JP5212881B2 - 燃料電池の発電制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、水素と酸素とを化学反応させることにより発電を行う燃料電池の発電制御装置に関し、特に安定した発電状態を保つことが可能な燃料電池の発電制御装置に関する。
従来の水素と酸素とを化学反応させることにより発電を行う燃料電池に関連する先行技術文献としては次のようなものがある。
特開2003−051318号公報 特開2004−146267号公報 特開2004−342473号公報 特表2006−351506号公報
図3は従来の燃料電池システムの一例を示す構成ブロック図である。図3において1は電解質膜、2及び3は触媒層・拡散層である。電解質膜1の両面には触媒層・拡散層2及び触媒層・拡散層3がそれぞれ形成される。
図3中”FG01”に示すように燃料ガス(例えば、水素等)が触媒層・拡散層2に供給され、図3中”OG01”に示すように酸化ガス(例えば、酸素や空気等)が触媒層・拡散層3に供給される。
ここで、図3に示す従来例の動作を説明する。触媒層・拡散層2側(アノード側)では水素が水素イオン(H )になり電子(e )を放出し、一方、触媒層・拡散層3側(カソード側)では電解質膜1を伝播してきた水素イオン(H )と酸素原子が電子(e )と反応して水(HO )が生成される。
この時、触媒層・拡散層2(アノード側)及び触媒層・拡散層3(カソード側)間の外部負荷を接続することにより、触媒層・拡散層2側(アノード側)で発生した電子(e )を取り出す、言い換えれば、直流電流を取り出すことが可能になる。
但し、電解質膜1を伝播してきた水素イオン(H )と酸素原子が電子(e )と反応して生成される水(HO )の水分量は燃料電池の特性に大きく影響を及ぼすものであり、当該水分量を測定することが重要になる。
図4及び図5は従来の水分量を静電容量として測定することが可能な燃料電池の一例を示す断面図である。図4は燃料電池の電解質膜に対して垂直な面における断面図、図5は燃料電池におけるガス流路に平行な面における断面図である。
図4において4は電解質膜、5はアノード側の触媒層・拡散層、6はカソード側の触媒層・拡散層、7はアノード側に形成された燃料ガス(例えば、水素等)のガス流路、8はカソード側に形成された酸化ガス(酸素や空気等)のガス流路、9はアノード側に形成された導電性を有するセパレータ、10はカソード側に形成された導電性を有するセパレータである。
また、11,12,13,14,15,16,17,18,19及び20は各ガス流路内であってセパレータ9、若しくは、セパレータ10に接する面に図4中”IL11”に示すような絶縁膜が形成され静電容量を測定するための電極である。
電解質膜4の両面には触媒層・拡散層5及び触媒層・拡散層6がそれぞれ形成される。また、触媒層・拡散層5の上には燃料ガス(例えば、水素等)のガス流路7が形成され、触媒層・拡散層6の上には酸化ガス(例えば、酸素や空気等)のガス流路8が形成される。
例えば、ガス流路7及びガス流路8は図5中”GT21”に示すように触媒層・拡散層5及び触媒層・拡散層6上を蛇行するように形成されている。
また、ガス流路7内であってセパレータ9に接する面の一部に静電容量を測定するための電極11,13,15,17及び19がそれぞれ形成され、ガス流路8内であってセパレータ10に接する面の一部に静電容量を測定するための電極12,14,16,18及び20がそれぞれ形成される。
但し、各電極11〜20は、セパレータ9、若しくは、セパレータ10に接する面に図4中”IL11”に示すような絶縁膜が形成されている。
例えば、電極11,13,15,17及び19は図5中”ED21”、”ED22”、”ED23”、”ED24”及び”ED25”に示すように図5中”GT21”に示すガス流路内に直線状に形成されている。
同様に、例えば、電極12,14,16,18及び20は図5中”ED21”、”ED22”、”ED23”、”ED24”及び”ED25”に示すように図5中”GT21”に示すガス流路内に直線状に形成されている。
そして、ガス流路7が形成されていない触媒層・拡散層5及びガス流路7の上にはセパレータ9が形成され、ガス流路8が形成されていない触媒層・拡散層6及びガス流路8の上にはセパレータ10が形成される。
ここで、図4及び図5に示す従来例の動作を説明する。ガス流路7には燃料ガス(例えば、水素等)が供給され、ガス流路8には酸化ガス(例えば、酸素や空気等)が供給される。例えば、図5中”IN21”に示す供給口から燃料ガスや酸化ガスが供給され、図5中”OT21”に示す排気口から反応しなかったガス等が放出される。
アノード側の触媒層・拡散層5では水素が水素イオン(H )になり電子(e )を放出し、一方、カソード側の触媒層・拡散層6側では電解質膜4を伝播してきた水素イオン(H )と酸素原子が電子(e )と反応して水(HO )が生成される。
この時、アノード側の触媒層・拡散層5及びカソード側の触媒層・拡散層6(具体的には、セパレータ9とセパレータ10)と間の外部負荷を接続することにより、アノード側の触媒層・拡散層5で発生した電子(e )を取り出す、言い換えれば、直流電流を取り出すことが可能になる。
このような燃料電池の動作状態において、アノード側の任意の電極間の静電容量を静電容量測定手段(図示せず。)で測定することにより、アノード側の任意の電極間のガス流路7の水分量を測定することができる。
同様に、カソード側の任意の電極間の静電容量を静電容量測定手段(図示せず。)で測定することにより、カソード側の任意の電極間のガス流路8の水分量を測定することができる。
また、互いに対向する任意の電極間の静電容量を静電容量測定手段(図示せず。)で測定することにより、互いに対向する任意の電極間のガス流路7、電解質膜4及びガス流路8の水分量を測定することができる。
この結果、燃料ガス及び酸化ガスを供給するガス流路内に静電容量測定用の電極を設けると共に、静電容量測定手段(図示せず。)で、各ガス流路等の静電容量を測定することにより、ガス流路等の水分量を静電容量として測定することが可能になる。
また、”特許文献4”では、空気ガスの流量、圧力、温度の検出値に基づいて排気空気ガスから供給空気ガスへの水収支を算出し、この水収支の値に基づいて燃料電池スタックの電解質膜が乾燥しているか否かを判定し、乾燥していると判定された場合には電解質膜が湿潤状態に復帰するように制御する燃料電池システムが記載されている。
さらに、”特許文献3”では、要求発電量、空気流量に基づきカソードに蓄積される生成水の量の変化率を推定し、生成水の蓄積量が大きな変化率で増大する場合には、空気流量の増加、出口圧力の低減を行なう制御をすることにより生成水の排水性を向上させる燃料電池システムが記載されている。
しかし、”特許文献3”及び”特許文献4”に示すような従来例では、水収支を算出することが煩雑であるといった問題点があった。
また、”特許文献3”及び”特許文献4”に示すような従来例において、空気流量の増加、出口圧力の低減を行なう制御や電解質膜が湿潤状態に復帰するような制御は、最適な燃料電池の運定状態に対して無駄なエネルギーロスを伴う制御になってしまうと言った問題点があった。
従って本発明が解決しようとする課題は、容易でエネルギーロスがなく安定した発電状態を保つことが可能な燃料電池の安定発電制御装置を実現することにある。
このような課題を達成するために、本発明のうち請求項1記載の発明は、
水素と酸素とを化学反応させることにより発電を行う燃料電池の発電制御装置において、
燃料ガス及び酸化ガスをそれぞれ供給することにより発電する燃料電池と、前記燃料電池に接続される直流負荷と、前記燃料電池に接続され、前記直流負荷に供給される直流電流に交流電流をそれぞれ重畳させることで前記燃料電池内部のフラッディングを抑制するための交流負荷手段と、を備えたことにより、容易でエネルギーロスがなく安定した発電状態を保つことが可能になる。
請求項記載の発明は、
請求項1記載の発明である発電装置において、
前記交流負荷手段により重畳される前記交流電流を制御する負荷制御手段を備え、この負荷制御手段が、測定手段により測定された、前記燃料電池を構成する複数の燃料電池セル間の電圧のばらつきが所定の閾値を超過した場合に、前記燃料電池セル前記交流電流を重畳させることにより、容易でエネルギーロスがなく安定した発電状態を保つことが可能になる。
請求項記載の発明は、
請求項1または2に記載の発明である発電制御装置において、
前記交流電流の周波数が50kHz〜0.1Hzであることにより、容易でエネルギーロスがなく安定した発電状態を保つことが可能になる。
本発明によれば次のような効果がある。
請求項1,2,3,4及び請求項5の発明によれば、燃料電池スタック(燃料電池)の出力を直流負荷手段に接続すると共に直流負荷手段に並列に交流負荷手段を接続して直流負荷に並列に僅かな交流負荷を印加することにより、容易でエネルギーロスがなく安定した発電状態を保つことが可能になる。
以下本発明を図面を用いて詳細に説明する。図1は本発明に係る燃料電池の安定発電制御装置の一実施例を示す構成ブロック図である。
図1において、21は燃料電池(燃料電池セル)を複数枚積層(電気的に直列接続)した燃料電池スタック、22は燃料電池スタック21に対して直流負荷を印加する直流負荷手段、23は燃料電池スタック21に対して交流負荷を印加する交流負荷手段、24は直流負荷手段22及び交流負荷手段23が印加する直流負荷及び交流負荷の値を制御する負荷制御手段である。
燃料電池スタック21の出力は直流負荷手段22に接続されると共に交流負荷手段23に並列に接続される。負荷制御手段24の直流負荷及び交流負荷の値を制御する制御信号はそれぞれ直流負荷手段22及び交流負荷手段23に接続される。
また、図1中”FG31”及び”SG31”に示すように燃料ガス(例えば、水素等)及び酸化ガス(例えば、酸素や空気等)がそれぞれ燃料電池スタック21に供給され、図1中”FG32”及び”SG32”に示すように燃料電池スタック21から燃料ガスの排気ガス及び酸化ガスの排気ガスがそれぞれ放出される。
ここで、図1に示す実施例の動作を説明する。負荷制御手段24は予め設定された負荷の値が燃料電池スタック21に印加されるように直流負荷手段22及び交流負荷手段23を制御する。
そして、燃料電池スタック21には、図1中”FG31”及び”SG31”に示すように動作(発電)に必要な量の燃料ガス(例えば、水素等)及び酸化ガス(例えば、酸素や空気等)がそれぞれ供給される。
この時、従来例の説明のように各燃料電池(燃料電池セル)では直流電流が取り出され、これらの燃料電池(燃料電池セル)を複数枚積層(電気的に直列接続)することにより、燃料電池スタックでは高い電圧を取り出すことを可能にする。
このように、燃料電池スタック21で発電された電圧は、負荷制御手段24で負荷を制御された直流負荷手段22及び交流負荷手段23に印加されて消費される。
このような動作(発電)状態において、取り出される電圧を”Vdc”、直流負荷手段22を流れる直流電流を”Idc”とした場合、燃料電池スタック21で発電された発電電力”P”は、
P=Vdc×Idc (1)
となる。
通常の動作(発電)状態では、燃料電池スタック内部のフラッディングによって、燃料電池セル電圧のばらつきが大きくなったり、燃料電池セル電圧の低下を引き起こす場合がある。
このため、図1に示す実施例では、燃料電池スタック内部のフラッディングを防止するために直流負荷に並列に僅かな交流負荷を印加している。
ここで、図2は燃料電池スタック21から取り出される電流値の時間的変化を示す特性曲線図であり、直流負荷に並列に僅かな交流負荷を印加することにより、電流値は図2中”Idc”に示す直流成分に対して、図2中”Iac”に示す交流成分が重畳された状態になっている。
図2に示すように、電流値が直流成分”Idc”よりもプラス側に遷移している状態は、ガス流量が不足(流量変動)すると共に分圧が低下(圧力変動)することと等価になる。
一方、図2に示すように、電流値が直流成分”Idc”よりもマイナス側に遷移している状態は、ガス流量が増加(流量変動)すると共に分圧が上昇(圧力変動)することと等価になる。
すなわち、電流の直流成分に対して僅かな交流成分を重畳させることは、燃料電池スタック21に対して、僅かな流量変動及び圧力変動を加えることと等価になり、”特許文献3”に記載されているように、このような流量変動及び圧力変動に起因して燃料電池スタック21内部の生成水の排水性を向上させることになる。
また、従来例のように水収支を計算する必要性もなく容易であり、空気流量の増加、出口圧力の低減を行なう制御や電解質膜が湿潤状態に復帰するような制御は必要ないのでエネルギーロスがなくなる。
この結果、燃料電池スタックの出力を直流負荷手段に接続すると共に直流負荷手段に並列に交流負荷手段を接続して直流負荷に並列に僅かな交流負荷を印加することにより、容易でエネルギーロスがなく安定した発電状態を保つことが可能になる。
なお、図1に示す実施例では、安定発電させる対象として燃料電池スタックを例示しているが、勿論、燃料電池単体(燃料電池セル)を対象として安定発電させても構わない。
また、図1に示す実施例では、負荷制御手段で直流負荷手段及び交流負荷手段の直流負荷及び交流負荷を制御しているが、直流負荷手段及び交流負荷手段自身で直流負荷及び交流負荷を決定するものであってもよく、負荷制御手段は必須の構成要素ではない。
また、図1に示す実施例では、直流負荷に並列に僅かな交流負荷を印加する旨説明しているが、直流負荷の値に応じて交流負荷の値(図2における”Iac”に示す重畳された交流成分の振幅)を可変しても構わない。この場合には、適切な変動を燃料電池に与えることが可能になり、燃料電池特性への影響を抑えることができる。
また、図1に示す実施例では、交流負荷の周波数に関しては特に例示していないが、例えば、交流負荷の周波数としては”50kHz”〜”0.1Hz”であることが望ましい
また、図1に示す実施例では、直流負荷に並列に交流負荷を印加する旨説明しているが、交流負荷の値(図2における”Iac”に示す重畳された交流成分の振幅)を直流負荷の値の所定割合(例えば、5%以下)以下に制限しても構わない。この場合には、適切な変動を燃料電池に与えることが可能になり、燃料電池特性への影響を抑えることができる。
また、図1に示す実施例では、直流負荷に並列に交流負荷を印加する旨説明しているが、通常動作では交流負荷を印加せず、測定手段により燃料電池セルの電圧を測定し、測定された燃料電池セルの電圧のばらつきが所定の閾値を超過した場合に、交流負荷を印加しても構わない。この場合には、無駄なエネルギーの消費を抑えることが可能になる。
本発明に係る燃料電池の安定発電制御装置の一実施例を示す構成ブロック図である。 燃料電池スタックから取り出される電流値の時間的変化を示す特性曲線図である。 従来の燃料電池システムの一例を示す構成ブロック図である。 従来の水分量を静電容量として測定することが可能な燃料電池の一例を示す断面図である。 従来の水分量を静電容量として測定することが可能な燃料電池の一例を示す断面図である。
符号の説明
1,4 電解質膜
2,3,5,6 触媒層・拡散層
7,8 ガス流路
9,10 セパレータ
11,12,13,14,15,16,17,18,19,20 電極
21 燃料電池スタック
22 直流負荷手段
23 交流負荷手段
24 負荷制御手段

Claims (3)

  1. 水素と酸素とを化学反応させることにより発電を行う燃料電池の発電制御装置において、
    燃料ガス及び酸化ガスをそれぞれ供給することにより発電する燃料電池と、
    前記燃料電池に接続される直流負荷と、
    前記燃料電池に接続され、前記直流負荷に供給される直流電流に交流電流をそれぞれ重畳させることで前記燃料電池内部のフラッディングを抑制するための交流負荷手段と、
    を備えたことを特徴とする発電制御装置。
  2. 前記交流負荷手段により重畳される前記交流電流を制御する負荷制御手段を備え、
    この負荷制御手段が、測定手段により測定された、前記燃料電池を構成する複数の燃料電池セル間の電圧のばらつきが所定の閾値を超過した場合に、前記燃料電池前記交流電流を重畳させることを特徴とする
    請求項1記載の発電制御装置。
  3. 前記交流電流の周波数が50kHz〜0.1Hzであることを特徴とする
    請求項1または2に記載の発電制御装置。
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