JP5213477B2 - ガラスセラミックスの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、多層回路基板の絶縁基体として用いられるガラスセラミックスの製造方法に関するものであり、とりわけ半導体素子や各種電子部品を搭載し銅を含む配線を有する多層回路基板等に適用可能なガラスセラミックス製造方法に関するものである。
近年、高度情報化時代を迎え、情報伝達はより高速化、高周波化が進み、搭載される半導体素子もより高速化、高集積化され、更に実装により高密度が要求されるようになり、光通信や高速インターフェースといったGHzレベル以上の高周波信号を処理する電子機器として携帯電話やPDAなどモバイル機器が急速に発達している。
このような電子機器などに使用される配線基板としては、種々の電子部品や入出力端子などを接続する工程で加わる応力により欠けが生じたり、携帯時の不意な落下や衝撃で破損したりすることを防止するため、充分な機械的強度を有することが要求される。
また、マサーボードなどの有機樹脂を含む高熱膨張係数のプリント配線基板に実装したときに、プリント配線基板との間の熱膨張差による応力で実装部分が剥離したりクラックが生じたりしてしまうのを防止するために、絶縁基体(ガラスセラミックス)の熱膨張係数がプリント配線基板の熱膨張係数と近い値(高熱膨張係数)であることが要求される。
さらに、製造工程におけるめっき処理の際に、絶縁基体(ガラスセラミックス)がめっき液によって侵食され、侵食された部分にめっき液が残留して黒い残痕が残るという問題があることから、絶縁基体(ガラスセラミックス)には耐薬品性が要求される。
これらの要求に対し、耐薬品性および強度に優れた高熱膨張磁器(ガラスセラミックス)として、結晶相とガラス相とから構成され、結晶相として熱膨張係数が6×10−6/℃以上の金属酸化物(例えばクォーツ、ジオプサイドとフォルステライト)とセルジアンとを主として含み、ガラス相中のBaO量が10重量%以下であるものが提案されている(特許文献1を参照。)。
また、高強度であって高熱膨張の低温焼成磁器(ガラスセラミックス)として、30〜80体積%のガラス成分と20〜70体積%のフィラー成分とからなる低温焼成磁器(ガラスセラミックス)であって、ガラス成分中に25〜60モル%のSiOと25〜50モル%のBとを合量で65モル%以上含み、フィラー成分としてクォーツを含むものが提案されている(特許文献2を参照。)。
特開2003−40670号公報 特開2004−231454号公報
しかしながら、特許文献1に記載の高熱膨張磁器(ガラスセラミックス)では、10.5×10−6/℃以上の熱膨張係数を有するものが得られているものの、4点曲げ試験による抗折強度の値が200MPa未満であり、十分に満足できるほどの強度は得られていなかった。
同様に、特許文献2に記載の低温焼成磁器(ガラスセラミックス)でも、10.5×10−6/℃以上の熱膨張係数を有するものが得られているものの、3点曲げ試験による抗折強度の値が290MPa未満であり、十分に満足できるほどの強度は得られていなかった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、低温(800〜1000℃)での焼成によって得られる高熱膨張、高強度および耐薬品性に優れたガラスセラミックス製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記目的を達成するために鋭意検討した結果、表面の緻密化によりガラスセラミックスの耐薬品性が向上し、クォーツ(SiO)を多く析出させることでガラスセラミックスの高熱膨張化が達成され、SrAlSiおよびBa0.9Sr0.1 Al Siを多く析出させることでガラスセラミックスの高強度化が達成されることを見出し、本発明に到達した。
すなわち本発明は、SiOからなるフィラー本体の表面にZnO粒子を前記フィラー本体100質量部に対して3〜10質量部の割合で被着したセラミックフィラーを作製する工程と、SiOを38〜50mol%、Bを5〜10mol%、Alを4〜9mol%、MgOを25〜38mol%、CaOを1〜3mol%、BaOを7〜
11mol%およびSrOを1〜4mol%含有するガラス粉末60〜70質量%と、前記セラミックフィラー30〜40質量%とを混合して成形体を作製する工程と、前記成形体を850〜900℃の温度で焼成する工程とを有することを特徴とするガラスセラミックスの製造方法である。
発明のガラスセラミックスの製造方法によれば、SiOからなるフィラー本体の表面にZnO粒子をフィラー本体100質量部に対して3〜10質量部の割合で被着したセラミックフィラーを作製する工程を有していることで、SrAlSiおよびBa0.9Sr0.1 Al Siを合計で20質量%以上有するガラスセラミックスを得ることができる。すなわち、耐薬品性に優れるとともに高熱膨張の特性を有しながら、3点曲げ試験による抗折強度が300MPaを超える高強度のガラスセラミックスを得ることができる。
以下、本発明によって得られるガラスセラミックスの一実施形態について説明する。
実施形態のガラスセラミックスは、主結晶としてクォーツを有し、副結晶としてSrAlSiおよびBa0.9Sr0.1 Al Siを有する相対密度95%以上のガラスセラミックスであって、X線回折のピーク強度より求めたリートベルト解析によるクォーツの含有量が40質量%以上であるとともに、前記SrAlSiおよび前記Ba0.9Sr0.1 Al Siの合計の含有量が20質量%以上であることを特徴とするものである。
主結晶であるクォーツは、高い熱膨張係数(13×10−6/℃〜15×10−6/℃)を有する結晶であり、この結晶を多く含有することでガラスセラミックスの高熱膨張化が図れる。具体的には、X線回折のピーク強度より求めたリートベルト解析によるクォーツの含有量が40質量%であることで、ガラスセラミックスの熱膨張係数を10.5×10−6/℃以上の高い値とすることができる。なお、クォーツは誘電率が低いことから、本発明のガラスセラミックスを絶縁基体とする配線基板においては、高周波領域における伝送信号の減衰を抑制でき、信号遅延による伝送ロスを少なくすることができる。
そして、SrAlSiおよびBa0.9Sr0.1 Al Siは、ガラスセラミックスの高強度化に寄与する結晶であり、X線回折のピーク強度より求めたリートベルト解析によるこれらの結晶の合計の含有量が20質量%以上であることで、ガラスセラミックスの3点曲げ試験による抗折強度が300MPa以上とすることができる。また、これらの結晶の存在は耐薬品性の向上にも寄与している。
例えば、SrAlSiおよびBa0.9Sr0.1 Al Siの合計の含有量が20質量%未満であると、相対的にセルジアンの含有量(セルジアンの析出量)が多くなってしまい、ガラスセラミックスの強度を高めることができない。また、セルジアンの含有量が多いと、このガラスセラミックスを絶縁基体とする配線基板において、電極間距離が増大して静電容量が小さくなる結果、誘電率が上昇してしまうおそれもある。
また、クォーツ、SrAlSiおよびBa0.9Sr0.1 Al Siの他、本実施形態のガラスセラミックスにはBaAlSi(セルジアン)やMgSiO(エンスタタイト)などの結晶が存在している。これらの結晶の存在は、クォーツ、SrAlSiおよびBa0.9Sr0.1 Al Siほどではないが、それぞれ熱膨張係数および強度の向上に寄与しており、クォーツ、SrAlSiおよびBa0.9Sr0.1 Al Siの析出を妨げない範囲で析出していても
構わない。
さらに、本実施形態のガラスセラミックスは相対密度が95%以上であることで、耐薬品性の低下が抑制されていて、本実施形態のガラスセラミックスを絶縁基体とする配線基板を製造するにあたり、めっき液に浸されたとしても、ボイドに起因するめっき液による浸食が抑制される。
ガラスセラミックスには、クォーツ、SrAlSi、Ba0.9Sr0.1 Al Si、セルジアンおよびエンスタタイトなどの結晶が70〜80質量%程度含まれていて、結晶粒界にガラス(非結晶相)が存在している。ガラス中には、後述の原料粉末としてのガラス粉末に含まれるSi、B、Al、Mg、Ca、BaおよびSrに加えて、フィラー本体に被着されたZnO粒子に起因するZnが含まれている。
次に、本発明のガラスセラミックスの製造方法の一実施形態について説明する。
まずはじめに、セラミックフィラーを作製する。セラミックフィラーは、SiOからなるフィラー本体の表面にZnO粒子が被着した構成となっていて、換言すれば、大きなSiO粒子の表面がZnO微粒子でコーティングされた状態となっている。フィラー本体の平均粒径は2.0〜5.0μmでZnO粒子の平均粒径は0.1μm以下である。
フィラー本体の形成材料であるSiOは、高熱膨張化に極めて重要な結晶であるクォーツをガラスセラミックス中に含有させるためのものである。
また、ZnO粒子は、所望の割合でSiOからなるフィラー本体に被着されていると、フィラー本体とガラス(ガラス粉末)との濡れ性を向上させ、焼成早期の段階で核形成材となってガラスの結晶成長を促す働きを有するものである。その結果、SrAlSiおよびBa0.9Sr0.1 Al Siを効率よく析出させることができる。
ここで、所望の割合とは、フィラー本体100質量部に対して3〜10質量部の割合である。被着したZnO粒子の量がフィラー本体100質量部に対して3質量部未満であると、焼結後のガラスセラミックス中にSrAlSiおよびBa0.9Sr0.1 Al Siを20質量%以上析出させるのが困難となり、ガラスセラミックスの高強度化を達成できなくなる。一方、被着したZnO粒子の量がフィラー本体100質量部に対して10質量部を超えると、ZnO粒子を起点に析出する結晶相が増大するため、再配列に必要なガラス量が減少して閉気孔が効率よく排出できなくなることで、ガラスセラミックスの焼結性が低下する。したがって、耐薬品性が低下してしまう。
ところで、前記ZnO粒子をフィラー本体の表面に被着させるには、例えば、フィラー本体500グラムに対してZnO粒子20〜30グラムの割合でジェットミルに投入し、3〜5分間、周速80〜90m/sとなるように回転させる方法が挙げられる。
次に、ガラス粉末60〜70質量%と、セラミックフィラー30〜40質量%とを混合して成形体を作製する。具体的には、ガラス粉末とセラミックフィラーとの混合物に適当な有機バインダー、有機溶剤を添加した後、ドクターブレード法、圧延法または金型プレス等により所望の形状に成形して成形体を作製する。
ガラス粉末の割合が60質量%未満である(セラミックフィラーの割合が40質量%を超える)と、セラミックフィラーの比表面積に対してガラス量(液相)が不足することで、焼結性が低下し、ガラスセラミックスの緻密化(相対密度95%以上)が促進されない
おそれがあるからである。一方、ガラス粉末の割合が70質量%を超える(セラミックフフィラーの割合が30質量%未満である)と、セラミックフィラーの比表面積に対してガラス量(液相)が多くなるため、焼結性の向上が期待できるが、ガラス成分中(ガラス粉末)からMgAlSi18(コージェライト)が多く析出してしまう。これにより、相対的にクォーツの析出量が少なくなるために、ガラスセラミックスの熱膨張係数が低下するおそれがある。
ガラス粉末は、平均粒径が2.0〜5.0μm程度であって、SiOを38〜50mol%、Bを5〜10mol%、Alを4〜9mol%、MgOを25〜38mol%、CaOを1〜3mol%、BaOを7〜11mol%およびSrOを1〜4mol%含有している。
SiOはガラスの網目構造をつくる成分であるため、SiOの含有量が38mol%未満であると、ガラスの網目構造の安定性が悪くなり、850℃から900℃という低温での焼成が困難となる(焼結性が低下する)ことでガラスセラミックスの耐薬品性が低下する。一方、SiOの含有量が50mol%を超えると、低熱膨張係数(3×10−6/℃〜4×10−6/℃)のMgAlSi18(コージェライト)が析出しやすくなり、ガラスセラミックスの熱膨張係数が低下する。
の含有量が5mol%未満であると、ガラスの粘度が上昇してガラス転移温度が高くなり、ガラスセラミックスの焼結性が低下するおそれがある。一方、Bの含有量が10mol%を超えると、ガラスの粘度が下がることによる効果はあるが、ガラスセラミックスにおけるガラス(非結晶相)中のB量が多くなることで、ガラス(非結晶相)の熱膨張係数が低下してしまう。さらに、ガラスの結晶化が阻害され、ガラスセラミックスにおけるガラス(非結晶相)が増加することから、熱膨張係数は大きく低下してしまう。
Alの含有量が4mol%未満であると、ガラスを作製する工程でガラスが失透しやすくなる。失透したガラスは、ガラス転移温度、屈伏温度、結晶化開始温度などが、失透していないガラスと比較して異なることがあり、そのため、同一条件で焼成してもガラスセラミックスの密度が変動したり析出する結晶の割合が異なったりするため、できあがるガラスセラミックスの各種特性が異なってしまうことがある。さらに、高強度を達成するために必要なSrAlSiおよびBa0.9Sr0.1 Al Siを析出するのが困難となるおそれがある。一方、Alの含有量が9mol%を超えると、ガラス中の網目構造の安定性がよすぎるため、ガラスの粘度が上昇して濡れ広がりにくくってしまう。したがって、焼結性が低下してガラスセラミックスが緻密化しにくくなる。
MgOの含有量が25mol%未満であると、失透を抑制できにくくなる。一方、MgOの含有量が38mol%を超えると、結晶化開始温度が高くなることによりガラスセラミックスの緻密化を望めるが、MgAlSi18(コージェライト)が多く析出するようになってガラスセラミックスの熱膨張係数が低下してしまうおそれがある。
CaOの含有量が1mol%未満であると、ガラス粘度が高くなってガラスセラミックスの焼結性が低下する。CaOの含有量が3mol%を超えると、高温域でのガラス粘度を低下させガラスセラミックスの緻密化を促進させるとともに、電気的絶縁性を高くする効果があるが、コージェライトの析出量が多くなってガラスセラミックスの熱膨張係数が低下してしまうおそれがある。
BaOの含有量が7mol%未満であると、焼成後の結晶化していない相(非結晶相)
のBaO量が少なくなるため、非結晶相の熱膨張係数が低くなるおそれがある。また、BaOの含有量が11mol%を超えると、結晶化開始温度が高くなることによりガラスセラミックスの緻密化が望める。さらに、BaO量が多くなると、BaOが電極間距離を増大させてしまい、静電容量が小さくなりガラスの誘電率が上昇してしまう恐れがある。
SrOの含有量が1mol%未満であると、SrAlSiおよびBa0.9Sr0.1AlSiの析出量が少なくなることで、相対的にBaAlSi(セルジアン)の析出量が多くなり、ガラスセラミックスの高強度化が望めなくなる。また、SrOの含有量が4mol%を超えると、SrOはガラス中で修飾酸化物として働くことから、ガラスの粘度を低下させ濡れ性を向上させる効果が期待できるが、同時にガラスが発泡しやすくり、結果的にガラスセラミックス表面に膨れとなって表れ、外観歩留まりが著しく低下をきたすおそれがある。
次に、得られた成形体を850〜900℃の温度で焼成する。
焼成にあたっては、まず、成形のために配合した有機バインダーなどの有機成分を除去する。有機成分の除去は、大気雰囲気中または窒素雰囲中、700〜750℃の温度で1〜5時間保持することにより行われる。
そして、本焼成として、850℃〜900℃の温度で1〜2時間かけた焼成がなされる。焼成雰囲気は、例えば本発明によって得られるガラスセラミックスを絶縁基体とする配線基板において形成されるメタライズ配線層の金属種に応じて適宜選択される。配線基板におけるメタライズ配線層として銅を用いる場合は非酸化性雰囲気が選択され、銀を用いる場合は酸化性雰囲気が選択される。
以上述べたガラスセラミックスの製造方法により、主結晶としてクォーツを有し、副結晶としてSrAlSiおよびBa0.9Sr0.1 Al Siを有する相対密度95%以上のガラスセラミックスであって、X線回折のピーク強度より求めたリートベルト解析によるクォーツの含有量が40質量%以上であるとともに、前記SrAlSiおよび前記Ba0.9Sr0.1 Al Siの合計の含有量が20質量%以上であるガラスセラミックスを得ることができる。
なお、ZnO粒子をガラス粉末中に含ませたとしても、SrAlSiおよびBa0.9Sr0.1 Al Siをほとんど析出させることはできず、ガラスセラミックスの高強度化は望めない。
同様に、ZnO粒子をSiOからなるフィラー(フィラー本体)に被着させることなく別途フィラーとして混合したとしても、SrAlSiおよびBa0.9Sr0.1 Al Siをほとんど析出させることはできず、ガラスセラミックスの高強度化は望めない。また、ガラスの転移点、軟化点、屈伏点は変わらず、結晶化点が低温側へシフトすることから、SiOからなるフィラーに対してガラスの濡れている時間が減少するため、焼結性が低下し、ガラスセラミックスの緻密性が低下する。さらに、BaZnSiO が析出し、これにより誘電率が高くなるおそれがある。
また、ガラスセラミックスの強度を高めるために、ZnO以外にAl、TiOまたはZrOからなる粒子をフィラー本体に被着させる方法が考えられるが、これらの粒子ではSrAlSiおよびBa0.9Sr0.1 Al Siを析出させることが困難であり、本発明によって得られるガラスセラミックスほどの高強度化を望めるものではない。
ガラス粉末として、表1に示す組成のガラス粉末とセラミックフィラーとを用意し、表1に示す割合となるように秤量混合した。セラミックフィラーにおけるフィラー本体(SiO粉末)100質量部に対するZnO粒子の割合は、表1に示す通りである。
なお、ガラス粉末の平均粒径は3.9μm、フィラー本体の平均粒径は3.5μm、フ
ィラー本体に被着されるZnO粒子の平均粒径は0.05μmで比表面積50m/gであった。
この混合物に、有機バインダーとしてイソブチルメタクリレートを主鎖としてトルエンを溶媒とするバインダーを添加するとともに、有機溶剤としてジブチルフタレートを添加し十分混合してスラリーを作製した後、ドクターブレード法により厚み100μmのガラ
スセラミックグリーンシートを作製した。
得られたグリーンシートを4層積層した後、水蒸気を含有する窒素雰囲気中にて725℃の温度で3時間かけて脱バインダー処理を行った後、300℃/Hrの昇温速度で昇温し、窒素雰囲気にて860℃の温度で1時間かけて本焼成を行なった。
そして、上記の方法で得られたガラスセラミックスに対して、以下の測定を行なった。
まず、ガラスセラミックス中の結晶相の同定を行った。この同定は、X線回折(XRD)測定結果(ピーク強度比)をリートベルト法で解析して行った。リートベルト法については、日本結晶学会「結晶解析ハンドブック」編集委員会編、「結晶解析ハンドブック」、共立出版株式会社、1999年9月、p.492−499に記載されている方法を用いた。
具体的には、評価対象の試料にCrの標準試料を加えて、ディフラクトメーター法で測定した2θ=10°以上80°以下の範囲のX線回折パターンに対して、RIETAN−2000プログラムを使用することにより、Crの標準試料により回折されたパターンと加えたCrの標準試料の量の相関関係から、評価対象の試料中に含まれる結晶構造と量を評価した。その結果を表1に析出結晶として示す。なお、析出結晶は左側から多い順に並べた。
また、リードベルト法より求めた結晶SrAlSiおよびBa0.9Sr0.1 Al Siの量とクォーツ(SiO)の量とを表1に示す。
さらに、得られたガラスセラミックスの熱膨張係数の測定を行った。熱膨脹係数を測定するための試験片は、一辺4.5mm×4.5mm×15mmの角柱とし、熱機械分析装置を用いて室温から400℃における熱膨張曲線を測定し、線膨張率を求めた。この値を熱膨脹係数とし、表1に示す。
さらに、得られたガラスセラミックスを3点曲げ試験(JISZ2203)に基づき抗折強度を求めた。
さらにまた、得られたガラスセラミックスを酸性フッ化アンモニウム溶液に約60秒間浸した後、探傷染色液(レッドチェック液)に約1秒間浸した。その後、水道水で約10秒間洗浄し、双眼顕微鏡にて染色の有無を確認した。
Figure 0005213477
表1に示すように、本発明範囲内にある試料(試料No.1〜No.6、No.8〜No.17、No.19〜No.22、No.26、No.27、No.29、No.30)によれば、10.5×10−6/℃以上の高い熱膨張係数、300MPaを超える高い抗折強度、ボイドに起因するめっき液の浸食が抑制される耐薬品性の3つの特性を満足するガラスセラミックスが得られていることがわかる。が40質量%未満となり、熱膨張係数で満足する結果が得られなかった。
これに対し、本発明範囲外である試料No.7では、原料のガラス粉末におけるSiO量が少ないことから、ガラスセラミックスにおいてSrAlSiおよびBa0.9Sr0.1 Al Siの質量が20質量%未満、クォーツの質量が40質量%未満、相対密度が95%未満となり、熱膨張係数、抗折強度、耐薬品性のすべてで満足する結果が得られなかった。
また、本発明範囲外である試料No.23および試料No.24では、原料のフィラー本体100質量部に対するZnO粒子の割合が3質量部未満であることから、ガラスセラミックスにおいてSrAlSiおよびBa0.9Sr0.1 Al Siの質量が20質量%未満となり、抗折強度で満足する結果が得られなかった。
また、本発明範囲外である試料No.25では、原料のフィラー本体100質量部に対するZnO粒子の割合が10質量部を超えることから、ガラスセラミックスにおいて相対密度が95%未満となり、耐薬品性で満足する結果が得られなかった。
また、本発明範囲外である試料No.28では、原料のガラス粉末が60質量%未満であり、セラミックフィラーが40質量%を超えることから、ガラスセラミックスにおいて相対密度が95%未満となり、耐薬品性で満足する結果が得られなかった。
また、本発明範囲外である試料No.31では、原料のガラス粉末が70質量%を超え、セラミックフィラーが30質量%未満であることから、ガラスセラミックスにおいてクォーツの質量が40質量%未満となり、熱膨張係数で満足する結果が得られなかった。

Claims (1)

  1. SiOからなるフィラー本体の表面にZnO粒子を前記フィラー本体100質量部に対して3〜10質量部の割合で被着したセラミックフィラーを作製する工程と、
    SiOを38〜50mol%、Bを5〜10mol%、Alを4〜9mol%、MgOを25〜38mol%、CaOを1〜3mol%、BaOを7〜11mol%およびSrOを1〜4mol%含有するガラス粉末60〜70質量%と、前記セラミックフィラー30〜40質量%とを混合して成形体を作製する工程と、
    前記成形体を850〜900℃の温度で焼成する工程とを有することを特徴とするガラスセラミックスの製造方法。
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