Macromol. Chem. Phys. 2000, 201, 2729-2734は、エーテル又はチオエーテル連結鎖を介して共有結合されたグルコピラノシル末端オリゴジメチルシロキサンを教示している。Brandstadtらの米国特許出願US200400820224、同US20040077816は、オルガノシロキサンエステル類及びアミド類の酵素触媒合成を開示しており、酵素は、オルガノシロキサンのカルボン酸、エステル、又はアミド官能基と、ヒドロキシ基を含む任意の有機反応剤との間のエステル結合の形成を触媒する。
さらに、潜在的な刺激性剤を用いた再適用及び多重処置の継続した必要を避けるために、アスコルビン酸及びその他のサッカライド酸の徐放性形態が望まれる。2−ケト−L−グロン酸はアスコルビン酸の公知の前駆体であり、これは、適切な生体環境条件下で、L−アスコルビン酸に変換されうる。2−ケト−L−グロン酸を組織に、そのような組織中での変換を受けやすい形態で送達する手段は、当分野において現在知られていない。
米国特許第6,146,664号明細書 米国特許第5,750,123号明細書 国際公開WO0130784号パンフレット 米国特許出願公開US200400820224公報 米国特許出願公開US20040077816公報 Akimoto, T., Kawahara, K., 及びNagase, Y., Macromol. Chem. Phys. 2000, 201, 2729-2734
エステル結合を介してアスコルビン酸又は2−ケト酸サッカライド類に共有結合されたオルガノシロキサン類は、当分野において具体的には知られていない。したがって、オルガノシロキサン類に共有結合したアスコルビン酸及びケト酸サッカライド類を含む化合物に対するニーズがあり、さらに、増大された安定性と有効性をもつアルコルビン酸及びケト酸糖類を含む化粧品配合物及びパーソナルケア配合物のための改善された送達システムに対する確立されたニーズがあり、このシステムはより安全な適用及び処置方法をもたらすものである。
したがって、本発明の1つの態様は、アスコルビン酸又は2−ケト酸サッカライドのエステル誘導体を含む化合物を目的とし、エステルは、少なくとも1つのヒドロキシル官能基を含むアスコルビン酸又は少なくとも1つのヒドロキシル官能基を含む2−ケト酸サッカライドと、カルボキシ官能性オルガノシロキサンとの間のエステル結合形成によって導入され、前記アスコルビン酸はアスコルビン酸又はイソアスコルビン酸ならびにそれらの立体異性体又は塩のいずれかを含み、前記2−ケト酸サッカライドは2−ケト−L−グロン酸又は2−ケト−D−グルコン酸又はエステル(その立体異性体又は塩を含めて)のいずれかを含む。エステル結合は、オルガノシロキサンのいずれかのカルボキシ官能基と、アスコルビン酸又は2−ケト酸サッカライド上のいずれかの位置にあるいずれかのフリー水酸基との間で形成されうる。
別の態様は、2−ケト酸サッカライドのエステル誘導体を含む化合物を目的とし、エステル官能基は、2−ケト酸サッカライドと、ヒドロキシ官能性オルガノシロキサンとの間のエステル結合形成によって導入され、2−ケト酸サッカライドは2−ケト−L−グロン酸又は2−ケト−D−グルコン酸又はそれらの塩のいずれかを含む。
本発明はまた、上記新規化合物の製造のための方法の態様を提供する。一つのそのような態様は、アスコルビン酸又は2−ケト酸サッカライドのエステル誘導体の合成方法を目的とする。本方法は以下のステップ:
a)保護されたアスコルビン酸又は保護された2−ケト酸サッカライドを、少なくとも1つのヒドロキシ官能基から保護基を形成することによって準備するステップ;
b)前記保護されたアスコルビン酸又は保護された2−ケト酸サッカライドを、カルボキシル官能性オルガノシロキサンと混合して溶液を形成するステップ;
c)前記溶液を、エステル結合形成を促進する条件下で、エステル結合形成を触媒しうる生体触媒と接触させるステップ;
d)任意選択により、前記保護基を除去してもよいステップ、
を含む。
上記保護基は、ヒドロキシル基の反応性をブロックする役割の域を越えて、所望する官能性を有する官能基を含んでもよい。いくつかの態様では、官能基は、オルガノシロキサンとのエステル化反応後にサッカライドに結合したまま残っている。
別の製造方法の態様は、サッカライドのカルボン酸官能基を通して、2−ケト酸サッカライドのエステル誘導体を合成する方法を提供する。この方法は以下の:
a)少なくとも1つのヒドロキシ官能基から保護基を形成することによって、保護された2−ケト酸サッカライドを準備するステップ;
b)ヒドロキシ官能性オルガノシロキサンを準備するステップ;
c)前記保護された2−ケト酸サッカライドと前記ヒドロキシ官能性オルガノシロキサンを適切な溶媒に溶解して溶液を形成するステップ;
d)前記溶液を、エステル結合形成を促進する条件下で、エステル結合形成を触媒しうる生体触媒で処理するステップ;
e)任意選択により前記保護基を除去してもよいステップ(ここで前記保護基は官能基を含んでいてもよい)、
を含む。
具体的態様において、上記2−ケト酸サッカライドは、2−ケト−L−グロン酸又は2−ケト−D−グルコン酸を含む。
本発明はまた、トリートメント組成物、化粧品組成物、及びパーソナルケア組成物を目的とする。1つの態様において、トリートメント、化粧品、及びパーソナルケア組成物は、アスコルビン酸のエステル誘導体を含有する。放出制御態様においては、トリートメント、化粧品、又はパーソナルケア配合物は、アスコルビン酸前駆体、特に2−ケト−L−グロン酸、のエステル誘導体を含む。所定条件下、2−ケト−L−グロン酸のエステル誘導体は分子内ラクトン化をして、フリーのアスコルビン酸が生成される。1つの態様において、上記トリートメント、化粧品、又はパーソナルケア配合物は、アスコルビン酸の又はその前駆体の本発明のエステル誘導体を含有するケラチン組織淡色化剤を含む。 特に具体的態様においては、トリートメント配合物は、色素沈着過剰を伴う状態及び疾患を治療する。
本発明は、アスコルビン酸のエステル誘導体、イソアスコルビン酸のエステル誘導体、及び2−ケト酸サッカライド類のエステル誘導体を含めた新規化合物を提供する。アスコルビン酸の新規エステル誘導体は、ヒドロキシ官能性アスコルビン酸とカルボキシル官能性オルガノシロキサンとの間のエステル化反応から形成される。このエステル化反応は、生体触媒によって触媒される。そのような生体触媒は、反応生成物に関して高められた位置及び立体特異性についての可能性をもたらす。2−ケト酸サッカライドのエステル誘導体は、少なくとも1つのフリーヒドロキシル基を含む2−ケト酸サッカライドとカルボキシル官能性オルガノシロキサンとの間のエステル化反応、又は2−ケト酸サッカライドのカルボン酸基とヒドロキシル官能性(カルビノール)オルガノシロキサンとの間のエステル化のいずれかによって形成される。本発明の化合物の範囲には、アスコルビン酸、イソアスコルビン酸、及び2−ケト酸サッカライドの全てのエステル誘導体が含まれ、オルガノシロキサンはエステル結合を介してアスコルビン酸、イソアスコルビン酸、又は2−ケト酸サッカライド酸と共有結合していることは、当業者に明らかである。
本明細書で用いるように、用語「アスコルビン酸」は、L−アスコルビン酸又はD−エリソルビン酸と特に言及しない限り、アスコルビン酸及びそのジアステレオ異性体、イソアスコルビン酸、並びにそれらの塩を含む。アスコルビン酸分子の4番目及び5番目の炭素原子はキラルであり、それぞれのキラル中心に2つのエナンチオ異性体の存在をもたらし合計4つのジアステレオ異性体がある。イソアスコルビン酸のエナンチオマーの1つは、D−エリソルビン酸としても知られている。その強力な還元性のために、D−エリソルビン酸は、水溶性抗酸化剤として、L−アスコルビン酸と同様の技術的用途を有する。「アスコルビン酸」はまた、全てのジアステレオ異性体の誘導体を含み、その誘導体にはその1又は複数のフリーヒドロキシル官能基がエステル、エーテル、ケトンなどを形成しているものが含まれ、かつ、保護することを意図する基及び/又は官能基を含むものを包含する。
本明細書で用いるように、用語「2−ケト酸サッカライド」は、特に他に言及のない限り、2−ケト−L−グロン酸(2−KLG)、及びその異性体である2−ケト−D−グルコン酸(2−KLD)、並びにその塩を含む。「2−ケト酸サッカライド」はまた、両方の立体異性体の誘導体を含み、その誘導体にはその1又は複数のフリーヒドロキシル官能基がエステル、エーテル、ケトンなどを形成しているものが含まれ、かつ、保護することを意図する基及び/又は官能基を含むものを包含する。
したがって、本発明の1つの態様は、アスコルビン酸又は2−ケト酸サッカライドのエスエル誘導体を含む化合物であって、少なくとも1つのヒドロキシル官能基を含むアスコルビン酸又は少なくとも1つのヒドロキシル官能基を含む2−ケト酸サッカライドと、カルボキシル官能性オルガノシロキサンとの間のエステル結合形成によってエステル官能基が導入され、前記アスコルビン酸にはアスコルビン酸又はイソアスコルビン酸のいずれか又はそれらの立体異性体又はそれらの塩が含まれ、前記2−ケト酸サッカライドには2−ケト−L−グロン酸又は2−ケト−D−グルコン酸又はエステル類又はそれらの立体異性体又はそれらの塩が含まれる。1つの態様においては、前記オルガノシロキサンは、連結基を通してオルガノシロキサンに結合した1又は両方の末端にカルボキシ官能基を含むポリジアルキルシロキサンを包含する。別の態様においては、前記ポリジアルキルシロキサンは、ペンダントカルボキシル官能基、又は末端とペンダントのカルボキシ官能基の組み合わせを含む。具体的態様においては、オルガノシロキサンは、ポリジメチルシロキサン類を含む。別の具体的態様においては、オルガノシロキサンは、モノ−又はビス−カルボキシアルキル官能性オルガノシロキサンを含む。1つの非常に具体的な態様においては、エステル誘導体は、アスコルビン酸又は2−ケト酸サッカライドのいずれかの6−Oアシル誘導体を含む。しかし、本発明のエステル誘導体は、この位置でのエステル化によって形成されるものに限定して解釈されるべきではない。
本明細書で用いるように、用語「保護基」は、アスコルビン酸又はサッカライドのフリーヒドロキシ官能基の1つ以上に関して形成された基を含み、エステル、エーテル、ケトンなどを含む。1つの態様では、エステル誘導体を形成する方法は、アスコルビン酸又はその誘導体の少なくとも1つのヒドロキシル基を、エステル(例えば、酢酸エステル)又はエーテル(例えば、メチルエーテル)、エポキシ、又は環状ケタールとして「保護すること」を含む。具体的態様では、アスコルビン酸は、2,3−イソプロピリデン−アスコルビン酸の形成による環状ケタールへの最初の変換によって、1つ以上のヒドロキシル部位で保護される。さらに本明細書で用いるように、用語「保護」基は、官能基を含んでもよく、あるいは追加された官能基が「保護」に全く関係しなくてもよい。1つの態様では、アスコルビン酸は、官能化もしくは保護され、又はその両方がなされた少なくとも1つのヒドロキシ基を含む。
別の具体的態様では、アルコルビン酸は1以上のヒドロキシル部位をエステル(例えば、O−カーボネート、O−アセテート、O−ホスフェートなど)として保護される。後者は、次に、以下に記載する生体触媒エステル化法を用いて誘導体化され、最終的には本発明の構造を生み出す。加えて、アスコルビン酸のモノ及びジホスフェートの形成は、文献に完全に記載されている。例えば、Katoらの米国特許第4,939,128号明細書(その内容を参照により本願に援用する)は、アスコルビン酸のリン酸エステルの形成を教示している。同様に、Doblerらの米国特許第4,999,437号明細書(その内容も参照により本願に完全に援用する)は、アスコルビン酸2−ホスフェートの調製を記載している。別の具体的態様では、アスコルビン酸はエーテルの形成によってヒドロキシルを保護され、非常に具体的態様では、保護基はトリメチルシリルエーテルである。これらの公知のアスコルビン酸誘導体のいずれも、本発明の範囲内で使用されうる。
本発明のアルコルビン酸官能性オルガノシロキサンは、ヒドロシリル化反応を介して製造することもできる。例えば、カルボキシデシル官能性シロキサンに代えて、10−ウンデシレン酸又はそのエステル誘導体を用いることによって、6−O−アスコルビルウンデシレネートが生成されうる、次にこれは任意にそのヒドロキシル保護形態のもの、例えば、トリメチルシリルエーテル基を有するものに変換されてもよい。アスコルビルウンデシレネートは次に、ヒドロシリル化触媒、例えば白金から誘導されたものとの接触を通して、ヒドリド官能性オルガノシロキサンと結合され、本発明のアスコルビン酸官能性オルガノシロキサンが生じる。
非常に具体的な態様では、TMSエーテル保護基は、例えばメチル2−ケト−L−グロン酸とビスカルボキシプロピル官能性ポリジメチルシロキサンとの間の化学的エステル化を可能にするために用いることができる。メチル3,4,5−トリ−O−トリメチルシリル−2−ケト−L−グロン酸(これは、当分野で公知の方法に従って、ヘキサメチルジシラザン(HMDZ)とアセトニトリルとの組み合わせによってメチル2−ケト−L−グロン酸から生成されうる)を、エステル結合形成試薬、例えば、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)及び塩基の存在下で、ビス−カルボキシプロピル官能性ポリジメチルシロキサンで処理して、6−O−アセチル化メチル3−KLG誘導体を生じうる。残りのTMSエーテル保護基及び残存溶媒を除去して、カルボキシプロピル官能性ポリジメチルシロキサンのメチル2−KLGエステル誘導体が生成される。
別の具体的態様では、硫酸が、アスコルビン酸とカルボキシ官能性ジシロキサンとのエステル化を促進するために用いることができる。この態様では、エステル化のポイントは、アルコルビン酸残基の一級水酸基に限定されない。例えば、1,3−ビス−(10−カルボキシデシル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサンを、溶媒及び触媒の両方として硫酸を用い、室温で数時間、アスコルビン酸で処理して、アスコルビル残基によるカルボキシル基のエステル化がもたらされる。
アスコルビン酸のエステル誘導体を含む新規化合物の1つの態様は、以下の構造式によって示される:
構造的に上に示したように、
各Pは、独立して、任意の保護基もしくは官能基、プロトン、又はアルカリもしくはアルカリ土類金属から選択されるカチオンであり;糖残基の4番目及び/又は5番目の炭素は、いずれかの光学異性位置(エナンチオメリック位置)であってよく;sは、0又は1のいずれかであり;m、n、及びoは、独立して、0〜300の任意の整数を表し;lは0〜30の間の任意の整数であり;rは、0又は1である。
Xは、CH2、CH3、OCH2[CH2]lCH2、OCH2CH(CH3)CH2、(OCH2CH2)mOCH2[CH2]lCH2、(OCH(CH3)CH2)mOCH2[CH2]lCH2、NHCH2[CH2]lCH2、NHCH2CH2NHCH2[CH2]lCH2、NHCH2CH2NHCH2CH(CH3)CH2、(C=O)NHCH2[CH2]lCH2、(C=O)NHCH2CH2NHCH2[CH2]lCH2、又は(C=O)NHCH2CH2NHCH2CH(CH3)CH2、であってよい。Xは、Y又はZであることもできる。Y及びZは、独立して、H、OH、アルキル(C1〜12)、カルボキシアルキル(C1〜12)、アルケニル(C1〜12)、OSi(CH3)3、[OSi(Y)(Z)]mOSi(X)(Y)(Z)、及びフェニル、から選択される。s=1の場合は、Z’=0である。s=0の場合は、Z’=Zである。
式をみれば容易に分かるように、与えられたアスコルビルシロキサン分子中のケイ素原子の数は変動することができ、わずか1(s=0)も含みうる。分子中のケイ素原子の数は、本明細書中で述べたように、分子の重合度を反映しており、特定の「重合度」を有する分子は、本明細書ではDP#として参照されうる。ここで#は重合度である。例えば、DP2は、2つのケイ素原子を含む本発明のいずれかの分子を表しうる。したがって、DP2は、s=1であり、m、n、及びoが全て0である構造の態様を表す。さらに、例えば、DP3は、s=1であり、m、m、及びoが1に等しくなるように変化する(すなわち、001、100、010)構造の態様を表す。DP4は、s=1であり、m、n、及びoが2に等しくなるように変化する(すなわち、200、020、002、110、011、101)構造の態様を表し、以下同様である。さらに、本発明によれば、#が2より大きな場合、そのように設計されたアスコルビルシロキサン試料は、実際には様々な鎖長を有する分子の混合物から構成されており、中央鎖長は2より大きい。例えば、DP15は、試料を含む分子のSi鎖長が平均15である本発明のアスコルビルシロキサン試料を指す。
1つの具体的態様では、本発明のアスコルビルシロキサンは、DP1〜約DP300を含む。さらに具体的態様では、アスコルビルシロキサンは、DP1〜約DP100を含む。さらにより具体的態様では、アスコルビルシロキサンは、DP2〜DP20を含む。非常に具体的態様では、アスコルビルシロキサンは、DP15±5を含む。別の非常に具体的な態様では、アスコルビルシロキサンは、DP2を含む。
上記構造式は、合成時の不完全なエステル化、又はアスコルビルエステル基の化学的及び/又は酵素的加水分解の結果としてのいずれかにより生じる、フリーカルボン酸基を含有する化合物まで拡張もされることは、当業者に明らかであろう。そのようなフリーカルボン酸基はまた、それらの低級アルキル(C1〜6)エステルとして存在してもよい。
新規化合物の別の態様は、カルボキシル官能性オルガノシロキサンと2−ケト酸サッカライド上のフリーヒドロキシルとの間のエステル化反応から形成される2−ケト酸サッカライドのエステル誘導体を含み、以下の構造式で示されうる:
構造的に上に示したように、
各Pは、独立して、任意の保護基もしくは官能基、又はプロトンであってよく;Rは、低級アルキル(C1〜6)又は低級アルケニル(C1〜6)、金属イオン、NH4 +、又はNHa(R)4-a(式中、Rは低級アルキル(C1〜6)であり、aは0〜4の整数である)であることができ、糖残基の4番目及び/又は5番目の炭素は、別の光学異性位置(エナンチオメリック位置)であってよく;sは、0又は1のいずれかであり;m、n、及びoは、独立して、0〜300の任意の整数を表してよく;lは0〜30の間の任意の整数であってよく;rは、0又は1である。
Xは、CH2、CH3、OCH2[CH2]lCH2、OCH2CH(CH3)CH2、(OCH2CH2)mOCH2[CH2]lCH2、(OCH(CH3)CH2)mOCH2[CH2]lCH2、NHCH2[CH2]lCH2、NHCH2CH2NHCH2[CH2]lCH2、NHCH2CH2NHCH2CH(CH3)CH2、(C=O)NHCH2[CH2]lCH2、(C=O)NHCH2CH2NHCH2[CH2]lCH2、又は(C=O)NHCH2CH2NHCH2CH(CH3)CH2、であってよい。Xは、Y又はZであることもできる。Y及びZは、独立して、H、OH、アルキル(C1〜12)、カルボキシアルキル(C1〜12)、アルケニル(C1〜12)、OSi(CH3)3、[OSi(Y)(Z)]mOSi(X)(Y)(Z)、及びフェニル、から選択される。s=1の場合は、Z’=0である。s=0の場合は、Z’=Zである。
本発明の別の化合物の態様は、2−ケト酸サッカライドのエステル誘導体を目的とし、エステルは、2−ケト酸サッカライド酸と、ヒドロキシ官能性(すなわちカルビノール官能性)オルガノシロキサンとの間でのエステル結合形成によって導入され、ここで任意の具体的な2−ケト酸サッカライドにはその範囲内に任意のそれらの立体異性体が含まれる。1つの具体的態様では、2−ケト酸サッカライドは、2−ケト酸−L−グロン酸(2−KLG)もしくは2−ケト−D−グルコン酸(KDG)ジアステレオ異性体形、又はそれらの塩のいずれかを含む。具体的態様では、上記カルビノール官能性オルガノシロキサンには、1つ又は両方の末端に、又はペンダント官能基としてポリマー鎖内に存在するカルビノール官能基を有するポリジメチルシロキサンが含まれる。しかし、当業者には、このヒドロキシ官能基が別の位置に存在していてもよいことは明らかであろう。別の具体的態様では、オルガノシロキサンには、モノ−又はビス−カルビノール官能性オルガノシロキサンが含まれる。
具体的態様では、2−ケト酸サッカライドは、官能化もしくは保護され、又はそれら両方がなされた少なくとも1つのヒドロキシル基を含む。この保護され及び/又は官能化されている態様は、アルコルビン酸のエステル誘導体について説明したものと同様であり、少なくとも1つのヒドロキシル基がエステル、エーテル、又はエポキシの形成によって保護されている誘導体が含まれる。非常に具体的な態様では、少なくとも1つのヒドロキシル基は、エステルの形態で、例えば、O−アセテート、O−カーボネート、又はO−ホスフェートとして保護される。1つの具体的態様では、2−ケト酸サッカライドのヒドロキシル基は、ジケグラックとしても知られている、ビス−アセトニド(2,3:4,5-ビス-O-(1-メチルエチリデン)-α-L-キシロ-2-ヘクスロフラノソニック酸:2,3:4,5-bis-O-(1-methylethylidene)-α-L-xylo-2-hexulofuranosonic acid)の形態で保護される。この態様では、アセトニド保護基は、上記新規化合物を形成するためにエステル結合の生体触媒による形成の後、除去してもよく、あるいはアセトニド保護基は、所定の下流における配合の目的のためにいくらかの割合でそのままにしてもよい。
2−ケトサッカライド酸のエステル誘導体を含む新規化合物の1つの態様は、以下の化学式によって構造的に示しうる:
構造的に上に示したように、
各Pは、独立して、任意の保護基もしくは官能基、又はプロトンであってよく;糖残基の4番目及び/又は5番目の炭素は、別の光学異性位置(エナンチオメリック位置)であってよく;sは、0又は1のいずれかであり;m、n、及びoは、独立して、0〜300の任意の整数を表してよく;lは1〜30の間の任意の整数であってよく;rは、0又は1である。
Xは、CH2、CH3、OCH2[CH2]lCH2、OCH2CH(CH3)CH2、(OCH2CH2)mOCH2[CH2]lCH2、(OCH(CH3)CH2)mOCH2[CH2]lCH2、NHCH2[CH2]lCH2、NHCH2CH2NHCH2[CH2]lCH2、NHCH2CH2NHCH2CH(CH3)CH2、(C=O)NHCH2[CH2]lCH2、(C=O)NHCH2CH2NHCH2[CH2]lCH2、又は(C=O)NHCH2CH2NHCH2CH(CH3)CH2、であってよい。Xは、Y又はZであることもできる。Y及びZは、独立して、H、OH、アルキル(C1〜12)、カルボキシアルキル(C1〜12)、アルケニル(C1〜12)、OSi(CH3)3、[OSi(Y)(Z)]mOSi(X)(Y)(Z)、及びフェニル、から選択される。s=1の場合は、Z’=0である。s=0の場合は、Z’=Zである。
本発明はまた、上記新規化合物の合成方法を目的とする。1つの態様によれば、アスコルビン酸のエステル誘導体又は2−ケト酸サッカライドのエステル誘導体を含有する上記新規化合物の合成方法は、以下のステップ:
a)アスコルビン酸又は2−ケト酸サッカライドの少なくとも1つのヒドロキシ基から保護基を形成することによって、保護されたアスコルビン酸又は保護された2−ケト酸サッカライドを準備するステップ;
b)前記保護されたアスコルビン酸又は保護された2−ケト酸サッカライドを、カルボキシル官能性シロキサンと混合して溶液を形成するステップ;
c)前記溶液を、エステル結合形成に有利な条件下で、エステル結合形成を触媒しうる生体触媒と接触させるステップ;及び
d)任意選択により、前記保護基を除去してもよいステップ、
を含み、前記保護基は官能基を含んでいてもよい。
この合成方法は、無溶媒条件下で行ってもよい。エステル結合形成に有利な条件は、典型的には、水又は低分子量アルコールを除去又は捕捉し、エステル官能基の加水分解を防止することを含む。
具体的態様においては、ヒドロキシル基はトリメチルシリルエーテルの形態で保護され、非常に具体的な態様では、保護されたアスコルビン酸には、テトラ-O-トリメチルシリルアスコルビン酸が含まれる。テトラ-O-トリメチルシリル誘導体としての保護は、アスコルビン酸とカルボキシル官能性シロキサンとの混和性を高めることができる。テトラ-O-トリメチルシリル誘導体としての保護はまた、カルボキシ官能性シラン、第三級アルコールなどの添加剤、又はエステル化反応の結果として生じた水の作用を通して、その場での(in situ)6-O-TMSエーテルの除去を可能にする。後者はまた、反応の進行時に水の蓄積を防止する。6-O-TMSエーテルの除去は、そうでなければ保護されていたアスコルビン酸の6−OH基の続いてのエステル化を可能にする。
当業者は、追加の合成法が上述した化合物を製造するために使用可能であることを認めるであろう。例えば、エステル結合形成を通して、連結基をアスコルビン酸又は2−ケト酸サッカライドのいずれかに結合することができ、次に、その修飾した連結基を適切な化学構造を含むオルガノシロキサンポリマーに結合することができる。1つの具体的態様では、末端オレフィン官能基を有するアスコルビン酸変性連結基が、ヒドロシリル化を介して、ヒドリド官能性オルガノシロキサンに結合されうる。
本明細書で用いる場合、用語「生体触媒」には、1)生物資源から単離された、天然の、半合成の、又は代謝的に処理された触媒物質;及び2)生物学的経路を真似する合成触媒分子、が含まれる。
本明細書で用いる場合、用語「酵素」には、別の物質の化学変化を触媒しうるタンパク質が含まれる。酵素は、天然型酵素又は変異型酵素であることができる。本発明の範囲にある酵素には、プルラナーゼ、プロテアーゼ、セルラーゼ、アミラーゼ、イソメラーゼ、リパーゼ、オキシダーゼ、オキシドリダクターゼ、ハイドラーゼ、アルドラーゼ、ケトラーゼ、グルコシダーゼ、リアーゼ、トランスフェラーゼ、及びリガーゼが含まれるが、これらに限定されない。
本明細書で用いる場合、用語「脂肪分解酵素(lipolytic enzyme)」は、脂質分解能、例えば、トリグリセリド又はリン脂質を分解する能力を示すポリペプチド、タンパク質、又は酵素をいう。脂肪分解酵素は、例えば、リパーゼ、ホスホリパーゼ、エステラーゼ、又はクチナーゼ、であってよい。本発明のためには、脂肪分解活性は、当分野で公知の任意の方法に従って決定することができる。例えば、Gupta et al, Biotechnol. Appl. Biochem. (2003) 35:63-71; Andre, Christophe, et al, 米国特許第5,990,690号明細書(国際公開WO 96/18729A1)を参照されたい。
本明細書で用いる場合、用語「タンパク質」は、1以上のポリペプチド鎖からなる、そのモノマーがペプチド結合で互いに結合したアミノ酸である高分子量ポリマーをいう。用語「タンパク質」と「ポリペプチド」は、本明細書では時々同義的に用いられる。アミノ酸残基に対する従来の一文字コード又は三文字コードが本明細書中で用いられる。
具体的態様では、生体触媒には酵素が含まれ、より具体的態様では、生体触媒には加水分解酵素(ヒドロラーゼ)が含まれる。非常に具体的な態様では、加水分解酵素は、リパーゼ、プロテアーゼ、ホスホエステラーゼ、エステラーゼ、アミダーゼ、クチナーゼ、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。さらにより具体的態様では、ハイドラーゼ酵素にはリパーゼが含まれ、さらに具体的態様ではリパーゼにはN435として市販されているCandida antarctica lipase B (CALB)の固定化形態が含まれ、Novozymes社(デンマーク)から入手できる。
さらなる方法の態様は、2−ケト酸サッカライドのエステル誘導体を含む新規化合物の合成を目的とする。本方法は以下のステップ:
a)少なくとも1つのヒドロキシ官能基からの保護基を形成することによって、保護された2−ケト酸サッカライドを準備するステップ;
b)ヒドロキシ官能性オルガノシロキサンを準備するステップ;
c)前記保護された2−ケト酸サッカライドと前記ヒドロキシ官能性オルガノシロキサンとを適切な溶媒中に溶解して溶液を形成するステップ;
d)前記溶液を、エステル結合形成を触媒しうる生体触媒で処理するステップ;及び
e)任意選択により前記保護基を除去してもよいステップ、
を含み、前記保護基は官能基を含んでいてもよい。
具体的態様では、2−ケト酸サッカライドのヒドロキシル基は、アセトニド基を形成することによって保護される。非常に具体的態様では、2−ケト酸サッカライドは2−ケト−L−グロン酸を含み、保護された2−ケト−L−グロン酸は、ジケグラック(Dikegulac)、ヒドロキシルがジアセトニドを形成することによって保護されているケト酸サッカライド、の形態である。
これらの態様において、生体触媒は上で定義され、具体的態様では、生体触媒には酵素が含まれる。より具体的態様では、酵素には加水分解酵素(ヒドロラーゼ)が含まれ、さらに具体的態様では、加水分解酵素には、リパーゼ、プロテアーゼ、ホスホエステラーゼ、エステラーゼ、アミダーゼ、クチナーゼ、又はそれらの組み合わせが含まれる。非常に具体的態様においては、加水分解酵素にはリパーゼが含まれ、さらにより具体的態様においては、リパーゼにはN435固定化リパーゼの形態のCandida autarctica lipase B (CALB)が含まれる。リパーゼは、有機酸のエステルの合成において特に好ましい加水分解酵素である。
2−KLG(典型的にはメチルエステルの形態である)は、L−アスコルビン酸への公知の中間前駆体である。いくつかの変換経路が当分野で公知である。メチル−2−KLGは酸化に対して敏感ではなく、単純な酸又は塩基触媒環化によってL−アスコルビン酸に容易に変換できる。それ故、アスコルビン酸への2−KLG変換を引き起こすために操作されうる環境への2−KLGの首尾良い送達が可能である。本新規化合物において、アスコルビン酸は、通常アスコルビン酸に対し抵抗する環境を通して及び環境中への吸収を高めうる、オルガノシロキサンに共有結合された形態である。さらに、本発明のその他の態様では、アスコルビン酸はその前駆体である2−KLG(イソアスコルビン酸に対しては2−KDG)の形態で、2−KLGのエステル誘導体としての送達と送達後のエステル交換反応を通じて送達され、フリーのL−アスコルビン酸として放出される。放出速度は環境の性質に影響されうるので、この放出は時間をかけて起こりうる。加えて、放出速度が制御され及び/又はアスコルビン酸の貯蔵所が作られるように、環境の操作は影響を受けうる。
従って、本発明の1つの態様は、アスコルビン酸を生成する制御放出方法を提供する。この方法は以下のステップ:
a)2−ケト−L−グロン酸のエステル誘導体であって、前記エステルが2−ケト−L−グロン酸とヒドロキシ官能性オルガノシロキサンとの間のエステル結合形成によって導入されるエステル誘導体を準備するステップ;
b)2−ケト−L−グロン酸の前記エステル誘導体を、分子内ラクトン化反応が起こりうる環境に送達し、フリーのアスコルビン酸とカルビノール官能性オルガノシロキサンとを放出するステップ、
を含む。
本発明のさらなる態様では、サッカライド水酸基の1つを通してオルガノシロキサンポリマーに結合した2−KLGのエステル誘導体が、アスコルビン酸に変換されて、前記アスコルビン酸残基がオルガノシロキサンポリマーに結合して残っている。
別の態様によれば、以下のものを含む化粧品組成物が提供される:
2−ケト酸サッカライドのエステル誘導体であって、前記エステルが2−ケト酸サッカライドとヒドロキシル官能性オルガノシロキサンとの間のエステル結合形成によって導入されるエステル誘導体;及び、化粧品として適する賦形剤又は基剤。
より具体的な態様では、前記2−ケト酸サッカライドは、2−ケト−L−グロン酸又は2−ケト−D−グルコン酸のいずれかを含む。さらにより具体的な態様では、前記2−ケト酸サッカライドは2−ケト−L−グロン酸を含む。
アスコルビン酸官能性ポリシロキサンを含有する配合物は、皮膚淡色化製品における使用が考えられる。例えば、0.1〜50%の活性アスコルビン酸を含有するアスコルビン酸官能性ポリシロキサン及び水のエマルションは、一定期間に渡って皮膚に適用され、皮膚の色調を明るくし、染み及びその他の変色を除去する。前記配合物中の活性アスコルビン酸は、カルボキシ官能性ポリシロキサンに共有結合されているか、フリーの、共役していないアスコルビン酸、及びそれらの混合物であることができる。そのような配合物は、任意選択で、ビタミン類、香料、抗酸化剤、ハーブ抽出物、界面活性剤、保湿剤などを包含する追加の活性化合物を含むことができる。
1つの具体的態様は、アスコルビン酸又は2−ケト酸サッカライドのいずれかの本発明のエステル誘導体を含有する、ケラチン組織淡色化剤を目的とする。具体的態様では、ケラチン組織はヒトの皮膚を含む。さらなる態様は、安全かつ有効量のケラチン組織淡色化剤と、好適な賦形剤又は基剤とを含む。さらに具体的態様では、本組成物は、エマルションの形態である。これらの態様の一側面では、上記新規化合物は本発明の2−ケト−グロン酸のエステル誘導体を包含し、かつ制御放出性ケラチン組織淡色化剤と考えられる。
さらなる態様は、本発明のアスコルビン酸のエステル誘導体を含有する組成物の局所適用を含む、ケラチン組織の淡色化方法を提供する。1つの具体的態様は、2−ケト−L−グロン酸又は2−ケト−D−グルコン酸のいずれかの本発明のエステル誘導体を含む制御放出組成物の局所適用を含む、ケラチン組織の淡色化方法を提供する。そのような「制御放出」は、例えば、アスコルビン酸の持続放出を可能にするか又は次にフリーのアスコルビン酸への変換をする前駆体の送達によって達成されうる。非常に具体的態様では、制御放出組成物は、本発明の2−ケト−L−グロン酸のエステル誘導体を含む。
その他の態様は、化粧品組成物又はパーソナルケア用組成物を含むパーソナルケア用配合物を目的とする。本発明のエステル誘導体は、皮膚及び粘膜に対するかなり高い浸透性を示すので、それらは、皮膚に、毛髪に、及び経口で使用可能な製品を一般に含む化粧用途に適している。本発明のエステル誘導体は、その他の、化粧品に好適な成分、例えば、オイル基剤、水溶性基剤、香気成分、着色剤、染料、冷却剤、保湿剤、皮膚軟化剤、乳化剤、ゲル化剤、増粘剤、界面活性剤、起泡安定剤、クリアランス、抗酸化剤、殺菌剤、防腐剤、造膜剤、及び噴射剤、と混合することもできる。本発明の化粧品は、少なくとも0.1w/w%、好ましくは少なくとも1.0w/w%の本発明のエステル誘導体を含む。本発明のエステル誘導体は、皮膚を通しての吸収を介して利点をもたらすことを目的とするその他の有益な薬剤に対する皮膚吸収増大効果を、それらの有益な薬剤とともに投与した場合にもたらしうることも考えられる。
本発明のエステル誘導体はまた、1以上の医薬剤又は栄養剤、例えば、ビタミン、アミノ酸、ペプチド、ホルモン、抽出物、血管拡張剤、血液循環促進剤、細胞活性化剤、抗炎症薬、痒み防止剤、皮膚機能増進剤、酵素、及び角質溶解剤、と望ましくは混合してもよい。この混合物は、液体、エマルション、クリーム、ペースト、粉末、顆粒、又は固体の製品の形態でありうる。本発明のパーソナルケア用組成物は、少なくとも0.1w/w%、好ましくは少なくとも1.0w/w%の本発明のエステル誘導体を含む。
アスコルビン酸シロキサンエステルが、ポリジメチルシロキサン、ポリジメチルシロキサンポリエーテル、シロキサン樹脂、及びその他のオルガノシロキサン化合物を包含する追加のポリシロキサン物質と配合される、最小限の水分量しか有しない配合物も考えられる。そのような配合物も、ビタミン、香料、抗酸化剤、ハーブ抽出物などを包含する追加の活性化合物を含んでよい。
以下の実施例は本発明の具体的態様の説明として提供され、本発明の範囲を制限するものと解釈されるべきではない。
〔実施例〕
以下の実施例で議論する化学分析と纏めたデータの化学分析の目的のために、以下の装置の情報が適用される。
1)プロトン(H)核磁気共鳴(NMR)スペクトルは、300MHzで運転されるVarian Unity 300 NMR装置で記録し、全てのNMRスペクトルは0ppmのテトラメチルシラン(TMS)を参照とし、ピーク周波数を、他に明示のない限りppmで記録し、サンプルは重水素化クロロホルム(CDCl)又は重水素化メタノール(CDOD)のいずれか中に溶かす。
2)ガスクロマトグラフィー/マススペクトル(GC/MS)は、HP-5MSキャピラリーカラム(0.25mm x 30m x 250μm、Agilent、CA)中に接続された、200℃に保持され且つ20:1のスプリット比で運転されるスプリットインジェクターを備えたAgilent 6890 GC/MSで行い、注入量は1μLであり、ヘリウムがキャリアーガスであり、流速は1mL/minであり、オーブンプログラムは60℃で開始し、20℃/minの速度で320℃まで昇温した。
3)エレクトロスプレー質量分析(ESI−MS)は、ポジティブモードで運転されるTSQ Quantum triple quadrupole 質量分析計(Thermo Finnegan, San Jose, CA)で行った。
〔実施例1〕
L−アスコルビン酸とモノカルボキシデシル官能性ポリジメチルシロキサンとの間の酵素触媒エステル化反応を説明する。
a)2,3,5,6-テトラ-O-トリメチルシリル-L-アスコルビン酸の合成
アスコルビン酸(13.6 g、78 mmol)を、アセトニトリル(ACN)(20 mL)と1,1,1,3,3,3-ヘキサメチルジシラザン(HMDZ)(35 ml、333 mmol)との混合物に、急速撹拌(300 rpm)をしながら加える。この混合物を全ての固体が完全に溶けるまで(1-2時間)通気式フラスコ中で、室温で撹拌する。次にこの混合物をトルエン(100 mL)で希釈し、真空下で濃縮して淡黄色のオイルを得る(35 g)。この液体生成物の分析は、それが主に2,3,5,6-テトラ-O-トリメチルシリル-L-アスコルビン酸であることを示している。
1H NMR (CDCl3, 300 MHz)δ4.68 (s, H-4); 3.92 (ddd, H-5); 3.59, 3.68 (2dd, H-6, 6’), 0.02-0.5 (4s, 36H)。GC/MS: m/z 465.2 [M+]。
b)酵素触媒エステル化
テトラ-TMSアスコルビン酸(20 g, 43 mmol)とモノ-(10-カルボキシデシル)-官能性ポリジメチルシロキサン(MCR-B11, Gelest, PA)(24 g, 22 mmol)を、窒素ガス雰囲気下、70℃で24時間、N435固定化リパーゼ(3.5 g)とt-アミルアルコール(10 mL)で処理する。1H NMRによる反応混合物の少量の分析は、90%を超えるカルボン酸基の6-O-アスコルビルエステル誘導体への変換を示した。このことは、1H NMRにおける新しいシグナル、すなわちエステル化されたカルボン酸官能基の隣のメチレン基(CH2)に帰属されうる2.38 ppmのトリップレット、の出現によって測定される。さらに、新しいシグナルが4.08及び4.21 ppmに観測され、エステル化されたアスコルビン酸基のプロトンH-5、6、及び6’に対応する。次に反応混合物を濾過して固定化リパーゼを除去し、サッカライド基を保護しているトリメチルシリル(TMS)エーテル基を除去するために、50℃にて2時間メタノールで処理する。次に混合物を真空下で濃縮し、粘稠なシロップ(40 g)を得る。次にこのシロップをメタノール(150 L)に再度溶かし、急速に撹拌しながら脱イオン水(600 mL)に添加し、白色綿状沈殿物が形成され、これを直ちにブフナーロートで濾過して集める。得られた固体は高真空下で乾燥して、灰色がかった白色のワックス状物質を得、これは1H NMRによって、アスコルビン酸とシロキサン6-O-アスコルビルエステルの1:1混合物(モル基準)(27g)からなることが示される。このシロキサンアスコルビン酸エステルは、クロロホルム中10%メタノールと水との間での分配によってさらに精製してもよい。真空下での有機層の濃縮で、柔らかい稠度の半透明ワックスとして、シロキサン6-O-アスコルビルエステルを得る。1H NMR (CD3OD, 300 MHz) δ4.72 (d, H-4); 4.21 (m, 2H, H-6,6’); 4.08 (ddd, H5); 2,38 (t, CH2CO2R); 1.60 (m, 2H); 1.20-1.45 (m, 14H); 0.92 (m, 2H); 0.58 (m, 2H); 0-0.2 (m, 60H)。
〔実施例2〕
L−アスコルビン酸(ASA)とビスカルボキシデシル官能性ポリジメチルシロキサンの間の酵素触媒エステル化を説明する。
トルエン(20 mL)中の上記テトラ−TMSアスコルビン酸(パートaに従って合成したもの)(23.8 g、52 mmol)とビス-(10-カルボキシデシル)-官能性ポリジメチルシロキサン(DMS−B12;Gelest, PA)(18.6 g、18 mmol)とを固定化リパーゼ(N435、5.2 g)で70℃にて48時間処理する。次にこの混合物を濾過して固定化リパーゼを除去し、メタノール(100 mL)で12時間処理し、この時間の後で反応混合物は黄褐色に着色したシロップへと濃縮する。1H NMRによるこの物質の分析は、この物質が、変化していないビス-(10-カルボキシデシル)-官能性ポリジメチルシロキサンに加えて、ビス-(10-カルボキシデシル)-官能性ポリジメチルシロキサンのモノ−及びビス−アスコルビン酸エステルの混合物であることを明らかにしている。このシロップをヘキサンと90%水性メタノールとの間で分配し、メタノール相を真空下で濃縮して、ビス−カルボキシデシル官能性ポリジメチルシロキサンのモノ−及びビス−アスコルビン酸エステルの混合物を灰色がかったワックス状固体として得る(11 g)。1H NMR (CD3OD, 300MHz) δ4.72 (d, H-4); 4.21 (m, H-6,6’); 4.08 (ddd, H-5); 2.38 (t, CH2CO2H); 1.60 (m); 1.20-1.45 (m); 0.92 (m); 0.58 (m); 0-0.2 (m)。
〔実施例3〕
L−アスコルビン酸とビス−カルボキシデシル官能性ポリジメチルシロキサンの間の改良された酵素触媒エステル化を説明する。
t-アミルアルコール(20 mL)中の上記テトラ−TMSアスコルビン酸(実施例1のパートaにしたがって合成したもの)(50 g、105 mmol)とビス−(10−カルボキシデシル)官能性ポリジメチルシロキサン(Dow Corning社、MI)(50 g、〜35 mmol)とを、窒素ガス雰囲気下で70℃にて28時間、固定化酵素(N435、10 g)で処理する。次に混合物を濾過して固定化酵素を除去し、メタノール(100 mL)で12時間処理し、この時間の後で反応混合物は黄褐色に着色したシロップにまで濃縮する。1H NMRによるこの物質の分析は、カルボキシル基の約85%が6-O-アスコルビルエステルに変換され、フリーのアスコルビン酸も生成物中に存在することを明らかにしている。フリーのアスコルビン酸を除去するために、このシロップをクロロホルム中10%メタノールと水との間で分配する。真空下での有機相の濃縮により、もろいワックスとしてカルボキシデシルシロキサンビス-(6-O-アスコルビル)エステルを得る(54 g)。1H NMR (CD3OD, 300 MHz) δ4.72 (d, H-4); 4,21 (m, H-6,6’); 4.08 (ddd, H5); 2.38 (t, CH2CO2R); 1.60 (m); 1.20-1.45 (m); 0.92 (m); 0.58 (m); 0-0.2 (m)。
〔実施例4〕
L−アスコルビン酸(ASA)とビス−カルボキシデシル官能性テトラメチルジシロキサンメチルエステルとの間の酵素触媒エステル化を説明する。
t-アミルアルコール(3 mL)中の、上記のテトラ−TMSアスコルビン酸(パート(a)に従って合成したもの)(14.0 g、30 mmol)と、ビス-1,3-(メチル10-カルボキシデシル)-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン(Dow Corning、MI)(5.3 g、10 mmol)を、乾燥窒素ガス雰囲気下で70℃にて48時間、固定化リパーゼ(N435、2.6 g)で処理する。この混合物を次にメタノール(60 mL)で12時間処理し、この時間の後、反応混合物を黄褐色シロップに濃縮する。1H NMRによるこの物質の分析は、カルボキシル基の約70%が6-O-アスコルビルエステルに変換され、モノ−及びビス−アスコルビルジシロキサンの混合物が生じたことを示している。1H NMR (CD3OD, 300 MHz) δ4.71 (d, H-4); 4.20 (m, H-6,6’); 4.08 (ddd, H5); 2.38 (t, CH2CO2R); 2.30 (t, CH2CO2H), 1.62 (m); 1.20-1.45 (m); 0.54 (m); 0.15 (s)。ESI-MS: m/z 836.24 [M+NH4]+(ビス(カルボキシデシル)テトラメチルジシロキサンのビス-ASA-エステル);m/z 692.3 [M+NH4]+(ビス(カルボキシデシル)テトラメチルジシロキサンモノメチルエステルのモノ-ASAエステル)。
〔実施例5〕
以下の実施例は、触媒として硫酸を用いた、L−アスコルビン酸とビス−カルボキシデシル官能性テトラメチルジシロキサンとの間の化学的エステル化を示す。
アスコルビン酸(11 g、62.5 mmol)とビス-1,3-(10-カルボキシデシル)-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン(Gelest, PA)(5.02 g、10.0 mmol)を4℃で濃硫酸(40 mL)中に溶かし、ゆっくりと室温まで昇温させた。その粘稠な黄褐色液体を12時間撹拌し、その後、1:1の氷と水の混合物1000mL中に添加した。その混合物を氷が融けるまで撹拌し、生成した白色沈殿物を濾過し、水(250 mL)で洗い、メタノール中に溶かした。このメタノール溶液を、炭酸水素ナトリウムの添加によってpH3に調節し、濾過して塩を除去し、溶液を濃縮してワックス状固体を得る。1H NMR及びマススペクトルによるこの物質の分析は、それがビス-1,3-(10-カルボキシデシル)-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサンの5-O-及び6-O-アスコルビルエステルの1:3混合物であることを示す。1H NMR (CD3OD, 300 MHz) δ5.24 (dt, H-5); 4,72 (d, H-4); 4.20 (m, H-6,6’); 4.08 (m, H-5); 3.75 (m, H-6,6’); 2.38 (t, CH2CO2R); 2.28 (t, CH2CO2R), 1.5-1.7 (m); 1.20-1.45 (m); 0.45-0.60 (m); 0.05 (s, SiMe2)。ESI-MS: m/z 836.06 [M+NH4]+(ビス-(カルボキシデシル)テトラメチルジシロキサンのビス-ASAエステル)。
〔実施例6〕
以下の実施例は、L−アスコルビン酸とビス−カルボキシプロピル官能性ポリジメチルシロキサンとの間の化学的エステル化を説明する。
2,3,5,6-テトラ-O-トリメチルシリル-L-アスコルビン酸を冷メタノールで処理して、6-O-TMSエーテルを選択的に除去し、次に真空下で溶媒を除去する。得られる結晶性2,3,5-トリ-O-トリメチルシリル-L-アスコルビン酸(400 mg、〜1 mmol)を、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)(ジクロロメタン中の1M溶液1.5 mL、1.5 mmol)とジメチルアミノピリジン(DMAP)(30 mg、0.25 mmol)の存在下で、ビス-(3-カルボキシプロピル)官能性ポリジメチルシロキサン(500 mg、〜0.5 mmol)で処理する。2、3分後、白色沈殿物が生成するのが観察される。追加の撹拌(1時間)時間後、混合物を濾過して沈殿物を除去し、真空下で濃縮してオイルを得る。1H NMRによるこのオイルの分析は、アスコルビン酸の部分的エステル化を示すシグナル、すなわち、1H NMRスペクトルの4.0〜4.3ppm領域のシグナル、の存在を示す。
〔実施例7〕
2-ケト-L-グロン酸(KLG)官能性ジシロキサンの酵素触媒合成を説明する。
2,3:4,5-ジイソプロピリデン-2-ケト-L-グロン酸(ジケグラック:dikegulac)(5.8 g、20 mmol)及び1,3-ビス-(3-ヒドロキシプロピル)-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン(2.5 g、10 mmol)を3Aモレキュラーシーブス(0.3 g)を含むテトラヒドロフラン(THF)(25 mL)中に溶かし、5日間還流させてN435固定化酵素(0.8 g)で処理する。反応物を濾過して固定化酵素とモレキュラーシーブスを除去し、次に真空下で濃縮して、白色結晶が混合した淡黄色粘稠オイルを得る。この混合物を冷ヘキサン(50 mL)で抽出し、ヘキサン抽出液を濃縮して、モノ−及びジアシル化生成物(1.9 g)を得る。ESI-MS: m/z 529 [M+Na]+(モノ−アシル化生成物)。M/z 785.2 [M+Na]+(ジ−アシル化生成物)。
〔実施例8〕
2−KLG官能性ジシロキサンの化学合成を説明する。
2,3:4,5-ジイソプロピリデン-2-ケト-L-グロン酸(2.92 g、10.0 mmol)と1,3-ビス-(3-ヒドロキシプロピル)-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン(1.3 g、5 mmol)をジクロロメタン(DCM)(50 mL)に溶かし、ここへジメチルアミノピリジン(DMAP)(92 mg)とジシクロヘキシルカルボジイミド(DMC中1Mを8 mL)を、室温(23℃)で撹拌しながら添加した。白色沈殿物が形成されるのが観察される。さらに2時間後、反応混合物を濾過し、真空下で濃縮して、部分的に結晶性の固体を得る。この物質をシリカゲル(40 g)のカラムにかけ、酢酸エチル/ヘキサン(1:2)で溶出して、粘稠なオイルとしてモノ-2-KLG-官能性ジシロキサンを得る(0.8 g)。1H NMR (CDCl3, 300 MHz) δ4.26 (d, 1H); 4.18 (t, 2H); 4.02-4.14 (m, 3H); 3.54 (m, 2H); 1.50-1.75 (m, 4H); 1.30, 1.38, 1.48 (3s, 12H); 0.50 (m, 4H); 0.1 (m, 12H)。
〔実施例9〕
美白剤とサンスクリーン剤を含む組成物を説明する。実例の組成物はクリームの形態である。
手順:成分1と2を、小さな混合容器中で一緒にする。約50℃に温め、混合して成分1を成分2中に分散させる。均一混合物が得られた後、冷却させて、成分3と4を添加する。均一になるまで混合する。全バッチを入れるのに充分大きな別の混合容器中で、B相のための成分(5〜7)を一緒にし、均一になるまで混合する。激しく撹拌しながらB相にA相(成分1〜4)をゆっくりと添加し、A相がそのバッチ中に速やかに組み込まれるようにする。配合物の粘度が増大するにしたがって、撹拌機の速度を早くして、確実に適切に混合するようにする。相A全てを添加した後、必要ならば時々混合容器の側面を掻き落としながら、10〜15分間撹拌する。
〔実施例10〕
美白剤を含む組成物を説明する。例示組成物はクリームの形態である。
手順:成分1と2を、小さな混合容器中で一緒にする。約50℃に温め、混合して成分1を成分2中に分散させる。均一混合物が得られた後、冷却して、成分3と4を添加する。均一になるまで混合する。全バッチを入れるのに充分大きな別の混合容器中で、B相のための成分(5〜7)を一緒にし、均一になるまで混合する。激しく撹拌しながらB相にA相(成分1〜4)をゆっくりと添加し、A相がそのバッチ中に速やかに組み込まれるようにする。配合物の粘度が増大するにしたがって、撹拌機の速度を早くして、確実に適切に混合するようにする。相A全てを添加した後、必要ならば時々混合容器の側面を掻き落としながら、10〜15分間撹拌する。
〔実施例11〕
美白剤を含む組成物を説明する。例示組成物はローションの形態である。
調製:A相(1〜2)の成分を、小さなビーカー又はその他の適切な混合容器中で一緒にする。約50℃に温め、混合して成分1を成分2中に分散させる。全バッチを入れるのに充分大きな第二の混合容器中で、成分3を成分6中に分散させる。成分3は凝集を避けるためにゆっくりと添加し、混合は成分3が水中に速やかに分散するのに充分激しくなければならないが、泡を生じるほど激しくすべきでない。成分3全てを添加した後、5〜10分間混合し、確実にそれを充分に分散させる。成分4と5を添加し、均一になるまで混合し、次にB相を約50℃に加熱する。充分にかき混ぜて撹拌しながら、A相をB相にゆっくり添加し、確実にA相をそのバッチ中に速やかに混合する。混合を続け、そのバッチを室温まで冷却させる。
〔実施例12〕
この例は、本発明の皮膚美白配合の細胞生存特性及び有効性を説明する。これらの例のために、DP2とDP15の両方は、(10-カルボキシデシル)-末端ジメチルシロキサンのビス−アスコルビルエステルに属すが、前者は重合度2を有し、後者は平均重合度15(15±5)を有する。特に、本発明の3つの配合は、水(ネガティブコントロール)、水中の1%コウジ酸(Sigma、WI)(ポジティブコントロール)、及びDMI(Uniqema Americas社のジメチルイソソルビド、現在市販されている美白化合物の代表)中の2.3%アスコルビルパルミテート、を評価して、細胞生存性と美白効果について比較した(表4参照)。この評価は、Melanoderm tissue mode MEL 300 A細胞株(MatTek、Ashland、MAから入手可能なMelanoDerm(登録商標)組織モデル)を用いて行った。このmelanodermモデルは、多層を形成するように共培養された、正常な、ヒト由来の表皮ケラチン生成細胞とメラニン細胞からなり、ヒト表皮の高度に分化したモデルである。
(a) 生存性評価
表4の各配合物の複製サンプルを、MTTアッセイ(MatTek MTT ET-50プロトコル)によって細胞生存性のために用い、48時間試験を行った。水及びコウジ酸の量は25μlだった。用いた試験物の量は、25μlにおいて細胞毒性を示した以前の試験の結果に基づいて10μlとした。MTTアッセイを用いての生存試験結果を表5に示す。
MTT生存率データは、DMI中のDP2での細胞生存率が>90%であり、10μLの用量が細胞毒性を引き起こさないことを示し、前の試験結果を裏付けており、これは25μL用量での細胞毒性が、担体であるDMIによっておそらく引き起こされていることを示唆した。
b)メラニン含量
表6(図4(a)を参照されたい)は、示したとおり、各配合物6つの適用後のメラノサイト濃度(μl/ml)を説明している。メラニン濃度(μg/ml)は、ポジティブコントロール(コウジ酸)とアスコルビルパルミテート、DP2、及びDP2+アスコルビン酸でより低い(p<0.05)。表7(図4(b)を参照されたい)も、前記試験配合物の6つの適用後10日でのメラノサイト濃度を説明している。メラニン濃度(μg/ml)はDP2中でより高く(p<0.05)、DP2+アスコルビン酸又はDP15と異なることがなかった。しかし、DP15に対するp値は高い生存率を有し、統計的差異はボーダーラインであった(p=0.06)。
〔実施例13〕
この例は、本発明の化合物が従来用いられていた化合物、例えば、アスコルビルパルミテートと比べて、驚くほど容易に配合されることを例証する。本発明の化合物は、より低粘度で、より柔らかく、アスコルビルパルミテートよりも改善された分散性を示す。
a)短鎖のジメチルシロキサンの一末端にウンデシルアスコルベート基を含む、本発明の物質(式=Si(CH3)3-[Si(CH3)2]8-[CH2]10-COO-アスコルベート、1082の計算分子量をもつ)のサンプル約7.2gを、ガラス瓶中に秤量した。リポネート(Liponate)CG(INCI名称:カプリル/カプリントリグリセリド)をその瓶に添加し、正味重量を20gにした。この瓶を、50℃に設定した水浴中で温めた。本物質はリポネートCG中に容易に分散し、冷却により半透明のゲルを形成した。DSMから得られたアスコルビルパルミテートのサンプルも、リポネートCG中での分散性について試験した。いくつかの濃度を試験した。試験した最低濃度は、ガラス瓶中に約2.3gのアスコルビルパルミテートを秤量し、次にカプリル/カプリントリグリセリドを添加して合計重量を20gにした。この低濃度でさえ、アスコルビルパルミテートは、50℃〜90℃の温度の水浴中で20〜30分間加熱後、カプリル/カプリントリグリセリド中に分散しない。
b)パートa)中に記載した、約7.2gのウンデシルアスコルベートを、低分子量シリコーン液体、Dow Corning(登録商標)245 Fluid(INCI名称:シクロペンタシロキサン)とともに、ガラス瓶中に秤量した。このシリコーンをこの瓶に入れて、正味重量を20gにした。50℃に設定した水浴中で温めた後、本物質は容易にシクロペンタシロキサン中に分散して半透明混合物を形成した。この混合物は室温まで冷却することで増粘した。この混合物が安定な分散液であるか不安定な懸濁液であるかを確かめるために、この混合物を卓上実験室用遠心分離機中で3000rpmにて約30分間遠心分離した。遠心の後、本サンプルには、瓶の底に白色物質のわずかな層があった。白色物質の量は少なく(用いたシロキサンウンデシルアスコルベートの量よりもずっと少ない)、この白色物質はほとんど未反応のアスコルビン酸であることが後に確かめられた。DSMから得たアスコルビルパルミテートのサンプルを、Dow Corning(登録商標)245 Fluid中での分散性について試験した。いくつかの濃度を試験した。試験した最低濃度は、約2.3gのアスコルビルパルミテートをガラス瓶中に秤量し、次にDow Corning(登録商標)245 Fluidを添加して正味重量を20gにした。この最低濃度でさえ、アスコルビルパルミテートは、水浴中で50〜90℃の温度にて20〜30分間の加熱後でも、Dow Corning(登録商標)245 Fluid中に分散しなかった。
c)ジシロキサンの両末端にウンデシルアスコルベート基を含む本発明の物質(式=アスコルビル-OCO[CH2]10-Si(CH3)2OSi(CH3)2-[CH2]10-COO-アスコルベート)のサンプル約0.35gをガラス瓶中に秤量した。脱イオン水を添加して、正味重量を3.5gにした。この瓶を、60℃に設定した水浴中に入れたところ、ジシロキサン物質は2、3分後に分散を始めた。この瓶を続く10〜15分間にわたり定期的に水浴から取り出した。粘稠で濁った分散液が形成された。冷却した場合に、この瓶を試験して、試験物質の全てが分散しているかどうかを確かめた。サンプルの濁った外観のために結論を述べるのは困難だった。試験は、脱イオン水で3.5gに希釈した約0.17のジシロキサンで繰り返した。この混合物は、水浴中で温めた後で、より粘度の低い、より濁りの少ない分散液をもたらした。両方の分散液とも、数週間の間安定であり、試験物質の分離又は沈殿の兆候はなかった。DSMから入手したアスコルビルパルミテートを、脱イオン水中での分散性について試験した。それは、上記ジシロキサン試験物質について試験した濃度と同等の濃度で分散しなかった。
図1は、アスコルビン酸のエステル誘導体の合成を図示し、エステル結合は、トリメチルシリル保護したアスコルビン酸とビスカルボキシル官能性シロキサンとの間で形成される。 図2は、ジケグラック(di-kegulac)とビスカルボニル官能性シロキサンからの、2−ケト−L−グロン酸のエステル誘導体の合成を図示する。 図3は、分子内ラクトン化を介した、2−ケト−L−グロン酸のエステル誘導体からのアスコルビン酸の生成についてのスキームを図示する。 図4(a)は、細胞生存10日後のメラニン濃度(μg/ml)を示し、(b)は、Mat Tek MTT ET-50試験プロトコルに従う皮膚淡色化アッセイを示す。

Claims (11)

  1. 下記構造式:
    (式中、
    各Pは、独立して、任意の保護基、プロトン、又はアルカリ金属もしくはアルカリ土類金属から選択されるカチオンであり;糖質基の4番目及び/又は5番目の炭素は、いずれかの光学異性位置にあり;sは、0又は1のいずれかであり;m、n、及びoは、独立して、0〜300の任意の整数を表し;lは、0〜30の任意の整数であり;rは、0又は1のいずれかであり;Xは、CH2、CH3、OCH2[CH2]lCH2、OCH2CH(CH3)CH2、(OCH2CH2)mOCH2[CH2]lCH2、(OCH(CH3)CH2)mOCH2[CH2]lCH2、NHCH2[CH2]lCH2、NHCH2CH2NHCH2[CH2]lCH2、NHCH2CH2NHCH2CH(CH3)CH2、(C=O)NHCH2[CH2]lCH2、(C=O)NHCH2CH2NHCH2[CH2]lCH2、又は(C=O)NHCH2CH2NHCH2CH(CH3)CH2、であることができ、Xは、Y又はZであることもできる;Y及びZは、独立して、H、OH、アルキル(C1〜12)、カルボキシアルキル(C1〜12)、アルケニル(C1〜12)、OSi(CH3)3、[OSi(Y)(Z)]mOSi(X)(Y)(Z)、及びフェニル、から選択され;s=1の場合は、Z’=0である。s=0の場合は、Z’=Zである。)
    を有する、アスコルビン酸のエステル。
  2. 以下の構造式:
    (式中、
    各Pは、独立して、任意の保護基、プロトン、又はアルカリ金属もしくはアルカリ土類金属から選択されるカチオンであり;Rは、低級アルキル(C1〜6)又は低級アルケニル(C1〜6)、金属イオン、NH4 +、又はNHa(R)4-a(式中、Rは低級アルキル(C1〜6)であり、aは0〜4の整数である)であり;糖質基の4番目及び/又は5番目の炭素は、別の光学異性位置であってよく;sは、0又は1のいずれかであり];m、n、及びoは、独立して、0〜300の任意の整数を表してよく;lは0〜30の間の任意の整数であり;rは、0又は1であり;Xは、CH2、CH3、OCH2[CH2]lCH2、OCH2CH(CH3)CH2、(OCH2CH2)mOCH2[CH2]lCH2、(OCH(CH3)CH2)mOCH2[CH2]lCH2、NHCH2[CH2]lCH2、NHCH2CH2NHCH2[CH2]lCH2、NHCH2CH2NHCH2CH(CH3)CH2、(C=O)NHCH2[CH2]lCH2、(C=O)NHCH2CH2NHCH2[CH2]lCH2、又は(C=O)NHCH2CH2NHCH2CH(CH3)CH2、であってよく、Xは、Y又はZであることもでき;Y及びZは、独立して、H、OH、アルキル(C1〜12)、カルボキシアルキル(C1〜12)、アルケニル(C1〜12)、OSi(CH3)3、[OSi(Y)(Z)]mOSi(X)(Y)(Z)、及びフェニル、から選択され;さらに、s=1の場合は、Z’=0であり、s=0の場合は、Z’=Zである。)
    を有する、2−ケト酸サッカライドのエステル。
  3. 以下の構造式:
    (式中、
    Pは、任意の保護基又はプロトンであってよく;Rは、低級アルキル(C1〜6)又は低級アルケニル(C1〜6)、金属イオン、NH4 +、又はNH(R)4-s(式中、Rは低級アルキル(C1〜6)であり、sは0〜4の整数である)であり;C−4及び/又はC−5は、別の光学異性位置であってよく;m、n、及びoは、独立して、0〜300の任意の整数を表してよく;lは0〜30の間の任意の整数であり;Xは、CH2、CH3、OCH2[CH2]lCH2、OCH2CH(CH3)CH2、(OCH2CH2)mOCH2[CH2]lCH2、(OCH(CH3)CH2)mOCH2[CH2]lCH2、NHCH2[CH2]lCH2、NHCH2CH2NHCH2[CH2]lCH2、NHCH2CH2NHCH2CH(CH3)CH2、(C=O)NHCH2[CH2]lCH2、(C=O)NHCH2CH2NHCH2[CH2]lCH2、又は(C=O)NHCH2CH2NHCH2CH(CH3)CH2、Y、又はZであってよく;Y及びZは、独立して、H、OH、アルキル(C1〜12)、アルケニル(C1〜12)、OSi(CH3)3、[OSi(Y)(Z)]mOSi(X)(Y)(Z)、及びフェニル、から選択され;さらに、s=1の場合は、Z’=0であり、s=0の場合は、Z’=Zである。)
    を有するエステル。
  4. 以下のステップ:
    a)アスコルビン酸または2−ケト酸サッカライドの少なくとも1つのヒドロキシ基から保護基を形成することによって、保護されたアスコルビン酸又は保護された2−ケト酸サッカライドを用意するステップ;
    b)前記保護されたアスコルビン酸又は保護された2−ケト酸サッカライドを、カルボキシ官能性シロキサンと混合して溶液を形成するステップ;
    c)前記溶液を、エステル結合形成を触媒しうる生体触媒と接触させるステップ;
    d)任意選択により前記保護基を除去してもよいステップ、
    を含み、前記保護基は官能基を含んでいてもよい、請求項1または2に記載されたエステルの合成法。
  5. 前記保護基がトリメチルシリルエーテルを含む、請求項4に記載の合成法。
  6. 前記カルボキシ官能性オルガノシロキサンが、モノ−又はビス−カルボキシ官能性である、請求項4に記載の合成法。
  7. 以下のステップ:
    a)2−ケト酸サッカライドの少なくとも1つのヒドロキシ官能基から保護基を形成することによって、保護された2−ケト酸サッカライドを用意するステップ;
    b)1つ又は両方の末端に、又はペンダント基としてポリマー鎖内に存在するカルビノール基を有するポリジメチルシロキサンを準備するステップ;
    c)前記保護された2−ケト酸サッカライドと、1つ又は両方の末端に、又はペンダント基としてポリマー鎖内に存在するカルビノール基を有するポリジメチルシロキサンとを、適切な溶媒に溶かして溶液を形成するステップ;
    d)前記溶液を、エステル結合形成を触媒することができる生体触媒で処理するステップ;
    e)任意選択により前記保護基を除去してもよいステップ、
    を含み、前記保護基が官能基を含んでいてもよい、請求項3に記載のエステルの合成法。
  8. 前記保護基がアルキリデンを含む、請求項7に記載の合成法。
  9. 以下のステップ:
    a)2−ケト−L−グロン酸と、1つ又は両方の末端に、又はペンダント基としてポリマー鎖内に存在するカルビノール基を有するポリジメチルシロキサンとの間のエステル結合形成によってエステルが導入されており、2−ケト酸サッカライドが2−ケト−L−グロン酸である、請求項2に記載のエステルを用意するステップ;
    b)前記の2−ケト−L−グロン酸のアシル誘導体を、分子内ラクトン化反応が起こり遊離のアスコルビン酸と、1つ又は両方の末端に、又はペンダント基としてポリマー鎖内に存在するカルビノール基を有するポリジメチルシロキサンとを放出する環境に送達するステップ、
    を含む、アスコルビン酸を生成する制御放出方法。
  10. エステルが、2−ケト−L−グロン酸と、1つ又は両方の末端に、又はペンダント基としてポリマー鎖内に存在するカルビノール基を有するポリジメチルシロキサンとの間のエステル結合形成によって導入された、請求項2に記載の2−ケト−L−グロン酸のエステル、及び医薬として又は化粧品として適切な賦形剤又は基剤、を含むトリートメント又は化粧用配合物。
  11. 請求項1に記載のアスコルビン酸のエステルを含むパーソナルケア用組成物であって、
    少なくとも1つのヒドロキシル基を含むアスコルビン酸と、カルボキシ官能性オルガノシロキサンとの間でのエステル結合形成によってエステルが導入されており、前記アスコルビン酸は、アスコルビン酸もしくはイソアスコルビン酸、又はそれらの立体異性体もしくは塩のいずれかを含む、パーソナルケア用組成物。
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