JP5212905B2 - 水栓およびシステムキッチン - Google Patents
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Description
この場合、いずれの洗い動作であっても、洗浄効果や作業性を向上させて、食器などの洗浄を素早く終了させることが好ましい。
一方、吐水部の上流に設けられた弁装置等に止水操作を施し、湯水の供給を停止した後も、弁装置等より下流の水栓本体および配管内に残留した水が、吐水部から長い時間に渡って滴下するという問題があった。特に、シャワーヘッドのように、散水板の背面側に、水の貯留部を大きく有する場合、残留する水の量が多くなるため、排出に時間がかかっていた。このような課題に対し、止水させた後に吐水部からの水の滴下を防止する水栓が提案されている(例えば、特許文献3、4、5)。
特許文献3に開示された技術の思想は、残留した水を排出させないことで、水の滴下を防止しようというものである。しかしながら、細かい散水孔の一つ一つに、粗面化処理を施すのが非常に煩雑であるばかりでなく、汚れや菌等も付着しやすくなるため、不衛生になるといった問題があった。特許文献4に開示された技術の思想は、残留した水をできるだけ早く排出させようというものである。しかしながら、特許文献4に開示された技術では、吐止水に応じて、給排水管を切替える機構および呼気手段が必要となるため、構成が複雑になるのに加え、設置位置にも制約が生じるため、キッチン用途では適用しにくいという問題があった。また、特許文献5に開示された技術の思想は、散水孔の一つあたりに残留する水を少なくすることで、早く排出させようというものである。しかしながら、特許文献5に開示された技術は、吐水フェイスの傾きが小さい場合には有効であるものの、吐水フェイスの傾きが大きい場合、残留した水は結局下方の散水孔に集まってしまい、水の排出に時間がかかるという問題があった。
は、複数の散水孔を有する散水板を有し、前記散水板は、水平方向に対し傾斜した方向に
向けて設置され、前記複数の散水孔は、前記散水板の傾斜した方向が長手方向となるよう
に縦長に穿設され、前記散水板の背面側には貯留部が設けられ、前記貯留部は、上方部に給水流路が接続されており、前記給水流路と、前記貯留部との接続部は、前記貯留部に向かうにつれ流路断面が広がるように、テーパ部が設けられていることを特徴とする水栓を提供する。
この水栓によれば、長手方向に広範囲に吐水がかかり、水栓が邪魔になることもない。また、貯留部に残存した気泡の排出が促進されるため、止水操作の後も吐水部から水が滴下することを抑制できる。
この水栓によれば、テーパが設けられ、貯留部に接続されているため、接続部近傍のよどみが解消され、気泡の排出がより促進される。したがって止水操作の後に吐水部から水が滴下するのを抑制することができる。
この水栓によれば、上端の散水孔径が小さいため、上端の散水孔に形成される水膜に働く表面張力が大きくなり、貯留部への空気の流入が抑制されるため、水の滴下がより抑制される。
この水栓によれば、散水孔より開口面積が小さいため、メッシュに形成される水膜に働く表面張力がより大きくなり、貯留部からの水の滴下がより抑制される。
この水栓によれば、上端の散水孔と下端の散水孔との鉛直方向の高低差をより小さくでき、下端の散水孔に働く水圧が小さくできるため、水の滴下がより抑制される。さらに吐水が放出される方向は、傾斜した方向となるため、洗い作業の効率向上は維持される。
このシステムキッチンによれば、シンクの前後方向に渡って、広範囲に吐水され、調理における洗いの作業を効率化することができる。また、止水操作後の吐水部からの水の滴下を抑制できる。
図1は、本発明の実施の形態にかかるシステムキッチンを表す模式図である。
本実施の形態にかかるシステムキッチン10は、水栓20と、シンク30と、カウンター60と、を備えている。水栓20には、整流吐水部22と、シャワー吐水部24と、が設けられている。シンク30は、シンク開口部32と、シンク底面34と、シンク前面36と、シンク左側面37と、シンク後面38と、シンク右側面39と、を備えている。また、システムキッチン10には、シンク開口部32の左側方および右側方の少なくともいずれかに延在する調理台(図示せず)を備えるようにすることもできる。なお、本願明細書において「整流」とは水流が略一本の吐水流となる場合を意味し、「シャワー」とは水流が複数本の吐水流となる場合を意味するものとする。また、「水」という場合には、「湯」や「温水」をも含むものとする。
図2に示すように、シャワー吐水部24には、一端を開口し、上下方向を長手方向とする略直方体形状の貯留部24bが設けられている。そして、貯留部24bの開口部分を覆うように散水孔を有する図示しない散水板(図3、図10〜図13を参照)が設けられている。そのため、本実施形態の水栓20は、整流吐水と、シャワー吐水と、を行うことができる。整流吐水と、シャワー吐水と、の切替えは、例えば、水栓20の先端に設けられた図示しない切替部手段によって、行うことができる。この切替部手段は、水栓20の先端や根元、カウンター上面62に設けられていてもよい。
なお、図3(a)は、散水板を正面から眺めた場合の模式図であり、図3(b)は、散水孔群を例示するための模式図である。
図3に例示をする散水板26は、貯留部24bの開口部分を覆うようにして水栓20のシャワー吐水部24に固定される。散水板26には、複数の散水孔群27が設けられている。また、散水孔群27は、シャワー吐水流を形成させるための散水孔28を複数有している。図3(a)に示すように、例えば、散水孔群27を5行×2列に配列することができる。また、図3(b)に示すように、例えば、散水孔28を同心円上に2列に配列することができる。この場合、例えば、散水孔28の数を合計約30個程度とすることができる。そのため、貯留部24bを介して散水孔28から水を放出させることができ、放出された水はシャワー吐水流となってシンク底面34に着水するようになっている。
本発明者の得た知見によれば、一般的な包丁の刃の長さL10は170mm程度である。また、刃の幅L11は30mm程度である。また、20〜69歳の人の手の幅寸法L12は、男性では、最大114.6mm程度、最小90.4mm程度、平均102.6mm程度である。また、女性では、最大103.1mm程度、最小80.8mm程度、平均91.8mm程度である。また、手の長さ(指先から手首までの長さ)L13は、男性では、最大197mm程度、最小165.6mm程度、平均181m程度である。また、女性では、最大181.2mm程度、最小154.4mm程度、平均167.3mm程度である。
また、散水孔28の孔の軸線を散水板26の中心側から外側に向けて形成するようにすれば、拡散するような吐水を行うことができる。そのため、横幅寸法L5や縦幅寸法L6を小さくしながらも、同一の吐水範囲の吐水を得ることもできる。その場合、散水板26の寸法を小さくできるため、スペース効率が向上する。
そのため、洗い動作を行う際には、カウンター上面62に対して傾斜した方向にシャワー吐水流が形成されるようなシャワー吐水流の形態とすることが好ましい。
図5、図6は、吐水部の内部を通過する水の様子を例示するための模式図である。図5(a)、(b)は、比較例にかかる水栓を例示する模式図であり、シャワー用配水管が貯留部の下方部に接続された場合の、吐水部の内部を通過する水の様子を表している。図5(a)は、吐水されている状態の水の様子を表す模式図であり、図5(b)は、止水した後の水の様子を表す模式図である。
また、図6(a)、(b)は、本実施形態にかかる水栓を例示する模式図であり、シャワー用配水管が貯留部の上方部に接続された場合の、吐水部の内部を通過する水の様子を表している。図6(a)は、吐水されている状態の水の様子を表す模式図であり、図6(b)は、止水した後の水の様子を表す模式図である。
一方、水が満たされた部分の散水孔には、水面と、散水孔との鉛直方向の高低差に相当する水圧が、吐水部内部から外側に向かって働いており、また散水孔に水膜が形成されている場合には、水膜に表面張力が働き、外側から吐水部内部に向かって、内部の水が排出されるのを抑制するように働いている。
このとき、散水孔下端に働く水圧Pは次式で表される。
ここで、ρは水の密度、gは重力加速度であり、Δhは水面と、散水孔下端と、の鉛直方向の高低差である。したがって、高低差Δhが大きくなるほど、水圧Pは大きくなる。
また、水膜に働く表面張力F1は、次式で表される。
ここで、γは水の表面張力、θは水の接触角であり、Rは散水孔の半径である。したがって、散水孔の半径Rが小さくなるほど、表面張力F1は大きくなる。ただし、散水孔の形状は、円形に限定されるわけではなく、矩形、三角形等任意の形状を選択することができる。その場合、水膜に働く表面張力F1は、(式2)における2πRを任意の形状の周の長さに置き換え、さらに(式2)におけるπR2を任意の形状の面積に置き換えればよい。
水圧Pが、表面張力F1より、大きい場合、貯留部24bに残存した水は、滴下する。
このとき、上端の散水孔の水膜に働く表面張力F2は、次式で表される。
ここで、rは上端の散水孔の半径である。したがって、上端の散水孔の半径が小さいほど、水膜に働く表面張力は大きくなる。この場合、表面張力は、貯留部24bから外側に向かって働いており、大気が貯留部24bに流入しようとするのを、妨げている。すなわち、図5(b)に示すように、散水孔の上端が大気と連通している場合、貯留部24bと外側で空気が自由に出入りできるため、水と空気との入れ替えが容易に起こり、吐水部内部の水が外側に滴下するが、図5(b)に示すように、散水孔の上端が水膜で塞がっている場合、水膜に働く表面張力により、大気の流入を阻害するため、水と空気との入れ替えがしづらくなり、吐水部内部の水が外側に滴下するのを防ぐことができる。つまり、水圧Pが、表面張力F1と表面張力F2の和F1+F2より大きい場合、吐水部内部に残存した水が滴下し、(式3)で示した表面張力F2の分だけ、水が滴下するのが抑制される。
図7は、水栓の吐水部の断面を例示するための模式図である。水栓201は、その先端近傍に設けられた整流吐水部221と、整流吐水部221の下方に設けられたシャワー吐水部241と、を備えている。また、水栓20aは、吐水切替部291と、吐水切替部291へ水を導くための配水管211と、吐水切替部291からシャワー吐水部241へ水を導くためのシャワー用配水管251と、を備えている。
図7に示すように、吐水切替部291を、整流吐水部221の後方側に設けることにより、シャワー配水管を251、図2に例示したシャワー配水管25より、短くすることができる。このため、図2に例示した吐水部に比べ、吐水部を小さくすることができる。
図9(a)に示したように散水板の背面側、かつ下方側の貯留部にメッシュ263が設けられており、メッシュ263と散水板260は接触している。またメッシュ263の目開きは、散水板下方部の散水孔の直径より、小さくなっている。この場合、水膜は下方部の散水孔ではなく、メッシュ部分に形成される。そして、メッシュの方が、単位面積あたりに働く表面張力が大きくなる。これは(式2)における表面張力F1が大きくなることに相当し、このため、吐水部からの水の滴下が抑制される。
ただし、散水板の背面側の全面に、メッシュを設けた場合も、同様の効果が得られ、(式2)における表面張力F1は大きくなる。しかしながら、全面にメッシュを設けた場合、貯留部に残存した気泡の排出も抑制され、貯留部の全てを水で満たすことが難しくなることから、メッシュは、散水板背面側の一部分、例えば上下方向の下側半分程度設けることが好ましい。
なお、吐水部から水が吐出される場合、メッシュを通過した水は、散水孔で再び合体した後、吐出されるため、吐出後、粒化された水滴の粒径は、メッシュの大きさには依存しない。散水孔の孔径が大きい場合、より大きな水滴が洗浄物に衝突するため、衝撃力が大きくなり、洗浄性が向上する。
図10(a)に示すように、散水板26aには、散水孔28aが設けられている。この場合、散水孔は、21行×8列に配列されている。散水孔28aが設けられている領域の横方向(図の左右方向)の寸法L5aは、例えば20mm程度とすることができ、縦方向(図の上下方向)の寸法L6aは、例えば、65mm程度とすることができる。散水板の下部は、孔径の等しい散水孔が11行配列されており、例えば、散水孔の孔径を0.6mm程度とすることができる。また、散水板の上方部には、散水孔の下部よりも、孔径の小さい散水孔が10行配列されており、例えば、散水孔の孔径を0.4mm程度とすることができる。この場合、散水孔に水膜が形成されている場合、上端の水膜に働く表面張力は、下端の水膜に働く表面張力の1.5倍となる。これは、(式3)における表面張力F2が大きくなることに起因している。したがって、上端の散水孔からの、大気の流入が起こりにくくなり、貯留部内部の大気と残存した水の置換が抑制されるため、止水操作後の、吐水部からの水の滴下が抑制される。
さらに、散水板26aの下部に孔径の大きな散水孔が配列されており、前述したように、より大きな水滴が洗浄物に衝突するため、衝撃力が大きくなり、洗浄性が向上する。大きな水滴の場合、水跳ねが生じるおそれがあるが、散水板26aの上方部に孔径の小さな散水孔が配列されており、この小さな散水孔から吐出されたシャワー吐水に遮られるため、調理者側に飛び散ることもない。
なお、上方部の散水孔の孔径を小さくすることと、散水孔の軸線方向を上方向に傾けること、とは、異なる技術思想を持った工夫であり、図10に示す散水板26aのように、同時に行ってもよいし、また別々に行ってもよい。
また例えば、複数の散水孔を有する湾曲した散水板において、散水孔のそれぞれの軸線方向を、湾曲面の軸線方向に向けることで、(式1)における△hを小さくすることもできる。
図11〜図13は、シャワー吐水部24に固定される散水板の変形例を例示するための模式図である。
散水孔群が設けられている領域の横方向(図の左右方向)の寸法L5bは、例えば、20mm程度とすることができ、縦方向(図の上下方向)の寸法L6bは、例えば、65mm程度とすることができる。また、上方の横方向(図の左右方向)の寸法L30bは、例えば3mm程度とすることができ、下方の孔の空いていない空間の高さL40bは、例えば30mm程度とすることができる。
なお、図12(a)は、散水板全体を正面から眺めた場合の模式図であり、図12(b)は、散水孔群を例示するための模式図である。
図12(a)に示すように、散水板26cには、散水孔群27cが設けられている。この場合、散水孔群は、複数であり、例えば、1行×12列に配列することができる。
散水孔群が設けられている領域の横方向(図の左右方向)の寸法L5cは、例えば、20mm程度とすることができ、縦方向(図の上下方向)の寸法L6cは、例えば、65mm程度とすることができる。また、散水孔群27cの縦方向(図の上下方向)の間隔の寸法L7cは、例えば、5mmとすることができる。
この場合、散水孔群は、横方向を長手方向とする偏平形状であるが、散水孔群が、縦方向に配列されているため、図3に示したように、縦方向を長手方向とする偏平形状の散水孔群と同様の効果が得られる。
図13(a)に示すように、散水板26dには、散水孔群27dが設けられている。この場合、散水孔群は、複数であり、例えば、1行×12列に配列することができ、上から7列の散水群の散水孔直径を、例えば、0.4mm程度とすることができ、下から5列の散水孔群の散水孔直径を、例えば、0.5mm程度とすることができる。
散水孔群が設けられている領域の横方向(図の左右方向)の寸法L5dは、例えば、20mm程度とすることができ、縦方向(図の上下方向)の寸法L6dは、例えば、65mm程度とすることができる。また、散水孔群27dの縦方向(図の上下方向)の間隔の寸法L7dは、例えば、5mmとすることができる。
また、図13(b)に示すように、例えば、散水孔群を横方向(図の左右方向)が長手方向とする偏平形状にし、図の上方に向かって凸状形状にすることができる。散水孔群27dの横方向(図の左右方向)の寸法L50dは、例えば、20mm程度とすることができ、縦方向(図の上下方向)の寸法L60dは、例えば、9mm程度とすることができる。
この場合、散水孔群は、横方向を長手方向とする横長形状であるが、散水孔群が、縦方向に配列されているため、シャワー吐水部24から放出された直後の水の吐水流断面は、上下方向を長手方向とする縦長形状を呈している。下方向の散水孔群の散水孔直径は、大きくなっており、より大きな水滴が衝突するため、衝撃力が大きくなり、さらに洗い易くなる。大きな水滴の場合、水跳ねが生じるおそれがあるが、上方向に小さい散水孔直径の散水孔が配列されているため、上方向の散水孔から吐出されるシャワー吐水流に遮られ、調理者側に飛び散ることもなくなる。
図14〜図16は、着水面に対し垂直に吐水がされた場合の水跳ねを例示するための模式図である。
また、図17〜図19は、着水面に対し斜め方向から吐水がされた場合の水跳ねを例示するための模式図である。
尚、図15(a)、図18(a)は一本の水流を例示するための模式図であり、その他の図は複数の水流を例示するための模式図である。
また、この場合、略進行方向に向かうエネルギーが大きいため、着水した大部分の水40が略進行方向に流れようとする。この場合、同一の方向に向かう流れとなり、水面の乱れが軽減されるため、水滴として放出される確率が低くなる。また、図19に示したように、水の流れができ、安定している水面40bに、斜め方向から水40が着水すると、流れと同一方向であることから、衝突の衝撃が緩和され、水面の乱れが抑制されるため、水跳ねが軽減される。また、図18(b)に示したように、水40は略一方向(略進行方向)に合流するようにして流れる。すなわち、吐水口から着水面100(例えば、シンク底面34)に対して傾斜した方向に吐水流を放出することで、着水面100を略一方向に流れる水の流れを形成させることができる。尚、この場合においても、図18に示すように、隣り合う水流との間の領域46においては、干渉し合い、水面が乱れ、水跳ねが生じることもあるが、進行方向に向かうエネルギーの方が大きいため、干渉する方向に向かうエネルギー量は小さくなる。そのため、水面の乱れも小さくなり、水跳ね量は少なくなる。
図20は、水跳ね試験の概要を例示するための模式図である。尚、図20(a)は、水跳ね試験の様子を例示するための模式断面図、図20(b)は、図20(a)における矢視方向から見た模式平面図である。
図20(a)に示すように、カウンター上面62に対して15°傾斜させたアクリル板(縦500mm×横500mm)をシンク30内に挿入し、カウンター上面62の高さを横切る水40を受けるようにした。そして、図20(b)に示すように、水膜(滞留する水)が形成されていない領域110aに水跳ねした水滴量を測定した。この場合、吐出時間は150秒としている。また、傾斜角度θを0°〜90°の範囲で変化させて、水跳ねした水滴量を測定している。尚、アクリル板の傾斜角度15°は、洗浄物を差し出す角度を想定したものである。発明者らが得た知見によれば、「簡単洗い」で、手や洗浄物を洗う動作では、先端側を低くして洗っていることが多い。これは腕に水が伝うのを嫌うことや、関節にかかる負担を減らすなどの心理が働いているものと思われる。なお、本発明者の調査によれば、身長162±2cmの被験者6人がキッチン用水栓20に差し出した例えば包丁などの角度の平均値は、シンク上面32に対して約32度程度であり、15°は被験者6人の中で、差し出した例えば包丁などの角度の最も低い角度である。
尚、横軸は傾斜角度θを表し、縦軸は図20に例示をした水跳ね試験により測定した水滴量を水跳ね量として表したものである。
これに対し、傾斜角度θが40°以上では、水跳ねが単調的に減少していることが分かる。これは図17〜19に関して前述したように、水が洗浄物に対して、傾斜して着水した場合は、着水した水は、遅延なく排出され、水面の乱れが抑制されるためである。
なお、傾斜角度θが80°以上では、水面の乱れの抑制が頭打ちとなるため、水跳ね量の減少効果も、飽和し始める。
これにより、40°以上の場合には、水跳ねの減少効果が大きくなることが分かる。
また、傾斜角度を大きくしていくと、水の流速、流量を変えた場合の、吐水の軌跡の変動が大きくなり、作業効率が悪くなる恐れがあるのに加え、吐水がより遠くまで到達することからシンク30の前後方向の寸法が大きくなりすぎる恐れがあることから、80°以下が好ましい。
図22に示す吐水の軌跡は、傾斜角度θが55°、流速が2.1m/secの場合である。この場合のシンク底面34に対する着水角度αは55°程度である。尚、流速が2.1m/secは、システムキッチンにおいて一般的な洗浄作業をする場合を考慮した値である。図22に示したように、シャワー吐水部から斜めの方向に幅広に吐水されるため、洗浄物を素早く洗うことができる。またシンクの手前に着水するため、調理台の前に立った状態からでも、楽な姿勢で吐水に手を伸ばすことができる。
また、前述した各実施の形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
20、201、202、203 水栓、
211、配水管
22、221、222、223 整流吐水部、
23 整流用配水管、
24、241、242、243 シャワー吐水部、
24b 貯留部、
25、251、252、253 シャワー用配水管、
26、260、26a、26b、26c、26d、 散水板、
263 メッシュ
27、27b、27c、27d 散水孔群、
28、28a 散水孔、
291、292 吐水切替部
30 シンク、
32 シンク開口部、34 シンク底面、
36 シンク前面、37 シンク左側面、38 シンク後面、39 シンク右側面、
40、40b 水
44、46、48、50、52 領域
60 カウンター、
62 カウンター上面、
64 カウンター前縁
100 着水面
θ 傾斜角度、
Claims (5)
- シャワー吐水部を備えた水栓であって、
前記シャワー吐水部は、複数の散水孔を有する散水板を有し、
前記散水板は、水平方向に対し傾斜した方向に向けて設置され、
前記複数の散水孔は、前記散水板の傾斜した方向が長手方向となるように縦長に穿設され、
前記散水板の背面側には貯留部が設けられ、
前記貯留部は、上方部に給水流路が接続されており、
前記給水流路と、前記貯留部との接続部は、前記貯留部に向かうにつれ流路断面が広がるように、テーパ部が設けられていることを特徴とする水栓。 - 前記複数の散水孔は、第一の散水孔と第二の散水孔を備え、
前記第二の散水孔は、前記第一の散水孔よりも小さな直径を有し、
少なくとも、上端の散水孔は、前記第二の散水孔であることを特徴とする請求項1記載の水栓。 - 前記散水板の背面側かつ下方の一部に、前記散水孔より開口面積の小さいメッシュが設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の水栓。
- 前記散水孔の少なくとも一部は、
水平面と、前記散水孔が設けられた散水板表面の法線方向とがなす角度よりも、
水平面と前記散水孔から吐水される水の吐水方向とがなす角度のほうが小さくなるように、
前記散水板に穿設されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の水栓。 - シンクと、
前記シンクに吐水流を放出するよう配置された
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の水栓と、
を備えたことを特徴とするシステムキッチン。
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