JP5214386B2 - 電動弁の状態監視診断装置及び方法 - Google Patents

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Description

本発明は、電動弁の劣化や故障の兆候を検知する電動弁の状態監視診断装置及び方法に関する。
従来の原子力発電所の電動弁の保全では、予防保全として決められた周期で分解点検を行う時間計画保全(TBM)が行われている。このTBMでは、電動弁の劣化状態にかかわらず一定周期で分解点検を行うためオーバーメンテナンスとなり、保守費用が大きくなるという問題点と、劣化が生じていない電動弁に対して分解・組立のプロセスで故障を発生させる、いわゆるいじり壊しを発生させやすいという問題点がある。また、分解点検を数ヶ月の定期検査中に集中して行っているため、定期検査の工程を短縮できず、プラント稼働率を改善するのが難しいという問題点もある。
近年、これらの問題点を解決するために、電動弁の劣化状態を定期的に監視診断しながら、適切な時期に分解点検を行う状態監視保全の導入が要請されている。現在までに、電動弁の劣化状態を監視診断することを目的として、様々な状態監視診断装置が開発され、原子力発電所における電動弁の状態監視保全への適用が期待されている。
電動弁の劣化状態を監視診断するためには、電動弁の停止時から動作時に亘り、弁棒に作用する荷重、弁棒の軸方向ストローク(昇降移動量)、モータに入力される電流等の時系列波形を定期的に計測し、正常状態の波形とのずれを解析し評価する必要がある。上記データの中で、弁棒に作用する荷重と弁棒の軸方向ストロークは特に重要なデータであり、これらのデータを計測し解析して評価することにより、電動弁の大部分の劣化の兆候を検知するとが可能となる。
現在までに開発された状態監視診断装置において、弁棒に作用する荷重と弁棒の軸方向ストロークの計測手法としては、特許文献1に記載のように、電動弁駆動部にセンサを予め内蔵させて計測する手法(内蔵型)、特許文献2または3に記載のように、弁棒やヨークにセンサを外付けして計測する手法(外付け型)、特許文献4に記載のように、モータに入力される電流値と電圧値から電動弁の劣化の兆候を推定する手法(遠隔推定型)が開発されている。
特開2006−184193号公報 特開2007−205511号公報 特開2008−39126号公報 特開2006−83928号公報
ところが、内蔵型の状態監視診断装置の場合、計測精度は高いが、電動弁のそれぞれに1式のセンサが必要であり、このセンサを含めた計器の取り付け・取り外しや、計器の校正の際には、電動弁を分解しなければならないという課題がある。
また、外付け型の状態監視診断装置の場合には、計測精度は高いが、取り付けに時間と労力を要し、また、軸方向に動作する弁棒にセンサを直接取り付けるため、電動弁の動作に制約を与えてしまうという課題がある。
更に、遠隔推定型の状態監視診断装置の場合には、計測が簡便で遠隔計測が可能であるという利点はあるが、直接の計測でなく、他のデータからの推定計測となってしまうため、精度に課題がある。
また、前記3つのいずれの計測手法についても、弁棒の「ある1点」の応力(または歪み)を計測する手法であり、より詳細で高精度な監視診断に必要不可欠な弁棒の「応力分布(または歪み分布)」を計測することができない。
本発明の目的は、上述の事情を考慮してなされたものであり、電動弁の状態監視診断を、電動弁の動作に影響を与えることなく、高精度且つ簡便に実現できる電動弁の状態監視診断装置及び方法を提供することにある。
本発明に係る電動弁の状態監視診断装置は、先端に弁体が設けられた弁棒を、モータの駆動力により軸方向に駆動して前記弁体に開閉動作を行なわせる電動弁であって、この電動弁の停止時から動作時に亘り、前記電動弁の歪み発生箇所に施されたマーキングを前記電動弁に非接触状態で撮影する撮影装置と、この撮影装置から出力された信号を画像処理し、前記マーキングの位置変化を画像計測して、前記歪み発生箇所における歪み分布を求める画像処理装置と、この画像処理装置から出力された信号を演算処理して、前記歪み発生箇所の任意の点における歪みの時系列波形を演算して表示するデータ解析装置と、を有することを特徴とするものである。
本発明に係る電動弁の状態監視診断方法は、先端に弁体が設けられた弁棒を、モータの駆動力により軸方向に駆動して前記弁体に開閉動作を行なわせる電動弁であって、この電動弁の停止時から動作時に亘り、前記電動弁の歪み発生箇所に施されたマーキングを前記電動弁に非接触状態で撮影し、この撮影された画像を処理し、前記マーキングの位置変化を画像計測して、前記歪み発生箇所における歪み分布を求め、この歪み分布から、前記歪み発生箇所の任意の点における歪みの時系列波形を演算して表示することを特徴とするものである。
本発明に係る電動弁の状態監視診断装置及び方法によれば、電動弁の状態監視診断を、電動弁の動作に影響を与えることなく、高精度且つ簡便に実現できる。
以下、本発明を実施するための最良の形態を、図面に基づき説明する。但し、本発明は、これらの実施の形態に限定されるものではない。
[A]第1の実施の形態(図1〜図6)
図1は、本発明に係る電動弁の状態監視診断装置における第1の実施の形態を示す斜視図である。図2は、図1における弁棒の外部露出部に施されたマーキング点を示す、主にヨークの縦断面図である。図3は、図1の電動弁の状態監視診断装置の構成を示すブロック図である。
図1に示す電動弁10は、弁体収納部11、弁体駆動部12、駆動量制御機構部13及びヨーク14を有して構成される。
弁体収納部11は、図示しない配管に接続される。この弁体収納部11には、弁棒16の先端に設けられた弁体15が、弁体収納部11の流路を開閉し得るように収納されている。また、弁体駆動部12は、モータ17の回転駆動力をギア部18により減速して弁棒16へ伝達し、この弁棒16を軸方向に昇降駆動して、弁体15に開閉動作を行なわせる。
駆動量制御機構部13は、リミットスイッチ19及びトルクスイッチ20を備える。リミットスイッチ19は、弁棒16の回転量からこの弁棒16の昇降駆動量(軸方向ストローク)を検出して、弁体15の開度を検知する。トルクスイッチ20は、ギア部18の図示しないウォームギアに作用するトルクを検出して、弁体15の全開位置または全閉位置を検知する。このようにしてリミットスイッチ19及びトルクスイッチ20が弁体15の位置を検知することで、駆動量制御機構部13は、弁棒16の昇降駆動量を制御して、弁体15の開閉動作を制御する。
ヨーク14は、弁体収納部11と弁体駆動部12とを連結するものである。このヨーク14には開口21が形成され、これにより弁棒16の一部が外部に露出して、弁棒16に外部露出部22が生ずる。また、このヨーク14には、図2にも示すように、弁体収納部11との結合部分側に、弁棒16との間で液密を確保するためのグランドパッキン23と、このグランドパッキン23を保持するパッキン押え24が装着されている。更に弁棒16の駆動時には、この弁棒16にスラストが作用すると共に、その反力がヨーク14に作用する。従って弁棒16には、上記スラストによる歪みが発生すると共に、ヨーク14には、上記反力によって、弁棒16に生ずる歪みと相関のある歪みが発生する。
さて、上述のように構成された電動弁10の劣化や故障状態を監視し診断する電動弁の状態監視診断装置25(図1)について、以下に説明する。
この電動弁の状態監視診断装置25は、電動弁10の状態監視診断を定期的に実行するものであり、図3にも示すように、撮影装置26、画像処理装置27及びデータ解析装置28を有して構成される。データ解析装置28は、更に演算処理部29及び表示部30を備えてなる。
撮影装置26は、図1及び図2に示すように、電動弁10の静止時から動作時に亘り、電動弁10の歪み発生箇所としての弁棒16の外部露出部22の表面にランダムに施された多数のマーキング点31を、電動弁10に非接触状態で撮影する。この撮影装置26は、2台の高解像度エリアカメラ26A及び26Bであり、これらのエリアカメラ26A及び26Bが、前記多数のマーキング点31をそれぞれ異なった方向から撮影する。これらのエリアカメラ26A及び26Bは、支持装置32にて支持されて、マーキング点31をとらえる最適な撮影位置に固定される。
画像処理装置27は、エリアカメラ26A及び26Bから出力された信号を画像処理し、弁棒16の外部露出部22に施された多数のマーキング点31の3次元座標を画像計測して、弁棒16の外部露出部22における歪み分布(図4)と弁棒16の軸方向ストロークを求める。
つまり、画像処理装置27は、エリアカメラ26A、26Bからそれぞれ出力された2つの画像の相関をとることで、電動弁10の静止時から動作時に亘る全てのマーキング点31の3次元座標の位置変化を画像計測する。そして、画像処理装置27は、このマーキング点31の3次元座標の位置変化から弁棒16の軸方向ストローク(昇降駆動量)を求め、更に、この軸方向ストロークを差し引いたマーキング点31の3次元座標の位置変化から、弁棒16の外部露出部22における歪み分布(図4)を、前記軸方向ストロークと同時に求める。
図4の歪み分布は、電動弁10の静止時から動作時に亘る任意の時点での歪み分布を示し、歪みが最も高い領域を符号Hで示し、歪みが最も低い領域を符号Lで示している。
図1及び図3に示すデータ解析装置28の演算処理部29は、画像処理装置27から出力された信号を演算処理して、弁棒16の外部露出部22における任意の点(図4中の点A)の歪みの時系列波形(図5)と、弁棒16の軸方向ストロークの時系列波形(図6)とを求め、状態監視に必要な、例えばグラフ表示用のデータフォーマットに変換する。データ解析装置28の表示部30は、演算処理部29から出力されたデータを表示するディスプレイである。
図5には、弁棒16の外部露出部22における任意の点の歪みの時系列波形において、電動弁10が正常状態の場合を実線Kで示し、ギア部18(図1)のギアに摩耗が生じた場合を破線Mで示し、グランドパッキン23(図2)の締め付け不良によって液密状態が低下した場合を一点鎖線Nで示す。ギア部18のギアに摩耗が生じた場合には、開弁動作開始時t1の直後に発生する歪みの最大値が、正常状態の場合よりも遅れてしまう。また、グランドパッキン23による液密低下の場合には、一定状態の歪み値が、正常状態の場合よりも低下してしまう。
また、図6には、弁棒16の軸方向ストロークの時系列波形において、電動弁10が正常状態の場合を実線Pで示し、異物の侵入によって弁体15の開動作が容易でなくなった弁体固着状態の場合を破線Qで示す。弁体15の固着状態の場合には、開弁動作開始後の弁棒16の軸方向の上昇動作に、正常状態の場合よりも遅れが生ずる。尚、図5及び図6中の符号t2は、閉弁動作完了時を示す。
従って、本実施の形態によれば、次の効果(1)〜(3)を奏する。
(1)弁棒16の外部露出部22における歪み分布と弁棒16の軸方向ストロークを画像処理装置27が求め、データ解析装置28の演算処理部29が、画像処理装置27からの出力に基づいて、弁棒16の外部露出部22における任意の点の歪みの時系列波形と、弁棒16の軸方向ストロークの時系列波形とを求めている。このため、上記歪みの時系列波形を、正常状態の電動弁10の場合と比較し、両者のずれを解析して評価し、また前記弁棒16の軸方向ストロークの時系列波形を、正常状態の電動弁10の場合と比較し、両者のずれを解析して評価することで、電動弁10の劣化や故障などの状態監視診断を高精度に実現できる。
(2)撮影装置26(エリアカメラ26A及び26B)が、弁棒16の外部露出部22におけるマーキング点31を、電動弁10に非接触状態で撮影するので、弁棒16の外部露出部22等に歪みセンサを装着する場合と異なり、電動弁10の動作に影響を与えることがない。
(3)電動弁10の状態監視診断時に、弁棒16の外部露出部22等に歪みセンサ等を取り付け、または状態監視診断終了時に歪みセンサ等を取り外す必要がないので、電動弁10の状態監視診断を簡便に実施できる。
[B]第2の実施の形態(図7〜図9)
図7は、本発明に係る電動弁の状態監視診断装置における第2の実施の形態を示す斜視図である。この第2の実施の形態において、前記第1の実施の形態と同様な部分については、同一の符号を付すことにより説明を簡略化し、または省略する。
本実施の形態の電動弁の状態監視診断装置35が前記実施の形態と異なる点は、弁棒16の外部露出部22の表面に施されるマーキングとしてのマーキング線36と、このマーキング線36を撮影する撮影装置37と、この撮影装置37から出力された信号を画像処理する画像処理装置38とである。
マーキング点36は、図8に示すように、弁棒16の外部露出部22の表面において、弁棒16の軸に直交する方向に延び、弁棒16の軸方向に多数本配列される。各マーキング線36における弁棒16の軸に直交する方向の長さXは等しく設定され、更に、各マーキング線36における弁棒16の軸方向の間隔Yも、等しく設定されている。
撮影装置37は、図7に示すように、弁棒16の外部露出部22の表面に施されたマーキング線36を一方向から撮影する1台の高解像度エリアカメラ37Aである。このエリアカメラ37Aが、電動弁10の静止時から動作時に亘って上記マーキング線36を撮影する。このエリアカメラ37Aも、支持装置32により、マーキング線36をとらえる最適な撮影位置に固定される。
画像処理装置38は、エリアカメラ37Aから出力された信号を画像処理し、電動弁10の静止時から動作時に亘り、弁棒16の外径に相当するマーキング線36の長さXの変化と、マーキング線36における弁棒16の軸方向の移動量とを2次元座標で画像計測する。そして、画像処理装置38は、マーキング線36の長さXの変化から、弁棒16の外部露出部22における軸に直交する方向の歪みの分布(図9)を求め、マーキング線36における弁棒16の軸方向移動量から、弁棒16の軸方向ストローク(昇降駆動量)を、前記歪み分布(図9)と同時に求める。
図9の歪み分布は、電動弁10の静止時から動作時に亘る任意の時点での、各マーキング線36の位置における歪みの分布を示し、歪みが最も高い領域を符号Hで示し、歪みが最も低い領域を符号Lで示している。
図7に示すデータ解析装置28の演算処理部29は、画像処理装置38から出力された信号を演算処理し、弁棒16の外部露出部22における任意の点(図9中の点B)の歪みの時系列波形と、弁棒16の軸方向ストロークの時系列波形とを求め、状態監視に必要なデータフォーマットに変換する。データ解析装置28の表示部30が、演算処理部29からのデータを表示する。
従って、本実施の形態においても、弁棒16の外部露出部22における歪み分布と弁棒16の軸方向ストロークを画像処理装置38が求め、データ解析装置28の演算処理部29が、画像処理装置38からの出力に基づいて、弁棒16の外部露出部22における任意の点の歪みの時系列波形と、弁棒16の軸方向ストロークの時系列波形とを求めているので、前記第1の実施の形態の効果(1)と同様な効果を奏する。その他、本実施の形態においても、前記第1の実施の形態の効果(2)及び(3)と同様な効果を奏する。
[C]第3の実施の形態(図10〜図12)
図10は、本発明に係る電動弁の状態監視診断装置における第3の実施の形態を示す斜視図である。この第3の実施の形態において、前記第1の実施の形態と同様な部分については、同一の符号を付すことにより説明を簡略化し、または省略する。
この第3の実施の形態の電動弁の状態監視診断装置40が前記第1の実施の形態と異なる点は、弁棒16の外部露出部22の表面に施されるマーキングとしてのマーキング線41と、このマーキング線41を撮影する撮影装置42と、この撮影装置42から出力された信号を画像処理する画像処理装置43とである。
図11に示すマーキング線41は、弁棒16の外部露出部22の表面において、弁棒16の軸に直交する方向に延び、弁棒16の軸方向に多数本配列されている。各マーキング線41における弁棒16の軸方向の間隔Zは等しく設定されている。
図10に示す撮影装置42は、弁棒16の外部露出部22の表面に施されたマーキング線41を、このマーキング線41に直交する方向から撮影する1台の高解像度ラインカメラ42Aであり、マーキング線41に対するラインカメラ42Aの位置関係を図11に2点鎖線で示す。このラインカメラ42Aは、電動弁10の静止時から動作時に亘って上記マーキング線41を撮影する。このラインカメラ42Aも支持装置32により、マーキング線41をとらえる最適な撮影位置に固定される。
図10に示す画像処理装置43は、ラインカメラ42Aから出力された信号を画像処理し、電動弁10の静止時から動作時に亘り、マーキング線41における弁棒16の軸方向の間隔Zの変化と、マーキング線41における弁棒16の軸方向の移動量とを1次元座標で画像計測する。そして、画像処理装置43は、マーキング線41の上記間隔Zの変化から、弁棒16の外部露出部22における軸方向の歪みの分布(図12)を求め、マーキング線41における弁棒16の軸方向移動量から弁棒16の軸方向ストローク(昇降駆動量)を、前記歪み分布(図12)と同時に求める。
図12の歪み分布は、電動弁10の静止時から動作時に亘る任意の時点での、各マーキング線41の位置における歪みの分布を示し、歪みが最も高い領域を符号Hで示し、歪みが最も低い領域を符号Lで示している。
図10に示すデータ解析装置28の演算処理部29は、画像処理装置43から出力された信号を演算処理し、弁棒16の外部露出部22における任意の点(図12中の点C)の歪みの時系列波形と、弁棒16の軸方向ストロークの時系列波形とを求め、状態監視に必要なデータフォーマットに変換する。データ解析装置28の表示部30が、演算処理部29からのデータを表示する。
従って、本実施の形態においても、弁棒16の外部露出部22における歪み分布と弁棒16の軸方向ストロークを画像処理装置43が求め、データ解析装置28の演算処理部29が、画像処理装置43からの出力に基づいて、弁棒16の外部露出部22における任意の点の歪みの時系列波形と、弁棒16の軸方向ストロークの時系列波形とを求めているので、前記第1の実施の形態の効果(1)と同様な効果を奏する。その他、本実施の形態においても、前記第1の実施の形態の効果(2)及び(3)と同様な効果を奏する。
[D]第4の実施の形態(図13)
図13の(A)は、本発明に係る電動弁の状態監視診断装置における第4の実施の形態を示す斜視図であり、(B)は、図13(A)のXIII部拡大斜視図である。この第4の実施の形態において、前記第1の実施の形態と同様な部分については、同一の符号を付すことにより説明を簡略化し、または省略する。
この第4の実施の形態の電動弁の状態監視診断装置45が前記第1の実施の形態と異なる点は、マーキングとしてのマーキング点46が弁棒16の外部露出部22ではなく、弁体収納部11と弁体駆動部12とを連結するヨーク14の外表面に施された点である。
前述の如く、弁棒16の駆動時には、この弁棒16にスラストが作用すると共に、その反力がヨーク14に作用し、このヨーク14には、弁棒16に生ずる歪みと相関のある歪みが発生する。電動弁の状態監視診断装置45は、このヨーク14に生ずる歪み分布と、歪みの時系列波形とを検出するものであり、前記マーキング点46、撮影装置47、画像処理装置48及びデータ解析装置49を有して構成される。
マーキング点46は、弁棒16の外部露出部22の表面に施されたマーキング点31と同様に、ヨーク14の外表面にランダムに多数施される。これらの多数のマーキング点46を、撮影装置47における2台の高解像度エリアカメラ47A及び47Bが異なる方向から撮影する。
画像処理装置48は、エリアカメラ47A及び47Bから出力された信号を画像処理し、マーキング点46の3次元座標の変化を画像計測して、ヨーク14における歪み分布を求める。つまり、画像処理装置48は、エリアカメラ47A及び47Bからそれぞれ出力された2つの画像の相関をとることで、電動弁10の静止時から動作時に亘る全てのマーキング点46の3次元座標の位置変化を画像計測し、この位置変化からヨーク14における歪み分布を求める。
データ解析装置49の演算処理部50は、画像処理装置48から出力された信号を演算処理して、ヨーク14の任意の点における歪みの時系列波形を求め、状態監視に必要なデータフォーマットに変換する。画像解析装置49の表示部51が、演算処理部50から出力されたデータを表示する。
従って、本実施の形態によれば、前記第1の実施の形態の効果(2)および(3)と同様な効果を奏するほか、次の効果(4)および(5)を奏する。
(4)ヨーク14における歪み分布を画像処理装置48が求め、データ解析装置49の演算処理部50が、画像処理装置48からの信号に基づいて、ヨーク14における任意の点の歪みの時系列波形を求めることから、この求めた歪みの時系列波形を正常状態の電動弁10の場合と比較し、両者のずれを解析して評価することで、電動弁10の状態監視診断を高精度に実現できる。
(5)エリアカメラ47A及び47Bが、軸方向に昇降動作する弁棒16の表面のマーキング点31ではなく、動作しない固定状態のヨーク14に施されたマーキング点46を撮影するので、画像処理装置48は、マーキング点46の3次元座標の位置変化を画像計測してヨーク14の歪み分布を求める際に、このヨーク14の移動量を相殺するための補正を実行する必要がない。この結果、ヨーク14の歪み分布をより簡便に求めることができる。
尚、この第4の実施の形態においては、前記第2の実施の形態のマーキング線36、または第3の実施の形態のマーキング線41をそれぞれヨーク14に施して、このヨーク14の歪み分布を求めてもよい。
本発明に係る電動弁の状態監視診断装置における第1の実施の形態を示す斜視図。 図1における弁棒の外部露出部に施されたマーキング点を示す、主にヨークの縦断面図。 図1の電動弁の状態監視診断装置の構成を示すブロック図。 図3の画像処理装置が求めた弁棒の外部露出部における歪み分布図。 図3のデータ解析装置が演算した弁棒の外部露出部における任意の点の歪みの時系列波形を示すグラフ。 図3のデータ解析装置が演算した弁棒の軸方向ストロークの時系列波形を示すグラフ。 本発明に係る電動弁の状態監視診断装置における第2の実施の形態を示す斜視図。 図7における弁棒の外部露出部に施されたマーキング線を示す、主にヨークの縦断面図。 図7の画像処理装置が求めた弁棒の外部露出部における歪み分布図。 本発明に係る電動弁の状態監視診断装置における第3の実施の形態を示す斜視図。 図10における弁棒の外部露出部に施されたマーキング線を示す正面図。 図10における画像処理装置が求めた弁棒の外部露出部における歪み分布図。 (A)は本発明に係る電動弁の状態監視診断装置における第4の実施の形態を示す斜視図、(B)は図13(A)のXIII部拡大斜視図。
符号の説明
10 電動弁
11 弁体収納部
12 弁体駆動部
14 ヨーク(歪み発生箇所)
15 弁体
16 弁棒
22 外部露出部(歪み発生箇所)
25 電動弁の状態監視診断装置
26 撮影装置
26A、26B エリアカメラ
27 画像処理装置
28 データ解析装置
29 演算処理部
31 マーキング点
35 電動弁の状態監視診断装置
36 マーキング線
37 撮影装置
37A エリアカメラ
38 画像処理装置
40 電動弁の状態監視診断装置
41 マーキング線
42 撮影装置
42A ラインカメラ
43 画像処理装置
45 電動弁の状態監視診断装置
46 マーキング点
47 撮影装置
47A、47B エリアカメラ
48 画像処理装置
49 データ解析装置
50 演算処理部
X マーキング線の長さ
Z マーキング線の間隔

Claims (8)

  1. 先端に弁体が設けられた弁棒を、モータの駆動力により軸方向に駆動して前記弁体に開閉動作を行なわせる電動弁であって、
    この電動弁の停止時から動作時に亘り、前記電動弁の歪み発生箇所に施されたマーキングを前記電動弁に非接触状態で撮影する撮影装置と、
    この撮影装置から出力された信号を画像処理し、前記マーキングの位置変化を画像計測して、前記歪み発生箇所における歪み分布を求める画像処理装置と、
    この画像処理装置から出力された信号を演算処理して、前記歪み発生箇所の任意の点における歪みの時系列波形を演算して表示するデータ解析装置と、を有することを特徴とする電動弁の状態監視診断装置。
  2. 前記歪み発生箇所は弁棒の外部露出部であり、
    画像処理装置は、撮影装置から出力された信号を画像処理し、前記弁棒の前記外部露出部の表面に施されたマーキングの位置変化を画像計測して、前記弁棒の前記外部露出部における歪み分布と、前記弁棒の軸方向ストロークを求め、
    データ解析装置は、前記画像処理装置から出力された信号を演算処理して、前記弁棒の前記外部露出部における任意の点の歪みの時系列波形と、前記弁棒の軸方向ストロークの時系列波形とを演算して表示することを特徴とする請求項1に記載の電動弁の状態監視診断装置。
  3. 前記マーキングは、弁棒の外部露出部の表面にランダムに施された多数のマーキング点であり、
    撮影装置は、前記マーキング点を異なる方向から撮影する2台のエリアカメラであり、
    前記画像処理装置は、前記撮影装置から出力された信号を画像処理し、前記マーキング点の3次元座標の変化を画像計測して、前記弁棒の前記外部露出部における歪み分布と、前記弁棒の軸方向ストロークを求めることを特徴とする請求項2に記載の電動弁の状態監視診断装置。
  4. 前記マーキングは、弁棒の外部露出部の表面に施され、前記弁棒の軸に直交する方向に延びる多数本のマーキング線であり、
    撮影装置は、前記マーキング線を一方向から撮影する1台のエリアカメラであり、
    前記画像処理装置は、前記撮影装置から出力された信号を画像処理し、前記弁棒の外径に相当する前記マーキング線の長さの変化と前記マーキング線の軸方向移動量を2次元座標で画像計測して、前記弁棒の前記外部露出部における歪み分布と、前記弁棒の軸方向ストロークを求めることを特徴とする請求項2に記載の電動弁の状態監視診断装置。
  5. 前記マーキングは、弁棒の外部露出部の表面に、前記弁棒の軸に直交する方向に延び、且つ前記弁棒の軸方向に等間隔に施された多数本のマーキング線であり、
    撮影装置は、前記マーキング線を、このマーキング線に直交する方向から撮影する1台のラインカメラであり、
    前記画像処理装置は、前記マーキング線の軸方向間隔の変化と前記マーキング線の軸方向移動量を1次元座標で画像計測して、前記弁棒の前記外部露出部における歪み分布と、前記弁棒の軸方向ストロークを求めることを特徴とする請求項2に記載の電動弁の状態監視診断装置。
  6. 前記歪み発生箇所は、弁体を収納する弁体収納部と、モータの駆動力により弁棒を軸方向に駆動させる弁体駆動部とを連結するヨークであり、このヨークの表面にマーキングが施されたことを特徴とする請求項1に記載の電動弁の状態監視診断装置。
  7. 前記マーキングは、ヨークの表面にランダムに施された多数のマーキング点であり、
    撮影装置は、前記マーキング点を異なる方向から撮影する2台のエリアカメラであり、
    前記画像処理装置は、前記撮影装置から出力された信号を画像処理し、前記マーキング点の3次元座標の変化を画像計測して、前記ヨークにおける歪み分布を求めることを特徴とする請求項6に記載の電動弁の状態監視診断装置。
  8. 先端に弁体が設けられた弁棒を、モータの駆動力により軸方向に駆動して前記弁体に開閉動作を行なわせる電動弁であって、
    この電動弁の停止時から動作時に亘り、前記電動弁の歪み発生箇所に施されたマーキングを前記電動弁に非接触状態で撮影し、
    この撮影された画像を処理し、前記マーキングの位置変化を画像計測して、前記歪み発生箇所における歪み分布を求め、
    この歪み分布から、前記歪み発生箇所の任意の点における歪みの時系列波形を演算して表示することを特徴とする電動弁の状態監視診断方法。
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